JP3530274B2 - 塗布フィルム - Google Patents

塗布フィルム

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JP3530274B2
JP3530274B2 JP14901695A JP14901695A JP3530274B2 JP 3530274 B2 JP3530274 B2 JP 3530274B2 JP 14901695 A JP14901695 A JP 14901695A JP 14901695 A JP14901695 A JP 14901695A JP 3530274 B2 JP3530274 B2 JP 3530274B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、生産性、帯電防止性、
滑り性、離型性等に優れた延伸ポリエステルフィルムに
関する。 【0002】 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ポリ
エステルフィルムとシリコーン層の積層体は、そのシリ
コーンの特性に応じて、表面硬化フィルム、離型フィル
ム、易滑フィルムなどとして広く使用されている。この
場合、表面硬度、離型性、滑り性以外の重要な特性の一
つに、帯電防止性がある。一般に、帯電防止性は、プラ
スチックフィルム全般にわたり要求される特性である
が、特に上記の用途では強く求められる。その理由は、
これらのフィルムが、摩擦、磨耗、剥離のような帯電が
起きやすい工程にさらされるからである。強い帯電が生
じると、フィルムが相互に付着したり、あるいは反発し
たりする。また、周囲からほこりを吸着する。この結
果、フィルムの剥離が重くなったり、スムースに剥離さ
れなくなったり、ほこりにより傷が発生したり、滑り性
が不安定になったりする。これは、商品の品質に大きく
影響する。 【0003】ポリエステルフィルムとシリコーン層の積
層体に帯電防止性を付与する方法として、シリコーン層
に帯電防止性のある化合物を配合する方法が提案されて
いる。しかしこの場合、以下のような問題点が発生する
場合が多い。すなわち、シリコーン層を形成するための
架橋反応性が低下したり、シリコーン層の透明性、表面
硬度、離型性、滑り性等の特性が低下したりするのであ
る。また、できあがった製品を繰り返し使用すると、帯
電防止剤が接触する他の基材へ転着し、シリコーン層の
帯電防止効果が低下するばかりでなく、他の基材を帯電
防止剤が汚染するという問題もある。 【0004】本発明者らは、これらの課題を解決するた
めに、帯電防止層とシリコーン層をポリエステルフィル
ム上へ積層した構造の複合フィルムを提案した(特開平
1−171940号公報、3−256741号公報
等)。しかしながら、上記の方法では、ポリエステルフ
ィルム製造工程内で帯電防止層を設けた後いったん巻き
上げさらに別工程でシリコーン層を塗布するので、生産
までに時間がかかり、またポリエステルフィルム製造工
場以外の別工場が必要となる。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の問題
点に関して鋭意検討した結果、ポリエステルフィルム製
造工程中に特定の方法で特定の化合物を塗布することで
上記の問題を解決した。すなわち、本発明の要旨は、
(1)未延伸ポリエステルフィルムの少なくとも片面に
帯電防止性塗布剤を塗布、乾燥して塗布層を設け、
(2)その後、少なくとも一方向に延伸し、(3)さら
にその後、前記(1)で設けられた塗布層の少なくとも
1つの面の上に水系のシリコーン塗布剤を塗布してシリ
コーン層を設ける工程を有するインラインコーティング
法により製造される塗布フィルムに存する。 【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
フィルムを構成するポリエステルとは、芳香族ジカルボ
ン酸またはそのエステルとグリコールとを主たる出発原
料として得られるポリエステルであり、繰り返し構造単
位の80%以上がエチレンテレフタレート単位またはエ
チレン−2,6−ナフタレート単位または1,4−シク
ロヘキサンテレフタレートを有するポリエステルを指
す。そして、上記の範囲を逸脱しない条件下であれば、
他の第三成分を含有していてもよい。 【0007】芳香族ジカルボン酸成分としては、例え
ば、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン
酸以外に、例えば、イソフタル酸、フタル酸、アジピン
酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキ
シエトキシ安息香酸等)等を用いることができる。グリ
コール成分としては、エチレングリコール以外に、例え
ば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブ
タンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、
ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上を用い
ることができる。 【0008】かかるポリエステルの極限粘度は、通常
0.45以上、好ましくは0.50〜1.0、さらに好
ましくは0.52〜0.80の範囲である。極限粘度が
0.45未満ではフィルム製造時の生産性が低下した
り、フィルムの機械的強度が低下するという問題が生ず
