JPH0845499A - リチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池

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JPH0845499A
JPH0845499A JP6178300A JP17830094A JPH0845499A JP H0845499 A JPH0845499 A JP H0845499A JP 6178300 A JP6178300 A JP 6178300A JP 17830094 A JP17830094 A JP 17830094A JP H0845499 A JPH0845499 A JP H0845499A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高容量かつ電極製造における工程を少なくで
きる複合黒鉛負極、さらには転極防止容量の付与により
高容量化した、高電圧のリチウム二次電池を提供する。 【構成】 リチウム二次電池の負極として、リチウムイ
オンのインターカレーション・デインターカレーション
可能な黒鉛粒子と銅イオンを含む化合物とを混合後、化
学反応によって黒鉛粒子の全部または一部の表面上に酸
化銅を生成させることにより製造した酸化銅付着黒鉛複
合体と、結着材とからなる電極を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高容量の負極を有する
リチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】電子機器等の小型、省電力化に伴って、
リチウム等アルカリ金属を利用した二次電池が注目され
ている。負極にリチウムなどアルカリ金属を単体で用い
た場合、充放電の繰り返し、つまりアルカリ金属の溶解
−析出過程により、金属の溶解−析出面上にデンドライ
ト(樹枝状結晶)が生成し、成長することによってセパ
レータを貫通し、正極と接続することにより電池内部の
短絡を誘発するという問題があった。アルカリ金属のか
わりにアルカリ金属合金を二次電池用の負極に用いる
と、アルカリ金属単体の時に比べ、デンドライトの発生
が抑制され、充放電サイクル特性が向上することが判明
した。しかし、アルカリ金属合金を使用しても、完全に
デンドライトの生成がなくなるわけではなく、デンドラ
イトの生成による電池内部の短絡が起こることもある。
近年になって、負極にアルカリ金属やその合金のような
金属の溶解−析出過程、あるいは溶解−析出−固体内拡
散過程を利用するかわりに、アルカリ金属イオンの吸収
−放出過程を利用した炭素や導電性高分子等の有機材料
が開発された。これによりアルカリ金属やその合金を用
いた場合に発生したデンドライトの生成が原理上起こら
なくなり、電池内部の短絡の問題が激減するに至った。
【0003】炭素を負極活物質に用いた場合、炭素の層
間に挿入されるリチウムの量は、炭素6原子に対してリ
チウム1原子、つまりC6Liが上限であり、そのとき
の炭素の単位重量当たりの容量は372mAh/gとな
る。炭素は無定形炭素といわれるものから黒鉛まで幅広
い構造をもち、また、炭素の六角網面の大きさ、並び方
も出発原料、製造方法等により様々なものがある。従来
負極活物質として用いられてきた炭素材料としては、例
えば、特開昭62−90863号公報、特開昭62−1
22066号公報、特開昭63−213267号公報、
特開平1−204361号公報、特開平2−82466
号公報、特開平3−252053号公報、特開平3−2
85273号公報、特開平3−289068号公報など
に開示されているものなどがあるが、これらの炭素類で
は上述の理論容量に達するものはなく、ある程度の大き
い容量をもっているものであってもリチウムのデインタ
ーカレーション時の対Li/Li+電位が直線的に上昇
し、実際に電池系を構成した場合に使用できる電位範囲
において充分な容量を示さないものがあり、電池を作成
するにあたって負極容量として満足いく負極を作製する
ことができない。また、負極を作成する場合、炭素材料
の真密度も考慮する必要があり、電池系と言った限られ
た容積での高容量化を目指す場合、単位体積あたりの充
填密度、つまり嵩密度が重要な因子となる。嵩密度を支
配するのは炭素粒子の形状、大きさであり、特開昭62
−90863の実施例中、特開平2−82466、特開
平3−285273、特開平3−289068に示され
るような繊維状炭素では、上述の理論容量に達するもの
はなく、電池を作成するにあたって満足いく負極容量を
もった負極を作製することができない。また、特開昭6
3−24555に示されるような気相法による熱分解炭
素は高い充放電安定性を示すが、この製法では厚膜の電
極を作製することが難しく、高容量の電極を得ることは
困難である。
【0004】同様に、黒鉛材料を負極活物質に用いたも
のとして特開平4−112455、特開平4−1154
57、特開平4−115458、特開平4−23797
1、特開平5−28996等が開示されているが、上述
の理論容量に達しておらず、電池を作製するにあたって
の負極容量として満足いく負極を作製することができな
い。
【0005】特開平3−216960、特開平4−39
864ではそれぞれ、リチウムを吸蔵した多孔質カーボ
ンと、その表面に孔部を塞がないよう形成したリチウム
との複合負極、および炭素質物の気孔内部に活物質であ
るアルカリ金属と合金を形成し得る金属を含浸させてな
る担持体を形成し、これにアルカリ金属を担持させてな
る負極が開示されている。また、特開平4−18486
3では集電性の向上のため、導伝性の高い金属で被膜を
形成した炭素材を焼結してなる炭素電極を有する非水電
解質電池が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記に
記載のごとく、種々の炭素材料、黒鉛材料を負極活物質
に用いることによっても理論容量(372mAh/g)
に達することがなく、電池を作成するにあたっての負極
容量として満足のいく負極を作製することができない。
【0007】特開平3−216960のリチウムを吸蔵
した多孔質カーボンと、その表面に孔部を塞がないよう
に形成したリチウムとの複合負極、および特開平4−3
9864の炭素質物の気孔内部に活物質であるアルカリ
金属と合金を形成し得る金属を含浸させてなる担持体を
形成し、これにアルカリ金属を担持させてなる負極で
は、これらの電極の活物質はリチウム(アルカリ金属)
であり、電極ではアルカリ化合物またはアルカリ金属が
合成され、負極にアルカリ金属を用いた場合の不都合で
あったデンドライトの生成が完全になくなるわけではな
い、という問題がある。特開平4−184863の導電
性の高い金属で被膜を形成した炭素材を焼結してなる炭
素電極を有する非水電解質電池では、取り出せる電流は
それほど大きくなく、負極容量として満足のいく負極を
作製することができないという問題がある。
【0008】また、特願平5−112835の黒鉛と酸
化銅を混合した負極や、特願平5−136099の黒鉛
に銅メッキを施し酸化することにより作製した黒鉛−酸
化銅複合体を用いた負極等があるが、酸化銅を単に混合
しただけの電極を用いると、混合した酸化銅の全てが反
応に関与しているわけではなく、銅メッキを施した黒鉛
を酸化処理した酸化銅複合黒鉛材料を用いる場合には、
製造工程が煩雑化するという問題がある。
【0009】これらの問題点に鑑み、本発明はリチウム
のインターカレーション・デインターカレーション可能
な黒鉛に酸化銅を接触存在させ、結着材と混合した電極
を提供することにより、高容量かつ電極製造における工
程を少なくできる複合黒鉛負極、さらには転極防止容量
の付与により高容量化した、高電圧のリチウム二次電池
を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明のリチウム二次電池が有する負極は、リチウ
ムのインターカレーション・デインターカレーション可
能な黒鉛粒子の全部あるいは一部の表面上に重点的に化
学的に酸化銅を生成(析出)させた後、液中で粒子の接
触対を生成させる製造方法により製造した複合体を使用
し、これと結着材を混合することにより作製される。こ
の時、負極と負極集電体と一体となったものを作製する
こともできる。
【0011】本発明で使用される負極活物質の主成分と
しての黒鉛は、X線広角回折法による(002)面の平
均面間隔(d002)が0.335〜0.340nm、
(002)面方向の結晶子厚み(Lc)が10nm以
上、(110)面方向の結晶子厚み(La)が10nm
以上である材料であり、これを用いることにより高容量
の電極を得ることができる。容量および充放電電位に影
響を及ぼす要因として、炭素の層状構造に関わる物性が
あげられる。炭素の層状構造に関わる物性には(00
2)面の面間隔(d002)、つまり層間距離と結晶子の
大きさがある。結晶化度が高くなることによりリチウム
のデインターカレーション時の電位がリチウムの電位に
近くなるため、より高容量の炭素体電極を得ることが期
待できるわけである。したがって、リチウム二次電池と
して組み上げる時に使用できる電池容量を考えに入れた
場合、X線広角回折法による(002)面方向の結晶子
厚み(Lc)においては、10nm以下のときは結晶性
が悪いため、リチウム二次電池として組み上げたときに
使用できる電池容量が小さくなり実用的でない。また、
(110)面方向の結晶子厚み(La)においては、1
0nm以下のときは結晶性が悪いため、リチウム二次電
池として組み上げたときに使用できる電池容量が小さく
なり実用的でない。
【0012】本発明で使用される負極活物質の主成分と
しての黒鉛において、アルゴンレーザーラマンによる1
580cm-1付近のピークに対する1360cm-1付近
のピークの強度比、つまりR値は0.4以下が好まし
い。0.4より大きいと結晶化度が低くなり、リチウム
のデインターカレーション時の電位がリチウムの電位に
対してより高くなるため、リチウム二次電池として組み
上げた時、その使用できる電池容量が小さくなり、実用
的ではない。
【0013】また、用いることのできる黒鉛として、上
記の物性条件を満たすものであればよく、例えば天然黒
鉛、キッシュグラファイト、石油コークスまたは石炭ピ
ッチコークス等の易黒鉛化性炭素から得られる人造黒
