JPH08325399A - 塗布フィルム - Google Patents

塗布フィルム

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JPH08325399A
JPH08325399A JP7135310A JP13531095A JPH08325399A JP H08325399 A JPH08325399 A JP H08325399A JP 7135310 A JP7135310 A JP 7135310A JP 13531095 A JP13531095 A JP 13531095A JP H08325399 A JPH08325399 A JP H08325399A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生産性、帯電防止性、接着性に優れた新規な
塗布層を持つ二軸延伸ポリエステルフィルムを提供す
る。 【構成】 (1)未延伸ポリエステルフィルムの少なく
とも片面に帯電防止性塗布剤を塗布、乾燥して塗布層を
形成し、(2)その後、少なくとも一方向に延伸し、
(3)さらに前記塗布層の少なくとも1つの面の上に、
塗布剤または印刷剤組成物との接着性が向上する易接着
層を設けることにより製造されることを特徴とする塗布
フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生産性、帯電防止性、
接着性に優れた新規な塗布層を持つ二軸延伸ポリエステ
ルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】二軸
延伸ポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定
性、平面性、平滑性、耐熱性、耐薬品性、透明性等にお
いて優れた特性を示すことから、磁気記録媒体のベース
フィルム、製版用フィルムをはじめとして幅広い用途に
使用されている。しかしながら、このように優れた特性
をもつ反面、プラスチックフィルム共通の問題として静
電気を帯びやすく、フィルム加工時あるいは加工製品の
走行性不良や汚れやすい等の問題を生ずる。また、耐薬
品性、耐溶剤性に優れる反面、各種の上塗り剤との接着
性に劣る。例えば、印刷インクや磁性層との接着性が不
十分である場合がある。
【0003】上記のような問題点を解決する方法の一つ
に、ポリエステルフィルムの表面にいわゆる下引き層を
設けることが知られている。特に、フィルム製造工程中
で塗布する「塗布延伸」法が経済的かつ特性上も興味深
い。これはインラインコーティングとも言われている。
そして従来は、縦延伸後横延伸前に実施されてきた。そ
の理由は、特公昭41−8470号公報に記載されてい
るとおりである。すなわち、縦延伸前に塗布した場合に
は、加工条件によってはフィルムの延伸性に問題が生じ
たり、延伸性が良好であっても延伸ロールとの粘着を生
じて塗布層の表面が荒れたり、延伸ロールへ塗布層が剥
離する場合があったからである。
【0004】ところで、上記の問題を解決するには、帯
電防止性であり、かつ上塗り剤易接着である塗布層を設
ける必要があった。そしてこのための塗料をいかに調整
するかに高い技術が要求された。帯電防止性のみを発揮
させる塗料処方、易接着性のみを発揮させる処方、それ
ぞれは比較的容易であるが、両者を兼ね備えた処方の開
発は非常に難しい。その一つの理由は、単純に両方の塗
料を混ぜただけでは、ほとんどの場合、両方の特性を満
足させられないことにある。さらに別の理由としては、
塗料のポットライフが短いことが上げられる。この理由
は、帯電防止剤と他のバインダーを混合した場合に、帯
電防止剤が凝集剤として働く場合が多いからである。工
業的に安価で多量に入手できる帯電防止剤としては、有
機系のノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性の親
水性の強い化合物が挙げられる。これらの中には分散剤
として働く化合物もあるが凝集剤として働く化合物も多
い。特に強い帯電防止性を発揮するカチオン性帯電防止
剤ではその傾向が強い。例えば、ポリジメチルジアリル
アンモニウムクロリド、ポリビニルベンジルトリメチル
アンモニウムクロリドなどいずれも高い電荷密度をもつ
高分子電解質である。これらは、他の水溶性または水分
散性バインダーの凝集剤として働く。このため、上記の
ような帯電防止剤とバインダーを配合した塗料はそのポ
ットライフが短く、工業的な生産効率が非常に悪い。特
にカチオン型の高分子帯電防止剤は、排水の水処理に使
用される化合物もあり、この傾向が一層顕著である。ま
た、導電性微粒子を帯電防止剤として利用することも知
られているが、この場合も混合するバインダーによって
は塗料のポットライフが短い問題がやはり発生する。こ
れが顕著になると、塗料の増粘、あるいは凝集物が生じ
る。このためコーティングした際に塗布外観が悪くな
り、塗布スジやブツが発生する。また、導電性微粒子の
分散性が悪くなるため、帯電防止性能が低下する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の問題
