JP4981198B2 - グリコシル−l−アスコルビン酸のアシル化誘導体 - Google Patents

グリコシル−l−アスコルビン酸のアシル化誘導体 Download PDF

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    • A23V2002/00Food compositions, function of food ingredients or processes for food or foodstuffs

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はグリコシル−L−アスコルビン酸の油溶性誘導体、とりわけ、グリコシル−L−アスコルビン酸のアシル化誘導体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ビタミンC、すなわち、L−アスコルビン酸は、抗壊血病因子とも呼ばれるように、壊血病の特効薬として頻用されてきた。今日では、抗壊血病因子としての作用以外に、生体内における諸種のヒドロキシル化反応に深く係わり、例えば、コラーゲンの生合成、芳香族アミノ酸の代謝、副腎におけるアドレナリンの生成、さらには、肝臓における生体異物の解毒機構などに重要な役割を果たしていることが判ってきた。これらの多彩な生理活性ゆえに、毎年、大量のL−アスコルビン酸が食品、化粧品及び医薬品の分野で消費されている。
【0003】
周知のとおり、L−アスコルビン酸は非常に不安定な物質であり、他のビタミンとは違って、熱、光、酸素、金属イオンなどによってたやすく分解したり変性する。したがって、食品、化粧品及び医薬品などに配合して所期の生理作用を得るためには、本来必要な量を遙かに上回るL−アスコルビン酸を配合したり、保存や取扱いに細心の注意を払う必要があった。また、L−アスコルビン酸は油溶性でないことから、生体における、例えば、皮膚や粘膜などの脂肪分に富む部位に適用すると、脂肪分が浸透を妨げ、有効量のL−アスコルビン酸が目的とする組織に到達しないという問題があった。これらの問題点を解消すべく、従来より、L−アスコルビン酸を酸エステルやグリコシル転移物などの誘導体に変換する多種多様の試みがなされてきた。
【0004】
しかしながら、例えば、2−ステアリル−L−アスコルビン酸、6−パルミチル−L−アスコルビン酸及び2,6−ジパルミチル−L−アスコルビン酸などの公知の脂肪酸エステルは、L−アスコルビン酸と比較すると、油溶性は確かに改善されているものの、これらは生体内でL−アスコルビン酸を遊離しないので、L−アスコルビン酸本来の重要な生理作用が全く期待できないという問題がある。また、例えば、燐酸エステルや硫酸エステルなどの無機酸エステルは、L−アスコルビン酸と同様、いずれも油溶性でないうえに、硫酸エステルは、脂肪酸エステルと同様、生体内でL−アスコルビン酸を遊離しないという問題がある。
【0005】
特開平3−139288号公報、特開平3−135992号公報、特開平3−183492号公報、特開平6−228183号公報及び特開平6−263790号公報などに記載されている2−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸や2−ガラクトピラノシル−L−アスコルビン酸などのグリコシル−L−アスコルビン酸は、L−アスコルビン酸の欠点を解消すべく開発された物質である。これらは、いずれも分子内に還元性基を有しないので、熱、光、酸素及び金属イオンに対して頗る安定であり、しかも、生体内ではL−アスコルビン酸を速やかに遊離するという特徴がある。しかしながら、公知のグリコシル−L−アスコルビン酸はいずれも油溶性ではないことから、用途によっては、L−アスコルビン酸と同様の問題を内包している。
【0006】
L−アスコルビン酸は動植物に広く分布し、動物の副腎や柑橘類にも含まれる天然の物質であり、副作用を懸念することなく食品、化粧品及び医薬品に配合できる利点がある。昨今では、生体内に発生するラジカルが悪性腫瘍を含む諸種の生活習慣病(成人病)の一因であることが解明されつつあるところ、L−アスコルビン酸には、生体内のラジカルを捕捉したり、腫瘍細胞の発生を予防する作用もあると言われている。したがって、アスコルビン酸の需要と用途は、これからも、益々拡大していくものと予想される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
斯かる状況に鑑み、この発明は、生体内でL−アスコルビン酸を遊離する油溶性物質並びにその物質の製造方法及び用途を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決すべく、本発明者が鋭意研究したところ、グリコシル−L−アスコルビン酸のアシル化誘導体は油溶性であるのみならず、生体内でL−アスコルビン酸を速やかに遊離することを見出した。また、斯かるアシル化誘導体は、グリコシル−L−アスコルビン酸にアシル化剤を反応させることによって、所望量を容易に調製し得ることを見出した。さらに、これらの性質故に、グリコシル−L−アスコルビン酸のアシル化誘導体は、食品分野、化粧品分野及び医薬品分野を含む諸種の分野で有利に用い得ることを確認してこの発明を完成した。
【0009】
すなわち、この発明は、前記課題を、グリコシル−L−アスコルビン酸のアシル化誘導体を提供することにより解決するものである。
【0010】
加えて、この発明は、前記課題を、グリコシル−L−アスコルビン酸にアシル化剤を反応させることを特徴とするグリコシル−L−アスコルビン酸のアシル化誘導体の製造方法を提供することにより解決するものである。
【0011】
さらに加えて、この発明は、前記課題を、グリコシル−L−アスコルビン酸のアシル化誘導体を含んでなる食品を提供することにより解決するものである。
【0012】
さらに加えて、この発明は、前記課題を、グリコシル−L−アスコルビン酸のアシル化誘導体を含んでなる化粧品を提供することにより解決するものである。
【0013】
さらに加えて、この発明は、前記課題を、グリコシル−L−アスコルビン酸のアシル化誘導体を含んでなるL−アスコルビン酸感受性疾患剤を提供することにより解決するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
この発明でいうグリコシル−L−アスコルビン酸とは、アシル化によって油溶性が改善される全てのグリコシル−L−アスコルビン酸を包含する。望ましいグリコシル−L−アスコルビン酸としては、L−アスコルビン酸における2位の位置に1又は複数のグルコシル残基若しくはガラクトシル残基が結合した、例えば、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸を初めとする一連の2−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸及び2−O−β−D−モノガラクトピラノシル−L−アスコルビン酸を初めとする一連の2−ガラクトピラノシル−L−アスコルビン酸が挙げられる。
【0015】
この発明でいうアシル化とは、斯かるグリコシル−L−アスコルビン酸にアシル基RCO−を導入することを意味する。ここで、Rは直鎖状又は分枝を有する、通常、2乃至19、望ましくは、4乃至17から選ばれる整数を炭素数とする飽和又は不飽和のアルキル基を意味する。したがって、この発明でいうアシル化誘導体とは、前述のごときグリコシル−L−アスコルビン酸における1又は複数のヒドロキシル基、望ましくは、グリコシル−L−アスコルビン酸におけるL−アスコルビン酸残基の1又は複数のヒドロキシル基にアシル基が結合した化合物全般を意味することとなる。
【0016】
斯かるアシル化誘導体は諸種の方法により調製することができる。例えば、グリコシル−L−アスコルビン酸に適宜のアシル化剤を反応させれば、所望のアシル化誘導体が得られる。このとき、必要とあれば、反応系内に触媒を共存させてもよく、その触媒はリパーゼなどの酵素であってもよい。原料となるグリコシル−L−アスコルビン酸は、例えば、特開平3−139288号公報、特開平3−135992号公報及び特開平3−183492号公報に記載されているように、シクロマルトデキストリン・グルカノトランスフェラーゼなどの糖転移酵素の存在下でL−アスコルビン酸にシクロマルトデキストリンや澱粉加水分解物などのα−グルコシル化合物を反応させるか、あるいは、特開平6−228183号公報及び特開平6−263790号公報に記載されているように、β−ガラクトシダーゼの存在下で5,6−イソプロピリデン−L−アスコルビン酸にラクトースなどのβ−ガラクトシル化合物を反応させることによって得ることができる。ちなみに、2−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸の市販品としては、例えば、『AA−2G』(固形分重量当りの2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸含量98%以上、株式会社林原商事販売)が挙げられる。用途にもよるれども、この発明においては、グリコシル−L−アスコルビン酸は必ずしも高度に精製されておらずともよく、調製方法に特有な類縁体や他の成分との未分離組成物であっても、実質的なアシル化を妨げない他の成分との混合物であってもよい。
