JPH0834754A - ペンタフルオロエチルフルオロプロピルエーテル類及びその製造方法 - Google Patents

ペンタフルオロエチルフルオロプロピルエーテル類及びその製造方法

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JPH0834754A
JPH0834754A JP6175121A JP17512194A JPH0834754A JP H0834754 A JPH0834754 A JP H0834754A JP 6175121 A JP6175121 A JP 6175121A JP 17512194 A JP17512194 A JP 17512194A JP H0834754 A JPH0834754 A JP H0834754A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 含フッ素エーテル類を効率よく合成する製造
方法及び新規化合物1,1,2,2,2−ペンタフルオ
ロエチル 2,2,3,3−テトラフルオロプロピル エ
ーテルの提供。 【構成】 一般式: CF3COX ……(I) (Xはフッ素、塩素、臭素及び沃素を表す)で示される
含フッ素カルボニル化合物と一般式: R1-OSO2ーR2 ……(II) (R1は炭素数3個の含フッ素アルキル基を、R2は置換
基を有することもあるアリール基またはフッ素置換され
ていることもあるアルキル基を表す)で示されるスルホ
ン酸エステル化合物とを、非プロトン性極性溶媒中また
は無溶媒で、アルカリ金属フッ化物叉はアルカリ土類金
属フッ化物の存在下で反応させることを特徴とする一般
式: CF3CF2O−R1 ……(III) (式中、R1は前記と同一)で示されるペンタフルオロ
エチルフルオロプロピルエーテル類の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩素原子を含まない為
オゾン層のオゾンを破壊しないペンタフルオロエチルフ
ルオロプロピルエーテル類の製造方法及び1,1,2,
2,2−ペンタフルオロエチル 2,2,3,3−テト
ラフルオロプロピル エーテルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、冷媒、発泡剤及び溶剤として
は、クロロフルオロカーボン(CFC)が最もよく知ら
れている。CFCは、毒性が少なく、不燃性で、化学的
及び熱的に安定であることから各種の産業分野に広く使
用されている。
【0003】しかしながら、このように優れた特徴を有
するCFCについては、大気中に放出されると成層圏の
オゾン層を破壊するため、人類を含む地球上の生態系に
重大な悪影響を及ぼすことが指摘されている。
【0004】このような地球環境問題に対処する為、大
気中に放出された場合にも地球環境に及ぼす影響が小さ
いか或いは全く影響がない冷媒、発泡剤及び溶剤として
使用できるCFCに代替し得る化合物が求められてい
る。
【0005】一方、CFCの代替化合物としては、含フ
ッ素エーテル類が考えられる。従来、含フッ素エーテル
の製造方法としては、エーテル化合物をフッ素化する方
法とフッ素原子を含む化合物を種々の方法で反応させて
エーテル化合物にする方法とに大別できる。前者には、
エーテル化合物のフッ素ガスによる直接フッ素化(A.
Sekiya et al.,Chem.Lett.,1990,609; 或いは R.J.Lag
ow et al.,J.Org.Chem.,1988,53,78).エーテル化合
物の金属フッ化物等を用いる間接フッ素化(M.Brandwoo
d et al.,J.Fluorine Chem.,1975,5,521).エーテル
化合物の電解フッ素化(T.Abe et al.,J.Fluorine Che
m.,1980,15,353).等がある。後者には、含フッ素オ
レフィンへのアルコ−ルの付加反応(R.D.Chambers et
al.,Adv.Fluorine Chem.,1965,4,50).アルコ−ルと
ハロゲン化アルキルとの反応(J.A.Young et al.,J.Am.
