JPH08500083A - ミエリン塩基性タンパク質のペプチドフラグメントを用いたt‐細胞増殖の抑制 - Google Patents

ミエリン塩基性タンパク質のペプチドフラグメントを用いたt‐細胞増殖の抑制

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JPH08500083A JP5518509A JP51850993A JPH08500083A JP H08500083 A JPH08500083 A JP H08500083A JP 5518509 A JP5518509 A JP 5518509A JP 51850993 A JP51850993 A JP 51850993A JP H08500083 A JPH08500083 A JP H08500083A
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Abstract

(57)【要約】 本発明はヒトミエリン塩基性タンパク質のぺプチドに関するものであり、特にヒトミエリン塩基性タンパク質の免疫優性エビトープを含むアミノ酸配列に関するものである。本発明はまたヒトミエリン塩基性タンパク質ぺプチドがつかさどる自己免疫を抑制する方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】ミエリン塩基性タンパク質のペプチドフラグメントを用いたT-細胞増殖の抑制 本発明は、米国に係属中の一部継続出願であり、以下の対応PCT出願を適用 可能である: (a)1990年3月30日に出願された出願番号07/502,559の係 属中の米国出願の一部継続出願である1992年4月9日に出願された出願番号 07/885,318号 (b)1992年2月28日に出願された出願番号07/843,752号。発明の分野 本発明は、T-細胞に媒介された、またはT-細胞依存性の自己免疫応答の抑制 のための組成物及び方法に関する。より詳しくは、本発明はミエリン塩基性タン パク質(MBP)のペプチドフラグメント及びその類似体からなる組成物、及び 、ミエリン塩基性タンパク質に特異的なヒトT-細胞の増殖をアネルギー化また は停止させる、または、そのようなT-細胞の活性抑制を引き起こすために、そ のペプチド及び組成物を用いる方法に関する。本発明のペプチドは、ミエリン塩 基性タンパク質反応性のCD4+T-細胞の同定にも有用である。発明の背景 本節における議論は、本発明に対する「従来技術」とされる著作の議論に限ら れない。従って、本発明者の利害関係に対するいかなる承認や宣誓も、この議論 を理由として含まれることはない。 多発性硬化症(MS)は、ヒト中枢神経系の白質の臨床的炎症性疾患であり、 自己免疫性の病因であると考えられている。その病因にかかわらず、MSは、神 経組織の自己免疫攻撃に結び付いている。例えば、その疾患は、ブロミネント( prominent)T-細胞及びマクロファージが、神経組織(例えば、脳、末梢神経、 または関連した細胞タイプ)中への浸潤、脱髄及び神経病理学的機能障害によっ て特徴づけられる。ミエリン塩基性タンパク質(MBP)は、MSの大多数の動 物モデル、実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)における誘発試薬としての役 割、 と同様にヒト疾患のポスト−バイラル(post-viral)脳脊髄炎におけるその役割 のために、本発明者とその共同研究者及び他の者によって、疾患の自己抗原とし て広く研究されている。さらに、本発明者およびその共同研究者らは、”バイス タンダー(bystander)抗原”としてのMBPを研究した(上述の、出願番号8 43,752号)。 MSの病原に関する主要な仮説では、CNSの白質中のミエリン塩基性タンパ ク質と反応性のT-細胞が炎症性過程を開始する。他の仮説では、プロテオリビ ドタンパク質(PLP)と反応性のT-細胞が炎症性過程を開始する。ミエリン 塩基性タンパク質(MBP)に特異的な活性化されたT-細胞が、MS患者から 単離されるという証明(Allegretta,M.et al.,Science,247:778,1990)は、 さらに、その疾患の病原に、MBP−反応性T-細胞が含まれることを暗示する 。本発明者らの研究は、炎症過程の開始に引き続く、その疾患の病理にも、MB P−反応性T-細胞が含まれることを示した。(以下でさらに詳細に述べるよう に、本発明者らは、健康人もまた、しばしばMBP−特異的T-細胞を有してい るが、MS患者と異なり、健康人からのMBP−特異的T-細胞は活性化されて いないということを証明した。) MSの現在の治療は、単に緩和するだけであり、患者の免疫応答を抑制するた めに非−特異的形態で作用する薬剤の投与を含んでいる。そのような薬剤の例は 、シクロホスファミド、イムラン(アザチオプリン)、シクロスポリンAである 。プレドニソン及びメチルプレドニソンのようなステロイド化合物もまた多くの 例で採用される。これらの薬剤は、MSに対して限られた効力しか持たない。そ のような薬剤は、それらの毒性により、また、長期的な使用において”全身の( global)”免疫抑制を誘発する、即ち、それらが、病原微生物に対する通常の保 護的免疫応答をダウンレキュレート(downregurate)し、それにより、感染の危 険性を増すという事実によって使用を制限される。さらに、長期間に渡って全身 の免疫抑制された患者は、ある悪性の発展の危険性が増大する。 生起している免疫過程のさらに詳細は、実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE )、MSの第1の動物モデルについて知られている。EAEは、適当なアジュバ ント中のミエリン塩基性タンパク質(MBP)での免疫化によって、またはCD 4+、MBP-反応性T-細胞の注入を通した獲得転移によって、小型哺乳類に容 易に誘発されうる。(Alvord Jr, E.C.らeds.in Experimental Allergic Enc ephalomyeritis: Auseful model for Multiple Sclerosis,A.R.Liss,N.Y., 1 984;Makhtarian,D.E.ら Nature 305: 356, 1984; Ben-Nun,A.ら J.Immuno l . 129:303,1982)。マウス及びラットの両方においてEAEを誘発するT-細 胞は、起脳炎細胞と名付けるが、MBPの免疫優性(immunodominant)領域に対 応するペプチドを特異的に認識する。これらの領域のT-細胞に対する提示(pre sentation)は、抗原−提示細胞(APCs)の表面で、独自の主要組織適合性 抗原系(MHC)クラスII分子を伴って生ずる。MBPの免疫優性領域、即ち CD4+タイプのT-細胞反応性のMBPによって最も頻繁に認識されるタンパク 質の一部は、宿主哺乳類の種及び、MBPのアミノ酸配列が非常に高い種間相同 性を示すという事実にもかかわらず、MBPの種類によっても異なる。例えば、 本発明者及び共同研究者が発見したように、ヒトにおけるヒトMBPの免疫優性 エピトープ(epitope)は、アミノ酸84−102からなるヒトMBP分子のサ ブ配列に含まれる。他の免疫優性エビトープが、アミノ酸143−168からな るヒトMS分子のサブ配列に見いだせる。これは、MSに感染した個人から単離 したヒトT-細胞の特異性によって証明される(関連特許出願、出願番号502 ,559及び後述の実施例1)。マウスMBPの免疫優性領域は、マウスに投与 したときアミノ酸1−9であり(ZamvilらNature 324: 258,1986)、ラットの免 疫優性領域は、ラットに投与したときアミノ酸66−88である(BurnsらJ.Exp .Med.169:27,1989)。一方、ラットにおけるモルモットMBPのイムノトミナン ト領域は、残基75−84に位置している(Hashim,G. Myerin:化学と生物学, Alan R.Liss,N.Y.1980)。 EAE系においてなされた研究に基づいて、一般的な自己免疫性疾患、特にM Sの治療に対して、他の治療法が発達した。1987年6月24日に出願された 米国特許出願、出願番号65,794(現在は取り下げられた)、及び1988 年6月24日に出願された同時係属の国際特許出願PCT/US88/0213 9であって、現在は各国段階の米国出願番号07/460,852、及びその一 部継続出願である米国出願番号07/596,936とは、全ミエリン塩基性タ ンパク質の経口または経腸投与によれば、疾患−誘発性及び非誘発性フラグメン ト及びそれらの類似体と同様に、急性の単相性EAEの抑制において有効であり 、同様に投与したとき、MS徴候を抑制するのに有効である。 以下の、同時係属の共同で譲渡した特許出願もまた興味深い:1989年12 月20日に出願された米国特許出願第454,806号は、自己抗原、前記自己 抗原の疾患−誘発性フラグメントおよびそれらの類似体のエアロゾル(aerosol )投与が、MSのようなT-細胞媒介自己抗原疾患を治療するために有効な治療 法であることを開示している。 ”自己抗原の経口投与による自己免疫性疾患のダウンレギュレーシヨンの促進 ”という名称で、1990年3月20日に出願された米国特許出願第07/48 7,732号は、自己抗原、疾患−誘発性フラグメント及びそれらの類似体の経 口投与とともに相乗剤(促進剤)を使用することが、T-細胞媒介自己免疫性疾 患の治療に効果的であることを開示している。 米国特許出願第07/843,752号は、経口または吸入によるバイスタン ダー抗原の投与により、自己免疫疾患を治療するための方法及び組成物を開示し ている。バイスタンダー抗原は、組織−特異的抗原であり、免疫攻撃の場所に存 在し、経口投与されたとき、攻撃を受けている組織において逆に免疫攻撃を抑制 するT-サプレッサー細胞を生成する。バイスタンダー抗原は、自己抗原である 必要はなく、それ自体が免疫攻撃の標的である必要はない。(実際、(経口投与 で抑制を引き起こす)免疫優性エビトープは、攻撃を受けている組織における同 じ抗原の他の部分または他の抗原の部分に対して向けられた免疫攻撃の抑制にお いてバイスタンダー抗原として振る舞うが、自己抗原の免疫抑制エビトープは、 それらの免疫優性エビトープとは異なるという証拠がある。)しかし、バイスタ ンダー抗原は、(a)攻撃を受けている組織に特異的であり、(b)経口投与で T-サプレッサー細胞の引き出し能力を持たねばならない。 T-細胞レセプターは、2本の異なったタンパク質物質の鎖からなる。あるT −細胞レセプター(TCRs)は、V−ベータ(VB)鎖とV−アルファ(VA )鎖からなり、MBPを認識することが知られている。SJL/PLマウスにお いて、これらのレセプターを有する起脳炎(即ち、マウスに投与したとき疾患を 誘 発する)T-細胞は、MHC分子から提示され(Zamvil, S.S.ら,Nature 324:25 8,1986)、マウス遺伝子H−2でエンコードされたN−末端マウスMBPペプチ ド(残基1−9)を認識する。MHCに関連して提示されるこのペプチドを認識 するT-細胞レセプターの大多数は、マウスTCR遺伝子VB8.2及びVA2 またはVA4によりエンコードされる。ルイスラット(Lewis Rat)において、 マウスVB8.2及びTCRVA2遺伝子と相同なTCR遺伝子セグメント(se gment)が、ルイスラットMHCを背景とするMBP残基68−88を認識する 起脳炎T-細胞に見いだされた(BUrns,F.R.ら,J.Exp.Med.169:27,1989)。 VB8.2−特異性モノクローナル抗体(即ち、対応遺伝子により発現される生 成物VB8.2を認識する抗体)のマウスへの投与は、ネズミのEAEの治療に 効果的であることが示された。特にTCRVB8.2アミノ酸配列に対応するペ プチドによる免疫化は、ルイスラットのEAEを改善する(Vanderbark, A.A.ら ,Nature 341:541-544,1989;Howell,H.D.ら,Science:246.668;1989)。 しかし、免疫優性領域のように振る舞う(MBPのような)自己抗原の領域は、 種特異的である。これまでのところ、ヒトにおいて、MBPの免疫優性領域を認 識するT-細胞間での、TCRV−遺伝子におけるコモン(common)V−遺伝子 の利用法が存在するか、また、これらの免疫優性領域がMS患者において積極的 に同定されるかどうかは決定されていない。 現在、多重投与量及び少量の、起脳炎免疫優性エピトープを含む全抗原の経口 投与がこのタイプの活性抑制を引き起こすことが見いだされている。一方、全自 己抗原(または起脳炎免疫優性エビトープを含むそれらのフラグメントのひとつ またはそれ以上)のi.v.投与もまた、自己抗原のエピトープを認識する免疫 攻撃T-細胞以外の抑制を引き起こす。後者のタイプの抑制は、クローナル・ア ネルギーの機構を通して進行すると考えられているが、1回の投与及び、起脳炎 エビトープ、特に免疫優性エピトープを含む多量の抗原を、特にプロテアーゼ阻 害剤とともに経口投与したときにも観察される。 MSに対する自己抗原であると考えられるタンパク質であるヒトMBPについ て、本発明者らは広範に試験し、MS患者から単離された多くのMBP−特異的 免疫攻撃(CD4+)T-細胞によって認識されるエピトープを含むタンパク質の フラグメントを明らかにした。免疫優性エピトープからなるそのようなフラグメ ントは、MSにかかった患者への投与の候補者のようであり、自己免疫応答の抑 制、特に神経組織への自己免疫攻撃に応答性するMBP-反応性T-細胞の機能の 抑制を終点とする。その最後に、本発明は、そのような治療を必要とする哺乳類 に対するペプチドフラグメントの経口投与のみならず、そのようなフラグメント の経腸投与も考慮する。 従って、本発明の目的は、免疫抑制試薬、特にヒトMBPのフラグメント、そ して、これらのフラグメントをヒトT-細胞機能の抑制に使用する方法を提供す ることにある。 本発明の他の目的は、ヒトへの経口及び/またはi.v.投与に有効なヒトM BPのこれらのフラグメントからなる組成物及び製薬製剤、そして、そのような 製剤の使用方法を提供することにある。 本発明のさらに他の目的は、ヒトT-細胞の特異性を決定するのに使用できる 試薬として、免疫優性エピトープを含むMBPのペプチドフラグメントを提供す ることにある。 本発明のさらなる目的は、MBP−反応性T-細胞をアネルギー化したり、そ のようなT-細胞の活性抑制を起こす化合物及び組成物を提供することにあり、 後者は、MBP-反応性T-細胞の増殖の抑制という例示で証明される。 本発明の、これら及び他の目的は、当業者にとって、本明細書、図面、請求の 範囲に照らして明らかになる。図面の簡単な説明 図1は、MS患者(左側パネル)及び健康な対照(右側パネル)から単離した 、異なるヒトMBPペプチドフラグメントと特異的に反応するMBP反応性T- 細胞の頻度を示す棒グラフである。 図2A及び2Bは、MBPで経口トラライズ(tolerize)された動物からの脾 臓細胞の転移による(MBP-特異的起脳炎T-細胞のi.p.接種によって誘発 された)EAEの抑制のグラフ的表示である。 図3は、MBP給餌動物からのCD4+−欠如またはCD8+−欠如のT-細胞 の同時転移により獲得転移されたEAEの抑制を示す。 図4は、MBP給餌動物からの種々のT-細胞サブセットのCD4+T-細胞を 伴う同時転移によるEAE誘発(もしあったら)に対する保護の程度に関連した DHT応答の棒グラフである。 図5は、MBP-給餌マウスからの種々のT-細胞サブセットを注入されたマウ スのCNS(即ち、実質及び髄膜)から単離された炎症性のフォシ(foci)の平 均数を表現する定性的組織学分析の棒グラフである。 図6Aは、MBPの静脈内(IV)投与によって積極的に誘発されたEAEの 抑制を示す。図6Bは、MBPのIV投与の獲得転移されたEAEに対する影響 、及び、それらを起脳炎MBP列を伴う無垢の動物への同時投与したとき、IV −トラライズされた動物の脾臓が抑制を与えない可能性を示す。 図7は、異なるMBPペプチドの経口(A)またはIV(B)投与に引き続く EAE抑制の変化を表す棒グラフである。 図8は、ヒトMBPの免疫優性エピトープ領域(ヒトMBPアミノ酸残基番号 84−102)に基づいて構成された種々のペプチドの、ヒトMBP-反応性T- 細胞クローンの増殖を刺激する能力のグラフ的表現である。 パネルA:ひとつまたはそれ以上のN-末端アミノ酸のオミッティング(omittin g)効果。 パネルB:ひとつまたはそれ以上のC−末端アミノ酸のオミッティング効果。 図9は、15−メル(mer)(ヒトMBPアミノ酸残基番号85−99)の、 4つの異なるヒトT-細胞クローンの増殖を刺激する能力を、MBPペプチド8 4−102及び86−97の、そのような増殖を刺激する能力との比較において 示すグラフである。 図10は、85−99及び88−104ヒトMBPペプチドに接触したTCR /MHCを示すチャート(chart)、及び、この相互作用に対して提出されたモ チーフ(motif)である。 図11は、本発明のヒト85−99MBPペプチドによるT-細胞クローンの 増殖の誘発を、元のままのMBPタンパク質によるこれらのクローンにおいて誘 発された増殖との比較において示すチャートである。 図12は、5人のMS患者から生成され、MBP残基84−102反応性の、 18T-細胞列からのcDNAのPCR増幅を示すオートラジオグラフである。 図13は、TCRVB及びJB遺伝子のMBP-反応性T-細胞列の、MS患者 の末梢血液から生成されたMBP反応性T-細胞列に対する使用のサザンブロッ ト分析のオートラジオグラフである。 図14は、MS患者及び対照から単離されたT-細胞の、これらの患者がある MCH抗原を持っているかどうかに関連したヒトMBPポリペプチドの異なる領 域に対する反応性を示す一連の棒グラフである。 