JP3826332B2 - 塗布フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、帯電防止性に優れた新規な塗布層を持つ延伸ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
延伸ポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、平面性、平滑性、耐熱性、耐薬品性、透明性等において優れた特性を示すことから、磁気記録媒体のベースフィルム、製版用フィルム、磁気カード、合成紙をはじめとして幅広い用途に使用されている。
【0003】
しかしながら、このように優れた特性をもつ反面、プラスチックフィルム共通の問題として静電気を帯びやすく、フィルム加工時あるいは加工製品の走行性不良や汚れやすい等の問題を生ずる。
上記のような問題点を解決する方法の一つに、ポリエステルフィルムの表面に塗布層を設けることが知られている。特に、フィルム製造工程中で塗布する方法が経済的かつ特性上も興味深い。この手法はインラインコーティングとも言われている。典型的な例としては、縦延伸後横延伸前に塗布を行い、横延伸および熱固定する。塗布される化合物としては、いわゆる帯電防止剤が挙げられる。しかし、これらの多くは低分子量の化合物であり、塗布されたフィルム同士が張り付く、塗布されたフィルムがべとつく、塗布乾燥時に臭気が著しい、といった問題点がある。
【0004】
この改良のために、高分子帯電防止剤を塗布する例が提案されている。しかし、理由は定かではないが、高分子帯電防止剤を用いても、強い帯電防止性を発揮させることが難しい。強い帯電防止性を剤を発揮する帯電防止剤としてはカチオン系帯電防止剤が好ましい。例えば特開昭54−96590号公報にこの例がある。しかしながら、これを上記のインラインコーティングに適用すると、横延伸および熱固定の工程で特に高温にさらされ、帯電防止剤の分解を生じる。その結果、工程中で著しい臭気が発生したり、帯電防止性が弱まったりする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、帯電防止性に優れたポリエステルフィルムを提供することを解決課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の化合物を塗布することで、上記の課題が容易に解 決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、少なくともビニルイミダゾリウム塩とビニルピロリドンとを含むモノマー群から合成された共重合体を含有してなる塗布層を有することを特徴とする塗布フィルムに存する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフィルムを構成するポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸またはそのエステルとグリコールとを主たる出発原料として得られるポリエステルであり、繰り返し構造単位の70%以上がエチレンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフタレート単位または1,4−シクロヘキサンテレフタレートを有するポリエステルを指す。そして、上記の範囲を逸脱しない条件下であれば、他の成分を含有していてもよい。
【0008】
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸以外に、例えば、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシエトキシ安息香酸等)等の一種または二種以上を用いることができる。グリコール成分としては、エチレングリコール以外に、例えば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等の一種または二種以上を用いることができる。
【0009】
かかるポリエステルの極限粘度は、通常0.45以上、好ましくは0.50〜1.0、さらに好ましくは0.52〜0.80の範囲である。極限粘度が0.45未満ではフィルム製造時の生産性が低下したり、フィルムの機械的強度が低下したりすることがある。一方、ポリマーの溶融押出安定性の点から、極限粘度は1.0を超えないことが好ましい。
【0010】
