JPH08338972A - 表示装置 - Google Patents

表示装置

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JPH08338972A
JPH08338972A JP7201077A JP20107795A JPH08338972A JP H08338972 A JPH08338972 A JP H08338972A JP 7201077 A JP7201077 A JP 7201077A JP 20107795 A JP20107795 A JP 20107795A JP H08338972 A JPH08338972 A JP H08338972A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の液晶パネル2・2を接続して、大画面
の画像を実現するマルチパネル方式の液晶表示装置にお
いて、液晶パネル2・2間の接続部で生じる光の散乱を
防止して、接続部が目立たない自然な大画面画像を得
る。 【解決手段】 液晶パネル2・2間の接続部における端
面2c側に面取り部2bを形成することにより、該液晶
パネル2・2間の接続を行っている接着剤9の効果収縮
に伴って接着剤9に生じる内部応力が分散されるので、
クラックが形成されず、該クラックを要因とする光の散
乱が防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、AV(Audio Visu
al)機器やOA(Office Automation)機器に使用される
表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、AV機器として用いられる家庭用
のテレビ、OA機器に用いられる表示装置に対して、軽
量化や薄型化、低消費電力化、高精細化および画面の大
型化の要求が高まっている。このため、CRT(Cathode
-Ray Tube)ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Disp
lay)、プラズマ・ディスプレイ、EL(Electro Lumines
cent) ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)デ
ィスプレイ等の表示装置においても、上記の改良を進め
るべく開発が行われ、その一部は実用化されつつある。
【0003】特に、家庭においては娯楽としてのテレビ
の占める位置付けが高まっている。現在のテレビの販売
状況を考慮しても、インチ当たりの価格の低下とともに
ではあるが、徐々に大型のテレビへとシフトしてきてお
り、音声のステレオ化とともに、一層の大画面化は家庭
向けテレビの必須要件となっている。
【0004】同様にビジネス分野においても、取扱が簡
単で静止画はもちろん動画においても鮮明な映像が得ら
れ、また、コンピュータを用いたプレゼンテーション等
にも応用が可能であり、視覚的に高い効果が得られると
いう点からも上記のような表示装置が用いられてきてお
り、さらなる大型化が期待されている。
【0005】なかでも液晶表示装置は、他の表示装置に
比べ、奥行き方向の寸法、すなわち、厚さを格段に薄く
できることから、軽量で狭いスペースにも容易に設置で
きると同時に、消費電力が小さく、フルカラー化が容易
な点から、近年においては様々な分野で用いられるよう
になり、他の表示装置以上に画面の大型化への期待が大
きくなってきている。
【0006】上記の大画面化にあたって、一画面当たり
の解像度が同一であると画像のあらが非常に目立つた
め、映像ソースの高画質化とともに、上記解像度を向上
させる必要がある。液晶表示装置においては、多数同時
に一体に形成され、独立して制御可能な表示素子により
画像を形成しており、解像度を向上させることは該表示
素子の数を増加させることに他ならない。
【0007】ところが、製造工程における各表示素子単
体の欠陥率の低減は、現在ではほぼ頭打ちであり、飛躍
的な進歩は望めない状況にある。従って、液晶表示装置
の大画面化に伴って表示素子数を増大させることは、表
示装置全体としての製造歩留りを加速度的に悪化させる
ものであり、この結果、大画面かつ高画質の液晶表示装
置は、生産量を増大させることが困難となり非常に高価
なものとなってしまっていた。
【0008】そこで上記の問題を解決するために、本実
施例の図2にも示したように、複数の液晶表示装置をつ
なぎ合わせて1つの画像を表示させる、いわゆるマルチ
パネル表示方式の液晶表示装置を用いて画面の大型化を
