JPH0536950Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ａ 考案の目的 （産業上の利用分野） この考案に係るコンクリートパネル製建物壁の
開口部にサツシ枠を装着する器具は、軽量気泡コ
ンクリートパネル（ALC板）により構成された
建物壁の開口部に金属製のサツシ枠を、溶接手段
を用いることなく装着するのに利用される。

（従来の技術） 近年、耐火性、断熱性に勝れた軽量気泡コンク
リートパネルが、ビルデイングだけでなく、一般
住宅にも使用されるようになつてきて、一般住宅
用に広く使用されているようなアルミニウム製の
サツシ枠を、コンクリートパネル製の建物壁の開
口部内側に装着する必要が生じた。

このため、従来から種々の手段、構造によりサ
ツシ枠をコンクリートパネル製建物壁の開口部内
側に装着していた。

第４〜６図にはこのうちの３例を示している
が、まず第４図に示した第１例は、コンクリート
パネル１の角部が破損するのを防止するため、こ
の角部を全周に亘つて覆うようにしてコンクリー
トパネル１の鉄筋２に予め溶接固定した断面Ｌ字
形のアングル材３に、サツシ枠４（第４〜６図は
いずれも下枠を示しているが、上枠、竪枠の場合
も全く同様である。）に嵌着したブラケツト５を
溶接し、コンクリートパネル１の鉄筋２に、アン
グル材３、ブラケツト５を介してサツシ枠４を装
着している。

又、第５図に示した第２例は、コンクリートパ
ネル１の端面に露出した鉄筋２の端部に直接ブラ
ケツト５を溶接し、上記鉄筋２に、ブラケツト５
を介してサツシ枠４を装着している。

更に、コンクリートパネル１の端面にブラケツ
ト４を溶接すべき鉄筋２が露出していない場合
は、第６図に示した第３例のように、コンクリー
トパネル１の端面に、カツトネイルと呼ばれるア
ンカ６により鋼板７を固定し、この鋼板７にサツ
シ枠４に固定の連結片８を溶接することで、サツ
シ枠４をコンクリートパネル１に装着している。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、上述のような従来のコンクリートパ
ネル製建物壁の開口部にサツシ枠を装着する手
段、構造は、いずれも建設工事現場に於ける溶接
作業が必要となる。

コンクリートパネルを用いた建造物でも、鉄骨
の組立も現場ではボルト締めだけで行なわれ、殆
ど溶接作業を要しないのが実情であり、サツシ枠
の装着時にのみ溶接作業を行なうのは、慣れない
作業のため敬遠され勝で、高品質の溶接も期待し
難い。

本考案のコンクリートパネル製建物壁の開口部
にサツシ枠を装着する器具は上述のような不都合
を解消し、上記開口部に、溶接手段を用いること
なく、サツシ枠を装着できるようにするものであ
る。

ｂ 考案の構成 （問題を解決するための手段） 本考案のコンクリートパネル製建物壁の開口部
にサツシ枠を装着する器具は、軽量気泡コンクリ
ートパネル製建物壁に形成した窓開口の内周面に
アンカにより固定される固定片と、上記窓開口の
内側に建て込まれるサツシ枠の外周部分に装着す
る支持片とから成り、この支持片を上記固定片に
ねじ止め固定するように構成している。

このうち、固定片は、上記開口部内周面に外側
面を当接させる固定板部の内側面の屋外側と屋内
側とに第一、第二の支承壁を、互いに平行にかつ
間隔をあけて形成し、屋外側の第一の支承壁の屋
外側面は、サツシ枠と平行な複数の溝を有する凹
凸面とし、屋内側の第二の支承壁にはねじを頭部
を除いて挿通自在なねじ通路を形成している。

一方、支持片は、サツシ枠の外周部分に装着自
在な基部の外周側面の屋外側と屋内側とに第一、
第二の支持壁を、互いに平行にかつ前記第一、第
二の支承壁よりも少しだけ小さい間隔をあけて形
成し、屋外側の第一の支持壁の屋内側面で前記第
一の支承壁の屋外側面と対向する部分には、この
屋外側面の溝と係合する突条を形成し、屋内側の
第二の支持壁には、前記第二の支承壁のねじ通路
を挿通したねじを螺合させるねじ孔を形成してい
る。

（作用） 上述のように構成される本考案のコンクリート
パネル製建物壁の開口部にサツシ枠を装着する器
具により、開口部の内側にサツシ枠を装着する場
合、まず窓開口の内周面に固定片を固定する。こ
の固定作業は、固定片に設けた第一、第二の支承
壁をサツシ枠と平行にし、この固定片の固定板部
の通孔に挿通したアンカを窓開口の内周面からコ
ンクリートパネルに打ち込むことにより行なう。

