JPH08283931A - 膜被覆物およびその製造方法 - Google Patents
膜被覆物およびその製造方法Info
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Abstract
膜被覆物およびその製造方法を提供する。 【構成】 この膜被覆物2は、基体4の表面に、窒化ク
ロム単独または窒化クロムおよびクロムから成る窒化ク
ロム系膜6を形成し、かつこの窒化クロム系膜6の表面
に、ダイヤモンド構造の炭素を含む炭素および窒化炭素
の少なくとも一方から成る炭素系膜8を形成したもので
ある。このような膜被覆物2は、基体4に対して、クロ
ムの蒸着と、少なくとも窒素イオンを含むイオンビーム
の照射とを行い、次いで、炭素の蒸着と、不活性ガスイ
オンおよび窒素イオンの少なくとも一方を含むイオンビ
ームの照射とを行うことによって製造することができ
る。
Description
具、金型その他摺動部品等に用いられるものであって、
基体の耐摩耗性、摺動性、潤滑性等を向上させるため
に、基体の表面に高硬度の炭素系膜を被覆した膜被覆物
およびその製造方法に関する。
向上させるために、高硬度の炭素系膜を基体の表面に被
覆する試みが成されている。そのような炭素系膜の代表
的なものに、ダイヤモンド薄膜がある。
に合成する試みが近年盛んに行われているが、中でも、
特開昭63−206387号公報に提案されているよう
な、炭素の蒸着と不活性ガスイオンの照射とを併用する
方法は、高品質のダイヤモンド薄膜が低温下で密着性良
く合成できるという利点がある。
ド薄膜を被覆したダイヤモンド薄膜被覆物を、基体の耐
摩耗性や摺動性等の向上を目的として工業的に応用する
場合には、硬度のみでなく、膜の靱性をも向上させなけ
ればならない。これは、膜が靱性に乏しいと、ダイヤモ
ンド薄膜被覆物を例えば工具、金型あるいは磁気ヘッド
等として使用した場合、使用中に膜が割れたり欠けたり
して、膜の特性が発揮できないからである。
方法では膜の靱性の向上については考慮されておらず、
そのため、当該方法の効果が十分に生かされないのが実
状である。
よび靱性に優れている膜被覆物およびその製造方法を提
供することを主たる目的とする。
め、この発明の膜被覆物は、基体の表面に、窒化クロム
単独または窒化クロムおよびクロムから成る窒化クロム
系膜を形成し、かつこの窒化クロム系膜の表面に、ダイ
ヤモンド構造の炭素を含む炭素および窒化炭素の少なく
とも一方から成る炭素系膜を形成していることを特徴と
する。
基体に対して、クロムの蒸着と、少なくとも窒素イオン
を含むイオンビームの照射とを行うことによって、当該
基体の表面に、窒化クロム単独または窒化クロムおよび
クロムから成る窒化クロム系膜を形成した後に、当該窒
化クロム系膜に対して、炭素の蒸着と、不活性ガスイオ
ンおよび窒素イオンの少なくとも一方を含むイオンビー
ムの照射とを行うことによって、当該窒化クロム系膜の
表面に、ダイヤモンド構造の炭素を含む炭素および窒化
炭素の少なくとも一方から成る炭素系膜を形成すること
を特徴とする。
化炭素はダイヤモンドと同程度に高硬度であるので、ダ
イヤモンド構造の炭素を含む炭素および窒化炭素の少な
くとも一方から成る炭素系膜は高硬度である。
に、膜内に過大な内部応力がもたらされることが挙げら
れる。この内部応力は、膜と基体との格子定数や熱膨張
係数の不整合によるところが大きい。これを改善するた
めには、膜と基体との界面に靱性に優れた膜を中間層と
して形成し、この中間層が膜全体の靱性を改善するよう
にするのが有効であり、しかもこの中間層として、窒化
クロム単独または窒化クロムおよびクロムから成る窒化
クロム系膜を用いると、表面の上記のような炭素系膜の
靱性向上に特に有効であることを見い出した。
系膜の中間層として設けると、この窒化クロム系膜は、
炭素系膜ほどは硬くはないけれども適度な硬度と靱性を
有しているので、炭素系膜と基体との格子定数や熱膨張
係数の不整合を緩和して炭素系膜の内部応力を緩和する
働きをすると共に、炭素系膜のクッション材的な作用を
するので、表面の炭素系膜の靱性を向上させることがで
きる。しかもこの窒化クロム系膜は、適度な硬度を有し
ているので、表面の炭素系膜の硬度を低下させる心配も
ない。
全体として、硬度および靱性に優れたものとなる。
る蒸着粒子と照射イオンとの衝突によって両者の反応が
起こり、それによって低温下で基体の表面に窒化クロム
単独または窒化クロムおよびクロムからなる窒化クロム
系膜を形成することができる。しかもその際、基体と窒
化クロム系膜との界面付近には、両者の構成元素が混じ
り合って成る混合層が形成される。この混合層が形成さ
れるのは、照射イオンがその運動エネルギーによって
自ら基体内に注入される(注入作用)、照射イオンの
