JPH0860833A - パネル取り付け構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 隣接する箱形パネルの取付片を重合させてタ
ッピングねじにより下地材に固定するパネルの取り付け
構造に関し、取付片のタッピングねじ用孔にざぐり加工
を必要とせず、また、タッピングねじによる固定作業を
従来よりも軽く行えるようにする。 【構成】 正面板の四辺に側壁を備え、各側壁の端縁に
正面板と平行な方向で外方に突出した取付片を備えた箱
形パネルの取付け構造に関する。箱形パネルは取付片を
相互に重合させて取り付けられており、重合箇所におい
て、下側の取付片は上側に重合される取付片より側壁か
らの突出量が大きくその突出端縁側で下地材に固定さ
れ、その側壁に近い側に上側の取付片がタッピングねじ
により固定される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、建物の外壁面、内壁
面あるいは天井面を化粧するために取り付けるパネルの
取り付け構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】パネルの取り付け構造、特に建物の外壁
に使用するものの取り付け構造については種々のものが
提案されている（実公昭５２−３７１５３号公報、実開
昭６３−１６３３０３号公報、実公平３−２３４６５号
公報、特公平６−１７６２５号公報など）。これらのう
ち、矩形を成した正面板１の四辺に側壁２を備えたいわ
ゆる箱形のパネル３（図８、図９）には、各側壁２の端
縁に正面板１と平行な方向で外方に突出した取付片４を
設け、その取付片４を相互に重合させて建物の躯体５に
固定された縦横の下地材６に取り付けられるものがあ
る。図８、図９において、符号７は窓で、外壁の開口部
に構成されており、符号８は補助材、符号９は取付片
４，４の重合部分で、箱形パネル３を用いて完成した外
壁では縦横の目地として把握される。符号１０，１１は
目地部分に装填されたバックアップ材とシーリングであ
る。箱形パネル３の素材はアルミニウム合金や鉄板等で
あり、また、表面はアルマイト加工、塗装加工、ホーロ
ー加工等が施されている。

【０００３】従来の箱形パネル３の取付け構造において
重合部分９の構造をみると（図９）、建物の躯体５に固
定された下地材６にまず箱形パネル３ａの取付片４ａが
タッピングねじ１２ａで下地材６に固定され、その上に
隣接する箱形パネル３ｂの取付片４ｂが重合されてタッ
ピングねじ１２ｂでやはり下地材６に固定されている。
この場合に下側の取付片４ａを固定するタッピングねじ
５ａは頭部が丸く膨出する鍋頭の方が取付け作業時の強
度上で好ましいのであるが、鍋頭にすると上側の取付片
４ｂを固定するときに浮き上がって密着しないなど干渉
が生じるので、図のようにタッピングねじ５ａは頭部が
平らな皿頭のものにしている。

【０００４】この取り付け構造には、２種のタッピング
ねじ５（ａ，ｂ）を準備する必要があり、取付片４ａの
皿タッピングねじ５ａを挿通する孔にざぐり加工が必要
であるとか、いずれのタッピングねじも鋼製の下地材６
にタッピングするのでねじ止め作業に力を要するとか、
さらに、皿タッピングねじ５ａはドライバーとの係合溝
が浅く、潰れやすい、などの欠点がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】この発明は、隣接する
箱形パネルの取付片を重合させてタッピングねじにより
下地材に固定する箱形パネルの取り付け構造に関し、取
付片のタッピングねじ用孔にざぐり加工を必要とせず、
また、タッピングねじによる固定作業を従来よりも軽く
行うことができるパネル取り付け構造の提供を課題とす
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】複数の箱形パネルが建物
躯体の下地材に取り付けられた構造に関する。箱形パネ
ルは矩形を成した正面板の四辺に側壁を備え、各側壁の
端縁に正面板と平行な方向で外方に突出した取付片を備
える。これらの箱形パネルが取付片を相互に重合させて
取り付けられる。取付片の重合箇所において、下側の取
付片は上側に重合される取付片より側壁からの突出量が
大きくその突出端縁側で下地材に固定されており、側壁
に近い側に上側の取付片がタッピングねじにより固定さ
れる。

【０００７】次の構造を備えることは好ましい。重合箇
所において、下側となる取付片における上側取付片のタ
ッピングねじ箇所が、側壁の端縁に沿う方向において、
下側となる取付片を下地材に固定するためのタッピング
ねじ箇所の間に配置されていること。下側となる取付片
の下地材への固定部分が上側取付片が重合される部分か
らさらに外方へ部分的に突出して形成されていること。

