JPH0866314A - 高温加熱用調理機器の調理面構造およびその製造方法 - Google Patents

高温加熱用調理機器の調理面構造およびその製造方法

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JPH0866314A
JPH0866314A JP6207101A JP20710194A JPH0866314A JP H0866314 A JPH0866314 A JP H0866314A JP 6207101 A JP6207101 A JP 6207101A JP 20710194 A JP20710194 A JP 20710194A JP H0866314 A JPH0866314 A JP H0866314A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属へらに対する耐傷付き性および耐剥離性
を向上させるとともに、300℃以上の高温調理を行っ
ても、調理面が食品等により焦げ付いたり、しみ汚染を
生じたりすることのない高温加熱用調理機器の調理面構
造とする。 【構成】 調理面を構成する金属素材13の調理面とす
べき表面14を少なくとも覆うように、無機酸化微粒子
18を添加したゾルゲル塗料を該表面14に塗布して金
属酸化物を主成分とする硬質無機質層16を形成し、硬
質無機質層16の表面を覆うように非粘着性樹脂層17
を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温度で食品を調理し
ても食品の焦げ付きが少なく、また焦げ付き跡の目立た
ない高温加熱用調理機器の調理面構造およびその製造方
法に関し、特に、金属ヘラに対する摩耗耐久性が向上す
るように改良された調理面構造に関する。
【0002】
【従来の技術】ホットプレート、電気鍋、フライパンな
どの高温加熱用調理機器では、その調理面にフッ素樹脂
等の非粘着性トップコート層を有する調理面構造が用い
られている。図5はホットプレートを概略的に示す断面
図である。このホットプレート1は、金属素材2の内表
面3に高温加熱用の調理面構造4が形成されており、プ
レート側面5とプレート底面6とを有している。
【0003】次に、従来の高温加熱用調理機器の調理面
構造をさらに詳細に説明する。図6は従来の高温加熱用
調理機器の調理面構造を概略的に示す断面図である。こ
の高温加熱用調理機器の調理面構造4は、たとえば、ア
ルミニウム合金ダイキャスト成型品等の金属素材2の調
理面とすべき表面をサンドブラスト等で面荒らしし、面
荒らしがされた調理面とすべき表面2S上に表面を覆う
フッ素樹脂層7を備える。
【0004】また、他の調理面構造として、図7に示す
ように特願平4−303982号(特開平6−1459
46号公報)に記載の高温加熱用調理機器の調理面構造
がある。これは、調理面を構成する金属素材2と、金属
素材2の調理面とすべき表面2Sを少なくとも覆うよう
に設けられ、かつ、含水酸化物ゾルを脱水処理してゲル
とし、このゲルを加熱して無機酸化物をある一定形状、
または基板上の被膜として調製するための塗料(以下、
ゾルゲル塗料と言う)を該表面2Sに塗布することによ
り形成された金属酸化物を主成分とする硬質無機質層8
と、硬質無機質層8の表面を覆うように設けられたフッ
素樹脂層9とを備えたものである。この調理面構造で
は、気孔の少ない緻密な硬質無機質層8の表面が平滑と
なり、フッ素樹脂層9の傷等より食品の焦げ等が硬質無
機質層8に接触しても、焦げ等が硬質無機質層8の深さ
方向に侵入しにくいため、300℃以上、たとえば35
0℃程度の高温調理を行っても、調理面が食品等により
焦げ付いたり、また、しみ汚染を生じたりすることがな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
高温加熱用調理機器の調理面構造では、実調理時に使用
される各種金属へらによってこすられることによりフッ
素樹脂層が剥離したりして、耐傷付き性が懸念される。
そこで、へら先端部およびへらコーナー部を削り取り角
を円くした付属の小さな専用金属へらを使用するよう指
導がなされていた。その結果、混ぜる、切る、ひっくり