ることがある。一方、ポリマーの溶融押出安定性の点か
ら、極限粘度は1.0を超えないことが好ましい。 【0009】本発明のポリエステルフィルムは、フィル
ムに滑り性を与えて取扱い性を向上する目的で、ポリエ
ステルに粒子を含有させ、フィルム表面に適度な突起を
形成させてもよい。かかる粒子の例としては、炭酸カル
シウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タル
ク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カ
ルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデ
ン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム
等の有機粒子、およびポリエステル重合時に生成させる
析出粒子を挙げることができる。 【0010】本発明におけるフィルムに含有させる粒子
の粒径と量はその用途にもよるが、平均粒径は、好まし
くは0.005〜5.0μm、さらに好ましくは0.0
1〜3.0μmの範囲である。平均粒径が5.0μmを
超えるとフィルム表面が粗面化しすぎて傾向がある。ま
た薄いフィルムでは絶縁性が低下したりすることがあ
る。また、粒子がフィルム表面から脱落しやすくなり、
フィルム使用時の「粉落ち」の原因となる恐れがある。
平均粒径が0.005μm未満では、この粒子による突
起形成が不十分なため、滑り性改良効果が弱くなる傾向
がある。すなわち粒子を大量に添加しないと滑り性改良
効果効果が現れず、大量に添加するとフィルムの機械的
特性が損なわれる恐れがある。 【0011】また、粒子含有量はポリエステルに対し、
0.0000〜30.0重量%、さらには0.010〜
20.0重量%であることが望ましい。粒子量が多くな
るとフィルムの機械的特性が損なわれる恐れがある。最
低量はフィルムの使用用途により異なる。高透明フィル
ムでは少ないほど好ましく、適度な滑り性を与えるため
含まれる粒子も少ないほど好ましい。 【0012】フィルム中に、かかる粒子を2種類以上配
合してもよく、同種の粒子で粒径の異なるものを配合し
てもよい。いずれにしても、フィルムに含有する粒子全
体の平均粒径、および合計の含有量が上記した範囲を満
足することが好ましい。粒子を含むポリエステルの製造
に際して、粒子はポリエステルの合成反応中に添加して
もポリエステルに直接添加してもよい。合成反応中に添
加する場合は、粒子をエチレングリコール等に分散させ
たスラリーとして、ポリエステル合成の任意の段階で添
加する方法が好ましい。一方、ポリエステルに直接添加
する場合は、乾燥した粒子として、または、水あるいは
沸点が200℃以下の有機溶媒中に分散したスラリーと
して、2軸混練押出機を用いてポリエステルに添加混合
する方法が好ましい。なお、添加する粒子は、必要に応
じ、こと前に解砕、分散、分級、濾過等の処理を施して
おいてもよい。粒子の含有量を調節する方法としては、
上記した方法で高濃度に粒子を含有するマスター原料を
作っておき、それを製膜時に、実質的に粒子を含有しな
い原料で希釈して粒子含有量を調節する方法が有効であ
る。 【0013】また、上記の突起形成剤以外の添加剤とし
て、必要に応じて、帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋
剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、着色剤(染料、
顔料)、光線遮断剤、紫外線吸収剤などを含有していて
もよい。本発明のポリエステルフィルムは、多層構造と
なっていても構わない。例えば、共押出し積層フィルム
であってもよい。この場合、ベースフィルムに関する上
記の記述は、最表面層のポリエステルに適用される。 【0014】二軸延伸ポリエステルフィルムの製造は、
同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれかで実施される
が、特に逐次二軸延伸が多く行われている。すなわち、
溶融押し出ししたポリエステルを冷却ドラムの上で冷却
し未延伸フィルムを作成し、これを周速差のある一群の
ロールで延伸(縦延伸)し、この後フィルムの長手方向
と垂直な方向にクリップで保持しつつ延伸(横延伸)す
る。この変形として、縦延伸、横延伸を何回かに分割し
て実施してもよい。また分割しその一部づつを交互に実
施してもよい。例えば、高強度フィルムを再延伸法で製
造する方法がこれに相当する。 【0015】本発明でいう未延伸フィルムとは、例えば
面配向度(△P)が0.000〜0.010の範囲のフ
ィルムのことであり、好ましくは0.000〜0.00
5の範囲であり、さらに好ましくは0.000〜0.0
02の範囲である。△Pが小さいと、塗布層と基材ポリ
エステルフィルムとの層間接着性に優れるので好まし
い。なお、面配向度(△P)は、フィルムの主配向方向
の屈折率をnγ、主配向方向と直角方向の屈折率をn
β、厚み方向の屈折率をnαとすると 【0016】 【数1】ΔP=(nγ+nβ)/2−nα で与えられる。 【0017】本発明で用いる帯電防止性塗布剤とは、そ
の塗布剤中に帯電防止剤を含有する塗布層である。ここ
での帯電防止剤とは、有機系の化合物で適度に吸湿して
静電気を逃がす効果を持つ化合物、有機電子伝導性の化
合物、そして導電性微粒子である。有機系の吸湿して静