【０００８】パネルにおいて、下地材への取り付け部分
を有する取付片が、正面板の隣接する縦辺と横辺の側壁
に形成されていること。パネルにおいて、下地材への取
り付け部分を有する取付片が、正面板の対向する２つの
横辺または２つの縦辺の側壁に形成されていること。重
合箇所において、下側の取付片に対し上側の取付片が、
上側の取付片を有する側壁の下端縁を下側の取付片を下
地材へ固定しているタッピングねじの位置を避け、下側
の取付片を有する側壁の側に近付けて配置されているこ
と。

【０００９】

【作用】取付片の重合箇所において、下側となる取付片
は上側に重合される取付片より側壁からの突出量が大き
く、その突出端縁側で下地材に固定されている構成は、
上側の取付片をタッピングねじにより下側の取付片に固
定することを可能とする。下側の取付片において上側取
付片のタッピングねじ箇所が、側壁の端縁に沿う方向に
おいて、下側取付片のタッピングねじ箇所の間に配置さ
れている構成はタッピングねじによる取り付け箇所を分
散させ取付片の強度を維持する。

【００１０】下側となる取付片の下地材への固定部分
が、上側にくる取付片が重合される部分からさらに外方
へ部分的に突出して形成された構成は下地材への取り付
け箇所を明示するとともにパネルの重量を軽減する。パ
ネルにおいて、下地材への取り付け部分を有する取付片
が、正面板の隣接する縦辺と横辺の側壁に形成された構
成、あるいは正面板の対向する２つの横辺または２つの
縦辺の側壁に形成された構成は、隣接するどのパネル間
の重合箇所も上側にくる取付片と下側となる取付片の二
重構造とする。

【００１１】重合箇所において、下側の取付片に対し上
側の取付片が、上側の取付片を有する側壁の下端縁を下
側の取付片を下地材へ固定しているタッピングねじの位
置を避け、下側の取付片を有する側壁の側に近付けて配
置された構成は、下側の取付片を下地材へ固定している
タッピングねじの頭によって上側の取付片が浮き上がる
の防止し、取り付けによりパネルが歪んだり、重合箇所
の防水性能が劣化したりするのを防止する。

【００１２】

【実施例】図１は本発明による第１実施例における箱形
パネル３であって、プレスによる板金加工によって成形
されており、矩形を成した正面板１の四辺にそれぞれ側
壁２を備える。各側壁２の端縁には取付片４が正面板１
と平行な方向で外方に突出して形成されている。取付け
片４は下地材６への取り付け部分を有して側壁２からの
突出量が大きいもの（突出量ｄ1 …取付片４ａ，４ｃ）
とこのような取付け部分がなく小さなもの（突出量ｄ2
…４ｂ，４ｄ）とがあり、突出量が大きい取付片４ａ，
４ｃは、この実施例において、正面板１の隣接する縦辺
と横辺の側壁２に形成されている。突出量が大きい取付
片４ａ，４ｃには、側壁２の端縁に沿う方向に２列にタ
ップ孔１３と挿通孔１４が形成されている。タップ孔１
３にはタッピングねじ１２が捩じ込まれ、挿通孔１４に
はタッピングねじ１２が挿通される。側壁２からの突出
量が小さい取付片４ｂ，４ｄには、挿通孔１４が１列に
形成されている（図２）。

【００１３】どの取付片４においても側壁２に近い側の
タップ孔１３および挿通孔１４が配列される側壁２から
の距離は、突出量が大きい取付片４ａ，４ｃでも突出量
が小さい取付片４ｂ，４ｄでもほぼ同じで、寸法ｄ1 以
下である。また、挿通孔１４が配列される側壁からの距
離は取付片４ａ，４ｃにおいてほぼ同じであり寸法ｄ1
の２倍以上ｄ2 以下である。

【００１４】箱形パネル３は図２に示すように突出量が
大きい取付片４ａ，４ｃに突出量が小さい取付片４ｂ，
４ｄを重合させながらタッピングねじ１２で下地材６に
固定される。この場合に重合部分９においては、まず、
箱形パネル３ａの突出量が大きい取付片４ａがその突出
端縁側でタッピングねじ１２により下地材６に固定され
る。ついで、隣接する箱形パネル３ｂの突出量が小さい
取付片４ｂが前記の取付片４ａの上面に載置され、取付
片４ｂの挿通孔１４から通されたタッピングねじ１２ｂ
が下に固定されている取付片４ａのタップ孔１３にねじ
込まれる（図３）。この場合に下側となる取付片４ａ
は、突出量が大きく側壁２からの距離がｄ2 であり、取
付片４ｂはこの距離がｄ1 であることと取付片４ｂを固
定するためのタッピングねじ１２ｂがねじ込まれる位置
が側壁２からｄ1 であることから、図のように下側の取
付片４ａに対し上側の取付片４ｂは、その側壁２の下端
縁を下側の取付片４ｂを下地材６へ固定しているタッピ
ングねじ１２を避けた、下側の取付片４ａの側壁２に近
い個所として取付けられている。

