JP3143805B2 - パネルの高さ調整構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はパネルの高さ調整構造
に関するもので、更に詳細には、例えばトイレブースや
間仕切等を構成するパネルの高さ調整構造に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】一般に、トイレブースは、鋼板製パネル
を床面に敷設された幅木の上に設置すると共に、これら
パネル同士を直状あるいは交差状に連結することによっ
て構成されている。このように構成されるトイレブース
を組立てるには、従来では、幅木に取付けられる高さ
調整部材を予め高さ調整した後に、幅木上にパネルを取
付ける構造（実開昭５３−２５７２０号公報、実開昭５
８−１８１８１８号公報参照）、幅木上にパネルを取
付けた後に、幅木とパネルとの間に介在された高さ調整
部材を調整してパネルの高さ調整を行えるようにした構
造（実開昭５８−７９６１６号公報、実開昭６２−１８
９４０９号公報参照）、あるいはパネルの取付の際に
パネルの高さ調整を同時に行えるようにした構造（実開
昭５９−６３１２１号公報参照）等が知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高さ
調整部材を高さ調整した後にパネルを取付ける構造のも
のにおいては、高さ調整をパネル取付前に精度よく行わ
なければならず、高さ寸法精度又は高さ調整部材の寸法
精度を吸収することができないという問題があった。ま
た、パネルの高さが合わない場合には、一度取付けたパ
ネルを取外して再度高さ調整しなければならないという
煩雑さがあった。また、パネル取付後に、パネルの高
さ調整を行える構造のものにおいては、パネルと幅木と
の間の狭い隙間での高さ調整作業を行わなければならな
いため、調整作業が面倒であるという問題があった。ま
た、高さ調整部が外部に露出するので、パネル取付後の
外観の体裁が悪いという問題がある。この問題を解決す
るために、高さ調整部を外部から被覆する手段が考えら
れるが、そのためにカバー等の被覆部材を用意しなけれ
ばならず、多くの部材が必要になるという問題がある。
また、パネルの取付と高さ調整とを同時に行えるよう
にした実開昭５９−６３１２１号公報に記載の構造のも
のにおいては、高さ調整部材を別途に設ける必要がある
ため、構成部材が多くなると共に、取付に手間がかかる
という問題があった。

【０００４】更に、上記従来の構造のものにおいては、
いずれもパネルの高さ調整のみが可能であり、パネルの
横方向すなわちパネルの長手方向の調整ができないとい
う問題もあった。

【０００５】この発明は上記事情に鑑みなされたもの
で、パネルの取付と同時にパネルの高さ調整を可能に
し、高さ調整部の保持を確実にするパネルの高さ調整構
造を提供することを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明のパネルの高さ調整構造は、床面に敷設さ
れる幅木に固定されるアジャストボルト受けと、上記幅
木上に立設される略縦長矩形状のパネルの長手方向側端
面から水平状に突設されるアジャストボルト取付板と、
上記アジャストボルト取付板に設けられたねじ孔にねじ
込まれて下方突出部が上記アジャストボルト受けに当接
するアジャストボルトと、上記アジャストボルトを貫挿
するガイド孔と、上記パネルの長手方向に沿う長孔を有
するアジャストボルト保持板と、上記アジャストボルト
保持板の長孔内を貫通して上記アジャストボルト受けに
設けられたねじ孔にねじ結合する止めねじとで構成して
なるものである。

【０００７】この発明において、上記アジャストボルト
取付板は、パネルの長手方向側端面から水平状に突設さ
れていれば、パネルの長手方向側端面は平坦状であって
もよいが、好ましくはパネルの長手方向側端面に、アジ
ャストボルト取付板を内装する開口部を形成してなる方
がよい。

【０００８】

【作用】上記のように構成されるこの発明のパネルの高
さ調整構造によれば、幅木にアジャストボルト受けを固
定し、パネルに突設されたアジャストボルト取付板に設
けられたねじ孔にねじ込まれるアジャストボルトをアジ
ャストボルト受けに当接することにより、パネルの取付
と同時にパネルの高さ調整を行うことができる。また、
アジャストボルト保持板の長孔を貫通する止めねじをア
ジャストボルト受けのねじ孔にねじ止めすることによ
り、アジャストボルトの横ずれ（前後及び左右方向の移
動、倒れ）を防止することができる。