鉛、あるいは膨張黒鉛などの黒鉛類が挙げられる。また
黒鉛の粒子の形状としては、球状、鱗片状、繊維状ある
いはそれらの粉砕物のいずれであってもよいが、球状、
鱗片状、あるいはそれらの粉砕物が好ましい。
【0014】黒鉛を負極として作製する際に、黒鉛の粒
径は80μm以下であることが好ましい。粒径は体積基
準による粒度分布測定により求められた粒度分布におい
て、ピークをもつ粒径(体積基準測定におけるモード
径)として求められた値である。80μmより大きい粒
径の黒鉛を用いた場合、電解液との接触面積が小さくな
るため、粒子内のリチウムの拡散や、反応サイトの密度
減少等の現象が発生し、大きい電流での充放電に問題が
生じる。
【0015】黒鉛粒子の表面上で酸化銅と接触している
複合体を製造する方法、つまり厳密に言うと、黒鉛粒子
表面上の少なくとも一部で酸化銅が黒鉛粒子と接触する
ような酸化銅もしくは水酸化銅の生成方法としては、次
のようなものがある。
【0016】 共沈法 黒鉛粉末と銅塩類、例えば硫酸銅を混合し、水を加えて
硫酸銅を溶解させ、そこに対銅イオンの存在量に対して
モル比で2倍以上となるように過剰のアルカリ性化合物
を水溶液もしくは固体で加え、室温(20℃)以上の温
度、好ましくは60℃以上の温度で放置後、室温にてさ
らに放置し、その後吸引ろ過するという手法を用いる、
銅塩類を出発物質とする。
【0017】 蒸発(分解)法 酢酸銅等の高温で分解性の銅化合物を高減圧中に保って
加熱蒸発もしくは分解を利用する。
【0018】 加熱分解法 揮発分解性の銅化合物を黒鉛に混合し、空気や酸素存在
下等の酸化性雰囲気で加熱して銅化合物を分解する。
【0019】このように種々の方法が挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。このうちコストおよび
作業性の面から、の共沈法が好ましい。一般に水酸化
銅は酸化銅水和物のゲルであるといわれている。水酸化
銅が一部生成した場合は後で脱水処理を施す。
【0020】上述の水酸化銅を生成させた後に脱水処理
を施す方法として、酸化銅を生成させるのに有利な酸化
性雰囲気下で行う必要があるため、気体の酸化剤、例え
ば空気、酸素、オゾン等を用いて乾燥・脱水する方法、
液体の酸化剤、例えば過酸化水素、溶存酸素を持つ水、
オキソ酸(亜硝酸、過マンガン酸、クロム酸、重クロム
酸、塩素酸、次亜塩素酸など)の塩類等を用いて酸化し
つつ脱水・水洗する方法、熱水下の酸化性雰囲気で脱水
する方法等があげられるが、これらに限定されるもので
はない。
【0021】前述の空気、酸素等のガスを用いた脱水処
理では、黒鉛の燃焼温度以下の温度で処理を行うべきで
ある。黒鉛の燃焼温度は、黒鉛の種類によっても異なる
が、おおよそ600℃以上である。したがって、600
℃以下の温度で行うことが好ましい。また、600℃以
下の空気、酸素を用いた酸化雰囲気下の脱水処理でも黒
鉛の種類、酸化時間、酸素分圧、黒鉛と銅との比率等に
よって異なるが、黒鉛表面が酸化されカルボキシル基、
ラクトン、水酸基、カルボニル基等の官能基が生成す
る。このことより400℃以下で脱水処理を行うほうが
より好ましい。
【0022】酸化銅付着黒鉛複合体を構成している黒鉛
と酸化銅との比率は、黒鉛の種類や粒径または酸化銅の
付着形態などによって異なるが、黒鉛と酸化銅との重量
比について98.5:1.5〜55:45であることが
好ましい。さらに98.5:1.5〜72:28である
とより好ましい。酸化銅成分の重量の比率が98.5よ
り小さいと付着した酸化銅の効果が顕著に現れなく、5
5:45より大きいと黒鉛の充放電時にリチウムイオン
の反応サイトの減少等がおこり、リチウム二次電池とし
て組み立てた時、その使用できる電池容量が小さくなり
実用的でない。
【0023】負極は上記に示された黒鉛粒子全部あるい
は一部分の表面上で酸化銅と接触している複合体と結着
材を混合して形成される。この結着材には、ポリテトラ
フルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系
ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレ
フィン系ポリマー、合成ゴム類等を用いることができる
がこれに限定されるものではない。この混合比は、黒鉛
粒子全部あるいは一部分の表面上に酸化銅が付着してい
る複合体と結着材との重量比で、99:1〜70:30
とすることができる。結着材が70:30より大きい
と、電極の抵抗あるいは分極等が大きくなり放電容量が
小さくなるため、実用的なリチウム二次電池が作製でき
ない。また、結着材が99:1より小さいと電極として
の形状を維持できない程度の結着能力しか有しなくなっ
てしまい、活物質の脱落発生や、ひいては機械的強度の
低下により電池の作製が困難になる。負極作製において
は、結着性を高めるためにそれぞれの結着材の融点前後
の温度で熱処理を行うことが好ましい。
【0024】酸化銅付着黒鉛複合体の黒鉛と複合化処理
される酸化銅の粒径は、ガラスフィルターの特性からく
る製造工程の関係からおよそ1μm以上であることが好
ましく、かつ同時に存在する黒鉛の粒径以下の範囲にあ
ることが好ましい。本願の酸化銅付着黒鉛複合体での黒
鉛粒子と酸化銅粒子の接触状態は、混合状態にある黒鉛
粒子の傍らで析出を開始した酸化銅粒子が炭素を取り込
もうとしながら肥大するが、取り込みきらないうちに成
長が止まるため、多くの黒鉛粒子が酸化銅粒子と接触し
たいわゆる双粒状粒子の形態を取る。酸化銅の粒径が同
時に存在する黒鉛の粒径より大きい場合に不具合が生じ
る理由は、反応面積が粒径の増大に伴い減少し、電極反
応の特性上、酸化銅としての効果が相対的に減少するた
めで、同時に黒鉛との電極反応性の相対比較において
も、酸化銅としての効果が相対的に減少するからであ
る。また、黒鉛と酸化銅粒子との接着強度の点でも、比
重の相対的に大きい酸化銅粒子が小さいほうが有利とな
り、粒径が黒鉛に比較して相対的に大きい場合、電極反
応の繰り返し、つまり充放電による活物質としての酸化
銅成分の電極面からの遊離の発生頻度が増加し、ひいて
は電極特性が低下する原因の一つとなる。一方、ガラス
フィルターのポア径の小さいものを用いる等の他の分離
方法と水洗方法を用い、ガラスフィルターの特性による
粒径の下限規定がなくなった場合には、単に同時に存在
する黒鉛の粒径以下の範囲となることは明らかである。
【0025】負極から集電を取るためには集電体が必要
である。集電体としては、金属箔や金属メッシュ、三次
元多孔体等がある。集電体に用いられる金属としては、
充放電サイクルを重ねた際の機械的強度の点からリチウ
ムと合金化しにくい金属がよい。特に鉄、ニッケル、コ
バルト、銅、チタン、バナジウム、クロム、マンガンの
単独、あるいはそれらの合金がよい。
【0026】イオン伝導体は、例えば有機電解液、高分
子固体電解質、無機固体電解質、溶融塩等を用いること
ができる。この中でも有機電解液が好適に用いられる。
有機電解液は溶媒と溶質とからなり、溶媒に電解質を溶
解することによって電解液は調整される。有機電解液の
溶媒としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボ
ネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネー
ト、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネー
ト、γ−ブチロラクトン等のエステル類や、テトラヒド
ロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどの置換テ
トラヒドロフラン、ジオキソラン、ジエチルエーテル、
ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、メトキシエトキ
シエタン等のエーテル類、ジメチルスルホキシド、スル
ホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、ギ酸メチ
ル、酢酸メチル等が挙げられ、これらの1種あるいは2
種以上の混合溶媒として使用される。また電解質として
は過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウム、リンフッ化
リチウム、6フッ化砒素リチウム、トリフルオロメタン
スルホン酸リチウム、ハロゲン化リチウム、塩化アルミ
ン酸リチウム等のリチウム塩が挙げられ、これらの1種
あるいは2種以上を混合して使用される。電解液を調整
する際に使用する溶媒、電解質は上記に挙げたものに限
定されるものではない。
【0027】この発明のリチウム二次電池における正極
としては、LiCoO2、LiNiO2や、この系列のL
xyz2(ここでMはFe、Co、Niのいずれか
であり、Nは遷移金属、4B族、あるいは5B族の金属
を表す)、LiMn24およびLiMn2-xy4(こ
こでNは遷移金属、4B族、あるいは5B族の金属を表
す)等のリチウムを含有した酸化物を正極活物質とし
て、これに導電材、結着材および場合によっては固体電
解質等を混合して形成される。この混合比は、活物質1
00重量部に対して、導電材を5〜50重量部、結着材
を1〜30重量部とすることができる。この導電材には
カーボンブラック(アセチレンブラック、サーマルブラ
ック、チャンネルブラック等)などの炭素類や、グラフ
ァイト粉末、金属粉末等を用いることができるがこれに
限定されるものではない。また、この結着材にはポリテ
トラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ
素系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリ
オレフェン系ポリマー、合成ゴム類などを用いることが
できるがこれに限定されるものではない。導電材が5重
量部より小さい、あるいは結着材が30重量部より大き
いと、電極の抵抗あるいは分極等が大きくなり放電容量
が小さくなるため実用的なリチウム二次電池が作製でき
ない。導電材が50重量部より多い(混合する導電材の
種類により重量部は変わる)と電極内に含まれる活物質
量が減るため正極としての放電容量が小さくなる。結着
材は、1重量部より小さいと結着能力がなくなってしま