【００１５】これにより、タッピングねじ１２ａは鍋頭
であっても上側となる取付け片４ｂの取付けに干渉せ
ず、また、上側の取付片４ｂを固定するタッピングねじ
１２ｂは下側となっている取付片４ａのタップ孔１３に
ねじ込まれる。タッピングねじ１２ａを下地材６にねじ
込む作業は下地材６が肉厚であるために多少強い力を要
するが、タッピングねじ１２ｂをねじこむ作業は肉薄の
パネル板であるために比較的軽く行うことができる。そ
して、重合部分９には外方からバックアップ材１０とシ
ーリング１１が装填される。

【００１６】図４は、第２実施例に関する箱形パネル３
であって、第１実施例における箱形パネル３と同様の構
造であるが、取付片４ａ，４ｃにおけるタップ孔１３と
挿通孔１４の配列に特徴がある。すなわち、重合部分９
において、下側となる取付片４ａには、２列にタップ孔
１３と挿通孔１４が形成されているが、これらの孔１３
と１４の位置は側壁２の端縁に沿う方向でずれており、
挿通孔１４の間にタップ孔１３が位置している。これに
より、箱形パネル３を取付けたとき重合部分９におい
て、上側にくる取付片４ｂのタッピングねじ１２ｂ箇所
が、側壁２の端縁に沿う方向において、下側となる取付
片４ａ用のタッピングねじ１２ａ箇所の間に配置され
る。この様に孔１３，１４を分散配置すると、第１実施
例のように孔１３，１４が近接して直線状に整列配置さ
れている個所から発生しやすい曲りや亀裂の危険を少な
くし、取付片４ａ，４ｂの弱体化を防止することができ
る。

【００１７】図５は、第３の実施例に関する箱形パネル
３であって、重合部分９において下側となる取付片４ａ
の下地材６への固定部分１５が、上側にくる取付片４ｂ
が重合される部分１６からさらに外方へ部分的に突出し
て形成されていることに特徴を有する。この様に取付片
４ａ，４ｃにおいて不用な部分を除去することによって
箱形パネル３の重量を軽くし、外壁全体の重量を大きく
軽減することができる。また、取付片４ａ，４ｃの端縁
が凹凸形状となっていることで、この部分が下地材６に
先に取付けられ、重合部分９において下側となる取付片
であることを明示し、取付けミスを防止する。

【００１８】図６，図７は第４の実施例における箱形パ
ネル３であって、第１実施例における箱形パネル３と同
様の構造であるが、側壁２からの突出量が大きく下地材
６への取り付け部分を有する取付片４ａ，４ｃが矩形を
成す正面板１の対向する２つの横辺または２つの縦辺の
側壁２に形成されている点に特徴を有する。この箱形パ
ネル３は、図６のものと図７のものを組み合わせて使用
され、取付けに際しては上下方向、左右方向共に交互に
配置される。形成される重合部分９は他の実施例と同様
の構造となり、取付け手順もほぼ同じである。この実施
例の場合、２種の箱形パネル３を使用しなければならな
いが、各パネル３はそれぞれ対向する２辺で下地材６に
固定されていくので、作業途中の取付け状態が安定し作
業しやすい。

【００１９】以上は実施例を箱形パネル３とし建物の外
壁を構成する場合について説明したが、本願発明は外壁
を構成する場合に限らず、取付け片を備えた箱形はパネ
ルのパネル取付け構造一般に適用することができる。
取付片４の側壁２からの突出量は重合部分９の幅（目
地）の大きさや、下地材６の配置間隔によるのであり、
設計上適宜に定められる。

【００２０】

【発明の効果】請求項１の構成によれば、箱形パネルに
おけるそれぞれの取付片を重合させて取付けるパネルの
取付け構造において、下側となる取付片を上側に重合さ
れる取付片より側壁からの突出量を大きくしており、上
側に重合される取付片のタッピングねじを比較的薄い下
側となっている取付片にねじ込んで固定できるので、捩
じ込み作業が軽く、取付け作業が軽減される。請求項２
の構成によれば、取付け作業が軽減される効果に加え、
パネルを固定するために取付片に多数の孔が形成されて
も、取付片としての強度を維持しやすい。