【0017】
化学反応による場合には、ヒドロキシル基を有する化合物をアシル化するための通常一般の方法を適用すればよく、個々の方法としては、例えば、酸又は酸ハライド、酸無水物若しくは酸エステルなどのアシル化剤を用いる方法が挙げられる。アシル化剤としては、通常、3乃至20、望ましくは、4乃至18から選ばれる整数を炭素数とする、例えば、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、n−バレリアン酸、イソバレリアン酸、トリメチル酢酸、カプロン酸、n−ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノレイン酸、アラキジン酸、ペトロセリン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リカン酸、パリナリン酸、タリリン酸、カドレイン酸及びアラキドン酸などの低級脂肪酸及び高級脂肪酸を基本骨格とするカルボン酸並びにカルボン酸ハライド、カルボン酸無水物及びカルボン酸エステルが用いられる。
【0018】
反応は、通常、反応系への水の侵入を遮断した非水系で行なわれ、例えば、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどの有機溶剤中、必要に応じて、p−トルエンスルホン酸などの触媒を共存させて、グリコシル−L−アスコルビン酸にカルボン酸無水物を反応させるか、あるいは、濃硫酸などの触媒の存在下、グリコシル−L−アスコルビン酸にカルボン酸そのものを反応させる。反応条件としては、L−アスコルビン酸のアシル化に通常用いられる反応がそのまま適用できるが、グリコシル−L−アスコルビン酸1モルに対して、アシル化剤を3モル以下、望ましくは、2モル以下反応させるときには、反応がほぼ特異的に進行し、グリコシル−L−アスコルビン酸におけるL−アスコルビン酸残基の特定の部位にアシル基を導入することができる。例えば、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸の場合、2モル以下のアシル化剤を反応させると、実質的に、L−アスコルビン酸残基における6位の位置のヒドロキシル基だけをアシル化することができる。また、公知の方法によってL−アスコルビン酸における6位のヒドロキシル基だけをアシル化した後、適宜有機溶剤又は有機溶剤と水との適宜混液中、例えば、シクロマルトデキストリン・グルカノトランスフェラーゼなどの糖転移酵素の存在下でそのアシル化されたL−アスコルビン酸にシクロマルトデキストリンや澱粉部分加水分解物などのα−グルコシル化合物を反応させるときには、L−アスコルビン酸残基における6位のヒドロキシル基だけがアシル化された2−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸のモノアシル化誘導体を得ることができる。
【0019】
酵素反応による場合には、グリコシル−L−アスコルビン酸及びアシル化剤を基質とし、通常、これらの基質と酵素に応じた適宜有機溶剤が用いられ、場合によっては、適宜分配率の水及び有機溶剤からなる二成分系が用いられる。酵素としてはリパーゼが一般的であり、酵素剤は固定化されていてもよい。有機溶剤として、例えば、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、t−アミルアルコール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、ピリジンなどの親水性有機溶剤が用いられる。反応条件は、酵素法によるL−アスコルビン酸のアシル化の場合と同様に設定すればよく、酵素の種類にも特に制限がない。なお、グリコシル−L−アスコルビン酸、とりわけ、2−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸は水溶液における安定性が著しく高いので、L−アスコルビン酸のアシル化の場合とは違って、複雑な条件設定の必要がない。
【0020】
斯くして得られるアシル化誘導体は、L−アスコルビン酸の脂肪酸エステルを精製するための通常の方法を適用することにより精製することができる。個々の精製方法としては、例えば、塩析、透析、濾過、濃縮、分別沈澱、分液抽出、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、親和クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、等電点電気泳動、結晶化などが挙げられ、これらは、反応条件並びに所望するアシル化誘導体の種類及び純度に応じて適宜組合せて適用される。
【0021】
斯くして得られるアシル化誘導体は、次の諸性質を有している。
(1) L−アスコルビン酸や公知の無機酸エステルと比較して、油溶性が高い。しかも、アシル化剤におけるアルキル基の鎖長を加減するときには、油溶性を付与しつつ、実質的な水溶性を保持することができる。
(2) 公知の脂肪酸エステルや無機酸エステルとは違って、生体内でL−アスコルビン酸を遊離するので、L−アスコルビン酸本来の生理作用が期待でき、安全性も高い。
(3) L−アスコルビン酸とは違って、熱、光、酸素及び金属イオンに対して頗る安定である。
(4) L−アスコルビン酸とは違って、直接還元性を示さないので、例えば、メイラード反応のような反応を起こさない。
(5) L−アスコルビン酸や公知の無機酸エステルとは違って、皮膚や粘膜の浸透性が高い。
(6) L−アスコルビン酸と同様、生体内に発生するラジカルを捕捉する性質がある。
(7) アシル化剤の種類や精製の程度にもよるが、一般に無味、無臭、無色である。
【0022】
これらの性質故に、この発明のアシル化誘導体は、L−アスコルビン酸本来の生理作用を必要とする食品分野、化粧品分野及び医薬品分野を含む諸種の分野において、安定にして安全なL−アスコルビン酸給源として有利に用いることができる。加えて、この発明のアシル化誘導体は、同様の分野において、アシル化誘導体及び/又はL−アスコルビン酸の物性を利用する、例えば、抗酸化剤、安定化剤、矯味剤、緩衝剤、乳化促進剤、紫外線吸収剤、さらには、化学工業の分野における反応原料、反応中間体、試薬などとしても有利に用いることができる。この発明のアシル化誘導のうちでも、比較的長い鎖長のアシル基が結合したアシル化誘導体、とりわけ、8以上の整数を炭素数とするアシル基が結合したアシル化誘導体は、皮膚や粘膜への浸透性が著しく高いので、化粧品や医薬品の分野において特に有用である。
【0023】
個々の分野における用途について詳述すると、食品分野においては、この発明のアシル化誘導体を、例えば、水、アルコール、澱粉質、蛋白質、繊維質、糖質、脂質、脂肪酸、ビタミン、ミネラル、着香料、着色量、甘味料、調味料、防腐剤のごとき、食品に通常用いられる原料及び/又は素材の1又は複数とともに配合し、個々の食品の使用形態に応じて、溶液状、懸濁状、クリーム状、ペースト状、ゼリー状、粉末状、顆粒状、あるいは、所望の形状に成形された固形状に調製する。上記のうちのいずれの形態にあっても、この発明による食品はアシル化誘導体を0.01%(w/w)以上、望ましくは、0.1%(w/w)以上含有する。
【0024】
この発明を有利に適用し得る個々の食品としては、例えば、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、フリカケ、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、天つゆ、緬つゆ、ソース、ケチャップ、焼肉のたれ、カレールウ、中華の素、シチューの素、スープの素、ダシの素、複合調味料、みりん、新みりん、テーブルシュガー、コーヒーシュガーなどの調味料、せんべい、あられ、おこし、花林糖、求肥、餅、まんじゅう、ういろう、あん、羊羹、水羊羹、錦玉、ゼリー、カステラ、飴玉などの和菓子、パン、ビスケット、クラッカー、クッキー、パイ、プリン、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、キャンデー、グミゼリーなどの洋菓子、アイスクリーム、アイスキャンデー、シャーベットなどの氷菓、氷蜜などのシロップ、バタークリーム、カスタードクリーム、フラワーペースト、ピーナッツペースト、フルーツペーストなどのスプレッド及びペースト、ジャム、マーマレード、シロップ漬、糖菓などの加工果実及び加工野菜、パン、緬、米飯、人造肉などの穀類加工食品、サラダオイル、マーガリンなどの油脂食品、福神漬け、べったら漬、千枚漬、らっきょう漬などの漬物、たくあん漬けの素、白菜漬けの素などの漬物の素、ハム、ソーセージなどの畜肉製品、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、カマボコ、チクワ、ハンペンなどの魚肉製品、ウニの塩辛、イカの塩辛、酢コンブ、さきするめ、フグのみりん干しなどの珍味類、農産物、畜産物及び水産から製造される煮物、焼物、炒め物、揚げ物、蒸し物、あえ物などの惣菜類、えびフライ、コロッケ、シューマイ、ぎょうざ、春巻、ハンバーグステーキ、ミートボール、フィッシュハンバーグ、フィシュボールなどの冷凍調理食品、ハンバーグ、ミートボール、赤飯、牛めし、とり釜めし、玄米がゆ、カレー、ミートソース、ドミグラソース、ポタージュスープ、コンソメスープ、シチュー、おでん、八宝菜、煮豆、焼鳥、茶碗蒸し、ゆで栗、野菜の水煮などのレトルト食品、錦糸卵、乳飲料、バター、チーズなどの卵製品及び乳製品、魚肉、畜肉、果実、野菜などの瓶詰及び缶詰、合成酒、醸造酒、果実酒、洋酒などの酒類、コーヒー、ココア、ジュース、茶、紅茶、ウーロン茶、ミネラル飲料、炭酸飲料、乳酸飲料、乳酸菌飲料などの清涼飲料、プリンミックス、ホットケーキミックス、即席ジュース、即席コーヒー、即席しるこ、即席スープなどの即席食品が挙げられる。