【０００９】また、パネルの長手方向側端面に、アジャ
ストボルト取付板を内装する開口部を形成することによ
り、パネルの高さ調整部を外部から被覆することができ
る。

【００１０】

【実施例】以下に、この発明の実施例を図面に基いて詳
細に説明する。この実施例では、パネルを用いてトイレ
ブースを形成する場合について説明する。

【００１１】図１はこの発明のパネルの高さ調整構造を
有するトイレブース全体の斜視図、図２はパネル取付前
の幅木の敷設状態の斜視図が示されている。

【００１２】トイレブースは、建物内の直角な２つの壁
面１のコーナー部を利用して設けられる３連式のトイレ
ブースユニット２にて形成されている。この場合、トイ
レブースユニット２は、床面３に沿って配設された側パ
ネル用幅木４ａ、隔てパネル用幅木４ｂ及び前パネル用
幅木４ｃの上方に立設されるそれぞれ略縦長矩形状の側
パネル５、隔てパネル６及び前パネル７とで区画形成さ
れており、前パネル７に設けられた出入口８に扉９が開
閉可能に装着されている。なお、側パネル５、隔てパネ
ル６及び前パネル７の上端はアルミニウム合金製押出形
材にて形成される頭継ぎ２ａによって連結されている。
なお、トイレブースユニット２内には、例えば衛生陶器
Ａと連結するトイレユニットＢあるいは清掃用のＳＫユ
ニットＣが配設される。

【００１３】上記隔てパネル６の長手方向側つまり高さ
方向側の下部には、図３ないし図５に示すように、高さ
調節可能なこの発明の高さ調整構造である下部取付機構
１０が設けられている。なお、隔てパネル６と前パネル
７の上部には、図３に示すような上部連結機構２０が設
けられている。

【００１４】上記下部取付機構１０は、断面Ｕ字状の隔
てパネル用幅木４ｂ内に嵌挿固定されるアジャストボル
ト受け１１と、隔てパネル６の長手方向側（高さ方向
側）の下部端面から水平に突設されるねじ孔１２（具体
的にはナットにて形成される）を有するアジャストボル
ト取付板１３と、このアジャストボルト取付板１３のね
じ孔すなわちナット１２にねじ込まれて下方に突出する
高さ調節用のアジャストボルト１４とで高さ調節部が構
成されている。この場合、アジャストボルト受け１１
は、予め工場において隔てパネル用幅木４ｂに溶接によ
って固定されている。また、アジャストボルト１４の上
端には六角穴１４ａが設けられている。また、図４に示
すように、アジャストボルト取付板１３は、隔てパネル
６の長手方向側端面に形成される開口部６ａ内に内装さ
れて、外部から被覆されている。この場合、開口部６ａ
は、隔てパネル６の側端に沿って固着される外方に向か
って開口するチャンネル状部材６Ａによって形成されて
いる。なお、隔てパネル用幅木４ｂの小口側端面には前
パネル用幅木４ｃが固定ボルト１１ｂによって固定され
て、前パネル用幅木４ｃのがたつきが防止されている。

【００１５】また、下部取付機構１０には、アジャスト
ボルト受け１１とアジャストボルト取付板１３との間に
介在されてアジャストボルト１４の横方向のずれを防止
すべく保持するアジャストボルト保持部材１５が設けら
れている。このアジャストボルト保持部材１５は、アジ
ャストボルト１４を貫挿するガイド孔１６と隔てパネル
６の長手方向に沿う長孔１７とを有するアジャストボル
ト保持板１８と、このアジャストボルト保持板１８の長
孔１７を貫通してアジャストボルト受け１１の上面に設
けられたねじ孔１１ａにねじ結合する止めねじ１９とで
構成されている。