電気を逃がす化合物とは、ノニオン系、アニオン系、カ
チオン系、両性の化合物の中からえらばれたいわゆる帯
電防止剤と称されてきた化合物である。 【0018】ノニオン系帯電防止剤では、ポリエーテル
化合物、またはその誘導体が挙げられ、具体的には、例
えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコー
ルブロック共重合体、ポリオキシエチレンジアミン、ポ
リエーテル/ポリエステル/ポリアミドブロック共重合
体がこれに該当する。 【0019】アニオン系帯電防止剤としては、スルホン
酸、カルボン酸、リン酸、ホウ酸およびそれらの塩を持
つ化合物が挙げられる。なかでは、その帯電防止性の強
さと工業的に入手し易いことから、スルホン酸系帯電防
止剤がよく使用される。例えば、ポリスチレンスルホン
酸、ポリスチレンスルホン酸リチウム、ポリスチレンス
ルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸カリウ
ム、ポリスチレンスルホン酸セシウム、ポリスチレンス
ルホン酸アンモニウム等である。もちろん、他の共重合
できるモノマーと、スチレンスルホン酸およびその塩、
との共重合体も含まれる。また、低分子のスルホン酸系
化合物も有効である。例えば、アルキルスルホン酸塩、
アルキル硫酸エステル等を挙げられる。例えば ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスル
ホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸エステルナトリウム
塩、セチル硫酸エステルナトリウム塩、ステアリル硫酸
エステルナトリウム塩、オレイル硫酸エステルナトリウ
ム塩等である。 【0020】カチオン系帯電防止剤としては、低分子化
合物として、第1級アミンの塩酸塩、第2級アミンの塩
酸塩、第3級アミンの塩酸塩、第4級アンモニウム塩が
代表的である。用いられるアミンとしては、モノメチル
アミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ラウリル
アミン、ジラウリルアミン、ラウリルジメチルアミン、
ステアリルアミン、ジステアリルアミン、ステアリルジ
メチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエ
チレントリアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミ
ン、アミノエチルエタノールアミン、ピリジン、モルホ
リン、グアニジン、ヒドラジン等が挙げられる。また第
4級アンモニウム塩の例としては、ラウリルトリメチル
アンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアン
モニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、セチ
ルピリジニウムブロミド、ステアラミドメチルピリジニ
ウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムメトサ
ルフェート等が挙げられる。高分子カチオン系帯電防止
剤としては、第4級アンモニウム塩型スチレン重合体、
第4級アンモニウム塩型アミノアルキル(メタ)アクリ
レート重合体、第4級アンモニウム塩型ジアリルアミン
重合体、等が挙げられる。具体的には、ポリビニルベン
ジルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリジメチルア
ミノエチルメタクリレートの4級化物、ポリジアリルジ
メチルアンモニウムクロリド等である。 【0021】両性系帯電防止剤としては、アミン塩型カ
チオンを有するカルボン酸塩型両性界面活性剤、第4級
アンモニウム塩型のカチオンを有するカルボン酸塩型両
性界面活性剤(いわゆるベタイン型両性界面活性剤)が
有名である。例えば、ラウリルアミノプロピオン酸ナト
リウム、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチ
ルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等が
挙げられる。 【0022】有機電子伝導性の化合物としては、ポリア
セチレン、ポリ(p−フェニレン)、ポリピロール、ポ
リチオフェン、ポリアニリン、ポリ(アリレンビニレ
ン)、ポリアセン等が挙げられる。これらは、従来高価
であり、また通常溶媒への溶解性があまり良くない。し
かし、例えば、スルホン酸残基を導入する等して水に溶
解するタイプも開発されている。導電性微粒子として
は、カーボンブラック、金属微粉末、金属酸化物微粉末
が挙げられる。例えば、銀、銅、ニッケル等の微粉末、
または酸化アンチモン、酸化インジウムなどの微粉末で
ある。 【0023】本発明における帯電防止性塗布剤とは、そ
の塗布剤中に上記帯電防止剤のほかに、バインダーを含
有していてもよい。上記帯電防止剤のうち、有機高分子
を採用した場合には、それだけで十分な皮膜を形成する
場合が多い。しかし有機高分子系帯電防止剤の中には塗
膜がポリエステルの延伸に追随しない場合もある。この
場合適当な柔軟性を持つバインダーを混合するとよい。
また有機高分子系帯電防止剤の中には逆に形成した塗膜
が柔らかすぎる場合もある。この場合にはやや硬いバイ
ンダーを混合するとよい。帯電防止剤として有機低分子
