JP2003128819A - 帯電防止フィルム - Google Patents

帯電防止フィルム

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JP2003128819A
JP2003128819A JP2001330659A JP2001330659A JP2003128819A JP 2003128819 A JP2003128819 A JP 2003128819A JP 2001330659 A JP2001330659 A JP 2001330659A JP 2001330659 A JP2001330659 A JP 2001330659A JP 2003128819 A JP2003128819 A JP 2003128819A
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antistatic
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coating
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JP2001330659A
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Masato Fujita
真人 藤田
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Mitsubishi Polyester Film Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 帯電防止性、背面転写性、耐削れ性に優れた
帯電防止性ポリエステルフィルムを提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片
面に、下記一般式(I)で示される構造の繰り返し単位
を必須成分とする高分子帯電防止剤(A)を含む塗液を
塗布し、乾燥、延伸して設けられた帯電防止性塗膜を有
することを特徴とする帯電防止フィルム。 【化1】 (上記式中、R1はHまたはメチル基、R2は炭素数が1
〜5の脂肪族炭化水素基、R3およびR4はそれぞれ炭素
数が1〜4の脂肪族炭化水素基、Rは炭素数が1〜1
2の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれ
らの複合基、X-はアニオン性化合物を示す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は帯電防止フィルムに
関し、さらに詳しくは帯電防止性、背面転写性、透明
性、耐熱性に優れ、包装材料、電子材料、グラフィック
材料、製版フィルム、OHPフィルム、磁気記録材料
(例えばオーディオテープ、ビデオテープ等の磁気テー
プやフレキシブルディスク等の磁気ディスク、磁気カー
ド)等の基材として有用な帯電防止フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂フィルムは、包装材料用、
電子材料用、グラフィック材料用、製版フィルム用、O
HPフィルム用、磁気記録材料用等のベースフィルムに
広く使用されているが、プラスチックフィルムの共通の
問題として静電気が発生しやすく、製膜工程、加工工
程、さらに製品の使用時等において種々の静電気トラブ
ルを発生しやすいという欠点がある。例えば、テレホン
カード、プリペイドカード等の磁気カード用に厚物の白
色ポリエステルフィルムが使用されているが、その製造
工程、加工工程や最終製品としての帯電防止性に難点が
あり、フィルム表面に帯電防止性塗膜を形成する方法が
種々提案され、かつ実用化されている。この帯電防止性
塗膜に含有させる帯電防止剤としては、低分子型のもの
や高分子型のものが知られているが、それぞれ長短を有
する。そこで帯電防止剤はその特性を用途に合わせて使
い分けられている。
【0003】例えば、低分子型の帯電防止剤としては、
スルホン酸塩基を有する長鎖アルキル化合物(例えば特
開昭60−141525公報)等のような界面活性剤型
のアニオン系帯電防止剤が知られており、また高分子型
の帯電防止剤としては、アニオン性高分子としてスルホ
ン酸塩変性ポリスチレン(例えば特開昭61−2042
40号公報)、カチオン性高分子として4級アンモニウ
ム塩含有アクリル(例えば特開昭52−136274号
公報)等が知られている。しかし、低分子型の帯電防止
剤を用いた帯電防止性塗膜では、帯電防止剤の一部が塗
膜中を移動して界面に集積しフィルムの反対面等に移行
することによる問題や、帯電防止性が経時的に悪化する
という問題がある。一方、高分子型の帯電防止剤を用い
た帯電防止性塗膜では、良好な帯電防止性を発現するた
めには多量の帯電防止剤の配合が必要であったり、膜厚
の厚い帯電防止性塗膜を形成させることが必要であった
りするため経済的でない。さらに、塗膜が剥がれやすい
欠点等があり、延伸や高温で熱処理することによって透
明性・帯電防止性を損なうなどの欠点を有するため、そ
の解決が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来技術の問題点を解消し、帯電防止性、背面転写
性、耐削れ性に優れた帯電防止性ポリエステルフィルム
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
鑑み鋭意検討した結果、特定の帯電防止剤を用いること
によれば、上記課題を容易に解決できることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要
旨は、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、下記
一般式(I)で示される構造の繰り返し単位を必須成分
とする高分子帯電防止剤(A)を含む塗液を塗布し、乾