実現する方法が採用されている。このような方式を用い
ることにより、単一の表示素子の欠陥率が同等であって
も、表示装置全体としての欠陥率が分散し、液晶表示装
置全体としての歩留りを向上させることができるので、
単位面積当たりのコストの上昇を抑え、低コストで大画
面かつ高画質の液晶表示装置を得ることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のマルチ表示方式
の液晶表示装置を形成するに際しては、液晶パネル同士
を結合させるために、例えば図12(a)に示すよう
に、補強基板3を用いこれに、複数の液晶パネル2・2
を隣接させて貼り合わせることにより、より面積の大き
い液晶表示装置を形成することができる。
【0010】しかし、上記の液晶表示装置1の形成のた
め、液晶パネル2を複数個継ぎ合わせる際に、液晶パネ
ル2の端面部2cが、屈折率の異なる媒質(例えば空気
など)と接していると、そこで光の屈折が生じる。ま
た、端面部2cが加工時に荒れると、そこで光の屈折・
散乱が生じる。これらが液晶パネル2・2間の接続部を
目立たせる原因となる。従って、補強基板3と液晶パネ
ル2とを貼り合わせる接着剤の硬化時の屈折率と、液晶
パネル2・2間を接続するために用いる接着剤の硬化時
の屈折率が等しく、かつ、この屈折率が補強基板3や液
晶パネル2を構成する基板等の屈折率とほぼ等しいこと
が好ましい。これにより、上記のような光の屈折や散乱
を避けることができる。
【0011】ところが、上記のような形で同図(b)に
示すように、接着剤9を用いた場合に、液晶パネル2・
2のエッジ付近に沿って、クラック9aが発生してしま
う。これは、該液晶パネル2・2のエッジ2a(図12
(a))付近では、接着剤9の硬化収縮に伴う応力集中
が発生するため、ちょっとした衝撃等をきっかけに、ク
ラック9aを発生させたり、成長させたりするからであ
る。光がこのようなクラック9aを透過すると散乱させ
られてしまい、液晶パネル2・2間の接続部を目立たせ
る原因となってしまう。また、上記の硬化収縮に伴っ
て、液晶パネル2・2の端面部2cと、接着剤9との間
に部分的な剥離9bが発生して、上記のような光の散乱
が生じることもある。一方、上記端面部2cの面精度が
粗いと、接着剤9が端面部2cの凹凸の隅々にまで十分
浸透しないために、液晶パネル2の端面部2cと接着剤
9との間に微小な気泡が残る恐れがあり、この場合に
も、光の散乱が生じることになる。
【0012】つまり、自然な大画面画像を得るために
は、上記のクラック9a、剥離9bや気泡の発生を防止
するなどして、液晶パネル2・2間の継ぎ目を目立たせ
る光の散乱の発生を阻止する必要がある。
【0013】本発明の目的は、上記のようなパネルを複
数接続して大画面を構成する表示装置において、パネル
間の継ぎ目における光の散乱を生じさせず自然な大画面
を実現する表示装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
表示装置は、複数の表示パネルを接着剤を用いて隣接接
続し大画面表示を行うマルチパネル方式の表示装置にお
いて、該表示パネルの接続端面のエッジ部分に面取り部
を設けることを特徴としている。上記の構成によれば、
表示パネル間の接続部において、接着剤の硬化収縮によ
る内部応力が生じても、表示パネルのエッジ部分に形成
された面取り部により応力集中が緩和されるので、上記
内部応力の最大値が、硬化した接着剤の分子間結合力よ
り小さくなり、該エッジ部分を起点としたクラックの発
生を防止することができる。
【0015】請求項2記載の表示装置は、複数の表示パ
ネルを接着剤を用いて隣接接続し大画面表示を行うマル
チパネル方式の表示装置において、隣接するパネル間の
間隔が50μm以下とされていることを特徴としてい
る。上記の構成によれば、隣接する表示パネル間の間隔
が50μm以下とされているので、上記接着剤の硬化収
縮に伴う体積収縮量の絶対値が小さくなり、硬化時に該
接着剤内に作用する内部応力の値が、硬化した接着剤の
分子間結合力より小さくなる。その結果、エッジ部分に
おける接着剤のクラックの発生を防止できるとともに、
該内部応力が接着剤と表示パネル間との接着力より小さ
くなり、剥離の発生を防止することができる。
【0016】請求項3記載の表示装置は、複数の表示パ
ネルを接着剤を用いて隣接接続し大画面表示を行うマル
チパネル方式の表示装置において、硬化後の曲げ弾性率
が4000kgf/cm2 以下となる接着剤が用いられている
ことを特徴としている。上記の構成によれば、該接着剤
