JP5485604B2 - メチレンラクトン単量体及びその保存方法 - Google Patents
メチレンラクトン単量体及びその保存方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5485604B2 JP5485604B2 JP2009165956A JP2009165956A JP5485604B2 JP 5485604 B2 JP5485604 B2 JP 5485604B2 JP 2009165956 A JP2009165956 A JP 2009165956A JP 2009165956 A JP2009165956 A JP 2009165956A JP 5485604 B2 JP5485604 B2 JP 5485604B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- methylene
- methylene lactone
- lactone monomer
- alkyl group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
- 0 *C(*)(C(*)(*)OC1=O)C1=C Chemical compound *C(*)(C(*)(*)OC1=O)C1=C 0.000 description 1
Images
Description
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、メチレンラクトン単量体の重合速度の低下や重合開始までの誘導期が長くなる等の重合性の低下を抑制し、工業的な重合体の製造原料として好適に用いることができるメチレンラクトン単量体を提供することを目的とするものである。
なお、メチレンラクトン単量体以外の通常の重合性単量体においては、重合禁止剤として用いられる通常使用量範囲で用いれば、保存時には保存安定性を高める重合禁止効果を発揮し、重合時には重合率の低下等の重合反応に大きな支障をきたすような問題を引き起こすことは通常ないが、本発明のように特殊な単量体であるメチレンラクトン単量体においては、重合禁止剤として用いられる通常使用量範囲で用いても、重合時に問題となる場合があることが本発明者等によって明らかとなった。本発明においては、溶存酸素量を高め、重合禁止剤を少ない特定範囲で存在させることによって、保存時には保存安定性を高めるとともに、重合反応を行うに際しては、溶存酸素が意外にもメチレンラクトン単量体の重合に大きな障害とはならず、しかも重合禁止剤濃度が低く設定されているためにメチレンラクトン単量体に特有の重合率の低下等を抑制することができることを見出したものである。
更に本発明者等は、重合禁止剤として、チオエーテル系、ホスファイト系、又は、フェノール系のいずれかの化合物の1種類又は2種類以上を用いることにより、重合性の低下を防止する効果をはじめとする各種効果がより顕著に発揮されること、及び、これらの中でも、特定の構造のフェノール系の化合物を用いることにより、更に顕著な重合性低下防止効果等が発揮されることも見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。特に、メチレンラクトン単量体において、重合体の原料とした場合に、重合速度が低下したり、重合開始までの誘導期が長くなったりする等の重合性の低下と溶存酸素や重合禁止剤との関連についてはこれまで全く知られていなかったものであり、本発明は、溶存酸素量や重合禁止剤の種類や濃度が、重合性の低下に影響する要因であることを見出すとともに、最適な溶存酸素量、重合禁止剤の種類や濃度を見出した点において、大きな意義を有するものである。
以下に本発明を詳述する。
メチレンラクトン単量体の溶液の溶存酸素量は、酸素メーター等により、測定することができる。なお、本発明において、着色があるとは、メチレンラクトン単量体の溶液のUV−VISスペクトル分析を行い、スペクトルのベースラインをゼロに合わせた時に、400〜600nmの領域における吸光度の最大値が、0.005以上であることを意味する。0.005以上になると、目視でも着色していることが判別できる。
重合禁止剤濃度(質量%)=[{重合禁止剤(g)×(メチレンラクトン単量体(g)/メチレンラクトン単量体を含む溶液(g))}/メチレンラクトン単量体(g)]×100
で求められる重合禁止剤濃度が、0.1質量%以下である。メチレンラクトン単量体が、溶存酸素量が0.02mg/L以上であり、かつ、重合禁止剤をこのような濃度で含むものであると、メチレンラクトン単量体を重合反応の原料として用いた場合に、安定な重合性を発揮することになり、各種用途に適したメチレンラクトン単量体を提供することが可能となる。また、保存や輸送時等における重合が充分に抑制され、着色することなく、安定かつ安全に取り扱うことが可能となる。これらの重合禁止剤は、上記一般式(1)で表される特定の構造に由来する特有の物性を有するメチレンラクトン単量体に対して、0.02mg/L以上の溶存酸素量を共存させる場合に、顕著な効果を発揮するものであり、これらの重合禁止剤を用いることによって、重合性の低下を抑制する効果に加え、保存や輸送時のメチレンラクトン単量体の着色や臭気抑制、重合抑制、および、重合反応の原料として用いた場合の着色抑制等の効果が発揮されることになる。それに対して、重合禁止剤の濃度が0.1質量%より高くなると、そのようなメチレンラクトン単量体を重合反応に供した際に重合反応が充分に進行しないおそれがあるため、重合禁止剤濃度を最適な範囲に設定することが重要である。
上述の通り特定の濃度において上記重合禁止剤はメチレンラクトン単量体に対して重合阻害効果を発揮するが、例えば、メチレンラクトン単量体と構造的に類似のアクリル酸等に対しては、上記重合禁止剤は上述の特定濃度では重合阻害効果を発揮しない。この原因としては、メチレンラクトン単量体の重合の駆動力が環構造の歪の解消であり、アクリル酸等の他の重合性モノマーの重合の駆動力とは異なる要因が加味されることが考えられる。したがって、上記重合禁止剤を上記濃度で含ませることによる意義は、メチレンラクトン単量体に特有のものである。
なお、本発明においては、用いる重合禁止剤の種類毎に、本発明の効果を更に効果的に発揮するための最適な濃度範囲があり、重合禁止剤の種類に合わせて、濃度範囲を設定することがより好ましい。例えば、後述するように、重合禁止剤として、p−メトキシフェノールを用いる場合には、その濃度は、0.00001〜0.08質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.0001〜0.05質量%である。更に好ましくは、0.0001〜0.02質量%であり、特に好ましくは、0.0001〜0.01質量%である。また、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを用いる場合には、その濃度は、0.0001〜0.095質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.0005〜0.09質量%である。更に好ましくは、0.001〜0.07質量%であり、特に好ましくは、0.001〜0.05質量%である。
上記無機酸化物系の重合禁止剤とは、例えば、酸化銅等が挙げられる。