点に関して鋭意検討した結果、ポリエステルフィルム製
造工程中に特定の方法で特定の化合物を塗布することで
上記の問題を解決し、かつ予想外の効果が得られること
を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明の要旨は、(1)未延伸
ポリエステルフィルムの少なくとも片面に帯電防止性塗
布剤を塗布、乾燥して塗布層を形成し、(2)その後、
少なくとも一方向に延伸し、(3)さらに前記塗布層の
少なくとも1つの面の上に、塗布剤または印刷剤組成物
との接着性が向上する易接着層を設けることにより製造
されることを特徴とする塗布フィルムに存する。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
フィルムを構成するポリエステルとは、芳香族ジカルボ
ン酸またはそのエステルとグリコールとを主たる出発原
料として得られるポリエステルであり、例えば、繰り返
し構造単位の80%以上がエチレンテレフタレート単位
またはエチレン−2,6−ナフタレート単位または1,
4−シクロヘキサンテレフタレートを有するポリエステ
ルを指す。そして、上記の範囲を逸脱しない条件下であ
れば、他の第三成分を含有していてもよい。
【0008】芳香族ジカルボン酸成分としては、例え
ば、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン
酸以外に、例えば、イソフタル酸、フタル酸、アジピン
酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキ
シエトキシ安息香酸等)等を用いることができる。グリ
コール成分としては、エチレングリコール以外に、例え
ば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブ
タンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、
ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上を用い
ることができる。
【0009】かかるポリエステルの極限粘度は、通常
0.45以上、好ましくは0.50〜1.0、さらに好
ましくは0.52〜0.80の範囲である。極限粘度が
0.45未満では、フィルム製造時の生産性が低下した
り、フィルムの機械的強度が低下するという問題が生ず
ることがある。一方、ポリマーの溶融押出安定性の点か
ら、極限粘度は1.0を超えないことが好ましい。
【0010】本発明のポリエステルフィルムは、フィル
ムに滑り性を与えて取扱い性を向上する目的で、ポリエ
ステルに粒子を含有させ、フィルム表面に適度な突起を
形成させてもよい。かかる粒子の例としては、炭酸カル
シウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タル
ク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カ
ルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデ
ン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム
等の有機粒子、およびポリエステル重合時に生成させる
析出粒子を挙げることができる。
【0011】本発明において、フィルムに含有させる粒
子の粒径と量はその用途にもよるが、平均粒径は、好ま
しくは0.005〜5.0μm、さらに好ましくは0.
01〜3.0μmの範囲である。平均粒径が5.0μm
を超えるとフィルム表面が粗面化しすぎてしまう傾向が
ある。また薄いフィルムでは絶縁性が低下したりするこ
とがある。さらに粒子がフィルム表面から脱落しやすく
なり、フィルム使用時の「粉落ち」の原因となる恐れが
ある。粒子の平均粒径が0.005μm未満では、この
粒子による突起形成が不十分な傾向があり、その結果、
滑り性改良効果が弱くなる恐れがある。すなわち、粒子
を大量に添加しないと滑り性改良効果効果が現れず、大
量に添加するとフィルムの機械的特性が損なわれる恐れ
がある。
【0012】また、粒子含有量はポリエステルに対し、
0.0000〜30.0重量%、さらには0.010〜
20.0重量%であることが望ましい。粒子量が多くな
るとフィルムの機械的特性が損なわれる傾向がある。最
低量はフィルムの使用用途により異なる。高透明フィル
ムでは少ないほど好ましく、適度な滑り性を与えるため
含まれる粒子も少ないほど好ましい。磁気記録用途では
滑り性は重要な特性であり、添加する粒子径にも依存す
るが通常0.1重量%以上は必要である。また、炭酸カ
ルシウム、酸化チタンなどの白色顔料を添加して製造す
る白色フィルムでは、通常2重量%以上は必要である。
ただし、これは遮光率の高いフィルムを製造する場合で
あり、半透明のフィルムではこの下限はより小さくても
よい。
【0013】フィルム中に、かかる粒子を2種類以上配
合してもよく、同種の粒子で粒径の異なるものを配合し
てもよい。いずれにしても、フィルムに含有する粒子全
体の平均粒径、および合計の含有量が上記した範囲を満
足することが好ましい。粒子を含むポリエステルの製造
