JPH1134265A - 塗布フィルム - Google Patents

塗布フィルム

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JPH1134265A
JPH1134265A JP19096697A JP19096697A JPH1134265A JP H1134265 A JPH1134265 A JP H1134265A JP 19096697 A JP19096697 A JP 19096697A JP 19096697 A JP19096697 A JP 19096697A JP H1134265 A JPH1134265 A JP H1134265A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 帯電防止性に優れたポリエステルフィルムを
提供する。 【解決手段】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
に、ビニルイミダゾリウム塩の共重合体を含有してなる
塗布層を有することを特徴とする塗布フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、帯電防止性に優れた新
規な塗布層を持つ延伸ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】延伸ポリエステルフィルムは、機械的強
度、寸法安定性、平面性、平滑性、耐熱性、耐薬品性、
透明性等において優れた特性を示すことから、磁気記録
媒体のベースフィルム、製版用フィルム、磁気カード、
合成紙をはじめとして幅広い用途に使用されている。
【0003】しかしながら、このように優れた特性をも
つ反面、プラスチックフィルム共通の問題として静電気
を帯びやすく、フィルム加工時あるいは加工製品の走行
性不良や汚れやすい等の問題を生ずる。上記のような問
題点を解決する方法の一つに、ポリエステルフィルムの
表面に塗布層を設けることが知られている。特に、フィ
ルム製造工程中で塗布する方法が経済的かつ特性上も興
味深い。この手法はインラインコーティングとも言われ
ている。典型的な例としては、縦延伸後横延伸前に塗布
を行い、横延伸および熱固定する。塗布される化合物と
しては、いわゆる帯電防止剤が挙げられる。しかし、こ
れらの多くは低分子量の化合物であり、塗布されたフィ
ルム同士が張り付く、塗布されたフィルムがべとつく、
塗布乾燥時に臭気が著しい、といった問題点がある。
【0004】この改良のために、高分子帯電防止剤を塗
布する例が提案されている。しかし、理由は定かではな
いが、高分子帯電防止剤を用いても、強い帯電防止性を
発揮させることが難しい。強い帯電防止性を剤を発揮す
る帯電防止剤としてはカチオン系帯電防止剤が好まし
い。例えば特開昭54−96590号公報にこの例があ
る。しかしながら、これを上記のインラインコーティン
グに適用すると、横延伸および熱固定の工程で特に高温
にさらされ、帯電防止剤の分解を生じる。その結果、工
程中で著しい臭気が発生したり、帯電防止性が弱まった
りする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、帯電防止性
に優れたポリエステルフィルムを提供することを解決課
題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
に鑑み鋭意検討した結果、特定の化合物を塗布すること
で、上記の課題が容易に解決できることを見いだし、本
発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨は、
ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ビニルイミ
ダゾリウム塩の共重合体を含有してなる塗布層を有する
ことを特徴とする塗布フィルムに存する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフィルムを構成するポリエステルとは、芳香族
ジカルボン酸またはそのエステルとグリコールとを主た
る出発原料として得られるポリエステルであり、繰り返
し構造単位の70%以上がエチレンテレフタレート単位
またはエチレン−2,6−ナフタレート単位または1,
4−シクロヘキサンテレフタレートを有するポリエステ
ルを指す。そして、上記の範囲を逸脱しない条件下であ
れば、他の成分を含有していてもよい。
【0008】芳香族ジカルボン酸成分としては、例え
ば、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン
酸以外に、例えば、イソフタル酸、フタル酸、アジピン
酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキ
シエトキシ安息香酸等)等の一種または二種以上を用い
ることができる。グリコール成分としては、エチレング
リコール以外に、例えば、ジエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ポリア
ルキレングリコール等の一種または二種以上を用いるこ
とができる。
【0009】かかるポリエステルの極限粘度は、通常
0.45以上、好ましくは0.50〜1.0、さらに好
ましくは0.52〜0.80の範囲である。極限粘度が
0.45未満ではフィルム製造時の生産性が低下した
り、フィルムの機械的強度が低下したりすることがあ
る。一方、ポリマーの溶融押出安定性の点から、極限粘
度は1.0を超えないことが好ましい。
【0010】本発明のポリエステルフィルムは、フィル
ムに滑り性を与えて取扱い性を向上する目的で、ポリエ
ステル中に粒子を含有させ、フィルム表面に適度な突起
を形成させてもよい。かかる粒子の例としては、炭酸カ
ルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タル
ク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カ
ルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデ
ン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム
等の有機粒子、およびポリエステル重合時に生成させる
析出粒子を挙げることができる。
【0011】本発明におけるフィルムに含有させる粒子
の粒径と量は、その用途にもよるが、平均粒径は、好ま
しくは0.005〜5.0μm、さらに好ましくは0.