更にR1、R2、R3及びR4が下記のようなものであると、本発明のメチレンラクトン単量体の効果がより顕著に発揮されることになる。
上述のように、メチレンラクトン単量体は、溶存酸素量を0.02mg/L以上とし、かつ、メチレンラクトン単量体に実質的に作用する重合禁止剤量のメチレンラクトン単量体の質量に対する割合として表される重合禁止剤濃度が0.1質量%以下となるように重合禁止剤を共存させることによって重合性の低下の抑制に加え、保存時の着色や重合、及び、臭気の発生を充分に抑制することができることから、メチレンラクトン単量体を溶存酸素量が0.02mg/L以上で、重合禁止剤を共存させた溶液として保存し、メチレンラクトン単量体に実質的に作用する重合禁止剤量のメチレンラクトン単量体の質量に対する割合として表される重合禁止剤濃度を0.1質量%以下として保存することはメチレンラクトン単量体の好適な保存方法である。
なお、溶存酸素量が0.02mg/L以上でメチレンラクトン単量体を保存する場合であっても、空気下で保存した場合に比べ、窒素下で保存した場合には、該メチレンラクトン単量体を重合して得られるメチレンラクトン重合体の重量平均分子量がわずかに小さくなる場合がある。これは、窒素下で保存したメチレンラクトン単量体を重合反応に供した場合には、何らかの連鎖移動効果が働いているためと考えられる。
なお、上述した本発明のメチレンラクトン単量体と同様、本発明のメチレンラクトン単量体の保存方法においても、用いる重合禁止剤の種類毎に、本発明の効果を更に効果的に発揮するための最適な濃度範囲があり、重合禁止剤の種類に合わせて、濃度範囲を設定することがより好ましい。例えば、重合禁止剤として、p−メトキシフェノールを用いる場合には、その濃度は、0.00001〜0.08質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.0001〜0.05質量%である。更に好ましくは、0.0001〜0.02質量%であり、特に好ましくは、0.0001〜0.01質量%である。また、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを用いる場合には、その濃度は、0.0001〜0.095質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.0005〜0.09質量%である。更に好ましくは、0.001〜0.07質量%であり、特に好ましくは、0.001〜0.05質量%である。
メチレンラクトン単量体が溶媒に溶解している場合においても、重合禁止剤濃度はメチレンラクトン単量体に対する濃度として規定する。
フェノール系の化合物における水酸基以外の置換基としては、上述したものと同様のものが好ましい。
このような、本発明のメチレンラクトン単量体又は本発明のメチレンラクトン単量体の保存方法を行った後のメチレンラクトン単量体を用いて製造するメチレンラクトン重合体の製造方法もまた、本発明の1つである。
また、このような本発明のメチレンラクトン重合体の製造方法によって製造されるメチレンラクトン重合体もまた、本発明の1つである。
本発明のメチレンラクトン重合体の製造方法は、本発明のメチレンラクトン単量体の保存方法を行った後のメチレンラクトン単量体を重合反応に供する形態、本発明における溶存酸素量を外れる少ない溶存酸素量でメチレンラクトン単量体を保存した後にメチレンラクトン単量体を重合反応に供する前に上記溶存酸素量である溶液と混合して本発明のメチレンラクトン単量体としてから重合反応を行う形態や、本発明における重合禁止剤濃度を外れる多量の重合禁止剤濃度でメチレンラクトン単量体を保存した後にメチレンラクトン単量体を重合反応に供する前に蒸留等を行い本発明のメチレンラクトン単量体としてから重合反応を行う形態であってもよく、本発明のメチレンラクトン単量体又は本発明のメチレンラクトン単量体の保存方法を行った後のメチレンラクトン単量体を用いるものである限り、製造工程は特に制限されない。ただし、メチレンラクトン重合体の製造の簡便性の観点から、本発明のメチレンラクトン重合体の製造方法は、本発明のメチレンラクトン単量体の保存方法を行った後のメチレンラクトン単量体を重合反応に供する形態であることが好ましい。
なお、上記メチレンラクトン重合体の製造方法においては、メチレンラクトン単量体の溶存酸素量を少なくすればするほど、上記したように通常の単量体とは異なって重合性の低下が認められるが、そのような場合であっても、例えば、メチレンラクトン単量体を重合反応に供する際の重合反応時間を長くする等の反応条件を設定することにより、設計通りの重合体を得ることが可能である。従って、本発明においては、上記メチレンラクトン単量体の特殊性を考慮しつつ、上記溶存酸素量範囲において反応条件を適宜調節することが好ましい。
以下に、光学材料用途に用いられるメチレンラクトン重合体を製造する場合について記載する。
有機基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数が1以上20以下のアルキル基、エテニル基、プロペニル基等の炭素数が1以上20以下の不飽和炭化水素基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数が1以上20以下の芳香族炭化水素基、及び、これらアルキル基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基において水素原子の1つ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基及びエステル基から選ばれる少なくとも1種の基により置換された基等である。
グルタルイミド構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体群を重合した後、得られた重合体をメチルアミン等のイミド化剤によりイミド化して形成できる。
重合体が有しても良い無水グルタル酸構造は、下記式(4);
無水グルタル酸構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸とを含む単量体群を共重合した後、得られた共重合体を分子内で脱アルコール環化縮合させて形成できる。
なお、重量平均分子量は、例えば、東ソー社製 HLC−8220 GPCを使用し、カラムとして、TSK−Gel Super HZM−Mを使用してゲル浸透クロマトグラフィー分析を行うことにより測定することができる。
また、メチレンラクトン単量体を、このような溶存酸素量が0.02mg/L以上で、重合禁止剤がメチレンラクトン単量体に実質的に作用する重合禁止剤量のメチレンラクトン単量体の質量に対する割合として表される重合禁止剤濃度0.1質量%以下の濃度で共存した溶液とすると、保存時のメチレンラクトン単量体の重合が効果的に抑制されることから、溶存酸素量が0.02mg/L以上で、重合禁止剤がメチレンラクトン単量体に実質的に作用する重合禁止剤量のメチレンラクトン単量体の質量に対する割合として表される重合禁止剤濃度0.1質量%以下の濃度で共存した溶液とすることは、メチレンラクトン単量体の好適な保存方法である。
溶存酸素量は、セントラル科学(株)製の酸素メーター(UC−12−SOL型/使用電極:UC−203型)を使用して測定した。
