JPH0588310B2 - - Google Patents
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- JPH0588310B2 JPH0588310B2 JP28973588A JP28973588A JPH0588310B2 JP H0588310 B2 JPH0588310 B2 JP H0588310B2 JP 28973588 A JP28973588 A JP 28973588A JP 28973588 A JP28973588 A JP 28973588A JP H0588310 B2 JPH0588310 B2 JP H0588310B2
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Landscapes
- Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
Description
[産業上の利用分野]
本発明は、複合硬質材料及びその製造方法に関
し、特に耐酸化性の優れた複合硬質材料及びその
製造方法に係わる。 [従来の技術及び課題] 耐熱性が高く、硬質であるTiNは、従来より
種々の基材上に被覆してその特長である耐熱性、
耐摩耗性を基材に付与することが行われ、かつ各
方面で実用化されている。特に、高速度鋼、超硬
合金にTiN膜を被覆した複合硬質材料は耐摩耗
部品、切削工具等で長年に亙つて実績を上げてき
ている。しかしながら、工業的利用の面から更に
苛酷な使用条件に耐える複合硬質材料が要望され
ている。 上述した要望から、最近、Ti(C・N)、(Ti,
Hf)N、(Ti,Zr)N等の3元系の複合材料が検
討され、夫々の元素の特長を生かした特性を有す
る材料の開発が行われている。 一方、(Ti,Al)N系の複合材料はAl成分を含
むため、高温での酸化条件下で保護膜である
Al2O3を生成することにより耐酸化性の向上が確
認されており、該複合材料を基材被覆した複合硬
質材料は、従来の複合硬質材料(例えば基材上に
TiNを被覆したもの)に比べてクレータ及びフ
ランク摩耗量が少ないため、有望な切削工具用材
料と考えられている。 しかしながら、(Ti,Al)Nの特定の組成、例
えば(50at%Ti−50at%Al)Nの組成の複合被
膜を所望の基材上に直接被覆すると、基材と複合
被膜との化学組成、結晶構造の相違からそれらの
界面での構成ギヤツプにより密着性が不十分とな
つたり、熱膨張係数のギヤツプにより熱応力下で
界面から複合被膜が剥離する等の問題があつた。 本発明は、上記従来の課題を解決するためにな
されたもので、耐酸化性の優れた(Ti,Al)N
組成を有する複合被膜を基材上にそれら界面での
クラツクや剥離発生等を招くことなく良好に密着
させた複合硬質材料、並びにかかる複合硬質材料
を簡単な工程により製造し得る方法を提供しよう
とするものである。 [課題を解決するための手段] 本発明は、基材上に、該基材側からAl量を段
階的もしくは連続的に増加させた(Ti,Al)N
系の組成構造を有する複合被膜を被覆したことを
特徴とする複合硬質材料である。 上記基材としては、例えば高速度鋼、超硬合
金、サーメツト等からなるものを挙げることがで
きる。 また、本発明方法は基材上にTi及びAlを蒸着
すると同時にイオン源より窒素イオンを照射する
イオンミキシング法により該基材側からAl量を
段階的もしくは連続的に増加させた(Ti,Al)
N系の組成構造を有する複合被膜を形成すること
を特徴とする複合硬質材料の製造方法である。 上記Ti,Alの蒸着手段としては、ターゲツト
を利用したイオンビームスパツタ法と、電子ビー
ムによる真空蒸着を挙げることができる。前者の
方法では、所定の化学組成を有するTi−Al合金
ターゲツトを利用してもよく、或いはTi及びAl
単体の金属ターゲツトに順次スパツタイオンビー
ムを照射して合金膜を基材表面に蒸着してもよ
い。この場合、スパツタイオンビームの加速電
圧、ビーム電流を調節したり、ターゲツトにイオ
ンビームを照射する時間を調節することにより蒸
着組成を制御することが可能となる。また、電子
ビームを用いる真空蒸着法の場合はダブルハース
方式で電子ビームによりTiとAlを蒸着するがTi
とAlとを連続的に蒸着することも可能であり、
適当な時間間隔をおいて蒸着することも可能であ
り、組成制御も可能である。 前記イオン源より照射する窒素イオンは、蒸着
と独立して操作することが可能である。このた
め、蒸着量と窒素イオンの相対的な組成比率は自
由に調節でき、目的とする所定比率の(Ti,Al)
Nの被膜を形成することが可能であり、組成を段
階的もしくは連続的に制御することが可能であ
る。 [作用] 本発明によれば、基材上に、該基材側からAl
量を段階的もしくは連続的に増加させた(Ti,
Al)N系の組成構造を有する複合被膜を被覆す