図15.事前にフリーペプチド抗原で刺激したT-細胞は、抗原性刺激に対し て非応答性である。T-細胞クローンOb.1A12.8は、MBPペプチド8 4−102で、または84−102でパルスされたDR2+B細胞列(9010 )もしくはL細胞トランスフエクタントで、37℃で2時間直接刺激され、増殖 を検定された。1回の刺激のウェル(well)中のペプチドの最終濃度を示した。 パネルAに見られるように、3つ全ての刺激物は、等価なT-細胞増殖をもたら した。7日後、T-細胞は洗浄され、84−102(5μg/ml)または84 −102でパルスされたB細胞もしくはL細胞(100μg/ml)に対する応 答が再検定された。パネルBに示したように、最初に高濃度の84−102で刺 激されたT-細胞は、いかなる第2の抗原性刺激に対しても非応答性であった。 図16.T-細胞の非応答性は、B細胞の添加では防ぐことができない。T-細 胞クローンOb.1A12.8は、第1の刺激として、単独、またはMHCクラ スII適合性(9010)または非適合性(9009)の照射され形質転換され た表示した数のB細胞を添加した84−102の存在下のいずれかで、7日間第 1の刺激の培養をされた。次に、洗浄され、MBP84−102ペプチド(5μ g/ml)またはrIL−2(103u/ml)のいずれかの増殖が検定された 。 ペブチドなしで成長したT-細胞(丸印)は、第2の抗原性刺激に対して十分に 増殖することができるが、ペプチドとともに成長したもの(四角印)は、B細胞 添加に関わらず非応答性であった。IL−2の増殖は、すべての細胞集団におい て等価であった。 図17.T-細胞アネルギーの反応速度論。T-細胞クローンOb.1A12. 8は、5μg/mlの84−102中で0から168時間培養され、洗浄され、 84−102またはIL−2の増殖が検定された。誤差表示は、3倍培地からの CPMの標準誤差を表している。2つの一致するが分離された実験からのデータ が、全ての時間に対してプールされた。 図18.アネルギー化されたT-細胞は、CD3の発現を継続する。T-細胞ク ローンOb.1A12.8は、5μg/mlの84−102存在下または非存在 下で4日間培養され、洗浄され、細胞表面表現型及び増殖的応答の両方が検定さ れた。細胞は、標準MAbMsIg−FITCまたはOKT3FITCに30分 間(コールター(coulter))で30分着色した。4℃で2回洗浄し、1%ホルマ リン中で固定し、フローサイトメトリーで検定した。同じ第1の培地からのT- 細胞は、84−102またはrIL−2存在または非存在でパルスされたB細胞 (9010)の増殖に対して検定された。 図19.種々の刺激物によるアネルギー化されたT-細胞の活性化。84−1 02存在下または非存在下で7日間培養されたT-細胞クローンOb1A12. 8は、洗浄され、αCD3+PMA、T1l2+Tl13、PMA+イオノンマイ シン(iononmysin)、及びrIL−2の対数滴定に対する増殖が検定された。各 試薬の最終濃度または腹水希釈液をx−軸に取った。PMA濃度は、αCD3ま たはイオノンマイシンの濃度の下に挙げた。 図20.アネルギー化されたT-細胞は、抗原性刺激に対して[Ca+2]iを 放出する能力を阻害された。Ob.1A12.8は、±5μg/ml84−10 2で7日間培養され、洗浄され、[Ca+2]iの分析のために2μg/mlのI ndo−1で負荷された。+100μg/mlの84−102でパルスされたイ オノマイシン(100μg/ml)、αCD3(1/30腹水希釈液)、または B細胞(9010)による第2の刺激が、矢印で示した時点でフローサイトメー ターに添加された。APC刺激のために、細胞はフローサイトメーターから取り 出され、1分間遠心分離された。(実線で示した)。各試料のパーセント応答は 、ベースラインより上の細胞の%を表している(刺激後引く刺激前)。 図21.アネルギー化されたT-細胞によるシトキンの生成。 A.T-細胞クローンOb.1A12.8は、84−102存在下または非存在 下で、2日間培養され、10ng/mlのPMA+1μg/mlのイオノマイシ ン、または5μg/mlの84−102±10ng/mlのPMAの存在下また は非存在下で、37℃で4時間刺激された。全細胞RNAは、ノザン分析のRN Aゾル(RNAzol)B法により抽出された。括弧は、それぞれがシトキン特異的プ ローブに加えて、β−アクチン制御プローブでハイブリッド化された同一の試料 の2つの異なるノザンブロットを表している。mRNA結合のおよその寸法が挙 げられている。 B.Ob1A12.8は、±84−102で2日間培養され、洗浄され、84− 102または、ポジティブな対照としてrIL−2で刺激された。第2の培養後 20時間に上澄み液が回収され、HT−2細胞の培地で1:3に希釈された。H T−2細胞の増殖は、84−102で刺激されたアネルギー化されていないT- 細胞の上澄み液にIL−2が存在し、それはrIL−2のポジティブな対照で最 大であることを示している。発明の概要 ひとつの態様において、本発明は、ヒトMBPのフラグメントであるペプチド からなる免疫抑制試薬に向けられている。本発明の実施態様は、ペプチド及びそ れらのペプチドからなる製薬組成物を含んでいる。 本発明は、前記ペプチドを、ミエリン塩基性タンパク質及びそれを含む組織に 対する免疫応答の抑制のため、及び/または、ヒトMBPの免疫優性エビトープ を認識するT-細胞の抑制のために使用する方法にも向けられている。これらの 方法は、本発明によるぺプチドのひとつまたはそれ以上の経口および/または経 腸投与を含み、タンパク質及びそれを含む組織に対する免疫応答の抑制をもたら す。 本発明には、アミノ酸配列ENPVVHFFKNIVTPRからなるヒトMB Pのフラグメントも含まれる。 さらなる態様にあっては、本発明は、MBPの前記フラタメントのひとつまた はそれ以上からなる製薬組成物に向けられている。 本発明のさらなる態様は、ヒトT-細胞機能の抑制、及びCD4+MBP-反応 性ヒトT-細胞の同定におけるヒトMBPのフラグメントの使用方法を含む。発明の詳細な説明 本明細書で挙げられている特許出願、特許、及び出版物は、その全体が参考文 献としてこの明細書に取り入れられている。不一致がある場合は、定義を含めた この開示が優先する。 ここで用いられる”抑制(suppression)”は、その細胞を通常刺激する因子 に対する応答におけるT-細胞の増殖の、計測可能で再現性のある減少を含む。 しかし、本発明は、有害なT-細胞の増殖、即ち自己免疫攻撃を促進するT-細胞 (自己抗原に特異的なCD4+T-細胞、例えばMBP)の増殖の抑制にのみ関す ることを強調すべきである。確かに、本発明の重要な態様は、限られた方法によ って抑制を引き起こす能力であり、以下で議論するように、自己抗原に特異的な 有害なT-細胞の抑制は、投与されたMBPのフラグメント及び/または投与方 法の選択の結果である。 有害なT-細胞の増殖の抑制は、間接的にも測定できる。即ち、MSに見られ る神経組織に対する損傷のような、免疫攻撃T-細胞増殖が直接的あるいは間接 的に引き起こす疾患の徴候の緩和、またはMS患者が被るMSの攻撃の数や厳し さの減少を通して見られる。神経組織に対する損傷は、例えば、磁気共鳴イメー ジング(magnetic resonance imaging)(MRI)によって検査でき、損傷の数 及び厳しさの測定を、それらの中に見ることができる。MS攻撃数または厳しさ の減少は、例えば患者の臨床評価によって検査することができる。MRI及び臨 床評価は、この分野ではよく知られている。 ”自己抗原(autoantigen)”という用語は、異常な状態にある哺乳類に通常 見いだされる物質であり、その哺乳類のリンパ球または抗体によって、けっして ”自己”とは認識されず、免疫調節系によって外来物質であるとして攻撃される 物質と定義する。即ち、自己抗原とは、自己免疫破壊を受ける抗原である。元の 抗原に特異的な抗体または(CD4+タイプの)同等(even)T-細胞が単に存在 するだけでは、それは自己抗原として確立されない。MBP及びPLP(プロテ オリピドタンパク質)は、MSにおける自己抗原の例である。 (MBPのような)自己抗原の”免疫優性エピトープ”は、感応性哺乳類のT -細胞の大多数(絶対多数である必要はない)を含むがそれに限られない十分な 数のT-細胞によって認識される抗原決定因子を意味し、その感応性哺乳類が病 気の哺乳類でもあるとき、抗原に対してそのようなT-細胞が、免疫応答を開始 または開始を助ける。(この議論から、”感応性の”哺乳類が病気になった哺乳 類である必要がないということは明かである。) 自己抗原の”免疫優性領域”または”免疫優性ドメイン”は、免疫優性エピト ープを含む自己抗原のアミノ酸配列の領域と定義する。MBPまたは他の自己抗 原の免疫優性エピトープ(及び領域)の構造(及び/またはMBPまたは他の自 己抗原分子の配置)は、宿主に依存して変化する、よって宿主特異的である。本 発明者らは、免疫優性エピトープが宿主特異的である理由は、それらが(約8か ら約15のアミノ酸の長さのペプチド断片に含まれると考えられる)モチーフか らなり、それが宿主の主要な主要組織適合抗原系に結合することであるという証 拠を挙げた。このモチーフは異なる種間で変化し(MHCも同様に変化し)、同 じ種の要員の間でも多形態性を示す。 MBPのフラグメントの”類似体(analog)”という用語は、MBPのフラグ メントに構造的に関連し、MBPフラグメントと同様の生物学的活性を有する化 合物を含む。この定義でいう生物学的活性とは、MBPフラグメントを投与した 際のT-細胞媒介またはT-細胞依存性の自己免疫応答を抑制する能力、または自 己免疫攻撃の原因となるか、あるいはそれに貢献するT-細胞の増殖を抑制する 能力、もしくは、MBPの免疫優性エピトープを認識するT-細胞によって認識 される能力をいう。フラグメントMBP84−102の類似体の例は、フラグメ ントMBP84−102tyrであり、アミノ酸102がチロシンに変わってい る。図8からわかるように、この変化はMBPフラグメントのMBP-反応性T- 細胞列の増殖を刺激する能力に、全くあるいはわずかにしか影響を与えない。さ らに、アミノ酸配列は、本フラグメントは比較的小さな寸法であるので、フラグ メントの溶解性または薬理反応速度に影響を与えないと予想される。”類似体” は、同程度に同じ活性を発揮する必要はないことは特記すべきである。即ち、” 類似体”は、元の抗原の実際のフラグメントと同様に有効な抑制剤である必要は ない。 関連したヒトMBPエピトープの他の類似体が、これらの類似体の、MHCと 結合したり、関連するT-細胞レセプターによって認識されたりする能力(両者 はインビトロで試験できる)に基づいて構成される。 ここで用いる”T-細胞”または”T-リンパ球”は、造血(即ち血液を造る) 組織に位置したステム細胞から導かれた免疫系細胞と定義する。T-細胞には3 つの広いカテゴリー:ヘルパー、サプレッサー、及び細胞毒がある。T-細胞は 、CD4抗原(そのときCD4+T-細胞と称される)またはCD8抗原(この場 合CD8+T-細胞と称される)のどちらかを、その細胞表面で発現させる。周辺 (circulating)T-細胞によるCD4またはCD8の発現は、そのT-細胞の機 能及び特異性に相関している。CD4+である”ヘルパーT-細胞”は、抗原及び クラスIIMHC分子を認識し、ヘルパーまたは調節機能を果たす。”細胞毒” 及び”サプレッサー”T-細胞(CD8+である)は、抗原及びクラスIMHC分 子を認識し、細胞毒及び抑制機能を果たす。 ”積極的な抑制(active suppression)”は免疫機能の抑制であり、その抑制 が、免疫細胞、特に調節(サプレッサー)T-細胞の付加による誘発の結果であ る。”クローナルアネルギー(clonal anergy)”は、非応答性及びさらに特別 には、これらの細胞が通常は特異的で、通常は増殖するような抗原の提示に対す る非応答性の状態にある免疫細胞、特に免疫攻撃T-細胞における誘発による免 疫機能の抑制である。La Salle, J.ら,J.Exp.Med.,176:177−186,1992年7月 。アネルギー化されたT-細胞は、それらが”ターン・オフ(turn off)”され たと見られるものを除いた全ての点において平常であることを示す。それらは、 インターロイキン-2(IL-2)の添加なしでは活性化されず、それらが認識す る抗原の提示に際して増殖しない。IL-2が加えられると、細胞は脱アネルギ ー化(de-anergized)となり、抗原の提示に際して増殖を始める。 ここで用いる”治療(treatment)”は、MSの徴候を持つ自己免疫疾患(ま たはそれらの臨床的徴候の発現)を防御する予防治療と、治癒的治療、即ち、M Sの徴候を呈する疾患のオンセット(onset)後の、ひとつまたはそれ以上の徴 候の抑制あるいは測定可能な緩和とを含むことを意味する。 ”レセプター誘導ペプチド(receputor-derived peptide)”は、ここで、T- 細胞レセプターまたはその類似体のVB17及び/またはVB12と同様に(弱 毒 化されたVB17−またはVB12−を含むT-細胞のような)他の試薬のアミ ノ酸配列を有する(または含まれる)ペプチドであって、それがMSの徴候を有 する疾患に罹った哺乳類に投与されたとき、そのような徴候のひとつまたはそれ 以上を抑制するものと定義する。(本発明の活性ペプチドの最短配列長さは、約 20アミノ酸である。活性が保持されている限り、特に長さの最大値はない。例 えば、TCRまたは同等全T-細胞が使用できる。) ”MHC”または”主要組織適合抗原系”は、活性化されたT-細胞、マクロ ファージ及び他の免疫系細胞の表面に存在する哺乳類細胞表面タンパク質の一連 の複合体と定義する。MHCは、組織適合性(または移植)抗原の提示において 、及び従来の(外来の)抗原に対する免疫応答の調節において、多くの免疫性の 態様における中心的役割を演ずる。MHCタンパク質分子には、クラスI及びク ラスIIの2つのタイプが存在する。ヒトMHC遺伝子は、ヒト染色体6に位置 し、マウスMHC遺伝子は、マウス染色体17上のH−2遺伝子座に位置する。 ”クラスIIMHC分子”は、MHCの一部を形成する膜糖タンパク質である 。クラスIIMHC分子は、B−細胞、マクロファージ、脳アストログリア、表 皮ランケルハンス細胞、樹木状細胞、胸腺上皮及びヘルパ−T-細胞を含む免疫 系の細胞に主に見いだされる。クラスIIMHC分子は、組織移植片拒絶、抗体 生成移植片対宿主反応の刺激の間の免疫応答の調節、及び他の現象の間での”自 己”(または自己由来)の認識に含まれる。以下の明細書では、MHCは”クラ スIIMHC”と交換可能に用いられる。そのMHC遺伝子は、”MHC遺伝子 ”と称される。T-細胞は、それが単核食細胞(マクロファージ、単球)、ラン ケルハンス細胞またはろ胞樹木状細胞のような、当初は処理(消化物)を吸収し 、それらの細胞表面に(それらのMHCに応じて)タンパク質の抗原フラグメン トを提示する抗体提示細胞(APCs)に出会ったときに免疫応答を開始する。 CD4+T-細胞は、クラスIIMHC分子を発現するAPCsによってタンパク 質が処理され、そのペプチドフラグメントが提示されたとき、抗原分子を排他的 に認識する。”T-細胞レセプター(T-cell receptor)”または”TCR”は、 ここで、T-細胞表面に存在する抗原認識レセプターと定義する、従って、TC Rは、免疫系を抗原として認識、そして提示、する分子に結合するレセプターで ある(そ の分子は外来または自己由来で、後者である場合は自己免疫疾患である)。T- 細胞の大多数は、1本のアルファ(A)と1本のベータ(B)鎖を含むジスルフ ィド結合したへテロダイマータンパク質からなるTCRを発現するが、T-細胞 の少数は、2本の異なる鎖(ガンマ及びデルタ)を発現する。TCRは、AとB 鎖からなり、その各々は、可変または不変の領域からなる。(Tilinghast, J.P. ら,Science 233: 879, 1986; Concannon,P.ら, Proc.Natl.Acad. Sci.USA8 3: 6589,1986: Kimura,N.ら,J.Exp.Med.164: 739, 1986: Toyonaga,B.ら,Pro c.Natl.Acad.Sci.USA 82: 8624, 1985.)。その可変領域は、”可変”、”相違 ”、及び”結合”セグメントからなる。それら可変、相違、及び結合セグメント 間の接合点は、T-細胞による抗原認識の部位であると仮定される。Ho,H.Z.ら, Immunogenetics,1982,15: 509-517; Olerup,O.ら,Tissue Antigens, 1987,30 :135-138; Opelz,G.ら,Tissue Antigens, 1977,9:54-58; Danska,J.S.ら,J .Exp.Med., 1990,172: 27-33;Kempkis,B.ら,J.Immunol., 1991,147:2467-24 73; Sellins, K.S.ら,J.Immunol., 1992,149:2323-2327を参照。 T-細胞の抗原の認識は、T-細胞レセプター(TCR)、APCのMHC分子 、及びAPCによってクラスIIMHC分子の3次元構造の裂け目またはポケッ トを通して処理されたぺプチドの間の3分子間相互作用を反映している。(Bjor kman, P.J.ら,1987,Nature,329:506と329:512)。APC表面に最も頻繁に提示 され、T-細胞によって認識されるタンパク質の部分は、免疫優性エビトープで ある。 動物モデル(EAE)において、動物VB8.2配列の部分からなるT-細胞 レセプターは、疾患の治療に使用され、疾患-誘発性T-細胞を除去することによ り作用すると見られる。