紫外−可視分光分析(UV−VIS)は、SHIMADZU社製 UV−1650PCを用い、セミミクロブラックセルに試料を直接入れて測定した。
ガスクロマトグラフィー分析は、Agilent社製 6890Nを使用し、カラムとして、ジーエルサイエンス社製 キャピラリーカラム InertCapを使用して測定した。
ゲル浸透クロマトグラフィー分析は、東ソー社製 HLC−8220 GPCを使用し、カラムとして、TSK−Gel Super HZM−Mを使用して行い、重量平均分子量を測定した。
NMRは、バリアン社製 核磁気共鳴装置FT−NMR(400MHz)を使用した。
なお、下記実施例においては、実験日が異なる等の操作上の理由により、スペクトルのベースラインが必ずしもゼロに一致していない場合には、スペクトルの700〜800nmの部分をベース(ゼロ)として吸光度の数値を読むこととした。
(試料A)
α−メチレン−γ−バレロラクトン(10g)をサンプル瓶に採り、窒素をバブリングした。溶存酸素量は、0.01mg/Lであった。サンプル瓶内の気相部を窒素で置換し、2ケ月間20℃で静置した。2カ月後も溶液は無色透明であることを確認した。
(試料B)
α−メチレン−γ−バレロラクトン(10g)をサンプル瓶に採り、酸素をバブリングした。溶存酸素量は、0.1mg/Lであった。サンプル瓶内の気相部を空気で置換し、2ケ月間20℃で静置した。2カ月後も溶液は無色透明であることを確認した。
(試料C)
α−メチレン−γ−バレロラクトン(10g)をサンプル瓶に採り、酸素を充分にバブリングした。溶存酸素量は、12.8mg/Lであった。サンプル瓶内の気相部を酸素で置換し、2ケ月間20℃で静置した。2カ月後も溶液は無色透明であることを確認した。
(試料D)
α−メチレン−γ−バレロラクトン(10g)をサンプル瓶に採り、空気をバブリングした。溶存酸素量は、2.4mg/Lであった。サンプル瓶内の気相部を空気で置換し、2ケ月間20℃で静置した。2カ月後も溶液は無色透明であることを確認した。
反応装置に、試料A(0.8g)を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.002g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を静置のまま85℃まで昇温して、硬化するまでの時間を目視にて確認したところ、35分を要した。
なお、硬化するまでの時間とは、α−メチレン−γ−バレロラクトンの重合が進行し、流動性がなくなった時点までの時間を指す。
反応装置に、試料B(0.8g)を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.002g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を静置のまま85℃まで昇温して、硬化するまでの時間を目視にて確認したところ、25分であった。得られた重合物は無色であった。
反応装置に、試料C(0.8g)を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.002g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を静置のまま85℃まで昇温して、硬化するまでの時間を目視にて確認したところ、23分であった。得られた重合物は無色であった。
反応装置に、試料D(0.8g)を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.002g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を静置のまま85℃まで昇温して、硬化するまでの時間を目視にて確認したところ、23分であった。得られた重合物は無色であった。
α−メチレン−γ−バレロラクトン(10g)をサンプル瓶に採り、ここにヒドロキノンを0.15質量%加えて、空気をバブリングした。溶存酸素量は、2.2mg/Lであった。サンプル瓶内の気相部を空気で置換し、2ケ月間20℃で静置した。2カ月後に溶液は薄黄色になった。
α−メチレン−γ−ブチロラクトン(10g)をサンプル瓶に採り、空気をバブリングした。溶存酸素量は2.0mg/Lであった。サンプル瓶の気相部を空気で置換し、3週間冷蔵庫内(−10℃)で静置した。この間、α−メチレン−γ−ブチロラクトンは着色・硬化しないことを目視により確認した。
α−メチレン−γ−ブチロラクトン(10g)をサンプル瓶に採り、空気をバブリングした。溶存酸素量は2.4mg/Lであった。サンプル瓶の気相部を空気で置換し、3週間室温(25℃)で静置した。この間、α−メチレン−γ−ブチロラクトンは着色・硬化しないことを目視により確認した。
α−メチレン−γ−ブチロラクトン(10g)をサンプル瓶に採り、空気をバブリングした。溶存酸素量は2.3mg/Lであった。サンプル瓶の気相部を空気で置換し、3週間50℃で静置した。この間、α−メチレン−γ−ブチロラクトンは着色・硬化しないことを目視により確認した。
α−メチレン−γ−ブチロラクトン(10g)をサンプル瓶に採り、空気をバブリングした。溶存酸素量は2.3mg/Lであった。サンプル瓶の気相部を空気で置換し、80℃で静置したところ、薄桃色へと着色し、3時間後にα−メチレン−γ−ブチロラクトンは硬化していないことを目視により確認した。
試料A〜I、及び、参考例1〜9について、表1にまとめた。なお、表1中、重合禁止剤のHQは、ヒドロキノンを表す。
試料Dと試料EのUV−VISを測定したところ、図1に示すスペクトルとなった。試料Dに比較して試料Eは350〜600nmにおける吸光度が大きくなっており、試料Dは無色であるが、試料Eは薄黄色に着色していることが観測された。
(試料J)
α−メチレン−γ−バレロラクトン(20g)にp−メトキシフェノール(0.01質量%)を加え、空気をバブリングして空気下20℃で2ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は2.4mg/Lであり、2ヶ月後も無色透明であることを確認した。
(試料K)
α−メチレン−γ−バレロラクトン(20g)にp−メトキシフェノール(0.005質量%)を加え、空気をバブリングして空気下20℃で2ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は2.6mg/Lであり、2ヶ月後も無色透明であることを確認した。
試料J(0.8g)を試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.002g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して60分間静置したところ液は増粘し、α−メチレン−γ−バレロラクトン仕込み量の17%が重合して高分子化合物が生成していることを、ガスクロマトグラフィー分析及びゲル浸透クロマトグラフィー分析により確認した。
試料K(0.8g)を試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.002g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して60分間静置したところ液は増粘し、α−メチレン−γ−バレロラクトン仕込み量の30%が重合して高分子化合物が生成していることを、ガスクロマトグラフィー分析及びゲル浸透クロマトグラフィー分析により確認した。