い、30重量部より大きいと、導電材の場合と同様に、
電極内に含まれる活物質量が減り、さらに上記に記載の
ごとく、電極の抵抗あるいは分極等が大きくなり放電容
量が小さくなるため実用的ではない。正極作製におい
て、結着性を上げるためにそれぞれの結着材の融点前後
の温度で熱処理を行うことが好ましい。
【0028】
【作用】本発明による負極は、リチウムのインターカレ
ーション・デインターカレーション可能な黒鉛粒子全
部、あるいは一部分の表面上で酸化銅が接触している複
合体と結着材とを混合した電極であり高容量である。こ
れは、酸化銅が電気化学的に還元されたものに、可逆的
に変化するリチウムと銅の複合酸化物が生成したためで
ある。
【0029】また、酸化銅と黒鉛の複合化処理により、
双粒状粒子の形態をとるため接触性が高く、粒子間の接
触に伴う抵抗成分が減少し、それに伴って酸化銅の電極
反応性が向上している。
【0030】黒鉛−酸化銅複合体の作製法を比較した場
合、図1(a)のごとく、メッキ法では粉末湿式メッキ
法を行うため粉末の炭素(黒鉛)の表面を前処理液で処
理し、活性化させた上でメッキ液に浸漬し、活性化させ
た上で均一な被膜形成を行い後処理として水洗を行う、
という工程が用いられるため手間がかかることは必須で
ある。一方、本発明では図1(b)のごとく、単に混合
の上、熱処理と水洗/酸化処理を行うだけであり、工数
も減少し、装置の大きさ特に反応槽の大きさが小さくて
すむというメリットがある。
【0031】したがって、本発明による負極を使用した
リチウム二次電池は電極製造における工程を少なくで
き、高容量化した優れたリチウム二次電池を提供するこ
とができる。
【0032】
【実施例】以下、この発明を実施例により、詳細に説明
する。
【0033】なお、X線広角回折法による結晶子の大き
さ(Lc、La)を測定する方法は公知の方法、例えば
“炭素材料実験技術 1 p55〜63 炭素材料学会
編(科学技術社)”や特開昭61−111907に記載
された方法によって行うことができる。また、結晶子の
大きさを求める形状因子Kは0.9を用いた。また、粒
径はレーザー回折式粒度分布計を用いて測定を行い、粒
度分布においてピークをもつ粒径(体積基準測定におけ
るモード径)として求めた。
【0034】実施例1 ・酸化銅付着黒鉛複合体の作製 負極活物質として用いる黒鉛粒子全部あるいは一部分の
表面上に酸化銅が付着している複合体の黒鉛粒子にマダ
ガスカル産の天然黒鉛(鱗片状、粒径11μm、d002
は0.337nm、Lcは27nm、Laは17nm、
R値は0、比表面積8m2/g)を用い、これに酸化銅
複合化処理を施した。酸化銅複合化処理は次の方法で行
った。
【0035】まず、上述の黒鉛粉末120重量部と硫酸
銅5水和物(CuSO4・5H2O)97重量部(モル比
で100:3.88)をビーカーに計り取りよく混合す
る。この中に水酸化リチウム(LiOH・H2O)16
3重量部(Cu2+に対してモル比で10倍)を加えよく
かき混ぜ、イオン交換水を1000ml加え撹拌し、C
uSO4・5H2OおよびLiOH・H2Oが溶解後、9
0℃に保持したホットプレート上にて20時間加熱す
る。蒸発に伴い適宜イオン交換水は補給する。その後、
加熱を終了し12時間室温(約20℃)で放置後、ガラ
スセパレータろ紙(気孔径1μm)にて吸引ろ過し、ろ
液が中性になるまで水洗し、得られた酸化銅複合黒鉛複
合体の固形物を真空乾燥(乾燥中の酸化の進行を防ぐた
め85℃で実施)し、粉砕を行う。こうして作製した酸
化銅付着黒鉛粉末の黒鉛と酸化銅との重量比は79.
6:20.4であった。この酸化銅付着黒鉛複合体の粉
末X線広角回折測定を行ったところ、黒鉛に由来する回
折線と酸化第二銅CuOに由来する回折線が観察され
た。
【0036】・負極の作製 上述した方法で作製した酸化銅付着黒鉛複合体にノニオ
ン系の分散剤を添加し、ポリテトラフルオロエチレン
(乾燥後、酸化銅付着黒鉛複合体とポリテトラフルオロ
エチレンとの重量比は87:13である)のディスパー
ジョン液を加えてペースト状にしたものを、銅箔集電体
上両面に塗布した。これを60℃で乾燥、240℃で真
空中もしくは窒素ガス中熱処理し、室温まで冷却後プレ
スし、さらに水分除去のため200℃で減圧乾燥したも
のを負極として用いた。この負極は表面積8cm2、電
極の厚みが74μm(集電体の厚みが50μm)であ
る。
【0037】・負極の評価 銅集電体からリード線で集電を取り、評価用の電極とし
た。評価は3極法を用い、対極および参照極にリチウム
を用いた。電解液は、エチレンカーボネートとジエチル
カーボネートとの1:1混合溶媒に1mol/lの過塩
素酸リチウムを溶解したものである。充放電試験は、
0.1mA/cm2の電流密度で初めに0Vまで充電を
行い、続いて同じ電流で1.5Vまで放電を行った。2
回目以降も同じ電位の範囲、電流密度で充放電を繰り返
し、放電容量にて負極の評価を行った。
【0038】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり456mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり420mAhであった。
【0039】実施例2 黒鉛粒子として変性黒鉛(鱗片状、粒径8μm、d002
は0.337nm、Lcは17nm、Laは12nm、
R値は0.1、比表面積9m2/g)を用い、これに酸
化銅複合化処理を施した。酸化銅複合化処理は次の方法
で行った。
【0040】まず、上述の黒鉛粉末120重量部と酢酸
銅水和物(Cu(CH3COO)2・H2O)66.7重
量部(モル比で100:3.33)をビーカーに計り取
り、よく混合する。この中に水酸化リチウム(LiOH
・H2O)140重量部(Cu2+に対してモル比で10
倍)を加えよくかき混ぜ、イオン交換水を2000ml
加え撹拌し、Cu(CH3COO)2・H2OおよびLi
OH・H2Oが溶解後、90℃に保持したホットプレー
ト上にて20時間加熱する。蒸発に伴い適宜イオン交換
水は補給する。その後、加熱を終了し12時間室温(約
20℃)で放置後、ガラスセパレータろ紙(気孔径1μ
m)にて吸引ろ過し、ろ液が中性になるまで水洗し、得
られた酸化銅複合黒鉛複合体の固形物を真空乾燥(乾燥
中の酸化の進行を防ぐため85℃で実施)し、粉砕を行
う。こうして作製した酸化銅付着黒鉛粉末の黒鉛と酸化
銅との重量比は82:18であった。この酸化銅付着黒
鉛複合体の粉末X線広角回折測定を行ったところ、黒鉛
に由来する回折線と酸化第二銅CuOに由来する回折線
が観察された。
【0041】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積が8cm2、厚みは71μm(集電体の厚みが5
0μm)である。
【0042】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0043】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり459mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり433mAhであった。
【0044】実施例3 黒鉛粒子として変性黒鉛(鱗片状、粒径17μm、d
002は0.337nm、Lcは22nm、Laは15n
m、R値は0.1、比表面積9m2/g)を用い、これ
に酸化銅複合化処理を施した。酸化銅複合化処理は次の
方法で行った。
【0045】まず、上述の黒鉛粉末120重量部と硫酸
銅5水和物(CuSO4・5H2O)46.7重量部(モ
ル比で100:1.87)をビーカーに計り取りよく混
合する。この中に水酸化リチウム(LiOH・H2O)
157重量部(Cu2+に対してモル比で20倍)を加え
よくかき混ぜ、イオン交換水を2000ml加え撹拌
し、CuSO4・5H2OおよびLiOH・H2Oが溶解
後、90℃に保持したホットプレート上にて20時間加
熱する。蒸発に伴い適宜イオン交換水は補給する。その
後、加熱を終了し12時間室温(約20℃)で放置後、
ガラスセパレータろ紙(気孔径1μm)にて吸引ろ過
し、ろ液が中性になるまで水洗し、得られた酸化銅複合
黒鉛複合体の固形物を真空乾燥(乾燥中の酸化の進行を
防ぐため85℃で実施)し、粉砕を行う。こうして作製
した酸化銅付着黒鉛粉末の黒鉛と酸化銅との重量比は8
9:11であった。この酸化銅付着黒鉛複合体の粉末X
線広角回折測定を行ったところ、黒鉛に由来する回折線
と酸化第二銅CuOに由来する回折線が観察された。
【0046】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積が8cm2、厚みは89μm(集電体の厚みが5
0μm)である。
【0047】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0048】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり440mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり414mAhであった。
【0049】実施例4 黒鉛粒子として人造黒鉛(鱗片状、粒径35μm、d
002は0.336nm、Lcは22nm、Laは13n
m、R値は0、比表面積4m2/g)を用い、これに酸
化銅複合化処理を施した。酸化銅複合化処理は次の方法
で行った。
【0050】まず、上述の黒鉛粉末120重量部と硫酸
銅5水和物(CuSO4・5H2O)58.4重量部(モ
ル比で200:4.67)をビーカーに計り取りよく混
合する。この中に水酸化リチウム(LiOH・H2O)
98重量部(Cu2+に対してモル比で10倍)を加えよ
くかき混ぜ、イオン交換水を2000ml加え撹拌し、
CuSO4・5H2OおよびLiOH・H2Oが溶解後、
90℃に保持したホットプレート上にて20時間加熱す
る。蒸発に伴い適宜イオン交換水は補給する。その後、
加熱を終了し12時間室温(約20℃)で放置後、ガラ
スセパレータろ紙(気孔径1μm)にて吸引ろ過し、ろ
液が中性になるまで水洗し、得られた酸化銅複合黒鉛複
合体の固形物を真空乾燥(乾燥中の酸化の進行を防ぐた
め85℃で実施)し、粉砕を行う。こうして作製した酸
化銅付着黒鉛粉末の黒鉛と酸化銅との重量比は86.
