JPH0853323A - 活性剤前駆体を含有する化粧または皮膚用の安定化した組成物、およびその使用方法 - Google Patents

活性剤前駆体を含有する化粧または皮膚用の安定化した組成物、およびその使用方法

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JPH0853323A
JPH0853323A JP7013168A JP1316895A JPH0853323A JP H0853323 A JPH0853323 A JP H0853323A JP 7013168 A JP7013168 A JP 7013168A JP 1316895 A JP1316895 A JP 1316895A JP H0853323 A JPH0853323 A JP H0853323A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 頭皮を含む皮膚と接触して、同じ活性剤を放
出することが可能ないくつかの化合物を含有する、化粧
または皮膚病のための安定化した組成物、およびその使
用方法を提供する。 【構成】 皮膚と接触して活性剤を放出する安定化組成
物であって、少なくとも一つの第一の特異的な酵素反応
と一つの第二の異なる特異的な酵素反応とによって同一
の活性剤を上記第一の酵素反応と第二の酵素反応とを別
々に作用させた場合の速度の合計より速い速度で同時に
放出させる、少なくとも一つの第一の活性剤前駆体と一
つの第二の活性剤前駆体とを含有してなり、この第一の
前駆体が活性剤の単糖類の誘導体および活性剤のアミド
から選択されることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、頭皮を含む皮膚と接触
して、同じ活性剤を放出することが可能ないくつかの化
合物を含有する、化粧または皮膚病のための安定化した
組成物に関する。本発明に用いられる活性剤は、生物変
換可能な前駆体が存在する、化粧および/または皮膚病
(皮膚科学)の分野において使用される全ての活性剤で
ある。この組成物は、ヒトの身体および/または顔に適
用することができる。
【0002】
【従来の技術】活性剤として、特に言及してもよいもの
は、ビタミン、リポペプチド、リポアミノ酸、α-およ
びβ-ヒドロキシ酸(乳酸、グリコール酸、グルクロン
酸)、フラボノイド(例えばクエルセチンまたはルチ
ン)のような抗酸化剤、茶のような植物からの天然抽出
物を構成するカテキン、およびポリオール(グリセロー
ル)のような水和剤である。
【0003】実際には、特に、過重量、皮膚の老化、乾
性肌、皮膚の色素沈着、ざ瘡およびある皮膚病(乾癬)
に対する特別な処置を提供する目的で、あるいは特に皮
膚の瘢痕化および/または再形成を促進する目的で、化
粧および/または皮膚病のための組成物に他の活性剤の
みならずビタミンA、B、C、D、EおよびFのような
ビタミンを含有せしめることに興味が高まっている。
【0004】特に、十分な量のアスコルビン酸またはビ
タミンCを皮膚につけることにより、結合組織、特にコ
ラーゲンの成長を刺激することが可能である。その上、
アスコルビン酸は、紫外線または汚染のような有害な外
部からの物質、あるいは薬効のある生産物、アルコール
またはタバコの悪影響に対する皮膚組織の防御を強化す
ることができる。
【0005】さらに、ビタミンEのようなトコフェロー
ルは、細胞膜リン脂質に関して抗酸化特性を有するこ
と、および抗遊離基(AFR)特性を有することが知ら
れている("Radicaux libres et Vitamine E" [遊離基
とビタミンE] J.B.CHAZAN and M.SZULC -Cah.Natr. D
iet. 1987 6 XXII -1- page 66-76を参照)。
【0006】加えて、ビタミンAまたはレチノール、そ
してさらにヒドロキシ酸は、老化に抗するものであるこ
とが知られている。その上、ビタミンAは、皮膚を瘢痕
化するものであることが知られている。
【0007】不運なことに、これらの活性剤のほとんど