一部が、注入と同時に基体構成元素をはじき出す(スパ
ッタ作用)、照射イオンの一部が、同時または交互に
蒸着される蒸着粒子を基体内に押し込む(押込み作
用)、といった主としてこれら3作用による。そしてこ
の混合層がいわば楔のような作用をするので、基体に対
する窒化クロム系膜の密着性が非常に高くなる。
蒸着粒子と照射イオンとの衝突によって、蒸着粒子の励
起または蒸着粒子と照射イオンとの反応が起こり、それ
によって低温下で、窒化クロム系膜の表面に、ダイヤモ
ンド構造の炭素を含む炭素および窒化炭素の少なくとも
一方から成る炭素系膜を形成することができる。しかも
その際、照射イオンの上述した注入作用、スパッタ作用
および押込み作用によって、窒化クロム系膜と炭素系膜
との界面付近には、両者の構成元素が混じり合って成る
混合層が形成され、これがいわば楔のような作用をする
ので、窒化クロム系膜に対する炭素系膜の密着性も非常
に高くなる。
に、硬度、靱性および密着性に優れた膜を低温下で形成
することができる。
分的に示す断面図である。この膜被覆物2は、基体4の
表面に、窒化クロム単独または窒化クロムおよびクロム
から成る窒化クロム系膜6を形成し、かつこの窒化クロ
ム系膜6の表面に、ダイヤモンド構造の炭素を含む炭素
および窒化炭素の少なくとも一方から成る炭素系膜8を
形成している。
い。例えば、膜被覆物2が磁気ヘッドの場合は基体4は
そのコア等であり、膜被覆物2が工具の場合は基体4は
工具鋼であり、膜被覆物2が金型である場合は基体4は
金型材である。
単独、または窒化クロムとクロムの混合物、である。
の炭素を含む炭素、窒化炭素、またはダイヤモンド
構造の炭素を含む炭素と窒化炭素との混合物、である。
上記、の炭素中に、ダイヤモンド構造の炭素が多く
含まれている方が硬度上好ましいが、その割合は100
%である必要はない。
ンドと同程度に高硬度であるので、ダイヤモンド構造の
炭素を含む炭素および窒化炭素の少なくとも一方から成
る当該炭素系膜8は高硬度である。
を、基体4と炭素系膜8との間に中間層として設ける
と、窒化クロム系膜6は、炭素系膜8ほどは硬くないけ
れども適度な硬度と靱性を有しているので、炭素系膜8
と基体4との格子定数や熱膨張係数の不整合を緩和して
炭素系膜8の内部応力を緩和する働きをすると共に、炭
素系膜8のクッション材的な作用をするので、表面の炭
素系膜8の靱性を向上させることができる。しかもこの
窒化クロム系膜6は、単に靱性を有しているだけではな
く適度な硬度を有しているので、表面の炭素系膜8の硬
度を低下させる心配もない。
膜6および8は全体として、硬度および靱性の両方に優
れたものとなる。従ってこのような膜被覆物2によれ
ば、基体4の耐摩耗性、耐食性、摺動性、潤滑性等を効
果的に向上させることができる。
造の炭素やグラファイト構造の炭素が含まれていると、
それらは粒子が細かいため炭素系膜8の表面が滑らかに
なり、潤滑性がより向上する。
耐食性が高く、かつ窒化クロム系膜6中の窒化クロムと
同じ窒化物であるからそれとの格子定数および熱膨張係
数の不整合が少なくて窒化クロムとの馴染みが良いの
で、炭素系膜8中に窒化炭素が含まれていると、炭素系
膜8の耐食性および窒化クロム系膜6に対する密着性が
より向上する。炭素系膜8が窒化炭素から成る場合は、
炭素系膜8の耐食性および窒化クロム系膜6に対する密
着性は更に向上する。
の例を図2を参照しながら説明する。
するホルダ10が設けられており、それに向けて蒸発源
12およびイオン源16が配置されている。
13を加熱蒸気化して蒸発物質14を蒸発させ、それを
基体4の表面または同表面に形成された膜の表面に蒸着
させるものである。この蒸発物質14として、前述した
窒化クロム系膜6の形成時はクロムを蒸発させ、炭素系
膜8の形成時は炭素を蒸発させる。この蒸発源12の方
式は、例えば蒸発材料13を電子ビームや高周波を用い
て加熱するものやターゲットをスパッタリングするもの
等でも良く、特定の方式に限定されない。
7をイオン化して、所定のエネルギーに加速されたイオ
ンビーム18を引き出し、それを基体4の表面または同
表面に形成された膜の表面に照射するものである。この
イオン源16は、例えば多極磁場型のいわゆるバケット
型イオン源が大面積大電流等の点で好ましいが、勿論そ
れ以外の方式のイオン源でも良い。
オン源16から少なくとも窒素イオンを含むイオンビー
ム18を引き出してそれを基体4の表面に照射する。よ
り具体的には、この時のイオンビーム18を構成するイ
オンの種類は、窒素イオンのみでも良いし、窒素イ
オンと、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キ
セノン等の不活性ガスイオンとの混合イオンでも良い。
その理由は後述する。