に際して、粒子はポリエステルの合成反応中に添加して
もポリエステルに直接添加してもよい。合成反応中に添
加する場合は、粒子をエチレングリコール等に分散させ
たスラリーとして、ポリエステル合成の任意の段階で添
加する方法が好ましい。一方、ポリエステルに直接添加
する場合は、乾燥した粒子として、または、水あるいは
沸点が200℃以下の有機溶媒中に分散したスラリーと
して、2軸混練押出機を用いてポリエステルに添加混合
する方法が好ましい。なお、添加する粒子は、必要に応
じ、事前に解砕、分散、分級、濾過等の処理を施してお
いてもよい。粒子の含有量を調節する方法としては、上
記した方法で高濃度に粒子を含有するマスター原料を作
っておき、それを製膜時に、実質的に粒子を含有しない
原料で希釈して粒子含有量を調節する方法が有効であ
る。
【0014】また、上記の突起形成剤以外の添加剤とし
て、必要に応じて、帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋
剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、着色剤(染料、
顔料)、光線遮断剤、紫外線吸収剤などを含有していて
もよい。本発明のポリエステルフィルムは、最終的に得
られる特性が本発明の用件を満足する限り、多層構造と
なっていても構わない。例えば、共押出し積層フィルム
であってもよい。この場合、ベースフィルムに関する上
記の記述は、最表面層のポリエステルに適用される。
【0015】二軸延伸ポリエステルフィルムの製造は、
同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれかで実施される
が、特に逐次二軸延伸が多く行われている。すなわち、
溶融押し出ししたポリエステルを冷却ドラムの上で冷却
し未延伸フィルムを作成し、これを周速差のある一群の
ロールで延伸(縦延伸)し、この後フィルムの長手方向
と垂直な方向にクリップで保持しつつ延伸(横延伸)す
る。この変形として、縦延伸、横延伸を何回かに分割し
て実施してもよい。また分割しその一部ずつを交互に実
施してもよい。例えば、高強度フィルムを再延伸法で製
造する方法がこれに相当する。
【0016】本発明における未延伸フィルムとは、例え
ば、面配向度(△P)が0.000〜0.010の範囲
のフィルムのことであり、好ましくはΔPが0.000
〜0.005の範囲であり、さらに好ましくは0.00
0〜0.002の範囲である。△Pが小さいと、塗布層
と基材ポリエステルフィルムとの層間接着性に優れるの
で好ましい。なお、面配向度(△P)は、フィルムの主
配向方向の屈折率をnγ、主配向方向と直角方向の屈折
率をnβ、厚み方向の屈折率をnαとすると
【0017】
【数1】ΔP=(nγ+nβ)/2−nα で与えられる。
【0018】本発明で用いる帯電防止性塗布剤とは、そ
の塗布剤中に帯電防止剤を含有する塗布層である。ここ
での帯電防止剤とは、例えば、有機系の化合物で、適度
に吸湿して静電気を逃がす効果を持つ化合物、有機電子
伝導性の化合物、そして導電性微粒子である。有機系の
吸湿して静電気を逃がす化合物とは、ノニオン系、アニ
オン系、カチオン系、両性の化合物等のいわゆる帯電防
止剤と称されてきた化合物である。ノニオン系帯電防止
剤では、ポリエーテル化合物、またはその誘導体が挙げ
られ、具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール/
ポリプロピレングリコールブロック共重合体、ポリオキ
シエチレンジアミン、ポリエーテル/ポリエステル/ポ
リアミドブロック共重合体がこれに該当する。
【0019】アニオン系帯電防止剤としては、スルホン
酸、カルボン酸、リン酸、ホウ酸およびそれらの塩を持
つ化合物が挙げれれる。これらの中では、その帯電防止
性の強さと工業的に入手しやすいことから、スルホン酸
系帯電防止剤がよく使用される。例えば、ポリスチレン
スルホン酸、ポリスチレンスルホン酸リチウム、ポリス
チレンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸
カリウム、ポリスチレンスルホン酸セシウム、ポリスチ
レンスルホン酸アンモニウム等である。もちろん、他の
共重合できるモノマーと、スチレンスルホン酸およびそ
の塩、との共重合体も含まれる。また、低分子のスルホ
ン酸系化合物も有効である。例えば、アルキルスルホン
酸塩、アルキル硫酸エステル等が挙げられる。例えば、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィ
ンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸エステルナトリ
ウム塩、セチル硫酸エステルナトリウム塩、ステアリル
硫酸エステルナトリウム塩、オレイル硫酸エステルナト
リウム塩等である。
【0020】カチオン系帯電防止剤としては、低分子化
合物として、第1級アミンの塩酸塩、第2級アミンの塩
酸塩、第3級アミンの塩酸塩、第4級アンモニウム塩が
代表的である。用いられるアミンとしては、モノメチル
アミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ラウリル
アミン、ジラウリルアミン、ラウリルジメチルアミン、
ステアリルアミン、ジステアリルアミン、ステアリルジ
メチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエ
チレントリアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミ
ン、アミノエチルエタノールアミン、ピリジン、モルホ
リン、グアニジン、ヒドラジン等が挙げられる。また第
4級アンモニウム塩の例としては、ラウリルトリメチル
アンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアン
モニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、セチ
ルピリジニウムブロミド、ステアラミドメチルピリジニ
ウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムメトサ
ルフェート等が挙げられる。高分子カチオン系帯電防止
剤としては、第4級アンモニウム塩型スチレン重合体、
第4級アンモニウム塩型アミノアルキル(メタ)アクリ
レート重合体、第4級アンモニウム塩型ジアリルアミン
重合体等が挙げられる。具体的には、ポリビニルベンジ
ルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリジメチルアミ
ノエチルメタクリレートの4級化物、ポリジアリルジメ
チルアンモニウムクロリド等である。
【0021】両性系帯電防止剤としては、アミン塩型カ
チオンを有するカルボン酸塩型両性界面活性剤、第4級
アンモニウム塩型のカチオンを有するカルボン酸塩型両
性界面活性剤(いわゆるベタイン型両性界面活性剤)が
有名である。例えば、ラウリルアミノプロピオン酸ナト
リウム、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチ
ルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等が
挙げられる。
【0022】有機電子伝導性の化合物としては、ポリア
セチレン、ポリ(p−フェニレン)、ポリピロール、ポ
リチオフェン、ポリアニリン、ポリ(アリレンビニレ
ン)、ポリアセン等があげられる。これらは、従来高価
であり、また通常溶媒への溶解性があまり良くない。し
かし、例えば、スルホン酸残基を導入することによって
水に溶解するようになったタイプも開発されている。導
電性微粒子としては、カーボンブラック、金属微粉末、
金属酸化物微粉末が。挙げられる例えば、銀、銅、ニッ
ケル等の微粉末、または酸化アンチモン、酸化インジウ
ムなどの微粉末である。
【0023】本発明における帯電防止性塗布剤とは、そ
の塗布剤中に上記帯電防止剤のほかに、バインダーを含
有していてもよい。上記帯電防止剤のうち、有機高分子
を採用した場合にはそれだけで十分な皮膜を形成する場
合が多い。しかし有機高分子系帯電防止剤の中には、塗
膜がポリエステルの延伸に追随しない場合もある。この
場合、適当な柔軟性を持つバインダーを混合するとよ
い。また有機高分子系帯電防止剤の中には、逆に形成し
た塗膜が柔らかすぎる場合もある。この場合にはやや硬
いバインダーを混合するとよい。帯電防止剤として有機
低分子を採用した場合には塗膜が柔らかすぎる場合が多
い。また導電性微粒子を採用した場合には、バインダー
と併用する必要がある。
【0024】ここでいうバインダーとは、有機系の高分
子であり具体的には以下の化合物から選ばれる少なくと
も一種の化合物であり、これらを水系塗料の形で帯電防
止剤と混合する、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレ
ート、ポリウレタン、ポリオレフィン、エチレン酢酸ビ
ニル共重合体、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、塩化ビニル酢酸ビ
ニル共重合体、クロロプレン、スチレン系樹脂、カーボ
ネート系樹脂、アリレート系樹脂、ビニルブチラール系
樹脂、ビニルアルコール系樹脂、上記の複合ポリマーが
挙げられる。複合ポリマーとは、ランダム、ブロック、
グラフトの各共重合体、シェル−コア型結合体である。
【0025】本発明における帯電防止性塗布剤とは、上
記以外に架橋剤、ワックス、架橋有機粒子、無機粒子を
含んでいてもよい。特にポリエステル中に粒子の少ない
高透明フィルムを基材とする場合、帯電防止性塗布層中
にワックス、または粒子を含んでいると良い。これは、
フィルムの縦延伸行程中でのロールによる傷入りを防止
するからである。架橋剤は一般に種々の化合物が知られ
ているが、水系塗料で使用しやすい架橋剤としては、例
えば、アミノ樹脂、特にメラミン系架橋剤と尿素系架橋
剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン化合物、ブロックイ
ソシアネート系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、シラン
カップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコーアル
ミネートカップリング剤、反応性のビニル化合物が挙げ
られる。
【0026】ワックスとしては、天然ワックス、合成ワ
ックス、それらの配合したワックスの中から選ばれたワ
ックスが挙げられる。天然ワックスとは、植物系ワック
ス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油ワックスで
ある。合成ワックスとしては、合成炭化水素、変性ワッ
クス、水素化ワックス、脂肪酸、酸アミド、アミン、イ
ミド、エステル、ケトンが挙げられる。これらの中で使
いやすいワックスとしては、カルナウバワックス、ポリ
エチレンワックス、そして粘度平均分子量500〜20
000のポリマーである、ポリプロピレン、エチレン・
アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプ
ロピレングリコールのブロックまたはグラフト結合体が
挙げられる。
【0027】有機粒子としては、炭素−炭素二重結合を
一分子中に2個以上含有する化合物(例えばジビニルベ
ンゼン)により架橋構造を達成したポリスチレンまたは
ポリアクリレートポリメタクリレートが挙げられる。さ
らに縮合反応のより合成される熱硬化性樹脂の粒子とし
て、メラミン−ホルムアルデヒド、ベンゾグアナミン−
ホルムアルデヒド、フェノール−ホルムアルデヒド、エ
ポキシ等が挙げられる。さらにポリテトラフルオロエチ
レン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポ
リビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン−
ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエ
チレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合
体、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素系樹脂
の粒子、架橋シリコーン樹脂の粒子が挙げられる。また
これらの粒子の表面は、有機物で表面処理されていても
よい。例えば、界面活性剤、分散剤としての高分子、シ
ランカップリング剤、チタンカップリング剤などで表面
処理されていてもよい。
【0028】無機粒子としては、二酸化ケイ素、アルミ
ナ、酸化ジルコニウム、カオリン、タルク、炭酸カルシ
ウム、酸化チタン、酸化バリウム、カーボンブラック、
硫化モリブデン、酸化アンチモン、等が挙げられる。こ
れらの中では、二酸化ケイ素が安価であり、かつ粒子径
が多種あるので利用しやすい。またこれらの粒子の表面
は、有機物で表面処理ざれていてもよい。例えば、界面
活性剤、分散剤としての高分子、シランカップリング
剤、チタンカップリング剤などで表面処理されていても
よい。
【0029】その他の添加剤として、消泡剤、塗布性改
良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染
料、顔料等を含んでいてもよい。本発明における塗布剤
は、安全衛生上、水を媒体とする塗布剤であることが望
ましいが、本発明の要旨を越えない範囲内で、水溶性ま
たは水分散性樹脂の助剤として有機溶剤を含有していて
もよい。上記記載の中の「水系塗料」についても同様で
ある。水を主な媒体とする場合は、上記に詳述した化合
物を界面活性剤などによって強制分散化した塗布剤であ
ってもよいが、自己分散型の塗布剤が塗料の分散安定性
の点から好ましい。自己分散型塗布剤とは、上記化合物
に化学結合により各種親水性基を導入した塗布剤であ
る。例えば、ノニオン性としては水酸基、ポリエーテ
ル、アニオン性としてはスルホン酸、カルボン酸、リン
酸およびそれらの塩、カチオン性としては四級アンモニ
ウム塩のようなオニウム塩のような親水性成分が挙げら
れるが、これらの化学種を共重合やグラフト処理により
導入し、自己分散型の塗布剤とすることができる。
【0030】本発明における易接着性層とは、上記帯電
防止剤を構成する化合物群から帯電防止剤を除いた化合
物群の中から選ばれる化合物で構成される層である。あ
るいは、帯電防止剤を含んでいても実質的に帯電防止性
を発揮しない程度の微量である場合である。その組成
は、フィルムの上に塗布、印刷される化合物とよく接着
するようにするため、上に塗布、印刷される化合物によ
り適宜変更される。主成分としてはバインダーであり、
助剤として架橋剤、粒子などが挙げられる。
【0031】上述の塗布液をポリエステルフィルムに塗
布する方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1
979年発行、「コーティング方式」に示されるよう
な、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッ
ドコーター、エアドクターコーターあるいはこれら以外
の塗布装置を用いることができる。塗布液を塗布後乾燥