本発明のポリエステルフィルムは、フィルムに滑り性を与えて取扱い性を向上する目的で、ポリエステル中に粒子を含有させ、フィルム表面に適度な突起を形成させてもよい。かかる粒子の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子、およびポリエステル重合時に生成させる析出粒子を挙げることができる。
【0011】
本発明におけるフィルムに含有させる粒子の粒径と量は、その用途にもよるが、平均粒径は、好ましくは0.005〜5.0μm、さらに好ましくは0.01〜3.0μmの範囲である。平均粒径が5.0μmを超えるとフィルム表面が粗面化しすぎる傾向がある。また、薄いフィルムでは絶縁性が低下したりすることがある。さらに粒子がフィルム表面から脱落しやすくなり、フィルム使用時の「粉落ち」の原因となることがある。平均粒径が0.005μm未満では、この粒子による突起形成が不十分なため、滑り性改良効果が弱くなる傾向がある。すなわち、粒子を大量に添加する必要が生じ、その結果、フィルムの機械的特性が損なわれることがある。
【0012】
また、粒子含有量はポリエステルに対し、好ましくは0.0000〜30.0重量%であり、さらに好ましくは0.010〜20.0重量%である。粒子量が多くなるとフィルムの機械的特性が損なわれる。最低量はフィルムの使用用途により異なる。高透明フィルムでは少ないほど好ましく、適度な滑り性を与えるため含まれる粒子も少ないほど好ましい。磁気記録用途では滑り性は重要な特性であり、添加する粒子径にも依存するが、0.1重量%以上は必要である。また、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの白色顔料を添加して製造する白色フィルムでは、2重量%以上は必要である。ただし、これは遮光率の高いフィルムを製造する場合であり、半透明のフィルムではこの下限はより小さくてもよい。
【0013】
フィルム中に、かかる粒子を2種類以上配合してもよく、同種の粒子で粒径の異なるものを配合してもよい。いずれにしても、フィルムに含有する粒子全体の平均粒径、および合計の含有量が上記した範囲を満足することが好ましい。
粒子を含むポリエステルの製造に際して、粒子はポリエステルの合成反応中に添加してもポリエステルに直接添加してもよい。合成反応中に添加する場合は、粒子をエチレングリコール等に分散させたスラリーとして、ポリエステル合成の任意の段階で添加する方法が好ましい。一方、ポリエステルに直接添加する場合は、乾燥した粒子として、または、水あるいは沸点が200℃以下の有機溶媒中に分散したスラリーとして、2軸混練押出機を用いてポリエステルに添加混合する方法が好ましい。なお、添加する粒子は、必要に応じ、事前に解砕、分散、分級、濾過等の処理を施しておいてもよい。
【0014】
粒子の含有量を調節する方法としては、上記した方法で高濃度に粒子を含有するマスター原料を作っておき、それを製膜時に、実質的に粒子を含有しない原料で希釈して粒子含有量を調節する方法が有効である。
また、上記の突起形成剤以外の添加剤として、必要に応じて、帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、着色剤(染料、顔料)、光線遮断剤、紫外線吸収剤などを含有していてもよい。
【0015】
本発明のポリエステルフィルムは、最終的に得られる特性が本発明の用件を満足する限り、多層構造となっていても構わない。例えば、共押出し積層フィルムであってもよい。この場合、ベースフィルムに関する上記の記述は、最表面層のポリエステルに適用される。それ以外の内層のフィルムは、いかなるポリエステル、プラスチック、紙、布でも差し支えない。例えば、多数の微小気泡を含有している発砲フィルム等が挙げられる。
【0016】
二軸延伸ポリエステルフィルムの製造は、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれかで実施されるが、特に逐次二軸延伸が多く行われている。すなわち、溶融押出したポリエステルを冷却ドラムの上で冷却して未延伸フィルムを作成し、これを周速差のある一群のロールで延伸(縦延伸)し、この後、フィルムの長手方向と垂直な方向にクリップで保持しつつ延伸(横延伸)する。この変形として、縦延伸、横延伸を何回かに分割して実施してもよい。また分割しその一部づつを交互に実施してもよい。例えば、高強度フィルムを再延伸法で製造する方法がこれに相当する。