(ビタミン、抗酸化剤、ヒドロキシ酸等)は、溶液中で
不安定で、外的要因に敏感に反応して、これらの溶液が
効果のない状態になり、所望の効能が得られなくなる。
【0008】特に、文献"Sciences Pharmaceutiques Re
vue" page 281-286に記載された、BR.HAJRATWALAによ
る、"Stability of ascorbic acid"は、アスコルビン酸
が、水性媒体、酸素が存在する媒体、および酸素欠如の
媒体において不安定な特性を有し、特に酸素が存在する
媒体中で著しく不安定であることを教示している。この
刊行物は、特に、アスコルビン酸を含む溶液のpHを変
化させ、光および温度を変化させた場合、さらに、界面
活性剤、溶剤、および触媒(特に金属触媒)のような化
合物が存在する場合におけるアスコルビン酸の挙動を解
説している。
【0009】しかして、アスコルビン酸を安定化させる
ために種々の方法が考察された。
【0010】これらの方法のうち、日本の特許JP89
/115、558およびJP83/129、892は、
特にリン酸化、硫酸化、アルキル化された誘導体を用い
てエステル化および/またはエーテル化することによっ
て、アスコルビン酸の反応部位、すなわちヒドロキシ部
位をブロッキングすることと、ビタミンCの役割を果た
すように、化粧用組成物にこれらの誘導体を使用する方
法とを教示している。
【0011】しかしながら、上記の誘導体は、化合して
いないビタミンC(すなわち付加的な基を持たないも
の)より効果がずっと少ない。
【0012】このために、ビタミンC前駆体の使用につ
いて考察されている。
【0013】しかして、ヨーロッパ特許EP487、4
04は、皮膚に接触させられると、アスコルビン酸を放
出することができる、皮膚病用の組成物におけるグルコ
シル誘導体の使用を開示している。
【0014】さらに、アスコルビン酸誘導体およびトコ
フェロール誘導体のリン酸を用いたエステル化(KAKUJI
TOJOとAE-RIC. LEEによる、J. Cosmet. Chem., 38, pa
ges333-339に記載された、"Bioconversion of a vitami
n to vitamins C and E inskin"を参照)、および組成
物におけるその使用方法が考察されている。
【0015】しかしながら、このジエステルは、アスコ
ルビン酸に関しては、化合していないアスコルビン酸よ
り低い効能を示し、ビタミンEに関しては、化合してい
ないビタミンEより劣る抗酸化活性を示している。
【0016】これと同じ問題は、どんな種類の活性剤で
も見られる。
【0017】さらに、EP-A-506、961から、同
じ活性剤のいくつかの誘導体を化粧用組成物に用いるこ
とが知られているが、この文献には、二つの異なる酵素
機構によって、皮膚上でこれらの誘導体が酵素分解され
ることは教示されていない。さらに、記載された組み合
わせ(エステルとリン酸)の効能が、まだ不十分であ
る。
【0018】従って、化合していないビタミンまたは活
性剤の優れた安定性はもちろん、これらビタミンまたは
活性剤の組成物と同じ効能を達成する、ビタミン誘導体
または他の活性剤の誘導体を含有する化粧および/また
は皮膚病用の組成物は、依然として開発する必要があっ
た。
【0019】
【課題を解決するための手段】出願人は、驚くべきこと
に、少なくとも一つの第一の特異的酵素反応と第二の特
異的酵素反応(これらは互いに異なる特異的酵素反応)
によって同じ活性剤を同時に放出し得る、少なくとも一
つの第一の活性剤前駆体と一つの第二の活性剤前駆体を
組成物中に使用した場合、皮膚にその組成物をつけたと
きに、別々に作用させた場合の第一の酵素反応の速度と
第二の酵素反応の速度との総和より速い速度で、活性剤
の長時間に渡る安定性を保ちながら多量の活性剤が放出
され得ることを発見した。上記第一の前駆体は、活性剤
の単糖類の誘導体と活性剤のアミドとから選択される。
【0020】すなわち、性質の異なる、この組み合わせ
の活性剤前駆体は、皮膚と接触すると、二つの異なる特
異的酵素機構の反応によって活性剤を放出する。実際に