返す等の調理食品の加工作業においてその効率を落と
し、不便であった。そのため、へら先端部およびへらコ
ーナー部を削り取り角を円くしていない一般の金属へら
が使用され、フッ素樹脂層に傷や剥離が生じ、焦げ等の
跡やしみ汚染等の跡も残り、見苦しい利用価値のない調
理面となるという問題があった。
【0006】本発明は、上記に鑑み、従来の調理面構造
に比べ金属へらに対する耐傷付き性および耐剥離性を向
上させるとともに、300℃以上、たとえば350℃程
度の高温調理を行っても、調理面が食品等により焦げ付
いたり、しみ汚染を生じたりすることのない調理面構造
を有する高温加熱用調理機器およびその調理面構造の製
造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による課題解決手
段は、図1,2の如く、調理面を構成する金属素材13
と、金属素材13の調理面とすべき表面14を少なくと
も覆うように設けられ、かつゾルゲル塗料を該表面に塗
布することにより形成された金属酸化物を主成分とする
硬質無機質層16と、硬質無機質層16の表面を覆うよ
うに設けられた非粘着性樹脂層17とを備え、ゾルゲル
塗料に無機酸化微粒子18を添加したものである。
【0008】そして、金属素材13の調理面とすべき表
面14を凹凸粗面にし、硬質無機質層16の厚みは20
〜40μmとされ、ゾルゲル塗料に添加する無機酸化微
粒子18の粒径を30〜60μmに、添加量を10〜3
0部にしている。
【0009】また、高温加熱用調理機器の調理面構造の
製造方法は、金属素材13の調理面とすべき表面14を
少なくとも覆うように無機酸化微粒子18を含むゾルゲ
ル塗料を塗布する工程と、ゾルゲル塗料を加水分解させ
て金属素材13の調理面とすべき表面を少なくとも覆う
金属酸化物を主成分とする硬質無機質層16を形成する
工程と、硬質無機質層16の表面を覆う非粘着性樹脂層
17を形成する工程とを備えるものである。
【0010】
【作用】上記課題解決手段における高温加熱用調理機器
の調理面構造によれば、金属へらに対する耐傷付き性お
よび耐剥離性を向上させるように無機酸化微粒子18が
硬質無機質層16に添加され、その条件が適切に選ばれ
ている。
【0011】したがって、硬質無機質層16中に無機酸
化微粒子18が分散されて存在し、無機酸化微粒子18
が表面に露出することにより硬質無機質層16の表面積
が増大され、非粘着性樹脂層17との密着性が向上さ
れ、かつ硬度が上がるため、耐傷付き性および耐剥離性
が向上し、金属へらに対する摩耗耐久性が向上される。
さらに、300℃から350℃の高温での耐焦げ付き
性、耐しみ付き汚染性が向上され、高温で食品を調理し
ても、食品の焦げ付きが少なく、焦げ付き跡を目立たな
くできる。
【0012】
【実施例】本発明の高温加熱用調理機器の調理面構造を
ホットプレートに適用した一実施例を図3に示す。ホッ
トプレート10は、プレート側面11とプレート底面1
2とを有し、各面を構成する金属素材13の内表面14
に、金属へらが使用できて300〜350℃の高温で調
理しても焦げ付きやしみ汚染を起こさない調理面構造1
5が形成されている。
【0013】調理面構造15は、図1,2の如く、調理
面を構成する金属素材13と、金属素材13の調理面と
すべき表面14を少なくとも覆うように設けられ、かつ
ゾルゲル塗料を前記表面14に塗布することにより形成
された金属酸化物を主成分とする硬質無機質層16と、
硬質無機質層16の表面を覆うように設けられた非粘着
性樹脂層17とからなり、特に金属へらに対する耐傷付
き性および耐剥離性を向上させる目的でゾルゲル塗料に
無機酸化微粒子18が添加されている。
【0014】金属素材(母材)13の表面14には、図
4の如く、凹凸面が形成されており、凸部である山19
の高さHが10〜60μm、山19のピッチDが50〜
400μmとなっている。なお、山19の高さHは、谷
20の底から山19の頂上までの垂直方向の距離であ
る。
【0015】そして、凹凸面の表面を覆うように20〜
40μmの厚みを有するゾルゲル塗料を加水分解して形
成された金属酸化物を主成分とする緻密で非晶質な硬質
無機質層16が形成されている。硬質無機質層16の上