【0017】
本発明におけるビニルイミダゾリウム塩の共重合体とは、例えば下記の繰り返し単位を分子中に少なくとも1つ含有する共重合体である。
【0018】
【化1】
Figure 0003826332
(上記式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は任意の置換基であり、例えば、水素原子、アルキル基、フェニル基、ベンジル基等であり、X- は任意のアニオンであり、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、アルキルスルホナート、ベンゼンスルホナート、CH3 OSO3 -等である)
共重合する他のモノマーは、共重合できる限りの任意のモノマー、マクロマーである。また、共重合の形式も限定されない。例えば、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体が挙げられる。例えば、他のポリマー存在下でビニルイミダゾリウム塩を重合または共重合すると、他のポリマーへのグラフト共重合体が一部形成される場合がある。この共重合体も上記共重合体の例である。
【0019】
共重合体中の、上記のビニルイミダゾリウム塩繰り返し単位の含有量は、1重量%以上100重量%未満が好ましい。さらに好ましくは、5重量%以上100重量%未満であり、最もこのましくは、10重量%以上100重量%未満である。含有率が小さいと十分な帯電防止性が発揮されない。
本発明における塗布層には、上記ポリビニルイミダゾリウム塩以外の化合物を含有していてもよい。例えば、いわゆるバインダー、架橋剤、有機粒子、無機粒子、ワックス、界面活性剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、発泡剤、染料、顔料等である。塗布層中の、上記ポリビニルイミダゾリウム塩以外の化合物の量には、特に制限はないが、好ましくは99重量%以下、さらに好ましくは95重量%以下、最も好ましくは90重量%以下である。
【0020】
本発明における塗布剤は、安全衛生上、水を媒体とする塗布剤であることが望ましいが、本発明の要旨を越えない範囲で、かつ水に溶解する範囲で、有機溶剤を含有してもよい。
本発明における塗布剤の固形分濃度には特に制限はないが、好ましくは0.4〜65重量%、さらに好ましくは1〜30重量%、最も好ましくは2〜20重量%である。
【0021】
上述の塗布液をポリエステルフィルムに塗布する方法としては、例えば、原崎勇次著、(株)総合技術センター、1990年発行、「コーティング装置と操作技術入門」に示される様な塗布装置を用いることができる。例えば、正回転ロールコータ、リバースロールコータ、グラビアコータ、ナイフコータ、ブレードコータ、ロッドコータ、エアドクタコータ、カーテンコータ、ファウンテンコータ、キスコータ、キスロールコータ、ビードコータ、浸漬コータ、スクリーンコーティング、キャストコーティング、スプレイコーティング、含浸機、LB法のようなコータまたはコーティング方式を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0022】
なお、塗布剤のフィルムへの塗布性、接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電処理を施してもよい。また、本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの塗布層の接着性、塗布性などを改良するために、塗布層形成後に塗布層に放電処理を施してもよい。
塗布層の厚さは、それぞれの層に関して最終製品における乾燥固形分として、好ましくは0.005〜10.0μmの範囲であり、さらに好ましくは0.01〜2.0μmの範囲であり、最も好ましくは0.015〜0.2μmの範囲である。塗布層の厚さは、薄くすることが好ましい。特に塗布層厚みが10.0μmを超えるとブロッキング等の問題が顕著になるので好ましくない。一方、塗布層の厚みが0.005μm未満の場合には、所望の性能が得られないばかりでなく、塗布ムラや塗布ヌケが生じやすくなる傾向がある。
【0023】
塗布工程は、ポリエステルフィルム製造工程中の任意の場所で実施可能である。すなわち、未延伸フィルムに塗布した後、一軸または二軸延伸フィルムに加工してもよい。一軸延伸フィルムに塗布しそのまま一軸延伸フィルムとしてもよいし、二軸延伸フィルムとしてもよい。二軸延伸フィルムに塗布してもよい。また、ポリエステルフィルム製造工程外でもよい。
