JPH0715930Y2 - 構造材の被覆パネル取付金具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、柱や梁等の鉄骨構造
材の外面に被覆パネルを張設するために用いる取付金具
に関する。

【０００２】

【従来の技術】鉄骨構造物における柱や梁等は、その外
面をＡＬＣ等の耐火性の被覆パネルで囲んで覆う必要が
あるが、被覆パネルを柱や梁に直接固定できないため、
柱や梁に取付金具を固定し、この金具に被覆パネルを取
付けなければならない。

【０００３】従来の取付金具１は、図９と図１０に示す
ように、短尺の帯状金属板をコ字状に折り曲げて形成さ
れ、この取付金具１を柱２の外面に一定の配置条件で溶
接固定し、柱２の外面に臨ませた被覆パネル３を取付金
具１に重ね、被覆パネル３から取付金具１にタッピング
ビス４をねじ込むことにより、柱２の外面に被覆パネル
３を張設するようになっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な取付金具１は、多数個を一定の配置条件で固定しなけ
ればならないと共に、被覆プレート３を重ねてビス止す
るとき取付金具１の位置を確認することができず、ビス
のねじ込み作用が非常に行い難く、このため被覆パネル
の取付に多くの手間と時間がかかり、施工コストが高く
つき、被覆パネルの固定強度が十分に得られない場合が
あるという問題がある。

【０００５】また、取付金具１は、平面コ字状に形成さ
れているため、柱２と被覆パネル３の間に広い隙間がで
き、柱２に対して被覆が大きくなり、スペース的に不利
となる。

【０００６】そこで、この考案は、上記のような問題点
を解決するため、構造材の外面に対する被覆パネルの固
定が簡単強固に行なえ、しかも構造物を被覆パネルの間
の隙間の発生を少なくすることができる被覆パネル取付
金具を提供することを課題としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記のような課題を解決
するため、この考案は、構造材に一部を重ねて溶接固定
する取付プレートの構造材から突出させる部分に先端の
爪先を被覆パネルに打ち込む切り起し爪を設けた構成を
採用したものである。

【０００８】

【作用】構造材の外面で両側の位置に、取付プレートを
突出部分が対向するように固定する。取付プレートは、
切り起し爪を設けた部分が構造材から突出するようにそ
の一部を構造材に重ねて溶接により固定し、取付金具の
対向面間に被覆パネルを嵌め込んだ後、切り起し爪の爪
先を被覆パネルの厚み部分に打込めば、構造材に対して
被覆パネルが固定化される。

【０００９】

【実施例】以下、この考案の実施例を添付図面の図１乃
至図８に基づいて説明する。図１乃至図４は、角形鋼管
を用いた柱１１の外面にＡＬＣ等の被覆パネル１２を張
設するために使用する取付金具２１を示しており、この
取付金具２１は、柱１１の外面に一部を重ねて溶接固定
する金属帯板製の取付プレート２２に切り起し爪２３を
設けて形成されている。

【００１０】取付プレート２２は、図１に示すように幅
寸法の略半分を柱１１の外面でコーナ部分に重ね、この
重なり部分を溶接によって柱１１に固定すると共に、残
り半分を柱１１から外方に突出させ、この突出させる部
分に切り起し爪２３が長さ方向に適当な間隔で設けられ
ている。

【００１１】上記切り起し爪２３は図２と図３のよう
に、取付プレート２２の長さ方向に所定の間隔で一対の
切目を平行状に設け、両切目間の部分を一面側に傾斜状
となるよう起こし、この起こした部分の先端側を取付プ
レート２２側へ折り曲げ、先鋭状の爪先２４とした構造
になっている。起こした部分や爪先２４の形状や角度は
打込みを考慮して設定すればよい。

【００１２】上記した取付プレート２２を用いて柱１１
の四周面を被覆パネル１２で覆うには、図１に示すよう
に、柱１１の相対向する一組の壁面の外側コーナ部分に
取付プレート２２の一部を重ね、切り起し爪２３を設け
た部分が柱１１の外方へ突出して相手と互に対向するよ
うに溶接固定する。

【００１３】次に、対向する取付プレート２２と２２間
に納まる幅に形成した被覆パネル１２を取付プレート２
２と２２間に嵌め込んで柱１１の外面に重ね、この状態
で切り起し爪２３を被覆パネル１２に向けて打撃し、爪
先２４を被覆パネル１２の板厚部分に打込めば、取付プ
レート２２と２２間に被覆パネル１２を固定化できる。

【００１４】このようにして柱１１の二面に被覆パネル
１２、１２を取付けた後、両被覆パネル１２、１２の外
面間の間隔に見合う幅に形成した被覆パネル１２を柱１
１の残る二面に重ね合わせ、被覆パネル１２の両側にお
いて、取付プレート２２の柱１１から突出する部分に向
けてタッピングビス１３をねじ込む。