この発明のアシル化誘導体は、生体内に発生するラジカルを捕捉する性質があるので、生活習慣病や老化の防止を目的とする健康食品や健康補助食品に有利に配合使用できる。なお、この発明のアシル化誘導体は、ヒトが摂取する食品のみならず、家畜、家禽、蜜蜂、蚕及び魚を含む飼育動物のための飼料及び餌料にも配合することができる。
【0025】
化粧品の分野においては、この発明のアシル化誘導体は、皮膚や粘膜の浸透性が高いので、皮膚化粧品、毛髪化粧品及び口中化粧品を含む化粧品一般に有利に配合し得る。すなわち、この発明のアシル化誘導体を、例えば、油性基剤、水性基剤、着香剤、着色剤、染料、清涼剤、湿潤剤、エモリエント剤、乳化剤、ゲル化剤、増粘剤、界面活性剤、泡安定剤、透明剤、酸化防止剤、過脂肪剤、殺菌剤、防腐剤、被膜形成剤、噴射剤などの化粧品に通常用いられる成分や、さらには、ビタミン、アミノ酸、ペプチド、ホルモン、エキス、血管拡張剤、血行促進剤、細胞賦活剤、消炎剤、止痒剤、皮膚機能更新剤、角質溶解剤などの薬剤の1又は複数とともに配合し、個々の化粧品の使用形態に応じて、溶液状、乳液状、クリーム状、ペースト状、粉末状、顆粒状、あるいは、それ以外の所望の形状に成形された固形状に調製する。使用目的にもよるが、この発明の化粧品は、通常、0.005%(w/w)以上、望ましくは、0.05%(w/w)以上のアシル化誘導体を含有する。
【0026】
この発明を有利に適用できる個々の化粧品としては、例えば、発毛剤、育毛剤、ヘアトニック、ヘアリキッド、ポマード、チック、ヘアローション、ヘアクリーム、ヘアオイル、ヘアトリートメント、ヘアムース、シャンプー、ヘアリンス、洗髪用石鹸などの毛髪化粧品、洗顔用石鹸、洗粉、クレンジングクリーム、ボディーローション、透明化粧水、粘液化粧水、乳化化粧水、バニシングクリーム、コールドクリーム、栄養クリーム、ハンドクリーム、おしろい、ファンデーション、口紅、ほお紅、パックなどの皮膚化粧品、粉歯磨、潤性歯磨、練歯磨、水歯磨、薬用歯磨、口中清涼剤、うがい薬などの口中化粧品、さらには、香水、オーデコロン、浴用剤、わきが止、ベビーパウダー、アイローション、日焼止、漂白クリームなどが挙げられる。皮膚化粧品及び毛髪化粧品の場合、この発明のアシル化誘導体とともにα−グルコシル・ルチン、α−グルコシル・ヘスペリジン、α−グルコシル・ナリンジンなどのα−グルコシル・バイオフラボノイドを約0.001乃至10%(w/w)配合すると、これらが皮膚に栄養補給し、新陳代謝を促進するので、この発明のアシル化誘導体が効果を発揮し易くなる。また、湿潤剤として、マルトース、トレハロース、マルチトールなどの保湿作用ある糖質又は糖アルコールの適量、望ましくは、1%(w/w)以下を配合すると、皮膚、頭皮及び/又は毛髪が適度に潤い、この発明のアシル化誘導体が効果を発揮し易くなる。
【0027】
医薬品の分野においては、L−アスコルビン酸に感受性を有する、ビタミンC欠乏症、壊血病、メルレル・バロー病、虚血性心疾患及び悪性腫瘍を含むすべての消化器系疾患、循環器系疾患、泌尿器・生殖器系疾患、脳神経系疾患、耳鼻咽喉系疾患及び皮膚系疾患を治療及び/又は予防するための医薬品に有利に用いることができる。すなわち、この発明のアシル化誘導体の有効量とともに、必要に応じて、医薬品に通常用いられる、例えば、麻酔剤、催眠鎮痛剤、抗不安剤、抗てんかん剤、解熱鎮痛消炎剤、興奮剤、覚醒剤、抗パーキンソン剤、精神神経用剤、中枢神経用剤、骨格筋弛緩剤、自律神経用剤、鎮痙剤、眼科用剤、耳鼻科用剤、鎮暈剤、強心剤、不整脈用剤、利尿剤、血圧降下剤、血管収縮剤、冠血管拡張剤、末梢血管拡張剤、高脂血症剤、呼吸促進剤、鎮咳去痰剤、気管支拡張剤、アレルギー用剤、止瀉剤、成長剤、消化性潰瘍治療剤、健胃消化剤、制酸剤、利胆剤、脳下垂体ホルモン剤、唾液腺ホルモン剤、甲状腺ホルモン剤、抗甲状腺ホルモン剤、蛋白同化ステロイド剤、副腎皮質ホルモン剤、男性ホルモン剤、卵胞ホルモン剤、黄体ホルモン剤、混合ホルモン剤、泌尿生殖器剤、肛門剤、外科用殺菌消毒剤、創傷保護剤、化膿性疾患用外用剤、鎮痛剤、鎮痒剤、収斂剤、消炎剤、寄生虫皮膚疾患外用剤、皮膚軟化剤、腐蝕剤、歯科・口腔用剤、ビタミン剤、無機質製剤、補輸液、止血剤、血液凝固阻止剤、肝臓疾患用剤、解毒剤、習慣性中毒用剤、痛風治療剤、酵素製剤、糖尿病用剤、抗悪性腫瘍剤、抗ヒスタミン剤、刺激療法剤、抗生物質、化学療法剤、生物学的製剤、駆虫剤、抗原虫剤、調製用剤、X線造影剤及び診断用薬などの薬剤、さらには、この医薬品の摂取を容易ならしめる、例えば、補助剤、増量剤、希釈剤、賦形剤、安定剤、防腐剤、着色剤、着香剤などの1又は複数を適宜配合し、使用形態に応じて、例えば、エキス剤、エリキシル剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、眼軟膏剤、懸濁剤、乳剤、硬膏剤、坐剤、散剤、酒精剤、錠剤、シロップ剤、浸剤、煎剤、注射剤、チンキ剤、点眼剤、トローチ剤、軟膏剤、パップ剤、芳香水剤、リニメント剤、リモナーデ剤、流エキス剤、ローション剤、さらには、必要に応じて、点鼻剤、鼻噴霧剤、下気道用吸入剤、眼科用徐放剤、口腔粘膜貼付剤、浣腸剤などにする。この発明のアシル化誘導体の投与量は、使用目的並びに投与の経路及び頻度にもよるけれども、通常、成人1日当り、0.001乃至100gの範囲から選ばれる。
【0028】
この発明のアシル化誘導体は、上記のごとき食品、化粧品又は医薬品の調製が完了するまでの工程において、例えば、混和、混捏、溶解、浸漬、散布、塗布、噴霧、注入などの方法により所定量を含有せしめる。なお、アシル化誘導体が遊離のカルボキシル基を有する場合には、例えば、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛、アンモニアなどの水酸化物を作用させて塩にしてもよい。
【0029】
次に、この発明の実施の形態につき、実施例を挙げて説明する。
【0030】
【実施例A−1】
〈酪酸誘導体〉
【0031】
【実施例A−1(a)】
〈酪酸誘導体の調製〉
室温下、反応容器に2−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸(商品名『AA−2G』、固形分重量当りの2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸含量98%以上、株式会社林原商事販売)を2.71g(8.0mmol)とり、アルゴン気流下、ピリジンを350ml加え、溶解するまで撹拌した。次に、ピリジン50mlに溶解した無水酪酸(9.6mmol)をアルゴン気流下、2分間かけて反応容器内に滴々加えた後、室温下で135分間反応させた。その後、反応容器内にメタノールを加え、濃縮し、乾固して反応を停止させた。
【0032】
得られた反応混合物の固状物(4.65g)をカラムクロマトグラフィー用シリカゲル(商品名『ワコーゲル』、和光純薬工業株式会社製造)139.5gのカラムに負荷し、酢酸エチル500ml、酢酸エチル/メタノール混液(容量比9:1)500ml、酢酸エチル/メタノール混液(容量比8:2)500ml及び酢酸エチル/メタノール混液(容量比7:3)500mlをこの順序でそれぞれ通液する一方、溶出液を100mlずつ採取した。各溶出画分の一部をそれぞれとり、これを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルプレート(商品名『シリカゲル60 F254』、メルク製造)に少量滴下し、乾燥させた後、酢酸エチル/メタノール混液(容量比6:4)を用いて展開した。展開後、プレートを乾燥し、波長254nmの紫外線を照射したときにRf0.34付近に移動した成分を含むカラムからの溶出画分を採取し、合一し、濃縮し、乾固した。
【0033】