【0024】
ただし、ポリエステルフィルム製造工程中で塗布した方が、塗布欠陥の少ない製品が得られる。これは、ポリエステルフィルム製造工程外で塗布をする場合は、その分巻き出し巻き取り工程が増えるので、外部からの汚染にさらされるからである。これに対して、ポリエステルフィルム製造工程内で塗布すると、このような汚染にさらされることが減るだけでなく、ポリエステルフィルム製造工程は通常高い清浄度を保っているので、塗布時に欠陥を生じることが少ない。
【0025】
さらに、テンター前で塗布すると、乾燥炉の増設を低減または削除できるので、非常に好ましい。すなわち、本発明の典型的な実施態様は、縦(長手)方向に延伸された一軸延伸フィルムに、上記水系塗布剤を塗布し、乾燥、横延伸、熱固定、巻き取りの工程に従う方法である。
必要に応じて、再縦延伸、弛緩処理を実施してもよい。塗布剤の乾燥は、ポリエステルフィルムの横延伸前の予熱時または横延伸時に行うことが好ましい。このほかに、同様の例としては、未延伸フィルムに塗布後テンター内で同時二軸延伸する、未延伸フィルムに塗布後テンター内で一軸延伸する例が挙げられる。
【0026】
本発明の塗布層は、単層であっても多層であってもよいし、多層中の単層または複層として設けられてもよい。
次に、本発明のフィルムの典型的な製造法を、より具体的に説明する。
ポリエステル原料を、押出装置に供給し、ポリエステルの融点以上の温度で溶融押出してスリット状のダイから溶融シートとして押し出す。次に、溶融シートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未延伸シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0027】
このようにして得られた塗布処理未延伸シートをまず縦方向に延伸する。延伸温度範囲は70〜150℃、延伸倍率は2.5〜6倍の範囲とするのが好ましい。延伸は一段階または二段階以上で行うことができる。
本発明においては、任意の段階で上述の塗布液を少なくとも一つの面に塗布後乾燥処理を施すことができるが、最も好ましいには、この縦延伸後横延伸前である。次に横方向、すなわち、縦方向と直交する方向に一軸配向フィルムを一旦ガラス転移点以下に冷却するか、または冷却することなく例えば90〜150℃の温度範囲に予熱して、さらにほぼ同温度の下で2.5〜5倍、好ましくは3.0〜4.5倍に延伸を行い、二軸に配向したフィルムを得る。必要に応じて予熱を補強してもよい。
【0028】
かくして得られたフィルムを、30%以内の伸長、制限収縮、または定長下で1秒〜5分間熱処理する。この際、熱処理工程内または熱処理後に縦方向に10%以内、好ましくは5%以内の弛緩処理する等の手法も、特に縦方向の熱収縮率を好適な範囲とするために採用することができる。熱処理温度は、延伸条件にもよるが、好ましくは180〜250℃、さらに好ましくは200〜230℃の範囲である。熱処理温度が250℃を超えるとフィルム密度が高くなりすぎる傾向がある。また、塗布層の一部が熱分解を生ずる場合がある。一方、180℃未満ではフィルムの熱収縮率が大きくなって好ましくない。
【0029】
本発明のフィルムは、帯電防止性に優れた塗膜を有する。透明性は、塗布層の配合により変わる。したがって、透明性を要求される用途にも、あるいは半透明、白濁(例えばマット調)した塗膜を要求される用途にも、好適に使用される。なお透明な塗膜は、半透明、不透明のフィルムに対しても、価値が高い。半透明、不透明のフィルムには塗膜の透明性は不要と解釈される場合もあるが、必ずしもそうではない。塗膜の透明性は、塗膜の光沢と関連しており、白濁した塗膜は光沢を低下させる。すなわち、ベースフィルムの光沢を保持したまま帯電防止性を付与できることは、全てのポリエステルフィルムにとって価値の高いことだからである。同様に、半透明、白濁した塗膜は、半透明、不透明のフィルムのみならず、透明フィルムに対しても価値がある。例えば、有る程度の透明性を保ちつつ表面を艶消しにする場合、透明フィルムへ白濁したマット調の塗膜を設けると、これを達成することができる。半透明、不透明のフィルムへ透明な塗膜を設けて同様の効果が達成できる場合もある。たとえそのような場合でも、前者の構成の価値は高い。その理由は、半透明、不透明なフィルムはフィラーや着色剤等の添加剤を多量に使用しており、その分価格が高くなるからである。