6:13.4であった。この酸化銅付着黒鉛複合体の粉
末X線広角回折測定を行ったところ、黒鉛に由来する回
折線と酸化第二銅CuOに由来する回折線が観察され
た。
【0051】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積が8cm2、厚みは130μm(集電体の厚みが
50μm)である。
【0052】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0053】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり400mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり385mAhであった。
【0054】実施例5 黒鉛粒子として人造黒鉛(球状、粒径6μm、d002
0.339nm、Lcは25nm、Laは13nm、R
値は0.4、比表面積8m2/g)を用い、これに酸化
銅複合化処理を施した。酸化銅複合化処理は次の方法で
行った。
【0055】まず、上述の黒鉛粉末120gと硫酸銅5
水和物(CuSO4・5H2O)19.7g(モル比で1
00:0.79)をビーカーに計り取りよく混合する。
この中に特級28%アンモニア水(NH4OH)600
ml(Cu2+に対してアンモニアのモル比で約10倍)
を加えよくかき混ぜ、イオン交換水を1400ml加え
撹拌し、CuSO4・5H2Oが溶解後、70℃に保持し
たホットプレート上にて10時間加熱する。蒸発に伴い
適宜イオン交換水は補給する。その後、加熱を終了し1
2時間室温(約20℃)で放置後、ガラスセパレータろ
紙(気孔径1μm)にて吸引ろ過し、ろ液が中性になる
まで水洗し、得られた酸化銅複合黒鉛複合体の固形物を
真空乾燥(乾燥中の酸化の進行を防ぐため85℃で実
施)し、粉砕を行う。こうして作製した酸化銅付着黒鉛
粉末の黒鉛と酸化銅との重量比は95:5であった。こ
の酸化銅付着黒鉛複合体の粉末X線広角回折測定を行っ
たところ、黒鉛に由来する回折線と酸化第二銅CuOに
由来する回折線が観察された。
【0056】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積が8cm2、厚みは70μm(集電体の厚みが5
0μm)である。
【0057】この負極を、電解液にエチレンカーボネー
トとプロピレンンカーボネート、ジエチルカーボネート
の2:1:2混合溶媒に1mol/lの過塩素酸リチウ
ムを溶解したものを用いた以外、実施例1に記載された
方法で評価した。
【0058】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり421mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり395mAhであった。
【0059】実施例6 黒鉛粒子として実施例5と同じ人造黒鉛(球状、粒径6
μm、d002は0.339nm、Lcは25nm、La
は13nm、R値は0.4、比表面積8m2/g)を用
い、これに酸化銅複合化処理を施した。酸化銅複合化処
理は次の方法で行った。
【0060】まず、上述の黒鉛粉末120重量部と硫酸
銅5水和物(CuSO4・5H2O)19.7重量部(モ
ル比で100:1)をビーカーに計り取りよく混合す
る。この中に尿素(NH2CONH2)95重量部(Cu
2+に対してモル比で約10倍)を加えよくかき混ぜ、イ
オン交換水を2000ml加え撹拌し、CuSO4・5
2OおよびNH2CONH2が溶解後、90℃に保持し
たホットプレート上にて20時間加熱する。蒸発に伴い
適宜イオン交換水は補給する。その後、加熱を終了し1
2時間室温(約20℃)で放置後、ガラスセパレータろ
紙(気孔径1μm)にて吸引ろ過し、ろ液が中性になる
まで水洗し、得られた酸化銅複合黒鉛複合体の固形物を
真空乾燥(乾燥中の酸化の進行を防ぐため85℃で実
施)し、粉砕を行う。こうして作製した酸化銅付着黒鉛
粉末の黒鉛と酸化銅との重量比は95:5であった。こ
の酸化銅付着黒鉛複合体の粉末X線広角回折測定を行っ
たところ、黒鉛に由来する回折線と酸化第二銅CuOに
由来する回折線が観察された。
【0061】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積が8cm2、厚みは72μm(集電体の厚みが5
0μm)である。
【0062】この負極を、電解液にエチレンカーボネー
トとプロピレンンカーボネート、ジエチルカーボネート
との2:1:2混合溶媒に1mol/lの過塩素酸リチ
ウムを溶解したものを用いた以外、実施例1に記載され
た方法で評価した。
【0063】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり424mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり396mAhであった。
【0064】比較例1 黒鉛粒子として実施例1で用いたマダガスカル産の天然
黒鉛を用い、これに無電解銅メッキを施した。無電解銅
メッキは次の方法で行った。
【0065】まず、黒鉛粉末をエチルアルコールに浸漬
し、乾燥後感応化処理液(30g/lのSnCl2・2
2Oと20ml/lの濃塩酸の混合液)に浸漬し、さ
らに活性化処理液(0.4g/lのPbCl2・2H2
と3ml/lの濃塩酸の混合液)に浸漬することにより
前処理を行った。次に、前処理を終えた黒鉛粉末を10
g/lのCuSO4・5H2O、50g/lの酒石酸ナト
リウムカリウム、10g/lの水酸化ナトリウム、10
ml/lの37%ホルマリンを溶解させた溶液を水酸化
ナトリウムでpH12.0に調整した無電解銅メッキ浴
中に加え、溶液をスターラーで撹拌しながら室温にて黒
鉛粉末に銅メッキを行った。これを60℃で乾燥した。
できた銅被覆黒鉛粉末の黒鉛と銅との重量比は83:1
7であった。この銅被覆黒鉛粉末を空気中250℃にて
5時間酸化することによって酸化銅が付着した黒鉛複合
体を得た。こうして得られた酸化銅付着黒鉛複合体の粉
末X線広角回折測定を行ったところ、黒鉛に由来する回
折線と酸化第二銅に由来する回折線が観察された。さら
に、この酸化銅付着黒鉛複合体の黒鉛と酸化銅との重量
比は79.6:20.4であった。
【0066】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積は8cm2、厚みは75μm(集電体の厚みが5
0μm)である。
【0067】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0068】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり458mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり421mAhであった。
【0069】比較例2 黒鉛粒子として実施例2で用いた変性黒鉛を使用し、
0.06mol/lのCuSO4・5H2O、0.3mo
l/lのEDTA、0.4mol/lのホルムアルデヒ
ド、170mg/lの7−ヨード−8−ヒドロキシキノ
リン−5−スルホン酸とを溶解させた溶液を水酸化ナト
リウムでpH12.8に調整した無電解銅メッキ浴で7
5℃でメッキを行った以外は実施例1に記載された方法
で実施し、できた銅被覆黒鉛粉末の黒鉛と銅との重量比
は85:15であった。この銅被覆黒鉛粉末を空気中4
00℃にて30分間酸化処理し、酸化銅付着黒鉛複合体
を作製した。こうして得られた酸化銅付着黒鉛複合体の
粉末X線広角回折測定を行ったところ、黒鉛に由来する
回折線および酸化第二銅に由来する回折線が観察され、
黒鉛および酸化第二銅であることがわかった。さらに、
この酸化銅付着黒鉛複合体の黒鉛と酸化銅との重量比は
82:18であった。
【0070】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積は8cm2、厚みは71μm(集電体の厚みが5
0μm)である。
【0071】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0072】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり462mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり435mAhであった。
【0073】比較例3 黒鉛粒子として実施例3で用いた変性黒鉛を使用し、1
5g/lのCu(NO32・3H2O、10g/lの炭
酸水素ナトリウム、30g/lの酒石酸ナトリウムカリ
ウム、20g/lの水酸化ナトリウム、100ml/l
の37%ホルマリンとを溶解させた溶液を水酸化ナトリ
ウムでpH11.5に調整した無電解銅メッキ浴を用い
メッキを行った以外は実施例1に記載された方法で実施
し、できた銅被覆黒鉛粉末の黒鉛と銅との重量比は9
1:9であった。この銅被覆黒鉛粉末を酸素中200℃
にて24時間酸化処理し、酸化銅付着黒鉛複合体を作製
した。こうして得られた酸化銅付着黒鉛複合体の粉末X
線広角回折測定を行ったところ、黒鉛に由来する回折線
および酸化第二銅に由来する回折線が観察され、黒鉛お
よび酸化第二銅であることがわかった。さらに、この酸
化銅付着黒鉛複合体の黒鉛と酸化銅との重量比は89:
11であった。
【0074】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積は8cm2、厚みは88μm(集電体の厚みが5
0μm)である。
【0075】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0076】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり439mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり415mAhであった。
【0077】比較例4 黒鉛粒子として実施例4で用いた人造黒鉛を使用し、6
0g/lのCu・SO4・5H2O、15g/lのNiS
4・7H2O、45g/lの硫酸ヒドラジンとを溶解さ
せた溶液と、180g/lの酒石酸ナトリウムカリウ
ム、45g/lの水酸化ナトリウム、15g/lの炭酸
ナトリウムとを溶解させた溶液を使用直前に混合した無
電解銅メッキ浴を用いメッキを行った以外は実施例1に
記載された方法で実施し、できた銅被覆黒鉛粉末の黒鉛
と銅との重量比は89:11であった。この銅被覆黒鉛
粉末を空気中350℃にて1時間酸化処理し、酸化銅付
着黒鉛複合体を作製した。こうして得られた酸化銅付着
黒鉛複合体の粉末X線広角回折測定を行ったところ、黒
鉛に由来する回折線および酸化第二銅に由来する回折線
が観察され、黒鉛および酸化第二銅であることがわかっ
た。さらに、この酸化銅付着黒鉛複合体の黒鉛と酸化銅
との重量比は86.6:13.4であった。
【0078】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積は8cm2、厚みは132μm(集電体の厚みが
50μm)である。
【0079】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0080】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり402mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり388mAhであった。
【0081】比較例5 黒鉛粒子として実施例5で用いた人造黒鉛を使用し、前
処理液としてMAC−100(奥野製薬工業株式会社
製)およびMAC−200(奥野製薬工業株式会社製)
を用い、MAC−500AとMAC−500Bの2液タ
イプの無電解銅メッキ浴(奥野製薬工業株式会社製)を
用いた以外は比較例1に記載された方法でメッキを施
し、できた銅被覆黒鉛粉末の黒鉛と銅との重量比は9
6:4であった。この銅被覆黒鉛粉末を溶存酸素を含ん
だ水中70℃にて15時間酸化処理し、酸化銅付着黒鉛