特に、動物モデルにおいて、マウス及びラットのVB8 .2の露出した(表面)部分に相当するThr−Leu−Cys−Ala−Se r−Ser及びThr−Leu−Cys−Ala−Ser−Argという配列か らなるぺプチドは、(マウス及びラットにおいて)ヘルパ−T-細胞を除去する ことにより自己免疫疾患と戦うことが確認された。 本発明者らは、ヒト宿主においてヒトMBPの免疫優性エピトープを含むヒト MBPの2つの領域を同定した。これらの領域は、ヒトMBPアミノ酸配列の2 つの異なる部分に固有のものである(各々残基番号82−104及び143−1 68)。後述の実施例1に示したように、本発明者らは、ヒトMBPアミノ酸残 基番号84−102を、MSに罹った患者から単離した周辺T-細胞の大多数に より認識されるヒトMBPのひとつの免疫優性ドメインと同定した。さらなる実 験は、このドメインの免疫優性エピトープは、さらにヒトMBPアミノ酸番号8 5−99に位置していることを決定した。これらのデータは、実施例3で提供し た。(実施例3のデータからの推論により、前述のヒト宿主免疫優性エピトープ が存する動物ヒトMBPフラグメントは、いくつかのT-細胞クローンでフラグ メント87−98であることがわかる。しかし、84−102と反応性の全ての T-細胞クローンは、フラグメント85−99を認識する)。MBPフラグメン ト143−168の同様の実験は、その免疫優性エピトープの正確な位置の決定 を容易に導く。 MS、EAEの動物モデルを含む実験は、ラットにおけるモルモットMBP及 びウシMBPの対応する免疫優性エピトープを含むタンパク質フラグメントは、 疾患にかかった動物に経口投与されたとき、疾患の徴候の抑制に有効であること を示した(関連特許出願番号07/596,936及び後述の実施例2)、しか し、いくつかの非誘発性フラグメントは、誘発性フラグメントより強力な抑制剤 である。さらに、この経口による抑制は、CD8+サプレッサーT-細胞の誘発に 依存していることが示された(Linderら,J.of Immunol.142: 748, 1989)。 動物においてMBPの起脳炎フラグメントを用いたいくつかの実験が、他者によ って行われた。例えば以下を参照:Swierkosz,J.E., 1977,J.Immunol. 119:150 1-1506; Su, X-Mら, 1991,J.Neuroimmunol.34:181-190(i.v.マウスにお いて起脳炎であると決定されたMBPフラグメントは、牌臓細胞と結合し、獲得 転移されたEAEを緩相する)、Av rilionis,K.ら,1991, J.Neuroimmunol.,35: 201−210(i. v.モルモ ットに投与されたとき起脳炎であることが小されているリポソーム結合したヒト MBPペプチドフラグメントのモルモッ卜における、同じフラクメントて誘発さ れたEAEの抑制のための使用、及び、フリーペプチドの同じ目的でのi.p. 及びs.c.の使用))。 従って、本発明のぺプチドは、そのようなぺプチドを含む特異的な免疫抑制の 合成の設計において有益に使用され、翻って、それは有害なT-細胞の増殖の抑 制に有効である。例えば、ヒトMBP-特異的CD4+T-−細胞においてアネル ギーを誘発するか、または脱髄に特異的なT-サプレッサー細胞を誘発すること が示されているヒトMBPの配列からなるぺプチドは、そのような目的で構成し 、使用することができる。例えば、後述の実施例1及び2を参照。さらに、実施 例2で報告された結果は、トラライジング試薬の投与の方法及び計画は、自己免 疫反応の抑制をもたらす機構に影響を与えることを示している。従って、ヒトに おいてヒトMBPの免疫優性エビトープを取り入れたぺプチドフラグメントは、 インビトロでのMBP-反応性CD4+ヒトT-細胞の増殖の阻害に有効であり、 ヒトにおいてi.v.経路を通して投与されたとき、同じ機構によって有効であ ると予想される。同じエピトープペプチドは、ヒトに経口投与されたとき、ヒト 神経組織の免疫攻撃の抑制を有効に誘発すると予想される。本発明者らは、(前 述の2つの免疫優性エピトープ領域を含む)全MBPは、MBPが少量および複 数回投与により経口投与されたとき、サプレッサーT-細胞を引き出すことを通 した抑制(積極的な抑制)を誘発することを示す証拠を有している。同じ抗原が 経口投与されても、大量で1回の投与であれば、アネルギーを通した抑制を誘発 するだろう。最後に、抑制の両方の機構は、上で同定した2つの極端な例の間の MBPからの経口投与計画を調整することにより誘起される。 理論的に裏付けされていないが、MBPの免疫優性フラグメントの経口または 経腸投与により、サプレッサーT-細胞が、翻って、神経組織(即ち、脳、脊髄 、末梢神経、または関連した細胞タイプ)の免疫攻撃に寄与するT-細胞の抑制 を引き出されるようになると考えられる。MSに罹った患者において見られる疾 患を構成する神経組織の損傷は、そのような自己免疫攻撃の直接の結果と考えら れる。このトラライズ機構は、免疫攻撃下の組織近傍におけるT-細胞の免疫反 応性の抑制を起こす調整(サプレッサー)T-細胞の積極的な誘発を含んでいる ので、それは、積極的な抑制の一例である。 本発明者らは、これらのサプレッサーTが特異的であるような抗原が見られる 身体の箇所を標的としている寛容抗原特異的サプレッサーT-細胞の誘引によっ て、活性の抑制が起きるという多数の実験証拠を蓄積してきた。この箇所は、自 己免疫攻撃を受けている組織を含む。ひとたびこれらがこの抗原に遭遇すると、 サプレッサーTは、非特異的免疫抑制因子TGF−βおよびインターロイキン− 4(IL−4)のような、自己免疫攻撃を含む自己免疫反応を抑制する抑制シト キニンを分泌する。(第843752号の関連特許参照) 対照的に、免疫優性エピトープを取込むMBPフラグメントの静脈投与(ある いは皮下、あるいは腹腔内投与)は、クローンアネルギーとして知られる別の機 構を経て免疫抑制を引起こすと信じられている。クローンアネルギー、あるいは T-細胞の非反応性の原因は、適切な相互促進因子がない状態で、抗体が生じる ことである。Jenkins,M.K. PNAS,84:5409-5413,1987.含まれる因子が厳密に同 等かは、明記されていないが、可溶性シトキニン(例えば、B−7、EDCI、 および適切な細胞内のカルシウム濃度)には触れている。しかし、より最近の証 拠は、相互促進因子がないことよりはむしろ、いわゆる“貞のシグナル”が、ア ネルギーの原因であることを示唆している。しかし、これらのシグナルは、未だ その性質を明らかにされていない。ラサール,ジェー.エム. (LaSalle J.M. )他,J.Exp.Med.,176:177−186,6月号,1992参照。T-細胞ク ローンを誘導して増殖させるよりはむしろ、相互促進因子のないAPCsによる 抗原の発生(および/または負のシグナルの存在下で)によって、T-細胞はI L−2の原因でありつづける一方で、サブ配列抗原促進の原因ではなくなり、し たがってアネルギー化されたと評される(Jenkinsら, Proc. Natl. Acad. Sci 84 :5409,1987;Muellerら,Ann. Rev. Immunol.7:455,1989;Schwartz ら,Science 248:1349,1990)。したがって、MBPのような、ある 自己抗原に対して特異的な自己免疫反応促進クローンは、もはやその抗原に反応 して増殖せず、自己免疫疾患症状の原因である組織損害を引起こす免疫攻撃反応 を減少するが、このような神経組織損害が、MS中で観測された。 クローンアネルギーによる抑制は、寛容化された動物から寛容化されていない 動物に、後者の動物において免疫機能の抑制を引起こすために転移されたサプレ ッサーT-細胞の能力の有無を試験する養子移入実験によって、活性の抑制と区 別することができる(以下の実験においてそのように区別された)。T-細胞転 移は、抑制機構が活性であれば、すなわち、サプレッサーT-細胞の誘引を含ん でいれば抑制を引起こし、抑制機構が非活性であれば、すなわちクローンアネル ギーが含まれていれば起こらない。実験例2において報告された結果は、免疫抑 制の各機構が含まれる例を図示し、また、抑制機構は以下の一つまたはそれ以上 によることを示している:(i)寛容誘導するために投与されるサブスタンス( 例えば、MBPの免疫優性エピトープ的フラグメントは、経口的経路を経る活性 抑制および非経口的経路を経るエネルギーを誘導する):(ii)寛容抗原の投与 の経路(例えば、攻撃T-細胞によって認識されるエピトープのみがi.v.経路を 経てアネルギーを誘導する):(iii)投与の量と頻度(例えば、経口的に投与 されたMBPは、少量を多様な容量にて与えられた際には、活性の抑制を、経口 的に多量を単一の容量にて与えられた際には、非活性の抑制を誘引する)。 データは、MBPの起脳炎性および非起脳炎性フラグメントのいずれもが、経 口的に投与された際に活性の抑制を誘発することができるが、これらの非起脳炎 性フラグメントは、活性の抑制を経てのみ、また、経口の経路を経て投与された 場合にのみはたらく免疫抑制エピトープを取込むものである。起脳炎性フラグメ ント(免疫優性エピトープを取込む)もまた、単一の用量にて大量に投与されれ ば、経口の経路を経てアネルギーを誘発することができる。 これらの結果は、寛容化作因および寛容化剤としてのMBPに基づく方法の設 計に、重要な区分を有する。したがって、望ましい免疫抑制の種類によって、特 定のフラグメントと同様に特定の投与方法を用いることができる。例えば、一つ かそれ以上の疾患繁殖エピトープ的ペプチドを、i.v.あるいはs.c.あるいはi.p .経路を経て用いることが望ましく、同時に一つかそれ以上の免疫抑制エピトー プ的ぺプチドを、経口の経路を経て用いることが望ましい。 投与経路の組み合わせを含む寛容化方法および/またはプロトコールおよび/ または自己抗原フラグメントが最も効果的であると判明することも予想される。 当業者には理解されるであろうが、フラグメントおよびフラグメントの組み合わ せ(あるいはフラグメントと全抗原との組み台わせ)の有効性およびMBPフラ グメントの投与方法(あるいは方法の組み合わせ)の有効性は、治療を受ける被 験者の年齢、性別、体重、体調および疾患状況と、他のフラグメントあるいは治 療が同時に使用されるか否かによって異なる。その結果、用いられたフラグメン トおよび投与方法は、相当にこれらの因子に基づいて決定されなければならず、 実験によって一件毎の根拠に基づいて決定される必要がある。しかし、このよう な決定には、定例の実験以上のことは必要でなく、実施例および指針をここに包 含した。 実施例1にて同定されたように、本発明に用いるヒトMBPの配列に基づくペ プチドは、よく知られた固相法を用いて合成することができる(Merrifield, R. B.)Fed. Proc. Soc. Ex. Biol., 21:412,1962およびJ. Am. Chem.SO c. 85:2149,1963;R.Mitchell A.R.ら,J. Am. Chem. Soc. 98:735 7,1976;Tam,J.ら,J. Am. Chem. Soc. 105:6442,1983)が、 好ましくは市販のペプチド合成装置を用い(Applied Biosystem社製),フォス ターシティー,CA製造のものなど)、製造業社の使用説明書に従う。あるいは また、このようなペプチドは、現在では当業界で広く知られるところの、DNA 組替え技術によっても合成することができる(Maniatisら,分子クロ−ニンク゛実験の手引,Cold Spring Harbor研究所,NY,1982,pp.51−54お よびpp.412−30参照)例えば、これらのペプチドは、望ましい種より分離 されたMBPの望ましいフラグメントを暗号化するDNA配列の、発現ベクトル への取込みおよび、個別に望ましいペプチドを発現するであろう適当な真核また は原核の宿主へのこのようなベクトルの導入の後に、DNA発現の産物として得 られるか、あるいは融合ペプチドまたは蛋白質の部分として得られ、このものか ら広く知られた技術を用いて分離することができる。 ペプチド類似体は、以下に開示される通り、上述の合成あるいは組替え技術お よび例えばler,E.B.,実験的医学および生物学の進歩 21:259−281,19 78.の方法によって、ヒトのMBP遺伝子により暗号化された既知のアミノ酸 配列を用いて設計することができる。例えば、MBPの望ましいフラグメントの 、厳密なアミノ酸配列に基づいてはいるが異なる配列を有するペプチドは、上述 の技術を用いて化学的に合成することができる。このようなペプチドは、例えば 実施例1にて述べられている、この特定のヒトMBPの免疫優性エビトープのア ミノ酸87−102中のより精密な位置を同定するための操作あるいは、例 4にて述べられている、T細胞レセプターおよびMHCに対する効果を、試験す ることができる。個体より収集され、分離された末梢MBP特異的サプレッサー T-細胞をペプチドにさらし、それらが増加するか否かを測定することによって 、MBP基盤ペプチドの内服による人体での有効性をインビトロに試験すること ができる。その上に、あるいはまた、これらの分離されたサプレッサ−T-細胞 は、MBPペプチドにさらした際にTGF−βおよび/またはIL−4のような 抑制シトキンを遊離するか否かを試験し、測定することができる。(例えば、A PS’sとしての脾臓細胞の使用が必要でないこと以外は、PCT US92/ 01705に対応する、同時係属の米国特許出願第843752号におけるトラ ンスウエル(transwell)システムの利用を参照:MBPペプチドは、細胞を誘 導するために用いられ、TGF−βを遊離させることができる。)MBP特異的 T-サプレッサー細胞は、MBPにさらされることによって分離され、増殖評価 に引続いてアンチCD8+抗体を用いた結合研究を行なった。 本発明は、ヒト、とりわけMSに苦しむ被験者の自己免疫攻撃T-細胞の機能 を抑制するための経口的または非経的使用について薬剤の製剤および投薬量形式 をも提供するものである。ヒトMBPおよび類似体のフラグメントであり、その 一定量が免疫攻撃細胞の増殖抑制に効果的である発明によれば、一般的にこのよ うな投薬量形式は一つまたはそれ以上のペプチドを含んでいる。例えば、本発明 の方法に準じて治療を受けてきた患者におけるMBP特異的CD4+T細胞およ び/またはMSの1つまたはより多くの兆候の減衰のような、免疫攻撃細胞のイ ンビトロな抑制となる機能の抑制は、本発明の範疇であるとみなされる。何が抑 制および兆候の減衰を構成しているかは、これまでの章を参考のこと。 本発明のT-細胞抑制ペプチドは、これらの添加配列が、このようなペプチド の抑制機能をうち負かさない限りにおいては、MBP基盤配列を導く、あるいは これに続く、添加的非MBP誘導アミノ酸配列をも包囲する。免疫抑制行動に対 するこのような構造の試験は、例えばここに述べるされたアッセイ法の一つまた はそれ以上を用いて簡単に行なうことができる。 本発明の調剤組成物は、任意の成分として、当業界で広く知られる種類の薬用 の媒体、担体、希釈剤、可溶化剤あるいは乳化剤および塩を含むものであってよ い。このような基質の非限定例は、蒸留水中0.5Nの食塩水を非経口的に用い 、乳糖を経口的に用いることを含む。 ヒトMBPのフラグメントは、免疫抑制の有効性を増大させる相乗剤とともに 、経口にあるいは吸入によって投与することができる。本発明に用いる相乗剤の 非限定例は、例えば大腸菌(E. coli)の様々なサブタイプ、およびサルモネラ 菌(Salmonella)(LPS,Sigma Chemical Co.),セントルイス,MO:Difco,デ トロイト,MI:バイオモルBIOHOL調査研究所,プリマス,PA)、脂質A(Si gma Chemical Co.,セントルイス, MO;ICN Biochemicals,クリーブラン ド,OH;Polysciences,Inc.,ウォーリントン,PA)、およびDeres,K.)らに より開示されたように(Nature, 342:561−564,1989)して得られる トリパーミトイル-S-グリカリルシステイニル-セリル-セリン(P3C55)と 共有結合で結合したペプチド、あるいはBraun,V.,Biochim. Biophys.Acta 435: 335−337,1976に開示されたようにしてE. coliより得られる、“ブ ラウンの”リポ蛋白のような免疫調節リポ蛋白、などのようなグラム陰性の細菌 の多様な品種の中の細菌リポ多糖類を含む。LPSが望ましく、脂質Aが特に望 ましい。脂質Aは、全LPS分子よりも毒性が弱いために、本発明での使用には 特に望ましい。本発明にLPSを用いるには、グラム陰性の細菌から抽出し、Ga lanesら(Eur. J. Biochem. :245,1969)およびSkelly,R.R.ら(Inf ect. Immun. Biochem.23:287,1979)の方法を用いて精製することがで きる。 効果的な量の相乗剤、例えばLPSあるいは脂質Aは、前記哺乳類の体重1kg 毎に、毎日0.15〜15mg程度、望ましくは前記哺乳類の体重1kg毎に、毎日 0.3〜12mgの広範囲に及ぶMBPフラグメントとともに投与される。 本発明の抑制剤の投与の方法は、経口の形式あるいは非経口の形式あるいはこ れらを組み合わせたものである。経口の投与とは、経口、経腸あるいは胃内の投 与を含むが、経口が望ましい。非経口の投与とは、腹腔内、皮下、皮膚内、およ び最も望ましい静脈内投与を含む。 一般的に、MBP基盤ペプチドあるいは類似体は、ヒトの患者に対し、各投与 ごとに約10μg〜 20mg、好ましくは約100μg〜250μgの範囲で、 経口 にて投与される。この量は、一つの投与量形式あるいは多数の投与量形式におい て、パルス投与される。活性抑制を引起こすためには、全てのMBPについて、 毎日5回ずつ1mgの投与量形式が効果的な量の一例である。