01〜3.0μmの範囲である。平均粒径が5.0μm
を超えるとフィルム表面が粗面化しすぎる傾向がある。
また、薄いフィルムでは絶縁性が低下したりすることが
ある。さらに粒子がフィルム表面から脱落しやすくな
り、フィルム使用時の「粉落ち」の原因となることがあ
る。平均粒径が0.005μm未満では、この粒子によ
る突起形成が不十分なため、滑り性改良効果が弱くなる
傾向がある。すなわち、粒子を大量に添加する必要が生
じ、その結果、フィルムの機械的特性が損なわれること
がある。
【0012】また、粒子含有量はポリエステルに対し、
好ましくは0.0000〜30.0重量%であり、さら
に好ましくは0.010〜20.0重量%である。粒子
量が多くなるとフィルムの機械的特性が損なわれる。最
低量はフィルムの使用用途により異なる。高透明フィル
ムでは少ないほど好ましく、適度な滑り性を与えるため
含まれる粒子も少ないほど好ましい。磁気記録用途では
滑り性は重要な特性であり、添加する粒子径にも依存す
るが、0.1重量%以上は必要である。また、炭酸カル
シウム、酸化チタンなどの白色顔料を添加して製造する
白色フィルムでは、2重量%以上は必要である。ただ
し、これは遮光率の高いフィルムを製造する場合であ
り、半透明のフィルムではこの下限はより小さくてもよ
い。
【0013】フィルム中に、かかる粒子を2種類以上配
合してもよく、同種の粒子で粒径の異なるものを配合し
てもよい。いずれにしても、フィルムに含有する粒子全
体の平均粒径、および合計の含有量が上記した範囲を満
足することが好ましい。粒子を含むポリエステルの製造
に際して、粒子はポリエステルの合成反応中に添加して
もポリエステルに直接添加してもよい。合成反応中に添
加する場合は、粒子をエチレングリコール等に分散させ
たスラリーとして、ポリエステル合成の任意の段階で添
加する方法が好ましい。一方、ポリエステルに直接添加
する場合は、乾燥した粒子として、または、水あるいは
沸点が200℃以下の有機溶媒中に分散したスラリーと
して、2軸混練押出機を用いてポリエステルに添加混合
する方法が好ましい。なお、添加する粒子は、必要に応
じ、事前に解砕、分散、分級、濾過等の処理を施してお
いてもよい。
【0014】粒子の含有量を調節する方法としては、上
記した方法で高濃度に粒子を含有するマスター原料を作
っておき、それを製膜時に、実質的に粒子を含有しない
原料で希釈して粒子含有量を調節する方法が有効であ
る。また、上記の突起形成剤以外の添加剤として、必要
に応じて、帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロ
ッキング防止剤、酸化防止剤、着色剤(染料、顔料)、
光線遮断剤、紫外線吸収剤などを含有していてもよい。
【0015】本発明のポリエステルフィルムは、最終的
に得られる特性が本発明の用件を満足する限り、多層構
造となっていても構わない。例えば、共押出し積層フィ
ルムであってもよい。この場合、ベースフィルムに関す
る上記の記述は、最表面層のポリエステルに適用され
る。それ以外の内層のフィルムは、いかなるポリエステ
ル、プラスチック、紙、布でも差し支えない。例えば、
多数の微小気泡を含有している発砲フィルム等が挙げら
れる。
【0016】二軸延伸ポリエステルフィルムの製造は、
同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれかで実施される
が、特に逐次二軸延伸が多く行われている。すなわち、
溶融押出したポリエステルを冷却ドラムの上で冷却して
未延伸フィルムを作成し、これを周速差のある一群のロ
ールで延伸(縦延伸)し、この後、フィルムの長手方向
と垂直な方向にクリップで保持しつつ延伸(横延伸)す
る。この変形として、縦延伸、横延伸を何回かに分割し
て実施してもよい。また分割しその一部づつを交互に実
施してもよい。例えば、高強度フィルムを再延伸法で製
造する方法がこれに相当する。
【0017】本発明におけるビニルイミダゾリウム塩の
共重合体とは、例えば下記の繰り返し単位を分子中に少
なくとも1つ含有する共重合体である。
【0018】
【化1】−(−CH2 −CH−)−|N/ \(R3
−C C−(R4 )‖ ‖(R2 )−C−−−
+ -|R1(上記式中、R1 、R2 、R3 および
4 は任意の置換基であり、例えば、水素原子、アルキ
ル基、フェニル基、ベンジル基等であり、X- は任意の
アニオンであり、例えば、塩化物イオン、臭化物イオ