角質層(皮膚の表層)に接触すると、それぞれの活性剤
前駆体が、固有の作用機作を有する特異的酵素の作用に
よって加水分解される。その性質が異なる同じ活性剤前
駆体に、二つまたはそれ以上の異なる酵素機構が同時に
作用することにより、時間的な隔たりで分けられた同一
または異なる酵素機構の作用と比較して、化合していな
い活性剤がより急速かつ大量に放出される。
【0021】この組成物は、適用する皮膚の種類、温
度、および水分含有量に関わらず、良い結果が得られ
る。
【0022】本発明にあっては、他の活性剤の、その性
質が同一または異なる一つ以上の他の前駆体と任意に組
み合わされた、性質の異なる、同じ活性剤の二つ以上の
前駆体を使用することができる。
【0023】特に、第一および第二の前駆体は、溶液の
状態で使用される。これらを含有する溶液のpHは、皮
膚表面に何らかの悪影響を及ぼさないように、皮膚表面
のpHの近傍が好ましく、すなわちpHは約5.5とさ
れる。二つの前駆体の媒質のpHが皮膚表面より塩基性
または酸性である場合には、この媒質のpHを5.5に
近い値に戻すために、この媒質を適切な緩衝液で緩和す
ると好ましい。実際には、二つの前駆体を含む媒質は、
関連する生物変換酵素の活性と適合するpH(典型的に
は3.5〜7.5の範囲)を有する。
【0024】本発明にあっては、第一の前駆体は、活性
剤のアミドおよび活性剤の単糖類の誘導体とから選択さ
れ、プロテアーゼまたはペプチダーゼ、およびグリコシ
ダーゼのそれぞれを酵素として機能させるものである。
【0025】上記活性剤の単糖類の誘導体は、特にC3
〜C6の単糖類の誘導体から選択される。これらは、特
に、グルコシル、マンノシル、フルクトシル、フコシ
ル、N-アセチルグルコサミン、ガラクトシル、および
N-アセチルガラクトサミンの誘導体、N-アセチルムラ
ミン酸の誘導体、シアル酸の誘導体、およびこれらの混
合物から選択される。
【0026】活性剤のアミドは、例えば、リポチロシン
およびトリチロシンのようなペプチドでよい。
【0027】第二の活性剤前駆体は、例えばエステラー
ゼ、ホスファターゼ、スルファターゼ等の他の酵素によ
って加水分解される誘導体から選択されてよい。本発明
にあっては、第二の活性剤前駆体は、例えば、リン酸エ
ステル;硫酸エステル;活性剤のパルミチン酸エステ
ル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、フェルラ酸
エステル、および一般的に言うところのアルキルまたは
アシルエステル;およびアシル化またはアルキル化エー
テルから選択される。アシルおよびアルキル遊離基は、
特に1〜30の炭素原子を有する。
【0028】特に、第二の前駆体は、皮膚に接触してス
ルファターゼまたはホスファターゼと反応する硫酸エス
テルまたはリン酸エステルのような、無機酸と反応して
得られたエステルでよく、第二の前駆体は、パルミチン
酸、酢酸、プロピオン酸、ニコチン酸、1,2,3-プロパン
トリカルボキシル(propanetricarboxylic)酸、またはフ
ェルラ酸のような有機酸と反応して得られた、皮膚の特
異的なエステラーゼと反応するアシルまたはアルキルエ
ステルであってもよい。
【0029】第二の前駆体として数種の前駆体が使用さ
れる場合には、関係する酵素反応が互いに阻害しあわな
いように選択されなければならない。従って、活性剤の
酒石酸エステルは、リン酸エステルを加水分解する必要
があるホスファターゼの阻害剤であることから、この活
性剤のリン酸エステルが存在する条件下では使用するこ
とができない。
【0030】しかして、ビタミンの場合の実施例とし
て、第一の前駆体にビタミンの単糖類の誘導体から選択
されたものを使用し、第二の前駆体にこのビタミンのリ
ン酸エステル、硫酸エステル、パルミチン酸エステル、
酢酸エステル、ニコチン酸エステルまたはプロピオン酸
エステルから選択されたものを使用することができる。
これらのビタミンは、特に、ビタミンA、ビタミンC、
およびビタミンEである。
【0031】さらに、乳酸(α-ヒドロキシ酸)の場合