上述のように内周面に固定片を固定した窓開口
の内側に建て込むサツシ枠の外周部分には、予め
支持片を装着しておき、このサツシ枠を上記窓開
口の内側に建て込むことにより、支持片に形成し
た第一、第二の支承壁の屋内側面と、前記固定片
に形成した第一、第二の支持壁の屋外側面とを対
向させ、第一の支持壁の屋内側面に形成した突条
を、第一の支承壁の屋外側面に形成した凹凸面の
溝と係合させる。支持片に形成した第一、第二の
支持壁の間隔は、固定片に形成した第一、第二の
支承壁の間隔よりも少しだけ小さくしているた
め、上述のような突条と溝とを係合させた状態
で、第二の支承壁の屋外側面と第二の支持壁の屋
内側面との間には、僅かな隙間が形成される。こ
の状態から、第二の支承壁のねじ通路を挿通し、
第二の支持壁のねじ孔に螺合させたねじを緊締す
れば、各壁が弾性的に変形しつつ上記隙間が塞が
れ、支持片の第二の支持壁が固定片の第二の支承
壁にしつかりと結合されると同時に、第一の支持
壁の突条が第一の支承壁の溝と強く係合し、固定
片と支持片とがしつかりと結合される。

この結果、サツシ枠は窓開口の内側部分に於い
てコンクリートパネルに対し、固定片と支持片と
を介して装着される。

（実施例） 次に、図示の実施例を説明しつつ本考案を更に
詳しく説明する。

第１〜２図は本考案のコンクリートパネル製建
物壁の開口部にサツシ枠を装着する器具の第一実
施例を示しており、第１図はサツシ枠を装着する
状態を示す横断面図、第２図は器具の分解斜視図
である。

サツシ枠の装着器具９は、軽量気泡コンクリー
トパネル１により造られた建物壁の窓開口１０の
内周面にアンカ６により固定される固定片１１
と、上記窓開口１０の内側に建て込まれるサツシ
枠４の外周部分に装着する支持片１２とから成つ
ている。

このうちまず固定片１１は、中央にアンカ６を
挿通するための円孔１３を有し、外側面を上記窓
開口１０の内周面に当接させる平板状の固定板部
１４の内側面に、屋外側と屋内側とに分けて、第
一、第二の支承壁１５，１６を形成している。屋
外側に位置する第一の支承壁１５の屋外側面は、
複数の溝１７，１７を連続させた断面波形の凹凸
面としている。又、屋内側に位置する第二の支承
壁１６には、この第二の支承壁１６と支持片１２
の第二の支持壁１８とを結合するねじ１９を頭部
１９ａを除いて挿通自在なねじ通路を構成する、
Ｕ字形の切欠き２０を形成している。

一方、支持片１２は、サツシ枠４の外周部内外
両端部に互いに対向して形成した突条２１，２１
を内嵌する係合溝２２，２２を屋内外両端部に形
成した主部２３と、この主部２３の外側面に摺動
自在に係合する副部２４とから構成されている。
このうち、主部２３の外側面で屋外寄り部分に
は、第一の支持壁２５が形成されており、この第
一の支持壁２５の端縁部屋内側には、前記した第
一の支承壁１５の溝１７と係合する突条２６を形
成している。更に、この主部２３の外側面で屋内
寄り部分には、入口の幅が狭く、奥が広くなつた
係合溝２７が形成されている。副部２４は、この
係合溝２７に摺動自在に係合する摺動板部２８の
外側面に第二の支持壁１８を設けて、全体のＴ字
形に形成している。第二の支持壁１８の中央部に
は、前記したねじ１９を螺合させるためのねじ孔
２９が形成されている。

上述のように構成される各部品から成る本考案
のサツシ枠を装着する器具により、サツシ枠４を
軽量気泡コンクリートパネル１により周囲を囲ま
れた窓開口１０の内側に装着するには、次のよう
にして行なう。

まず、固定片１１を、第一、第二の両支承壁１
５，１６とサツシ枠４とを平行な状態として、円
孔１３に挿通したアンカ６により、窓開口１０の
内周面に固定する。

窓開口１０の内側に建て込むべきサツシ枠４の
外周部分には、ほぼこのサツシ枠４の全長に亘つ
て支持片１２の主部２３を嵌着しておき、この主
部２３の係合溝２７に、副部２４の摺動板部２８
を、サツシ枠４の長さ方向に亘る摺動を自在に嵌
着しておく。係合溝２７の下端開口部は圧潰し
て、この係合溝２７に上方から係合させた摺動板
部２８が、下方に脱落しないようにしている。