ン、アルキルスルホナート、ベンゼンスルホナート、C
3 OSO3 -等である) 共重合する他のモノマーは、共重合できる限りの任意の
モノマー、マクロマーである。また、共重合の形式も限
定されない。例えば、ランダム共重合体、交互共重合
体、ブロック共重合体、グラフト共重合体が挙げられ
る。例えば、他のポリマー存在下でビニルイミダゾリウ
ム塩を重合または共重合すると、他のポリマーへのグラ
フト共重合体が一部形成される場合がある。この共重合
体も上記共重合体の例である。
【0019】共重合体中の、上記のビニルイミダゾリウ
ム塩繰り返し単位の含有量は、1重量%以上100重量
%未満が好ましい。さらに好ましくは、5重量%以上1
00重量%未満であり、最もこのましくは、10重量%
以上100重量%未満である。含有率が小さいと十分な
帯電防止性が発揮されない。本発明における塗布層に
は、上記ポリビニルイミダゾリウム塩以外の化合物を含
有していてもよい。例えば、いわゆるバインダー、架橋
剤、有機粒子、無機粒子、ワックス、界面活性剤、消泡
剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線防止
剤、発泡剤、染料、顔料等である。塗布層中の、上記ポ
リビニルイミダゾリウム塩以外の化合物の量には、特に
制限はないが、好ましくは99重量%以下、さらに好ま
しくは95重量%以下、最も好ましくは90重量%以下
である。
【0020】本発明における塗布剤は、安全衛生上、水
を媒体とする塗布剤であることが望ましいが、本発明の
要旨を越えない範囲で、かつ水に溶解する範囲で、有機
溶剤を含有してもよい。本発明における塗布剤の固形分
濃度には特に制限はないが、好ましくは0.4〜65重
量%、さらに好ましくは1〜30重量%、最も好ましく
は2〜20重量%である。
【0021】上述の塗布液をポリエステルフィルムに塗
布する方法としては、例えば、原崎勇次著、(株)総合
技術センター、1990年発行、「コーティング装置と
操作技術入門」に示される様な塗布装置を用いることが
できる。例えば、正回転ロールコータ、リバースロール
コータ、グラビアコータ、ナイフコータ、ブレードコー
タ、ロッドコータ、エアドクタコータ、カーテンコー
タ、ファウンテンコータ、キスコータ、キスロールコー
タ、ビードコータ、浸漬コータ、スクリーンコーティン
グ、キャストコーティング、スプレイコーティング、含
浸機、LB法のようなコータまたはコーティング方式を
使用することができるが、これに限定されるものではな
い。
【0022】なお、塗布剤のフィルムへの塗布性、接着
性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電
処理を施してもよい。また、本発明の二軸延伸ポリエス
テルフィルムの塗布層の接着性、塗布性などを改良する
ために、塗布層形成後に塗布層に放電処理を施してもよ
い。塗布層の厚さは、それぞれの層に関して最終製品に
おける乾燥固形分として、好ましくは0.005〜1
0.0μmの範囲であり、さらに好ましくは0.01〜
2.0μmの範囲であり、最も好ましくは0.015〜
0.2μmの範囲である。塗布層の厚さは、薄くするこ
とが好ましい。特に塗布層厚みが10.0μmを超える
とブロッキング等の問題が顕著になるので好ましくな
い。一方、塗布層の厚みが0.005μm未満の場合に
は、所望の性能が得られないばかりでなく、塗布ムラや
塗布ヌケが生じやすくなる傾向がある。
【0023】塗布工程は、ポリエステルフィルム製造工
程中の任意の場所で実施可能である。すなわち、未延伸
フィルムに塗布した後、一軸または二軸延伸フィルムに
加工してもよい。一軸延伸フィルムに塗布しそのまま一
軸延伸フィルムとしてもよいし、二軸延伸フィルムとし
てもよい。二軸延伸フィルムに塗布してもよい。また、
ポリエステルフィルム製造工程外でもよい。
【0024】ただし、ポリエステルフィルム製造工程中
で塗布した方が、塗布欠陥の少ない製品が得られる。こ
れは、ポリエステルフィルム製造工程外で塗布をする場
合は、その分巻き出し巻き取り工程が増えるので、外部
からの汚染にさらされるからである。これに対して、ポ
リエステルフィルム製造工程内で塗布すると、このよう
な汚染にさらされることが減るだけでなく、ポリエステ
ルフィルム製造工程は通常高い清浄度を保っているの
で、塗布時に欠陥を生じることが少ない。
【0025】さらに、テンター前で塗布すると、乾燥炉
の増設を低減または削除できるので、非常に好ましい。