アネルギーのために は、非経口的な10〜20mgが効果的な量の例である。投与の投薬量および頻度 を最適化するために、患者の監視が望ましい。患者への投与の厳密な量および頻 度は、当業界では充分認識されているように、発現の時期と頻度および患者の疾 患の深刻度および患者の体調によって多様となるであろう。このような最適化は 、一件毎の根拠に基づいて行なわれることが望ましい。ここに指針を開示された 免疫抑制に必要な投薬量の最適化は、不要な実験ではない。 本発明の別の好ましい具体化における薬剤の経口製剤または投薬量形式は、本 発明によれば、吸入によっても投与することができ、望ましくはエアロゾルの形 態で用いる。投与の吸入法は、好ましくは鼻腔を経るものでなく、気管支および 肺粘膜を経るものである。本発明のMBPフラグメントおよび関連化合物は、乾 燥粉末粒子としてあるいは微粒子化してキャリアーガス(例えば空気またはN2 )中に漂わせた水溶液としてヒトに投与することができる。好ましいエアロゾル 薬剤の製剤は、例えば、生理的に受容される緩衝塩溶液を包含する。 本発明の方法は、薬剤の製剤の吸入による投与で、例えば米国特許第4624 251号,1986年11月25日発行:第3703173号,1972年11 月21日発行:第3561444号,1971年2月9日発行および第4635 627号,1971年1月13日発行に述べたもののような噴霧器を用いるエア ロゾルスプレーの方式によるものが含まれている。エアロゾル物質は治療を受け る被験者により吸入される。 本発明を実行する際には、Newman,S.P.のAerosols and the Lung,Clarke,SW. およびDavia,D.編.pp.197−224,バターワース,ロンドン,イングラン ド,1984.に開示されている気圧保持の測定用量吸入器(MDI)および乾 燥粉末吸入器のような、エアロゾル移送の他の方式を用いることができる。 ここに開示された種類のエアロゾル移送方式は、フィソンズ(Fisons)コーポ レーション(ベッドフォード,MA)、シエーリング(Schering)コープ(ケニ ルワース,NJ)およびアメリカンファーモシール(American Phharmoseal)コ ー(バレンシア,CA)など多数の販売元より入手することができる。 治療にエアロゾル投与を用いた場合、1989年12月20日出願の同時係属 中の米国特許出願第454486号に開示されているように、全MBPを用いて EAEの処理を行なった際およびコラーゲンを用いてアジュバント関節炎の処理 を行なった際にこの効果が見出されたことから、本発明のMBPのフラグメント は、少量を必要とされるのみであることが期待される。さらには、MBPのフラ グメントの吸入により誘引される免疫抑制は、経口投与に類似した活性の抑制機 構を経て起こる。Weiner,H.L.らFASEB (7):2102、1990.本発明 のMBPのフラグメントの、エアロゾル投薬量形式によって投与される量は、哺 乳類の体重1kg毎に、毎日約0.015〜約1.5mgであり、哺乳類の休重1kg 毎に、毎日約0.05〜約15mgの範囲の相乗剤を任意に含むことができ、単一 の投薬量形式あるいは多数の投薬量形式によって投与することができる。投与さ れる厳密な量は、患者の疾患の状態と深刻さおよび、患者の体調によって様々で ある。 本発明によれば、非経口的な投与に対する投薬量形式は、一人毎、用量毎に、 一般的に約1〜200mgのペプチドを含有し、望ましくは、約10mg〜約100 mgを含有する。経口の製剤に関して上の表に記述した、上記の不活性な任意成分 および正確な量の調製および投与計画は、非経口の製剤のみに付属する。 必要有効量は投薬量単位の複数の投与によって達成され得ることから、各投薬 量形式の、個別の経口的または非経口的用量に含まれる活性成分の単位含有量は 、それ自体でMSの治療に効果的な量を構成する必要はないことが認識されるで あろう。 実施例1−3において述べた技術を用いて、本発明の方法の有効性を監視し、 本発明の投与に用いられたフラグメントと方法と同様に疾患抑制剤の投与の量と 頻度とを最適化することができる。 T細胞は、実施例1−3に述べたように、患者の末梢血液あるいは脳脊髄液よ り分離され、増殖、クローン化される(本発明による治療の前および/または後 )。抗体(多クローン性または単クローン性)は、本発明のMBPペプチドに向 けて得られ(当業界でよく知られ、用いられている従来法によって)、本発明に よる治療の前および/または後に、患者の末梢血液中にMBP反応性T-細胞の 兆候を求めて、またより特異的には活性化MBP反応性CD4+T-細胞の兆候を 求めて検定される。本発明のぺプチドは、実施例1の方法を用いてMBPに対し て反応性のT-細胞をもつ個体を同定するにも有用である。 本発明は、これより後に、範囲を限定することなく本発明を説明しようと意図 した特定の実施例について叙述される。実施例1: ヒトMBPの主要自己免疫領域の同定 MBPは、ヒトの脳組織から抽出され、叙述のように(Chou,F.C.H., J. Biol . Chem. 251:2671,1976)最大分子量ピーク(18kD)を用いて、C M−52カラム(製造元:Wattman Biosystems Ltd)メイズトン,ケント, U .K.)上で精製された。MBPぺプチドは、固相法を用いて合成され、あるい は商業研究所(Biosearch Lab Inc.,サンラフアエル,CA)より入手され、以 下のように高圧液相クロマトグラフィーによって精製された:調製品を含む各ぺ プチドは、0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)中にて1mg/mlに調製された 。 その後HPLCカラム(レイニン(Rainin)逆相C4あるいはC18)中で、0. 1%TFAを含有する0〜70%アセトニトリル勾配を用いて処理された。ピー クは214nmにて検出された。使用されたMBPぺプチドフラグメントは、以下 の表1中に列記した。しかし、ヒトMBPの配列は公表されている。それゆえ各 ぺプチドに含まれるアミノ酸残基を設計する数のみが必要である。 クラスIIMHC表現型に対して反応性のヒトのMBPに免疫優性のエピトー プがあるか否か、およびこのような反応性の頻度を試験するために、迅速T-細 胞クローン化技術が用いられた。総計15824の短期間T-細胞系列が、51 人のヒトの被験者由来の末梢血液分子細胞(PMN)を精製済MBP(100μ g)で培養し、3日後に、またその後は3〜4日毎に、インターロイキン−2( IL−2;ABI社、メリーランド州コロンビア)および2単位の組替えインタ ーロイキン−4(IL−4;ジェンザイム(Genzyme)社、マサチューセッツ州 ボストン)を添加した。培養13日目に各系列からのアリコートは、MBPに対 する反応性について以下の増殖検定法を用いて試験された:T-細胞クローン( 1×105細胞/ウエル)が、3つ用意され、適当な刺激物(例えば100μgの 全MBPあるいは5%のIL−2)で、96ウエル平底顕微滴定培地(Coster社 )中、37℃、72時間、湿度90%、CO25%にて同時培養された。細胞は 、2μCi[3H]TdR(2Ci/mmol、ニューイングランド ニュークリア 社、マサチューセッツ州ボストン)によって培養の終盤の18時間にパルス標識 された。APCsは、ヒトのB細胞が転移したヒトのエプスタインバールウィル ス(細菌はATCCより購入可能)あるいは、ヒトのDR2を移入したマウス細 胞であるL細胞(L細胞は補助No.ATCC-CCLlの下にATCCより購入可能であり 、Wu,S.ら,J.Immunol., 1987,138:2953によってDNAを暗号化す るDR2を用いて、Wilkinson,D.ら,J.Exp.Med.,1988,167:1442− 145 8の方法によって移入することができる。)をパルス標識することによつて調製 された。B細胞またはL細胞は、40pMのMBPあるいはリン脂質蛋白質(P LP)の存在下と、非存在下のいずれかの完全培地において、1×106細胞/ ウェルとして37℃にて2時間用いられ、続いて4℃にて500rad.の照射を受 けた。補助APCsなしにT-細胞を刺激するためには、2μMのMBP、PLP 、あるいは適当なフラグメントが、培養の期間に細胞に対して直接加えられた: 48時間、続いてチモーゲン(thymogen)によるパルス標識、その後収集が行な われた。一万のAPC’sが、100000のT細胞クローンに用いられた。 MBPあるいはPLPに対して反応性であると示されたT細胞系列は、その後 同様の技術を用いて上の表1に示されたようにヒトMBP配列を包囲する重なり オリゴペプチド20-mersに対する反応性を試験された。MBPおよびPLP反 応性頻度分析は、他の神経疾患の被験者および正常な被験者(全ての年齢および 性別はMS患者と一致)と同様に、限定された、再発−緩和性のMSの患者(磁 気共鳴画像診断(MRI)および臨床検査によって診断された通り)に対して行 なわれた。結果は以下の表2に示された通りである。 MSの患者は白人種であり、非常に特徴的な再発−緩和性の疾患をもち、24 カ月以内に少なくとも2度の悪化と、血液引出しの際にはMRIを用いて見られ たように良性の腫瘍を呈した。他の中枢神経型の疾患の被験者は、以下の診断を 受けた:大脳血管性の事故(n=4)、CNS出血を伴う脳の外傷(n=4)、 転移性(metastatic)脳腫瘍(n=2)の、いずれかの1−3週間後。MBPあ るいはPLPに対して反応性であるT-細胞系列の総数および生じたT-細胞系列 の総数が、表2に示されている(“Ag”は“抗原”を意味する)。加えて、MB PおよびPLP反応性の系列の頻度は、各被験者について、MBP反応性系列の 数を生じた系列の総数で割ることにより計算され、平均値+/-SEMが与えられ た。MBPとそのフラグメントに対する反応性よりも低い程度ではあるが、PL Pに対する反応性に関しては同様の結果が得られた。 他の被験者と比較して、MBPの全てのフラグメントに対して反応性である系 列の頻度が、MSの被験者においてはわずかに高いのではあるが、この増分は、 統計的に注目に値するものではない。しかし、以下に議論するように、MS患者 由来のMBP反応性細胞系列の、著しく多数が、それぞれアミノ酸84−102 および143−168を含むフラグメントに対して反応性であり、したがってこ れらのペプチドおよび対応するMBPのフラグメントが、MSの発達においてM BP活性の免疫優性エピトープを含んでいると確認される。 MSの患者由来の総計302の細胞系列は、反復した分析では、拡張して確実 にMBPと反応することができ、140(46.4%)がMBP残基84−10 2と反応し;ほぼ70−80%がMBP残基84−102あるいは143−16 8のいずれかと反応した。コントロール群では、総計100のMBP反応性T- 細胞系列の内11(11.0%)が、84−102ペプチドを認識し、約34% が84−102または143−168ペプチドのいずれかを認識した。各個別の 被験者について、各々のMBPペプチドと反応した、末梢の血液から得たT-細 胞の実際の頻度を計算した。MSの患者およびコントロール被験者に対する平均 値は、表2の最右列に示されている。PLPの対応する免疫優性ペプチドは、こ こにMBPペプチドについて述べたと同様の方法にて確認することができる。 正常な被験者および他の神経疾患のコントロール由来のMBPペプチド特異細 胞系列の頻度は、事実上全く同様であり、したがって分析に際しては併合された 。選択的にMBP残基84−102に対して反応性である、MSの被験者由来の T-細胞系列の平均頻度は、コントロールと比較するとより高かった(図1)。 MSおよびコントロールの被験者が、MBP残基143−168に対して反応性 であるT細胞系列の高い頻度を示した一方で、MBP残基61−82および12 4−142に対する反応性における、注目に値するもののそれほど強烈でない増 分もまた、MS患者において観測された。活性化されたT-細胞系列を選択する ために、IL−2が用いられた。IL−2による第1の刺激の後、このように活 性化された細胞系列はMBPペプチドを認識した。 上述の技術を用いて、これらの発見をより数多くのMS患者に拡張することが なされた。付加的な132のT-細胞系列(MS患者由来のもの63および正常 なコントロール由来のもの88)が研究され、結果は下記の表3に示された。要 約すれば、これらの結果はMBPアミノ酸残基84−102および143−16 8を含むペプチドをMBPの免疫優性領域とする結論を支持するものである。 前述の表4の結果は、IL−2を用いたMBP特異T-細胞の一次刺激作用に おいて、付加的なMBP特異T-細胞クローンが、(コントロールと比較して) MS患者には、劇的に高い数値で確認されることを証明している。このことは、 MBP反応性T-細胞クローンは、IL−2にさらされることによって非活性化 され(おそらくは非アネルギー化され)、続いて、MBPペプチドに対して反応 性となるであろうことを示唆している。実施例2: 免疫寛容の誘導の機構 本例の実験は、誘導あるいは養子移入された際に、MBPの異なるフラグメン トを用いてEAEの抑制の有効性を比較し、蛋白質フラグメントの経口のおよび 静脈内の投与とを比較し、疾患の状態の治療を比較するために行なわれた。EA Eの誘導は、MBPが、宿主を免疫するために用いられ、アジユバントとともに 筋肉内に投与される際に起こり、その一方で、養子移入された疾患は、MBP反 応性細胞系列が活性化され、その後動物に注射されるさいに生じる(詳しくは以 下のEAEの誘導の章を参照)。本例では以下の物質および方法を用いた。 動物 6〜8週齢の雌のルイスラットを、Harlan-Sprague Dawley Inc. (インディアナポリス,IN)より入手した。動物は、ハーバード大学医学部動 物保護施設に収容され、標準的な実験室の餌および水にリブリュームを加えて飼 育された。動物は実験研究審議会の実験動物の保護に関する委員会の指針(Pu b.#DHEW:NIH、85−25、1985年改定版)に従って飼育した。 抗原および試薬 脳の組織由来のモルモットのMBPは、Deiblerらの 修飾法により精製した(Prep. Biochem. :139,1972)。蛋白質含有 量および純度は、ゲル電気泳動およびアミノ酸分析によって検査した。コンカナ バリンAおよびヒストンは、シグマ(Sigma)(セントルイス,MO)より入手 した。ぺプチドは、神経疾患のためのセンターであるブリガムアンドウィメンズ (Brigham and Women' s)病院内のペプチド施設にて合成し、HPLCによって 精製した。合成されたぺプチドのアミノ酸配列は、21−40,MDHARHG FLPRHRDTGILDS (ラットに経口にて投与した際の免疫抑制エピト ープ領域);71−90、SLPQKSQRSQDENPVVHF(ラットにお ける免疫優性の起脳炎領域);151−170,GTLSKIFKLGGRDS RS である。 寛容の誘導 経口の寛容あるいは活性の抑制のために、ラットは1mlの PBSに溶解した1mgのMBP、あるいはPBSのみを、ゲージ18のステンレ ス剛動物飼育針(Thomas Scientific,スウェーデスボロ,NJ)を用いた胃の 挿管治療によって与えた。動物は、2、3日間隔で5回、免疫化の2日前を最後 として餌を与えた。静脈内寛容あるいはクローンアネルギーのためには、ラット は、0.1mlのPBSに溶解した0.1mgのMBPあるいはMBPペプチドある いはヒストンか、またはPBSのみを注射した。動物は、目の静脈から2、3日 間隔で5回、免疫化の2日前を最後として注射した。 EAEの誘導 活発に誘導された疾患のためには、ルイスラットは、左 足の肉趾から、50μlのPBS中の25μmのモルモットのMBPをmg/mlの結 核ミコバクテリア(ディフコ(Difco)製)を含有する同体積の完全フロイントの アジュバンド(CFA)中に乳化したものにより免疫化した。EAEの養子移入 のためには、MBP活性細胞系列は、Ben-Nunらの方法(Euro. J. Immunol.11: 195、1982)によって飼育し、CFA中のMBPにより免疫化されたラッ トから樹立した。起脳炎細胞は、APSsとして免疫化した動物からとり、放射 線を照射した胸腺細胞を用い、コンカナバリンA(ConA)(2μm/l)を加 えた培養による活性化の後に採集した。細胞は、フィコールハイパーク(ficol hypaque)勾配(Hypaque1077、シグマ社製)を経て収穫し、移入に 先立ち二度洗浄した。5×106の起脳性細胞は、0.1mlPBS中として、放 射線照射した(750rad、24時間、earlier)受容体ラットに、腹腔内から注 射した。モジユレーターおよび起脳性細胞双方の細胞生存可能性は、トリパンブ ルーによって試験し、90%以上であった。全ての実験において、各実験グルー プから5体の動物を用いた。経口の寛容に引続く保護の養子移入のためのT細胞サブセットの精製 リンパ球サブセットの減少は、Cruikshankらの修飾方法(J. Immunol. 138: 3817,1987)により、磁気ビーズを用いだ負の選択によって果された。 ひ臓細胞は、マウスの抗ラットCD8あるいはCD4単クローン抗体(OX/8 あるいはW3/25はそれぞれセロテック/ハイオプロタクツ(Serotec/Biopro ducts),インディアナポリス,IN)の1:10希薄溶液とともに温置し、3 0分間氷冷し、二回洗浄し、その後平均直径4.5μm(M−450)であり、 共有結合的にヤギの抗マウスIgGが付着している(ダイナル(Dynal),フォ ートリー,NJ)、未洗浄の磁気粒子に加えた。使用した磁気ビーズの量は、標 的細胞の数を見積もったものの10倍であると推定された。細胞は、ビーズとと もに、10%の子牛の胎児の血清を10mlの丸底試験官(Nunc)に追加した、0 .5mlのRPMI1640培地にて30分間温置した。