燥、延伸して設けられた帯電防止性塗膜を有することを
特徴とする帯電防止フィルムに存する。
【化2】 (上記式中、R1はHまたはメチル基、R2は炭素数が1
〜5の脂肪族炭化水素基、R3およびR4はそれぞれ炭素
数が1〜4の脂肪族炭化水素基、Rは炭素数が1〜1
2の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれ
らの複合基、X-はアニオン性化合物を示す)
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の熱可塑性樹脂フィルム
は、その材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン
に代表されるポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテ
レフタレートに代表されるポリエステルフィルム、ナイ
ロンに代表されるポリアミドフィルム、ポリスチレンフ
ィルム等が使用できるが、これらの中でも、力学的性
質、耐熱性、透明性などに優れたポリエステルフィル
ム、ポリアミドフィルムが好ましく、特に優れた機械強
度の点で、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート等のポリエステルが好ましい。これらの熱
可塑性樹脂フィルムは、常法により製造することができ
る。以後はポリエステルフィルムを代表例として記述す
るが、本発明はそれに限定されるものではない。
【0007】本発明において、ポリエステルフィルムを
構成するポリエステルは、ジカルボン酸成分とグリコー
ル成分とからなる線状ポリエステルである。このジカル
ボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフ
タル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、アジピン
酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を例示しう
る。特にフィルムの機械的性質の点からテレフタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0008】グリコール成分としては、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、1,6−へキサンジオール、
シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール
等を例示しうる。特にフィルムの剛直性の点からエチレ
ングリコールが好ましい。上記のポリエステルは、第3
成分として上記ジカルボン酸成分あるいはグリコール成
分を共重合したコポリエステルであってもよく、三官能
以上の多価カルボン酸成分あるいはポリオール成分を、
得られるポリエステルが実質的に線状となる範囲(例え
ば5モル%以下)で少量共重合したポリエステルであっ
てもよい。
【0009】上記熱可塑性樹脂フィルムには、酸化珪
素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシ
ウム、カオリン、タルク等のような無機フィラー、架橋
シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、架橋アクリル
樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等のような耐熱性ポリマ
ーからなる有機フィラー、酸化チタン、硫酸バリウム等
のような隠蔽性顔料、着色顔料、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、エチレン・プロピレンコポリマー、オレフィ
ン系アイオノマーのような他の樹脂、安定剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤等を必要に応じて添加す
ることもできる。本発明の熱可塑性樹脂フィルムの厚み
は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択されるが、
2μm以上、さらには10〜500μmで使用される例
が多い。この厚さが2μm未満、および500μmを超
えると製膜性が劣る傾向が見られる。
【0010】本発明の基材フィルムは、二軸延伸フィル
ムであることが好ましく、本発明の熱可塑性樹脂フィル
ムの少なくとも片面に設ける帯電防止塗膜は、帯電防止
剤(A)を含む塗液を塗布し、乾燥、延伸して設けられ
る。延伸されていることによって、層の基材フィルムへ
の密着性、層の均一性が向上し、優れた帯電防止効果を
発揮することができる。本発明における帯電防止剤
(A)は、下記式(I)で示される構造の繰り返し単位
を主成分とする化合物である。
【0011】
【化3】 (上記式中、R1はHまたはメチル基、R2は炭素数が1
〜5の脂肪族炭化水素基、R3およびR4はそれぞれ炭素
数が1〜4の脂肪族炭化水素基、Rは炭素数が1〜1
2の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれ
らの複合基、X-はアニオン性化合物を示す)
【0012】上記式中、フェニレン基の置換基の位置は
特に限定されるのもではないが、R 2の結合する位置と
しては、p−置換体が好ましい。Rは上記範囲であれ
ば特に制限はないが、芳香環を有する構造が好ましい。
特に、式中のR2がメチレン基であり、R5がベンジル基
であるものは、塗膜の耐熱性が良好であり、特に帯電防
止性に優れるので好ましい。本発明の帯電防止剤(A)
のX-は、アニオン性化合物であれば特に限定されるも
のではないが、好ましくはハロゲンイオン、モノもしく
はポリハロゲン化アルキルイオン、ナイトレートイオ
ン、サルフェートイオン、アルキルサルフェートイオ