α−メチレン−γ−バレロラクトン(20g)にp−メトキシフェノール(0.001質量%)を加え、窒素をバブリングして窒素下20℃で2ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は0.02mg/Lであり、2ヶ月後も無色透明であることを確認した。
α−メチレン−γ−バレロラクトン(20g)にp−メトキシフェノール(0.001質量%)を加え、酸素をバブリングして酸素下20℃で2ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は13mg/Lであり、2ヶ月後も無色透明であることを確認した。
α−メチレン−γ−バレロラクトン(20g)にp−メトキシフェノール(0.001質量%)を加え、空気をバブリングして空気下20℃で2ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は2.2mg/Lであり、2ヶ月後も無色透明であることを確認した。
(試料O)
α−メチレン−γ−バレロラクトン(20g)に2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(0.01質量%)を加え、空気をバブリングして空気下20℃で2ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は2.8mg/Lであり、2ヶ月後も無色透明であることを確認した。
(試料P)
α−メチレン−γ−バレロラクトン(20g)に2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(0.005質量%)を加え、空気をバブリングして空気下20℃で2ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は2.7mg/Lであり、2ヶ月後も無色透明であることを確認した。
試料O(0.8g)を試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.002g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して60分間静置したところ液は硬化し、α−メチレン−γ−バレロラクトン仕込み量の26%が重合して高分子化合物が生成していることを、ガスクロマトグラフィー分析及びゲル浸透クロマトグラフィー分析により確認した。
試料P(0.8g)を試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.002g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して60分間静置したところ液は増粘し、α−メチレン−γ−バレロラクトン仕込み量の55%が硬化して高分子化合物が生成していることを、ガスクロマトグラフィー分析及びゲル浸透クロマトグラフィー分析により確認した。
α−メチレン−γ−バレロラクトン(20g)にp−メトキシフェノール(0.1質量%)を加え、空気をバブリングして空気下20℃で2ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は2.8mg/Lであり、2ヶ月後も無色透明であることを目視により確認した。UV−VISを観測したところ、スペクトルQ(図2)が観測された。なお、蒸留精製直後(重合禁止剤無添加)のα−メチレン−γ−バレロラクトンのUV−VISを測定したところ、スペクトルQ’(図2)として観測された。
α−メチレン−γ−バレロラクトン(20g)にペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(0.1質量%)を加え、空気をバブリングして空気下20℃で2ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は2.4mg/Lであり、2ヵ月後も無色透明であることを目視により確認した。UV−VISを観測したところ、スペクトルR(図2)が観測された。
α−メチレン−γ−バレロラクトン(20g)にトリフェニルホスファイト(0.1質量%)を加え、空気をバブリングして空気下20℃で2ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は2.2mg/Lであり、2ヶ月後も無色透明であることを目視により確認した。UV−VISを観測したところ、スペクトルS(図2)が観測された。
(試料T)
東京化成より購入したα−メチレン−γ−バレロラクトンには、重合禁止剤であるヒドロキノンの濃度は、0.2〜0.25質量%程度であることをNMRにより決定した。蒸留精製したα−メチレン−γ−バレロラクトン(10g)をサンプル瓶に採り、ここにヒドロキノン(0.15質量%)を加えて、空気をバブリングした。溶存酸素量は、2.2mg/Lであった。サンプル瓶内の気相部を空気で置換し、2ヶ月間20℃で静置した。2ヶ月後に溶液は薄黄色になった。
(試料U)
α−メチレン−γ−バレロラクトン(10g)をサンプル瓶に採り、ここにヒドロキノン(0.15質量%)を加えて、空気をバブリングした。溶存酸素量は、0.01mg/Lであった。サンプル瓶内の気相部を空気で置換し、2ヶ月間20℃で静置した。2ヶ月後に溶液は薄黄色に着色し、その色は試料Tよりも濃いことを確認した。
試料T(0.8g)を試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.002g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して60分間静置したが、重合は進行しなかった。
試料U(0.8g)を試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.002g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して60分間静置したが、重合は進行しなかった。
α−メチレン−γ−ブチロラクトン(20g)にp−メトキシフェノール(0.1質量%)を加え、空気をバブリングして空気下50℃で3週間保存した。溶存酸素濃度は2.3mg/Lであり、3週間後も無色透明であることを確認した。
(試料W)
α−メチレン−γ−ブチロラクトン(10g)をサンプル瓶に採り、ここにp−メトキシフェノール(0.15質量%)を加えて、空気をバブリングした。溶存酸素量は3.1mg/Lであった。サンプル瓶の気相部を空気で置換し、1ヶ月間20℃で静置した。1ヶ月後に溶液はごく僅かに薄黄色になった。
(試料X)
α−メチレン−γ−バレロラクトン(40g)に2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールとトリフェニルホスファイトとの混合重合禁止剤(1/1<質量%/質量%>)(0.01質量%)を加え、空気をバブリングして空気下20℃で6ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は3.1mg/Lであり、6ヶ月後も無色透明であることを確認した。