の例として、第一の前駆体として乳酸の単糖類の誘導体
を、第二の前駆体として乳酸エチルを、また第三の前駆
体として乳酸の硫酸による誘導体を使用することができ
る。
【0032】さらに、一実施例として、第一の誘導体と
してクエルセチンのグルコシル誘導体、また第二の前駆
体としてクエルセチンのフェルラ酸エステルのようなク
エルセチンのエステルを用いることができる。これは、
この組み合わせの前駆体を含有する組成物を皮膚に適用
したときに、クエルセチンを協同して解放するためであ
る。
【0033】アスコルビン酸のリン酸エステルとして、
マグネシウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ま
たは亜鉛のような、アルカリ金属、アルカリ土類金属、
あるいは遷移金属のリン酸アスコルビルを使用すること
ができる。レチノールのリン酸エステルとしては、マグ
ネシウムまたはカリウムのような、アルカリ金属または
アルカリ土類金属のリン酸レチニルを使用することがで
きる。
【0034】ビタミンCの有機酸エステルとしては、ビ
タミンCの2位または3位に結合したパルミチン酸、酢
酸、またはプロピオン酸のエステルを使用することがで
きる。トコフェロールエステルとしては、ニコチン酸ト
コフェロールあるいは酢酸トコフェロールを使用するこ
とができる。レチノールエステルでは、パルミチン酸、
プロピオン酸あるいは酢酸のエステルを使用することが
できる。
【0035】本発明の第一の前駆体として使用可能なビ
タミンCの単糖類の誘導体には、例として、グルコシル
化、マンノシル化、フルクトシル化、およびN-アセチ
ルグルコサミン化されたビタミンC、ビタミンCのN-
アセチルムラミン酸の誘導体、フコシル化、ガラクトシ
ル化、およびN-アセチルガラクトサミン化された誘導
体、ビタミンCのシアル酸の誘導体またはこれらの混合
物が挙げられる。
【0036】二種の前駆体から同じ活性剤を放出する相
乗作用を得るために、それぞれの前駆体の添加量を下限
が1ミリモル、好ましくは5ミリモル、上限が40ミリ
モル、好ましくは20ミリモルとすることが好ましい。
含有させる重さは、誘導体の分子量に依存する。
【0037】実際には、第一および第二の前駆体の存在
量は、それぞれ組成物の全重量に対して重量で0.1〜
10%の範囲、好ましくは1.5%とされる。第一およ
び第二の前駆体の相対的な割合は、10:90〜90:
10の範囲とすることができるが、好ましくはモル濃度
に換算して50:50である。
【0038】本発明に係る組成物は、水性あるいは水性
−アルコール性のローション、水性あるいは無水性のゲ
ル、漿液、または油中水型(O/W)あるいは水中油型
(W/O)のエマルジョンの形態とすることができる。
また、リポソーム、ナノカプセル(nanocapsule)、また
はナノスフェア(nanosphere)のような小球体の形態をと
ることもできる。
【0039】組成物がエマルジョンである場合には、脂
質層の割合が、組成物の全重量に対して重量で5%〜8
0%の範囲とされ、好ましくは重量で5%〜50%とさ
れる。エマルジョンの形態の組成物に使用される油、乳
化剤および共乳化剤(co-emulsifier)は、化粧用品に通
常使用されるものから選択される。乳化剤および共乳化
剤は、組成物の全重量に対して、重量で下限が0.3
%、好ましくは0.5%、上限が30%の範囲の割合で
組成物中に存在する。
【0040】本発明に係る組成物は、化粧および/また
は皮膚病に許容される添加物を含有することもできる。
これらの添加物は、特に、脂肪(天然油、シリコン油、
または合成油)、水和剤(ポリオール)、防腐剤、香
料、ゲル化剤(キサンタンガム(xanthan gum)、ベント
ーン(bentone)、カーボマー(carbomer))、顔料(Ti
2)、充填剤(タルク)および化合していないビタミ
ンおよび紫外線遮断剤である。
【0041】さらに、本発明で使用可能な全ての成分
は、生じる酵素反応を阻害しないものである必要があ
る。
【0042】本発明の主題は、皮膚と接触するとビタミ
ンCを放出することができる安定化した組成物でもあ