の硬化後の曲げ弾性率が4000kgf/cm2 以下では、接
着剤の硬化収縮量が同じでも接着剤内に作用する内部応
力の最大値が、硬化した接着剤の分子間結合力より小さ
くなるので、エッジ部分における接着剤のクラックの発
生を防止できるとともに、該内部応力が接着剤と表示パ
ネルとの接着力より小さくなり、剥離の発生を防止する
ことができる。
【0017】請求項4記載の表示装置は、複数の表示パ
ネルを接着剤を用いて隣接接続し大画面表示を行うマル
チパネル方式の表示装置において、該表示パネルの接続
側端面の分断面仕上げ精度が2μm以下とされているこ
とを特徴としている。上記の構成によれば、表示パネル
の接続側端面における接着剤の濡れ性が向上するので、
表示パネルの接続部において、接続側端面と接着剤との
界面への気泡の混入を防止することができる。
【0018】請求項5記載の表示装置は、複数の表示パ
ネルを接着剤を用いて隣接接続し大画面表示を行うマル
チパネル方式の表示装置において、該表示パネルの接続
側端面の分断面位置精度が10μm以下とされているこ
とを特徴としている。上記の構成によれば、表示パネル
間の接続幅を狭くすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕本発明の実施の一形態について図1な
いし図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。図
2に示すように、本実施の形態にかかる液晶表示装置1
は、直視型の液晶表示装置であり、該液晶表示装置1の
表示画面全体をカバーする大きさの補強基板3下面にア
クティブマトリクス型の液晶パネル2・2を配置すると
ともに、上記補強基板3と液晶パネル2・2を挟むよう
に、後述する偏光板8・8を上下に設け、さらに液晶パ
ネル2・2の図中下側に図示しない冷陰極管等のバック
ライトと、表示される画像信号の制御を行なうドライバ
ー等から構成されている。この液晶パネル2・2を画像
情報に応じて制御し、上記バックライトの光を変調する
ことによって、液晶パネル2に入力された画像情報を認
識することができるようになっている。
【0020】この液晶パネル2の構成は、図3に示すよ
うに、一般によく知られているマトリクス状のアクティ
ブ素子を用いたアクティブマトリクス型の液晶パネル構
造をとっている。すなわち、単純マトリクスで生じる走
査電極間クロストークを排除するために、非選択時に関
係のない信号を完全にカットするスイッチを各画素に設
ける。このスイッチをアクティブ素子と呼び、この方式
をアクティブマトリクス型と呼ぶ。上記のアクティブ素
子としては、2端子のいわゆるダイオードと呼ばれる素
子や3端子のいわゆるトランジスタと呼ばれる素子が用
いられている。
【0021】ガラス基板より構成される第1基板10上
には、走査電極14、データ電極13、およびそれらの
電極の交点に配置されたTFT16…(Thin Film Tran
sistor)、画素電極15…が形成されている。TFT1
6は、アモルファスシリコン(a−Si:H)や多結晶
シリコン(p−Si)等の半導体薄膜を用いた電界効果
型トランジスタからなり、画素電極15に対する画像信
号の供給を制御している。画素電極15は、透過型の表
示装置として使用する場合はITO(酸化インジウム
錫)等の透明導電膜、反射型の表示装置として使用する
場合はAl等の反射性導電膜より形成される。
【0022】一方、第2基板11上には、共通電極12
が形成されている。そして、カラー表示を行う場合に
は、各画素電極に対応したR(赤)、G(緑)、B
(青)のカラーフィルター4…と、各画素の分離を行う
ブラックマトリクス5とが形成される。このブラックマ
トリクス5は、画素電極15…間の隙間やTFTエリア
への光の入射を遮るために設けられており、各々の画素
電極15の周囲を覆うようにして形成されている。これ
は、もし画素電極15…以外のエリアに光が透過する
と、黒表示状態の品位が下がってコントラストが低下
し、また、TFT16に光が入射するとTFTチャネル
内に光励起によるリーク電流が発生し、表示品位が低下
してしまうからである。なお、上記ブラックマトリクス
5は、第2基板11側ではなく、第1基板10側に設け
てもよい。
【0023】上記液晶パネル2の形成は、上記第1基板
10および第2基板11を、画素電極15と共通電極1
2とが対向するように、図2に示すシール材6を介して
貼り合わせ、上記第1基板10と第2基板11との間に
液晶7を封入することによって行われる。そして、同図