複合体を作製した。こうして得られた酸化銅付着黒鉛複
合体の粉末X線広角回折測定を行ったところ、黒鉛に由
来する回折線および酸化第一銅、酸化第二銅に由来する
回折線が観察され、黒鉛および酸化第一銅、酸化第二銅
の混合物であることがわかった。さらに、この酸化銅付
着黒鉛複合体の黒鉛と酸化銅との重量比は95.2:
4.8であった。
【0082】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積は8cm2、厚みは71μm(集電体の厚みが5
0μm)である。
【0083】この負極を、電解液にエチレンカーボネー
トとプロピレンカーボネート、ジエチルカーボネートと
の2:1:2混合溶媒に1mol/lの過塩素酸リチウ
ムを溶解したものを用いた以外、実施例1に記載された
方法で評価した。
【0084】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり425mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり398mAhであった。
【0085】実施例1〜6と比較例1〜5の結果を表1
に示す。これらから酸化銅付着黒鉛複合体を含む負極を
用いた場合、メッキによる場合と遜色ない高容量の放電
容量が得られることが判明した。また、工程の簡便さを
比較すると、図1に示すごとく本発明では実質2工程の
省略が可能となり、作業性が向上することがわかる。
【0086】
【表1】
【0087】比較例6 実施例1で用いたマダガスカル産の天然黒鉛のみを用い
て実施例1に記載された方法で負極を作製した。作製し
た負極の表面積は8cm2、厚みは85μm(集電体の
厚みが50μm)である。
【0088】この負極を30mA/gの電流密度にした
以外は実施例1に記載された方法で評価した。
【0089】その結果、2サイクル目の放電容量は電極
の単位体積(集電体の体積は除く)あたり358mA
h、10サイクル目の放電容量は電極の単位体積(集電
体の体積は除く)あたり344mAhであった。
【0090】比較例7 主要負極活物質として実施例1で用いたマダガスカル産
の天然黒鉛を用い、これと市販の試薬である酸化第二銅
(粒径27μm)とを重量比80:20で乳鉢にて混合
し、ノニオン系の分散剤を添加し、ポリテトラフルオロ
エチレン(乾燥後、黒鉛と酸化第二銅と合わせたもの
と、ポリテトラフルオロエチレンとの重量比は87:1
3である)のディスパージョン液を加えてペースト状に
したものを銅箔集電体上両面に塗布した。これを60℃
で乾燥、240℃で熱処理後プレスし、さらに水分除去
のために200℃で減圧乾燥したものを負極として用い
た。この負極は表面積8cm2、電極の厚みが138μ
m(集電体の厚みが50μm)である。
【0091】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0092】その結果、2サイクル目の放電容量は電極
の単位体積(集電体の体積は除く)あたり371mA
h、10サイクル目の放電容量は電極の単位体積(集電
体の体積は除く)あたり335mAhであった。
【0093】比較例8 炭素粒子として1000℃で炭化したメソカーボンマイ
クロビーンズ(球状、粒径6μm、d002は0.349
nm、Lcは1.3nm、Laは計算不可能、R値は
1.3、比表面積1m2/g)を用い、前処理液として
MAC−100(奥野製薬工業株式会社製)およびMA
C−200(奥野製薬工業株式会社製)を用い、MAC
−500AとMAC−500Bの2液タイプの無電解銅
メッキ浴(奥野製薬工業株式会社製)を用い、メッキ浴
を行った以外は実施例1に記載された方法で実施し、で
きた銅被覆炭素粉末の炭素と銅との重量比は81:19
であった。この銅被覆炭素粉末をさらに実施例1に記載
された方法で酸化し、酸化銅付着炭素複合体を作製し
た。こうして得られた酸化銅付着炭素複合体の粉末X線
広角回折測定を行ったところ、炭素に由来する回折線お
よび酸化第二銅に由来する回折線が観察され、炭素およ
び酸化第二銅であることがわかった。さらに、この酸化
銅付着炭素複合体の炭素と酸化銅との重量比は77.
3:22.7であった。
【0094】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積は8cm2、厚みは68μm(集電体の厚みが5
0μm)である。
【0095】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0096】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり176mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり159mAhであった。
【0097】実施例1〜6と比較例6〜8の結果を表1
に示す。これらから実施例に示した方法で作製した酸化
銅付着黒鉛複合体が黒鉛の酸化銅との複合体からなる負
極である場合には、比較例に示した方法で作製した酸化
銅付着複合体電極と何ら遜色の無い高容量の放電容量が
得られることが判明した。また、黒鉛との複合体でない
場合(比較例8)には容量は低いことがわかった。
【0098】実施例7 黒鉛粒子として人造黒鉛(鱗片状、粒径77μm、d
002は0.337nm、Lcは26nm、Laは14n
m、R値は0.1、比表面積2m2/g)を用い、実施
例1と同様の方法で同様の試薬を用い、配合比は変更
し、酸化銅付着黒鉛複合体を作製した。この時できた酸
化銅付着黒鉛複合体粉末の黒鉛と酸化銅との重量比は8
4.3:15.7であった。また、作製した酸化銅付着
黒鉛複合体の粉末X線広角回折測定を行ったところ、黒
鉛および酸化第二銅であることがわかった。
【0099】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積が8cm2、厚みは225μm(集電体の厚みが
50μm)である。
【0100】この負極を0.05mA/cm2の電流密
度にした以外は実施例1に記載された方法で評価した。
【0101】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり370mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり349mAhであった。
【0102】比較例9 黒鉛粒子として人造黒鉛(鱗片状、粒径117μm、d
002は0.337nm、Lcは25nm、Laは17n
m、R値は0.1、比表面積1m2/g)を用い、比較
例5に記載された方法でメッキを実施し、できた銅被覆
黒鉛粉末の黒鉛と銅との重量比は88:12であった。
【0103】この銅被覆黒鉛粉末を比較例1に記載され
た方法で酸化し、酸化銅付着黒鉛複合体を作製した。こ
うして得られた酸化銅付着黒鉛複合体の粉末X線広角回
折測定を行ったところ、黒鉛に由来する回折線および酸
化第二銅に由来する回折線が観察され、黒鉛および酸化
第二銅であることがわかった。さらに、この酸化銅付着
黒鉛複合体の黒鉛と酸化銅との重量比は、85.4:1
4.6であった。
【0104】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積が8cm2、厚みは305μm(集電体の厚みが
50μm)である。
【0105】この負極を0.05mA/cm2の電流密
度にした以外は実施例1に記載された方法で評価した。
【0106】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり361mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり337mAhであった。
【0107】実施例1〜7と比較例9の結果を表1に示
す。これから黒鉛の粒径は80μm以下のものがよいと
判明した。
【0108】実施例8 黒鉛粒子としてマダガスカル産の天然黒鉛を用いた以外
は実施例4に記載された方法かつ配合比で酸化銅付着黒
鉛複合体を作製した。このときできた酸化銅付着黒鉛複
合体粉末の黒鉛と酸化銅との重量比は86.6:13:
4であった。また、作製した酸化銅付着黒鉛複合体の粉
末X線広角回折測定を行ったところ、黒鉛および酸化第
二銅であることがわかった。
【0109】上述した方法で作製した酸化銅付着黒鉛複
合体にノニオン系の分散剤を添加し、ポリテトラフルオ
ロエチレン(乾燥後、酸化銅付着黒鉛複合体とポリテト
ラフルオロエチレンとの重量比は77:23である)の
ディスパージョン液を加えてペースト状にしたものを、
銅箔集電体上両面に塗布した。これを60℃で乾燥、2
40℃で真空中もしくは窒素ガス中熱処理し、室温まで
冷却後プレスし、さらに水分除去のため200℃で減圧
乾燥したものを負極として用いた。この負極は表面積8
cm2、電極の厚みが83μm(集電体の厚みが50μ
m)である。
【0110】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0111】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり386mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり358mAhであった。
【0112】比較例10 酸化銅付着黒鉛複合体は実施例8に記載された材料を用
いた。
【0113】乾燥後、酸化銅付着黒鉛複合体とポリテト
ラフルオロエチレンとの重量比を63:37にした以外
は実施例1に記載された方法で負極を作製した。作製し
た負極の表面積は8cm2、電極の厚みは88μm(集
電体の厚みが50μm)である。
【0114】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0115】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり362mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり344mAhであった。
【0116】実施例9 酸化銅付着黒鉛複合体は実施例8に記載された材料を用
いた。
【0117】乾燥後、酸化銅付着黒鉛複合体とポリテト
ラフルオロエチレンとの重量比を97:3にした以外は
実施例1に記載された方法で負極を作製した。作製した
負極の表面積は8cm2、電極の厚みは76μm(集電
体の厚みが50μm)である。
【0118】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0119】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり413mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり350mAhであった。
【0120】比較例11 酸化銅付着黒鉛複合体は実施例8に記載された材料を用
いた。
【0121】乾燥後、酸化銅付着黒鉛複合体とポリテト
ラフルオロエチレンとの重量比を99.5:0.5にし
た以外は実施例1に記載された方法で負極を作製したと
ころ、集電体から剥離した。
【0122】実施例8、9と比較例10、11の結果を
表2に示す。これと実施例1〜7から、酸化銅付着黒鉛
複合体と結着材との重量比は99:1〜70:30が最
適であることが判明した。
【0123】
【表2】
【0124】実施例10 黒鉛粒子として人造黒鉛(鱗片状、粒径7μm、d002
は0.336nm、Lcは22nm、Laは13nm、
R値は0.1、比表面積10m2/g)を用いた以外は
実施例4に記載された方法かつ配合比で酸化銅付着黒鉛
複合体を作製した。このときできた酸化銅付着黒鉛複合
体粉末の黒鉛と酸化銅との重量比は86.6:13.4
であった。また、作製した酸化銅付着黒鉛複合体の粉末
X線広角回折測定を行ったところ、黒鉛および酸化第二
銅であることがわかった。
【0125】上述した方法で作製した酸化銅付着黒鉛複
合体に、あらかじめN,N−ジメチルホルムアミドにポ
リフッ化ビニリデンを溶解させたもの(N,N−ジメチ
ルホルムアミドとポリフッ化ビニリデンの重量比は1.