を採用した場合には塗膜が柔らかすぎる場合が多い。ま
た導電性微粒子を採用した場合には、バインダーと併用
する必要がある。ここでいうバインダーとは、有機系の
高分子であり具体的には以下の化合物から選ばれる少な
くとも一種の化合物であり、これらを水系塗料の形で帯
電防止剤と混合する。 【0024】ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレー
ト、ポリウレタン、ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニ
ル共重合体、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩
化ビニル、塩素化ポリオレフィン、塩化ビニル酢酸ビニ
ル共重合体、クロロプレン、スチレン系樹脂、カーボネ
ート系樹脂、アリレート系樹脂、ビニルブチラール系樹
脂、ビニルアルコール系樹脂、上記の複合ポリマー。こ
こでの複合ポリマーとは、ランダム、ブロック、グラフ
トの各共重合体、シェル−コア型結合体である。 【0025】本発明における帯電防止性塗布剤とは、上
記以外に架橋剤、ワックス、架橋有機粒子、無機粒子を
含んでいてもよい。特にポリエステル中に粒子の少ない
高透明フィルムを基材とする場合、帯電防止性塗布層中
にワックス、または粒子を含んでいると都合がよい。こ
れは、フィルムの縦延伸行程中でのロールによる傷入り
を防止するからである。架橋剤は一般に種々の化合物が
知られているが、水系塗料で使用しやすい架橋剤とし
て、以下の化合物が挙げられる。アミノ樹脂、特にメラ
ミン系架橋剤と尿素系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジ
リジン化合物、ブロックイソシアネート系架橋剤、オキ
サゾリン系架橋剤、シランカップリング剤、チタンカッ
プリング剤、ジルコ−アルミネートカップリング剤、反
応性のビニル化合物。 【0026】ワックスとしては、天然ワックス、合成ワ
ックス、それらの配合したワックスの中から選ばれたワ
ックスが挙げられる。天然ワックスとは、植物系ワック
ス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油ワックスで
ある。合成ワックスとしては、合成炭化水素、変性ワッ
クス、水素かワックス、脂肪酸、酸アミド、アミン、イ
ミド、エステル、ケトンが挙げられる。これらの中で使
いやすいワックスとしては、カルナウバワックス、ポリ
エチレンワックス、そして粘度平均分子量500から2
0000の以下のポリマーが挙げられる。 【0027】ポリプロピレン、エチレン・アクリル酸共
重合体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリ
コールのブロックまたはグラフト結合体。有機粒子とし
ては、炭素−炭素二重結合を一分子中に2個以上含有す
る化合物(例えばジビニルベンゼン)により架橋構造を
達成したポリスチレンまたはポリアクリレートポリメタ
クリレートが挙げられる。さらに縮合反応のより合成さ
れる熱硬化性樹脂の粒子として、メラミン−ホルムアル
デヒド、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド、フェノ
ール−ホルムアルデヒド、エポキシ、等が挙げられる。
さらにポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエ
チレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライ
ド、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロア
ルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオ
ロエチレン等のフッ素系樹脂の粒子、架橋シリコーン樹
脂の粒子が挙げられる。またこれらの粒子の表面は、有
機物で表面処理ざれていてもよい。例えば、界面活性
剤、分散剤としての高分子、シランカップリング剤、チ
タンカップリング剤などで表面処理されていてもよい。 【0028】無機粒子としては、二酸化ケイ素、アルミ
ナ、酸化ジルコニウム、カオリン、タルク、炭酸カルシ
ウム、酸化チタン、酸化バリウム、カーボンブラック、
硫化モリブデン、酸化アンチモン等が挙げられる。これ
らの中では二酸化ケイ素が安価であり、かつ粒子径が多
種あるので利用しやすい。またこれらの粒子の表面は、
有機物で表面処理されていてもよい。例えば、界面活性
剤、分散剤としての高分子、シランカップリング剤、チ
タンカップリング剤などで表面処理されていてもよい。 【0029】その他の添加剤として、消泡剤、塗布性改
良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染
料、顔料等の化合物を含んでいてもよい。本発明におけ
るシリコーン層を形成するためのシリコーン系塗布剤と
は、シリコーン化合物を含む水系塗料である。ここでの
シリコーン化合物とは、水溶性または水分散性のシリコ
ーン(オルガノポリシロキサン)化合物である。例え
ば、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シ
リコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイルのよ
うな水溶性または水分散性のシリコーン化合物、ジメチ