る。この組成物の特徴は、少なくとも一つの第一のビタ
ミンCの前駆体と、少なくとも一つの前記と同じビタミ
ンの第二の前駆体とを含有することであり、これらの前
駆体は、第一の特異的な酵素反応と第二の反応(それぞ
れ異なる特異性を有する酵素反応)とによって、前記ビ
タミンを同時に放出するとともに、別々に作用させた第
一の酵素反応の速度と第二の酵素反応の速度との合計よ
り速い速度で前記ビタミンを放出することができるもの
である。また、前記第一の前駆体が、単糖類の誘導体で
あるという特徴を有する。
【0043】本発明に係る組成物の好ましい実施態様で
は、一組のビタミンCの前駆体と同時に、化合していな
いビタミンEまたはその誘導体の一つが用いられる。
【0044】この組成物は、化合していないビタミンと
同じ能力を有し、加えて、単独で使用した場合に比べて
ビタミンEの抗酸化活性を増加させるもので、化合して
いないビタミンCの化粧または皮膚病用処置の特性の全
てを得ることを可能にする。
【0045】本発明に係る組成物は、特に、化粧および
/または皮膚病を処置するための化粧用および/または
皮膚病用の組成物からなる。この組成物は、例えば、皮
膚の老化、遊離基(free radical)または発疹、乾性肌、
ざ瘡および/またはある皮膚病(皮膚炎、乾癬)を治す
ことを可能にする。また、この組成物は、傷の瘢痕化は
もちろん、コラーゲンの合成の促進、あるいは、ストレ
ス(酸化または汚染によって引き起こされるもの)によ
って引き起こされた特定の皮膚酵素の活性化の後に、鎮
静化を促進することを可能にする。
【0046】本発明の主題は、皮膚の化粧処置、あるい
は皮膚病の処置を意図したクリームの製法のための上記
組成物の使用方法でもある。
【0047】
【実施例】以下、同じビタミンの一対の前駆体を使用す
る値を示す添付図面を参照し、また実施例を用いて本発
明をより詳細に説明する。
【0048】図1は、角質層と接触した際の異なる前駆
体の、ビタミンCの放出傾向を示すものである。
【0049】図1の縦軸は、放出されたビタミンCの量
(C)をナノモル単位で表示したもので、横軸は、時間
(t)を1時間単位で表示したものである。
【0050】これらの曲線を得た方法は、以下の通りで
ある。
【0051】酢酸緩衝液でpH4に酸性度が調節された
液体媒体中に、リン酸アスコルビルマグネシウム、グル
コシル化されたアスコルビルおよび粉末状の角質層の異
なる試料を投入した。全体を混合し、放置して作用させ
て、上清を回収した。図1に示された曲線は、高性能液
体クロマトグラフィー(HPLC)で、この上清を分析
することによって得られた。
【0052】曲線1は、リン酸アスコルビルマグネシウ
ムの濃度を0、かつグルコシル化されたアスコルビルを
40ミリモル濃度とした条件で得られたものである。曲
線2は、リン酸アスコルビルマグネシウムを40ミリモ
ル濃度、かつグルコシル化されたアスコルビルの濃度を
0とした条件で得られたものである。曲線3は、リン酸
アスコルビルマグネシウムを20ミリモル濃度、かつグ
ルコシル化されたアスコルビルを20ミリモル濃度とし
た条件で得られたものである。
【0053】この図1から、本発明(曲線3)に係る組
成物を皮膚につけると、特に基質が高濃度となるところ
で、化合していないアスコルビン酸の角質層内への放出
が改善されることが明らかである。
【0054】本発明に係る組成物の実施例は、以下の通
りである。なお、示した量は、重量パーセントで与えら
れたものである。 (実施例1):W/O エマルジョン脂肪相 : - 天然油(シーバター) 20 - シクロメチコン(Cyclomethicone) 5 - モノステアリン酸グリセリル(乳化剤) 6 - 液状パラフィン(Liquid paraffin) 7水相 : - リン酸アスコルビルマグネシウム 1.5 - グルコシル化されたアスコルビル 1.5 - ポリオール 3 - キサンタン ガム 0.05 - 硫酸マグネシウム 0.4 - 防腐剤および香料 1 - 水 全体として100%とする量 このエマルジョンは、老化によるしわおよび/または小
