JPH0859556A - エステル誘導体およびそれを含有する液晶組成物 - Google Patents

エステル誘導体およびそれを含有する液晶組成物

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JPH0859556A
JPH0859556A JP6191506A JP19150694A JPH0859556A JP H0859556 A JPH0859556 A JP H0859556A JP 6191506 A JP6191506 A JP 6191506A JP 19150694 A JP19150694 A JP 19150694A JP H0859556 A JPH0859556 A JP H0859556A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式(I)で表されるエステル誘導体、お
よびこのエステル誘導体を含有する液晶組成物。 【化1】 (ただし、Xはフッ素原子またはシアノ基またはメチル
基を示し、Yはフッ素原子または水素原子であるものと
する。) 【効果】 本発明のエステル誘導体は、液晶組成物に混
合することにより、液晶組成物のN−I点を高くし、複
屈折を大きくし、Vthを低くすることができる。また、
種々の液晶化合物との充分な相互溶解性が得られ、液晶
組成物の構成物質として多くの液晶材料と組み合わせて
使用することができ、液晶組成物の特性改良に有用なも
のである。そのため、本発明のエステル誘導体を含有す
る液晶組成物は液晶材料として優れた特性を有し、また
この液晶組成物を搭載した液晶表示装置は、温度範囲が
広く、広い視野角を持ち、低い駆動電圧で動作させるこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶材料として有用なエ
ステル誘導体に関し、さらにこのエステル誘導体を含有
する液晶組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、時計、電卓をはじめワ
ープロ、テレビ等に広く利用されている。これらの液晶
表示装置の中で特に多く使用されているのは、液晶材料
の光学的異方性および誘電率異方性を利用したTN型
(ねじれネマティック型)液晶表示装置である。
【0003】現在TN型などの液晶表示装置に用いられ
る液晶材料に要求される特性としては、液晶温度範囲が
広いこと、電気光学的に速い応答速度を得るために粘度
が小さいこと、広い視野角範囲、高いコントラストを得
るために適切な複屈折(△n)をもつこと、低い駆動電
圧を得るために誘電率異方性(△ε)が大きいこと、化
学的および光学的に安定であることなどが挙げられる。
【0004】実用されている液晶組成物は通常、室温付
近に液晶相を有する化合物と、室温より高い温度領域に
液晶相を有する化合物とを混合して調整される。液晶表
示装置が屋外で使用し得る為には−40℃〜90℃の温
度範囲で安定に存在しなければならないし、また誘電率
異方性、屈折率異方性の温度依存性、つまりN−I点
(ネマティック−等方相転移温度)付近では急激な変化
が起こるので、N−I点の高い液晶材料が必要となる。
【0005】また、広視野角、高コントラストを得るた
めには、液晶層のリターデーション△n・d(△nは液
晶材料の複屈折、dは液晶層の厚み)を最適化する必要
がある。しかし、実用に使用される液晶表示装置では液
晶層の厚みdが、ある限定された範囲で設定されてお
り、かつ応答速度を速くすることが要求されているため
に、液晶層の厚みdは薄くなる傾向が強まっている。よ
って、複屈折△nが大きな液晶材料が必要とされてい
る。
【0006】駆動電圧はしきい値電圧Vthの値に依存
し、しきい値電圧Vthは誘電率の異方性△εの平方根に
反比例する。そのため誘電率の異方性△εが正の液晶材
料を用いるとしきい値電圧Vthを低い値に抑えることが
できる。
【0007】これまで、種々の液晶化合物が開発され、
使用されているが、以上のような特性を全て満足する単
一の液晶化合物は未だに見い出されていない。そのため
にいろいろな特性をもった数種の液晶化合物を混合した
り、あるいは非液晶化合物を混合したりして実用に供し
ているのが現状であるが、やはり、充分満足できるもの
ではない。
【0008】また、この様な液晶化合物に、エステル誘
導体を混合して用いる例もある。エステル誘導体には種
々のものがあるが、液晶の添加物として用いられるもの
には、2−ブテン酸−(4−フルオロフェニル)エステ
ル、2−ブテン酸−(4−シアノフェニル)エステル等
がある。しかし、4−(2,4−ヘキサジエン酸)安息