5分毎に静かに振とうし ながら氷冷した。温置した後、ビーズ/細胞懸濁は5mlの培養液で洗浄し、磁気 粒子濃縮機(ダイナル−MPC−1)を2分間用いて強い磁場において、細胞− mAb−ビーズ錯体は未標識の細胞から分離した。上清を取除き、この操作を2 回繰返して非粘性のフラクションを得た。CD4+およびCD8+において数が減 少した細胞は、indirect flow cytometoryに証明されたように、>95%CD4+ CD8-あるいはCD4-CD8+である。MBP飼育の動物およびコントロール の動物由来の脾臓全体の数は、Con−A(2μg/ml)の存在化で培養した(1 mlの増殖培地中、細胞5×106)。減少した数は、1mlあたり細胞2.5×1 06の濃度にて培養した。得られたサブセットはモジュレーター細胞として用い られる。 臨床評価 動物は、EAEの形跡を求めて、目隠し法にて毎日評価され た。EAEの臨床の厳しさは、以下のように記録された:0、疾患なし;1、尾 に生気なし;2、後脚の麻痺;3、後脚の対麻痺、自制の不能;4、四肢の麻痺 ;5、死亡。疾患の持続時間は、疾患の発症(通常は活性免疫化の後10日か1 1日、また、疾患の養子移入の後3〜5日)からの、各動物の完全な回復までの 総日数を数えることによって測定した。 遅延性過敏症(DTH)検査 DTHは、PBSに溶解した25μgの MBPを耳に皮下注射することによって検査した。目隠しされた観察者によって 、challengeの前と48時間後に、カリパス測微計(ミツトヨ製,日本)を用い て、厚さを測定した。実施前と後との耳の厚さの差異は、各動物に対して記録さ れ、その結果は各実験グループ±SEMについて平均値として表現した。 微細構造 病理変化の微細構造的分析は、ラットにおいて養子移入EA Eを用いて行なった。養子移入の後15日で脊髄が取除かれ、10%の中性の緩 衝ホルマリン中に固定した。パラフィン切片を調製し、ラクソール(Luxol)フ ァーストブルーヘマトキシリンおよびエオジンを用い、標準的操作によって染色 した(Sobelら,J. Immunol. 132:2393,1984)。脊髄組織は、各動物 と柔組織およびミニンジス(meninges)中の切片(20ci以上のより凝集した炎 症細胞のクラスター )毎の数多くの炎症中心について同一の方法で標本抽出し、 目隠し法(Sobelら,supra)にて記録した。 統計的分析 臨床のスケールは、記録標本について二末端の(two-tail ed)ウィルコクソン ランクサムテスト(Wilcoxon rank sum test)により分析 し、カイ二乗解析(chi square analysis)を用いてグループ間で疾患の発生率 の比較を行い、方法の比較はスチューデントt-検定によって行なった。個々の 実験には、グループごとに動物5体を用いた。結 果 MBPへの経口の寛容による、養子移入されたEAEの抑制 養子移入 EAEに対する、先のMBPの経口投与の効果を評価するために、MBP飼育の ラットおよびコントロールのラットは、5×106のMBP特異的でCon−A により促進された起脳炎性系列細胞を、腹腔内から接種した。最後の餌を与えて 2日後にMBP反応性の細胞を移入した。図2Aのグラフは、MBPに対して経 口にて寛容化され、その後MBP特異細胞(黒丸)を接種された動物の臨床記録 と、これに相応する同様に接種を受けた未治療の動物の臨床記録である。この表 に示されるように、MBPの経口投与は養子移入されたEAEに対して何の効果 も及ぼさなかった。本発明者らは、養子移入されたEAEを抑制しようとの経口 の寛容化が失敗に終ったことは、移植された起脳炎性T細胞が活性化され、敏速 に標的器官に移動することができ、その器官において充分な数の抑制T-細胞に 先立って免疫攻撃を開始することによると提唱している:リンパ節に移動し;さ らに(iii)は、標的器官(脳)に移動する。したがって、起脳炎性細胞に対す る調節の割合は標的器官に表れ、これらが侵入するタイミングはきわどいようで ある。しかし、経口にて寛容化された動物由来の脾臓細胞が起脳炎性細胞ととも に未治療の受容体に同時転移した際、養子移入されたEAEは抑制され(図2B )、既誘引の抑制T細胞は、たとえこれらが免疫攻撃細胞と同時投与された場合 でもうまく疾患を避け得ることを示唆している。 図2Bは、起脳炎性細胞5×106と、MBPに対して経口にて寛容化された 動物由来の脾臓細胞1.5×106を同時に注射した動物の臨床記録を示してい る。同時転移のためには、経口にて寛容化された動物由来の細胞は、起脳炎性細 胞と混合して、注射した(黒丸)。同じく図2Bに示したように、起脳炎性細胞 およびモジユレーター細胞が別々に左右の隣接領域に注射した際に類似の保護が か観察され、このことは、保護効果が抑制T-細胞と攻撃T-細胞との相互作用に よるものではないことを示唆している。正のコントロール動物の臨床記録は、図 2B中に黒四角により示されている。 養子移入されたEAEの抑制は、経口にて寛容化された動物由来のCD8+ T細胞に依存している。 養子移入されたEAEの抑制が、特異T-細胞サブ セットに依存しているか否かを決定するために、養子移入に先立ってMBP給餌 動物由来の脾臓細胞がCD4+あるいはCD8+T細胞サブセットにおいて消耗さ れ、モジュレーターとして用いられた。図4に示されるように、保護の養子移入 は、CD4+を消耗した脾臓細胞の転移によってではなく、CD8+を消耗した脾 臓細胞の転移によって撤廃された(平均最大記録=2.3±0.2vs.0.7± 0.2、各々p<0.01)。白四角:非選択的脾臓細胞数、黒丸CD4+を消 耗した脾臓細胞、白丸CD8+を消耗した脾臓細胞。 養子移入されたEAEに関連する遅延性過敏症(DTH)反応 DTH反 応および、経口的な寛容化に続き、活性に誘導されたEAE抑制の相関関係が見 出された(Millerら,J. Exp. Med. 174:791,1991;ミラ-他,Proc.Nat l. Acad. Sci. 89:421,1992)。養子移入されたEAE中に類似の相関 関係が存在するか否かを決定するために、DTH反応を測定した。図4に示すよ うに、傑出したDTH反応は、養子移入されたEAEに苦しむ動物中で発生し、 DTH反応は、MBPに対して経口にて寛容化された動物由来のスプレノサイト の同時移入によって抑制された。抑制されたDTH反応は、転移に先立って、C D4+T細胞ではなくCD8+の消耗によって撤廃された(耳の腫脹率 CD4+ 消耗 vs. CD8+消耗=0.6±0.1 vs.1.8±0.2、p<0 .01)。 養子移入されたEAE中のCNS微細構造における、経口にて寛容化された 動物のMBP由来の細胞の同時転移の効果 MBPの経口投与は、活性に誘 導されたEAEにおけるCNSの炎症を抑制する(Higginsら,J. Immunol. 140 :440,1988)。それにもかかわらず、臨床疾患を抑制するEAEの免疫 特異的免疫モジユレーター治療が、すべてCNSの炎症に影響を与えるわけでは ない(Offnerら,Science 251:450,1991)。図5に示されたように、 柔組織とミニンジスとのいずれにおいても、MBP給餌の動物由来の細胞が転移 された際に炎症の減少が見られ、経口にて寛容化された動物由来の、CD8+を 消耗したモジュレーターひ臓細胞が転移された場合ではなく、CD4+を消耗し たものである場合に、このような抑制が観察された。特異グループについてのC NS(柔組織およびミニンジス)炎症中心の数値は、以下の通りである:コント ロール=76±8.2;MBP給餌=3.8±1.8;CD4+消耗=2.8± 1.0;CD8+消耗=65±4;(p<0.01、MBP給餌およびCD4+消 耗 vs.コントロールあるいはCD8+消耗) MBPのIV投与の結果としての、活性に誘導され、養子移入されたEAEの 抑制 図6Aに示されるように、MBPの(IV)静脈内注射は、MBPを用 いた経口の寛容化による抑制と類似の方法でのMBP/CFAを用いた免疫化に よって(平均最大記録=0.5±0.2、vs.ヒストンを注射されたコントロー ル=3.0±0.3:p<0.01)、明らかに活性に誘導されたEAEを抑制 した。しかし、養子移入されたEAEに対して保護をしなかった(図2A)経口 の寛容化とは対照的に、MBPのIV注射は、養子移入されたEAEをも抑制し た(平均最大記録=0.4±0.2、vs.コントロール=3.2±0.2;p< 0.01)(図6B)。しかし、経口の寛容化とは異なり、このような細胞が、 MBP起脳炎性細胞系列によって同時転移される場合でも、疾患保護はIV寛容 化動物由来の脾臓細胞によって養子移入され得ない(平均最大記録=2.8±0 .2、vs.コントロールp=N.S.(図6B)。MBPペプチドの経口あるいはIV投与の結果としてのEAEの抑制 経口の vs.IV寛容の機構をさらに研究するため、MBPの起脳炎性および非 起脳炎性のいずれの領域をも取囲むMBPペプチドを、活性に誘導された疾患に 対する免疫化に先立って経口的および静脈内に投与した。モルモットMBPのM BPペプチド71−90は、ルイスラットにおいて起脳炎性であった(Swanborg ら,J. Immunol. 114:191,1975)。図7に示されたように、IV寛容 化を経るEAEの抑制は、モルモットMBPペプチド21−40によってではな く、全MBPおよび起脳炎性のペプチド71−90によってのみ起こった。しか し、21−40による経口の寛容化はEAEの抑制に効果的であった。全MBP に対して経口的に寛容化されたラットのひ臓細胞からTGF−βを遊離すると実 験で証明されたことから、モルモットペプチド21−40が選択された。Miller ,A.ら,FASEB 6:1686,1992。コントロールのモルモットMBPペプ チド131−150は、投与された際、経口でも静脈内でも抑制しなかった。記 録では、IV経路を経る抑制に加えて、経口で与えられた際には起脳炎性MBP ペプチド71−90もまた抑制する。この結果は、与えられたMBPの、与えら れた宿主に対する免疫優性領域から誘導されたペプチドは、経口的あるいは静脈 内投与された際にT-細胞機能を抑制し得るが、投与の経路およびプロトコール によって異なる機構によって行なうべきである。これらの実験の結果は、経口的 と非経口的(例えば静脈内の)なMBP投与との間には、EAの抑制機構に根本 的な相違があることを示している。結果は、経口投与された抗原が、活性抑制の 世代を経て優勢に作用し、これに反して非経口投与された抗原は、クローンアネ ルキーを経て作用ことを示唆している。具体的にこの結論を支持するのは、IV 寛容化された動物由来の脾臓細胞が、養子移入されたEAEを抑制できないこと である。加えて、投与の経路が別々な抑制において、別々のMBPのフラグメン トが多かれ少なかれ効果的であった(例えば、図7参照)。本発見は、本発明の 方法のように抗原制御寛容に基づく免疫抑制法の計画において利用することがで きる。実施例 3: MBP特異的T-細胞クローンを刺激する重複ペプチドの能力を 評価することによる、ヒトにおけるヒトMBPの免疫支配的なエピトープの決定 のファインチュ−ニング 上記の実施例1で示された細胞増殖活性測定を用いて、ヒトMBP(すなわち 、アミノ酸84−102の配列)の免疫優性領域を有するペプチドにおけるT- 細胞の増殖を刺激する能力を評価し、免疫優性領域のN末端とC末端が少しずつ 進んで切断されたアミノ酸配列を有する一連のペプチドの能力と比較した。図8 に示すように、(および以下の表5に示すように)試験されたT-細胞の系列は 、アミノ酸85位までN末端が切断されたものを用いたときに増殖し、その後、 増殖を活性化する断片の能力において急激な減少があった。 少しずつ進んだC末端の切断は速く急激に刺激能力に影響を与え、そこでは、 わずか99残基までの切断のみが、エピトープの機能に実質的な影響を与えない 。C末端の切断がない場台、図8に示すように、アミノ酸85および86の欠如 もまた、試験されたクローンによって寛容されると思われる。図9において、異 なるペプチドが異なるクローンの増殖に差異を生じるかどうか調べるために、4 つの異なるT-細胞のクローンが、全体のMBP84−102ペプチドと、85 −99および86−97のペプチドとにさらされた。各々のクローンは、本来、 エピトピックペプチドの存在下で増殖するための異なる能力を持っているが、そ れにもかかわらず、クローンに増殖を引き起こす特有のペプチドの能力は、質的 にはどのクローンでも似通っていた。これらの研究から、アミノ酸85−99の 断片は、全てのT-細胞クローンにとって、T-細胞の活性を刺激することができ る最小の免疫支配的な断片を成すと思われる。 以下の表5は、MBP(84−102)ペプチド、およびこのペプチドの切断 または修飾されたものの存在下で、ヒトMBP(84−102)特異的T-細胞 クローンが増殖するための能力を示している。表中における数字は、T-細胞ク ローンの最高刺激の50%を与えるペプチドの濃度(マイクロモルで表示)であ る。T-細胞クローンの最高刺激は、修飾および切断されていないMBP(84 102)ペプチドにさらして評価されたものである。太字は、“50”および“ >50”が、修飾および切断されていないMBP(84−102)ペプチドと比 較して、刺激による活性が5倍または5倍以上低下したことを意味することを示 している。 最高刺激(参照点:MBP(84−102)ペプチド)の50%を与えるペプ チドの濃度(μM)が与えられている。 MBP(84−102)ペプチドと比 較して活性における5倍以上の低下。実施例 4: MBP 85−99に反応するT細胞クローンのアラニンアナロ グペプチドのT細胞認識 図11は、各々のペプチドの、MHC(左の列)およびT細胞クローン(右の パネル)への結合を示している。DRB1*1501が導入されたL細胞が、オ ートリアクティブ(autoreactive)T-細胞に、免疫支配的なMBP(84−1 02)ペプチドを与える。 APCは、B細胞株に対してMPB(84−102)ペプチド(100μg/ ml)で、DR導入体に対して50μg/mlを用いてパルスされ、5000radで 放射線を照射し、3日間T-細胞クローンとともに培養し、さらにチミジンパル スを行った。 その結果(固有のペプチドと比較した3H−チミジンの取り込み(uptake))は 、黒い長方形(最高刺激の90%)、斜線付きの灰色(>最高刺激の50%)、 明るい灰色(>最高刺激の10%)、および白(活性なし)で表されている。そ の結果は、898位のValと92位のPheとが、MHCの結合に関与するこ とを示している。切断されたペプチドのデータは、95位のイソロイシンもまた MHCの結合に関与することを示唆する。T-細胞受容体の接合部は、90位の His、91位のPhe、および93位のLysが含まれている。 T細胞クローンHy.2E11は、93位のLysの位置にArgを置換する ことに対して寛容であるが、Ob T細胞クローンはそうではない。 DRB1 1501とDRB5 0101とに対して提案された結合配列が、 図10に示されている。 上向きの矢印はDR受容体への結合を示し、下向きの矢印はACPのMHCへ の結合を示している。 一連のアナログペプチドは、使用される88−95位で、保守的および反保守 的なアミノ酸の置換体に合成される。 たとえは、マイナス電荷を有するアスパラギン酸は、他のマイナス電荷を有す る残基(グルトミックアシッド(glutomic acid))で置換され、あるアミノ酸は 電荷を持たない同じ体積のもの(アスパラギニン(asparginine))で、あるアミ ノ酸は逆の電荷を有するもの(Lys)で、そして最後にalaのような小さい アミノ酸で置換されたものである。直前には、60のペプチドが合成される必要 がある。 予備のデータは、MBPの148−162領域が、支配的なエピトープ143 −168に対する最小のエピトープであることを示唆している。このぺプチドの 中核の領域が、実施例2および3で概説された方法、MBPペプチド85−99 に対するこの実施例4で概説されたものと類似する解析を使用して決定される。 アナログペプチドは、DR26-(DRB1 1501)、DR2a−(DR B5 0101)、DR4、DR7、およびDQ1.1の結合に対して解析され る 。この解析は、どのアミノ酸残基がMHCの結合に関与するか、さらに深く解明 するものである。自然のペプチドの10倍ほどの結合能を有するアナログペプチ ドは、T-細胞レセプターの特異性を調べるために使用される。実施例 5:方法 MBPは、(Chou,F.C.-H.et al J. Biol. Chem. 251: 2671, 1976)に示され ている通り、ヒトの脳組織から抽出され、最大の分子量のピーク(18kD)を 用いたCM−52カラムで精製された。MBPペプチドは、固相法で合成され、 商業的研究所(Biosearch Lab Inc.,San Raphael, CA)から得て、高圧液体クロ マトグラフィーによって精製された。使用されたMBPペプチド断片は、以下の 表6に示されている。 T細胞受容体TCR VB遺伝子のユーセイジは、TCR VBプライマーの パネルを用いた複製連鎖反応(PCR)増幅、それに続くササンブロッティング によって決定された。T-細胞株は、MBPを用いた二次刺激によって末梢の血 液の単核細胞から確立され、次いで免疫支配的なヒトMBPペプチド(アミノ酸 残基84−102)で刺激され、その免疫支配性は、13の重複するMBPペプ チドの表6のパネルを使用して、(実施例6に示すような)増殖活性の測定によ って決定された。それらの特定のMBPペプチドを用いた三次刺激に続いて、R N Aが、MBP反応性T-細胞培養ペレット(20、000-50,000個体の細胞)から、グ アニジウム-イソチオシアネート/フエノール-クロロホルムを用いた抽出、およ びキャリア−tRNAの存在下でイソプロパノール沈降により抽出された。