さい筋の処置を意図した白色のクリームの形態をとる。
【0055】(実施例2):本実施例は、さらに0.5
%のトコフェロールを使用している点で、実施例1のも
のと異なる。得られたクリームは、実施例1のものと比
較して、より優れた抗酸化特性を示した。
【0056】 (実施例3):O/W エマルジョン - パルミチン酸オクチル 20 - PEG−40 ステアリン酸エステル(乳化剤) 2 - セチルアルコール 4 - ポリオール 5 - シクロメチコン 5 - ビタミンCのリン酸エステル 1 - グルコシル化されたビタミンC 1 - 防腐剤 0.2 - TiO2(酸化チタン) 1 - 香料 0.5 - カーボマー(ポリアクリル酸) 0.15 - 水 全体として100%とする量 得られた白色のクリームは、日常の顔の保護を目的とす
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】前駆体からのビタミンCの放出を示すグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 7/48 31/34 31/375 ADA 31/70 38/00

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 皮膚と接触して活性剤を放出する安定化
    した組成物であって、少なくとも一つの第一の特異的な
    酵素反応と一つの第二の異なる特異的な酵素反応とによ
    って同一の活性剤を、上記第一の酵素反応と第二の酵素
    反応とを別々に作用させた場合の速度の合計より速い速
    度で同時に放出させる、少なくとも一つの第一の活性剤
    前駆体と一つの第二の活性剤前駆体とを含有してなり、
    前記第一の前駆体が活性剤の単糖類の誘導体および活性
    剤のアミドから選択されることを特徴とする組成物。
  2. 【請求項2】 第一の前駆体を含有する第一溶液と、第
    二の前駆体を含有する第二の溶液とを混合して得られ、
    皮膚表面に近いpHを有することを特徴とする請求項1
    記載の組成物。
  3. 【請求項3】 第一および第二の前駆体がビタミン、リ
    ポペプチド、リポアミノ酸、α-またはβ-ヒドロキシ
    酸、抗酸化剤および水和剤の誘導体から選択されること
    を特徴とする請求項1または2記載の組成物。
  4. 【請求項4】 単糖類の誘導体が、グルコシル、マンノ
    シル、フルクトシル、N-アセチルグルコサミン、ガラ
    クトシルおよびN-アセチルガラクトサミンの誘導体、
    N-アセチルムラミン酸の誘導体、シアル酸の誘導体お
    よびこれらの混合物から選択されることを特徴とする請
    求項1ないし3のいずれかに記載の組成物。
  5. 【請求項5】 第二の前駆体がエステルであることを特
    徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の組成物。
  6. 【請求項6】 第二の前駆体が、活性剤のアシルまたは
    アルキルエステルであることを特徴とする請求項1ない
    し5のいずれかに記載の組成物。
  7. 【請求項7】 第二の前駆体が、無機酸または有機酸の
    エステルから選択されることを特徴とする請求項1ない
    し6のいずれかに記載の組成物。
  8. 【請求項8】 第一の前駆体が、活性剤の単糖類の誘導
    体であり、第二の前駆体が、活性剤のパルミチン酸エス
    テル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、ニコチン
    酸エステル、硫酸エステル、リン酸エステル、グリセリ
    ド、およびフェルラ酸エステルから選択されたものであ
    ることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載
    の組成物。
  9. 【請求項9】 第一の前駆体が、C3からC6のビタミン
    またはクエルセチンの単糖類の誘導体から選択され、第