ン、スルホネートイオンまたはアルキルスルホネートイ
オンから適宜選択でき、さらに好ましくは、クロルイオ
ン、メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオ
ン、硝酸イオンの中から選択される。
【0013】本発明の帯電防止剤(A)は常法により製
造することができる。帯電防止剤は、式の成分の単独重
合体でもよいし、他の樹脂成分との共重合体であっても
よい。この共重合成分としては、アクリル系単量体、ビ
ニル系単量体として公知の不飽和2重結合を有する付加
重合性モノマーが好ましい。アクリル系単量体・ビニル
単量体を例示すると、メチルアクリレート、メチルメタ
クリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレー
ト、n−プロピルメタクリレート、n−プロピルアクリ
レート、イソプロピルメタクリレート、イソプロピルア
クリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ブチルア
クリレート、イソブチルメタクリレート、イソブチルア
クリレート、t−ブチルメタクリレート、t−ブチルア
クリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−
エチルヘキシルアクリレート、ラウリルメタクリレー
ト、ラウリルアクリレート、ステアリルメタクリレー
ト、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルメタクリ
レート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルメタク
リレート、フェニルアクリレート等のアクリル系モノマ
ー群、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、
N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−ア
ミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルアクリレ
ート、3−アミノプロピルメタクリレート、3−アミノ
プロピルアクリレート、2−アミノブチルメタクリレー
ト、2−アミノブチルアクリレート、N,N−ジメチル
アミノエチルビニルエーテル、N,N−ジエチルアミノ
エチルビニルエーテル、2−アミノエチルビニルエーテ
ル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−アミノブ
チルビニルエーテル、および上記アミノ基をメチロール
化したもの等のアミノ基を有するモノマー群、ポリエチ
レングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリ
コールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコ
ールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモ
ノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリ
レート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリ
コールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール−
ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、ポ
リエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ
アクリレート、ポリプロピレングリコール−ポリテトラ
メチレングリコールモノメタクリレート等のアルキレン
グリコール側鎖含有モノマー群、スチレン、α−メチル
スチレン、メチルビニルケトン、ブチルビニルエーテ
ル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピリジン、ビ
ニルピロリドン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル、マレイン酸およびイタコン酸のモノま
たはジアルキルエステル、ビニル基を有するアルコキシ
シラン等のビニル系モノマー群を挙げることができる
が、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0014】また、式(I)で示される構造の化合物を
単独重合あるいは、前述の付加重合性モノマー成分との
共重合を後述のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂な
どの樹脂成分存在下で行うグラフト重合等の手法により
共重合体を得ることもできる。帯電防止剤(A)の平均
分子量(数平均分子量)は任意であるが、1000〜3
00000、さらに3000〜100000であること
が好ましい。この平均分子量が1000未満であると、
帯電防止剤(A)の背面転写性が悪化する傾向があり、
平均分子量が300000を越えると塗液の粘度が高く
なりすぎフィルムに均一に塗布し難くなる傾向がある。
【0015】本発明の帯電防止剤(A)は、式(I)で
示される共重合成分の比率を、特に限定するものではな
いが、10重量%以上が好ましく、さらに好ましくは1
5重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であるこ
とが、帯電防止性の点で望ましい。本発明のフィルムの
帯電防止性塗膜には、塗膜と熱可塑性樹脂フィルムとの
接着をより強固なものとするために、前記帯電防止剤
(A)とバインダー樹脂(B)を併用することが好まし
い。このバインダー樹脂(B)としては、アクリル樹
脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹
脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル
樹脂、水溶性樹脂等を例示することができ、これらの樹
脂から選ばれる1種以上の樹脂を用いることが好まし
い。特にアクリル樹脂またはポリウレタン樹脂またはポ
リエステル樹脂を用いると、帯電防止性塗膜とポリエス
テルフィルムとの密着性が良好になるため好ましい。
【0016】バインダー樹脂(B)のガラス転移温後
は、特に制限はないが、0℃以上であることが好まし
く、さらには20〜100℃であることが好ましい。前
記バインダー樹脂(B)であるアクリル樹脂は、アクリ
ル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸ブチル、アクリル酸ソーダ、アクリル酸アンモニウ
ム、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル
酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸ブチル、メタクリル酸ソーダ、メタクリル酸アン
モニウム、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリ
シジルメタクリレート、アクリロニトリル、アクリルア
ミド、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルア
ミド等として例示できるアクリル系モノマーをこれらの
化合物の中からそれぞれ適宜1つ以上選択して、常法の
重縮合反応によって合成することによって得ることがで
きる。これらのモノマーは、例えばスチレン、酢酸ビニ
ル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ジビニルベンゼン、
スチレンスルホン酸ソーダ、ビニルスルホン酸ソーダ、
メタリルスルホン酸ソーダ等の他の不飽和単量体と併用
して重合することもできる。
【0017】また、アクリル系モノマーを含む不飽和2
重結合を有する付加重合性モノマーを後述のポリエステ
ルポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などの樹脂成分
存在下で行うグラフト重合等の手法により共重合体を得
ることもできる。前記バインダー樹脂(B)であるポリ
ウレタン樹脂は、以下のようなポリオール、ポリイソシ
アネート、鎖長延長剤等を原料とする通常の重合反応に
よって合成することができる。ポリオールとしては、例
えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロ
ピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、
ポリオキシテトラメチレングリコールの様なポリエーテ
ル類、ポリエチレンアジペート、ポリエチレン−ブチレ
ンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリヘキシ
レンアジペート、ポリカプロラクトンのようなポリエス
テル類、アクリル系ポリオール、ひまし油などが挙げら
れる。
【0018】ポリイソシアネートとしては、例えば、ト
リレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネー
ト、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、
1,5−ナフタレンジイソシアネートのような芳香族系
ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキ
サメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネー
ト、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネートの様な脂肪族系ジイソ
シアネート等が挙げられる。鎖長延長剤または架橋剤と
しては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレ
ングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、
ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−
ジアミノジシクロヘキシルメタン、水などが挙げられ
る。これらの化合物の中から適宜選択して、常法の重合
反応によって合成することによって得たポリウレタンを
用いることができる。
【0019】前記バインダー樹脂(B)であるポリエス
テル樹脂は、ジカルボン酸成分とグリコール成分とを構
成成分とする線状ポリエステルである。このジカルボン
酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル
酸、2,6ーナフタレンジカルボン酸、4,4−ジフェ
ニルジカルボン酸、1,4ーシクロヘキサンジカルボン
酸、アジピン酸、セバシン酸、フェニルインダンジカル
ボン酸、ダイマー酸等を例示することができる。これら
の成分は二種以上を用いることができる。さらに、これ
らの成分とともにマレイン酸、フマル酸、イタコン酸等
のような不飽和多塩基酸やp−ヒドロキシ安息香酸、p
−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸等のようなヒド
ロキシカルボン酸を少割合用いることができる。不飽和
多塩基酸成分やヒドロキシカルボン酸成分の割合は高々
10モル%、好ましくは5モル%以下である。
【0020】また、グリコール成分としては、エチレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグ
リコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコ
ール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール、キシリレングリコール、ジメチロー
ルプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、ポリ(エチレンオキシ)グリコール、ポリ(テトラ
メチレンオキシ)グリコール、ビスフェノールAのアル
キレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのアル
キレンオキサイド付加物等を例示することができる。こ
れらは2種以上を用いることができる。
【0021】かかるポリオール成分の中でもエチレング
リコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加
物やプロピレンオキサイド付加物、1,4−ブタンジオ
ールが好ましく、さらにエチレングリコール、ビスフェ
ノールAのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキ
サイド付加物が好ましい。また、前記ポリエステル樹脂
には、水性液化を容易にするために若干量の、スルホン
酸塩基を有する化合物やカルボン酸塩基を有する化合物
を共重合させることが可能であり、その方が好ましい。
このスルホン酸塩基を有する化合物としては、例えば5
−Naスルホイソフタル酸、5−アンモニウムスルホイ
ソフタル酸、4−Naスルホイソフタル酸、4−メチル
アンモニウムスルホイソフタル酸、2−Naスルホイソ
フタル酸、5−Kスルホイソフタル酸、4−Kスルホイ
ソフタル酸、2−Kスルホイソフタル酸、Naスルホコ
ハク酸等のスルホン酸アルカリ金属塩系またはスルホン
酸アミン塩系化合物等が好ましく挙げられる。
【0022】このカルボン酸塩基を有する化合物として
は、例えば無水トリメリット酸、トリメリット酸、無水
ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、シク
ロブタンテトラカルボン酸、ジメチロールプロピオン酸
等、あるいはこれらのモノアルカリ金属塩等が挙げられ
る。なお、遊離カルボキシル基は共重合後にアルカリ金
属化合物やアミン化合物を作用させてカルボン酸塩基と
する。これらの化合物の中からそれぞれ適宜1つ以上選
択して、常法の重縮合反応によって合成することによっ
て得たポリエステルを用いることができる。
【0023】本発明における帯電防止性塗膜には、塗膜
と熱可塑性樹脂フィルムとの接着性を調節するため、上
記バインダー樹脂を併用して使用することができる。本
発明における帯電防止性塗膜を形成する塗液は、帯電防
止剤(A)5〜100重量%と、少なくとも1種のバイ
ンダー樹脂(B)0〜95重量%の固形分組成を含む水
性塗液であることが好ましい。さらに好ましくは、帯電
防止剤(A)10〜90重量%、少なくとも1種のバイ
ンダー樹脂(B)10〜90重量%の固形分組成を含む
水性塗液であることが好ましい。特に好ましくは、帯電
防止剤(A)の割合が、5重量%未満であると帯電防止
性が不足するようになることがある。
【0024】本発明における帯電防止性塗膜には、塗膜
と熱可塑性樹脂フィルムとの接着を強固なものとし、帯
電防止性フィルムの耐ブロッキング性を良好なものとす
るため、第3成分として架橋剤、界面活性剤、滑剤等の
添加剤を配合することができる。これら第3成分の含有
量は、適宜最適化して使用することができるが、塗膜中
の全含有量として、50重量%未満であることが好まし
い。さらに好ましくは、1〜30重量%の範囲である。
かかる架橋剤としては、例えばメラミン架橋剤(メトキ
シメチルメラミン、メチロールメラミン等)、エポキシ
架橋剤(ポリグリセロールグリシジル等)、イソシアネ
ート架橋剤(オキシムブロックイソシアネート等)、ア
ジリジン架橋剤、カップリング剤を挙げることができ
る。
【0025】かかる界面活性剤としては、例えばアルキ
レンオキサイド単独重合体、アルキレンオキサイド共重
合体、脂肪族アルコール・アルキレンオキサイド不可
物、長鎖脂肪族置換フェノール・アルキレンオキサイド
不可物、多価アルコール脂肪酸エステル、長鎖脂肪族ア
ミドアルコール等のノニオン系界面活性剤、4級アンモ
ニウム塩を有する化合物、アルキルピリジニウム塩を有
する化合物、スルホン酸塩を有する化合物等のカチオン
系またはアニオン系界面活性剤等を挙げることができ、
特にノニオン系界面活性剤が塗膜とベースフィルムとの
接着性や帯電防止フィルムの耐ブロッキング性に対する
効果が優れるため好ましい。
【0026】かかる滑剤としては、無機粒子(コロイダ
ルシリカ、アルミナ等)、有機粒子(自己架橋スチレン
系粒子、自己架橋性アクリル系粒子、メラミン系樹脂、
ベンゾグアナミン系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹
脂等)を挙げることができる。本発明において、帯電防
止性塗膜は水性塗液(水を媒体とするもの)として塗布
して形成することが好ましいが、塗剤の安定性を助ける
目的で若干量の有機溶剤を含ませてもよいし、有機溶剤
を含有した塗液を塗布して形成することも可能である。
この有機溶剤としては、メチルエチルケトン、アセト
ン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シ
クロヘキサノン、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、
メタノール、エタノール、n−プロパンノール、イソプ
ロパノール等を例示することができる。これらは単独
で、もしくは複数を組み合わせて用いることができる。
【0027】本発明における塗液の固形分濃度は、後述
の乾燥塗膜厚さを満足する限り特に制限はないが、0.