5:0.05である)に加え、ペースト状にした。この
時、酸化銅付着黒鉛複合体とポリフッ化ビニリデンとの
乾燥後の重量比は、91:9であるように混合した。こ
のペーストをステンレス箔集電体上両面に塗布した。こ
れを65℃で乾燥、155℃で熱処理後プレスし、さら
に水分除去のために160℃で減圧乾燥したものを負極
として用いた。この負極は表面積が8cm2、電極の厚
みが72μm(集電体の厚みが50μm)である。
【0126】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0127】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり440mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり414mAhであった。
【0128】実施例11 黒鉛粒子として変性黒鉛(鱗片状、粒径7μm、d002
は0.336nm、Lcは22nm、Laは13nm、
R値は0.1、比表面積10m2/g)を用いた。この
黒鉛粉末と硫酸銅5水和物と水酸化リチウムをそれぞれ
120重量部、9.3重量部、15.5重量部、イオン
交換水は2000mlを使用した以外は実施例1に記載
された方法で酸化銅付着黒鉛複合体を作製した。このと
きできた酸化銅付着黒鉛複合体粉末の黒鉛と酸化銅との
重量比は97.6:2.4(黒鉛/(黒鉛+酸化銅)=
0.976)であった。また、作製した酸化銅付着黒鉛
複合体の粉末X線広角回折測定を行ったところ、黒鉛お
よび酸化第二銅であることがわかった。
【0129】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積は8cm2、厚みは70μm(集電体の厚みが5
0μm)である。
【0130】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0131】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり396mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり372mAhであった。
【0132】実施例12 酸化銅付着黒鉛複合体粉末の黒鉛と酸化銅との重量比が
93.8:6.2(黒鉛/(黒鉛+酸化銅)=0.93
8)となるように原料調合をした以外は実施例11に記
載された材料と方法で酸化銅付着黒鉛複合体を作製し
た。
【0133】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積は8cm2、厚みは78μm(集電体の厚みが5
0μm)である。
【0134】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0135】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり535mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり499mAhであった。
【0136】実施例13 酸化銅付着黒鉛複合体粉末の黒鉛と酸化銅との重量比が
89:11(黒鉛/(黒鉛+酸化銅)=0.89)とな
るように原料調合をした以外は実施例11に記載された
材料と方法で酸化銅付着黒鉛複合体を作製した。
【0137】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積は8cm2、厚みは76μm(集電体の厚みが5
0μm)である。
【0138】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0139】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり424mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり410mAhであった。
【0140】実施例14 酸化銅付着黒鉛複合体粉末の黒鉛と酸化銅との重量比が
79.6:20.4(黒鉛/(黒鉛+酸化銅)=0.7
96)となるように原料調合をした以外は実施例11に
記載された材料と方法で酸化銅付着黒鉛複合体を作製し
た。
【0141】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積は8cm2、厚みは80μm(集電体の厚みが5
0μm)である。
【0142】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0143】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり420mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり403mAhであった。
【0144】実施例15 酸化銅付着黒鉛複合体粉末の黒鉛と酸化銅との重量比が
72.8:27.2(黒鉛/(黒鉛+酸化銅)=0.7
28)となるように原料調合をした以外は実施例11に
記載された材料と方法で酸化銅付着黒鉛複合体を作製し
た。
【0145】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積は8cm2、厚みは79μm(集電体の厚みが5
0μm)である。
【0146】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0147】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり380mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり366mAhであった。
【0148】実施例16 酸化銅付着黒鉛複合体粉末の黒鉛と酸化銅との重量比が
59.3:40.7(黒鉛/(黒鉛+酸化銅)=0.5
93)となるように原料調合をした以外は実施例11に
記載された材料と方法で酸化銅付着黒鉛複合体を作製し
た。
【0149】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積は8cm2、厚みは83μm(集電体の厚みが5
0μm)である。
【0150】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0151】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり372mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり355mAhであった。
【0152】実施例17 酸化銅付着黒鉛複合体粉末の黒鉛と酸化銅との重量比が
61.9:38.1(黒鉛/(黒鉛+酸化銅)=0.6
19)となるように原料調合をした以外は実施例11に
記載された材料と方法で酸化銅付着黒鉛複合体を作製し
た。
【0153】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積は8cm2、厚みは81μm(集電体の厚みが5
0μm)である。
【0154】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0155】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり375mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり347mAhであった。
【0156】実施例18 酸化銅付着黒鉛複合体粉末の黒鉛と酸化銅との重量比が
57:43(黒鉛/(黒鉛+酸化銅)=0.57)とな
るように原料調合をした以外は実施例11に記載された
材料と方法で酸化銅付着黒鉛複合体を作製した。
【0157】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積は8cm2、厚みは85μm(集電体の厚みが5
0μm)である。
【0158】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0159】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり369mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり344mAhであった。
【0160】比較例12 変性黒鉛(鱗片状、粒径7μm、d002は0.336n
m、Lcは22nm、Laは13nm、R値は0.1、
比表面積10m2/g)のみ、つまり重量比が1(黒鉛
/(黒鉛+酸化銅)=1)を用いて実施例1に記載され
た方法で負極を作製した。作製した負極の表面積は8c
2、厚みは77μm(集電体の厚みが50μm)であ
る。
【0161】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0162】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり361mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり340mAhであった。
【0163】比較例13 酸化銅付着黒鉛複合体粉末の黒鉛と酸化銅との重量比が
98.8:1.2(黒鉛/(黒鉛+酸化銅)=0.98
8)となるように原料調合をした以外は実施例11に記
載された材料と方法で酸化銅付着黒鉛複合体を作製し
た。
【0164】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積は8cm2、厚みは72μm(集電体の厚みが5
0μm)である。
【0165】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0166】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり363mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり331mAhであった。
【0167】比較例14 酸化銅付着黒鉛複合体粉末の黒鉛と酸化銅との重量比が
53.5:46.5(黒鉛/(黒鉛+酸化銅)=0.5
35)となるように原料調合をした以外は実施例11に
記載された材料と方法で酸化銅付着黒鉛複合体を作製し
た。
【0168】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積は8cm2、厚みは87μm(集電体の厚みが5
0μm)である。
【0169】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0170】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり351mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり314mAhであった。
【0171】比較例15 酸化銅付着黒鉛複合体粉末の黒鉛と酸化銅との重量比が
47.5:52.5(黒鉛/(黒鉛+酸化銅)=0.4
75)となるように原料調合をした以外は実施例11に
記載された材料と方法で酸化銅付着黒鉛複合体を作製し
た。
【0172】この酸化銅付着黒鉛複合体を用いて実施例
1に記載された方法で負極を作製した。作製した負極の
表面積は8cm2、厚みは86μm(集電体の厚みが5
0μm)である。
【0173】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0174】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり319mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり302mAhであった。
【0175】実施例10〜18と比較例7、12〜15
の結果を表3に示す。これらについて、酸化銅付着黒鉛
複合体の黒鉛と複合化処理された酸化銅との重量比およ
び混合物に対する重量比と、2サイクル目の電極の単位
体積(集電体の体積は除く)あたりの放電容量の関係を
図2に示す。これより、黒鉛と複合化された酸化銅との
重量比が98.5:1.5〜55:45の範囲にあるこ
とが好ましく、98.5:1.5〜72:28の範囲に