16から不活性ガスイオンおよび窒素イオンの少なくと
も一方を含むイオンビーム18を引き出してそれを基体
4上の窒化クロム系膜6の表面に照射する。より具体的
には、この時のイオンビーム18を構成するイオンの種
類は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キ
セノン等の不活性ガスイオンのみでも良いし、窒素イ
オンのみでも良いし、前記のような不活性ガスイオン
と窒素イオンの混合イオンでも良い。その理由は後述す
る。
しては、まず、所望の基体4をホルダ10に取り付け、
真空容器内を所定の真空度に排気した後、蒸発源12か
ら蒸発物質14としてクロムを蒸発させ、これを基体4
の表面に蒸着させる。かつこの蒸着と同時または交互
に、イオン源16から少なくとも窒素イオンを含むイオ
ンビーム18を引き出してそれを基体4の表面に照射す
る。
粒子と照射イオンとの衝突によって両者の反応が起こ
り、それによって低温下で、基体4の表面に、窒化クロ
ム単独または窒化クロムおよびクロムから成る前述した
窒化クロム系膜6を形成することができる。しかもその
際、基体4と窒化クロム系膜6との界面5の付近には、
両者の構成元素が混じり合って成る混合層が形成され
る。この混合層が形成されるのは、照射イオンがその
運動エネルギーによって自ら基体内に注入される(注入
作用)、照射イオンの一部が、注入と同時に基体構成
元素をはじき出す(スパッタ作用)、照射イオンの一
部が、同時または交互に蒸着される蒸着粒子を基体内に
押し込む(押込み作用)、といった主としてこれら3作
用による。そしてこの混合層が言わば楔のような作用を
するので、基体4に対する窒化クロム系膜6の密着性が
非常に高くなる。
イオンの他に不活性ガスイオンをも含めておくと、反応
に関与しない不活性ガスイオンの運動エネルギーによる
混合層形成作用のみを利用することができるので、混合
層の形成をより容易にすることができる。
て炭素を蒸発させ、これを上記先の工程によって基体4
上に形成された窒化クロム系膜6の表面に蒸着させる。
かつこの蒸着と同時または交互に、イオン源16から不
活性ガスイオンおよび窒素イオンの少なくとも一方を含
むイオンビーム18を引き出してそれを基体4上の窒化
クロム系膜6の表面に照射する。
おける蒸着粒子と照射イオンとの衝突によって、蒸着粒
子の励起または蒸着粒子と照射イオンとの反応が起こ
り、それによって低温下で、窒化クロム系膜6の表面
に、ダイヤモンド構造の炭素を含む炭素および窒化炭素
の少なくとも一方から成る前述した炭素系膜8を形成す
ることができる。即ち、照射イオンによって炭素の蒸着
粒子が励起されて、ダイヤモンド構造の炭素が形成され
る。また、イオンビーム18が窒素イオンで構成されて
いる、あるいは窒素イオンと不活性ガスイオンとで構成
されている場合は、蒸着炭素と窒素イオンとが反応して
窒化炭素が形成される。しかもその際、照射イオンの上
述した注入作用、スパッタ作用および押込み作用によっ
て、窒化クロム系膜6と炭素系膜8との界面7の付近に
は、両者の構成元素が混じり合って成る混合層が形成さ
れ、これが言わば楔のような作用をするので、窒化クロ
ム系膜6に対する炭素系膜8の密着性が非常に高くな
る。
な膜被覆物2を製造することができる。
および8は全体として、硬度および靱性に優れている。
その理由は前述のとおりである。しかも各界面5および
7に混合層が形成されるので膜の密着性も非常に高い。
従って、この製造方法によれば、基体4の表面に、硬度
および靱性に優れているだけでなく密着性にも非常に優
れた膜を低温下で形成することができる。その結果、基
体4の耐摩耗性、耐食性、摺動性、潤滑性等をより一層
効果的に向上させることができる。
ンビーム18の加速エネルギーは、0.1keV以上4
0keV以下が好ましい。これは、0.1keV未満で
あると、照射イオンによる混合層の形成が不十分で膜の
密着性向上に寄与せず、また40keVを超えると、基
体4への熱的な損傷が過大に加えられて好ましくないか
らである。
イオンの照射量および蒸着速度は特に限定されず、生産
コストおよび基体4の耐熱性等を考慮して決めれば良
く、例えば耐熱性の低い基体4では照射量を低く抑えれ
ば良い。但し、窒化クロム系膜6を形成する際の膜のC
r/N組成比は0.5以上10以下が好ましく、この組
成比になるようにイオンの照射量とクロムの蒸着速度を
決定する。これは、Cr/N組成比が0.5未満である
と、窒素が過剰で内部応力が大きくなって膜の靱性が劣
化してしまい、10を超えると、軟らかいクロムが多す
ぎて膜の硬度が劣化してしまい好ましくないからであ
る。また、窒化クロム系膜6中の窒化クロムの構造は、
CrNでもCr2Nでも良い。
例と、この発明の要件を満たさない比較例の幾つかにつ