1〜50重量%以上、さらには0.5〜30重量%であ
ることが好ましい。この濃度が0.1重量%未満である
と、十分な塗膜の帯電防止性能を得ることが難しくなる
場合があり、また50重量%を超えると塗布外観が悪化
等のため実用的塗布スピードを得ることが難しくなるこ
とがある。本発明においては、前述の各成分を含む塗液
を熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に塗布する
が、塗布対象としては、結晶配向が完了する前のフィル
ムが好ましい。この配向結晶が完了する前のフィルムと
しては、該熱可塑性樹脂を熱溶融してそのままフィルム
状となした未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向ま
たは横方向の何れか一方に配向せしめた一軸延伸フィル
ム、縦方向および横方向の二方向に低倍率延伸配向させ
たもの(最終的に縦方向および横方向に再延伸して配向
結晶化を完了させる前の二軸延伸フィルム)等を例示す
ることができる。
【0028】熱可塑性樹脂フィルムへの塗液の塗布方法
としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えばロ
ッドコート法、ロールコート法、グラビアコート法、マ
イクログラビアコート法、リバースコート法、ロールブ
ラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート
法、含浸法およびカーテンコート法等を単独または組み
合わせて適用すると良い。塗布量は、特に制限はない
が、最終乾燥塗膜の厚さとしては、0.01〜1μmが
好ましく、さらに好ましくは0.03〜0.8μmであ
る。塗膜の厚さが0.01μm未満であると、帯電防止
性が不十分となることがあり、1μmを超えると、耐ブ
ロッキング性が低下することがある。
【0029】本発明においては、熱可塑性樹脂フィルム
に塗液を塗布した後、乾燥、好ましくは延伸処理を行う
が、この工程は、適用する熱可塑性樹脂によりそれぞれ
異なる。例えばポリエステルフィルムの場合、この乾燥
は90〜130℃で2〜20秒間行うのが好ましい。こ
の乾燥は延伸処理の予熱処理ないし延伸時の加熱処理を
兼ねることができる。熱可塑性樹脂フィルムの延伸処理
は、温度70〜140℃で縦方向に2.5〜6倍、横方
向に2.5〜6倍、面積倍率で8倍以上、さらには9〜
30倍延伸するのが好ましい。再延伸する場合には、
1.05〜3倍の倍率で延伸するのが好ましい(但し、
面積倍率は前記と同じ)。延伸後の熱固定処理は最終延
伸温度より高くかつ融点以下の温度で1〜30秒行うの
が好ましい。例えばポリエチレンテレフタレートフィル
ムでは170〜240℃で2〜30秒熱固定するのが好
ましい。
【0030】かくして得られた帯電防止フィルムは、例
えば表面固有抵抗率(温度23℃、湿度50%)が通常
3×1013Ω/□未満、好ましくは3×1012Ω/□で
あり、さらに好ましくは3×1010Ω/□未満のもの
で、接着性、帯電防止性、耐ブロッキング性、背面転写
性、耐削れ性に優れたものである。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。本発明における評価は次に示す方法で行った。
【0032】(1)表面固有抵抗率(帯電防止性)1 サンプルフィルムの表面固有抵抗を、ヒューレットパッ
カード社製高抵抗計:4329A(商品名)および測定
電極:16008A(商品名)を使用し、測定温度23
℃、測定湿度50%の条件調湿後、印加電圧100Vで
1分後の表面固有抵抗率(Ω/□)を測定し、以下の基
準で判定した。 ◎:3×1010Ω/□未満 ○:3×1012Ω/□未満 △:3×1013Ω/□未満 ×:3×1013Ω/□以上
【0033】(2)背面転写性 サンプルフィルムの塗布面を非塗布フィルムと重ね、1