【００１６】上記のように構成される下部取付機構１０
によれば、隔てパネル用幅木４ｂ上に隔てパネル６を設
置する際、開口部６ａから図示しない六角レンチをアジ
ャストボルト１４の六角穴１４ａ内に差込んで、アジャ
ストボルト１４を回転することによって、アジャストボ
ルト保持板１８のガイド孔１６を貫通するアジャストボ
ルト１４をアジャストボルト受け１１に押し当てて隔て
パネル６の高さ調節を行うことができる。したがって、
アジャストボルト１４の六角穴１４ａ内に六角レンチを
差込んでアジャストボルト１４を回転することができる
ので、斜め上方からアジャストボルトを回転して高さ調
整を容易にすることができる。そして、アジャストボル
ト保持板１８の長孔１７を貫通する止めねじ１９をアジ
ャストボルト受け１１のねじ孔１１ａにねじ締めするこ
とによってアジャストボルト１４の横方向のずれを防止
することができる。

【００１７】なお、上部連結機構２０は、隔てパネル６
の一方の連結側端面に逆Ｌ字状に固定される締結具２１
と、前パネル７の連結側面、あるいは隔てパネル６の他
方の連結側端面にボルト２３によって装着されると共に
締結具２１に対して隔てパネル６の長手方向に移動調節
可能に載置するＬ字状の締結具２２と、両締結具２１，
２２を固定する固定ボルト２４とで構成されている。な
お、ボルト２３は前パネル７及び隔てパネル６の他方の
連結側端面に埋設されるナット２５にねじ結合されてい
る。

【００１８】上記説明では、隔てパネル６と前パネル７
との連結部及び隔てパネル６同士の連結部について述べ
たが、側パネル５と前パネル７との連結及び側パネル５
同士の連結部も同様の構造とすることができる。また、
上記側パネル用幅木４ａ、隔てパネル用幅木４ｂ及び前
パネル用幅木４ｃは、いずれも断面Ｕ字状のステンレス
鋼製部材にて形成されており、アンカーボルト４０をも
って床面３に固定されている（図２ないし図５参照）。
また、側パネル５、隔てパネル６及び前パネル７は、い
ずれもパーティクルボード５０の表面にメラミン樹脂製
表面板５１を同時圧縮成形した化粧パネルにて形成され
ている（図３及び図４参照）。

【００１９】次に、この発明のパネルの高さ調整構造を
有するトイレブースの組立手順について説明する。

【００２０】まず、図２に示すように、トイレルームの
所定位置に、側パネル用幅木４ａ、隔てパネル用幅木４
ｂ及び前パネル用幅木４ｃをアンカーボルト４０をもっ
て床面３に敷設固定する。次に、側パネル５と隔てパネ
ルを側パネル用幅木４ａ及び隔てパネル用幅木４ｂ上に
設置する。この際、側パネル５，５同士、あるいは隔て
パネル６，６同士を連結する場合には、壁面側の側パネ
ル５あるいは隔てパネル６（以下に隔てパネル６の場合
について説明する）を隔てパネル用幅木４ｂの上に載置
した後、下部取付機構１０によって隔てパネル６の高さ
調整を行う。すなわち、アジャストボルト１４によって
隔てパネル６の高さ寸法を調整すると共に、アジャスト
ボルト保持板１８の長孔１７を貫通する止めねじ１９を
アジャストボルト受け１１のねじ孔１１ａにねじ締めす
ることによって壁面側隔てパネル６を隔てパネル用幅木
４ｂ上に設置固定する。このとき、隔てパネル６の他端
部は図示しない固定具を介して隔てパネル用幅木４ｂに
固定される。このようにして固定された壁面側隔てパネ
ル６の連結部に前パネル側隔てパネル６の連結部を位置
させて締結具２１と締結具２２を固定ボルト２４にて仮
固定する。