いて説明する。いずれの例も、図1に示したような装置
を用いた。
(SKH51)を用い、それをホルダ10に設置した
後、真空容器内を1×10-6Torr以下の真空度に保
った。その後、電子ビーム加熱式の蒸発源12より、ク
ロムを加熱蒸気化してそれを基体4上に蒸着させると同
時に、イオン源16よりイオンビーム18として窒素イ
オンを1.0keVの加速エネルギーで引き出して基体
4に照射した。このようにして基体4上に窒化クロム系
膜6を100nm成膜した。この時、膜のCr/N組成
比が1.5になるように、クロムの蒸着速度と窒素イオ
ンの照射量とを調整した。
蒸発源12から炭素を加熱蒸気化して蒸着させると同時
に、イオン源16よりイオンビーム18としてアルゴン
イオンを1.0keVの加速エネルギーで照射した。こ
のようにして基体4上の窒化クロム系膜6の表面に炭素
系膜8を400nm成膜した。この時、炭素の蒸着量と
アルゴンイオンの照射量との比は2.0になるように調
整した。
(SKH51)を用い、それをホルダ10に設置した
後、真空容器内を1×10-6Torr以下の真空度に保
った。その後、電子ビーム加熱式の蒸発源12より、ク
ロムを加熱蒸気化してそれを基体4上に蒸着させると同
時に、イオン源16よりイオンビーム18として窒素イ
オンを0.5keVの加速エネルギーで引き出して基体
4に照射した。このようにして基体4上に窒化クロム系
膜6を100nm成膜した。この時、膜のCr/N組成
比が2.0になるように、クロムの蒸着速度と窒素イオ
ンの照射量とを調整した。
蒸発源12から炭素を加熱蒸気化して蒸着させると同時
に、イオン源16よりイオンビーム18として窒素イオ
ンを1.0keVの加速エネルギーで照射した。このよ
うにして基体4上の窒化クロム系膜6の表面に炭素系膜
8を400nm成膜した。この時、炭素の蒸着量と窒素
イオンの照射量との比は1.0になるように調整した。
(SKH51)を用い、それをホルダ10に設置した
後、真空容器内を1×10-6Torr以下の真空度に保
った。その後、電子ビーム加熱式の蒸発源12より、炭
素を加熱蒸気化してそれを基体4上に蒸着させると同時
に、イオン源16よりイオンビーム18としてアルゴン
イオンを1.0keVの加速エネルギーで引き出して基
体4に照射した。このようにして基体4上に、窒化クロ
ム系膜6を設けることなくいきなり炭素系膜8を500
nm成膜した。この時、炭素の蒸着量とアルゴンイオン
の照射量との比は2.0になるように調整した。
た膜被覆物について、10g荷重ビッカース硬度により
膜の硬度を測定した。また、AEセンサ付きスクラッチ
試験機によって膜の密着強度を測定した。その結果を表
1に示す。
および比較例1のいずれも、膜の硬度は優れている。実
施例2のものの硬度がより高いのは、炭素系膜8中に窒
化炭素が形成されたためであると考えられる。
た際、ビッカース圧痕の周辺にクラックが入った。一
方、実施例1および2のものには、いずれも、ビッカー
ス圧痕の周辺にはクラックが入らず、従って実施例1お
よび2のものは、比較例1のものに比べて靱性に優れて
いることが確かめられた。
のものは比較例1のものに比べて遙かに高いことが確か
められた。実施例1および2のように中間層として窒化
クロム系膜6を介在させると膜の密着性も向上するの
は、炭素系膜8と窒化クロム系膜6との間で格子定数
や熱膨張係数の不整合が少ないので炭素系膜8の窒化ク
ロム系膜6に対する密着性が高く、しかも窒化クロム
系膜6を構成するクロムは化学的に活性であるので、窒
化クロム系膜6の基体4に対する密着性も高い、ことに
よるものと考えられる。
ては、表面の、ダイヤモンド構造の炭素を含む炭素およ
び窒化炭素の少なくとも一方から成る炭素系膜は高硬度
であり、しかもその下の窒化クロム系膜は、適度な硬度
と靱性とを有していて、炭素系膜の内部応力を緩和する
と共に炭素系膜のクッション材的な作用をするので、表
面の炭素系膜の靱性を向上させることでき、従って基体
表面の膜は全体として、硬度および靱性に優れたものと
なる。しかも、窒化クロム系膜を中間層として介在させ
ると、炭素系膜を直接基体表面に形成する場合に比べ
て、膜全体の基体に対する密着性も向上する。
の表面に前述したような窒化クロム系膜および炭素系膜
を形成することができ、しかもその際、照射イオンの注
入作用、スパッタ作用および押込み作用によって、基体
と窒化クロム系膜との界面付近および窒化クロム系膜と
炭素系膜との界面付近には、それぞれ、その両側の構成
元素が混じり合って成る混合層が形成され、これが言わ
ば楔のような作用をするので、基体に対する窒化クロム
系膜および窒化クロム系膜に対する炭素系膜の密着性が
共に非常に高くなる。 従って、基体の表面に、硬度お