ルシリコーンオイルに界面活性剤を添加して強制乳化し
た分散体等が挙げられる。 【0030】そして、シリコーンのオイルだけでなく、
高分子量のシリコーンポリマー、3次元構造の入ったシ
リコーンレジンがさらに好ましい。これに相当する場合
として、水系塗料中では比較的3次元構造の少ないシリ
コーン化合物を配合しておき、加熱乾燥時架橋反応させ
る方法もある。この架橋反応の形式としては、公知の任
意の方法を用いることができる。例えば、メチル基、好
ましくはビニル基を含有するシリコーン化合物に過酸化
物を配合して架橋反応をさせたり、シラノール基を含有
するシリコーン化合物に加水分解性官能基を持つシラン
化合物(例えばシランカップリング剤)を配合して架橋
反応をさせたり、ビニル基を含有するシリコーン化合物
にSi−H基を3つ以上含有するシリコーン化合物を白
金触媒存在下で反応させたり、公知の相互に反応する官
能基を導入したシリコーン化合物同士を反応させたり
(例えば、エポキシ変性シリコーンとアミノ変性シリコ
ーンを混合硬化させる)することが挙げられるが、これ
に限定されるものではない。 【0031】また、シリコーンの性質を弱めるものの、
シリコーン化合物と他の公知の高分子(例えばポリ(メ
タ)アクリレート)とのグラフトポリマー、ブロックポ
リマーも使用できる。あるいは、水溶性ポリマーを分散
剤としてシリコーン化合物を水中に分散した一種の複合
ポリマーも使用できる。例えば、ポリビニルアルコー
ル、水溶性ポリエステル、水溶性ポリ(メタ)アクリレ
ート、水溶性ポリウレタンなどを分散剤として使用する
ことが挙げられる。また分散剤量以上配合し官能基含有
シリコーン化合物と反応させブロックポリマーまたはグ
ラフトポリマーとする方法も挙げられる。 【0032】本発明におけるシリコーン塗布剤中のシリ
コーン化合物以外の成分としては、先に記載された帯電
防止性塗布剤中に添加可能な化合物が挙げられる。本発
明における塗布剤は、帯電防止塗布剤、シリコーン塗布
剤いずれも、安全衛生上水を媒体とする塗布剤であるこ
とが望ましいが、本発明の要旨を越えない範囲内で、水
溶性または水分散性樹脂の助剤として有機溶剤を含有し
ていてもよい。上記記載の中の「水系塗料」についても
同様である。 【0033】上述の塗布液をポリエステルフィルムに塗
布する方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1
979年発行、「コ−ティング方式」に示されるよう
な、リバ−スロールコ−タ−、グラビアコ−タ−、ロッ
ドコ−タ−、エアドクターコ−タ−あるいはこれら以外
の塗布装置を用いることができる。塗布液を塗布後乾燥
する際のフィルムの到達温度の上限は、好ましくは最終
的に得られるフィルムの(Tg+20℃)であり、さら
に好ましくは(Tg+10℃)であり、最も好ましくは
(Tg+5℃)である。フィルムの到達温度が高すぎる
と、フィルムの製膜性を悪化させるので好ましくない。 【0034】このようにして得られる塗布層の厚さは、
それぞれの層に関して最終製品における乾燥固形分とし
て、好ましくは0.005〜5.0μmの範囲である。
塗布層の厚さは、塗膜特性が許す限り薄くすることが好
ましい。塗布層厚みが大きくなるとブロッキング等の問
題が生じる恐れがある。しかし、本願発明ではロールに
巻き取る際にシリコーン層が表面に設けられており、そ
のため他のインラインコートフィルムの場合よりブロッ
キングの問題は小さい。他方、塗布層の厚みが0.00
5μm未満の場合には、所望の性能が得られなくなる恐
れがあり、塗布ムラや塗布ヌケも生じやすくなる傾向が
ある。 【0035】従来のポリエステルフィルム製造工程内塗
布法としては、縦方向に延伸された一軸延伸フィルムに
塗布液を塗布した後、適当な乾燥を施し、あるいは乾燥
を施さず一軸延伸フィルムを直ちに横方向に延伸し熱処
理を行う方法(以下従来工程内塗布法と略記)が一般的
であった。本発明では、未延伸ポリエステルフィルムの
少なくとも片面に帯電防止層を設け、その後少なくとも
一方向に延伸し、次いで上記帯電防止層の少なくとも一
つの面の上にシリコーン層を設けることにより、インラ
イン2層塗布フィルムを得るところに特徴がある。この
ような構成を採用することで、従来にない帯電防止性を
有するシリコーン塗膜を持つフィルムを安定して製造で
きる。すなわち、以下のような利点がある。 【0036】(A)従来では、混合凝集してしまうよう
な帯電防止剤とシリコーン塗布剤の組み合わせを、2層
に分割することで使用できるようになった。 (B)従来2層塗布するには、少なくとも第2層目を設
けるためにオフラインコーティングを利用せざるを得な
かった。この場合は、塗布、乾燥行程を別途設けるて実
施することになる。そこで、高いクリーン度を要求され
る場所を別途建設する必要性、コーター、ドライヤ−を
別途導入する必要性、乾燥時のフィルム物性の変化、と
いった問題を生ずる。本発明では、コーター、ドライヤ
ーこそ導入する必要があるものの、新たに高いクリーン
度のコーターの建物を建設する必要はない。またフィル
ム物性は通常の二軸延伸ポリエステルフィルムの範囲を
自由に採用し得る。これに対して、第2層目をオフライ
ンコーティングするとその乾燥工程で、程度の差こそあ
れ、いわゆる熱シワが入ってしまい平面性が劣る。すな
わち、本発明のフィルムはオフラインコーティングでは
達成が難しいフィルムである。そして、フィルム製造と
同時に塗布フィルムができるというインラインコーティ