(試料Y)
α−メチレン−γ−バレロラクトン(40g)に2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールとペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)との混合重合禁止剤(1/1<質量%/質量%>)(0.01質量%)を加え、空気をバブリングして空気下20℃で6ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は3.1mg/Lであり、6ヶ月後も無色透明であることを確認した。
試料W(0.8g)を試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.002g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して60分間静置したが、重合は進行しなかった。
試料X(0.8g)を試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.002g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して60分間静置したところ液は増粘し、α−メチレン−γ−バレロラクトン仕込み量の18%が重合して高分子化合物が生成していることを、ガスクロマトグラフィー分析及びゲル浸透クロマトグラフィー分析により確認した。
試料Y(0.8g)を試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.002g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して60分間静置したところ液は増粘し、α−メチレン−γ−バレロラクトン仕込み量の35%が重合して高分子化合物が生成していることを、ガスクロマトグラフィー分析及びゲル浸透クロマトグラフィー分析により確認した。
試料J〜Y、及び、実施例1〜13、比較例1〜3について、表2にまとめた。
なお、表2中の略語は以下の通りである。
GVL:α−メチレン−γ−バレロラクトン
GBL:α−メチレン−γ−ブチロラクトン
α:p−メトキシフェノール
β:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
γ:ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)
δ:トリフェニルホスファイト
HQ:ヒドロキノン
ε:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールとトリフェニルホスファイトとの混合重合禁止剤(1/1<質量%/質量%>)
ζ:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールとペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)との混合重合禁止剤(1/1<質量%/質量%>)
(試料Z)
γ−ヘキシル−α−メチレン−γ−ブチロラクトン(20g)に空気をバブリングして空気下20℃で6ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は5.3mg/Lであり、6ヶ月後も無色透明であることを確認した。
(試料AA)
γ−ヘキシル−α−メチレン−γ−ブチロラクトン(20g)を窒素下20℃で6ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は0.02mg/Lであり、6ヶ月後も無色透明であることを確認した。
(試料AB)
α−メチレン−γ−バレロラクトン(40g)にトパノール(0.001質量%)を加え、空気をバブリングして空気下20℃で2ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は3.3mg/Lであり、2ヶ月後も無色透明であることを確認した。
(試料AC)
α−メチレン−γ−バレロラクトン(40g)にトパノール(0.001質量%)を加え、窒素下20℃で2ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は0.02mg/Lであり、2ヶ月後も無色透明であることを確認した。
試料Z(1g)と溶存酸素濃度10.5mg/Lのメチルイソブチルケトンを試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.0025g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して20分間静置したところ液は増粘し、γ−ヘキシル−α−メチレン−γ−ブチロラクトン仕込み量の73%が重合して高分子化合物が生成していることを、ガスクロマトグラフィー分析により確認した。
試料AA(1g)と溶存酸素濃度10.5mg/Lのメチルイソブチルケトンを試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.0025g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して20分間静置したところ液は増粘し、γ−ヘキシル−α−メチレン−γ−ブチロラクトン仕込み量の59%が重合して高分子化合物が生成していることを、ガスクロマトグラフィー分析により確認した。
試料Z(1g)を試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.0025g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して60分間静置したところ液は硬化し、得られた高分子化合物の重量平均分子量は52万であることを、ゲル浸透クロマトグラフィー分析により確認した。
試料AA(1g)を試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.0025g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して60分間静置したところ液は硬化し、得られた高分子化合物の重量平均分子量は48万であることを、ゲル浸透クロマトグラフィー分析により確認した。
試料AB(1g)を試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.0025g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して30分間静置したところ液は硬化し、得られた高分子化合物の重量平均分子量は45万であることを、ゲル浸透クロマトグラフィー分析により確認した。
試料AC(1g)を試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.0025g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して30分間静置したところ液は硬化し、得られた高分子化合物の重量平均分子量は30万であることを、ゲル浸透クロマトグラフィー分析により確認した。