【００２１】次に、壁面側隔てパネル６に仮固定された
前パネル側隔てパネル６の前パネル側連結部において、
下部取付機構１０のアジャストボルト１４によって隔て
パネル６の高さ寸法を調整すると共に、アジャストボル
ト保持板１８の長孔１７を貫通する止めねじ１９をアジ
ャストボルト受け１１のねじ孔１１ａにねじ締めするこ
とによって前パネル側隔てパネル６を隔てパネル用幅木
４ｂ上に設置固定する。このとき、隔てパネル６，６同
士の仮固定部の固定ボルト２４を本締めして連結固定す
る。また、前パネル側隔てパネル６の壁面側端部は固定
具６０をもって隔てパネル用幅木４ｂに固定されている
（図５参照）。

【００２２】上記のようにして各トイレブースユニット
２の側パネル５、隔てパネル６及び前パネル７をそれぞ
れ側パネル用幅木４ａ、隔てパネル用幅木４ｂ及び前パ
ネル用幅木４ｃ上に設置した後、各パネル５〜７の上端
部に頭継ぎ２ａを取付け、そして、前パネルに設けられ
た出入口８に扉９を装着して組立作業は完了する。

【００２３】なお、上記実施例では、この発明のパネル
の高さ調整構造をトイレブースに適用した場合について
説明したが、必ずしもトイレブースに限定されるもので
はなく、トイレブース以外の間仕切システムのパネルの
取付にも適用できることは勿論である。

【００２４】

【発明の効果】以上に説明したように、この発明のパネ
ルの高さ調整構造によれば、上記のように構成されてい
るので、以下のような効果が得られる。

【００２５】１）請求項１記載のパネルの高さ調整構造
によれば、パネルに突設されたアジャストボルト取付板
にねじ込まれるアジャストボルトを幅木に固定されたア
ジャストボルト受けに当接してパネルの高さ調整を行う
ので、パネルの取付と同時にパネルの高さ調整を行うこ
とができ、しかも、アジャストボルトを貫挿するアジャ
ストボルト保持板を止めねじによってアジャストボルト
受けに固定するので、アジャストボルトの前後及び左右
方向のずれや倒れを防止することができる。

【００２６】２）請求項２記載のパネルの高さ調整構造
によれば、パネルの長手方向側端面に、アジャストボル
ト取付板を内装する開口部を形成してなるので、パネル
の高さ調整部を外部から被覆することができると共に、
取付後のパネルの意匠価値を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のパネルの高さ調整構造を有するトイ
レユニットの全体を示す斜視図である。

【図２】パネル取付前の幅木の敷設状態を示す斜視図で
ある。

【図３】この発明のパネルの高さ調整構造を示す断面図
である。

【図４】この発明におけるパネルの高さ調整構造を示す
分解斜視図である。

【図５】この発明のパネルの高さ調整構造の別の実施例
を示す断面図である。

【符号の説明】

３ 床面 ４ａ，４ｂ，４ｃ 幅木 ５ 側パネル ６ 隔てパネル ６ａ 開口部 ７ 前パネル １１ アジャストボルト受け １１ａ ねじ孔 １４ アジャストボルト １６ ガイド孔 １７ 長孔 １８ アジャストボルト保持板 １９ 止めねじ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−138145（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−20707（ＪＰ，Ｕ) 実開 平２−56213（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭53−153326（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭51−19521（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E04B 2/82 511 E04F 19/04 101 E04H 1/12 301

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 床面に敷設される幅木に固定されるアジ
   ャストボルト受けと、 上記幅木上に立設される略縦長矩形状のパネルの長手方
   向側端面から水平状に突設されるアジャストボルト取付
   板と、 上記アジャストボルト取付板に設けられたねじ孔にねじ
   込まれて下方突出部が上記アジャストボルト受けに当接
   するアジャストボルトと、 上記アジャストボルトを貫挿するガイド孔と、上記パネ
   ルの長手方向に沿う長孔を有するアジャストボルト保持
   板と、 上記アジャストボルト保持板の長孔内を貫通して上記ア
   ジャストボルト受けに設けられたねじ孔にねじ結合する
   止めねじとで構成してなることを特徴とするパネルの高
   さ調整構造。
2. 【請求項２】 パネルの長手方向側端面に、アジャスト
   ボルト取付板を内装する開口部を形成してなることを特
   徴とする請求項１記載のパネルの高さ調整構造。