すなわち、本発明の典型的な実施態様は、縦(長手)方
向に延伸された一軸延伸フィルムに、上記水系塗布剤を
塗布し、乾燥、横延伸、熱固定、巻き取りの工程に従う
方法である。必要に応じて、再縦延伸、弛緩処理を実施
してもよい。塗布剤の乾燥は、ポリエステルフィルムの
横延伸前の予熱時または横延伸時に行うことが好まし
い。このほかに、同様の例としては、未延伸フィルムに
塗布後テンター内で同時二軸延伸する、未延伸フィルム
に塗布後テンター内で一軸延伸する例が挙げられる。
【0026】本発明の塗布層は、単層であっても多層で
あってもよいし、多層中の単層または複層として設けら
れてもよい。次に、本発明のフィルムの典型的な製造法
を、より具体的に説明する。ポリエステル原料を、押出
装置に供給し、ポリエステルの融点以上の温度で溶融押
出してスリット状のダイから溶融シートとして押し出
す。次に、溶融シートを、回転冷却ドラム上でガラス転
移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非
晶状態の未延伸シートを得る。この場合、シートの平面
性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着
性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加
密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用さ
れる。
【0027】このようにして得られた塗布処理未延伸シ
ートをまず縦方向に延伸する。延伸温度範囲は70〜1
50℃、延伸倍率は2.5〜6倍の範囲とするのが好ま
しい。延伸は一段階または二段階以上で行うことができ
る。本発明においては、任意の段階で上述の塗布液を少
なくとも一つの面に塗布後乾燥処理を施すことができる
が、最も好ましいには、この縦延伸後横延伸前である。
次に横方向、すなわち、縦方向と直交する方向に一軸配
向フィルムを一旦ガラス転移点以下に冷却するか、また
は冷却することなく例えば90〜150℃の温度範囲に
予熱して、さらにほぼ同温度の下で2.5〜5倍、好ま
しくは3.0〜4.5倍に延伸を行い、二軸に配向した
フィルムを得る。必要に応じて予熱を補強してもよい。
【0028】かくして得られたフィルムを、30%以内
の伸長、制限収縮、または定長下で1秒〜5分間熱処理
する。この際、熱処理工程内または熱処理後に縦方向に
10%以内、好ましくは5%以内の弛緩処理する等の手
法も、特に縦方向の熱収縮率を好適な範囲とするために
採用することができる。熱処理温度は、延伸条件にもよ
るが、好ましくは180〜250℃、さらに好ましくは
200〜230℃の範囲である。熱処理温度が250℃
を超えるとフィルム密度が高くなりすぎる傾向がある。
また、塗布層の一部が熱分解を生ずる場合がある。一
方、180℃未満ではフィルムの熱収縮率が大きくなっ
て好ましくない。
【0029】本発明のフィルムは、帯電防止性に優れた
塗膜を有する。透明性は、塗布層の配合により変わる。
したがって、透明性を要求される用途にも、あるいは半
透明、白濁(例えばマット調)した塗膜を要求される用
途にも、好適に使用される。なお透明な塗膜は、半透
明、不透明のフィルムに対しても、価値が高い。半透
明、不透明のフィルムには塗膜の透明性は不要と解釈さ
れる場合もあるが、必ずしもそうではない。塗膜の透明
性は、塗膜の光沢と関連しており、白濁した塗膜は光沢
を低下させる。すなわち、ベースフィルムの光沢を保持
したまま帯電防止性を付与できることは、全てのポリエ
ステルフィルムにとって価値の高いことだからである。
同様に、半透明、白濁した塗膜は、半透明、不透明のフ
ィルムのみならず、透明フィルムに対しても価値があ
る。例えば、有る程度の透明性を保ちつつ表面を艶消し
にする場合、透明フィルムへ白濁したマット調の塗膜を
設けると、これを達成することができる。半透明、不透
明のフィルムへ透明な塗膜を設けて同様の効果が達成で
きる場合もある。たとえそのような場合でも、前者の構
成の価値は高い。その理由は、半透明、不透明なフィル
ムはフィラーや着色剤等の添加剤を多量に使用してお
り、その分価格が高くなるからである。
【0030】また、本発明の塗布層は、抗菌作用があ
り、日常生活に使用されるフィルムとして価値が高い。
例えば、包装用フィルム、医療用包装フィルム、カード
用フィルム、OHP用フィルム、合成紙、磁気テープ、