ングの時間短縮の利点は大きい。 【0037】(C)同じ化合物をインラインコーティン
グとオフラインコーティングした場合、基材との接着力
はインラインコーティングの方が優れている。すなわち
第2層目のシリコーン層をオフラインコーティングでも
設けた場合より接着性に優れる。また、第2層目に架橋
剤が含まれている場合、インラインコーティングで製造
した塗膜の方が架橋が充分に進み耐久性に優れた塗膜と
なる。最近では環境保全のために塗料の水性化が進んで
きているが、水系塗料は有機溶剤系塗料より乾燥が難し
く、オフラインコーティングでは、十分に硬化したある
いは基材に十分に密着したフィルムを製造するには、従
来よりも一層進んだ塗布−乾燥技術が必要である。 【0038】(D)帯電防止剤を含む塗料を低速度で塗
布することができ、塗布面状の改良につながる。一般に
帯電防止剤は界面活性剤の性質を示したり水溶性高分子
であったりする。このため、帯電防止剤を含む塗布剤は
高粘度であったり、泡立ちやすい場合が多い。そこで高
速度できれいに塗布することが難しい。すなわち、塗布
スジや塗布ムラが発生しやすい。この点、本発明のフィ
ルムは、帯電防止剤を含む塗布剤を低速度で塗布するの
で、上記の欠陥が少ないフィルムが得られる。 【0039】(E)感熱転写基材では耐熱易滑性のみな
らず帯電防止性も要求されている。しかし、感熱転写の
ヘッドは高温にさらされるため、アルカリ金属イオン、
アルカリ土類イオン、ハロゲン化物イオンが高濃度で接
触するとヘッドが腐食される。このため、感熱転写基材
の帯電防止は工業的に安価に入手できるイオン性帯電防
止剤を多量に用いることができず、強い帯電防止性を付
与するには他の方法に頼らざるを得なかった。この点、
本発明では2層塗布の下面に帯電防止層を設けるので、
イオン性帯電防止剤を使用しても従来よりヘッドへの影
響が格段に少ない。 【0040】次に、本発明のフィルムの製造法を具体的
に説明する。ポリエステル原料を、押出装置に供給し、
ポリエステルの融点以上の温度で溶融押出してスリット
状のダイから溶融シートとして押し出す。次に、溶融シ
ートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度
になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未延伸シ
ートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるた
め、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが
好ましく、本発明においては静電印加密着法および/ま
たは液体塗布密着法が好ましく採用される。 【0041】静電印加密着法とは、通常、シートの上面
側にシートの流れと直交する方向に線状電極を張り、当
該電極に約5〜10kVの直流電圧を印加することによ
りシートに静電荷を与え、ドラムとの密着性を向上させ
る方法である。また、液体塗布密着法とは、回転冷却ド
ラム表面の全体または一部(例えばシート両端部と接触
する部分のみ)に液体を均一に塗布することにより、ド
ラムとシートとの密着性を向上させる方法である。本発
明においては必要に応じ両者を併用してもよい。 【0042】本発明においてはこの段階で上述の帯電防
止性塗布液を少なくとも一つの面に塗布後乾燥処理を施
すことが好ましい。このようにして得られた塗布処理未
延伸シートをまず縦方向に延伸する。延伸温度範囲は7
0〜150℃、延伸倍率は2.5〜6倍の範囲とするの
が好ましい。延伸は一段階または二段階以上で行うこと
ができる。この後、先の帯電防止性塗布層の少なくとも
一つの面の上に易接着性層を塗布して設ける。次に横方
向、すなわち縦方向と直交する方向に一軸配向フィルム
を一旦ガラス転移点以下に冷却するか、または冷却する
ことなく例えば90〜150℃の温度範囲に予熱して、
さらにほぼ同温度の下で2.5〜5倍、好ましくは3.
0〜4.5倍に延伸を行い、二軸に配向したフィルムを
得る。 【0043】かくして得られたフィルムを、30%以内
の伸長、制限収縮、または定長下で1秒〜5分間熱処理
する。この際、熱処理工程内または熱処理後に縦方向に
10%以内、好ましくは5%以内の弛緩処理する等の手
法も、特に縦方向の熱収縮率を好適な範囲とするために
採用することができる。熱処理温度は、延伸条件にもよ
るが、好ましくは180〜250℃、さらに好ましくは
200〜230℃の範囲である。熱処理温度が250℃
を超えるとフィルム密度が高くなりすぎる。また、塗布
層の一部が熱分解を生ずる場合がある。一方、180℃
未満ではフィルムの熱収縮率が大きくなって好ましくな
い。なお、塗布剤のフィルムへの塗布性、接着性を改良
するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電処理を施
してもよい。また、本発明の二軸延伸ポリエステルフィ
ルムの塗布層の接着性、塗布性などを改良するために、
塗布層形成後に塗布層に放電処理を施してもよい。 【0044】 【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下
の実施例によって限定されるものではない。なお、実施
例中の評価方法は下記のとおりである。実施例および比
較例中、「部」とあるのは「重量部」を示す。 【0045】(1)ポリマーの極限粘度 [η] (d
l/g) ポリマー1gをフェノール/テトラクロロエタン=50