0kg/cm2の荷重を加え、23℃×50%RHで、
20時間処理した後、非塗布フィルム表面の表面固有抵
抗率を前述1の条件で測定し、下記の基準により評価し
た。 ○:1×1014Ω/□以上 ×:1×1014Ω/□未満 なお、実験に用いた非塗布フィルムの表面固有抵抗率
は、1×1014Ω/□以上であった。
【0034】(3)塗布層濁度 JIS−K6714に準じ、日本電色工業社製分球式濁
度計NDH−20Dによりフィルムの濁度を測定した。
塗布フィルムと非塗布フィルムの濁度と塗布フィルムの
濁度の差を測定し、以下の基準により評価した。○:フ
ィルム濁度差0.5%未満 △:フィルム濁度0.5%以上、1%未満 ×:フィルム濁度1%以上
【0035】[塗布層成分] (A)帯電防止成分 帯電防止剤(A1):p−クロロメチルスチレンとジメ
チルベンジルアミンより合成した下式:
【化4】 で表されるモノマー(p−ビニルベンジルジメチルベン
ジルアンモニウムクロライド,45重量%)、メトキシ
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(新中村化
学社製NKエステル M−90G、45重量%)、ジメ
チルアミノエチルメタクリレート(10重量%)を蒸留
水中に溶解しフラスコ内で約60℃に加熱拡販しながら
重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミノジプ
ロパン)2塩酸塩を添加することで重合し、得た帯電防
止樹脂の水溶液。
【0036】帯電防止剤(A2):帯電防止剤(A1)
のジメチルアミノエチルメタクリレートをアセトアセト
キシエチルメタクリレートとした帯電防止樹脂の水溶
液。 帯電防止剤(A3):ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム 帯電防止剤(A4):ポリスチレンスルホン酸ナトリウ
ム(日本NSC社製バーサTL−70)
【0037】帯電防止性(A5):下式:
【化5】 で表されるモノマー(メタクリロイルコリンクロライ
ド,45重量%)、メトキシポリエチレングリコールモ
ノメタクリレート(新中村化学社製NKエステルM−9
0G、45重量%)、ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート(10重量%)を蒸留水中に溶解しフラスコ内で約
60℃に加熱拡販しながら重合開始剤として2,2’−
アゾビス(2−アミノジプロパン)2塩酸塩を添加する
ことで重合し、得た帯電防止樹脂。
【0038】(B)バインダー成分 バインダー樹脂(B1):水性アクリル樹脂(日本カー
バイド工業社製、ニカゾール) (C)第3成分 架橋剤(C1):エポキシ架橋剤(ナガセケムテックス
社製、デナコール) 架橋剤(C2):メラミン架橋剤(大日本インキ社製、
ベッカミン) 界面活性剤(C3):ノニルフェノール系界面活性剤
(ライオン社製 リポノックス) 滑剤(C4):コロイダルシリカ(日産化学社製:スノ
ーテックス)
【0039】実施例1 固有粘度0.65(オルソクロロフェノール中、35
℃)のポリエチレンテレフタレート(平均粒径約2.4
μmのシリカ粒子を0.005%含有)のペレットを1
80℃熱風乾燥結晶下後、押出し機に供給し、280〜
300℃の温度でTダイからシート状に溶融押し出し
し、20℃に温度調整した鏡面冷却ドラム上にキャスト
・急冷し、厚さ約720μmの未延伸フィルムを得た。
次にこのフィルムを85℃で長手方向に3.7倍延伸
し、一軸延伸フィルムを得た。このフィルムに帯電防止
層として、高分子帯電防止剤:A1(99重量部)と界
面活性剤:C3(1重量部)を、イオン交換水で固形分
濃度5重量%に希釈し調整した塗布液をポリエステルフ
ィルムの片面に、バーコーターを用いて約6μm(we
t厚)塗布した。次に110〜150℃のゾーンで横方