【００１５】タッピングビス１３は、被覆パネル１２、
１２とその間に位置する取付プレート２２の三者を結合
固定することになり、これによって、柱１１の四面を囲
む被覆プレート１２が柱１１に固定化されることにな
る。

【００１６】図４は柱１１が壁面１４に近接し、柱１１
の三面を被覆パネル１２で覆う場合の例を示し、三面の
被覆パネル１２を柱１１に対して取付金具２１で固定す
るのは、図１の場合と同じであるが、被覆パネル１２の
壁面１４に突き合わせた部分を固定化するため、柱１１
の外面で壁面寄りのコーナ部分にコ字状金具１５を壁面
１４に当接するよう溶接固定し、被覆パネル１２の端部
をコ字状金具１５に嵌め合わせるようにしている。

【００１７】次に図５に示す取付金具２１ａは、取付プ
レート２２を断面Ｌ字状のアングルに形成し、一方プレ
ート片２２ａに切り起し爪２３を設けた構造になってお
り、図６はこの取付金具２１ａを用い、梁１７の外面に
被覆パネル１２を張設した状態を示している。

【００１８】梁１７はＨ型鋼を用い、この梁１７におけ
る両フランジ１８、１８の両側縁に取付金具２１ａが溶
接によって固定される。

【００１９】取付金具２１ａは図６のように、切り起し
爪２３を設けた一方プレート片２２ａがフランジ１８の
面方向に突出するよう、コーナ部分の外側をフランジ１
８の側縁に溶接で固定し、対向する両取付金具２１ａ間
に被覆プレート１２を嵌め込み、切り起し爪２３の爪先
２４をこの被覆プレート１２の板厚部分に打ち込み、こ
の被覆パネル１２を固定する。

【００２０】次に、梁１７のフランジ１８の外面に被覆
パネル１２を重ね、両側部の部分において、一方プレー
ト片２２ａから被覆プレート１２に向けてタッピングビ
ス１３をねじ込み、梁１７の四面を被覆パネル１２で囲
む。

【００２１】なお、被覆パネル１２の固定強度を向上さ
せるため、両側の部分において、取付金具２１ａの他方
プレート片２２ｂにタッピングビス１３をねじ込むよう
にしてもよい。

【００２２】図７は、梁１７が接続のためのジョイント
部１９を有する場合、被覆パネル１２の張設を取付金具
２１ａで逃がすようにした使用状態を示し、取付金具２
１ａはフランジ１８の側縁に他方プレート片２２ｂの端
部を溶接により固定し、一方プレート片２２ａをフラン
ジ１８の外面よりも上下外方向に突出させ、この状態で
図６と同様に被覆パネル１２を張設することにより、ジ
ョイント部１９を逃がしている。

【００２３】また、図８は、柱１１と被覆パネル１２の
間に配線用等の隙間を確保する場合に取付金具２１ａを
使用した例を示し、取付金具２１ａの他方プレート片２
２ｂを柱１１の外面に固定することにより、柱１１と被
覆パネル１２の間に隙間を確保することができる。

【００２４】

【効果】以上のように、この考案によると、構造材に一
部を重ねて固定する取付プレートの構造材から突出させ
る部分に被覆パネルへ打込む切り起し爪を設けたので、
取付プレートの対向面間に被覆パネルを嵌め込んだ後、
切り起し爪を被覆パネルに打込めば構造材に対する被覆
パネルの取付けが行なえ、被覆パネルの取付けが簡単に
能率よく行なえ、作業能率の向上によりコストダウンを
図ることができる。

【００２５】また、構造材に対して被覆パネルを接近さ
せて張設することができ、隙間の発生を少なくしてスペ
ースの有効化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】柱に対する被覆パネルの取付状態を示す横断面
図

【図２】同上に用いる取付金具の斜視図

【図３】同上の横断面図

【図４】柱に対する被覆パネルの他の取付状態を示す横
断面図

【図５】取付金具の他の例を示す斜視図

【図６】同上を用いた梁に対する被覆パネルの取付状態
を示す縦断面図

【図７】梁に対する被覆パネルの他の取付状態を示す縦
断面図

【図８】同上の取付金具を用いた柱への被覆パネルの取
付状態を示す横断面図

【図９】従来の被覆パネル取付構造を示す斜視図

【図１０】同上の横断平面図

【符号の説明】

２１、２１ａ 取付金具 ２２ 取付プレート ２２ａ、２２ｂ プレート片 ２３ 切り起し爪 ２４ 爪先

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 構造材に一部を重ねて溶接固定する取付
   プレートの構造材から突出させる部分に先端の爪先を被
   覆パネルに打ち込む切り起し爪を設けた構造材の被覆パ
   ネル取付金具。