    二の前駆体が、アスコルビン酸のリン酸エステル、レチ
    ノールのリン酸エステル、トコフェロールのニコチン酸
    エステル、レチノールのパルミチン酸エステル、アスコ
    ルビン酸のパルミチン酸エステル、トコフェロールの酢
    酸エステル、レチノールの酢酸エステル、アスコルビン
    酸の酢酸エステル、レチノールのプロピオン酸エステ
    ル、アスコルビン酸のプロピオン酸エステル、クエルセ
    チンのエステル、およびこれらの混合物から選択される
    ことを特徴とする請求項8記載の組成物。
  10. 【請求項10】 ビタミンの単糖類の誘導体が、グルコ
    シル、マンノシル、フルクトシル、フコシル、N-アセ
    チルグルコサミン、ガラクトシルおよびN-アセチルガ
    ラクトサミンの誘導体、N-アセチルムラミン酸の誘導
    体、シアル酸の誘導体およびこれらの混合物から選択さ
    れることを特徴とする請求項9記載の組成物。
  11. 【請求項11】 第一の活性剤前駆体および第二の活性
    剤前駆体のそれぞれが、組成物の全重量に対して重量で
    0.1〜10%の割合で存在することを特徴とする請求
    項1ないし10のいずれかに記載の組成物。
  12. 【請求項12】 第一の活性剤前駆体および第二の活性
    剤前駆体が、モル比50:50で存在することを特徴と
    する請求項1ないし11のいずれかに記載の組成物。
  13. 【請求項13】 香料、界面活性剤、脂肪、水和剤、防
    腐剤、ゲル化剤、顔料、充填剤、および紫外線遮断剤か
    ら選択される少なくとも一つの添加物をさらに含有する
    ことを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載
    の組成物。
  14. 【請求項14】 水中油型エマルジョンまたは油中水型
    エマルジョンの形態を有することを特徴とする請求項1
    ないし13のいずれかに記載の組成物。
  15. 【請求項15】 油相が、組成物の全重量に対して重量
    で5%〜80%の範囲内で選択されたことを特徴とする
    請求項14記載の組成物。
  16. 【請求項16】 化粧用および/または皮膚用の組成物
    であることを特徴とする請求項1ないし15記載の組成
    物。
  17. 【請求項17】 皮膚と接触してビタミンCを放出する
    安定化組成物であって、第一の特異的な酵素反応と第二
    の異なる特異的な酵素反応とによって該ビタミンを、上
    記第一の酵素反応と第二の酵素反応とを別々に作用させ
    た場合の速度の合計より速い速度で、同時に放出させ
    る、少なくとも一つの第一のビタミンC前駆体と少なく
    とも一つの第二の前記と同じビタミンの前駆体とを含有
    してなり、前記第一の前駆体が単糖類の誘導体またはア
    ミドであることを特徴とする組成物。
  18. 【請求項18】 リン酸アスコルビルマグネシウムおよ
    びグルコシル化されたアスコルビルを含有することを特
    徴とする請求項17記載の組成物。
  19. 【請求項19】 少なくとも一つのトコフェロールまた
    は一つのトコフェロール誘導体をさらに含有することを
    特徴とする請求項17または18記載の組成物。
  20. 【請求項20】 組成物を用いて、皮膚の老化、遊離
    基、皮膚の色素沈着、乾性肌、ざ瘡および皮膚病を処置
    する美容を施し、または、コラーゲンの合成を促進し、
    もしくは酸化または汚染に起因するストレスによって引
    き起こされる皮膚酵素の活性化の後に鎮静化を促進する
    ことを特徴とする請求項1ないし18のいずれかに記載
    の組成物の使用方法。
  21. 【請求項21】 この組成物を用いて、傷を瘢痕化する
    皮膚病用処置クリームを調製することを特徴とする請求
    項1ないし18記載の組成物の使用方法。
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