に示すように、液晶パネル2…を継ぎ合わせる際、液晶
パネル2・2間の接続部に、屈折率調整材としての役割
を果たす接着剤9を充填する。上記接着剤9は液晶パネ
ル2と同等の屈折率を有するものでないと、液晶パネル
2を構成する第1基板10及び第2基板11の端面の凹
凸によって光が散乱し、接続部が目立つ原因になる。ま
た、この上記接着剤9は、継ぎ合わせられた液晶パネル
2・2と補強基板3とを貼り合わせる際にも用いること
が好ましい。この場合にも、補強基板3と第2基板11
との界面で光の反射が起きてしまうと表示の際のコント
ラストを低下させる原因となるからである。
【0024】本実施の形態では、第1基板10と第2基
板11の材料として、屈折率1.53のガラス基板(コ
ーニング7059)を用いているので、上記接着剤9と
しては、屈折率が1.53の材料を使用する必要があ
る。例えば、アクリル系、エン/チオール等の二重結合
した部位を持ち、紫外線を照射することにより二重結合
が開裂して重合が進行する紫外線硬化樹脂で、硬化後の
屈折率が1.53である樹脂を使用するとよい。
【0025】このようにして継ぎ合わせた液晶パネル2
…の表裏面のそれぞれのほぼ全面をカバーするように、
互いの偏光軸が直交する方向で偏光板8・8を配置する
ことにより、液晶表示装置1が形成されている。一般
に、直視型の液晶表示装置は、前記したように冷陰極管
等のバックライトを備えており、該バックライトの前面
に置かれた液晶パネルにより、画像情報に応じて該バッ
クライトの光が変調され、液晶パネルに入力された画像
情報を認識することができる。本実施の形態の液晶表示
装置1では、上記のように液晶パネル2を複数個継ぎ合
わせて構成した液晶表示装置1のほぼ全面に偏光板8を
設置しており、なおかつこの偏光板8・8は互いの偏光
軸が直交する方向で液晶表示装置1の表裏に設置されて
いるので、通常、液晶パネル2・2間の接続部からの光
の洩れは該偏光板のクロスニコル状態で黒色を呈するの
で、上記の接続部は目立ちにくいものとなっている。
【0026】図1は、本発明の液晶表示装置の液晶パネ
ル2・2の接続部の拡大図を示すものであり、2つの液
晶パネル2・2の端面が接着剤9を介して接続されると
ともに、補強基板3と液晶パネル2・2とが同様に接着
剤9を介して貼り合わせられている。補強基板3と液晶
パネル2との貼り合わせに用いた上記接着剤9は、紫外
線硬化型接着材であり、流動状態の接着剤9に紫外線を
照射することにより硬化するものであるが、硬化の際に
生じる5%〜10%の収縮により、引張応力が接着剤9
内に作用する。例えば、図12(a)に示した従来例の
エッジ2aのように切り出されたままの形状とされてい
ると、該エッジ2a付近において応力集中を生じ、その
結果、クラック9aが発生してしまう。上記クラック9
aを透過する光は散乱させられてしまい、偏光板8が設
けられていても偏光板8の偏光方向と一致する光が上方
に洩れ、液晶パネル2・2間の接続部を目立たせるもの
となり、液晶表示装置のマルチパネル表示化を進める上
での障害となっていた。
【0027】そこで、本実施の形態で用いた液晶パネル
2・2の接続端面のエッジ部分には図1に示すように円
弧状の面取り部2bが形成されている。これにより、面
取り部2bの全域に渡って上記の接着剤9の内部応力が
緩和されるため、図12(b)で示したようなクラック
9aの発生を防止することができる。なお、本実施の形
態では、面取り部2bを円弧状としており、その面取り
部2bの半径を0.3mmとしている。この円弧状の面取り
部2bは、例えば、図4に示すように、曲線部を有する
砥石18を回転させて、液晶パネル2のエッジ部分を削
ることにより形成している。上記方法において、最初に
粒度#300〜#500の砥石を用いて粗削りを行い、
さらに粒度#800〜#1600の砥石を用いて仕上げ
を行なうというように、2段階の研削を行なえばより凹
凸の少ない面取り部2bを得ることができる。上記円弧
状の面取り部2bの半径は、液晶パネル2の厚さや該液
晶表示装置1の設置条件等に応じて、最適に設定すれば
よいが、面取り部2bの形状は円弧状に限定されるもの
ではなく、応力集中を回避する別の形状に加工してもよ
い。
【0028】その結果、光の散乱などが生じず、液晶パ
ネル間の接続部が目立たない液晶表示装置を得ることが
できた。
【0029】〔実施の形態2〕本発明にかかる実施の他
の形態を図5ないし図8に基づいて以下に説明する。な
お、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した