する際のフィルムの到達温度の上限は、好ましくは最終
的に得られるフィルムの(Tg+20℃)であり、さら
に好ましくは(Tg+10℃)であり、最も好ましくは
(Tg+5℃)である。なお、Tgはフィルムのガラス
転移温度を意味する。フィルムの到達温度が高すぎる
と、フィルムの製膜性が悪化する。
【0032】このようにして得られる塗布層の厚さは、
それぞれの層に関して最終製品における乾燥固形分とし
て、好ましくは0.005〜1.0μmの範囲であり、
さらに好ましくは0.01〜0.5μmの範囲であり、
最も好ましくは0.015〜0.2μmの範囲である。
塗布層の厚さは、薄くすることが好ましい。特に塗布層
厚みが1.0μmを超えるとブロッキング等の問題が生
ずる傾向がある。一方、塗布層の厚みが0.005μm
未満の場合には、所望の性能が得られないことがあり、
また塗布ムラや塗布ヌケが生じやすくなる傾向がある。
【0033】従来のポリエステルフィルム製造工程内塗
布法としては、縦方向に延伸された一軸延伸フィルムに
塗布液を塗布した後、適当な乾燥を施し、あるいは乾燥
を施さず一軸延伸フィルムを直ちに横方向に延伸し熱処
理を行う方法(以下従来工程内塗布法と略記)が一般的
であった。本発明では、未延伸ポリエステルフィルムの
少なくとも片面に帯電防止層を設け、その後、少なくと
も一方向に延伸し、次いで前記帯電防止層の少なくとも
一つの面の上に易接着層を設けることにより、インライ
ン2層塗布フィルムを得るところに特徴がある。このよ
うな構成を採用することで、従来にない帯電防止性かつ
易接着性のフィルムを安定して製造できる。すなわち、
以下のような利点がある。
【0034】従来混合凝集してしまうような帯電防止
剤と易接着性を示すバインダーの組み合わせを2層に分
割することで使用できるようになった。すなわち、本発
明では、塗布剤を、帯電防止剤を含む塗布剤と、接着性
を発揮する塗布剤とに分割することができ、塗料として
安定した塗布剤を使用できるようになった。 従来2層塗布するには、少なくとも第2層目を設ける
ためにオフラインコーティングを利用せざるを得なかっ
た。この場合は、塗布、乾燥行程を別途設けて実施する
ことになる。そこで、高いクリーン度を要求される場所
を別途建設する必要性、コーター、ドライヤ−を別途導
入する必要性、乾燥時のフィルム物性の変化といった問
題を生ずる。本発明では、コーター、ドライヤーこそ導
入する必要があるものの、新たに高いクリーン度のコー
ターの建物を建設する必要はない。またフィルム物性は
通常の二軸延伸ポリエステルフィルムの範囲を自由に採
用し得る。すなわち、オフラインコーティングでは達成
できないフィルムである。そして、フィルム製造と同時
に塗布フィルムができるというインラインコーティング
の利点は大きい。
【0035】同じ化合物をインラインコーティングと
オフラインコーティングした場合、基材との接着力はイ
ンラインコーティングの方が優れている。すなわち第2
層目をオフラインコーティングでも設けた場合より接着
性に優れる。この点でも、本発明のフィルムは従来にな
いフィルムである。 帯電防止剤を含む塗料を低速度で塗布することがで
き、塗布面状の改良につながる。一般に帯電防止剤は界
面活性剤の性質を示したり、水溶性高分子であったりす
る。このため、帯電防止剤を含む塗布剤は高粘度であっ
たり、泡立ちやすい場合が多い。そこで高速度できれい
に塗布することが難しい。すなわち、塗布スジや塗布ム
ラが発生しやすい。この点、本発明のフィルムは、帯電
防止剤を含む塗布剤を低速度で塗布するので、上記の欠
陥が少ないフィルムである。次に、本発明のフィルムの
製造法を具体的に説明する。
【0036】ポリエステル原料を、押出装置に供給し、
ポリエステルの融点以上の温度で溶融押出してスリット
状のダイから溶融シートとして押し出す。次に、溶融シ
ートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度
になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未延伸シ
ートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるた
め、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要が
あり、本発明においては静電印加密着法および/または
液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0037】静電印加密着法とは、通常、シートの上面
側にシートの流れと直交する方向に線状電極を張り、当
該電極に約5〜10kVの直流電圧を印加することによ
りシートに静電荷を与え、ドラムとの密着性を向上させ
る方法である。また、液体塗布密着法とは、回転冷却ド
ラム表面の全体または一部(例えばシート両端部と接触
する部分のみ)に液体を均一に塗布することにより、ド
ラムとシートとの密着性を向上させる方法である。本発
明においては必要に応じ両者を併用してもよい。本発明
においてはこの段階で上述の帯電防止性塗布液を少なく
とも一つの面に塗布後乾燥処理を施す必要がある。
【0038】このようにして得られた塗布処理未延伸シ