向に3.9倍延伸し、230℃で熱処理して、結晶配向
の完了した厚さ50μmの二軸延伸ポリエステルフィル
ムを得た。この横方向の延伸処理以降の熱処理で塗膜を
乾燥させ帯電防止層を設けたフィルムを得た。この方法
によって得られたポリエステルフィルムのヘーズは1
%、全光線透過率は、89%であった。このフィルムの
特性を下記表2に示す。
【0040】実施例2〜6 実施例1で用いた塗布液を下記表1に記載のように変更
する以外は実施例1と全く同様にして二軸延伸ポリエス
テルフィルムを得た。このフィルムの特性を表2に示
す。
【0041】比較例1〜4 実施例1で用いた塗布液を表1に記載のように変更する
以外は実施例1と全く同様にして二軸延伸ポリエステル
フィルムを得た。このフィルムの特性を表2に示す。 比較例5 実施例1において、組成物を塗布せずに得た二軸延伸ポ
リエステルフィルムの特性を表2に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、従来のものに比べて、
帯電防止性、背面転写性、透明性、耐熱性に優れた帯電
防止性フィルムを提供することができ、本発明の工業的
価値は高い。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F006 AA35 AB16 BA07 CA02 CA07 4F100 AH03B AH03C AH03H AK01A AK41A BA03 BA06 CA22B CA22C CA22K CC00B CC00C EH46 EJ37 GB15 GB41 GB71 GB90 JB05B JB05C JB16A JG03B JG03C JG04 JL06 JN01 YY00B YY00C 4J100 AB02Q AB03Q AB07P AC03Q AC04Q AE02Q AE09Q AF10Q AG04Q AL03Q AL04Q AL05Q AL08Q AL34Q AL36Q AL44Q AM02Q AP16Q AQ08Q AQ12Q BA03Q BA08Q BA28Q BA29Q BA31Q BA32P BA77Q BC04Q BC43Q CA01 CA04 DA01 DA58 JA25 JA43 JA58

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面
    に、下記一般式(I)で示される構造の繰り返し単位を
    必須成分とする高分子帯電防止剤(A)を含む塗液を塗
    布し、乾燥、延伸して設けられた帯電防止性塗膜を有す
    ることを特徴とする帯電防止フィルム。 【化1】 (上記式中、R1はHまたはメチル基、R2は炭素数が1
    〜5の脂肪族炭化水素基、R3およびR4はそれぞれ炭素
    数が1〜4の脂肪族炭化水素基、Rは炭素数が1〜1
    2の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれ
    らの複合基、X-はアニオン性化合物を示す)
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂フィルムが、ポリエステル
    フィルムであることを特徴とする請求項1記載の帯電防
    止フィルム。
  3. 【請求項3】 帯電防止剤(A)が、一般式(I)で示
    される構造の繰り返し単位を10〜100重量%含む重
    合体であることを特徴とする請求項1記載の帯電防止フ
    ィルム。
  4. 【請求項4】 塗液が、帯電防止剤(A)5〜100重
    量%と、少なくとも1種のバインダー樹脂(B)0〜9
    5重量%の固形分組成を含む水性塗液であることを特徴
    とする請求項1記載の帯電防止フィルム。
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