に、厚み5〜15μmを有するポリエーテルサルフォン
(PES)や、ポリフェニレンスルファイド(PPS)
や、ポリアミドイミド(PAI)系の変性フッ素樹脂塗
料からなるプライマー層P5が設けられ、その上に、1
5〜25μmの厚みを有するフッ素樹脂塗料からなる非
粘着性樹脂層17が設けられている。
【0016】次に、この調理面構造の製造方法について
説明する。図1,2に示す調理面構造を形成するために
は、まず、金属素材13の表面に凹凸のある山19と谷
20を形成する必要がある。このような凹凸面は、通常
行う粒度#50〜150のサンドブラストではなく、ジ
ェットタガネ(2〜4mmφ)によりエアー圧力6〜8
kg/cm2で、2〜3分実施して形成される。これに
より、砂型鋳物肌の凹凸に近い模様が形成される。一
方、金属素材13を形成する折りに、たとえば金属素材
13がアルミニウムダイキャスト成型品から製作すると
きには、ダイキャスト金型に調理面に相当する部分を予
めエンボス加工を施した金型にしておいて、アルミニウ
ムダイキャスト成型加工時に金属素材13の調理面とな
る表面14に凹凸模様を形成しておいてもよい。
【0017】さらに、粒度#10〜20のブラストをエ
アー圧力6〜10kg/cm2で2〜3分実施すること
により、粗面化とゾルゲル塗料を加水分解して形成され
た金属酸化物を主成分とする硬質無機質層16との密着
性を確保する粗面Zが得られる。なお、この粗面Zを形
成する工程は、特願平3−271254号(特開平4−
341221号公報)記載の高温加熱用調理機器の調理
面構造の形成工程と同一である。
【0018】次に、塗装装置を用いて、表1にその組成
を示すSiO2系のゾルゲル塗料を粗面Zに吹付けて、
120〜200℃で10〜20分間焼き付けを行って、
厚みBが20〜40μmになるように仕上げられた、ゾ
ルゲル塗料を加水分解して形成された金属酸化物を主成
分とする、緻密で非晶質な硬質無機質層16を形成す
る。
【0019】
【表1】
【0020】なお、表中、特殊シリカ系無機化合物とし
てはオルガノアルコキシシラン(R′Si(O
23)、黒色無機顔料としてはCo−Fe−Mn系複
合酸化物、無機系酸化微粒子としてはSiO2、アルコ
ール系混合溶剤としてはイソプロピルアルコールまたは
ブチルセロソルブ等である。
【0021】次に粗面Zを有する緻密で非晶質な硬質無
機質層16の上に、非粘着樹脂層17を形成する。非粘
着樹脂層17は、厚みAが10〜30μm、好ましくは
15〜25μmに仕上がるように、ディスパージョン型
の四フッ化エチレン樹脂塗料(公知の市販塗料)を吹付
けて、380〜420℃で20分間の焼成で硬化させる
ことにより形成される。非粘着樹脂層17と緻密で非晶
質な硬質無機質層16との密着性をよくするために、硬
質無機質層16の上にプライマー層P5を薄く(約5〜
10μm)塗布し、90〜120℃で10分〜15分間
強制乾燥するという工程を加えている。両層の密着性を
保てるならば、この工程は別段加えなくても差し支えな
い。
【0022】このように構成された金属素材13の粗面
Z、厚み20〜40μmの緻密で非晶質な硬質無機質層
16とその粗面Yおよび厚み10〜30μmの非粘着樹
脂層17とを含む調理面構造15を図3に示すホットプ
レートの調理面にした。ところで、ホットプレート10
の内表面12のプレート側面11は調理面でないため、
金属へらでこする機会がない。それゆえに、プレート側
面11においては、緻密で非晶質な硬質無機質層16の
厚み20〜40μm、非粘着樹脂層17の厚み10〜3
0μmにするという条件は不要である。プレート側面1
1の内面は、硬質無機質層16の厚みを散布程度、非粘
着樹脂層17の厚みが10〜30μmになるように、す
なわち、金属へらでこすると多少傷の付く皮膜構成にし
た。
【0023】本実施例の高温加熱用調理機器の調理面構
造によれば、金属へらに対する耐傷付き性および耐剥離
性を向上させることはもちろん、300℃以上、たとえ
ば、350℃での食品調理においても耐焦げ付き性、耐
しみ付き汚染性を向上させるように、金属素材13表面
の凹凸形状、金属素材13の表面上に形成される硬質無
機質層16の厚み、および非粘着樹脂層17の厚みの3