部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記
し、その説明を省略する。
【0030】図5は、図示しない補強基板3に積層する
際の液晶パネル2・2の配置図であるが、同図(a)に
示すように、それぞれの液晶パネル2は、1辺が画像表
示エリア端の近傍の分断ライン17・17に沿って分断
され、それぞれの上記分断部分を継ぎ合わせるように補
強基板3上に貼り付けられるものである。同図(b)に
示すように、液晶パネル2を継ぎ合わせた際に生じる接
続幅Dは、通常、1画素当たりに必要とされるブラック
マトリクス5の線幅aに比べて小さくなるように継ぎ合
わせられている。上記接続幅Dがブラックマトリクス5
の線幅aに比べて大きすぎると、画面全体の画素ピッチ
が液晶パネル2…の接続部で乱れ、観察者に違和感を与
えてしまうという理由からである。
【0031】したがって、液晶パネル2の分断には高度
な分断位置精度と分断面仕上げ精度が要求される。仮
に、液晶パネル2の分断ライン17・17が歪んでいた
り液晶パネル2の分断面に数百μmの凹凸が存在したり
すると、液晶パネル2を継ぎ合わせる際にそれ以上の隙
間が生じてしまう。ところが、一般的なスクライブによ
る液晶パネル2の分断方法では、数百μm程度の分断面
の歪みを避けることができない。高度な分断位置精度お
よび分断面仕上げ精度を得るためにはダイシング装置を
用いた分断方法がふさわしい。ダイシング装置を用いれ
ば、量産時の製造速度を考慮しても、接続側の端面部の
分断位置精度を50μm以下、分断面仕上げ精度を5μ
m以下に抑えることができる。なお、図6に示すよう
に、上記で分断位置精度と称しているのは設計上の分断
ラインに対する実際の分断ラインのずれの最大値Aのこ
とであり、また、分断面仕上げ精度と称しているのは、
同図において拡大円内に示された端面における表面あら
さにおける最大高さBのことである。
【0032】このようにして、上記接続幅Dをブラック
マトリクス5の線幅a以下としているので、液晶表示装
置1全体の画素ピッチを均一にすることができる。
【0033】しかし、上記のように接着剤9を用いて液
晶パネル2の端面を継ぎ合わせる際に、接着剤9の硬化
収縮に注意する必要がある。つまり、この硬化収縮によ
って生じる内部応力の応力集中により、図12(a)に
示すように液晶パネル2のエッジ2aにおける接着剤9
のクラック9aや図12(b)に示すように端面部2c
において接着剤9との間に剥離部9bが生じる恐れがあ
る。
【0034】そこで、上記のクラック9aや剥離部9b
の防止策を考える。例えば、上記内部応力は接着剤9の
硬化収縮に伴うものであるから、使用する接着剤9の体
積を小さくすれば体積収縮量の絶対値が小さくなる。こ
れにより、接着剤9において硬化収縮時に発生する内部
応力を低減することができる。また、上記したクラック
や剥離が生じるのは、一般的に用いられる接着剤9の硬
化収縮時の曲げ弾性率(以下、単に弾性率と称する)が
大きい、すなわち、剛性が高い為に生じていると考えら
れるので、弾性率の小さい接着剤9を用いれば、硬化収
縮による影響を相殺することができる。
【0035】上記の考えに基づいて、図7に示す試験片
19を複数作製し、クラックの発生の様子を観察するこ
とにした。上記試験片19は液晶表示装置における補強
基板を模したガラス板20(幅60mm×奥行き100mm ×厚
さ2.8mm)と、液晶パネルを模したガラス板21・21
(幅30mm×奥行き100mm ×厚さ2.2mm)とを、接着材22
を用いて、実際の液晶表示装置と同様に接着剤22の厚
さを設定し、貼り合わせている。そして、ガラス板21
・21間の接続幅Dを種々変更したものと、弾性率が異
なる種々の樹脂を接着剤22として組み合わせて、いろ
いろなパターンの試験片19を作製し、エッジ部分に生
じるクラックの数を観察した結果を図8に示す。
【0036】同図からわかるように、弾性率が4000
kgf/cm2 以下の樹脂を接着剤22として用いた場合には
接続幅Dに係わらず、接着剤22の硬化収縮に伴って生
じるクラックの数が著しく少なくなっていることがわか
る。この結果から、弾性率が4000kgf/cm2 以下の樹
脂を接着剤22として用いると、接着剤22の収縮硬化
による歪みから生じた内部応力が、接着材22の有する
弾力性により相殺され、液晶パネル2と接着剤9との間
の分子間引力よりも小さくなるからであると推定でき
る。
【0037】また、上記試験片19において、弾性率が
4000kgf/cm2 以上(実験では6000kgf/cm2 以上
