JP2589050B2 - ペンタフルオロエチル−2,2−ジフルオロエチルエーテル及びその製造方法 - Google Patents

ペンタフルオロエチル−2,2−ジフルオロエチルエーテル及びその製造方法

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JP2589050B2 JP5345177A JP34517793A JP2589050B2 JP 2589050 B2 JP2589050 B2 JP 2589050B2 JP 5345177 A JP5345177 A JP 5345177A JP 34517793 A JP34517793 A JP 34517793A JP 2589050 B2 JP2589050 B2 JP 2589050B2
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    • C08J9/12Working-up of macromolecular substances to porous or cellular articles or materials; After-treatment thereof using blowing gases generated by a previously added blowing agent by a physical blowing agent
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩素原子を含まないた
めオゾン層のオゾンを破壊しない新規な化合物であるペ
ンタフルオロエチル−2,2−ジフルオロエチルエーテ
ルおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、冷媒、発泡剤および溶剤とし
ては、クロロフルオロカーボン(CFC)が最もよく知
られている。CFCは、毒性が少なく、不燃性で、化学
的および熱的に安定であることから各種の産業分野に広
く使用されている。
【0003】しかし、このように優れた特徴を有するC
FCは、大気中に放出されると成層圏のオゾン層を破壊
するため、人類を含む地球上の生態系に重大な悪影響を
及ぼすことが指摘されている。
【0004】このような地球環境問題に対処するため、
大気中に放出された場合にも地球環境に及ぼす影響が小
さいか或いは全く影響がない冷媒、発泡剤および溶剤と
して使用できるCFCに代替し得る化合物が求められて
いる。
【0005】一方、CFCの代替化合物としては、含フ
ッ素エーテル類が考えられる。従来、含フッ素エーテル
の製造方法としては、エーテル化合物をフッ素化する方
法とフッ素原子を含む化合物を種々の方法で反応させて
エ−テル化合物にする方法とに大別できる。前者には、
エーテル化合物のフッ素ガスによる直接フッ素化
(A.Sekiya et al.,Chem.Let
t.,1990,P609〜612; 或いは R.
J.Lagow et al.,J.Org.Che
m.,1988,vol.53,P78〜85)、エ
ーテル化合物の金属フッ化物等を用いる間接フッ素化
(M.Brandwood et al.,J.Flu
orine Chem.,1975,vol.5,P5
21〜535)、エーテル化合物の電解フッ素化
(T.Abe et al.,J.Fluorine
Chem.,1980,15,353)等がある。後者
には、含フッ素オレフィンへのアルコールの付加反応
(R.D.Chambers etal.,Adv.F
luorine Chem.,1965,vol.4,
P50〜107)、アルコールとハロゲン化アルキル
との反応(J.A.Young et al.,J.A
m.Chem.Soc.,1950,vol.72,P
1860〜1861)、含フッ素アルコールとスルホ
ン酸エステルとの反応(英国特許明細書 第81449
3号)、酸フルオリドとスルホン酸エステルとの反応
(独国特許明細書 第1294949号)等の多様な反
応が知られている。しかしながらペンタフルオロエチル
−2,2−ジフルオロエチルエーテルはこれまでいずれ
の方法でも合成されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ような地球環境問題に対処するため、大気中に放出され
た場合にも地球環境に及ぼす影響が小さいか或いは全く
影響がない冷媒、溶剤および発泡剤として使用できるC
FCに代替し得る新規な含フッ素エーテルの提供および
それを効率良く合成する製造方法を提供する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、新規な
化合物であるペンタフルオロエチル−2,2−ジフルオ
ロエチルエーテル、すなわち
【化3】C25−O−CH2−CHF2 に関する。
【0008】本発明の第二は、一般式
【化4】CF3COX ……(I) (Xはフッ素、塩素、臭素または沃素を表す)で示され
る含フッ素カルボニル化合物と一般式
【化5】CHF2CH2−OSO2−R ……(II) (式中、Rは置換基を有することもあるアリール基また
はフッ素置換されていることもあるアルキル基であり、
炭素数は20以下のものであることができる。とくにR
はアルキル基または含フッ素アルキル基であることが好
ましい。)で示されるスルホン酸エステル化合物とを、
非プロトン性極性溶媒中、アルカリ金属フッ化物または
アルカリ土類金属フッ化物の存在下に反応させることを
特徴とするペンタフルオロエチル−2,2−ジフルオロ
エチルエーテルの製造方法に関する。この方法により、
比較的よい転化率でしかも高い選択性で合成できる。
【0009】本発明で原料として用いられる前記一般式