つの条件が適切に選ばれている。すなわち、調理面とな
る金属素材13の表面に形成される凹凸面は、その凸部
である山19の高さが10〜60μm、かつ山19のピ
ッチが50〜400μmに選ばれている。上記凹凸面を
覆う硬質無機質層16は、その膜厚が20〜40μmに
選ばれている。さらに、硬質無機質層16の表面を覆う
非粘着樹脂層17の厚みが10〜30μmに選ばれてい
る。そして、無機酸化微粒子18の粒径を30〜60μ
m、添加量を10〜30部にしている。
【0024】このように条件が選ばれていることによ
り、硬質無機質層16中に無機酸化微粒子18が分散さ
れて存在し、無機酸化微粒子18が表面に露出すること
により硬質無機質層16の表面積が増大され、非粘着性
樹脂層17との密着性が向上され、かつ硬度が上がるた
め、耐傷付き性および耐剥離性が向上し、金属へらに対
する摩耗耐久性が向上される。さらに、従来技術で示し
た特願平4−303982号(特開平6−145946
号公報)に記載の調理面構造の特性も有しているため3
00℃から350℃の高温での食品調理においても耐焦
げ付き性、耐しみ付き汚染性が向上する。
【0025】なお、無機酸化微粒子18の粒径が30μ
mより小さいと金属へらに対する摩耗耐久性が劣り、6
0μmより大きいと高温調理時における焦げ付き汚染性
が劣るとともに仕上がり外観も劣る。また、無機酸化微
粒子18の添加量が10部より少ないと金属へらに対す
る摩耗耐久性が劣り、30部より多いと高温調理時にお
ける焦げ付き汚染性が劣り、さらに塗膜密着性、衝撃性
等の各種塗膜性能が低下する。また、硬質無機質層16
の膜厚が20μmより薄いと高温調理時における焦げ付
き汚染性が劣り、40μmより厚いと塗膜密着性、衝撃
性等の各種塗膜性能が低下する。
【0026】以上にように構成されたホットプレート1
0は、従来技術で示した調理面構造以上の金属へらに対
する摩耗耐久性を兼ね備えながら、300〜350℃の
高温調理を行っても、調理食品の付着耐剥離性と、耐汚
染性、耐染み付き性を確保しているので、専用金属へら
でなく一般の金属へらを用いても調理工程において、食
品の調理時の手さばきとカット作業で切れのよい素早い
作業が可能でありながら、高温調理による味の向上と高
速調理ができる。
【0027】なお、上記実施例では、硬質無機質層とし
て、表1にその組成を示すSiO2系のゾルゲル塗料を
用いた場合を例示したが、そのような硬質無機質層とし
ては、たとえばホーロー仕上げのようなガラス質層であ
っても同様の効果を奏する。
【0028】また、硬質無機質層は、たとえばアルマイ
ト仕上げしたγ−Al23・H2O(ベーマイト)等と
してもよいが、アルミニウム合金ダイキャスト等(JI
SADC12等)の鋳物には、アルマイト仕上げができ
ず、アルマイト仕上げによる効果は望めない。
【0029】また、プラズマ溶射等の溶射手段で溶射物
質を溶融して吹き付ける方法や、粉体塗装のように粉体
を吹き付けてから焼成によって溶融する方法のみでは、
気孔の少ない緻密な硬質無機質層を形成することができ
ず300℃以上の高温調理を行った場合、焦げ等が硬質
無機質層の気孔へ侵入し、調理面に焦げ付きを生じたり
しみ汚染を形成したりして、焦げ付き汚染性に劣る。
【0030】プラズマ溶射等の溶射手段や粉体塗装によ
り形成された硬質無機質層の多孔質層(ポーラス層)の
気孔を封孔し緻密な層にするには、高い溶融温度、たと
えば約800〜1000℃、または、それ以上の温度が
必要となり、調理面構造を構成する金属素材(母材)の
耐熱性が問題となるが、耐熱性に優れた素材、たとえば
チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)等の金属、ある
いはケイ素(Si)等の半金属類を用いればこの問題を
解消することができる。
【0031】また、セラミック溶射法を用いて、厚さ3
0〜60μm程度の硬質無機質層を形成すれば、形成さ
れた硬質無機質層は多孔質層(ポーラス層)であった。
すなわち、低融点の金属素材に対して低温で気孔の少な
い緻密な硬質無機質層を形成するには、ゾルゲル塗料の
ような液体塗料を用いることが必要である。そして、上