の樹脂)の樹脂を接着剤22として用いた場合でも、樹
脂の種類に関係なく、接続幅Dを50μm以下とするこ
とにより、上記と同様に接着剤22の硬化収縮に伴って
生じるクラックの数が著しく少なくなっていることがわ
かる。すなわち、接続幅Dを50μm以下とすると、接
着剤の曲げ弾性率のようにクラックの発生に大いに関係
があると思われる特性に依存することなく、絶対的な収
縮量の低減に伴う内部応力の値の低減により、応力の最
大値が接着剤22の分子間結合力以下となり、エッジ部
分付近に発生するクラックの数が低く抑えられていると
推定できる。同時に該試験片19においては、接着剤2
2とガラス板21・21との界面において、従来例の図
12(b)に示したような剥離部9bの形成は観察され
なかった。
【0038】上記の結果から、同様の構成を有する液晶
表示装置1においては、接着剤9に用いる樹脂の弾性率
を4000kgf/cm2 以下にするか、または、液晶パネル
2・2間の接続幅Dを上記のように50μm以下に設定
してやることにより、エッジ2a付近で生じるにクラッ
クや端面部2cと接着剤9との間の剥離等を防止するこ
とができると考えられる。また、液晶パネル2・2間の
接続幅Dを50μm以下にすると、上記のように、接続
部に充填される接着剤9に発生するクラックや剥離を低
減させると同時に、接着剤層での光吸収や複屈折性の影
響を低減させることができるので、表示性能が向上す
る。
【0039】実際に、分断ライン17の位置を設定し、
液晶パネル2・2間の接続幅Dを50μmとし、弾性率
が10000kgf/cm2 の樹脂を接着剤9として用いた液
晶表示装置1を作製した結果、接続部におけるクラック
や剥離が観察されず、液晶パネル2・2間の接続部が目
立ちにくい液晶表示装置1とすることができた。また、
接着剤9として弾性率が2000kgf/cm2 の樹脂を用い
て接続幅D=100μmの液晶表示装置1を作製した結
果においても、エッジにおけるクラックや剥離等が観察
されず、液晶パネル2・2間の接続部が目立ちにくい液
晶表示装置1とすることができた。
【0040】〔実施の形態3〕本発明にかかる実施の他
の形態を図9及び図10に基づいて以下に説明する。な
お、説明の便宜上、前記の実施の形態2の図面に示した
部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記
し、その説明を省略する。
【0041】上記実施の形態2で接着剤9の収縮硬化に
よるクラックや、剥離を防止するためには接続幅Dが5
0μm以下であれば十分であることを述べた。しかしな
がら、液晶パネル2・2を接続する際に用いる接着剤
は、その組成、硬化条件や環境温度により屈折率が変化
するので、硬化時の屈折率が液晶パネル2と等しくなる
ように、屈折率を0.005 程度のオーダーで管理すること
は実際上、困難であり、量産時等において、ある程度の
バラツキが発生してしまう。図9(a)(b)を比較する
とわかるが、液晶パネル間2・2間の接続幅が大きい
と、接着剤9を通過して観察される画像の歪みが大きく
なるだけでなく、色味も変化してしまう。従って、図9
(b)に示すように、接続幅Dが小さければ小さいほ
ど、接着剤層での光吸収や複屈折性の影響による画像歪
みが小さくなり、表示性能を向上させることができる。
【0042】ところが、前記のダイシング装置において
は、分断を行うブレードのメッシュ、回転数、ワーク送
りの速度との間には、ワーク送り速度を遅くすると、加
工精度は向上するが処理能力が大幅に低下する一方、ブ
レードのメッシュを細かくして高速に回転させれば、分
断面仕上げ精度は向上するがブレードのブレが増大し、
分断位置精度が低下するというトレードオフの関係があ
り、量産を前提とした場合、分断面仕上げ精度5μm以
下を維持しながら分断位置精度を50μm以下よりも小
さくすることは困難である。
【0043】そこで、液晶パネル2の接続側端面2cを
砥石により研磨する工程を設けた。これにより、液晶パ
ネル2の製造量を低減させることなく、液晶パネル2・
2間の接続幅Dをさらに狭くすることができる。上述の
ダイシング装置によって分断された後、液晶パネル2の
端面を研磨することにより、分断位置精度が10μm以
下となる液晶パネル2が得られた。この液晶パネル2を
用いることにより、液晶パネル間2・2間の接続幅を2
0μm以下とすることができた。
【0044】上記の研磨工程を用いて、分断位置精度の
異なる液晶パネル21′を複数準備するとともに、この
液晶パネル21′を用いて図10に示すような試験片1