一本 鎖cDNAは、オリゴdTとAMV逆転写酵素(双方ともBathesda Research La boratories, Gaithersburg,MDから商業的に入手)とを用いて合成された。PC R(1989年1月24日に発行された米国特許第4,800,159号;1987年7月28日 に発行された第4,683195号:および1987年7月28日に発行された第4,683202号 に開示された複製連鎖反応)増幅は、TCR B鎖のCDR2領域およびCB( B鎖の不変領域)プライマー(表7)に一致する19のオリゴヌクレオチドのパ ネル(公表されたTCR VBファミリー --VB1-20、表7に対して特異的 な)を用いて行われた(以下に示されているものに従っている、Tilinghast,J.P .ら, Science 223: 879, 1986; Concannon,P.ら, Proc.Natl.Acad. Sci.83 6598, 1986; Kimura,ら,J. Exp. Med. 164: 739, 1986; Toyonaga, B.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. 82: 8624,1985; Kimura,N.ら,Eur.J. Immunol.17: 375,1987)。増幅は、50μlの反応に各々のプライマ−1μgを用いて、30 サイクル(94℃で1分、55℃で2分、72℃で3分)行った。増幅産物は、 1%アガロースゲルで分離し、ニトロセルロースに転写し、内部のオリゴヌクレ オチドTCR−CBプローブでサザンブロットを行った(表7)。プローブは、32 PガンマATPとT4ポリヌクレオチドキナーゼ(Bethesda Research Labs) とを用いて、その比活性が108cpm/ugになるように標識し、6xSSC/5xD enhardt's/0.05%ピロリン酸/100ug/mlの変性したDNA/0.5%S DSに18時間37℃の条件下でハイブリッド形成した。ブロット(blots)は 、6xSSC/70℃の最終的に厳重に洗浄し、2−18時間オートラジオグラ フィーを行った。二つ以上のVB断片に陽性なT-細胞株は、単一のMBPに反 応するT-細胞から導かれたものではないとみなされ、解析から除外した。 配列決定に際して、cDNAの増幅は、内部にPst I制限部位を有するリ ーダー断片に特異なVB17プライマー(表7)を用いて行った。増幅されたD NAは、プロテイナーゼKで処理し、フエノール/クロロホルム抽出し、エタノ ール沈降し、制限エントヌタレアーゼ BglIIおよびPst I(商業的に 入手される、例えば、Bethesda Research Lab.,supraから)で切断した。ゲルで 精製したDNAは、M13 mp18に連結し、一本鎖DNAは、ジデオキシ法 (Sanger,F.,ら,1977, Proc. Nat'l. Acad. Sci., 74: 5463)によって配列決 定した。ネガティブコントロール(Negative controls)は、RNAの試料また はcDNAの合成および増幅に使用される試薬に起こり得る不純物の混入を調べ る手段に含まれる。使用したVB、CB、およびJB2.1プライマーの配列は 、以下の表7に示す。 増幅および増幅されていない試料は分けて扱われ、試薬は分注されて、増幅さ れた物質の存在が調べられ、ネガティブコントロールは異なる実験段階(RNA の単離、cDNAの合成、PCR増幅)として含まれた。 実施例 6:MS患者から単離されたT-細胞のVB遺伝子の同定 上述の言及の妥当性を調べるために、二種類の実験が行われた。第一に、VB 20を除く表7の全てのプライマーが、末梢血液のT-細胞からのcDNAを増 幅することができた(図12)。第二に、PCR増幅の特異性が、マイトジエン (例えば、フィトヘマグルチニン--“PHA”--およびインターロイキン-2) を用いた単一細胞のクローニングによって前もって確立された69の独立したT -細胞クローンにおけるVB遺伝子のユーセイジの解析により調べられた。得ら れた高度のクロ−ニング効果のために、これらのクローンは、末梢血液のT-細 胞の間でVB遺伝子のユーセイジの典型的な解析を与えた。これらのT-細胞ク ローンの65/69(94.2%)が、TCR VBのレパートリーのかなりの 割合がVBプライマーによって覆われていることを示していると、TCR VB 遺伝子ユーセイジは決定され得る。これらのうち58のクローン(84%)が、 単独のVBに陽性であり、7つのクローン(10.1%)が、おそらく二つの転 移および発現されたTCR VB遺伝子の存在のために重複した陽性を示した。 TCR VB遺伝子のユーセイジは、さらに、臨床的に再発性レミティングM Sと診断された5人の患者から確立された65のMBP特異的T細胞株で解析さ れた。MBP反応性T-細胞株からの典型的なサザンブロットが図12に示され 、解析された全ての細胞株に対するVB遺伝子のユーセイジが以下の表8に示さ れている。 これらのうち51の株は、MBP残基84−102と反応し、一方14のT- 細胞株がMBP残基143−168に特異的であった。MBPアミノ酸残基84 −102と反応する31のMBP T-細胞株が、MS患者Hy(患者1、表8 )から解析された。これらのうち23のT-細胞株(74%)は、VB17遺伝 子断片を使用することが明らかになり、一方で、他の8つの細胞株はVB2、V B7、もしくはVB14遺伝子断片によって制限された。これらの結果は、VB I7が、MBP残基84−102と反応するこのMS患者のT-細胞株における 一 般的な認識要素であることを支持している。VB17のユーセイジは、他の 4人の患者(患者2−5、表8)から調べられた6/20T-細胞株の間でもま た発見された。これらの4人の患者の間のT-細胞株によって使用された第二の TCR VBは、MBP残基84−102と反応する7/20T-細胞株に見ら れたVB12であった(表8、図12)。このVBは、マウスやラットで起脳炎 T-細胞の間で使用される支配的なTCRであるマウスVB8.2に、たまたま 相同性 がある(Burns, F.R. et al., J. EXP.Med. 169: 27,1989)。 MS患者Cyは、DR2およびDRw11抗原の両方を提示し、そのため、免 疫支配的なMBP領域(84−102残基)またはMBP143−168残基を 認識するT-細胞を有していた。このことは、異なるMBP決定因子と反応する T-細胞の間で、TCR VBのユーセイジを比較するための機会を与えた(図 12)。MBP残基84−102に対して増殖する7つの株のうち、3つはVB 12を発現し、一つはVB17を発現した(表8)。対照的に、MBP残基14 3−168を認識する6/9T-細胞株は、VB14を使用し、たった一つの株 のみがTCR VB12とVB17TCR遺伝子を使用した(表8)。MBP残 基84−102(VB12:Cy.2C2、Cy.3F6)またはMBP残基1 43−168(VB14:Cy.1E6、Cy.2B12、Cy.2E2)と反 応する5つのT-細胞株のサザンブロット解析は、図12に示されている。 VB12/VB13は、定量的なPCRによる算定によれば、正常な末梢血液 T-細胞の間で相対的に共通であり(約18%)、VB17はかなり少ない頻度 (約3%)である。これと対照的に、VB17は、MBP残基84−102に反 応するT-細胞株の34/63(53.9%)に見られ、一方、それは、正常な 個体の単一細胞のクロ−ニングによって得られた、不規則なマイトジェンによっ て引き起こされたT-細胞クローンにおけるTCR VB遺伝子の3/32(9 .4%)に現れるだけであった(Moretta,A.ら,J. Epp. Med. 157: 743,1983; Hafler,D.A.ら, J. Exp. Med. 167: 1313, 1988)。これらのデータは、VB1 7 TCRが、免疫優性MBP84−102領域の認識に選択的に関与すること を示している。 PCRによって同定されたTCR遺伝子断片が、MBPぺプチドの認識に使用 されるVBをコードする遺伝子であることを示すために、二つのVB17陽性T -細胞株(Hy.2H9とHy.2G5)が限界希釈法によってクローンされた (Moretta, supra.)。MBPおよびMBP残基84−102の両方に反応する 、これら二つの細胞株から確立された11/11の個々のクローンは、VB17 +であった。これらのクローンの3つは、VBプライマーの完全なパネルを用い てさらに解析され、他のVB断片には全てが陰性であることがわかった。 患者Hyから得られた4つのT-細胞株のVB配列は、公開されたVB17配 列に100%相同するものであることがわかった(Kimura, N.ら,Eur.J. Immun ol.17 :375,1987に明かされた)。この配列解析は、特異的なVB断片が確かにこ のアプローチを使用して増幅されることを確証する。VDJ(多様的結合(diver sity-junctional))配列の解析は、これらの4つ全てのT-細胞が同じ結合JB 2.1断片を使用し、それらの3/4が同じVDJ配列を有することを示した( 表7)。どのくらいの頻度でJB2.1遺伝子断片がVB17+T細胞に使用さ れるかを決定するために、MS患者Hyから得られた20細胞株のDNAが、C BプライマーまたはJB2.1プライマーと組み合わせたVB17プライマー結 合体を用いて増幅した(図13)。これらの株の全ては、JB2.1遺伝子断片 はもちろんVB17にも陽性であることがわかった。一方、陰性コントロール( 全ての細胞株から抽出され、cDNAに変換されていないRNA、および、cD NAの合成と増幅とに使用された試薬)は、PCRおよびサザンブロッティング によって陰性であった。これらのデータは、患者Hyから得られた、MBP残基 84−102反応性T-細胞株における、VB17−JB2.1配列因子に対す る強力な選択性を示している。 PCR解析によって同定されたVB17 TCRを使用し、かつ、MS患者F nおよびNsから得られたMBP残基84−102を認識する他の二つのT-細 胞株が、配列決定され、MS患者Hyから得られたTCR VBの配列と比較さ れた(表8)。VB17遺伝子断片配列は、3人の患者から得られたMBP残基 84−102に反応するT-細胞の間で同様であるが、異なるJB配列因子が発 見された。3つの結果は、異なる個体間で免疫支配的なMBPぺプチドを認識す るT細胞における共有されたVB遺伝子ユーセイジを示している。これとは対照 的に、共有されたJB遺伝子断片ユーセイジは、異なる個体間からではなく、同 一の個体から得られたT-細胞の間で見つかった。 研究した5人の患者のうちの4人が、病気と関係のあるDR2対立遺伝子に陽 性であったが、患者TwはHLA-DR3、DR4であった。それにも係わらず 、3つのVB12/VB17制限された細胞株は、このMS患者から解析された 4つの株の間に存在し(表8)、共有されたMHCクラスII抗原が、MBPペプ チ ド84−102を認識することに関して、共有されたTCR VB遺伝子ユーセ イジに対して命令とならない可能性があることを示している。実施例 7: ヒトMBPの主要な免疫支配的領域の同定 急速なT-細胞クロ−ニング技術は、クラスIIMHC表現型と反応するヒトM BPにおける免疫支配的エピトープ、および、そのような反応の頻度があるかど うかを確かめるために使用された。15、824の短期培養されたT-細胞株の 全体が、精製されたMBP(上述の実施例5に示すようにして得られた)を用い た末梢血液単核細胞(PMN)の培養、および3日後、そしてさらに3−4日ご とにインターロイキン-2(IL−2)とインターロイキン-4(IL−4)(Ge nzyme,Boston,MA)を添加することによって、51の被験者からもたらされた。 培養の13日に、個々の株の一定量でMBPに対する反応について調べた。MB Pに反応する株は、さらに、上記表6に示されたようなヒトMBP配列を含む重 複するオリゴペプチド20マーに対する反応性を調べた。MHCの制限の実験の ために、MBPペプチドと反応する株は、最初はMBPによって、次はその株に よって認識される特異的なMBP断片によって、2回以上のサイクルで刺激した 。患者のサブグループにおいて、プロテオリピドタンパク質(PLP)、他の主 要な起脳炎中枢神経系抗原、を認識するT-細胞の頻度を調べた。 MBPおよびPLPの頻度の解析が、他の神経的な疾患を有する被験者および 正常な被験者(全ての年齢および性別はMS患者に対応したものである)はもち ろん、明確な再発性レミティングMS(磁気共鳴像--“MRI”--および臨床試 験によって診断された)を保有する患者で実施した。この結果を以下の表8Aに 示す。 MSを有する患者は、白人で、過去24ケ月以内に少なくとも2度の悪化症状 があり、よく特徴付られた再発性レミティング症状を有し、磁気共鳴像(MRI )で採血する際の積極的な傷を有していた。他の中枢神経系疾患を有する患者は 、次の症状を有していた:セレブロバスキュラー アクシデント(cerebrovascu lar accident)[4]またはCNSヘモルヘイジ(hemorrhage)を伴った脳トラ ウマ(trauma)[4]から1−3週間後;メタスタティック(metastatic)脳腫 瘍[2]。MBPまたはPLPと反応するT-細胞株の総数、およびもたらされ たT-細胞株の総数は、表8Aに示されている(“Ag”は“抗原”を意味する )。加えて、MBP−およびPLP-反応性株の頻度が、もたらされた株の総数 に対してMBP反応性株の数を分けることにより、個々の被験者ことに個別に算 定され、中間値±SEMが与えられた。 MBP反応性株の頻度は、他の患者と比較して、MSを有する患者でわずかに 高くなっているが、このことは統計的に重要ではない。他の神経的な疾患を有す る患者と比較して、MSを有する患者ではPLPに対してより反応性が高かった が、このこともまた統計的に重要であるほどのものではない。 発展させられ、繰り返し行われた解析でMBPと反応することが確信された、 MSを有する患者から得られた総数302の細胞株のうち、140(46.4% )がMBP残基84−102に反応した。対照の組では、総数100のMBP反 応性T-細胞株の11(11.0%)が、このMBPぺプチドを認識した。個々 の被験者に対する、各々のMBPペプチドと反応する末梢血液から得られたT- 細胞の実際の頻度が算定された。MSを有する患者および対照の被験者の平均値 が、表8Aの右から2番目の列に示されている。 50,000のT-細胞株は、50,000のX線照射されたAPC、MNC(単核細胞)( Hafler,D.A.ら,J. Exp. Med.167:1313, 1988)とともに3通に、96ウェルの ミクロタイタープレートの丸い底に72時間の間入れ、培養の最後の18時間に ウエルを[3H]-チミジンでパルスした。APC MNCは、単独で培養、また は、合成MBPぺプチド84−102の100μg/ml (増殖を促進するペ プチドの最適の濃度であることが決定された)とともにパルス、または、100 μg/mlのMBPとともにパルスした。3通のウェルに対する係数効率(coun ts per minute)(CPM)の平均値を表9に示す。DRおよびDQwハプロタ イプが与えられ、DR2、DR7、DQw1、DQw3に陽性である患者(最上 の行)に共通のハプロタイプには、下線を付した。 抗原提供細胞(APC)として、異なる単核細胞(MNC)のパネルを使用す るT-細胞株の増殖が示されている。被験者Hyから得られたMBPアミノ酸残 基84−102に反応する5つのT-細胞株が、オートロガスX線照射されたM NCを用いた刺激の周期的な繰り返しによって発育せられ、合成MBPペプチド 84−102でパルスし、MBPのこの領域の認識に対する調査を行った。 これらの研究のために、MBP残基84−102と反応する5つのT-細胞株 のパネルが、オートオートロガス(autoautologous)APC MNCとともに、 上述のように、異なるMHCクラスII遺伝子の産物を認識するモノクローナル抗 体(mAbs)(1:100の終濃度)の存在下でまかれた。(抗体に使用されてい る専門語は、Tenth International Histocompatibility Workshop;それらの特 異性もまた与えられている。)結果は、以下の表10に示されている。 正常な被験者と他の神経的な疾患のある対照とから得られたペプチド特異的細 胞株の頻度は、ほとんど同一であり、従って解析に組み台わせられた。MBP残 基84−102に選択的に反応するMSを有する被験者から得られたT−細胞株 の頻度の平均は、対照と比較してより高いものであった(図1)。MBP残基6 1−82および124−142に対する反応において、かなり著しい増加は、M S患者においても観察されたが、一方で、MSと対照の被験者の両方が、MBP 残基143−168と反応するT−細胞株の高度な頻度を示した。DR2、DQ w1ハプロタイプは、対照の被験者では非常に稀で、MSを有する患者ではより 共通性がある(表9)。DR2の表現型と、MBP残基84−102に反応する T−細胞株の割台または頻度の双方との間の結台が観察された(図14)。 MBP残基84−102に対するT−細胞の反応性は、MSを有していない被 験者におけるDR2、DQw1の発現と関連するかどうかを決定するため、DR 2、DQw1の表現型を有する付加的な6人の正常な被験者を調査した。この結 果を図14に示す。 MBP残基84−102と反応するT−細胞株の割台の見地から、DR2の結 合もまた、対照の間で観察されたが(DR2+ 対照、31.0±10−.8% ;DR2−、10.1±0.4%)、MBPのこの領域と反応する株の全体の頻 度は、MSを有する患者のものより少なかった(図14)。