ートをまず縦方向に延伸する。延伸温度範囲は70〜1
50℃、延伸倍率は2.5〜6倍の範囲とするのが好ま
しい。延伸は一段階または二段階以上で行うことができ
る。この後、先の帯電防止性塗布層の少なくとも一つの
面の上に易接着性層を塗布して設ける。次に横方向、す
なわち、縦方向と直交する方向に一軸配向フィルムを一
旦ガラス転移点以下に冷却するか、または冷却すること
なく例えば90〜150℃の温度範囲に予熱して、さら
にほぼ同温度の下で2.5〜5倍、好ましくは3.0〜
4.5倍に延伸を行い、二軸に配向したフィルムを得
る。
【0039】かくして得られたフィルムを、30%以内
の伸長、制限収縮、または定長下で1秒〜5分間熱処理
する。この際、熱処理工程内または熱処理後に縦方向に
10%以内、好ましくは5%以内の弛緩処理する等の手
法も、特に縦方向の熱収縮率を好適な範囲とするために
採用することができる。熱処理温度は、延伸条件にもよ
るが、好ましくは180〜250℃、さらに好ましくは
200〜230℃の範囲である。熱処理温度が250℃
を超えるとフィルム密度が高くなりすぎる傾向がある。
また、塗布層の一部が熱分解を生ずる場合もある。一
方、180℃未満では、フィルムの熱収縮率が大きくな
って好ましくない。なお、塗布剤のフィルムへの塗布
性、接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処
理や放電処理を施してもよい。また、本発明の二軸延伸
ポリエステルフィルムの塗布層の接着性、塗布性などを
改良するために、塗布層形成後に塗布層に放電処理を施
してもよい。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下
の実施例によって限定されるものではない。なお、実施
例中の評価方法は下記のとおりである。実施例および比
較例中、「部」とあるのは「重量部」を示す。 (1)ポリマーの極限粘度 [η] (dl/g) ポリマー1gをフェノール/テトラクロロエタン=50
/50(重量比)の混合溶媒100mlに溶解し、30
℃で測定した。 (2)面配向度(ΔP) アタゴ光学社製アッベ式屈折計を用い、フィルム面内の
屈折率の最大値nγ、それに直角の方向の屈折率nβ、
およびフィルム厚さ方向の屈折率nαを測定し、前述の
数式より面配向度ΔPを算出した。なお、屈折率の測定
は、ナトリウムD線を用い、23℃で行った。
【0041】(3)表面固有抵抗(ρs) 横川・ヒューレット・パッカード(株)の、内側電極5
0mm径、外側電極70mm径の同心円型電極である1
6008A(商品名)に23℃、50%RHの雰囲気下
で試料を設置し、100Vの電圧を印加し、同社の高抵
抗計である4329A(商品名)で試料の表面固有抵抗
を測定した。 (4)UV硬化インキとの接着性 東洋インキ製造(株)オフセット印刷インク”FDOL
藍APNロ”を、明製作所(株)製のオフセット印刷装
置であるRIテスター”RI−2”にて2μmの厚さと
なるように試料フィルム面に転写させ、これを、ウシオ
電機(株)UV照射装置”UVC−402/1HN:3
02/1MH”に通し、水銀灯出力80W/cm、ライ
ンスピード10m/分、ランプとフィルム間隔100m
mの条件でインクを硬化させた。これを直ちにセロテー
プ剥離試験にかけ、インクの接着性を評価した。
【0042】(5)セロテープ剥離試験 試料フィルムのインク層の上にニチバン(株)製”セロ
テープ”(18mm幅)を気泡の入らないよう7cmの
長さに貼り、この上を3kgの手動式荷重ロールにて一
定荷重をかけ密着させる。この後、試料フィルムを固定
し、セロテープの一端を1kgの錘に接続し、この錘が
45cmの距離自然落下した後に180度方向の剥離が
開始するようにして、剥離試験を行った。接着性は次の
5段階評価による。 評価5:セロテープ面側にインキが全く剥離しない 評価4:0%を超えて多く、かつ10%未満、インキが
セロテープ面側に剥離する 評価3:10%以上50%未満のインキがセロテープ面
側に剥離する 評価2:50%以上100未満のインキがセロテープ面
側に剥離する 評価1:100%インキがセロハンテープ面側に剥離す
【0043】(塗布剤の調整)下記表1に示す水性塗料
原液を配合し、下記表2に示す組成の水性塗料を調整し
た。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】比較例1 極限粘度0.65であり、粒子径0.1μmのSiO2
を0.05重量%含むポリエチレンテレフタレートを常
法により乾燥して押出機に供給し、290℃で溶融して
シート状に押出し、静電印加密着法を用いて冷却ロール
上で急冷し、無定形シートとした。未延伸シートの△P
は0.000であった。得られた未延伸シートをロール
延伸法を用いて縦方向に85℃で2.5倍延伸した後、
さらに95℃で1.3倍延伸した。一軸延伸フィルムに
次いでフィルムをテンターに導いて、横方向に120℃
で4.2倍延伸し、225℃で熱処理を行い、最終生産
速度140m/分で、基材ポリエステルフィルムの厚さ
38μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得ら