得られた固状物(2.09g)を上記と同様にカラムクロマトグラフィーにより再度精製し、薄層クロマトグラフィーにおいてRf0.34付近に移動した成分を含むカラムからの溶出画分を採取し、合一し、濃縮し、乾固したところ、無味無臭の白色細粒が1.19g得られた(収率36.4%)。
【0034】
【実施例A−1(b)】
〈酪酸誘導体の同定〉
実施例A−1(a)の方法により得たアシル化誘導体につき、通常の高速原子衝撃質量分析法(以下、「FAB−MS」と略記する。)により質量(m/z)を測定したところ、431([M+Na]+)及び409([M+H]+)に特徴的なピークがそれぞれ観察された。
【0035】
さらに、本実施例のアシル化誘導体につき、常法にしたがって、1H−核磁気共鳴吸収及び13C−核磁気共鳴吸収(以下、それぞれ「1H−NMR」及び「13C−NMR」と略記する。)によるスペクトルをそれぞれ測定した。両スペクトルにおける各シグナルの化学シフト並びに水素原子及び炭素原子の帰属を表1に示す。同様にして測定した2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸の 1H−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルにおける各シグナルの化学シフト並びに水素原子及び炭素原子の帰属を表2に示す。
【0036】
【表1】
Figure 0004981198
【0037】
【表2】
Figure 0004981198
【0038】
表1及び表2において、L−アスコルビン酸残基における6位の炭素に結合する水素の化学シフトがアシル化前後で3.75から4.26に低磁場シフトし、また、6位の炭素の化学シフトが64.73から65.62に大きく低磁場シフトしたことは、酪酸残基が2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸におけるL−アスコルビン酸残基の6位のヒドロキシル基に結合したことを示している。なお、本例のアシル化誘導体につき、常法にしたがって酸性溶液及びアルカリ性溶液における吸光度を測定したところ、それぞれ、波長233.8nm及び260.2nm付近に吸収極大を示した。さらに、同様にして分子吸光係数を測定したところ、酸性溶液及びアルカリ性溶液における分子吸光係数は、それぞれ、9,630及び14,700であった。
【0039】
以上の分光分析データ並びに反応に用いたアシル化剤及び反応条件を総合的に判断した結果、本実施で得られたアシル化誘導体は、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸におけるL−アスコルビン酸残基の6位のヒドロキシル基に酪酸残基が結合したアシル化誘導体、すなわち、6−O−ブチリル−2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸(以下、「6−Buty−AA−2G」と言う。)であると同定された。
【0040】
【実施例A−2】
〈カプロン酸誘導体の調製〉
アシル化剤として無水カプロン酸を用い、反応時間を195分に延長した以外は実施例A−1(a)におけると同様に反応させた。その後、実施例A−1(a)におけると同様のカラムクロマトグラフィーにより精製し、薄層クロマトグラフィーにおいてRf0.36付近に移動した成分を含むカラムからの溶出画分を採取し、合一し、乾固したところ、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸におけるL−アスコルビン酸残基の6位のヒドロキシル基にカプロン酸残基が結合したアシル化誘導体、すなわち、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−6−O−ヘキサノイル−L−アスコルビン酸(以下、「6−Hexa−AA−2G」と言う。)の無味無臭の白色細粒1.51g(収率43.2%)が得られた。
【0041】
なお、実施例A−1(b)におけると同様にして分析したところ、本実施例のアシル化誘導体は、FAB−MSにおいて、481([(M−H)+2Na]+)及び459([M+Na]+)にそれぞれ特徴的なピークを示し、また、1H−NMR及び13C−NMRにおける各シグナルの化学シフト並びに水素原子及び炭素原子の帰属は表3に示すとおりであった。また、本実施例のアシル化誘導体は酸性溶液及びアルカリ性溶液においてそれぞれ波長233.2nm及び260.4nmに吸収極大を示し、また、酸性溶液及びアルカリ性溶液における分子吸光係数はそれぞれ9,650及び14,780であった。
【0042】
【表3】
Figure 0004981198
【0043】
【実施例A−3】
〈カプリル酸誘導体の調製〉
アシル化剤として無水カプリル酸を用い、反応時間を165分に延長した以外は実施例A−1(a)におけると同様に反応させた。その後、実施例A−1(a)におけると同様のカラムクロマトグラフィーにより精製し、薄層クロマトグラフィーにおいてRf0.40付近に移動した成分を含むカラムからの溶出画分を採取し、合一し、乾固したところ、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸におけるL−アスコルビン酸残基の6位のヒドロキシル基にカプリル酸残基が結合したアシル化誘導体、すなわち、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−6−O−オクタノイル−L−アスコルビン酸(以下、「6−Octa−AA−2G」と言う。)の無味無臭の白色細粒1.35g(収率36.3%)が得られた。
【0044】
なお、実施例A−1(b)におけると同様にして分析したところ、本実施例のアシル化誘導体は、FAB−MSにおいて、509([(M−H)+2Na]+)及び459([M+Na]+)にそれぞれ特徴的なピークを示し、また、1H−NMR及び13C−NMRにおける各シグナルの化学シフト並びに水素原子及び炭素原子の帰属は表4に示すとおりであった。また、本実施例のアシル化誘導体は酸性溶液及びアルカリ性溶液においてそれぞれ波長233.2nm及び260.6nmに吸収極大を示し、また、酸性溶液及びアルカリ性溶液における分子吸光係数はそれぞれ9,610及び14,430であった。
【0045】
【表4】
Figure 0004981198
【0046】
【実施例A−4】
〈カプリン酸誘導体の調製〉
アシル化剤として無水カプリン酸を用い、反応時間を195分に延長した以外は実施例A−1(a)におけると同様に反応させた。その後、実施例A−1(a)におけると同様のカラムクロマトグラフィーにより精製し、薄層クロマトグラフィーにおいてRf0.40付近に移動した成分を含むカラムからの溶出画分を採取し、合一し、乾固したところ、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸におけるL−アスコルビン酸残基の6位のヒドロキシル基にカプリン酸残基が結合したアシル化誘導体、すなわち、6−O−デカノイル−2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸(以下、「6−Deca−AA−2G」と言う。)の無味無臭の白色細粒0.55g(収率13.9%)が得られた。
【0047】
なお、実施例A−1(b)におけると同様にして分析したところ、本実施例のアシル化誘導体は、FAB−MSにおいて、537([(M−H)+2Na]+)及び515([M+Na]+)にそれぞれ特徴的なピークを示し、また、1H−NMR及び13C−NMRにおける各シグナルの化学シフト並びに水素原子及び炭素原子の帰属は表5に示すとおりであった。また、本実施例のアシル化誘導体は酸性溶液及びアルカリ性溶液においてそれぞれ波長233.6nm及び259.8nmに吸収極大を示し、また、酸性溶液及びアルカリ性溶液における分子吸光係数はそれぞれ9,880及び14,870であった。
【0048】
【表5】
Figure 0004981198
【0049】
【実施例A−5】
〈ラウリン酸誘導体の調製〉
アシル化剤として無水ラウリン酸を用い、反応時間を165分に延長した以外は実施例A−1(a)におけると同様に反応させた。その後、実施例A−1(a)におけると同様のカラムクロマトグラフィーにより精製し、薄層クロマトグラフィーにおいてRf0.42付近に移動した成分を含むカラムからの溶出画分を採取し、合一し、乾固したところ、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸におけるL−アスコルビン酸残基の6位のヒドロキシル基にラウリン酸残基が結合したアシル化誘導体、すなわち、6−O−ドデカノイル−2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸(以下、「6−Dode−AA−2G」と言う。)の無味無臭の白色細粒1.93g(収率46.4%)が得られた。
【0050】