【0030】
また、本発明の塗布層は、抗菌作用があり、日常生活に使用されるフィルムとして価値が高い。例えば、包装用フィルム、医療用包装フィルム、カード用フィルム、OHP用フィルム、合成紙、磁気テープ、等である。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中の評価方法は下記のとおりである。実施例および比較例中、「部」とあるのは「重量部」を示す。
(1)ポリマーの極限粘度 [η] (dl/g)
ポリマー1gをフェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlに溶解し、30℃で測定した。
(2)表面固有抵抗(ρs)
横川・ヒューレット・パッカード(株)の、内側電極50mm径、外側電極70mm径の同心円型電極である16008A(商品名)に23℃、50%RHの雰囲気下で試料を設置し、100Vの電圧を印加し、同社の高抵抗計である4329A(商品名)で試料の表面固有抵抗を測定した。単位はΩ。
1×1014Ωより小さいことが望ましい。
(塗布剤の調整)
下記表1に示す水性塗料原液を配合し、下記表2に示す組成の水性塗料を調整した。
【0032】
比較例1
極限粘度0.65であり、粒子径1.5μのSiO2 を0.005重量%含むポリエチレンテレフタレートを常法により乾燥して押出機に供給し、290℃で溶融してシート状に押出し、静電印加密着法を用いて冷却ロール上で急冷し、無定形シートとした。得られた未延伸シートをロール延伸法を用いて縦方向に85℃で2.5倍延伸した後、さらに95℃で1.3倍縦方向に延伸した。得られた一軸延伸フィルムをテンターに導いて、横方向に120℃で4.0倍延伸し、235℃で熱処理を行い、基材ポリエステルフィルムの厚さ50μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムきわめて透明性に優れた平坦なフィルムであった。しかしながら、帯電防止性に欠けている。フィルムの透明性、表面固有抵抗を下記表3に示す。
【0033】
実施例1〜4
比較例1と同様の方法にて一軸延伸フィルムを得た。このフィルムの片面に、表2に示す組成の塗布剤を塗布した。なお、表2に使用した塗布剤原料は表1に示すとおりであった。その後、比較例1と同様に本フィルムをテンターに導き、テンターにより乾燥、横延伸、熱処理を実施して二軸延伸フィルムを得た。透明性、表面固有抵抗を表3に示す。透明性、帯電防止性に優れたフィルムであった。 実施例5〜8
比較例1と同様の方法にて一軸延伸フィルムを得た。このフィルムの片面に、表2に示す組成の塗布剤を塗布した。なお、表2に使用した塗布剤原料は表1に示すとおりであった。その後、比較例1と同様に本フィルムをテンターに導き、テンターにより乾燥、横延伸、熱処理を実施して二軸延伸フィルムを得た。透明性、表面固有抵抗を表3に示す。塗膜には細かい亀裂があり、白濁した外観である。マット調であり、かつ帯電防止性に優れたフィルムであった。
【0034】
比較例2
実施例1と同様にして、表2に示す組成の塗布剤を塗布し、フィルムを得た。得られたフィルムは透明性に優れるものの、表面固有抵抗はさほど低くない。テンター内部でアミン臭があり、塗布層の熱分解が生じていると考えられた。
【0035】
【表1】
Figure 0003826332
【0036】
【表2】
Figure 0003826332
【0037】
【表3】
Figure 0003826332
【0038】
【表4】
Figure 0003826332
【0039】
【発明の効果】
本発明のフィルムは、新規な塗布層をもち、帯電防止性に優れたポリエステルフィルムであり、その工業的価値は高い。

Claims (3)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、少なくともビニルイミダゾリウム塩とビニルピロリドンとを含むモノマー群から合成された共重合体を含有してなる塗布層を有することを特徴とする塗布フィルム。
  2. 塗布層がポリエステルフィルムの製造工程中で設けられたものであることを特徴とする請求項1記載の塗布フィルム。
  3. 塗布層が少なくとも一方向に延伸されていることを特徴とする請求項記載の塗布フィルム。
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