香酸のフェニルエステル化合物は知られていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上示したように、こ
れまで、液晶組成物については種々検討されているが、
未だ完全と言われるものは見いだされていない。また、
液晶組成物に用いられる化合物は、いずれもその特性に
一長一短があり、さらに液晶表示装置によって、前記要
求される特性の度合いも異なるため、目的に応じた特性
を与える新たな液晶化合物および、液晶添加物の出現が
待ち望まれている。そこで本発明の目的は、液晶組成物
に混合することによって、液晶組成物のN−I点を高く
し、複屈折△nを大きくし、かつしきい値電圧Vthを小
さくすることのできる新規なエステル誘導体を提供する
ことである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のエステル誘導体
は一般式(I)で表されるものである。
【0011】
【化2】
【0012】(ただし、Xはフッ素原子またはシアノ基
またはメチル基を示し、Yはフッ素原子または水素原子
であるものとする。)
【0013】また、本発明の液晶組成物は、一般式
(I)で表されるエステル誘導体を少なくとも一種含有
するものである。
【0014】本発明のエステル誘導体において置換基と
して与えられているフッ素原子の代わりに、塩素原子、
あるいは臭素原子を用いたものでもよいが、粘度及び比
抵抗の観点からフッ素原子のものが好ましい。
【0015】本発明のエステル誘導体の製造方法につい
て、化3に例をあげて説明する。なお式中X、Yは前記
した意味を示す。まず、カルボン酸に塩化チオニル、五
酸化リン等のハロゲン化剤を作用させて酸塩化物(b)
を製造する。次に酸塩化物(b)と4−ヒドロキシ安息
香酸(c)とをピリジン等の不活性有機溶媒中で反応さ
せた後、反応混合物を水洗、乾燥、再結晶させ、4−置
換安息香酸(d)を作製する。さらにこの4−置換安息
香酸(d)に塩化チオニル、五酸化リン等のハロゲン化
剤を作用させて酸塩化物(e)を製造する。そして、酸
塩化物(e)と置換フェノール(f)とをピリジン等の
不活性有機溶媒中で反応させた後、反応混合物を水洗、
乾燥、再結晶することにより一般式(I)で表されるエ
ステル誘導体を得ることができる。
【0016】
【化3】
【0017】本発明のエステル誘導体は、液晶組成物に
混合することによって、液晶組成物のN−I点を高く
し、複屈折△nを大きくし、かつしきい値電圧Vthを小
さくすることのできる優れた化合物である。
【0018】本発明のエステル誘導体は多くの液晶化合
物と混合し、液晶組成物を製造することができる。本発
明のエステル誘導体と混合可能な液晶化合物としてはエ
ステル系、シクロヘキシルフェニル系、ビフェニル系、
ピリミジン系、ジオキサン系、トラン系などが挙げられ
る。更に、これらの液晶化合物を複数混合したものに本
発明のエステル誘導体を混合して用いることもできる。
【0019】
【作用】本発明のエステル誘導体は、通常の液晶化合物
と比べて、分子の棒状性があるため液晶性が優れてお
り、そのため液晶化合物に混合することにより、液晶組
成物のN−I点を高くすることができる。また、末端基
に二重結合とエステル結合を持つために共役系が存在
し、なおかつその存在領域が分子長軸方向に長いので、
液晶化合物に混合することによって、液晶組成物の複屈
折を大きくすることができ、同時に誘電率の異方性も大
きくするので、Vthを低くすることができる。
【0020】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。また、本実施例におけるしきい値電圧Vthは、液晶
組成物をセル厚9μmのTN型液晶表示装置に搭載して
測定した値である。
【0021】(実施例1)2,4−ヘキサジエン酸1
1.2gに塩化チオニル11.8gを加え、還流下で2
時間反応させ、反応終了後減圧下で塩化チオニルを留去
し、その後20mmHgで減圧蒸留し、2,4−ヘキサ
ジエン酸塩化物10.4gを得た。これをトルエン50
mlに溶解させ、4−ヒドロキシ安息香酸11.0gと
ピリジン100gを加え、40℃で3時間反応させた。
反応終了後100mlの水を加えて有機層を分離し、希
塩酸、次いで希アルカリ水溶液の順で洗浄し、さらに飽
和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを加えて乾
燥させた。次にこの有機層を濾過し、濾液から溶媒を減
圧留去した。得られた反応生成物をエタノールから再結
晶し、4−(2,4−ヘキサジエン酸)安息香酸13.