述するようにゾルゲル塗料を用いれば、低温で気孔の少
ない緻密な硬質無機質層を形成することができる。
【0032】また、プラズマ溶射等の溶射により形成さ
れる硬質無機質層の色は、金属酸化物の色になるが、本
実施例の如く、ゾルゲル塗料のゾル中に、たとえばCo
−Fe−Mn系複合酸化物等の黒色無機質顔料を混入す
ることにより、硬質無機質層を容易に黒色とすることが
できる。したがって、非粘着樹脂層に傷やはがれを生
じ、硬質無機質層が露出しても、黒色等に着色すること
で目立ちにくく、また焦げ等の跡やしみ汚染等の後も目
立たなくできる。
【0033】そして、実用テストにおける金属へらに対
する摩耗テストでは、特願平4−303982号(特開
平6−145946号公報)記載の調理面構造に比べ本
実施例のものは2万回行っても異常が認められず、耐摩
耗性が向上しており、また300〜350℃における高
温での牛ステーキの調理テストを10回繰り返しても異
常が認められなかった。
【0034】また、塗膜剥離強度をモース硬度計にて測
定すると、上記従来技術の高温加熱用調理器の調理面構
造ではモース硬度3度であるのに対して、本発明の高温
加熱用調理機器の調理面構造ではモース硬度4度であ
り、剥離強度の増大が見られた。
【0035】したがって、本実施例では、従来の技術以
上の金属へらに対する摩耗耐久性を兼ね備えながら、3
00〜350℃の高温調理においても焦げ等の汚染に耐
える強固な皮膜を有する高温加熱用調理機器の調理面構
造を形成することができた。その結果、混ぜる、切る、
ひっくり返す等の調理食品の加工作業が効率よくできる
ことに加え、従来にない早いスピードでおいしい調理、
仕上げ外観のよい調理ができるという効果を奏する。
【0036】なお、本実施例では、表1に示すようにS
iO2系のゾルゲル塗料を用いた例を示したが、上記実
施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記
実施例に多くの修正および変更を加え得ることは勿論で
ある。すなわち、高温加熱用調理機器の調理面構造を製
造する際に用いるゾルゲル塗料としては、SiO2系の
ゾルゲル塗料以外のゾルゲル塗料として、チタニア(T
iO2)系ゾルゲル塗料、ジルコニア(ZrO2)系ゾル
ゲル塗料や、アルミナ(Al23)系ゾルゲル塗料を用
いることができる。チタニア(TiO2)系ゾルゲル塗
料の主成分としては、たとえばチタンイソプロポキシド
(Ti[OC374)、ジルコニア(ZrO2)系ゾル
ゲル塗料の主成分としては、たとえばジルコニウムイソ
プロポキシドのβ−ジケトン誘導体、またアルミナ(A
23)系ゾルゲル塗料の主成分としては、たとえばア
ルミニウムイソプロポキシド(Al[OCH(C
323)等を用いることができる。
【0037】そして、各ゾルゲル塗料に添加する無機酸
化微粒子は、各ゾルゲル塗料に対してチタニア(TiO
2)、ジルコニア(ZrO2)、アルミナ(Al23)を
それぞれ用いてもよく、あるいはゾルゲル塗料に対して
任意の無機酸化微粒子を添加することも可能である。
【0038】また、ゾルゲル塗料は、少なくとも2種類
の金属アルコキシド化合物と金属酸化物粒子とを含むも
のであってもよい。たとえばSiO2系ゾルゲル塗料の
場合、以下に示すような組成のものであって、エチルシ
リケート10〜20部、コロイダルシリカ10〜20
部、メチルトリメトキシシラン20〜40部、黒色無機
顔料(Co−Fe−Mn系複合酸化物)15〜25部、
沈降防止剤3〜7部、イソプロピルアルコール30〜5
0部、酢酸等の酸少量とすることにより、上記黒色顔料
が分散して非晶質のSiO2からなるガラス質の硬質無
機質層となる。
【0039】
【発明の効果】以上の説明から明らかな通り、本発明の
高温加熱用調理機器の調理面構造によると、調理面を構
成する金属素材と、金属素材の調理面とすべき表面を少
なくとも覆うように設けられ、かつゾルゲル塗料を該表
面に塗布することにより形成された金属酸化物を主成分
とする硬質無機質層と、硬質無機質層の表面を覆うよう
に設けられた非粘着性樹脂層とを備え、ゾルゲル塗料に
無機酸化微粒子を添加しているので、硬質無機質層中に
無機酸化微粒子が分散されて存在することになり、耐傷