(II)で示されるスルホン酸エステル化合物を具体的に
例示すると、例えば、2,2−ジフルオロエチルトリフ
ルオロメタンスルホネート、2,2−ジフルオロエチル
ノナフルオロブタンスルホネート、2,2−ジフルオロ
エチル パラトルエンスルホネート等を挙げることがで
きる。
【0010】本発明において、前記一般式(I)で示さ
れる含フッ素カルボニル化合物と前記一般式(II)で示
される化合物の反応は、非プロトン性極性溶媒中または
無溶媒下でおこなわれる。非プロトン性極性溶媒として
は、例えばモノグライム〔CH3OCH2CH2OC
3〕、ジグライム〔CH3O(CH2CH2O)2
3〕、トリグライム〔CH3O(CH2CH2O)3
3〕、テトラグライム〔CH3O(CH2CH2O)4
3〕、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキ
サン等のエーテル類;アセトニトリル等のニトリル類;
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミ
ド類等が挙げられるが、これに限定されないことは言う
までもない。
【0011】本発明においては触媒としてアルカリ金属
フッ化物またはアルカリ土類金属フッ化物が用いられ
る。アルカリ金属フッ化物としては、例えばフッ化ナト
リウム、フッ化カリウムまたはフッ化セシウム等が用い
られ、アルカリ土類金属フッ化物としては、例えばフッ
化カルシウム等が用いられるが、生成物である含フッ素
エーテルの収率の観点からアルカリ金属フッ化物が好ま
しい。
【0012】アルカリ金属フッ化物またはアルカリ土類
金属フッ化物の使用量は特に制限されるものはなく、前
記一般式(I)で示される含フッ素カルボニル化合物の
Xがフッ素の場合には含フッ素カルボニル化合物に対し
て0.1〜4.0倍モル、好ましくは1.0〜1.5倍
モルの範囲から選択することが好ましい。またXが塩
素、臭素または沃素の場合には含フッ素カルボニル化合
物に対して0.1〜8.0倍モル、好ましくは2.0〜
3.0倍モルの範囲から選択することが好ましい。
【0013】本発明の反応における一般式(I)で示さ
れる含フッ素カルボニル化合物と一般式(II)で示され
る化合物との仕込み割合は、特に制限されるものはな
く、任意の割合で反応を行うことができるが、前記一般
式(I)で示される含フッ素カルボニル化合物の転化率
を向上させるためには、前記一般式(II)で示される化
合物を過剰にして反応を行うのがよい。
【0014】本発明の反応における圧力は、特に制限さ
れるものはなく、減圧から加圧のいずれの圧力でも反応
は進行する。加圧下で反応を行う場合、その圧力は特に
制限されるものはないが、操作性等から50kg/cm
2G以下であることが好ましい。
【0015】本発明の反応における反応温度は、反応時
間、反応圧力、触媒量等により異なるが、通常0〜20
0℃、好ましくは20〜100℃の範囲から選ばれる。
【0016】本発明の反応における反応時間は、反応温
度、反応圧力、触媒量等により異なるが、数時間〜数十
時間あれば、反応はほとんど完結する。
【0017】
【実施例】以下、本発明のペンタフルオロエチル−2,
2−ジフルオロエチルエーテルの製造例を実施例を挙げ
て説明する。ここで挙げる一般式
【化6】CHF2CH2OSO2R ……(III) で示されるスルホン酸エステル化合物は相当する市販の
含フッ素アルコールとトリフルオロメタンスルホン酸
無水物との反応〔Tetrahedron,vol.4
4,P5375〜5387(1988)、J.Org.
Chem.,vol.49,P2258〜2273(1
984)〕、またはトリフルオロメタンスルホン酸フ
ッ化物との反応〔J.Org.Chem.,vol.3
0,P4322〜4324(1965)、Tetrah
edron,vol.21,P1〜4(1965)〕で
容易に製造できる。勿論、本発明は、以下の例によって
限定されるものではない。
【0018】実施例1 撹拌機、圧力計、温度計、ガス導入管、ガス排出管のつ
いた1000mlのステンレス製反応器に2,2−ジフ
ルオロエチルトリフルオロメタンスルホネート140g
(0.65mol)、スプレードライフッ化カリウム5
7g(0.97mol)、乾燥したジエチレングリコー
ルジメチルエーテル200mlを入れ脱気した後、ガス
導入管からトリフルオロアセチルフルオライド75g
(0.65mol)を加え密封した。徐々に昇温し、反
応温度約70℃で15時間保った。その後、反応器に別
のステンレス製容器を接続し、反応器を140℃付近ま
で昇温して反応溶液をこの容器に減圧下で移した。これ
を氷水、希水酸化カリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗
浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した後、蒸留して沸
点が46℃の無色透明液体111g(収率85%、GL
C分析純度98.4%)を得た。
【0019】1H−NMR,19F−NMRおよびIRス
ペクトルから、ペンタフルオロエチル−2,2−ジフル
オロエチルエーテルであることがわかった。
【0020】1H−NMR,19F−NMRおよびIRス
ペクトルデータを以下に示す。尚、1H−NMRおよび
19F−NMRスペクトルの測定には、溶媒に重クロロホ
ルムを用い、内部標準物質としてそれぞれテトラメチル
シランとトリクロロフルオロメタンを用いた。
【0021】1H−NMR(CDCl3) δ 4.17
(2H,t,JH-F=12.9Hz,d,JH-H=4.3
Hz,−CH2 CHF2),5.97(1H,t,JH-F
=54.4Hz,t,JH-H=4.3Hz,−CH2 CH
2 ).