9gを得た。さらに塩化チオニル7.1gを加え、還流
下で2時間反応させ、反応終了後減圧下で塩化チオニル
を留去し、4−(2,4−ヘキサジエン酸)安息香酸塩
化物10.0gを得た。これをトルエン50mlに溶解
させ、4−シアノフェノール4.8gとピリジン100
gを加え40℃で3時間反応させた。反応終了後100
mlの水を加えて有機層を分離し、希塩酸、次いで希ア
ルカリ水溶液の順で洗浄し、さらに飽和食塩水で洗浄し
た後、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥させた。次にこ
の有機層を濾過し、濾液から溶媒を減圧留去した。得ら
れた反応生成物をエタノールから再結晶し、化4記載の
化合物である4−(2,4−ヘキサジエン酸)安息香酸
−(4−シアノフェニル)エステル6.7gを得た。こ
の化合物はネマティック液晶で、C−N点(結晶−ネマ
ティック相転移温度)が141.0℃、N−I点が22
7.5℃であった。また、この化合物の赤外線吸収スペ
クトルを図1に示す。
【0022】
【化4】
【0023】(実施例2)4−シアノフェノール4.8
gの代わりに4−メチルフェノール4.3gを使用する
以外は実施例1と同様の方法で化5記載の化合物である
4−(2,4−ヘキサジエン酸)安息香酸−(4−メチ
ルフェニル)エステル6.4gを得た。この化合物はネ
マティック液晶で、C−N点が108.9℃、N−I点
が199.2℃であった。また、この化合物の赤外線吸
収スペクトルを図2に示す。
【0024】
【化5】
【0025】(実施例3)4−シアノフェノール4.8
gの代わりに4−フルオロフェノール4.5gを使用す
る以外は実施例1と同様の方法で化6記載の化合物であ
る4−(2,4−ヘキサジエン酸)安息香酸−(4−フ
ルオロフェニル)エステル6.5gを得た。この化合物
はネマティック液晶で、C−N点が115.6℃、N−
I点が162.7℃であった。また、この化合物の赤外
線吸収スペクトルを図3に示す。
【0026】
【化6】
【0027】(実施例4)4−シアノフェノール4.8
gの代わりに3,4−ジフルオロフェノール5.2gを
使用する以外は実施例1と同様の方法で化7記載の化合
物である4−(2,4−ヘキサジエン酸)安息香酸−
(3,4−ジフルオロフェニル)エステル6.9gを得
た。この化合物はネマティック液晶で、C−N点が10
5.9℃、N−I点が143.2℃であった。また、こ
の化合物の赤外線吸収スペクトルを図4に示す。
【0028】
【化7】
【0029】(実施例5)市販のネマティック液晶組成
物ZLI−1132(メルク社製)95重量部に、実施
例1で製造した本発明のエステル誘導体を5重量部加
え、液晶組成物を作製した。その液晶組成物の特性を表
1に示す。
【0030】ここで、ZLI−1132のみからなる液
晶組成物の特性は、N−I点72℃、Δn0.138、
粘度27.9cP(センチポアズ)、Vth1.73Vで
あった。
【0031】
【表1】
【0032】(実施例6〜8)前記ZLI−1132を
90重量部に、実施例2〜4で製造した本発明のエステ
ル誘導体をそれぞれ別々に10重量部ずつ加え、3種類
の液晶組成物を作製した。その液晶組成物の特性を表1
に併せて示す。
【0033】表1から明らかなように、本発明のエステ
ル誘導体は、それを含有する液晶組成物のN−I点を高
くするとともに、複屈折△nを大きくし、かつしきい値
電圧Vthを低くするものである。
【0034】
【発明の効果】本発明のエステル誘導体は、液晶組成物
に混合することによって、液晶組成物のN−I点を高く
し、また複屈折を大きくし、しきい値電圧を低くするこ
とができる。そのため、本発明のエステル誘導体を含有
する液晶組成物は液晶材料として優れた特性を有し、ま
たこの液晶組成物を搭載した液晶表示装置は、温度範囲
が広く、広い視野角を持ち、低い駆動電圧で動作させる
ことができる。さらに、本発明のエステル誘導体は種々
の化合物との充分な相互溶解性が得られ、液晶組成物の
構成物質として多くの液晶材料と組み合わせて使用する
ことができ、液晶組成物の特性改良に有用なものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエステル誘導体の赤外線吸収スペクト
ルを表す図である。
【図2】本発明のエステル誘導体の赤外線吸収スペクト
ルを表す図である。
【図3】本発明のエステル誘導体の赤外線吸収スペクト
ルを表す図である。
【図4】本発明のエステル誘導体の赤外線吸収スペクト
ルを表す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)で表されるエステル誘導
    体。 【化1】 (ただし、Xはフッ素原子またはシアノ基またはメチル
    基を示し、Yはフッ素原子または水素原子であるものと
    する。)
  2. 【請求項2】 請求項1記載のエステル誘導体を少なく
    とも一種含有する液晶組成物。
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