あることが特に好ましいと判明した。さらに、単なる試
薬等の混合では放電容量は相対的に小さくなりあまり特
性はよくない。
【0176】
【表3】
【0177】実施例19 黒鉛粒子として人造黒鉛(鱗片状、粒径7μm、d002
は0.336nm、Lcは22nm、Laは13nm、
R値は0.1、比表面積10m2/g)を用い、これに
酸化銅複合化処理を施した。酸化銅複合化処理は次の方
法で行った。
【0178】まず、上述の黒鉛粉末を実施例3に記載さ
れた材料と方法に沿って加工する。異なる点は、溶解物
を80℃に保持したホットプレート上にて20時間加熱
後に28時間室温(約20℃)で放置する点で、こうし
て作製した酸化銅付着黒鉛粉末の黒鉛と酸化銅との重量
比は89:11であった。この酸化銅付着黒鉛複合体の
粉末X線広角回折測定を行ったところ、黒鉛に由来する
回折線と酸化第二銅CuOに由来する回折線が観察され
た。
【0179】また、SEMによって酸化銅付着黒鉛複合
体粉末の黒鉛と酸化銅の粒径を測定したところ、平均粒
径でそれぞれ7.5μmと2.5μmであった。
【0180】上述した方法で作製した酸化銅付着黒鉛複
合体を、あらかじめN,N−ジメチルホルムアミドにポ
リフッ化ビニリデンを溶解させたもの(N,N−ジメチ
ルホリムアミドとポリフッ化ビニリデンの重量比は、
1.5:0.05である)に加え、ペースト状にした。
この時、酸化銅付着黒鉛複合体とポリフッ化ビニリデン
との乾燥後の重量比が91:9であるように混合した。
このペーストをステンレス箔集電体上、両面に塗布し
た。これを65℃で乾燥、155℃で熱処理後プレス
し、さらに水分除去のため160℃で減圧乾燥したもの
を負極として用いた。この負極は、表面積8cm2、電
極の厚みが85μm(集電体の厚みが50μm)であ
る。
【0181】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0182】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり451mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり427mAhであった。
【0183】実施例20 黒鉛粒子として実施例19の人造黒鉛を用い、これに酸
化銅複合化処理を施した。酸化銅複合化処理は次の方法
で行った。
【0184】まず、上述の黒鉛粉末を実施例3に記載さ
れた材料と方法に沿って加工する。異なる点は、溶解物
を80℃に保持した恒温槽中にて20時間加熱後に24
時間室温(約20℃)で放置する点で、こうして作製し
た酸化銅付着黒鉛粉末の黒鉛と酸化銅との重量比は8
9:11であった。この酸化銅付着黒鉛複合体の粉末X
線広角回折測定を行ったところ、黒鉛に由来する回折線
と酸化第二銅CuOに由来する回折線が観察された。
【0185】また、SEMによって酸化銅付着黒鉛複合
体粉末の黒鉛と酸化銅の粒径を測定したところ、平均粒
径でそれぞれ7.5μmと3μmであった。
【0186】上述した方法で作製した酸化銅付着黒鉛複
合体を用いて、実施例19と同様の方法で負極を作製し
た。この負極は、表面積8cm2、電極の厚みが86μ
m(集電体の厚みが50μm)である。
【0187】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0188】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり448mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり426mAhであった。
【0189】実施例21 黒鉛粒子として実施例19の人造黒鉛を用い、これに酸
化銅複合化処理を施した。酸化銅複合化処理は次の方法
で行った。
【0190】まず、上述の黒鉛粉末を実施例3に記載さ
れた材料と方法に沿って加工する。異なる点は、溶解物
を直火にて10時間煮た後に24時間室温(約20℃)
で放置する点で、こうして作製した酸化銅付着黒鉛粉末
の黒鉛と酸化銅との重量比は89:11であった。この
酸化銅付着黒鉛複合体の粉末X線広角回折測定を行った
ところ、黒鉛に由来する回折線と酸化第二銅CuOに由
来する回折線が観察された。
【0191】また、SEMによって酸化銅付着黒鉛複合
体粉末の黒鉛と酸化銅の粒径を測定したところ、平均粒
径でそれぞれ7.5μmと1.8μmであった。
【0192】上述した方法で作製した酸化銅付着黒鉛複
合体を用いて、実施例19と同様の方法で負極を作製し
た。この負極は、表面積8cm2、電極の厚みが85μ
m(集電体の厚みが50μm)である。
【0193】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0194】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり453mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり421mAhであった。
【0195】実施例22 黒鉛粒子として実施例19の人造黒鉛を用い、これに酸
化銅複合化処理を施した。酸化銅複合化処理は次の方法
で行った。
【0196】まず、上述の黒鉛粉末を実施例3に記載さ
れた材料と方法に沿って加工する。異なる点は、溶解物
を120℃に保持した恒温槽中にて10時間加熱後に2
4時間室温(約20℃)で放置する点で、こうして作製
した酸化銅付着黒鉛粉末の黒鉛と酸化銅の重量比は8
9:11であった。この酸化銅付着黒鉛複合体の粉末X
線広角回折測定を行ったところ、黒鉛に由来する回折線
と酸化第二銅CuOに由来する回折線が観察された。
【0197】また、SEMによって酸化銅付着黒鉛複合
体粉末の黒鉛と酸化銅の粒径を測定したところ、平均粒
径でそれぞれ7.5μmと1.5μmであった。
【0198】上述した方法で作製した酸化銅付着黒鉛複
合体を用いて、実施例19と同様の方法で負極を作製し
た。この負極は、表面積8cm2、電極の厚みが84μ
m(集電体の厚みが50μm)である。
【0199】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0200】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり455mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり423mAhであった。
【0201】実施例23 黒鉛粒子として実施例19の人造黒鉛を用い、これに酸
化銅複合化処理を施した。酸化銅複合化処理は次の方法
で行った。
【0202】まず、上述の黒鉛粉末を実施例3に記載さ
れた材料と方法に沿って加工する。異なる点は、溶解物
を80℃に保持した恒温槽中にて20時間加熱後に40
℃の恒温槽中で24時間静置する点で、こうして作製し
た酸化銅付着黒鉛粉末の黒鉛と酸化銅との重量比は8
9:11であった。この酸化銅付着黒鉛複合体の粉末X
線広角回折測定を行ったところ、黒鉛に由来する回折線
と酸化第二銅CuOに由来する回折線が観察された。
【0203】また、SEMによって酸化銅付着黒鉛複合
体粉末の黒鉛と酸化銅の粒径を測定したところ、平均粒
径でそれぞれ7.5μmと3.9μmであった。
【0204】上述した方法で作製した酸化銅付着黒鉛複
合体を用いて、実施例19と同様の方法で負極を作製し
た。この負極は、表面積8cm2、電極の厚みが88μ
m(集電体の厚みが50μm)である。
【0205】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0206】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり445mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり418mAhであった。
【0207】実施例24 黒鉛粒子として実施例19の人造黒鉛を用い、これに酸
化銅複合化処理を施した。酸化銅複合化処理は次の方法
で行った。
【0208】まず、上述の黒鉛粉末を実施例3に記載さ
れた材料と方法に沿って加工する。異なる点は、溶解物
を80℃に保持したホットプレート上にて20時間加熱
後、直ちにガラスセパレータろ紙(気孔径1μm)にて
吸引ろ過する点で、ろ紙の目を通過してろ液中に多量の
茶褐色の微粒子が流出したが、ろ液が中性になるまで水
洗した。この間、微粒子の流出は続いた。得られた酸化
銅複合黒鉛複合体の固形物を真空乾燥(乾燥中の酸化の
進行を防ぐため85℃で実施)し、粉砕を行う。こうし
て作製した酸化銅付着黒鉛粉末の黒鉛と酸化銅との重量
比は95:5であった。この酸化銅付着黒鉛複合体の粉
末X線広角回折測定を行ったところ、黒鉛に由来する回
折線と酸化第二銅CuOに由来する回折線が観察され
た。念のため、微粒子部分も乾燥固化し、粉末X線広角
回折測定を行ったところ、酸化第二銅に由来する回折線
が観察された。
【0209】また、SEMによって酸化銅付着黒鉛複合
体粉末の黒鉛と酸化銅の粒径を測定したところ、平均粒
径でそれぞれ7.5μmと1.2μmであり、流出した
微粒子を同様に測定すると0.3μmであった。
【0210】このように原料の仕込み量から考えられる
酸化銅の生成量と掛け離れたものが得られることにな
り、複合化量の制御が困難となることがわかった。
【0211】しかしながら、上述した方法で作製した酸
化銅付着黒鉛複合体を用いて、実施例19と同様の方法
で負極(表面積8cm2、電極の厚みが71μm(集電
体の厚みが50μm)である)を作製し、実施例1に記
載された方法で評価した。
【0212】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり411mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり396mAhで、酸化銅付着
黒鉛粉末の黒鉛と酸化銅との重量比から予想される特性
であった。
【0213】比較例16 黒鉛粒子として実施例19の人造黒鉛を用い、これに酸
化銅複合化処理を施した。酸化銅複合化処理は次の方法
で行った。
【0214】まず、上述の黒鉛粉末を実施例3に記載さ
れた材料と方法に沿って加工する。異なる点は、溶解物
を80℃に保持した恒温槽中にて20時間加熱後に40
℃の恒温槽中で120時間静置する点で、こうして作製
した酸化銅付着黒鉛粉末の黒鉛と酸化銅との重量比は8
9:11であった。この酸化銅付着黒鉛複合体の粉末X
線広角回折測定を行ったところ、黒鉛に由来する回折線
と酸化第二銅CuOに由来する回折線が観察された。
【0215】また、SEMによって酸化銅付着黒鉛複合
体粉末の黒鉛と酸化銅の粒径を測定したところ、平均粒
径でそれぞれ7.5μmと9μmであった。
【0216】上述した方法で作製した酸化銅付着黒鉛複
合体を用いて、実施例19と同様の方法で負極を作製し
た。この負極は、表面積8cm2、電極の厚みが90μ
m(集電体の厚みが50μm)である。
【0217】この負極を実施例1に記載された方法で評
価した。
【0218】その結果、2サイクル目の放電容量は、電
極の単位体積(集電体の体積は除く)あたり408mA
h、10サイクル目の放電容量は、電極の単位体積(集
電体の体積は除く)あたり395mAhであった。
【0219】実施例19〜24と比較例16の結果を表
4に示す。これによって、酸化銅付着黒鉛複合体の黒鉛
と複合化処理される酸化銅の粒径が、ガラスフィルター
の特性からくる製造工程の関係からおよそ1μm以上で
あることが好ましく、かつ同時に存在する黒鉛の粒径以
下の範囲にあることが好ましいと判明した。しかし、他
の分離方法と水洗方法を用い、ガラスフィルターの特性
による粒径の下限規定がなくなった場合は単に、同時に
存在する黒鉛の粒径以下の範囲となることは明らかであ
る。
【0220】
【表4】
【0221】実施例25 ・負極の作製 酸化銅付着黒鉛複合体は実施例8に記載された材料を用
いた。
【0222】上述した方法で作製した酸化銅付着黒鉛複
合体に、ノニオン系の分散剤を添加し、ポリテトラフル
オロエチレン(乾燥後、酸化銅付着黒鉛複合体とポリテ
トラフルオロエチレンとの重量比は91:9である)の
ディスパージョン液を加えてペースト状にしたものをニ
ッケル3次元多孔質集電体に塗布し、孔中にペーストを
塗り込んだ。これを60℃で乾燥、240℃で熱処理後
プレスし、さらに水分除去のために200℃で減圧乾燥
したものを負極として用いた。この負極は、直径14.