Chem.Soc.,1950,72,1860).含フッ素アルコ−ルとス
ルホン酸エステルとの反応(英国特許明細書 第814493
号).酸フルオリドとスルホン酸エステルとの反応
(独国特許明細書 第1294949号).等の多様な反応が知
られている。しかしながら、これら従来の方法を用いて
目的とするペンタフルオロエチルフルオロプロピルエー
テル類を製造する場合には、複数の異性体が生成するた
め分離操作が必要となり、一段階の反応で目的物を収率
よく製造するのは困難である。或いは、原料が限定され
るため類似の化合物を製造するには応用範囲が狭い等の
問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、含フ
ッ素エーテル類を効率よく合成する製造方法及び新規化
合物1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル 2,
2,3,3−テトラフルオロプロピル エーテルを提供
する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、含フッ素エーテ
ル、特にペンタフルオロエチルフルオロプロピルエーテ
ル類がこれまでのCFCの有効な代替物となることを見
いだし、鋭意研究を重ねた結果、一般式: CF3COX ……(I) (Xはフッ素、塩素、臭素叉は沃素を表す)で示される
含フッ素カルボニル化合物と一般式: R1-OSO2ーR2 ……(II) (R1は炭素数3個の含フッ素アルキル基を、R2は置換
基(例えば、メチル基)を有することもあるアリール基
またはフッ素置換されていることもあるアルキル基を表
す)で示されるスルホン酸エステル化合物とを非プロト
ン性極性溶媒中または無溶媒で、アルカリ金属フッ化物
叉はアルカリ土類金属フッ化物の存在下で反応させるこ
とにより比較的良い収率でしかも高選択的に合成できる
ことを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】本発明で原料として用いられる前記一般式
(II)で示されるスルホン酸エステル化合物を具体的に
例示すると、例えば、2,2,3,3−テトラフルオロ
プロピル トリフルオロメタンスルホネート、2,2,
3,3,3−ペンタフルオロプロピル トリフルオロメ
タンスルホネート、2,2,3,3−テトラフルオロプ
ロピル ノナフルオロブタンスルホネート、2,2,
3,3,3−ペンタフルオロプロピル ノナフルオロブ
タンスルホネート、2,2,3,3−テトラフルオロプ
ロピル パラトルエンスルホネート、2,2,3,3,
3−ペンタフルオロプロピル パラトルエンスルホネー
ト等を挙げることができる。
【0009】本発明において、前記一般式(I)で示さ
れる含フッ素カルボニル化合物と前記一般式(II)で示
される化合物の反応は、非プロトン性極性溶媒中または
無溶媒でおこなわれる。非プロトン性極性溶媒として
は、例えばモノグライム、ジグライム、トリグライム、
テトラグライム、ジエチルエーテル、ジブチルエーテ
ル、ジオキサン等のエーテル類;アセトニトリル等のニ
トリル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド等のアミド類等が挙げられるが、これに限定されない
ことは言うまでもない。
【0010】本発明においては触媒としてアルカリ金属
フッ化物叉はアルカリ土類金属フッ化物が用いられる。
アルカリ金属フッ化物としては、例えばフッ化ナトリウ
ム、フッ化カリウム叉はフッ化セシウム等が用いられ、
アルカリ土類金属フッ化物としては、例えばフッ化カル
シウム等が用いられるが、生成物である含フッ素エーテ
ルの収率の観点からアルカリ金属フッ化物が好ましい。
【0011】アルカリ金属フッ化物叉はアルカリ土類金
属フッ化物の使用量は特に制限されるものはなく、前記
一般式(I)で示される含フッ素カルボニル化合物のX
がフッ素の場合には含フッ素カルボニル化合物に対して
0.1〜4.0倍モル、好ましくは1.0〜1.5倍モ
ルの範囲から選択することが好ましい。叉Xが塩素、臭
素叉は沃素の場合には含フッ素カルボニル化合物に対し
て0.1〜8.0倍モル、好ましくは2.0〜3.0倍
モルの範囲から選択することが好ましい。
【0012】本発明の反応における一般式(I)で示さ
れる含フッ素カルボニル化合物と一般式(II)で示され
る化合物との仕込み割合は、特に制限されるものはな
く、任意の割合で反応を行うことができるが、前記一般
式(I)で示される含フッ素カルボニル化合物の転化率
を向上させる為には、前記一般式(II)で示される化合
物を過剰にして反応を行うのがよい。
【0013】本発明の反応における圧力は、特に制限さ
れるものはなく、減圧から加圧のいずれの圧力でも反応
は進行する。加圧下で反応を行う場合、その圧力は特に
制限されるものはないが、操作性等から50kg/cm
2G以下であることが好ましい。
【0014】本発明の反応における反応温度は、反応時
間、反応圧力、触媒量等により異なるが、通常0〜20