付き性および耐剥離性を向上でき、金属へらに対する摩
耗耐久性を向上させることができる。さらに、300℃
から350℃の高温での食品調理においても耐焦げ付き
性、耐しみ付き汚染性を向上させることができる。
【0040】したがって、金属へらに対する摩耗耐久性
を兼ね備えながら、300〜350℃の高温調理を行っ
ても、調理食品の付着耐剥離性と、耐汚染性、耐染み付
き性を確保した、調理面構造を提供することができ、専
用金属へらでなく一般の金属へらを用いても、食品の調
理時の手さばきとカット作業で切れのよい素早い作業が
可能となり、高温調理による味の向上を図りながら高速
調理を行うことができる。
【0041】そして、上記のような特性を有する調理面
構造は、ゾルゲル塗料に添加する無機酸化微粒子の粒径
と添加量を調整することにより塗膜性能を維持しながら
上記特性を達成することができる。さらに、硬質無機質
層の厚みを所定量に管理すると、より効率よく性能を発
揮させることができる。
【0042】また、金属素材の調理面とすべき表面を凹
凸粗面にすることにより、塗膜の密着性がよくなり、塗
膜の耐食性および金属へらに対する耐傷付き性を向上さ
せることができる。
【0043】また、本発明の高温加熱用調理機器の調理
面構造の製造方法によると、300℃以上の温度で食品
を調理しても、高温加熱用調理機器の調理面に焦げ付き
やしみ汚染等が生じにくい調理面構造を低温で製造する
ことができる。したがって、調理面を構成する金属素材
が高融点である場合に適用できるのはもちろんのこと、
金属素材がアルミニウム等の低融点である場合にも適用
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての高温加熱用調理機器
の調理面構造の拡大断面図
【図2】高温加熱用調理機器の調理面構造の概略断面図
【図3】高温加熱用調理機器の調理面構造を有するホッ
トプレートの概略断面図
【図4】調理面構造の金属素材の凹凸面の定量方法を示
した図
【図5】従来のホットプレートの概略断面図
【図6】従来の高温加熱用調理機器の調理面構造の断面
【図7】特願平4−303982号(特開平6−145
946号公報)に記載の高温加熱用調理機器の調理面構
造の断面図
【符号の説明】
10 ホットプレート 13 金属素材 15 調理面構造 16 硬質無機質層 17 非粘着性樹脂層 18 無機酸化微粒子

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 調理面を構成する金属素材と、該金属素
    材の調理面とすべき表面を少なくとも覆うように設けら
    れ、かつゾルゲル塗料を該表面に塗布することにより形
    成された金属酸化物を主成分とする硬質無機質層と、該
    硬質無機質層の表面を覆うように設けられた非粘着性樹
    脂層とを備えた高温加熱用調理機器の調理面構造におい
    て、前記ゾルゲル塗料に無機酸化微粒子を添加したこと
    を特徴とする高温加熱用調理機器の調理面構造。
  2. 【請求項2】 金属素材の調理面とすべき表面を凹凸粗
    面にしたことを特徴とする請求項1記載の高温加熱用調
    理機器の調理面構造。
  3. 【請求項3】 ゾルゲル塗料に添加する無機酸化微粒子
    の粒径を30〜60μmに、添加量を10〜30部にし
    たことを特徴とする請求項1または2記載の高温加熱用
    調理機器の調理面構造。
  4. 【請求項4】 硬質無機質層の厚みを20〜40μmに
    したことを特徴とする請求項3記載の高温加熱用調理機
    器の調理面構造。
  5. 【請求項5】 金属素材の調理面とすべき表面を少なく
    とも覆うように無機酸化微粒子を含むゾルゲル塗料を塗
    布する工程と、該ゾルゲル塗料を加水分解させて金属素
    材の調理面とすべき表面を少なくとも覆う金属酸化物を
    主成分とする硬質無機質層を形成する工程と、該硬質無
    機質層表面を覆う非粘着性樹脂層を形成する工程とを備
    える高温加熱用調理機器の調理面構造の製造方法。
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