9′を複数作製し、接続幅Dの違いによる視認性の評価
を行った。なお、上記試験片19′は、接着材22を用
いて、補強基板20′(幅580mm ×奥行き440mm ×厚さ
2.8mm)上に、同一の分断位置精度の液晶パネル21′・
21′(幅290mm ×奥行き440mm ×厚さ2.2mm)を貼り合
わせたものである。
【0045】
【表1】
【0046】この結果、接続幅Dが20μm以下では、
接着剤の屈折率のバラツキの影響をほぼ受けない視認性
の良好な液晶表示装置を得ることができた。すなわち、
分断位置精度が10μm以下の液晶パネルを用いれば、
接続幅Dは必ず20μm以下となるので、常に良好な視
認性を得ることができる。
【0047】〔実施の形態4〕本発明にかかる実施の他
の形態を図10に基づいて以下に説明する。なお、説明
の便宜上、前記の実施の形態2の図面に示した部材と同
一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その
説明を省略する。
【0048】前記で説明したが、ダイシング装置による
分断では、接着剤9による液晶パネル2・2間の接続に
際し、接着剤9が分断面の凹凸の隅々にまで十分に浸透
せず、液晶パネル2の端面部2cと接着剤9との間に微
小な気泡が残り、この気泡により光が散乱させられてし
まうことがあった。これは、前記したダイシング装置に
より得られる5μm程度の分断面仕上げ精度では、接着
剤9と端面部2cとの間の濡れ性が充分でないためと考
えられる。
【0049】そこで、前記と同様に砥石による研磨工程
を用いて、分断面仕上げ精度が異なる液晶パネル21′
を複数準備した。そして、図10に示したものと同様の
形状を有する試験片19′を複数作成して、接続部を観
察し、気泡の巻き込み性の評価を行った。但し、本実施
の形態で用いた試験片19′においては、気泡の観察を
しやすくするために、液晶パネル21′・21′間の接
続幅Dを100 μmとしている。
【0050】
【表2】
【0051】上記の結果から、分断面仕上げ精度が2μ
m以下において、気泡の巻き込みが観察されなくなるこ
とが判った。これにより、接続部における気泡を原因と
する光の散乱を防止し、自然な画像を得ることができ
た。
【0052】なお、実施の形態2ないし4で行った、ガ
ラス板21及び液晶パネル21′の接続側端面部の研磨
は、図11の液晶パネル2の加工例で示すように、例え
ば、端面部2cを、回転する砥石23により削ってやる
等すればよい。上記砥石23として、#800の砥石を
用い、砥石23と端面部2cとの接触部での研磨速度1
km/min、砥石送り込み量2μm/ステップの条件で研磨し
たところ、分断位置精度が10μm以下で、かつ、分断
仕上げ面精度が2μm以下となる端面部2cを得ること
ができた。また、研磨前の端面部2cの表面が粗い場合
には、最初に粒度#300〜#500の砥石を用いて粗
削りを行ったのち、粒度#800〜#1600の砥石を
用いて仕上げを行うというように、2段階の研磨を施す
ことにより、より凹凸の少ない端面部2cが得られる。
【0053】上記の各実施の形態では液晶パネルを接続
して大画面化を図ったマルチパネル方式の液晶表示装置
を示したが、この大画面化の手法は液晶パネルのみに適
用されるものではなく、例えば、従来の大きさのディス
プレイ製造ラインを流用して大画面化が図れるという意
味で、プラズマ・ディスプレイやEL(Electro Lumines
cent) ディスプレイ等を用いたマルチパネルディスプレ
イに適用しても良い。
【0054】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の表示装置は、以
上のように、複数の表示パネルを接着剤を用いて隣接接
続し大画面表示を行うマルチパネル方式の表示装置にお
いて、該表示パネルの接続端面のエッジ部分に面取り部
を設ける構成である。請求項2記載の表示装置は、複数
の表示パネルを接着剤を用いて隣接接続し大画面表示を
行うマルチパネル方式の表示装置において、隣接するパ
ネル間の間隔が50μm以下とされている構成である。
請求項3記載の表示装置は、複数の表示パネルを接着剤
を用いて隣接接続し大画面表示を行うマルチパネル方式
の表示装置において、硬化後の曲げ弾性率が4000kg
f/cm2 以下の接着剤が用いられている構成である。それ
ゆえ、上記の各請求項によるいずれの構成を用いても、
表示パネルの接続部に充填する接着剤にクラックや剥離
が生じないので、液晶パネルの接続部が目立たず、視認
性に優れた大画面の表示装置とすることができるという