0℃、好ましくは20〜100℃の範囲から選ばれる。
【0015】本発明の反応における反応時間は、反応温
度、反応圧力、触媒量等により異なるが、数時間〜数十
時間あれば、反応はほとんど完結する。
【0016】
【実施例】以下、本発明のペンタフルオロエチルフルオ
ロプロピルエーテル類の製造例を実施例を挙げて説明す
る。ここで挙げた一般式: R1-OSO2ーR2 ……(II) で示されるスルホン酸エステル化合物は相当する市販の
含フッ素アルコールとトリフルオロメタンスルホン酸
無水物との反応(Tetrahedron,44,5375(1988). J.Org.C
hem.,49,2258(1984).)、またはトリフルオロメタン
スルホン酸フッ化物との反応(J.Org.Chem.,30,4322(19
65). Tetrahedron,21,1(1965).)で容易に製造できる。
勿論、本発明は、以下の例によって限定されるものでは
ない。
【0017】
【実施例1】撹拌機、圧力計、温度計、ガス導入管、ガ
ス排出管のついた1000mlのステンレス製反応器に
2,2,3,3−テトラフルオロプロピル トリフルオ
ロメタンスルホネート290g(1.10mol)、ス
プレードライフッ化カリウム64g(1.10mo
l)、乾燥したジエチレングリコールジメチルエーテル
350mlを入れ脱気した後、ガス導入管からトリフル
オロアセチルフルオライド120g(1.03mol)
を加え密封した。徐々に昇温し、反応温度約70℃で1
5時間保った。その後、反応器に別のステンレス製容器
を接続し、反応器を120℃付近まで昇温して反応溶液
をこの容器に減圧下で移した。これを氷水、希水酸化カ
リウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグ
ネシウム上で乾燥した後、蒸留して沸点が62℃の無色
透明液体170g(収率66%)を得た。
【0018】1H-NMR,19F-NMR及びIRスペク
トルから、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル
2,2,3,3−テトラフルオロプロピル エーテルで
あることがわかった。
【0019】1H-NMR,19F-NMR及びIRスペク
トルデ−タを以下に示す。尚、1H-NMR及び19F-N
MRスペクトルの測定には、溶媒に重クロロホルムを用
い、内部標準物質としてそれぞれテトラメチルシランと
トリクロロフルオロメタンを用いた。
【0020】1H-NMR(CDCl3) δ 4.35
(2H,t,JH-F=11.9Hz,−C2 CF2),
5.88(1H,tt,JH-F=53.0Hz,JH-F
3.8Hz,−CF22).19 F-NMR(CDCl3) δ −86.5(3F,s,
3 CF2−),−92.3(2F,s,CF3
2 −),−125.0(2F,t,JF-H=11. 0Hz,−CH22 ),−138.6(2F,d,J
F-H=53.3Hz,−CF2CH2 ). IR 2985,1426,1227,1116,94
1,833,745,735cm-1
【0021】
【実施例2】撹拌機、圧力計、温度計、ガス導入管、ガ
ス排出管のついた1000mlのステンレス製反応器に
2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル トリフ
ルオロメタンスルホネート183g(0.65mo
l)、スプレードライフッ化カリウム38g(0.66
mol)、乾燥したジエチレングリコールジメチルエー
テル300mlを入れ脱気した後、ガス導入管からトリ
フルオロアセチルフルオライド73g(0.63mo
l)を加え密封した。徐々に昇温し、反応温度約70℃
で15時間保った。その後、反応器に別のステンレス製
容器を接続し、反応器を120℃付近まで昇温して反応
溶液をこの容器に減圧下で移した。これを氷水、希水酸
化カリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸
マグネシウム上で乾燥した後、蒸留して沸点が46℃の
無色透明液体100g(収率59%)を得た。
【0022】1H-NMR,19F-NMR及びIRスペク
トルから、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル
2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル エーテ
ルであることがわかった。
【0023】1H-NMR,19F-NMR及びIRスペク
トルデ−タを以下に示す。尚、1H-NMR及び19F-N
MRスペクトルの測定には、溶媒に重クロロホルムを用
い、内部標準物質としてそれぞれテトラメチルシランと
トリクロロフルオロメタンを用いた。
【0024】1H-NMR(CDCl3) δ 4.39
(2H,t,JH-F=11.7Hz,−C2 CF2).19 F-NMR(CDCl3) δ −84.4(3F,s,
−CH2CF23 ),−86.6(3F,s,C3