等である。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下
の実施例によって限定されるものではない。なお、実施
例中の評価方法は下記のとおりである。実施例および比
較例中、「部」とあるのは「重量部」を示す。 (1)ポリマーの極限粘度 [η] (dl/g) ポリマー1gをフェノール/テトラクロロエタン=50
/50(重量比)の混合溶媒100mlに溶解し、30
℃で測定した。 (2)表面固有抵抗(ρs) 横川・ヒューレット・パッカード(株)の、内側電極5
0mm径、外側電極70mm径の同心円型電極である1
6008A(商品名)に23℃、50%RHの雰囲気下
で試料を設置し、100Vの電圧を印加し、同社の高抵
抗計である4329A(商品名)で試料の表面固有抵抗
を測定した。単位はΩ。1×1014Ωより小さいことが
望ましい。 (塗布剤の調整)下記表1に示す水性塗料原液を配合
し、下記表2に示す組成の水性塗料を調整した。
【0032】比較例1 極限粘度0.65であり、粒子径1.5μのSiO2
0.005重量%含むポリエチレンテレフタレートを常
法により乾燥して押出機に供給し、290℃で溶融して
シート状に押出し、静電印加密着法を用いて冷却ロール
上で急冷し、無定形シートとした。得られた未延伸シー
トをロール延伸法を用いて縦方向に85℃で2.5倍延
伸した後、さらに95℃で1.3倍縦方向に延伸した。
得られた一軸延伸フィルムをテンターに導いて、横方向
に120℃で4.0倍延伸し、235℃で熱処理を行
い、基材ポリエステルフィルムの厚さ50μmの二軸延
伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムきわ
めて透明性に優れた平坦なフィルムであった。しかしな
がら、帯電防止性に欠けている。フィルムの透明性、表
面固有抵抗を下記表3に示す。
【0033】実施例1〜4 比較例1と同様の方法にて一軸延伸フィルムを得た。こ
のフィルムの片面に、表2に示す組成の塗布剤を塗布し
た。なお、表2に使用した塗布剤原料は表1に示すとお
りであった。その後、比較例1と同様に本フィルムをテ
ンターに導き、テンターにより乾燥、横延伸、熱処理を
実施して二軸延伸フィルムを得た。透明性、表面固有抵
抗を表3に示す。透明性、帯電防止性に優れたフィルム
であった。 実施例5〜8 比較例1と同様の方法にて一軸延伸フィルムを得た。こ
のフィルムの片面に、表2に示す組成の塗布剤を塗布し
た。なお、表2に使用した塗布剤原料は表1に示すとお
りであった。その後、比較例1と同様に本フィルムをテ
ンターに導き、テンターにより乾燥、横延伸、熱処理を
実施して二軸延伸フィルムを得た。透明性、表面固有抵
抗を表3に示す。塗膜には細かい亀裂があり、白濁した
外観である。マット調であり、かつ帯電防止性に優れた
フィルムであった。
【0034】比較例2 実施例1と同様にして、表2に示す組成の塗布剤を塗布
し、フィルムを得た。得られたフィルムは透明性に優れ
るものの、表面固有抵抗はさほど低くない。テンター内
部でアミン臭があり、塗布層の熱分解が生じていると考
えられた。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【発明の効果】本発明のフィルムは、新規な塗布層をも
ち、帯電防止性に優れたポリエステルフィルムであり、
その工業的価値は高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29K 67:00 B29L 9:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
    に、ビニルイミダゾリウム塩の共重合体を含有してなる
    塗布層を有することを特徴とする塗布フィルム。
  2. 【請求項2】 ビニルイミダゾリウム塩の共重合体が、
    少なくともビニルイミダゾリウム塩とビニルピロリドン
    とを含むモノマー群から合成された共重合体であること
    を特徴とする請求項1記載の塗布フィルム。
  3. 【請求項3】 塗布層がポリエステルフィルムの製造工
    程中で設けられたものであることを特徴とする請求項1
    または2記載の塗布フィルム。
  4. 【請求項4】 塗布層が少なくとも一方向に延伸されて
    いることを特徴とする請求項3記載の塗布フィルム。
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