【0022】19F−NMR(CDCl3) δ −8
6.4(3F,s,CF3 CF2−),−91.7(2
F,s,CF3 CF2 −),−126.6(2F,d,J
F-H=55.0Hz,t,JF-H=12.9Hz,−CH
2 CHF2 ).
【0023】IR 2987,1437,1377,1
238,1130,1111,914,731cm-1
【0024】
【発明の効果】本発明のペンタフルオロエチル−2,2
−ジフルオロエチルエーテルは沸点が46℃であり、従
来のCFCと同様、発泡剤や溶剤等の用途に使用でき、
CFCの代替物として極めて有用なものである。しかも
水素原子を含むため、大気中の水酸ラジカルとの反応性
が高く、対流圏で分解され易いので温室効果の小さい化
合物である。また塩素原子を含まないため、オゾン層の
オゾンも破壊しない地球環境に及ぼす影響の少ない化合
物である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C11D 7/50 C11D 7/50 (73)特許権者 000002004 昭和電工株式会社 東京都港区芝大門1丁目13番9号 (73)特許権者 000000044 旭硝子株式会社 東京都千代田区丸の内2丁目1番2号 (73)特許権者 000174851 三井・デュポンフロロケミカル株式会社 東京都千代田区猿楽町1丁目5番18号 (73)特許権者 000003300 東ソー株式会社 山口県新南陽市開成町4560番地 (74)上記7名の代理人 弁理士 友松 英爾 (外1名 ) (72)発明者 後藤 嘉彦 東京都文京区本郷2丁目40番17号 本郷 若井ビル6階 財団法人 地球環境産業 技術研究機構 新世代冷媒プロジェクト 室内 (72)発明者 山下 史朗 東京都文京区本郷2丁目40番17号 本郷 若井ビル6階 財団法人 地球環境産業 技術研究機構 新世代冷媒プロジェクト 室内 (72)発明者 伊藤 晴明 東京都文京区本郷2丁目40番17号 本郷 若井ビル6階 財団法人 地球環境産業 技術研究機構 新世代冷媒プロジェクト 室内 (72)発明者 須賀 淳雄 東京都文京区本郷2丁目40番17号 本郷 若井ビル6階 財団法人 地球環境産業 技術研究機構 新世代冷媒プロジェクト 室内 (72)発明者 望月 雄司 東京都文京区本郷2丁目40番17号 本郷 若井ビル6階 財団法人 地球環境産業 技術研究機構 新世代冷媒プロジェクト 室内 (72)発明者 長崎 順隆 東京都文京区本郷2丁目40番17号 本郷 若井ビル6階 財団法人 地球環境産業 技術研究機構 新世代冷媒プロジェクト 室内 (72)発明者 関屋 章 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術 院物質工学工業技術研究所内 審査官 船岡 嘉彦

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ペンタフルオロエチル−2,2−ジフルオ
    ロエチルエーテル。
  2. 【請求項2】 一般式 【化1】CF3COX ……(I) (Xはフッ素、塩素、臭素または沃素を表す)で示され
    る含フッ素カルボニル化合物と一般式 【化2】CHF2CH2−OSO2−R ……(II) (式中、Rは置換基を有することもあるアリール基また
    はフッ素置換されていることもあるアルキル基であり、
    いずれも炭素数は20以下のものである)で示されるス
    ルホン酸エステル化合物とを、非プロトン性極性溶媒中
    または無溶媒で、アルカリ金属フッ化物またはアルカリ
    土類金属フッ化物の存在下で、反応させることを特徴と
    するペンタフルオロエチル−2,2−ジフルオロエチル
    エーテルの製造方法。
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