5mm、電極の厚みが0.41mmのペレットである。
【0223】・正極の作製 炭酸リチウムと炭酸コバルト、三酸化アンチモンをリチ
ウム原子とコバルト原子、アンチモン原子の比で1:
0.95:0.05になるようにそれぞれ秤量し、これ
を乳鉢で混合した後空気中900℃で20時間焼成し、
その後乳鉢で粉砕することにより活物質の粉末を得た。
この活物質は、Li0.98Co0.95Sb0.052の組成を
有していた。このようにして得られた正極活物質をアセ
チレンブラックと混合し、ノニオン系の分散剤を添加
し、ポリテトラフルオロエチレン(乾燥後、正極活物質
とアセチレンブラック、ポリテトラフルオロエチレンと
の重量比は、100:10:5である)のディスパージ
ョン液を加えてペースト状にしたものを、チタンメッシ
ュ集電体上に塗布した。これを60℃で乾燥、240℃
で熱処理後プレスし、さらに水分除去のために200℃
で減圧乾燥したものを正極として用いた。この正極は、
直径14.5mm、電極の厚みが0.93mmのペレッ
トである。
【0224】・電池の組み立て 図2に示すように、あらかじめ内底面に正極集電体2が
溶接によって取り付けられ、絶縁パッキン8が載置され
た正極缶1に正極3を圧着した。次に、この上に微多孔
性ポリプロピレンのセパレータ7を載置し、エチレンカ
ーボネートとプロピレンカーボネート、ジエチルカーボ
ネートとの2:1:3の混合溶媒に1mol/lのLi
PF6を溶解した電解液を含浸させる。一方、負極缶4
の内面に、負極集電体5を溶接し、この負極集電体に負
極6を圧着させる。次に、前記セパレータ7の上に前記
負極6を重ね、正極缶1と負極缶4を絶縁パッキン8を
介在させてかしめ、コイン型電池を作製する。
【0225】・電池の評価 作製したコイン型電池を充放電電流2mA、充電上限電
圧4.2Vで4.2Vに達した後4.2Vの定電圧充電
を行い、充電時間を12時間とした。放電の下限電圧を
2.5Vとして容量を測定した。評価は電池の放電容量
で行った。
【0226】その結果、放電における平均電圧が3.7
Vであり、2サイクル目の放電容量は19mAh、10
サイクル目の放電容量は17mAhであった。
【0227】比較例17 マダガスカル産の天然黒鉛のみを用いて実施例25に記
載された方法で負極を作製した。作製した負極の大き
さ、厚み共に同じである。正極および電池も実施例25
に記載された方法で作製した。
【0228】この電池を実施例25に記載された方法で
評価した。
【0229】その結果、放電における平均電圧が3.7
Vであり、2サイクル目の放電容量は14mAh、10
サイクル目の放電容量は13mAhであった。
【0230】実施例26 ・負極の作製 酸化銅付着黒鉛複合体は実施例12に記載された材料を
用いた。
【0231】上述した方法で作製した酸化銅付着黒鉛複
合体に、ノニオン系の分散剤を添加し、ポリテトラフル
オロエチレン(乾燥後、酸化銅付着黒鉛複合体とポリテ
トラフルオロエチレンとの重量比は91:9である)の
ディスパージョン液を加えてペースト状にしたものを、
ニッケル3次元多孔質集電体に塗布し、孔中にペースト
を塗り込んだ。これを60℃で乾燥、240℃で熱処理
後プレスし、さらに水分除去のために200℃で減圧乾
燥したものを負極として用いた。この負極は、直径1
4.5mm、電極の厚みが0.37mmのペレットであ
る。
【0232】・正極の作製 炭酸リチウムと二酸化マンガンを、リチウム原子とマン
ガン原子の比で1.1:2になるようにそれぞれ秤量
し、これを乳鉢で混合した後、空気中900℃で3日間
焼成し、その後乳鉢で粉砕することにより活物質LiM
24の粉末を得た。このようにして得られた正極活物
質を導電材(アセチレンブラックと膨張黒鉛との重量比
2:1の混合物)と混合し、ノニオン系の分散剤を添加
し、ポリテトラフルオロエチレン(乾燥後、正極活物質
と導電材、ポリテトラフルオロエチレンとの重量比は、
100:10:5である)のディスパージョン液を加え
てペースト状にしたものを、チタンメッシュ集電体上に
塗布した。これを60℃で乾燥、240℃で熱処理後プ
レスし、さらに水分除去のために200℃で減圧乾燥し
たものを正極として用いた。この正極は、直径14.5
mm、電極の厚みが1.0mmのペレットである。
【0233】・電池の組み立て 電解液にエチレンカーボネートとγーブチロラクトン、
ジエチルカーボネートとの3:1:3の混合溶媒に1m
ol/lのLiPF6を溶解したものを用いた以外、実
施例18に記載された方法でコイン型電池を作製した。
【0234】・電池の評価 作製したコイン型電池を、充放電電流1mA、充電上限
電圧4.2Vで4.2Vに達した後4.2Vの定電圧充
電を行い、充電時間を24時間とした。放電の下限電圧
を2.5Vとして容量を測定した。評価は電池の放電容
量で行った。
【0235】その結果、放電における平均電圧が3.7
Vであり、2サイクル目の放電容量は20mAh、10
サイクル目の放電容量は15mAhであった。
【0236】比較例18 変性黒鉛(鱗片状、粒径7μm、d002は0.336n
m、Lcは22nm、Laは13nm、R値は0.1、
比表面積10m2/g)のみを用いて実施例25に記載
された方法で負極を作製した。作製した負極の大きさ、
厚み共に同じである。正極および電池も実施例25に記
載された方法で作製した。
【0237】この電池を実施例26に記載された方法で
評価した。
【0238】その結果、放電における平均電圧が3.7
Vであり、2サイクル目の放電容量は13mAh、10
サイクル目の放電容量は12mAhであった。
【0239】実施例25、26と比較例17、18の結
果を表5に示す。これより、酸化銅付着黒鉛複合体を含
む負極を用いると、高容量のリチウム二次電池を作製す
ることが可能である。
【0240】
【表5】
【0241】
【発明の効果】本発明による負極、つまりリチウムのイ
ンターカレーション・デインターカレーション可能な黒
鉛に酸化銅が付着した酸化銅付着黒鉛複合体と結着材と
を混合した電極は大きい放電容量を示す。また、負極の
より低い電位を用いることができることより、電池電圧
の高いリチウム二次電池を提供することができる。した
がって、本発明による負極を使用し、優れたリチウム二
次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造工程の比較を表す図である。
【図2】黒鉛と酸化銅の重量比と放電容量との関係を表
す図である。
【図3】実施例25、26と比較例17、18で製作し
た電池の構造図である。
【符号の説明】
1 正極缶 2 正極集電体 3 正極 4 負極缶 5 負極集電体 6 負極 7 セパレータ 8 絶縁パッキン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 和夫 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウムイオンのインターカレーション
    ・デインターカレーション可能な黒鉛粒子と銅イオンを
    含む化合物とを混合後、化学反応によって黒鉛粒子の全
    部または一部の表面上に酸化銅を生成させる方法により
    製造した酸化銅付着黒鉛複合体と、結着材とからなる負
    極を有することを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 【請求項2】 化学反応による酸化銅の生成は、黒鉛粒
    子と混合させた銅イオンを含む塩の溶液中における中和
    反応によって水酸化銅を生成し、黒鉛粒子と共に沈殿
    後、脱水処理する方法によることを特徴とする請求項1
    記載のリチウム二次電池。
  3. 【請求項3】 前記酸化銅付着黒鉛複合体を構成する黒
    鉛粒子の粒径が80μm以下で、かつ生成する酸化銅単
    独の粒径より大なることを特徴とする請求項1記載のリ
    チウム二次電池。
  4. 【請求項4】 前記酸化銅付着黒鉛複合体で、黒鉛と接
    触させている酸化銅の比率が、黒鉛と酸化銅の重量比で
    98.5:1.5〜55:45であることを特徴とする
    請求項1記載のリチウム二次電池。
  5. 【請求項5】 負極を構成する酸化銅付着黒鉛複合体と
    結着材の比率が、重量比で99:1〜70:30である
    ことを特徴とする請求項1記載のリチウム二次電池。
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