溶存酸素濃度が3.5mg/Lであるα−メチレン−γ−バレロラクトン(20g)とp−メトキシフェノール(0.02質量%)とを試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.002g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して60分間静置したが、重合は進行しなかった。
溶存酸素濃度が3.5mg/Lであるα−メチレン−γ−バレロラクトン(20g)とp−メトキシフェノール(0.05質量%)とを試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.002g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して60分間静置したが、重合は進行しなかった。
溶存酸素濃度が3.5mg/Lであるα−メチレン−γ−バレロラクトン(20g)とp−メトキシフェノール(0.1質量%)とを試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.002g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して60分間静置したが、重合は進行しなかった。
溶存酸素濃度が3.5mg/Lであるα−メチレン−γ−バレロラクトン(20g)と2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(0.02質量%)とを試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.002g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して60分間静置したところ液は増粘し、α−メチレン−γ−バレロラクトン仕込み量の15%が重合して高分子化合物が生成していることを、ガスクロマトグラフィー分析及びゲル浸透クロマトグラフィー分析により確認した。
溶存酸素濃度が3.5mg/Lであるα−メチレン−γ−バレロラクトン(20g)と2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(0.05質量%)とを試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.002g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して60分間静置したところ液は増粘し、α−メチレン−γ−バレロラクトン仕込み量の10%が重合して高分子化合物が生成していることを、ガスクロマトグラフィー分析及びゲル浸透クロマトグラフィー分析により確認した。
溶存酸素濃度が3.5mg/Lであるα−メチレン−γ−バレロラクトン(20g)と2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(0.1質量%)とを試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.002g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して60分間静置したが、ほぼ重合は進行せず、α−メチレン−γ−バレロラクトン仕込み量の1%未満の量が重合して高分子化合物が生成していることを、ガスクロマトグラフィー分析及びゲル浸透クロマトグラフィー分析により確認した。
(試料AD)
アクリル酸(20g)にp−メトキシフェノール(0.1質量%)を加え、空気をバブリングして空気下20℃で6ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は8.1mg/Lであり、6ヶ月後も無色透明であることを確認した。
試料AD(0.8g)を試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.002g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して60分間静置したところ液は硬化し、アクリル酸仕込み量の100%が重合して高分子化合物が生成していることを、ガスクロマトグラフィー分析及びゲル浸透クロマトグラフィー分析により確認した。
実施例1、2、6、7、参考例15〜20、比較例4について、表3にまとめた。
なお、表3中の略語は以下の通りである。
GVL:α−メチレン−γ−バレロラクトン
AA:アクリル酸
α:p−メトキシフェノール
β:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
(試料AE)
α−メチレン−γ−ブチロラクトン(10g)にp−メトキシフェノール(0.05質量%)を加え、空気をバブリングして空気下35℃で1ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は3.0mg/Lであり、1ヶ月後も無色透明であることを確認した。また、この間、α−メチレン−γ−ブチロラクトンの重合は見られなかった。
(試料AF)
α−メチレン−γ−ブチロラクトン(10g)にp−メトキシフェノール(0.2質量%)を加え、空気をバブリングして空気下35℃で1ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は2.8mg/Lであり、1ヶ月後も無色透明であることを確認した。また、この間、α−メチレン−γ−ブチロラクトンの重合は見られなかった。
(試料AG)
アクリル酸(10g)にp−メトキシフェノール(0.03質量%)を加え、空気をバブリングして空気下20℃で6ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は8.5mg/Lであり、6ヶ月後も無色透明であることを確認した。また、この間、アクリル酸の重合は見られなかった。
(試料AH)
アクリル酸(10g)にp−メトキシフェノール(0.2質量%)を加え、空気をバブリングして空気下20℃で6ヶ月間保存した。溶存酸素濃度は8.3mg/Lであり、6ヶ月後も無色透明であることを確認した。また、この間、アクリル酸の重合は見られなかった。
試料AE(1.0g)を試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.001g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して25分間静置したところ、液が硬化することを目視により確認した。
試料AF(1.0g)を試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.001g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して90分間静置したところ、液は未だ流動性を保っており、硬化しないことを目視により確認した。
試料AG(1.0g)を試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.001g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して10分間静置したところ、液が硬化することを目視により確認した。