/50(重量比)の混合溶媒100mlに溶解し、30
℃で測定した。 (2)面配向度(ΔP) アタゴ光学社製アッベ式屈折計を用い、フィルム面内の
屈折率の最大値nγ、それに直角の方向の屈折率nβ、
およびフィルム厚さ方向の屈折率nαを測定し、次式よ
り面配向度ΔPを算出した。なお、屈折率の測定は、ナ
トリウムD線を用い、23℃で行った。 【0046】 【数2】 【0047】(3)表面固有抵抗(ρs) 横川・ヒューレット・パッカード(株)の、内側電極5
0mm径、外側電極70mm径の同心円型電極である1
6008A(商品名)に23℃、50%RHの雰囲気下
で試料を設置し、100Vの電圧を印加し、同社の高抵
抗計である4329A(商品名)で試料の表面固有抵抗
を測定した。 【0048】(塗布剤の調整)下記表1に示す水性塗料
原液を配合し、下記表2に示す組成の水性塗料を調整し
た。S1からS4、T3は固形分組成で表示してある。
ただしT1,T2は市販水性塗料L1−L4の体積%に
よる組成で示してある。なお、表1のS5に示す化合物
は以下の様に合成した。 【0049】S5の製造法:オクタメチルシクロテトラ
シロキサン97.7g、γ−グルシドキシプロピルトリ
メトキシシラン4.6g、γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン2.0gを混合し、これをドデシル
ベンゼンスルホン酸1.0gを溶解したイオン交換水3
00gに加え、ホモミキサーで分散した後、さらにホモ
ジナイザーで均一乳化して、シラノール化合物の水分散
体を得た。次いで、フラスコにドデシルベンゼンスルホ
ン酸31g、イオン交換樹脂217gを仕込み、よく溶
解した後、温度を80−85℃に昇温し、これに上記の
シラノール化合物の水分散体を2時間かけて滴下した。
滴下終了後、85℃で1時間熟成した。熟成終了後、室
温まで冷却し、炭酸ナトリウムで中和し縮重合を完結
し、ポリオルガノシロキサンの水分散体を得た。最後
に、この水分散体にイオン交換水483g、過硫酸カリ
ウム1.5gを溶解し、これをフラスコに移して、フラ
スコ内に窒素を流しながら70℃まで加温し、メチルメ
タクリレート50gおよびエチルアクリレート50gを
ゆっくり滴下した。滴下終了後、3時間熟成してポリシ
ロキサン−ポリメタクリレート共重合体の水分散体を得
た。この水分散体の固形分濃度は19.1wt%、平均
粒子径は0.06μmであった。 【0050】 【表1】 【0051】 【表2】【0052】 【表3】 【0053】比較例1 極限粘度0.65であり、粒子径0.1μmのSiO2
を0.1重量%含むポリエチレンテレフタレートを常法
により乾燥して押出機に供給し、290℃で溶融してシ
ート状に押出し、静電印加密着法を用いて冷却ロール上
で急冷し、無定形シートとした。未延伸シートの△Pは
0.000であった。得られた未延伸シートをロール延
伸法を用いて縦方向に85℃で2.5倍延伸した後、さ
らに95℃で1.3倍延伸した。次いでフィルムをテン
ターに導いて、横方向に120℃で4.2倍延伸し、2
30℃で熱処理を行い、基材ポリエステルフィルムの厚
さ38μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得
られたフィルム極めて透明性に優れたフィルムであっ
た。しかしながら、離型性、帯電防止性にかけたフィル
ムであった。フィルムの表面固有抵抗を下記表3に示
す。 【0054】実施例1〜4 比較例1と同様の方法にて未延伸シートを得た。このフ
ィルムの片面に、表3の「塗布I」に示す水性塗料を塗
布した。この後フィルムに70℃の温風を吹き付け、塗
布液層を乾燥した。その後、比較例1と同様にして、シ
ートをロール延伸法を用いて縦延伸した。そしてテンタ
ーにより横延伸する前に、表3の「塗布II」に示す水性
塗料を、上記「塗布I」に示す塗膜の上に塗布した。直
ちにテンターに導き、乾燥、横延伸、熱処理を実施して
二軸延伸フィルムを得た。いずれも、塗布厚さは表3に
示すとおりで、これは二軸延伸された後のポリエステル
フィルム上での塗膜の乾燥固形分としての厚さを示す。
得られた二軸延伸フィルムの特性を表3に示す。いずれ
も帯電防止性と離型性に優れたフィルムである。例えば
磁気テープカセット用リテナーとして優れたフィルムで
あった。すなわち、帯電防止性に優れており、本フィル
ムをオーディオカセットに組み込んでオーディオテープ
を走行させた時、塵が発生せず、ほこりが付かず、テー
プを長時間走行させても走行ムラが無く安定していた。 【0055】実施例5〜6 実施例1〜4と同様の方法にて表3に示す組成の塗布剤
を塗布して、実施例5〜6のフィルムを得た。得られた
フィルムはいずれも離型用セパレートフィルムとして有
用であった。すなわち、粘着テープ、ラベルと容易に剥
離でき、剥離が安定しており、剥離後のフィルムが静電
気で周囲に付着することが無かった。 【0056】比較例2 実施例1で使用した2種の配合液を混合し1液としこれ
をテンター直前で塗布しようと試みた。しかしながら混
合した塗布剤は直ちには凝集物が発生し、塗布できなか
った。 比較例3 実施例1で使用した2種の配合液を、インラインコーテ
ィングとアウトラインコーティング(OLCと略記す
る)で分割塗布した。すなわち、塗布剤S1をテンター
直前で縦延伸後のポリエステルフィルムに塗布した。で
き上がった二軸延伸フィルムを、いったん巻きとり、別
工程で塗布剤T1をS1の塗布面の上に塗布した。塗膜