効果を奏する。さらに上記構成を組み合わせることによ
り、上記の効果のさらなる向上が期待できる。
【0055】また、請求項4記載の表示装置は、複数の
表示パネルを接着剤を用いて隣接接続し大画面表示を行
うマルチパネル方式の表示装置において、該表示パネル
の接続側端面の分断面仕上げ精度が2μm以下とされて
いる構成である。それゆえ、接続側端面の濡れ性が向上
し、接着剤との界面に気泡を残存させることなく表示パ
ネル間の接続が行えるので、上記の気泡を原因とする光
の散乱が生じず、表示パネルの接続部が目立たない視認
性に優れた大画面の表示装置とすることができるという
効果を奏する。
【0056】請求項5記載の表示装置は、複数の表示パ
ネルを接着剤を用いて隣接接続し大画面表示を行うマル
チパネル方式の表示装置において、該表示パネルの接続
側端面の分断面位置精度が10μm以下とされている構
成である。それゆえ、表示パネル間の接続幅を20μm
以下とすることができるので、接着剤の屈折率にバラツ
キが生じたりしても、色味に影響を与えにくく、また、
この表示パネル接続部を通過する画像の歪みを抑制し、
上記接続部が目立たず、視認性に優れた大画面の表示装
置とすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の一形態における液晶表示装
置の液晶パネル間の接続部を示す断面斜視図である。
【図2】本発明に係る実施の一形態における液晶表示装
置の概略の構成を示す断面図である。
【図3】上記液晶表示装置に設けられた液晶パネルの構
成パターンを示す斜視図である。
【図4】液晶パネルの面取り部を形成する方法の一例を
示す図である。
【図5】液晶パネルの配置を示す図であり、同図(a)
は、単体の液晶パネルと液晶パネルの接続部における切
断位置を示す平面図であり、同図(b)は、切断後の液
晶パネルの配置を示す平面図である。
【図6】分断位置精度と分断面仕上げ精度を説明する液
晶パネルの斜視図である。
【図7】本発明に係る実施の他の形態における試験片の
形状を示す斜視図である。
【図8】硬化後の曲げ弾性率の異なる複数の接着剤を用
いて、エッジ部分に生じたクラックの数を測定した結果
を示すグラフであり、横軸が試験片間の接続幅Dであ
り、縦軸が最大クラック発生数により無次元化したクラ
ックの発生率である。
【図9】接続部を透過する画像の接続幅の違いによる変
形度を示す説明図である。
【図10】本発明に係る実施の他の形態における試験片
の形状を示す斜視図である。
【図11】液晶パネルの端面部の加工方法を示す概略図
である。
【図12】従来のマルチパネル表示方式を用いた液晶表
示装置の液晶パネル間の接続部を示す断面斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 液晶表示装置(表示装置) 2 液晶パネル(表示パネル) 2a エッジ(エッジ部分) 2b 面取り部 2c 端面部(接続端面) 9 接着剤 D 接続幅(間隔)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の表示パネルを接着剤を用いて隣接接
    続し大画面表示を行うマルチパネル方式の表示装置にお
    いて、 該表示パネルの接続端面のエッジ部分に面取り部を設け
    ることを特徴とする表示装置。
  2. 【請求項2】複数の表示パネルを接着剤を用いて隣接接
    続し大画面表示を行うマルチパネル方式の表示装置にお
    いて、 隣接するパネル間の間隔が50μm以下とされているこ
    とを特徴とする表示装置。
  3. 【請求項3】複数の表示パネルを接着剤を用いて隣接接
    続し大画面表示を行うマルチパネル方式の表示装置にお
    いて、 硬化後の曲げ弾性率が4000kgf/cm2 以下となる接着
    剤が用いられていることを特徴とする表示装置。
  4. 【請求項4】複数の表示パネルを接着剤を用いて隣接接
    続し大画面表示を行うマルチパネル方式の表示装置にお
    いて、 該表示パネルの接続側端面の分断面仕上げ精度が2μm
    以下とされていることを特徴とする表示装置。
  5. 【請求項5】複数の表示パネルを接着剤を用いて隣接接
    続し大画面表示を行うマルチパネル方式の表示装置にお
    いて、 該表示パネルの接続側端面の分断面位置精度が10μm
    以下とされていることを特徴とする表示装置。
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