【００２１】請求項３の構成によれば、パネルの四辺に
形成されている取付片のうち、どの取付片が下地材に固
定されるものか、明示することになるので、取付け作業
が軽減される効果に加え、取付け時の単純なミスを防止
することができる。また、各パネルが軽くなるので、パ
ネルで形成した面全体の重量を軽減することができる。
請求項４の構成によれば、単一形態の箱形パネルだけで
壁面を構成することができる。また、取付け作業が軽減
される。

【００２２】請求項５の構成によれば、取付け作業が軽
減される効果に加え、取付け作業においてパネルの取付
けが一枚ごとに安定しているので、作業を行い易い。請
求項６の構成によれば、取付片の重合箇所において、下
側の取付片を下地材に固定しているタッピングねじの頭
が、上方に重合される取付片に干渉しないので、タッピ
ングねじに鍋頭のものを利用することができ、パネルの
取付けに使用するねじを一種類とすることができる。ま
た、さら頭ねじを利用する場合のように取付片側にざぐ
り加工を施す必要もない。さらに、タッピングねじによ
る干渉がないので、取付け後のパネルが歪んだり、重合
箇所の防水性能が劣化したりすることがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】パネルの斜視図（第１の実施例）。

【図２】パネルの取付け状態を示す正面図。

【図３】図２のＡ−Ａ線個所における断面図。

【図４】パネルの正面図（第２実施例）。

【図５】パネルの正面図（第３実施例）。

【図６】一方のパネルの正面図（第４実施例）。

【図７】他方のパネルの正面図（第４実施例）。

【図８】パネルが取付けられた外壁面の正面図（従来
例）。

【図９】図８のＢ−Ｂ線個所における断面図。

【符号の説明】

１ 正面板 ２ 側壁 ３ 箱形パネル ４ 取付片 ５ 躯体 ６ 下地材 ７ 窓 ８ 補助材 ９ 重合部分 １０ バックアップ材 １１ シーリング １２ タッピングねじ １３ タップ孔 １４ 挿通孔 １５ 下地材への固定部分 １６ 重合される部分

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の箱形パネルが建物躯体の下地材に
   取り付けられた構造であって、各箱形パネルは矩形を成
   した正面板の四辺に側壁を備え、各側壁の端縁に正面板
   と平行な方向で外方に突出した取付片を備え、これらの
   箱形パネルが取付片を相互に重合させて取り付けられて
   おり、取付片の重合箇所において、下側の取付片は上側
   に重合される取付片より側壁からの突出量が大きくその
   突出端縁側で胴縁に固定され、その側壁に近い側に上側
   の取付片がタッピングねじにより固定されていることを
   特徴としたパネル取り付け構造。
2. 【請求項２】 下側となる取付片において上側にくる取
   付片のタッピングねじ箇所が、側壁の端縁に沿う方向に
   おいて、下側となる取付片用のタッピングねじ箇所の間
   に配置されていることを特徴とした請求項１に記載のパ
   ネルの取り付け構造。
3. 【請求項３】 下側となる取付片の下地材への固定部分
   が上側にくる取付片が重合される部分からさらに外方へ
   部分的に突出して形成されていることを特徴とした請求
   項１に記載のパネルの取り付け構造。
4. 【請求項４】 箱形パネルにおいて、下地材への取り付
   け部分を有する取付片が、正面板の隣接する縦辺と横辺
   の側壁に形成されていることを特徴とした請求項１〜請
   求項３のいずれか一つに記載のパネル取り付け構造。
5. 【請求項５】 複数の箱形パネルが、下地材への取り付
   け部分を有する取付片が正面板の対向する２つの横辺に
   形成された箱形パネルと２つの縦辺の側壁に形成された
   箱形パネルの組み合わせであることを特徴とした請求項
   １〜請求項３のいずれか一つに記載のパネル取り付け構
   造。
6. 【請求項６】 重合箇所において下側の取付片に対し上
   側の取付片が、上側の取付片を有する側壁の下端縁を、
   下側の取付片を下地材へ固定しているタッピングねじの
   位置を避け、下側の取付片を有する側壁の側に近付けて
   配置されていることを特徴とした請求項１〜請求項５の
   いずれか一つに記載のパネル取り付け構造。