れたフィルムきわめて透明性に優れたフィルムであっ
た。しかしながら、インク接着性、帯電防止性にかけて
いる。フィルムの表面固有抵抗、インク接着性を下記表
3に示す。
【0049】比較例2〜8 比較例1と同様の方法にて未延伸シートを得た。このフ
ィルムの片面に、表3に示す組成の塗布剤を塗布した。
表3の「塗布I」とは、未延伸シートへの塗布を示し、
「塗布II」とは、縦延伸後横延伸前にフィルムへの塗布
を示す。いずれも、塗布厚さは、二軸延伸された後のポ
リエステルフィルム上での塗膜の乾燥固形分としての厚
さを示す。塗布は以下の例もすべてロッドコーターによ
った。この後、このフィルムに70℃の温風を吹き付
け、塗布液層を乾燥した。その後、比較例1と同様にし
て、シートをロール延伸法を用いて縦延伸、テンターに
より横延伸、熱処理を実施して二軸延伸フィルムを得
た。表面固有抵抗、インク接着性は二軸延伸後のフィル
ムについての測定値である。いずれも帯電防止性に優れ
たフィルムである。しかしインクとの接着性は不十分で
あった。これは、帯電防止剤が表面にブリードアウトし
接着性を阻害したり、あるいは強い接着性を示すバイン
ダーを使用することができない(比較例14参照)ため
と推測される。比較例6では熱固定時に帯電防止剤の熱
分解を生じ、表面固有抵抗値は比較例2〜8の中ではや
や高い。また、比較例7、8は高透明フィルムにも関わ
らず、得られたフィルムの傷入りが少ない。
【0050】比較例9〜12 比較例1と同様の方法にてフィルムを作成し、その行程
中、縦延伸後横延伸前に表3の組成の塗料を塗布した。
そのまま、テンターに導き乾燥させ、横延伸、熱処理を
実施し、二軸延伸フィルムを得た。フィルムの特性は表
3に示すとおりである。良好なインク接着性を示すが、
帯電防止性に劣る。
【0051】実施例1〜7 比較例1と同様の方法にて未延伸シートを得た。このフ
ィルムの片面に、表3の「塗布I」に示す水性塗料を塗
布した。この後フィルムに70℃の温風を吹き付け、塗
布液層を乾燥した。その後、比較例1と同様にして、シ
ートをロール延伸法を用いて縦延伸した。そしてテンタ
ーにより横延伸する前に、表3の「塗布II」に示す水性
塗料を、上記「塗布I」に示す塗膜の上に塗布した。直
ちにテンターに導き、乾燥、横延伸、熱処理を実施して
二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの
特性を表3に示す。いずれも帯電防止性と接着性を満た
す優れたフィルムである。また実施例6、7ではフィル
ムへの傷入りが比較的少ない。
【0052】比較例13 実施例1で使用した2種類の水性塗料(S1,T1)を
混合してT5とし、これを比較例9と同様にして塗布し
た。ただし塗布厚さは二層分の厚さになるようにした。
得られたフィルムの帯電防止性は優れるもののインク接
着性に劣る。帯電防止剤が表層にブリードアウトするも
のと推測される。 比較例14 実施例4で使用した2種類の水性塗料(S4、T1)を
混合し塗布を試みようとした。両者を混合すると直ちに
塗料の凝集沈降がみられ、とうてい塗布はできなかっ
た。
【0053】実施例8〜10 実施例1〜7に示す方法により、表3の実施例8〜10
の塗料を塗布し、二層塗布フィルムを得た。いずれも帯
電防止性と接着性を満たす優れたフィルムである。な
お、T1,T3,T4の水性塗料は主樹脂はそれぞれB
1,B3、B1である。しかしB1,B3は濡れ性が不
十分なので単独では塗布抜けを生じる。これを低減させ
るため、濡れ性の優れたB2を副樹脂として添加した。
【0054】比較例15 実施例4、8、9、10で使用している水性塗料S4
を、縦延伸終了後横延伸前のフィルムに塗布した。しか
し塗料の粘度が高いためきれいに塗布できず、塗布スジ
が発生した。これに対して、実施例4、8、9、10で
は縦延伸前の低速度で塗布するため、S4は塗布スジ無
く塗布できた。
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
【表7】
【0058】
【発明の効果】本発明のフィルム製造方法は、平坦なポ
リエステルフィルムを製造する際の傷入りを低減させ、
かつ、高速度で塗布フィルムを製造できる点で、例えば
高透明フィルム、あるいは磁気記録媒体用フィルムを安
定して製造でき、その工業的価値は高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/36 B32B 27/36 // B29K 67:00 B29L 9:00 C08L 67:00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)未延伸ポリエステルフィルムの少
    なくとも片面に帯電防止性塗布剤を塗布、乾燥して塗布
    層を形成し、(2)その後、少なくとも一方向に延伸
    し、(3)さらに前記塗布層の少なくとも1つの面の上
    に、塗布剤または印刷剤組成物との接着性が向上する易
    接着層を設けることにより製造されることを特徴とする
    塗布フィルム。
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