の乾燥厚さは実施例1と同じになるように実施した。乾
燥は150℃、1分で実施した。均一な塗膜であった
が、塗膜の耐久性が実施例1より劣っていた。すなわ
ち、塗膜を指先で繰り返し擦ると、比較例3の塗膜は容
易に剥離した。これはシリコーン層の架橋反応が不十分
なためと思われる。 【0057】比較例4 極限粘度0.65であり、粒子径1.3μmのSiO2
を0.2重量%含むポリエチレンテレフタレートを常法
により乾燥して押出機に供給し、285℃で溶融してシ
ート状に押出し、静電印加密着法を用いて冷却ロール上
で急冷し、無定形シートとした。未延伸シートの△Pは
0.000であった。得られた未延伸シートをロール延
伸法を用いて縦方向に95℃で3.5倍延伸した。次い
でフィルムをテンターに導いて、横方向に110℃で
4.0倍延伸し、230℃で熱処理を行い、基材ポリエ
ステルフィルムの厚さ6μmの二軸延伸ポリエステルフ
ィルムを得た。得られたフィルムの片面に以下の組成の
熱溶融性転写インキを2g/mm2 の塗布量でホットメ
ルトコートし感熱転写材を得た。 【0058】(熱溶融性転写インク組成) カーボンブラック 20重量% パラフィンワックス 40重量% カルナウバワックス 30重量% エチレン酢酸ビニル共重合体 10重量% 上記で得られた転写材を用いてライン型サーマルヘッド
を用いて次の条件でスティッキング防止性を評価した。 記録密度 4ドット/mm 記録電力 0.7W/ドット ヘッド加熱時間 4〜10msec 比較例4で得られた転写材はスティック現象が著しく、
とうてい使用に耐えなかった。 【0059】実施例7 比較例4と同様の方法にて未延伸シートを得た。このフ
ィルムの片面に、表3の「塗布I」に示す水性塗料を塗
布した。この後フィルムに70℃の温風を吹き付け、塗
布液層を乾燥した。その後、比較例1と同様にして、シ
ートをロール延伸法を用いて縦延伸した。そしてテンタ
ーにより横延伸する前に、表3の「塗布II」に示す水性
塗料を、上記「塗布I」に示す塗膜の上に塗布した。直
ちにテンターに導き、乾燥、横延伸、熱処理を実施して
二軸延伸フィルムを得た。いずれも、塗布厚さは表3に
示すとおりで、これは二軸延伸された後のポリエステル
フィルム上での塗膜の乾燥固形分としての厚さを示す。
帯電防止性と離型性に優れたフィルムであった。得られ
たフィルムのシリコーン塗布面の反対側に比較例4と同
様にして熱溶融性転写インクをホットメルトコートし感
熱転写材を得、スティッキング防止性を評価した。実施
例7で得られた転写材は、スティック現象がなく、また
静電気によるフィルムの走行ムラもなく、良好な転写材
であった。 【0060】比較例5 実施例7で使用した2種の配合液を、インラインコーテ
ィングとアウトラインコーティングで塗布した。すなわ
ち、塗布剤S4をテンター直前で縦延伸後のポリエステ
ルフィルムに塗布した。でき上がった厚さ6μmの二軸
延伸フィルムを、いったん巻きとり、別工程で塗布剤T
3をS4の塗布面の上に塗布した。塗膜の乾燥厚さは実
施例7と同じになるように実施した。乾燥は100℃、
1分で実施した。しかしながら、フィルムの熱収縮によ
りフィルムの平面性が低下した。 【0061】得られたフィルムのシリコーン塗布面の反
対側に比較例4と同様にして熱溶融性転写インクをホッ
トメルトコートし感熱転写材を得、スティッキング防止
性を評価した。ただし、フィルムの平面性が低下したた
め熱溶融性転写インクの塗布に斑を生じた。また反対面
のシリコーン成分の転着のためか、転写インクの塗布時
部分的に塗布抜けを生じた。さらに比較例5で得られた
転写材は、スティックが若干あり、良好な転写材とはい
えなかった。以上、得られた結果をまとめて下記表3に
示す。 【0062】 【表4】【0063】 【発明の効果】本発明のフィルムは、帯電防止性に優れ
た、平面性の良い、硬化度の良好なシリコーン層を持つ
ポリエステルフィルムであり、しかも従来の製造方法よ
り生産性に優れており、各種工業用フィルム、離型フィ
ルム、カセットリテナー、感熱転写インクリボン用フィ
ルムとして使用でき、その工業的価値は高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 9:00 B29L 9:00 (56)参考文献 特開 平3−256741(JP,A) 特開 平1−171940(JP,A) 特開 平5−24156(JP,A) 特開 平6−184337(JP,A) 特開 平5−1164(JP,A) 特開 平4−253738(JP,A) 特開 平5−310976(JP,A) 特開 昭61−261326(JP,A) 特開 平8−325399(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/04 B32B 1/00 - 35/00

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (1)未延伸ポリエステルフィルムの少
    なくとも片面に帯電防止性塗布剤を塗布、乾燥して塗布
    層を設け、(2)その後、少なくとも一方向に延伸し、
    (3)さらにその後、前記(1)で設けられた塗布層の
    少なくとも1つの面の上に水系のシリコーン塗布剤を塗
    布してシリコーン層を設ける工程を有するインラインコ
    ーティング法により製造される塗布フィルム。
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