上述のような主部２３と副部２４とから成る支
持片１２を外周部分に嵌着したサツシ枠４は、第
１図に示すように窓開口１０の内側に建て込み、
第一の支持壁２５の屋内側面に形成した突条２６
を第一の支承壁１５の屋外側面に形成した溝１７
に嵌合させる。この状態から、支持片１２の副部
２４を係合溝２７に沿つて上方に移動させ、この
副部２４に設けた第二の支持壁１８を固定片１１
の上方に位置させる。このように支持壁１８を固
定片１１の上方にまで移動させた状態で、支持壁
１８の中央に形成したねじ孔２９にねじ１９を軽
く螺合させたならば副部２４を下降させ、このね
じ１９を固定片１１の第二の支承壁１６に形成し
た切欠き２０に進入させる。第一、第二の支承壁
１５，１６の間隔は、第一、第二の支持壁２５，
１８の間隔よりも少しだけ大きくしているため、
このようにねじ１９を切欠き２０に進入させただ
けでは、第二の支承壁１６の屋外側面と第二の支
持壁１８の屋内側面との間には僅かな隙間が形成
された状態となる。この状態からねじ１９を緊締
すると、各壁１５，１６，１８，２５が弾性的に
変形しつつ上記隙間が塞がれるとともに、各壁１
５，１６，１８，２５が元に戻ろうとする弾力に
より第一の支持壁２５の突条２６が第一の支承壁
１５の屋外側面の溝１７と強く係合し、固定片１
１と支持片１２とがしつかりと結合される。

支持片１２の主部２３は、サツシ枠４の四周に
装着し、各主部２３には複数個所に副部２４を設
けているため、各個所に於いてサツシ枠４と固定
片１１とを結合すれば、サツシ枠４はコンクリー
トパネル１の開口部内側にしつかりと固定され
る。各個所に於ける構造は、上枠或は下枠の場合
でも、図示の竪枠の場合と上下左右の方向が異な
るだけで全く同様である。

次に、第３図は本考案の第二実施例を示してい
る。本実施例の場合、固定片の屋外側の第一の支
承壁１５の高さを、屋内側の第二の支承壁１６の
高さよりも低く、支持片１２の屋内側の第二の支
承壁１８の高さを屋外側の第一の支承壁の高さよ
りも低く、それぞれ形成し、上記第二の支承壁１
８をサツシ枠４に沿つて移動自在としなくても、
予め固定片１１を固定した窓開口１０の内側にサ
ツシ枠４を建て込めるようにしている。このた
め、支持片１２は前述の第一実施例の場合と異な
り一体とされている。更にサツシ枠４の外周に第
一、第二の両支持壁２５，１８を一体に形成して
も良い。但し、このように第二の支持壁１８を不
動にした場合、第二の支持壁１８のねじ孔２９と
第二の支承壁１６のねじ通路とが整合するよう
に、固定片１１を固定する位置を正確に定める必
要がある。

ｃ 考案の効果 本考案のコンクリートパネル製建物壁の開口部
にサツシ枠を装着する器具は、以上に述べた通り
構成され作用するが、現場に於いて溶接作業を行
なう必要がないため、建設作業を容易かつ迅速に
行なえるようになり、現場の作業者にも嫌われる
ことがなくなる。

【図面の簡単な説明】

第１〜２図は本考案のコンクリートパネル製建
物壁の開口部にサツシ枠を装着する器具の第一実
施例を示しており、第１図はサツシ枠を装着する
状態を示す側面図、第２図は装着器具の分解斜視
図、第３図は第二実施例を示す第１図同様の図、
第４〜６図は従来の装着構造の３例を示すそれぞ
れ縦断面図である。 １……コンクリートパネル、２……鉄筋、３…
…アングル材、４……サツシ枠、５……ブラケツ
ト、６……アンカ、７……鋼板、８……連結片、
９……装着器具、１０……窓開口、１１……固定
片、１２……支持片、１３……円孔、１４……固
定板部、１５……第一の支承壁、１６……第二の
支承壁、１７……溝、１８……第二の支持壁、１
９……ねじ、２０……切欠き、２１……突条、２
２……係合溝、２３……主部、２４……副部、２
５……第一の支持壁、２６……突条、２７……係
合溝、２８……摺動板部、２９……ねじ孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軽量気泡コンクリートパネル製建物壁に形成し
   た窓開口の内周面にアンカにより固定される固定
   片と、上記窓開口の内側に建て込まれるサツシ枠
   の外周部分に装着する支持片とから成り、この支
   持片を上記固定片にねじ止め固定するコンクリー
   トパネル製建物壁の開口部にサツシ枠を装着する
   器具であつて、上記固定片は、上記開口部内周面
   に外側面を当接させる固定板部の内側面の屋外側
   と屋内側とに第一、第二の支承壁を、互いに平行
   にかつ間隔をあけて形成し、屋外側の第一の支承
   壁の屋外側面は、サツシ枠と平行な複数の溝を有
   する凹凸面とし、屋内側の第二の支承壁にはねじ
   を頭部を除いて挿通自在なねじ通路を形成したも
   のであり、支持片は、サツシ枠の外周部分に装着
   自在な基部の外周側面の屋外側と屋内側とに第
   一、第二の支持壁を、互いに平行にかつ前記第
   一、第二の支承壁よりも少しだけ小さい間隔をあ
   けて形成し、屋外側の第一の支持壁の屋内側面で
   前記第一の支承壁の屋外側面と対向する部分に
   は、この屋外側面の溝と係合する突条を形成し、
   屋内側の第二の支持壁には、前記第二の支承壁の
   ねじ通路を挿通したねじを螺合させるねじ孔を設
   けたものであるコンクリートパネル製建物壁の開
   口部にサツシ枠を装着する器具。