2−),−92.4(2F,s,CF32 −),−
124.6(2F,t,JF-H=11.0Hz,−CH2
2 ). IR 2981,1223,1166,1119,10
59,943,742,711cm-1
【0025】
【発明の効果】本発明によりペンタフルオロエチルフル
オロプロピルエーテル類を一段階の反応で比較的良い収
率でしかも高選択的に製造することができる。また、本
発明により製造することができる化合物として、例えば
1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル 2,2,
3,3−テトラフルオロプロピル エーテル及び1,
1,2,2,2−ペンタフルオロエチル 2,2,3,
3,3−ペンタフルオロプロピル エーテルでは沸点が
それぞれ62℃及び46℃であり、従来のCFCと同
様、発泡剤や溶剤等の用途に使用でき、CFCの代替物
として極めて有用なものである。
【0026】しかも水素原子を含む為、大気中の水酸ラ
ジカルとの反応性が高く、対流圏で分解され易いので温
室効果の小さい化合物である。又塩素原子を含まない
為、オゾン層のオゾンも破壊しない地球環境に及ぼす影
響の少ない化合物である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 晴明 東京都文京区本郷2丁目40番17号 本郷若 井ビル6階 財団法人地球環境産業技術研 究機構 新世代冷媒プロジェクト室内 (72)発明者 後藤 嘉彦 東京都文京区本郷2丁目40番17号 本郷若 井ビル6階 財団法人地球環境産業技術研 究機構 新世代冷媒プロジェクト室内 (72)発明者 山下 史朗 東京都文京区本郷2丁目40番17号 本郷若 井ビル6階 財団法人地球環境産業技術研 究機構 新世代冷媒プロジェクト室内 (72)発明者 須賀 淳雄 東京都文京区本郷2丁目40番17号 本郷若 井ビル6階 財団法人地球環境産業技術研 究機構 新世代冷媒プロジェクト室内 (72)発明者 望月 雄司 東京都文京区本郷2丁目40番17号 本郷若 井ビル6階 財団法人地球環境産業技術研 究機構 新世代冷媒プロジェクト室内 (72)発明者 長崎 順隆 東京都文京区本郷2丁目40番17号 本郷若 井ビル6階 財団法人地球環境産業技術研 究機構 新世代冷媒プロジェクト室内 (72)発明者 関屋 章 茨城県つくば市東一丁目一番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式: CF3COX ……(I) (Xはフッ素、塩素、臭素叉は沃素を表す)で示される
    含フッ素カルボニル化合物と一般式: R1-OSO2ーR2 ……(II) (R1は炭素数3個の含フッ素アルキル基を、R2は置換
    基を有することもあるアリール基またはフッ素置換され
    ていることもあるアルキル基を表す)で示されるスルホ
    ン酸エステル化合物とを非プロトン性極性溶媒中または
    無溶媒で、アルカリ金属フッ化物叉はアルカリ土類金属
    フッ化物の存在下で反応させることを特徴とする一般
    式: CF3CF2O−R1 ……(III) (式中、R1は前記と同一)で示されるペンタフルオロ
    エチルフルオロプロピルエーテル類の製造方法。
  2. 【請求項2】前記一般式(II)において、R1が C2X5-XCH2− (式中、xは0〜5の整数)からなるスルホン酸エステ
    ルを使用する請求項1記載のペンタフルオロエチルフル
    オロプロピルエーテル類の製造方法。
  3. 【請求項3】 化学式: CF3CF2−O−CH2CF2CHF2 ……(IV) で示される1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル
    2,2,3,3−テトラフルオロプロピル エーテル。
JP6175121A 1994-07-27 1994-07-27 ペンタフルオロエチルフルオロプロピルエーテル類及びその製造方法 Expired - Lifetime JP2589959B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08259995A (ja) * 1995-03-28 1996-10-08 Agency Of Ind Science & Technol 溶剤組成物
JPH10175899A (ja) * 1996-10-17 1998-06-30 Kao Corp 含フッ素エーテル化合物の製造法

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JPH08259995A (ja) * 1995-03-28 1996-10-08 Agency Of Ind Science & Technol 溶剤組成物
JPH10175899A (ja) * 1996-10-17 1998-06-30 Kao Corp 含フッ素エーテル化合物の製造法

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