よび靱性に優れているだけでなく密着性にも非常に優れ
た膜を形成することができる。
断面図である。
を示す概略図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 基体の表面に、窒化クロム単独または窒
化クロムおよびクロムから成る窒化クロム系膜を形成
し、かつこの窒化クロム系膜の表面に、ダイヤモンド構
造の炭素を含む炭素および窒化炭素の少なくとも一方か
ら成る炭素系膜を形成していることを特徴とする膜被覆
物。 - 【請求項2】 前記炭素系膜が、ダイヤモンド構造の炭
素を含む炭素および窒化炭素から成る請求項1記載の膜
被覆物。 - 【請求項3】 前記炭素系膜が窒化炭素から成る請求項
1記載の膜被覆物。 - 【請求項4】 真空雰囲気中で、基体に対して、クロム
の蒸着と、少なくとも窒素イオンを含むイオンビームの
照射とを行うことによって、当該基体の表面に、窒化ク
ロム単独または窒化クロムおよびクロムから成る窒化ク
ロム系膜を形成した後に、当該窒化クロム系膜に対し
て、炭素の蒸着と、不活性ガスイオンおよび窒素イオン
の少なくとも一方を含むイオンビームの照射とを行うこ
とによって、当該窒化クロム系膜の表面に、ダイヤモン
ド構造の炭素を含む炭素および窒化炭素の少なくとも一
方から成る炭素系膜を形成することを特徴とする膜被覆
物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11394695A JP3716451B2 (ja) | 1995-04-14 | 1995-04-14 | 膜被覆物およびその製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11394695A JP3716451B2 (ja) | 1995-04-14 | 1995-04-14 | 膜被覆物およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08283931A true JPH08283931A (ja) | 1996-10-29 |
JP3716451B2 JP3716451B2 (ja) | 2005-11-16 |
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ID=14625177
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---|---|---|---|
JP11394695A Expired - Fee Related JP3716451B2 (ja) | 1995-04-14 | 1995-04-14 | 膜被覆物およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3716451B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004076710A1 (ja) * | 2003-02-26 | 2004-09-10 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | 非晶質炭素膜、その製造方法および非晶質炭素膜被覆部材 |
-
1995
- 1995-04-14 JP JP11394695A patent/JP3716451B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004076710A1 (ja) * | 2003-02-26 | 2004-09-10 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | 非晶質炭素膜、その製造方法および非晶質炭素膜被覆部材 |
US7416786B2 (en) | 2003-02-26 | 2008-08-26 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Amorphous carbon film, process for producing the same and amorphous carbon film-coated material |
Also Published As
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---|---|
JP3716451B2 (ja) | 2005-11-16 |
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JPH08269693A (ja) | 薄膜形成方法 |
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