試料AH(1.0g)を試験管に加え、ここに窒素ガスを導入しながら重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(0.001g)を添加し、均一な溶液とした。反応液を85℃まで昇温して10分間静置したところ、液が硬化することを目視により確認した。
実施例16、比較例5〜7について、表4にまとめた。
なお、表4中の略語は以下の通りである。
GBL:α−メチレン−γ−ブチロラクトン
AA:アクリル酸
α:p−メトキシフェノール
このような重合性の低下の抑制は、工業的な生産性や製品の品質を考慮すれば、際立って優れた効果であり、従来技術からは予期せぬ効果であるといえる。
また、実施例14、15の結果から、メチレンラクトン単量体を保存する際に空気下で保存した場合も窒素下で保存した場合も、重合性を低下させることなく保存後のメチレンラクトン単量体を用いて重合反応を行うことができるが、窒素下で保存したメチレンラクトン単量体を用いた場合の方が空気下で保存したメチレンラクトン単量体を用いた場合と比較して、得られるメチレンラクトン重合体の重量平均分子量がわずかに小さくなることが分かった。これは、窒素下で保存したメチレンラクトン単量体を重合反応に供した場合には、何らかの連鎖移動効果が働いているものと考えられる。
実施例1、2、6、7、参考例15〜20、比較例4の結果から、本発明において用いる特定の重合禁止剤は、重合禁止剤の種類によってメチレンラクトン単量体の重合を妨げる量は異なるものの、特定の濃度でメチレンラクトン単量体に対して重合阻害効果を有することが確認された。それに対して、メチレンラクトン単量体と同様にCH2=CH−COO−部位を有するアクリル酸に対しては、上記特定の濃度では同様の重合禁止剤は、重合阻害効果を発揮しないことが確認された。また、実施例16、比較例5〜7の結果から、単量体がメチレンラクトン単量体である場合には、本発明における重合禁止剤濃度を超える重合禁止剤を用いると、重合は阻害され進行しないが、単量体がアクリル酸である場合には、本発明における重合禁止剤濃度を超える重合禁止剤を用いても、重合は阻害されずに進行することが確認され、重合禁止剤濃度はメチレンラクトン単量体に特有の問題であることが明らかとなった。この原因としては、上述したように、メチレンラクトン単量体の重合の駆動力が環構造の歪の解消であり、アクリル酸等の他の重合性モノマーのそれとは異なっていることが考えられる。
したがって、このような重合禁止剤の効果は、メチレンラクトン単量体に特有のものであるといえ、また、メチレンラクトン単量体と共存させる重合禁止剤の種類や量によって得られる効果が異なるため、実験結果からは重合禁止剤の量の特定が重要であり、特定の種類のものが本発明にとって好ましいといえる。
Claims (10)
- 下記一般式(1);
該メチレンラクトン単量体は、溶存酸素量が0.02mg/L以上で、重合禁止剤を共存させた溶液であり、メチレンラクトン単量体に実質的に作用する重合禁止剤量のメチレンラクトン単量体の質量に対する割合として表される重合禁止剤濃度が、0.1質量%以下であることを特徴とするメチレンラクトン単量体。 - 前記重合禁止剤は、チオエーテル系、ホスファイト系、及び、フェノール系の化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1に記載のメチレンラクトン単量体。
- 前記有機基は、炭素数1以上60以下の、直鎖飽和アルキル基、分岐飽和アルキル基、脂環式飽和アルキル基、芳香族基含有基、直鎖不飽和アルキル基、分岐不飽和アルキル基又は脂環式不飽和アルキル基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のメチレンラクトン単量体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のメチレンラクトン単量体からなることを特徴とするメチレンラクトン重合体の原料用メチレンラクトン単量体。
- 下記一般式(1);
該保存方法は、メチレンラクトン単量体を溶存酸素量が0.02mg/L以上で、重合禁止剤を共存させた溶液として保存し、メチレンラクトン単量体に実質的に作用する重合禁止剤量のメチレンラクトン単量体の質量に対する割合として表される重合禁止剤濃度を0.1質量%以下として保存することを特徴とするメチレンラクトン単量体の保存方法。 - 前記重合禁止剤は、チオエーテル系、ホスファイト系、及び、フェノール系の化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項5に記載のメチレンラクトン単量体の保存方法。
- 前記保存方法は、メチレンラクトン単量体を−50〜80℃の温度で保存することを特徴とする請求項5又は6に記載のメチレンラクトン単量体の保存方法。
- 前記有機基は、炭素数1以上60以下の、直鎖飽和アルキル基、分岐飽和アルキル基、脂環式飽和アルキル基、芳香族基含有基、直鎖不飽和アルキル基、分岐不飽和アルキル基又は脂環式不飽和アルキル基であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のメチレンラクトン単量体の保存方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のメチレンラクトン単量体又は請求項5〜8のいずれかに記載の保存方法を行った後のメチレンラクトン単量体を用いて製造することを特徴とするメチレンラクトン重合体の製造方法。
- 請求項9に記載のメチレンラクトン重合体の製造方法によって製造されることを特徴とするメチレンラクトン重合体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009165956A JP5485604B2 (ja) | 2008-07-16 | 2009-07-14 | メチレンラクトン単量体及びその保存方法 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008184793 | 2008-07-16 | ||
JP2008184793 | 2008-07-16 | ||
JP2008224113 | 2008-09-01 | ||
JP2008224113 | 2008-09-01 | ||
JP2009165956A JP5485604B2 (ja) | 2008-07-16 | 2009-07-14 | メチレンラクトン単量体及びその保存方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010077112A JP2010077112A (ja) | 2010-04-08 |
JP5485604B2 true JP5485604B2 (ja) | 2014-05-07 |
Family
ID=42207978