また、実施例A−1(b)におけると同様にして分析したところ、本実施例のアシル化誘導体は、FAB−MSにおいて、565([(M−H)+2Na]+)及び543([M+Na]+)にそれぞれ特徴的なピークを示し、また、1H−NMR及び13C−NMRにおける各シグナルの化学シフト並びに水素原子及び炭素原子の帰属は表6に示すとおりであった。また、本実施例のアシル化誘導体は酸性溶液及びアルカリ性溶液においてそれぞれ波長233.2nm及び260.2nmに吸収極大を示し、また、酸性溶液及びアルカリ性溶液における分子吸光係数はそれぞれ9,820及び14,680であった。
【0051】
【表6】
Figure 0004981198
【0052】
【実施例A−6】
〈カプリン酸誘導体〉
グリコシル−L−アスコルビン酸として、特開平3−139288号公報に記載された方法により調製した、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸、2−O−α−D−ジグルコピラノシル−L−アスコルビン酸、2−O−α−D−トリグルコピラノシル−L−アスコルビン酸、2−O−α−D−テトラグルコピラノシル−L−アスコルビン酸、2−O−α−D−ペンタグルコピラノシル−L−アスコルビン酸及び2−O−α−D−ヘキサグルコピラノシル−L−アスコルビン酸をそれぞれ含んでなる未分離組成物を用いた以外は実施例A−4におけると同様に反応させた。その後、実施例A−1(a)におけると同様のカラムクロマトグラフィーにより精製し、薄層クロマトグラフィーにおいてRf0.30乃至0.40付近に移動した成分を含むカラムからの溶出画分を採取し、合一し、乾固したところ、一連の2−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸におけるL−アスコルビン酸残基の6位のヒドロキシル基にカプリン酸残基が結合したアシル化誘導体、すなわち、6−O−デカノイル−2−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸の混合物の無味無臭の白色粉末1.25gが得られた。
【0053】
【実施例A−7】
〈ステアリン酸誘導体〉
グリコシル−L−アスコルビン酸として実施例A−6におけると同様の未分離組成物を、また、酸無水物として無水ステアリン酸を用いた以外は実施例A−1におけると同様に反応させた。その後、実施例A−1(a)におけると同様のカラムクロマトグラフィーにより精製し、薄層クロマトグラフィーにおいてRf0.5乃至0.6付近に移動した成分を含むカラムからの溶出画分を採取し、合一し、乾固したところ、一連の2−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸におけるL−アスコルビン酸残基の6位のヒドロキシル基にステアリン酸残基が結合したアシル化誘導体、すなわち、2−グルコピラノシル−6−O−ステアリル−L−アスコルビン酸の混合物の無味無臭の白色粉末0.72gが得られた。
【0054】
次に、実施例A−1乃至A−5の方法により得たアシル化誘導体の溶解性試験、安定性試験、ラジカル捕捉能試験、動態試験、皮膚透過試験及び抗壊血病試験の結果について説明する。
【0055】
【実験1】
〈溶解性試験〉
実施例A−1乃至A−7の方法により得たアシル化誘導体につき、常温における諸種の溶剤に対する溶解性を試験した。その結果、水に対して、6−Buty−AA−2G及び6−Hexa−AA−2Gは易溶、6−Octa−AA−2Gは難溶、6−Deca−AA−2G及び6−Dode−AA−2Gは不溶であった。また、すべてのアシル化誘導体がメタノールに易溶、エタノールに溶、アセトンに難溶、酢酸エチル及びジエチルエテールに不溶であった。実施例A−7の方法により得たアシル化誘導体の未分離組成物はアセトンに溶、酢酸エチルに難溶であった。
【0056】
L−アスコルビン酸及び2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸は、いずれも、メタノール及びエタノールに難溶又は不溶、アセトンに不溶である。したがって、実施例A−1乃至A−7のアシル化誘導体は、L−アスコルビン酸及び2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸に比較して、油溶性が顕著に高いと言える。
【0057】
【実験2】
〈アシル化誘導体の安定性〉
実施例A−1乃至A−5の方法により得たいずれかのアシル化誘導体100μmolを10ml容螺付き試験管にとり、ジメチルスルホキシドを200μl加えて溶解した。溶液に100mM燐酸緩衝液(pH7.0)を9.8ml加え、無菌濾過した後、37℃又は60℃でインキュベートする一方、水溶液を経時的に採取し、直ちに−30℃で凍結保存した。その後、凍結保していた水溶液を融解し、高速液体クロマトグラフィーにより分析し、波長254nmにおける吸光度に基づきアシル化誘導体の残存量を決定した。併行して、アシル化誘導体に代えてL−アスコルビン酸又は2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸を用いる系をそれぞれ設け、これらをアシル化誘導体におけると同様に処置した後、波長245nmにおける吸光度に基づきL−アスコルビン酸及び2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸の残存量をそれぞれ決定して対照とした。60℃及び37℃における安定性試験の結果をそれぞれ図1及び図2に示す。
【0058】
図1及び図2に見られるとおり、L−アスコルビン酸は、60℃で12時間インキュベートすると75.9%が、また、37℃であっても、3日間インキュベートすると68.3%が消失した。これに対して、この発明のアシル化誘導体は、アシル基の鎖長に拘らず、60℃で48時間インキュベートしても15乃至20%程度が消失し、また、37℃では、10日間インキュベートしても10%以下の消失に止どまった。2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸は、60℃で48時間インキュベートすると3.9%程度が消失し、また、37℃では、14日間インキュベートすると1.6%程度が消失した。これらの結果は、この発明のアシル化誘導体が安定性においてL−アスコルビン酸を凌駕し、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸とほぼ同等の安定性を具備していることを物語っている。
【0059】
【実験3】
〈ラジカル捕捉能〉
1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(以下、「DPPH」と略記する。)を濃度0.5mMになるようにエタノールに溶解する一方、被験試料として、実施例A−1乃至A−5の方法により得たアシル化誘導体のいずれかを50%(v/v)水性エタノール溶液4mlに濃度1.25×10-4M、1.25×10-5M又は1.25×10-6Mになるように溶解した。次に、被験試料の溶液にDPPH溶液を1mlずつ混合し、アルゴンガスを充填し、室温下で20分間静置した後、分光光度計により直ちに波長516nmにおける吸光度を測定した。併行して、被験試料に代えて60%(v/v)水性エタノールを用いる系を設け、これをアシル化誘導体におけると同様に処置して対照とした。そして、対照の吸光度に対する被験試料の吸光度の百分率(%)をもって酸化阻害能とし、これをラジカル捕捉能の指標とした。また、50%酸化阻害濃度(EC50)は、被験試料の濃度の対数値と、被験試料がその濃度で示した酸化阻害能から算出した。結果を表7に示す。
【0060】
【表7】
Figure 0004981198
【0061】
表7の結果から明らかなように、試験に供した5種類のアシル化誘導体は、L−アスコルビン酸と比較するとやや劣りはするものの、いずれも、それ自身で2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸を遙かに上回るラジカル捕捉能を発揮した。また、表7の結果は、この発明のアシル化誘導体のラジカル捕捉能がアシル基の鎖長に比例して増大することを示している。なお、この発明のアシル化誘導体から遊離したL−アスコルビン酸が、いずれも、天然のL−アスコルビン酸と同様のラジカル捕捉能を発揮することは言うまでもない。
【0062】
【実験4】
〈動態試験〉
12乃至14週齢の雄ウィスター/ST系ラットを16時間絶食させた後、麻酔下、ヘパリンを600単位/ml含む生理食塩水を吸入しておいた注射器を用いて心臓から血液200μlを採取した。その後、直ちに、L−アスコルビン酸56.8μmol/匹に相当する2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸又は実施例A−1乃至A−5の方法により得たアシル化誘導体のいずれかを超純水500μlに溶解しておいたものを経口投与した。投与直後と投与から一定時間が経過した後に、上記と同様にして血液を経時的に採取し、適量のヘパリンを加えた後、直ちに4℃で遠心分離して上清を採取した。次いで、各上清90μlに5倍容量の1.06%(w/v)メタ燐酸水溶液を450μlずつ混合し、4℃でさらに10分間遠心分離し、新たに生じた上清450μlを採取し、これを高速液体クロマトグラフィーに供して、アシル化誘導体、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸及びL−アスコルビン酸の血中レベルをそれぞれ決定した。結果の一部を図3に示す。
【0063】
図3に見られるように、この発明のアシル化誘導体は、経口投与すると、投与直後からL−アスコルビン酸の血中レベルが急上昇し、1時間後に最高レベルに達した後、24時間経過した時点においても、その最高レベルの50%前後を維持していた。実施例A−3の6−Octa−AA−2Gを投与すると、L−アスコルビン酸の血中レベルが著しく上昇し、ピークの時点で、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸の場合の約1.5倍にも達した。また、いずれのアシル化誘導体を投与しても、血液中にアシル化誘導体や2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸が検出されることはなかった。これらの結果は、経口投与すると、この発明のアシル化誘導体が消化管から吸収され、L−アスコルビン酸を速やかに遊離することを物語っている。
【0064】
さらに、経口投与において最も高いL−アスコルビン酸レベルを示した6−Octa−AA−2Gにつき、上述の経口投与試験に準じて静脈投与時の動態を試験した。併行して、比較のために、L−アスコルビン酸及び2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸についても同様に試験した。図4に6−Octa−AA−2Gを静脈投与したときの動態及び代謝産物の推移を、また、図5に6−Octa−AA−2G、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸及びL−アスコルビン酸を静脈投与したときのL−アスコルビン酸の血中レベルの経時変化を示す。
【0065】
図4に見られるように、6−Octa−AA−2Gは、静脈投与すると、その血中レベルが2分後に524.7nmol/mlに達した後、爾後急激に低下して、15分後には38.2nmol/mlとなった。一方、6−Octa−AA−2Gから遊離したL−アスコルビン酸の血中レベルは、6−Octa−AA−2Gの投与の1時間後にピークに達した後、10時間後においても、ピーク時の50%前後を維持していた。なお、6−Octa−AA−2Gを投与したときの2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸の血中レベルは、投与から1時間以内に最高値である9.55nmol/mlに達した後、爾後、検出できない程度にまで低下した。
【0066】
さらに、図5に見られるように、6−Octa−AA−2Gは、静脈投与すると、L−アスコルビン酸の血中レベルにおて、終始、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸を上回った。このことは、この発明のアシル化誘導体が、静脈投与すると、ごく短時間でL−アスコルビン酸の血中レベルを上昇せしめ、しかも、そのレベルが長時間に亙って維持されことを示している。
【0067】
【実験5】
〈皮膚透過試験〉
実施例A−1乃至A−5の方法により得たアシル化誘導体につき、市販のヒト皮膚再構築モデル(商品名『TESTSKIN』、東洋紡績株式会社製造)を用いて皮膚透過能を試験した。製品の使用説明書にしたがって、アッセイプレートにアッセイ用培地を1.2ml/ウェルずつ注入し、底部に人工皮膚を貼付したトランスウェルを載置した後、トランスウェルの中央部にシリコングリースを塗布したアッセイリングを貼付した。次に、アッセイリング内にアッセイ用培地に濃度10mMになるように溶解したL−アスコルビン酸、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸又は実施例1乃至5の方法により得たいずれかのアシル化誘導体を加え、37℃で120時間インキュベートする一方、アッセイプレート内のアッセイ培地を経時的に採取し、高速液体クロマトグラフィー法によりL−アスコルビン酸、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸(AA−2G)及びアシル化誘導体の量をそれぞれ測定するとともに、総L−アスコルビン酸の量を決定した。なお、総L−アスコルビン酸の量は、採取したアッセイ用培地に1%(w/v)ジチオトレイトールを含有する等容量の1M燐酸緩衝液(pH7.0)とともに、等容量の0.612N水酸化ナトリウムをそれぞれ加え、45℃で30分間インキュベートしてデヒドロアスコルビンを還元した後、高速液体クロマトグラフィーによりL−アスコルビン酸(AsA)の量を測定した。
【0068】
12時間インキュベートした時点で、一部のトランスウェルを取外し、人工皮膚の中央部をパンチ(直径8mm)で切り取り、アッセイ用培地におけると同様、L−アスコルビン酸、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸及びアシル化誘導体の量をそれぞれ測定するとともに、総L−アスコルビン酸の量を決定した。人工皮膚における総L−アスコルビン酸の量は、採取した人工皮膚を10%(w/v)トリクロロ酢酸水溶液に浸漬し、この状態で超音波を5分間印加して得た抽出液につき、アッセイ用培地の場合と同様にして測定した。L−アスコルビン酸、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸及びこの発明のアシル化誘導体が人工皮膚を透過する様子を図6に、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸及びこの発明のアシル化誘導体が人工皮膚を透過し、L−アスコルビン酸及び2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸を遊離する状況を図7に、また、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸及びこの発明のアシル化誘導体が人工皮膚中でL−アスコルビン酸及び2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸を遊離する状況を図8に示す。
【0069】
図6の結果は、実施例A−1乃至A−5の方法により得たアシル化誘導体が、いずれも、皮膚透過能においてL−アスコルビン酸を凌駕しており、ピークの時点でL−アスコルビン酸の場合の3倍以上にも達することを示している。実施例A−5の6−Dode−AA−2Gは皮膚透過能において特に優れており、ピークの時点で、L−アスコルビン酸の7倍にも達した。また、図7及び図8の結果は、この発明のアシル化誘導体が、皮膚に浸透すると、L−アスコルビン酸を速やかに遊離することを示している。試験に供したアシル化誘導体のうち、6−Deca−AA−2G及び6−Dode−AA−2Gは、皮膚におけるL−アスコルビン酸の遊離能において特に優れており、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸の3倍近くにも達した。
【0070】
【実験6】
〈抗壊血病試験〉
実施例A−1乃至A−5の方法により得たアシル化誘導体につき、それらが生体内でL−アスコルビン酸を遊離し、L−アスコルビン酸本来の生理作用を発揮することを確認すべく、L−アスコルビン酸の代表的な生理作用である、抗壊血病作用を指標にする試験を行った。
【0071】
本発明者らが『ジャーナル・オブ・ファーマコバイオ・ダイナミックス』、第13巻、688乃至695頁(1990年)に報告した方法に準じて、壊血病発症の指標である体重を毎朝定時に測定しながら、4週齢の雄性ハートレーモルモットに水及びビタミンC欠乏試験用飼料(オリエンタル酵母株式会社製造)を自由摂取させた。有意な体重低下が認められてから6日後にモルモットを3群(4匹/群)に分け、引続き毎朝定時に体重を測定する一方、エーテル麻酔下、超純水500μlに溶解した被験試料としての2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸又は実施例A−1乃至A−5の方法により得たいずれかのアシル化誘導体を56.80μmol/匹/回の用量で試験終了まで毎朝1回経口投与した。併行して、被験試料を省略して超純水のみを投与する1群を設け、これを被験試料を投与する群におけると同様に処置して対照とした。
【0072】
被験試料の投与から6日後に、前記論文に記載された方法にしたがって、モルモットを解剖し、肝臓を摘出してL−アスコルビン酸の肝組織内レベルを決定するとともに、関節等における内出血の有無を調べる一方、モルモットから血液を採取し、その血液から調製した血漿を用いてL−アスコルビン酸及びアルカリホスファターゼの血中レベルをそれぞれ決定した。水、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸及び一部のアシル化誘導体を投与した群における投与開始前後の体重変化を図9に示す。
【0073】
図9に見られるとおり、対照においては、試験開始以降、体重が漸次低下したのに対して、この発明のアシル化誘導体又は2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸を投与した群においては、投与開始から3乃至4日後から顕著な体重の増加が認められた。しかも、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸の場合、体重が試験開始前の最高体重に回復するのに8日間を要したのに対して、6−Octa−AA−2Gでは6日間しか要しなかった。このことは、この発明のアシル化誘導体が、生体内でL−アスコルビン酸本来の生理作用を発揮する能力において2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸を上回ることを示している。解剖所見によると、対照においては、壊血病特有の内出血傾向が顕著であったのに対して、この発明のアシル化誘導体又は2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸を投与した群においては、内出血は全く認められなかった。また、数値データは割愛するけれども、肝臓及び血液を採取した時点で、対照においては、肝臓及び血液におけるL−アスコルビン酸のレベルがそれぞれ検出できないレベルであったのに対して、この発明のアシル化誘導体又は2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸を投与した群においては、ほぼ正常値にまで回復していた。アルカリホスファターゼの血中レベルも同様で、対照は正常値を遙かに下回るレベルであったのに対して、この発明のアシル化誘導体又は2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸を投与した群においては、いずれも、ほぼ正常値にまで回復していた。なお、6−Octa−AA−2G以外のアシル化誘導体ついても、6−Octa−AA−2Gと同様の結果を得た。
【0074】
本実験例の結果は、この発明のアシル化誘導体が哺乳動物に投与して安全であることとともに、生体に投与すると、速やかにL−アスコルビン酸を遊離し、その本来の生理作用を発揮せしめることを裏付けている。
【0075】
以下、実施例に基づき、この発明のアシル化誘導体の用途について説明する。
【0076】
【実施例B−1】
〈パン〉
小麦粉100重量部、イースト2重量部、砂糖5重量部、トレハロース高含有シロップ(商品名『トレハスター』、固形分重量当りのトレハロース含量28%以上、株式会社林原商事販売)2重量部及び無機フード0.1重量部に実施例A−1乃至A−7の方法により得たアシル化誘導体のいずれかをそれぞれ0.1重量部配合し、常法にしたがって適量の水でこね、中種を26℃で2時間発酵させた後、30分間熟成し、焼き上げて7種類のパンを得た。
【0077】
本品は色相、すだちともに良好で、適度な弾力と温和な甘味を有する高品質のパンである。
【0078】
【実施例B−2】
〈ボンボン〉
トレハロース高含有シロップ(商品名『トレハスター』、固形分重量当りのトレハロース含量28%以上、株式会社林原商事販売)5重量部、結晶性トレハロース粉末(商品名『トレハオース』、固形分重量当りのトレハロース含量98%以上、株式会社林原商事販売)300重量部及び水115重量部に実施例A−1乃至A−7の方法により得たアシル化誘導体のいずれかをそれぞれ5重量部配合し、加熱してBx70まで煮詰め、80℃まで冷却し、ブランディー40重量部を混合した後、常法にしたがって成形して7種類の製品を得た。
【0079】
本品は、トレハロースの微結晶を含有し、ブランディー風味豊かで、経時変化の少ない高品質のボンボンである。
【0080】
【実施例B−3】
〈チョコレート〉
カカオペースト40重量部、カカオバター10重量部、結晶性トレハロース粉末(商品名『トレハオース』、固形分重量当りのトレハロース含量98%以上、株式会社林原商事販売)50重量部を混合してレファイナーに通して粒度を下げた後、コンチェに入れて50℃で2昼夜練り上げた。この間に、レシチン0.5重量部と実施例A−1乃至A−7の方法により得たアシル化誘導体のいずれかをそれぞれ0.5重量部加え、充分混和・分散させた。次いで、温度調節器により31℃に調節し、バターの固まる直前に型に流し込み、振動機で泡抜きした後、10℃の冷却トンネルを20分間かけてくぐらせて固化させた。これを型抜きし、包装して7種類の製品を得た。
【0081】
本品は吸湿性がなく、色、光沢ともに良好であり、内部組織も良好で、口中でなめらかに溶け、上品な甘味とまろやかな風味を呈する。
【0082】
【実施例B−4】
〈即席コーンポタージュスープ〉
α化コーン粉末30重量部、α化澱粉5重量部、α化ポテトスターチ4重量部、α化ワキシーコーンスターチ12重量部、塩化ナトリウム7重量部、結晶性トレハロース粉末(商品名『トレハオース』、固形分重量当りのトレハロース含量98%以上、株式会社林原商事販売)7重量部、オニオンパウター0.5重量部及び実施例A−1乃至A−7の方法により得たアシル化誘導体のいずれかをそれぞれ0.5重量部混合し、摩砕した後、これにソルビタン脂肪酸エステル0.5重量部と植物性硬化油9重量部とを加熱融解したものを混合し、流動層造粒機に仕込み、少量の水を噴霧して造粒した後、70℃の温風で乾燥し、篩分けして7種類の減塩即席コーンポタージュスープを得た。
【0083】
本品は、熱湯を注ぐと速やかに分散し、風味の優れたスープとなる。本品は塩化ナトリウムの配合量が少ないので、循環器系疾患の患者の病人食や、生活習慣病の予防したり、健康を維持・増進するための健康食品として有用である。
【0084】
【実施例B−5】
〈卵黄粉末〉
生卵から調製した卵黄を、プレート式加熱殺菌機で60乃至64℃で殺菌し、得られる液状卵黄1重量部に対して、無水結晶トレハロース粉末4重量部と実施例A−1乃至A−7の方法により得たアシル化誘導体のいずれかをそれぞれ0.5重量部混合した後、常法にしたがって、ブロック化し、粉末化して7種類の卵黄粉末を得た。
【0085】
本品は、プレミックス、冷菓、乳化剤などの製菓用材料としてのみならず、経口流動食、経管流動食などの離乳食、治療用栄養剤などとして有用であり、また、消炎作用もあることから、外傷治療剤として用いることもできる。
【0086】
【実施例B−6】
〈ヘアリンス〉
結晶性トレハロース粉末(商品名『トレハオース』、固形分重量当りのトレハロース含量98%以上、株式会社林原商事販売)1重量部、実施例A−1乃至A−7の方法により得たアシル化誘導体のいずれかをそれぞれ2重量部、α−グリコシル−ルチン(商品名『αGルチン』、東洋精糖株式会社製造)2重量部、塩化ジステアリルメチルアンモニウム2重量部、セタノール2重量部、シリコンオイル2重量部及びポリオキシエチレンオレイルアルコールエーテル1重量部及び適量の着香料を加熱溶解し、これに1,3−ブチレングリコール3重量部、精製水89重量部及び適量の防腐剤からなる混合物を撹拌しながら混合し、冷却して7種類のヘアリンスを得た。
【0087】
本品は、ヒト及び動物の発育毛の促進や、フケ、カユミ、抜け毛の治療・予防に有用である。
【0088】
【実施例B−7】
〈乳液〉
常法にしたがって、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル0.5重量部、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール1重量部、親油型モノステアリン酸グリセリン1重量部、ピルビン酸0.5重量部、ベヘニルアルコール0.3重量部、マルチトール0.2重量部、アボカド油1重量部、実施例A−1乃至A−7の方法によりアシル化誘導体のいずれかをそれぞれ1重量部、ビタミンE及び防腐剤の適量を加熱溶解し、これにL−乳酸ナトリウム1重量部、1,3−ブチレングリコール5重量部、カルボキシビニルポリマー0.1重量部及び精製水85.3重量部をそれぞれ加え、ホモゲナイザーにより乳化した後、適量の着香料を加え、撹拌により混合して7種類の乳液を得た。
【0089】
ベタつかず、延展性に優れた本品は、日焼止、美肌剤、色白剤として有用である。
【0090】
【実施例B−8】
〈浴用剤〉
DL−乳酸ナトリウム21重量部、ピルビン酸ナトリウム8重量部、実施例A−1乃至A−7の方法により得たアシル化誘導体のいずれかをそれぞれ5重量部及びエタノール40重量部を、精製水26重量部及び適量の着色量、着香料と混合して7種類の浴用剤を製造した。
【0091】
本品は、入浴に際して、温浴で10乃至10,000倍に希釈して使用する。美肌作用、色白作用も兼備する本品は、水で同様に希釈すると、洗顔水や化粧水としても用いることができる。
【0092】
【実施例B−9】
〈練歯磨〉
常法にしたがって、第二燐酸カルシウム45重量部、プルラン2.9重量部、ラウリル硫酸ナトリウム1.5重量部、グリセリン20重量部、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート0.5重量部、ソルビトール10重量部、マルチトール7重量部及び適量の精製水に実施例A−1乃至A−7の方法により得たアシル化誘導体のいずれかをそれぞれ0.1重量部配合して7種類のペースト状物を得た。
【0093】
抗菌力を有し、安定な本品は練歯磨として有用である。
【0094】
【実施例B−10】
〈軟膏〉
常法にしたがって、酢酸ナトリウム・三水塩1重量部及びDL−乳酸カルシウム4重量部をグリセリン10重量部に均一に混和した後、ハッカ油0.5重量部、ワセリン50重量部、木ロウ10重量部、ラノリン10重量部、ゴマ油14.5重量部及び実施例A−1乃至A−7の方法により得たアシル化誘導体のいずれかをそれぞれ1重量部配合し、均一に混和して7種類の軟膏を得た。
【0095】
皮膚の浸透性と延展性に優れ、外傷治療作用も兼備する本品は、日焼止、美肌剤、色白剤として有用である。
【0096】
【実施例B−11】
〈液剤〉
常法にしたがって、硼酸1.8重量部及び塩化ベンザルコニウム0.005重量部に適量の希塩酸、水酸化ナトリウム及び精製水とともに、実施例A−1乃至A−7の方法により得たアシル化誘導体のいずれかをそれぞれ0.05重量部配合し、得られた溶液を滅菌濾過して7種類の液剤を得た。
【0097】
目の粘膜の浸透性に優れた安定な本品は、点眼薬として有用である。
【0098】
【発明の効果】
叙上のとおり、この発明はグリコシル−L−アスコルビン酸の新規なアシル化誘導体の発見に基づくものである。この発明のアシル化誘導体は、L−アスコルビン酸やグリコシル−L−アスコルビン酸、さらには、燐酸エステル、硫酸エステルなどの公知無機酸エステルと比べて油溶性が高い。また、ステアリン酸エステルやパルミチン酸エステルなどの公知の脂肪酸エステルとは違って、生体内でL−アスコルビン酸を遊離する。しかも、この発明のアシル化誘導体は、L−アスコルビン酸と比較して、熱、光、酸素及び金属イオンに対する安定性や、皮膚、粘膜の浸透性が遙かに優れている。しかも、この発明のアシル化誘導体は、L−アスコルビン酸と同様、生体内で発生するラジカルを捕捉する性質も兼備している。したがって、この発明のアシル化誘導体は、L−アスコルビン酸の生理作用を必要とする食品、化粧品及び医薬品において、安定にして安全なL−アスコルビン酸給源として極めて有利に用いることができる。
【0099】
さらに、この発明のアシル化誘導体は、分子内に親水性の部分と疎水性の部分をそれぞれ有するので、水溶性の成分と油溶性の成分をそれぞれ配合した食品、化粧品及び医薬品に用いると、界面活性剤として機能し、両成分を互いに馴染ませ、製品全体を安定化する作用も発揮する。したがって、この発明のアシル化誘導体は、アシル化誘導体及び/又はL−アスコルビン酸の物性を利用する、例えば、抗酸化剤、安定化剤、矯味剤、緩衝剤、乳化促進剤、紫外線吸収剤、さらには、化学工業の分野における反応原料、反応中間体、試薬などとしても有利に用いることができる。
【0100】
斯くも顕著な効果を発揮するこの発明は、斯界に貢献すること誠に多大な、意義のある発明であると言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】60℃の水溶液におけるL−アスコルビン酸、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸及びこの発明のアシル化誘導体の安定性を示す図である。
【図2】37℃の水溶液におけるL−アスコルビン酸、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸及びこの発明のアシル化誘導体の安定性を示す図である。
【図3】2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸及びこの発明のアシル化誘導体を経口投与したときの、L−アスコルビン酸の血中レベルの経時変化を示す図である。
【図4】静脈投与したこの発明の6−Octa−AA−2Gの血中動態及びその代謝産物の推移を示す図である。
【図5】L−アスコルビン酸、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸及びこの発明の6−Octa−AA−2Gを静脈投与したときの、L−アスコルビン酸の血中レベルの経時変化を示す図である。
【図6】L−アスコルビン酸、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸及びこの発明のアシル化誘導体が人工皮膚を透過する様子を経時的に示す図である。
【図7】2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸及びこの発明のアシル化誘導体が人工皮膚を透過し、L−アスコルビン酸及び2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸を遊離する状況を示す図である。
【図8】2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸及びこの発明のアシル化誘導体が人工皮膚内でL−アスコルビン酸及び2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸を遊離する状況を示す図である。
【図9】壊血病を発症したモルモットに、水、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸及び6−Octa−AA−2Gを投与したときの体重変化を示す図である。
【符号の説明】
AsA L−アスコルビン酸
AA−2G 2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸
6−Buty−AA−2G
6−O−ブチリル−2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸
6−Hexa−AA−2G
2−O−α−D−モノグルコピラノシル−6−O−ヘキサノイル−L−アスコルビン酸
6−Octa−AA−2G
2−O−α−D−モノグルコピラノシル−6−O−オクタノイル−L−アスコルビン酸
6−Deca−AA−2G
6−O−デカノイル−2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸
6−Dode−AA−2G
6−O−ドデカノイル−2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸

Claims (8)

  1. アスコルビン酸の2位の位置に1又は複数のグルコシル残基が結合したグリコシル−L−アスコルビン酸におけるL−アスコルビン酸残基の6位の位置のヒドロキシル基が、炭素数が乃至18から選ばれる整数であるアシル基によってアシル化されているグリコシル−L−アスコルビン酸のモノアシル化誘導体。
  2. アシル化誘導体が6−O−オクタノイル−2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸、6−O−デカノイル−2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸又は6−O−ドデカノイル−2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸である請求項1に記載のモノアシル化誘導体。
  3. アスコルビン酸の2位の位置に1又は複数のグルコシル残基が結合したグリコシル−L−アスコルビン酸にアシル化剤を反応させることを特徴とする請求項1又は2に記載のモノアシル化誘導体の製造方法。
  4. アスコルビン酸の2位の位置に1又は複数のグルコシル残基が結合したグリコシル−L−アスコルビン酸にアシル化剤を非水系で反応させることを特徴とする請求項3に記載のモノアシル化誘導体の製造方法。
  5. アスコルビン酸の2位の位置に1又は複数のグルコシル残基が結合したグリコシル−L−アスコルビン酸1モルに対してアシル化剤を3モル以下反応させることを特徴とする請求項3又は4に記載のモノアシル化誘導体の製造方法。
  6. 請求項1又は2に記載のモノアシル化誘導体を含んでなる食品。
  7. 請求項1又は2に記載のモノアシル化誘導体を含んでなる化粧品。
  8. 請求項1又は2に記載のモノアシル化誘導体を含んでなる医薬品。
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