DQw1は、DR1 およびDQw10とはもちろん、DR2と結合が解離した状態にあるが、ぺプチ トとの反応における個々の解析では、DQw1表現型との結台は全く示されなか った。 DRw11表現型は、MSを有する被験者より、対照においてより一層共通性 がある(表8A)。DRw11は、MBP残基84−102と反応する株の頻度 とではなく、MSを有する患者および対照におけるMBP残基142−168に 反応する株の頻度と積極的に結合される(図13)。MBP残基31−50に対 する反応、対照の被験者で予め観察されていたこと、は、DRw11と関連付ら れた。他のMHCの結台は観察されなかった。 免疫優性MBPエピトープと反応するT−細胞株の残基に結台するMHCを決 定された。その結果は、以下に表10に示されている。より明確に、MHCハプ ロタイプが、免疫優性エビトープと反応するT−細胞系内の抗原を提供するため に使用されるかどうかを決定した。 MBP残基84〜102と反応する5つのT細胞系のモノクローナル抗体阻止 の研究は、DR分子およびDQ分子の両方が制限要素として作用しうることを示 唆した。抗DR mAbによって阻止されたクローンの中で、クローン2E11 は、MBP残基84〜102に反応して、DR2+ APCのパネルで増殖し、 一方、2C9および2H9は、自己由来のAPCでのみ増殖した(表10)。ク ローン1A8および3A10によるぺプチドの認定は、これらのクローンは抗D Q mAbによって部分的に阻止されており、DQw1を発現する2つのAPC 供与体患者のうちのいずれか1つおよび反応体からのAPCに制限された。 MHC発現と、免疫優性MBPエビトープに対するT−細胞反応の頻度との関 係をさらに調査するために、DR2およびDRw11表現型の両方を発現する症 状に苦しむ同胞種を有するフアミリーが研究された。 DR2、DQw1;DQw11、DRw52、DQw1クラス11 MHC ハプロタイプを発現するMS患者のファミリーメンバーを、MBP残基84〜1 02および143〜168と反応するT−細胞の頻度について試験した。 1,728個体のT−細胞株の総計は、両方の親および4つの同胞種から生じ 、MBPぺプチド84〜102または143〜168のいずれかと反応する株( lines)の数を定量した。 288ウェル(96ウェル丸底プレート3枚)それぞれの中の2×105MN Cを、それぞれの試料について上記で概説したように、MBP(10μg/ml )とともに培養した。16日目、それぞれのT−細胞株を、MBP残基84〜1 02および143〜168に相当する合成ペプチドとの反応性について分析した 。試料毎に生じた、それそれのぺプチド(作用インデックス SI>3、デルタ CPM>500)と反応する株の数を示す。実際の作用インチックスは、およそ >20であった。P1およびP2=両親;S1〜S3=同胞種である。結果を下 記の表11に示す。 DR2+、DRw11+患者は、MBP残基84〜102および143〜16 8の両方と反応するT−細胞株の頻度が高かった。DRw11+親は、選択的に MBP残基143〜168を認識し、一方DR2+親は選択的にMBP残基84 〜102を認識した。しかしながら、MBPぺプチド反応性株の頻度は、患者の それよりも低いものであった。1つの同胞種はDR2+であり、選択的にMBP 残基84〜102を認識した。DR4、DQw3/DRw6、DQw1を有する 、2つのHLA同一同胞種のうち、1つはMBPぺプチド84〜102に反応し たのに対して、他方は反応しなかった。DQw1はMBP残基84〜102の認 識を制限しうるが、引き継がれたTCR多型性のような他のファクターは、DR 4、DQw3/DRw6、DQw1同胞種の1つにおける、MBP自己抗原に対 するT−細胞反応性に影響しうる。このファミリー連鎖分析によって、免疫優性 MBPエビトープの最適な認識は、MSを有する患者においても、またその対照 においても、特異的なクラスIIMHC対立因子を要求することが示唆された。 全体的に、これらの研究は、DR2を発現する対照試料が、DR2+ MS患者 と比べて同じMBP決定基を選択的に認識するようにみえるが、それらの血液中 における頻度は、MSを有する患者のそれに比べて少ないことを示している。実施例 7A: VB17 TCRの配列決定 6つのクローン化されたT−細胞株からの、T−細胞レセプタ− VB17+ PCR生成物は、上述のようにジデオキシ法によって配列決定し、実施例5で、 MBP残基84〜102(患者Hy、Fr、およびNs)と反応した。DNAを 、上記実施例5に記載したように、VB17リーダー配列およびTCR CB領 域について、PCRプライマーを用いて増幅した。その増幅されたDNAを、M 13にクローン化し、周知のジデオキシ法(T−細胞株毎に、3 M13 プラ ーク)を用いて配列決定した。その結果を、下記表12に示す。 上記において、MS患者Hyから樹立された4つのT−細胞株すべてのVB17 配列は、公開されているVB17配列と100%相同であった、ということが注 意されるべきである。 以下は、アミノ酸に対する3文字コードと1文字コードの一致を示したもので ある。便宜上示す。 アスパラギン酸 (Asp,D) グルタミン酸 (Glu,E) リジン (Lys,K) アルギニン (Arg,R) ヒスチジン (His,H) チロシン (TyΓ,Y) システイン (Cys,C) アスパラギン (Asn,N) グルタミン (Gln,Q) セリン (ser,S) スレオニン (ThΓ,T) グリシン (Gly,G) アラニン (Ala,A) バリン (Val,V) ロイシン (Leu,L) イソロイシン (Ile,I) メチオニン (Met,M) プロリン (pro,P) フエニルアラニン (phe,F) トリプトフアン (Trp,W)実施例8: 以下に示す実施例において、次の材料および方法を用いた: MBP反応性T−細胞クローンの生成。 ミエリン塩基性タンパク質(MB P)反応性T−細胞およぴクローンは前述のように生成した(5)。T−細胞ク ロ−ンはMBP84〜102反応性T−細胞株から、96ウェルV底マイクロタ イタープレート(Costar,Cambrige,HA)で、μm/ml P HA.P (Well come Diagnostics,Beckenham,UK)および105照射された異系PBMCの存在下 、RPMI 1640(Whittaker,Walkersville,MD)、10%のプール化され たヒトのAB血清(PHS)(Biocell,Carson City,CA)、4mMのグルタミン (GIBCO,Grand Island,NY)、10mM(7)HEPES(Whittaker)、100 μ/mlのぺニシリン/ストレプトマイシン(GIBCO)、5%のIL−2(ヒト Tstim,Collaborative,Reseach,Bedford,MA)、および1μ/mlのrIL−4 (Genetics Institute,Cambrige,MA謹呈)からなる培地で、希釈(0.3細胞/ ウェル)を限定することによって生成した。クローンを8〜12日毎に、96ウ エル丸底マイウロタイタープレート(Costar)内で104/ウェルの状態で、4 0μMパルスし、照射された自己由来の84〜102PBMCとPHA/異系P BMCとを交互に連続して用いて、再度刺激した。ここに示されている実験のた めに、T−細胞クローンを、長期間の培養からドリフトを予防するために冷凍さ れた同じアリコートによって再度刺激した。90%FCS/.10%DMS中の T−細胞を液体窒素中で凍結した。 MBPぺプチド 84〜102。 MBPぺプチド84〜102は、アミノ酸 配列DENPVVHFFKNIVTPRTPPを、固相法(Bioseach Lab, Inc. ,San Raphael,CA)によって合成し、前述のようにHPLCにより精製した(5 )。 細胞株。 前もって樹立されたEBV形質転換B細胞株9010(DR2w 2、DQI)および9009(DR2w2、DQ1)を、10%FCS完全培地 で生育し、上記のように凍結し、抗原パルスの前に直ちに解凍した。DR2a( Idnd gift of R.Sekaly)で移入された、マウスの繊維芽細胞L細胞株を、DM EM(Whittaker)、10%FCS(Whittaker)1.6mMキサンチン(SigmaB iochemicals,St.Louis,MO)、110μMヒポキサンチン(Sigma)、18μMマ イコフェノール酸(GIBCO)選択培地中で培養し、上述のように凍結し、抗原パ ルスの前に直ちに解凍した。HT−2 ムリン IL−2依存T−細胞株(AT TC)を、5% IL−2を有する10% FCS完全培地中で生育し、最後の 食餌の後2日間のIL−2バイオアッセイに用いた。 MAbs。 これらの研究に用いられるMAbsは、CD3特異性OKT3 および2AD2、CD2特異性T1112およびT113(S. Schlossman謹呈) 、HLA−DR特異性L243、HLADQ特異性S3/4(F.Bach謹呈)、H LA−DP特異性B7/21(N.Flomenberg謹呈)、CD28不活性9.3(J. ledbetter謹呈)、CD45RA不活性2H4(Schlossman)、CD45RO特 異性UCHL−1(Dakopatts,Glostrup,Denmark)LFA−3およびLFA−1 (T.Springer謹呈)、およびCD25タック(T.Waldman謹呈)を含む。 増殖検定。 T−細胞クローン(105/ウエル)を三重に塗布し、図の凡 例された適切な刺激とともに、72時間、37℃、湿度90%、5% CO2で 、96ウエル平底マイクロタイタープレート(Costar)中で相互培養し、培養の 最後の18時間の間、2μCi [3H]TdΓ(2 Ci/mmole、New England Nuclear Boston, MA)でパルスした。APCは、B細胞またはL細胞を 、106細胞/mlで、完全培地中、40μMのMBP84〜102の存在下で または存在しない状態で、2時間、37℃でパルスし、4℃のハンクス(Whitta ker)で2回洗浄した後、4℃で、5000radの照射を行って調製した。補 助APCなしで、T−細胞を刺激するために、2μMのMBPぺプチド84〜1 02、または103μ/mlのrIL−2(Hoffman LaRoche,Nutley,NJ)を培 養の継続中に細胞に直接加えた。 T細胞の流体細胞計測分析。 MAb腹水をPBS/2%PHS中で1/1 00に希釈した希釈液を、T−細胞を106/ml、4℃で30分間コートする のに用いた。細胞を4℃の染色培地で2回洗浄し、1/60FITC複台やぎ抗 マウスIg(Tago,Burlimgamie,CA)を用いて、30分間、4℃で染色した。細 胞を上記のようにして2回洗浄した後、1%のホルムアルデヒド(J.T. BAker C hemical NJ)を用いて固定化した。流体細胞計測分析は、エビックス シー(E pics C)流体細胞計測(Coulter Electronics, Hialeah, FL)で行った。 B7−移入。 50μgのKpnI線形化B7−pCDM8構造体を、5μg のPvul線形化POP.Fとともに、L−tk−細胞、またはDR2+ L− tk−細胞(前もってDR2とともに移入された)に、BRLエレクトロポレー ターを25OVおよび1600mFにセットして用い、エレクトロポレートによ って共移入した。POP.Fプラスミドは、SV4Oプロモーターのコントロー ル下で、へルペス単一ウィルスチミジンキナーゼ遺伝子を含む(23)。DR2 −B7+トランスフェクタントを、培地を含むヒポキサンチンーアミノプロテイ ンーチミジン(Sigma)における生育によって選択し、クローン化した。DR2+ B7+トランスフェクタントを、150μg/mlのG418硫酸塩(GIBCO)を 含む、キサンチン/ヒポキサンチン/マイコフエノール酸培地で、選択し、クロ ーン化した。クローン発現細胞表面B7を、抗−B7 mAbを用いて非直接的 な蛍光免疫検定法によって定量されるように、再クローン化した。 [Ca+2]iの測定。 前記(22)で述べたように、T細胞クローン( 0.2〜1.0×107/ml)を、2μg/mlのIndo−1(Sigma)とと もに、培養培地に、45分間、37℃で負荷した。Indo−負荷細胞を、培地 で1/10に希釈し、FACS分析の1分前まで4℃に保った。刺激剤APCを 、40μMの84〜102の存在下、あるいはこれが存在しない状態で、パルス し、2回洗浄し、培地中で、4℃で再度懸濁した。刺激されていないlndo− 負荷T−細胞を、刺激を加える前の30秒間に分析した。細胞刺激剤の場台には 、刺激剤APC+負荷応答体を、30秒間分析し、それから1500r.p.m .で1分間遠心分離して、細胞−細胞接触を樹立し、それから再度懸濁し、反応 について分析した。イオノマイシン(100μg/ml)(Sigma)を、Ind o−1負荷に対する正の対照として用いた。 ノーザン分析法によるシトキンmRNAの検出。 T−細胞クローン Ob .1A12.8(105/ウェル 96ウェル丸底マイクロタイタープレート I1−2/IL−4補充培地)を、2μMの84〜102の存在下あるいは存在 しない状態で、4時間培養した。細胞を洗浄し、完全培地中、2×106/ml で、10ng/mlのPMAおよび1μg/mlのイオノマイシン、2μMの8 4〜102、または2μmの84〜102+10ng/mlのPMAのいずれか の存在下であるは存在しない状態で、37℃で、4時間、再度懸濁した。全細胞 RNAを、RNAzol B法(TM Cinnna Scientific, Friebdswood, TX)を 用いて抽出した。10μgの全細胞RNAを、1.2%SeaKem ME ア ガロース(FHC Bioproducts,Rockland, ME)および2.2Mホルムアルデヒドを 用いたホルムアルデヒドケル電気泳動によって分画した。分画の後、RNAを、 1OX SSC溶液を用い、一晩の毛管輸送によってNytran膜(Schleich er& Schuell, Keene, NH)にブロットした。膜を減圧オーブン内で、80℃で2 時間べイクした。シトキンプローブのハイブリッド形成のために、膜を0.5x SSCおよび5%SDS中で、65℃で2時間、予備洗浄し、それから50%ホ ルムアルデヒド、5xSSC、0.5% SDS、1x デンハード溶液、10 %デキストラン硫酸塩、および100μg/mlの鮭精子DNA(Sigma)中で 、42℃で1〜2時間予備ハイブリッド形成した。IL−2、IL−4、および γIfn(前記参照文24に記載)のためのプローブを、ランダムプライマーラ ベリング法(Boehringer Mannheim, Mannheim, W. Germany)によつて、>108 cpm/μgの特異活性に標識し、新鮮なハイブリッド形成バッフアーに加え た。ハイブリッド形成は、42℃、20時間で行った。フィルターを、0.2x SSC/0.1%SDS中で、10分間、24℃で2回洗浄し、30秒間、50 ℃で2回洗浄した。オートラジオグラフィーを、−7℃で、1〜5日間行った。結果 ぺプチド抗原を用いて予め刺激されたT−細胞は抗原に反応しない。 我々 は、MBP反応T細胞クローンは、伝統的なAPCが存在しない状態で、自己由 来のT細胞クローン自身のクラスIIMHC分子に、ぺブチド抗原を存在させるこ とによつて、ぺプチド抗原に反応して増殖するということを以前に示している( 22)。そして我々は、抗原のT−細胞の提示が、伝統的なAPCに比べて、反 応するT細胞クローンにおける、異なるシグナリングを含むかどうか調べた。図 15に示されるように、第1の増殖定量において、T−細胞クローン Ob.1 A12.8は、パルスされたDR2+ B細胞株またはDR2移入L細胞と結台 したぺプチドに比べて、培養に直接加えられたMBPぺプチド84〜102に対 して同様に反応した(図15A)。しかしながら、遊離のMBP84〜102ぺ プチド抗原によって、もともと刺激を受けたT−細胞は、1週間後に定量された 際にいかなる形態であっても、抗原刺激に反応しなかった(図15B、白丸)の に対して、第1の培養において、ぺプチドパルスされたB細胞あるいはDR2+ L細胞によって刺激されたT−細胞は、第2の刺激に正常に反応した(図15B 、黒記号)。第2の刺激における無反応の程度は、抗原の濃度、および第1の刺 激で引き起こされる増殖に反比例した。 我々はMBPぺプチドが、2つの異なるMBPぺプチドエビトープに対して反 応する2つの異なる個体からの、5つの異なるT−細胞クローンにおける不反応 を引き起こすことを確認した。その特異ぺプチドエビトープのみが、T−細胞の 不反応を引き起こす(データ示さず)。 相互作用細胞の添加は不反応を逆転させない。 我々は、L細胞(仮定上、 ヒトの相互作用分子を有さない)が、アネルギーを誘発しないことから、アネル ギーの誘発は、T−細胞APCにおける相互作用シグナルの欠除よりも、負のシ グナルのせいであるとされるべきだと仮定した。しかしながら、最近、L細胞が ムリンB7(G.Freeman,manuscript in preparation)を発現することが見いだ され、ムリンB7がヒトのT細胞に相互作用することか示されている(25)。 不反応の誘発における、L細胞の相互作用効果を直接テストするために、我々は DR2移入L細胞を、T−細胞クローンの培養へ、結合されていないぺプチド抗 原とともに添加した。ヒトB7の相互作用分子としての役割を直接テストするた めに、ヒトB7の遺伝子をDR2+およびDR2−L細胞へ移入した。表5に示 すように、84〜102中で一週間培養されたT−細胞は、ヒトB7を発現する またはB7およびDR2を共発現するL細胞がその培養に加えられた時にも、第 2 の抗原刺激に反応しなかった。 ぺプチド抗原によって誘発される不反応が、B7以外の相互作用分子によって 逆転しうるかどうかをテストするために、我々は、抗原の存在化に適切な(90 10)または不適切な(9009)HLA−DRのいずれかである、照射された B7+B細胞を、MBP84〜102とともにT−細胞クローンの培養に加えた 。 図16は、どちらのB細胞株も、遊離のぺプチドに対するT−細胞の反応によっ て引き起こされるアネルギーの誘発を妨げることはできないということを示して いる。しかしながら、図15に示されるように、ぺプチド抗原とともにパルスさ れ、培養の前に洗浄されたB細胞ライン9010にマッチしたMHCを用いた刺 激は、T−細胞クローンの不反応を導かなかった。T細胞クローンはぺプチド抗 原へ照射を行った後の抗原反応性を失うが、IL−2への反応は未変化であり、 そのことは、不反応性が細胞の死滅に基づくものにされるべきではないことを示 唆している。 アネルギ誘発の反応速度論。 アネルギー誘発の反応速度を定量するため に、MBP84〜102ぺプチドおよびIL−2に対する、第2のT−細胞反応 を、ぺプチドを用いた2〜168時間の第1の刺激の後に検定した。抗原に対す る反応における10倍より大きい減退が、MBP84〜102ぺプチド培養の2 4時間以内に引き起こされた。そして、その時までに、バックグラウンドの増殖 は(単独で)静止細胞のバックグラウンドに戻った。この不反応性はさらに増強 されて、4日間で、>100倍の反応の減退にまでなり、不反応性は実験の期間 中、すなわち7日間維持された(図17)。 不反応性T−細胞はCD3の発現へ続く。 ぺプチドアネルギー化T−細胞 クローンの不反応性は、CD3/TcR細胞表面発現のロスに次くものでありう る。これは、ぺプチド抗原を伴う培養によって不反応性となったT−細胞が、ア ネルギー化されていないT−細胞クローンと比べて、同様のCD3表面発現を有 するというケースではなかった(図8)。アネルギー化T−細胞クローンの非抗原性刺激に対する反応 アネルギー化T−細胞クローンの中でどの活性化経路が欠損しているかをさら に明確化するために、ぺプチド培養によりアネルギー化されたT−細胞を、細胞 表面抗原性刺激に似たまたはバイパスする試薬で処理した(図19)。アネルギ ー化T細胞はαCD3とPMAまたはCD2分裂促進(mitogenic)MAbsT 112とT113の組み台わせに対する反応で増殖しなかった。これに対して、 アネルギー化T細胞は、膜貫通伝達(26)の必要性をバイパスするPMAとイ オノマイシン(ionomycin)の組み合わせには通常に反応し、また別の経路によ り(27)増殖を刺激するrIL−2にも通常に反応した。 アネルギー化T細胞は抗原性刺激後のカルシウムの放出能力が欠損している 以前MBP反応性T−細胞クローンが抗原パルス化T−細胞またはB細胞によ り提供されたぺプチドに反応して細胞内の[CA+2]iを放出することを示し たように、ぺプチドアネルギー化T−細胞の反応能力をこのアッセイでテストし た。アネルギー化T−細胞は、αCD3とクロスリンクするTCRあるいはB細 胞で提供されたぺプチド抗原に反応して細胞内[CA+2]iを放出を著しく減少 させた(図20)。これに対して、アネルギー化T−細胞クローンでのイオノマ イシンに対する反応は、非アネルキー化T−細胞クローンと同等であった。 アネルギー化T細胞は抗原反応においてサイトカインを生産することができ ない 。 単独で培養された、あるいは1次培養でMBPぺプチド84−102 で48時間アネルギー化されたT−細胞クローンを、ぺプチド、ぺプチド+PM A、またはPMA+イオノマイシンとの2次培養で刺激した。4時間後にmRN Aを抽出し、ノザンブロッティングにより、IL−2,IL−4、とγIFNの 比含量を調べた。アネルギー導入の前に、MBP84−102ぺプチドあるいは PMA+イオノマイシンまたはぺプチド+PMAの組み台わせに反応して、T− 細胞クローンOb.1A12.8はIL−2,IL−4、およびγIFNのmR NAを台成した。これに対してアネルギー化T−細胞タローンは、MBP84− 102ぺプチド単独あるいはPMAとぺプチドの組み台わせに対する反応におい て、IL−2,IL−4、とγIFNのmRNAを合成できなかったが、PMA +イオノマイシンの刺激に反応して大量のサイトカインmRNAを台成した(図 21A)。IL−2mRNAのノザン解析の結果は、HT−2細胞を用いたIL −2ハイオアッセイにより確認された(図21B)。2次刺激でぺプチド抗原で 活性化されたアネルギー化T細胞はIL−2を分泌しなかったが、HT−2細胞 の増殖でみら れたように、非アネルギー化細胞はIL−2を分泌した。 マクロフアージ、B細胞、樹状突起細胞のような従来のAPCは構成的に、M HCクラス11を発現し、CD4+T細胞のタンパク質抗原をプロセスし、提供す ることができる(28)。活性化後にMHCクラス11を発現するヒトT細胞は 、ぺプチドや分解された抗原を提供することができるが、通常”非従来的”AP Cとしてふるまうことを示唆している抗原全部をプロセスする(22,29−3 1)。 MBP84−102のT細胞提供は、増殖アッセイをもたらすが、ここで我々は ぺプチド抗原に刺激されたT細胞が抗原によってもTcR/CD3クロスリンキ ングによっても二次刺激で反応しないが、IL−2ではそうでないことを示す。 さらに長期間継続する抗原非反応性(unresponsiveness)は、非結台型ぺプチド で誘導されるが、B細胞パルス化ぺプチドやDR2+L細胞トランスフエクシヨ ン体では誘導されなかった。このことは、その非反応性は、単に、高用量寛容( high dose tolerance)のメカニズムで示唆されたような、先の刺激の後の非反 応性抵抗性(refractory)時期によるものではないことを示唆している(9)。 我々は、この非反応性を”アネルギー”という。なせならそのT細胞は抗原刺激 に非反応性であるが、残りのIL−2は反応性で、その用語を定義するために確 立されたオリジナルの基準であったからである(8)。 TcR/CD3複台体を通じて2次必須共刺激シグナル(a second essential costimulator signal)なしでシグナルが伝達される、化学的に結台されたAP Cあるいは固定化αCD3 mAbにより、T細胞寛容がインビトロで誘導され ることができる(6−8)。B細胞のB7と活性化されたマクロフアージと相互 作用しているT細胞のCD28分子は、T細胞活性化に必要な共刺激経路の1つ の構成成分であることを示し、B7共刺激の欠如はアネルキーを起こすかもしれ ないことを仮定する(14−16)。しかしなから、MBPぺプチドの自己T細 胞提供で誘導されるT細胞アネルキーは、共刺激の存在において起こるかもしれ ない。なせならB7トランスフェクション体あるいはEBV形質転換B細胞の添 加は、高レベルのB7を発現し、非反応性の誘導を防くことができなかつたから である。さらに適当なMHCと振る舞いとフリーの抗原の非存在下で非寛容性A PCとを有し、おそらく培養時にT細胞を有するぺプチドの提供のために競合す るB細胞は、この非反応性の誘導を克服することができない。これらの結果は、 ぺプチド抗原のT細胞提供によるアネルギーの誘導が肯定的共刺激の欠如という よりも、否定的シグナルであることを示唆している。これらの結果は、また、抗 原非反応性のロスを防ぐために、フリーぺプチド抗原の非存在下において、再刺 激化されるべき抗原特異的T細胞ラインとクローンの生育のための実用的な示唆 を有している。 自己抗原のT細胞提供により誘導されるアネルギーのメカニズムを調べた。ア ネルギー化T細胞は、APCまたはαCD3 mAbクロスリンキングに反応し て著しく[Ca+]iの放出能力を減少させた。さらにPMAとイオノマイシ ンの組み台わせでの処理は、サイトキン生産とアネルギー化T細胞の増殖を回復 させ、PKC活性化と[Ca+]i放出後の情報伝達は正常であることを示唆 している。したがって我々のシステムの情報伝達において交互に定義されるアネ ルギー状態は、膜近接で情報伝達欠損が観察されなかったJenkinsとSc hwartzによるインヒトロクローンアネルギーに関する研究とは異なる(3 2,33)。抗原のT細胞提供により誘導されるT細胞アネルギーのメカニズム は、周囲に逃げる自己反応性T細胞が、TcRに反応して、[Ca+]を放出 できないが、PMAとイオノマイシンとの組み合わせに反応して増殖することが できるトランスジエニックマウスの研究に似ているように見える(21)。した がって、少なくとも2つの異なる機能的に定義されたアネルギーが存在するよう である。細胞の情報伝達の経路を制御する多くの異なる分子の1つの変化により 、細胞の形質転換が起こり得るように、T細胞のアネルギーの現象は、T細胞活 性化の異なる段階に影響するいくつかの異なるメカニスムにより達成されるかも しれない。 O’Hehirと共同研究者は、ぺプチドまたは超抗原により誘導されるT細 胞非反応性は、ぺプチド抗原の添加16時間後、CD25の増加に伴い、CD3 の表面の発現の減少により特徴づけられ得ることを示した(34,35)。我々 はさらに、この初期時点において、緩やかなCD3/TCR発現の減少とCD2 5発現の増加を観察している。これはおそらくT細胞活性化によるものであろう (データは示していない)。しかしながら、我々は4日までにアネルギー化T細 胞は非アネルギー化T細胞と同等のCD3の表層細胞濃度を示すことを発見した (図18)。このことはアネルギーは単に細胞表面のCD3/TcRとして説明 することができないことを示している。 末梢血液から由来するヒトT細胞クローンの大半でみたように(24)、T細 胞クローンOb.1A12.8は、分裂促進剤の刺激に反応して、TH1とTH2 の両方のサブセットのサイトキンを生産する能力において、TOフエノタイプ を示すようである(36)。アネルギー化T細胞は、PMAの有無に関わらす、 抗原刺激に対する反応として、IL−2、IL−4、またはγIFN mRNA または分泌された定量可能なIL−2を台成することができなかったが、イオノ マイシンとPMAの両方の添加は、サイトキン台成を起こす。これらの結果は、 T細胞の情報のブロックが、Ca+移動の前におこることを示唆する増殖とC A+フラックスデータの両方に一致する。ぺプチド抗原に反応して、T細胞に よって起こされる否定的シグナルは、これらのアネルギーT細胞で変化する実際 の生化学的シグナルのように、まだ定義されているところである。 免疫学上重要な問題は、活性化された自己抗原、反応性T細胞が炎症反応の間 どのように制御されているかに関するものである。以前の仕事において、我々は T細胞が高度に精製されたMBPをプロセスしたり、提供することはできないが 、ぺプチド抗原と部分的に分解されたネイティブMBPを提供することができる ことを示した(22)。このことは、炎症部位(例えば脳の脱髄プラーク)で活 性化されたT細胞は、その部位の他のT細胞にMBPフラグメントを提供できる かもしれないことを推察させる。ぺプチト抗原のT細胞提供が、クローンの非反 応性を引き起こすということは、この寛容のメカニズムが、炎症部位の自己反応 性T細胞が、破壊された自己組織へクローン拡大するのを防ぐことを発展させた かもしれないことを示唆する。分解されたタンパク質の細胞外高濃度は、自己抗 原の性質であろうが、初期の生体内現位置の(in situ)免疫反応の後の外来抗 原は、低濃度で提供され、従来のAPCにプロセスまたは提供のために取り込ま れるであろう。このようにして、抗原を提供し得るが、プロセスしないT細胞に よる不適当な抗原の提供は、分解された自己抗原が利用される炎症部位で反応す るT細胞クローンを活性化せずに、アネルギーを起こす。 結論として、我々は、ぺプチド抗原でT細胞クローンを前処理することが抗原 非反応性をもたらすというLambとFeldman(10,11)の初期の観 察を説明するメカニズムの証拠を提供する。アネルギーは、自己由来T細胞にぺ プチド抗原を提供することができるヒトT細胞で活性化されたMHCクラスIIの 発現に関連づけられる。この相互作用はT細胞の初期刺激を引き起こすが、これ らのT細胞はぺプチド前処理の24時間以内に、後の刺激に非反応性にされる。 このアネルギー化T細胞の情報伝達欠損は、膜近位である。なぜならぺプチド処 理されたT細胞クローンは、[Ca+]の放出、サイトキンの生産、抗原刺激 に対する増殖の能力を阻害されるが、PMAとイオノマイシンの処理に対して、 正常な反応を示すからである。 表13 アネルギーはB7修飾細胞の存在化でおこる。T−細胞クローンOb. 2F3は、5μg/mlの84−102の存在下あるいは非存在下、10/ウ エルDR2および/またはB7感染分子を発現するL細胞(5000ラドで照射 )添加または非添加で、7日間培養した。DR2の発現および非発現L細胞株は B7でトランスフエクシヨンした。平均蛍光強度はDR2ラインで77, 2(マウスIg−PE)と215.6(B7−PE)、DR2B7ラインで 56.8(マウスIg−PE)と158.6(B7−PE)であった。1次培養 の後、T−細胞を洗浄し、84−102に対する増殖のアッセイをおこなった。 明細書実施例8において引用された引用文献リスト Kappler,J.W.,U.D.Staerz, J.White,及びP.C.Marrack. 1988.Self-tolerance el iminates T-cells specific for Mls-modified products of themajor histocom patibility complex.Nature, 332:35. 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───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,CA, CH,CZ,DE,DK,ES,FI,GB,HU,J P,KP,KR,LK,LU,MG,MN,MW,NL ,NO,NZ,PL,RO,RU,SD,SE,SK, UA,US,VN (72)発明者 ミラー,アリエール イスラエル国 ハイファ 34 750 アフ ザ シミキン ストリート 24 (72)発明者 アル‐サバー,アーマッド アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02062 ノーウッド ヴィレッジ ロード ウェスト 3403

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.アミノ酸配列が、 i)ヒトミエリン塩基性タンパク質(hMBP)のアミノ酸残基84−1 02; ii)hMBPのアミノ酸残基85−102; iii)hMBPのアミノ酸残基86−102; iv)hMBPのアミノ酸残基87−102; v)hMBPのアミノ酸残基84−100; vi)hMBPのアミノ酸残基84−99; vii)hMBPのアミノ酸残基85−99; viii)hMBPのアミノ酸残基84−98; ix)hMBPのアミノ酸残基86−99; x)残基102がチロシンに置換されているhMBPのアミノ酸残基84 −102; xi)hMBPのアミノ酸残基143−168;及び xii)hMBPのアミノ酸残基148−162 よりなる群から選択されるペプチド。 2.ヒトMBPの免疫優性エピトープからなり、少なくともヒトMBPのアミノ 酸残基84−102の配列であるアミノ酸配列のペプチド。 3.ヒトMBPの免疫優性エビトープ領域の全部または一部から本質的に構成さ れるペプチドで、ヒトMBPの免疫優性エピトープを認識するヒトT-細胞のイ ンビトロの増殖を刺激する性質を有するペプチド。 4.少なくともDENPVVHFFKNIVTPRTPPの配列を必須として備 えるアミノ酸配列を有するペプチドで、ヒトMBPの免疫優性エピトープを認識 するヒトT-細胞のインピトロの増殖を刺激する性質を有するペプチド。 5.ENPVVHFFKNIVTPRのアミノ酸配列を必須として備えるペプチ ド。 6.アミノ酸配列がDENPVVHFFKNIVTPRTPYである請求の範囲 第3項のペプチド。 7.多発性硬化症に罹患した哺乳類またはその動物モデルで、静脈を通して上記 哺乳類のミエリン塩基性タンパク質の免疫優性エビトープを含むペプチドの投与 を含む哺乳類のミエリン塩基性タンパク質と反応するCD4+T-細胞の免疫機能 を抑制する方法であって、上記ペプチドは、上記ミエリン塩基性タンパク質の免 疫優性エビトープ領域の全部または一部を必須として備える配列を有し、上記ペ プチドを、上記哺乳類に、上記T-細胞をアネルギー化するに十分な量投与する ことを特徴とする方法。 8.多発性硬化症またはその哺乳類のモデルで観察されるタイプの哺乳類の自己 免疫反応を抑制する方法であって、上記哺乳類に上記哺乳類のミエリン塩基性タ ンパク質の免疫優性エビトープを含むペプチドの経口投与を含み、上記ペプチド は上記ミエリン塩基性タンパク質の免疫優性エビトープ領域の全部または一部を 必須として備える配列を有し、上記ペプチドを上記自己免疫反応を抑制するのに 十分な量投与することを特徴とする方法。 9.経口的に十分量の請求の範囲第1項から第6項のいずれかのペプチドと、薬 理学的に許容される担体または希釈剤を含む薬剤組成物。 10.上記十分量が約10μgから約20mgの範囲である請求の範囲第9項の組 成物。 11.非経口的に十分量の請求の範囲第1項から第6項のいずれかのペプチドと、 薬理学的に許容される担体または希釈剤を含む薬剤組成物。 12.上記十分量が約1から約200mgの範囲である請求の範囲第11項の組成 物。 13.上記十分量が上記ペプチドの約1から約200mgの範囲である請求の範囲 第7項の方法。 14.上記十分量が上記ペプチドの約10μgから約200mgの範囲である請求 の範囲第8項の方法。 15.hMBPと反応するCD4+ヒトT-細胞の増殖を阻害する方法であって、上 記細胞と阻害十分量のクレーム1−6のいずれかのペプチドとを接触させること を備える方法。
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