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009165956A Expired - Fee Related JP5485604B2 (ja) | 2008-07-16 | 2009-07-14 | メチレンラクトン単量体及びその保存方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5485604B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013047041A1 (ja) * | 2011-09-30 | 2013-04-04 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 樹脂組成物、プリプレグ及び金属箔張り積層板 |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4483288B2 (ja) * | 2003-12-25 | 2010-06-16 | Dic株式会社 | アクリル系水性粘着剤組成物、及び粘着剤 |
JP2006171019A (ja) * | 2004-12-10 | 2006-06-29 | Fuji Photo Film Co Ltd | パターン形成材料の製造方法及びパターン形成材料 |
JP4694330B2 (ja) * | 2005-09-26 | 2011-06-08 | 富士フイルム株式会社 | 感光性平版印刷版の製造方法 |
JP5144138B2 (ja) * | 2007-06-21 | 2013-02-13 | 三菱レイヨン株式会社 | α−メチレン−β−アルキル−γ−ブチロラクトン類の製造方法 |
JP2009007301A (ja) * | 2007-06-28 | 2009-01-15 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | α−メチレン−γ−ブチロラクトンの製造法 |
JP5459964B2 (ja) * | 2008-01-31 | 2014-04-02 | 株式会社日本触媒 | メチレンラクトン化合物含有組成物及びその安定化方法 |
JP2009179614A (ja) * | 2008-01-31 | 2009-08-13 | Nippon Shokubai Co Ltd | メチレンラクトン化合物の取り扱い方法 |
-
2009
- 2009-07-14 JP JP2009165956A patent/JP5485604B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2010077112A (ja) | 2010-04-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5654026B2 (ja) | 嫌気硬化性組成物 | |
JP5591543B2 (ja) | 反応性希釈剤 | |
CN108602793B (zh) | 由异构体混合物制备单体的方法 | |
JP2011519944A (ja) | 嫌気性硬化性組成物のための硬化促進剤 | |
JP3227204B2 (ja) | (メタ)アクリル酸の重合防止方法 | |
US11555011B2 (en) | 1,1-disubstituted ethylene process | |
JP5485604B2 (ja) | メチレンラクトン単量体及びその保存方法 | |
JP5632857B2 (ja) | 過酸化水素錯体および嫌気性接着剤の硬化システムにおけるそれらの使用 | |
EP2676950A1 (en) | Stabilized isocyanate group-containing ethylene-based unsaturated compound | |
JP5459964B2 (ja) | メチレンラクトン化合物含有組成物及びその安定化方法 | |
MXPA03000704A (es) | Inhibidor de polimerizacion para materiales que contienen vinilo. | |
CN113444017A (zh) | 一种二苯硫醚酮肟酯化合物、制备方法、组合物及用途 | |
EP1080163A1 (fr) | Composition et procede d'inhibition de la polymerisation radicalaire de monomeres a insaturation ethylenique | |
CN110590798A (zh) | 环丁烷四羧酸衍生物的制造方法 | |
US9534094B2 (en) | Method for producing (meth)acrylic-modified polybutadiene | |
US7183427B2 (en) | Process for the production of metal salts of radical-polymerizable compounds | |
JP2009179614A (ja) | メチレンラクトン化合物の取り扱い方法 | |
US5760278A (en) | Stabilization method of vinyl compound with hydroxy group and composition containing such vinyl compound | |
FR2768723A1 (fr) | Composition empechant la polymerisation de monomeres a insaturation ethylenique et son procede de preparation | |
WO2023192847A1 (en) | Antifoulant compositions for vapor-space applications | |
EP3281934B1 (en) | Stabilization of 2-fluoroacrylic acid derivatives with aldehydes | |
US20130310594A1 (en) | 1,1-disubstituted ethylene process | |
WO2022230913A1 (ja) | メタクリル酸メチル含有組成物及びメタクリル酸メチル重合体の製造方法 | |
WO2024063093A1 (ja) | エステル化合物含有組成物及びその製造方法、重合性組成物、(メタ)アクリル系重合体の製造方法 | |
JP3120037B2 (ja) | 水酸基含有ビニル化合物の安定化方法並びに水酸基含有ビニル化合物を含む組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120224 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20131126 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20131224 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140128 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140220 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5485604 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |