JPH08503374A - 菓子の射出成形 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、異なる熱伝導性を有する分離可能な型中で、脂肪含有材料、特にチョコレート、を成形する方法を提供する。２つの部品（１，２）は０℃より低い温度に保持するのが好ましく、−10℃より低い温度に保持するのがより好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】 菓子の射出成形発明の分野 本発明は脂肪含有生成物、特にチョコレート生成物の製造に関し、ここでは、 溶融脂肪含有マス（mass）を型に導入して成形された固体を得る。本発明は特に 厚さの比較的薄い生成物に適用可能である。これらの生成物は通常「シェル（sh ell）」と呼ばれる。固化後、例えばシェルのような固体生成物は、型からの取 り出し時に、型上の表面仕上げを複製する。得られた生成物は、特にシェルの形 態である場合、適当な食用組成物、特に、例えば、シャーベット、ヨーグルト、 氷、アイスクリームのような冷凍菓子を充填するのに使用できる。発明の背景 型を利用してチョコレートのような脂肪含有生成物を製造する場合、最終生成 物が簡単な方法で壊れることなく得られる必要がある。溶融したチョコレートの マスを型に導入することによって、チョコレート生成物、特にシェルの形態のチ ョコレート生成物を得ることは公知である。チョコレートマスの部分を型の表面 と接触させて固化させた後、型を逆にして残りの液体のマスを貯蔵容器に落とす 。得られたシェルをその後型から取り出すか、又はその場で充填する。チョコレ ートのシェルを得るためのもう一つの方法はスピン成形であり、この場合は、測 定量のチョコレートを丁番付きの１対の型の一方の半分に充填し、両方の半型を 密閉して生成物の形状を造る。その後、密閉した型を幾つかの軸の周りに回転さ せ、チョコレートを型の壁の上に均一に分配すると、そこでチョコレートは固化 し完全なシェルを形成する。型を開けた後、得られたシェルを取り出すか、又は その場でシェルの壁中の小さい穴を通して充填することができる。 しかしながら、最近の設計の生産ラインは、一定の品質（従って、再製品を避 ける）と大きさを有する成分が短い時間間隔で規則的に供給されることを必要と する。型を逆転させる方法は、これらの特性を有するチョコレート生成物を提供 しない。スピン成形はシェルは小さい穴を通して充填されなければならないので 、成分の種類が制限される。 本明細書中において使用される「チョコレート」という用語は、一般に、チョ コレート成分を含む脂肪に基づく組成物を意味し、クーバチャー（couverture） も含む。そのような組成物は文献中において十分に特徴付けられており、その例 はKirk-Othmer（第２版、1964年）の363頁とそれに続く頁、及びElements of Fo od Technologyの579頁とそれに続く頁である。２つ以上の表面から生成物が剥が れなければならない時、再現性のある離型を得ることが一般的な問題である。生 成物は２つの面からきれいに離れることにしばしば失敗して壊れた生成物が得ら れ、その結果、取扱いと再使用が必要になる。文献 米国特許第４４２６４０２号（Kaupert）には、分離した型の間でチョコレー ト成形物を製造することが記載されている。押出しピンを使用して、１つの型の 面からチョコレートのシェルを離れさせる。各々の型部分は異なる温度に保持さ れる。発明の一般的説明 本発明は、２つの分離可能な型を使用して、脂肪含有生成物、特にチョコレー ト生成物を製造する方法を提供し、２つの分離可能な型は、一緒になったとき、 溶融した脂肪含有マスを受け入れるように適合された密閉されたキャビティを形 作る。 固体脂肪含有生成物は、密閉されたキャビティを形作る２つの分離可能な型の 表面の間で成形することによって、 (i) 少なくとも約25％、好ましくは約60％までの脂肪含有率を有する脂肪含 有マス、好ましくはチョコレートマスを約28〜約55℃の範囲内の温度で、分離可 能な型の表面の間のキャビティに導入する工程であって、分離可能な型の表面が それぞれ異なる熱伝導性を有する工程、 (ii) 脂肪含有マスを固化するのに十分な時間脂肪含有マスと型の表面との接 触を保持する工程、及び (iii) 型の表面を分離し脂肪含有生成物を取り出す工程、 において製造される。 この方法は、テンパリング処理されたチョコレートに適用できるが、テンパリ ング処理されていないチョコレートが好ましい原料である。脂肪含有材料は60％ より多くの脂肪を含むことができ、例はカカオ脂と64％の脂肪含有率と12℃の結 晶化温度を有するクーバチャーである。60％未満の脂肪を含む材料の例は46％の 脂肪（カカオ脂、乳脂、及びヤシ油）を含むクーバチャーである。 チョコレートを急速に固化させるために、型表面の少なくとも１方が０℃以下 、好ましくは−10℃以下であるのが好ましい。しかしながら、本発明の方法は、 例えば20℃のような環境温度で行なうことができ、或いは環境温度と冷凍温度の 中間の温度で行なうことができる。各々の表面が０℃〜約−40℃である方法が好 ましい。１方の面が環境温度以上である場合、他方の面は良好な伝熱性を有して いなければならない。市販の装置は−40℃までの温度を与えることができるが、 より低い水準は液体窒素又はその他の極低温材料を使用して得られる。 本発明の特徴は、キャビティ中のチョコレートからの異なる熱伝達を与えるこ とができる２つの型表面を提供する点にある。これは、異なる伝熱係数を有する 材料、例えば、アルミニウムとポリカーボネートのような金属とプラスチック材 料を使用することによって達成できる。脂肪含有マスはより高い伝熱係数を有す る面と接触して初めに固化する。この方法は、型の部分が−10℃のような同一の 温度に保持されている場合でさえも有効である。なぜならば、脂肪含有マスは高 い伝熱係数を有する型から離れるからである。 ２つの型部分は異なる熱伝導率を有することが必要であり、低い方の熱伝導率 が３Ｗ／ｍ／Ｋ未満であるのが好ましく、１Ｗ／ｍ／Ｋ未満であるのがより好ま しい。この型部分は通常下の方の型部分であり、上の方の型部分はより高い熱伝 導率を有する。この配列によって、上の方の型の表面が初めに離れるようになる 。より高い伝導率を有する型部分が10Ｗ／ｍ／Ｋより高い伝導率を有するのが好 ましく、50Ｗ／ｍ／Ｋより高い伝導率を有するのがより好ましい。これらの値は 、与えられた成形されるべき脂肪含有材料の種類及び製造ラインのその他の特性 に対して有効な操作を与えるように選択できる。熱係数間の差は最大にされるべ きではあるが、熱係数間の比率が少なくとも10の場合ある程度の効果が得られ、 熱係数の比率が少なくとも30であるのが好ましく、少なくとも50であるのがより 好ましい。 本発明の方法は第１の型部分を分離させるのに突出ピンの使用を必要とせず、 離型させるために特殊な表面の使用を必要としない。発明の具体的な説明 本発明を説明するために本発明の方法の実施例をここで記載するが、添付の図 面を参照する。 第１図は、ダイの３個の別々の部品の軸断面図であり、第２図は射出成形ダイ を形成するために入れ子式に組み立てられた部品の軸断面図である。実施例Ｉ 外側ダイ部品１、内側ダイ部品２、及びインサート３からダイを形成する。ダ イ部品は、それらが冷却装置と共同して０℃以下で操作できるように、アルミニ ウム製であり、アルミニウムは好ましい金属である。アルミニウムは熱コンダク タンス特性のために好ましい金属である。ダイの一方が、例えば、ポリカーボネ ートのような、より伝導性の悪い材料から成っている場合、温度は同じにできる 。インサート３は、チョコレート流れを型に注入するとき、チョコレート流れを 断熱するようにプラスチック材料から製造される。アルミニウムは147.0Ｗ／ｍ ／Ｋの熱伝導率を有し、ポリカーボネートは０．２Ｗ／ｍ／Ｋの値を有する。も う１つの高い伝導率の材料はステンレス鋼（16.3Ｗ／ｍ／Ｋ）である。 ダイ部品１は円筒状形態であり、直円錐台形（frusto-conical shape）の内側 側壁４を有する。ダイ部品２がダイ部品１と面６及び７を面接触させながら一緒 になるとき、壁４は外側壁５とともに型間隔11を形成する。部品２中の中央のチ ャンネル８は部品３の射出棒９を受け入れるように適合されている。棒９の下の 方の離れた端はチャンネル８に隣接する内側に向いたカラー１３に接して保持さ れ、円柱状の断熱空間１２を形成する。第２図に示されているように組み立てら れたとき、インサート３上の接続部10は方向14からの供給されるべき溶融チョコ レートの供給を可能にする。 43％の脂肪含有率と45℃の温度を有する溶融したテンパリングされていないチ ョコレートを、接続部10を経由するピストン供給操作を使用して射出棒９を通し て空間11に約３バールで注入した。シェルが外側の部品中に確実に残るようにす るために、外側のダイ部品１は−15℃であり、内側の部品２は−25℃であった。 この手順によって、シェルを部品１から取り出す前にシェルに冷凍菓子を充填す るという選択が可能になった。取り出しは、部品１を通して伸びてシェルに接触 するピンによって行った。シェルの固化は急速であり、従って、チョコレートの 注入後数秒でダイ部品は分離できる。シェルの厚さは1.5mmであったが、この方 法は、上記の一般的説明から離れることなく、その他の厚さのシェルにも適用で きる。実施例II ポリカーボネート製の外側ダイ部品１を使用し、成形プロセス中環境温度に保 持しながら、実施例Ｉを繰り返した。アルミニウムの内側ダイ部品２を−26℃に 保持して、その他の部品は前に記載した通りであった。チョコレートのマスを、 シェルが内側ダイ部品から離れることができる程度まで、約２秒間で固化した。 このシェルはその後外側ダイ部品中で充填でき、或いはその後の処理のために取 り出すことができた。

【手続補正書】特許法第１８４条の８ 【提出日】１９９４年９月２０日 【補正内容】請求の範囲 １．密閉されたキャビティを形作る２つの分離可能な型の表面の間で成形するこ とによって脂肪含有生成物を製造する方法であって、 (i) 少なくとも約25％の脂肪含有率を有する脂肪含有マスを約28〜約55℃の 範囲内の温度で、分離可能な型の表面の間のキャビティに導入する工程であって 、これらの表面は異なる熱伝導性を有する工程、 (ii) 脂肪含有マスを固化するのに十分な時間脂肪含有マスと型の表面との接 触を保持する工程、及び (iii) 型の表面を分離し脂肪含有生成物を取り出す工程、 を含む方法。 ２．脂肪含有マスが60％までの脂肪を含む、請求項１の方法。 ３．脂肪含有マスがチョコレートである、請求項１又は２の方法。 ４．脂肪含有マスがテンパリングを施されていない、請求項１乃至３のいずれか １請求項の方法。 ５．一方の型の表面が０℃より低い温度である、請求項１乃至４のいずれか１請 求項の方法。 ６．各々の型の表面が約０℃〜約−40℃の温度である、請求項１乃至５のいずれ か１請求項の方法。 ７．２つの型の表面の一方が他方と異なる温度であり、キャビティ中の脂肪含有 マスが表面に対する差のある熱伝達にさらされる、請求項１乃至６のいずれか１ 請求項の方法。 ８．i）型の表面が上側の型の表面と下側の型の表面とを含み、ii）脂肪含有マ スが初めに上側の型の表面で固化し離れ、シェルが下側の型の表面中に残る、請 求項７の方法。 ９．一方の型部品が３Ｗ／ｍ／Ｋ未満の熱伝導率を有し、他方の型部品が１０Ｗ ／ｍ／Ｋより大きい熱伝導率を有する、請求項１乃至８のいずれか１請求項の方 法。 10．一方の型部品が１Ｗ／ｍ／Ｋ未満の熱伝導率を有する、請求項９の方法。 11．他方の型部品が50Ｗ／ｍ／Ｋより大きい熱伝導率を有する、請求項９又は10 の方法。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ， ＴＤ，ＴＧ)，ＡＴ，ＡＵ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ， ＣＡ，ＣＨ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，Ｈ Ｕ，ＪＰ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＧ ，ＭＮ，ＭＷ，ＮＬ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ， ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＫ，ＵＡ，ＵＺ，ＶＮ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．密閉されたキャビティを形作る２つの分離可能な型の表面の間で成形するこ とによって脂肪含有生成物を製造する方法であって、 (i) 少なくとも約25％の脂肪含有率を有する脂肪含有マスを約28〜約55℃の 範囲内の温度で、分離可能な型の表面の間のキャビティに導入する工程であって 、これらの表面は異なる熱伝導性を有する工程、 (ii) 脂肪含有マスを固化するのに十分な時間脂肪含有マスと型の表面との接 触を保持する工程、及び (iii) 型の表面を分離し脂肪含有生成物を取り出す工程、 を含む方法。 ２．脂肪含有マスが60％までの脂肪を含む、請求項１の方法。 ３．脂肪含有マスがチョコレートである、請求項１又は２の方法。 ４．脂肪含有マスがテンパリングを施されていない、請求項１乃至３のいずれか １請求項の方法。 ５．一方の型の表面が０℃より低い温度である、請求項１乃至４のいずれか１請 求項の方法。 ６．各々の型の表面が約０℃〜約−40℃の温度である、請求項１乃至５のいずれ か１請求項の方法。 ７．２つの型の表面の一方が他方と異なる温度であり、キャビティ中の溶融チョ コレートが表面に対する差のある熱伝達にさらされる、請求項１乃至６のいずれ か１請求項の方法。 ８．チョコレートマスが初めに上側の表面で固化し離れ、シェルが下側の表面中 に残る、請求項７の方法。