ることによつて、基材と接する複合被膜の界面で
の極端な組成の落差に起因する複合被膜のクラツ
クや剥離等の発生を防止できると共に基材に対す
る密着性を向上できる。また、複合被膜中のAl
量を基材側から段階的もしくは連続的に増加させ
ることによつて、最上層側の被膜部分中のAlの
Tiリツチ層への拡散を抑制できるため、目的と
した耐酸化性及び切削性能を有する複合被膜を基
材上に被覆した複合硬質材料を得ることができ
る。 更に、本発明によれば組成制御、組成の段階的
もしくは連続的な制御が容易なイオンミキシング
法を採用しているため、既述したような耐酸化性
及び切削性能を有する複合被膜を基材上に対して
クラツク等を発生せずに良好に密着、被覆した複
合硬質材料を簡単に製造することができる。 [実施例] 以下、本発明の実施例を詳細に説明する。 実施例 1 まず、基材としての30×30×2mmの寸法の高速
度鋼板を用意し、この板をイオン照射と蒸着機能
を備えた真空チヤンバ内のホルダに保持した。つ
づいて、このチヤンバ内を5×10-6torrに真空引
きした後、イオン源から加速電圧5kVのArイオ
ンを引き出し、前記板に照射して表面清浄化のた
めの前処理を施した。次いで、Ti及びAlをダブ
ルハース方式の電子ビーム蒸着法で、まず前記高
速度鋼板にTiを3.0Å/secの蒸着速度で蒸着しな
がら、Alを0〜3.0Å/secの蒸着速度で次第に蒸
着速度を増大させて、Ti−Alの組成変化がなさ
れた連続膜を形成すると同時にイオン源から窒素
イオンを加速電圧10kV、イオン電流密度
0.25mA/cm2の条件で引き出し、該連続膜に照射
して複合窒化物膜を形成し、最後に(50at%Ti
−50at%Al)Nの組成となるように条件をコン
トロールして厚さが4μmの複合被膜を形成して複
合硬質材料を製造した。 比較例 1 前記実施例1と同様な前処理を施した高速度鋼
板にダブルハース方式と窒素イオンの照射により
厚さ4μmの(50at%Ti−50at%Al)Nの組成を
持つ複合被膜を直接形成して複合硬質材料を製造
した。なお、TiとAlの蒸着速度は夫々3mA.0
Å/sec、窒素イオンの照射を加速電圧10kV、イ
オン電流密度0.25/cm2の条件で行なつた。 しかして、真空チヤンバから取出した本実施例
1及び比較例1の複合硬質材料を切断し、断面を
SEMで観察した。その結果、比較例1の複合硬
質材料では高速度鋼と複合被膜の界面に僅かであ
るがマイクロクラツクの発生が認められた。これ
に対し、本実施例1の複合硬質材料では高速度鋼
板と複合被膜との界面にも何等の欠陥も観察され
ず良好な被覆構造を有することが確認された。 実施例 2 一般的なCVD法によりTiN膜が被覆された超
硬合金チツプをイオン照射と蒸着機能を備えた真
空チヤンバ内のホルダに保持した。つづいて、こ
のチヤンバ内を5×10-6torrに真空引きした後、
イオン源から加速電圧5kVのArイオンを引き出
し、前記チツプ表面に5分間照射して表面清浄化
のための前処理を施した。ひきつづき、75at%
Ti−25at%Alのターゲツトにスパツタイオン源
より加速電圧3.5kV、イオン電流2.0Aで引出した
Arイオンを照射して前記チツプにスパツタ蒸着
すると同時に他のイオン源から窒素イオンを加速
電圧10kV、イオン電流密度0.25mA/cm2の条件で
引き出し、該スパツタ蒸着膜に照射して厚さ2μm
の(75at%Ti−25at%Al)N組成を有する複合
窒化物膜を形成した。次いで、この複合窒化物膜
に別の50at%Ti−50at%Alのターゲツトにスパ
ツタイオン源より加速電圧2.5kV、イオン電流
1.5Aで引出したArイオンを照射して前記チツプ
にスパツタ蒸着すると同時に他のイオン源から窒
素イオンを加速電圧10kV、イオン電流密度
0.25mA/cm2の条件で引き出し、該スパツタ蒸着
膜に照射して厚さ約2μmの(50at%Ti−50at%
Al)N組成を有する複合窒化物膜を形成して複
合硬質材料を製造した。 比較例 2 前記実施例2と同様に表面清浄化処理された
TiN膜が被覆された超硬合金チツプにスパツタ
蒸着と窒素イオンの照射により厚さ4μmの(50at
%Ti−50at%Al)N組成を有する複合窒化物膜
のみを形成して複合硬質材料を製造した。 しかして、本実施例2及び比較例2の複合硬質
材料によりHB=280のSNCM8鋼をV=180m/
min,f=0.25mm/rev,t=1.5mm(1回の切削
時での切り込み量)の条件で切削した時の耐摩耗
性を調べた。その結果、本実施例2の複合硬質材
料では10分間でVB=0.15mmであつたが、比較例
2の複合硬質材料では10分間でVB=0.25mmと劣
つており、しかも基材であるTiN被覆超硬合金
チツプと複合窒化物膜との界面で一部クラツクの
発生が認められた。 実施例 3 30×30×2mmのTi板を実施例1と同様な表面
清浄化処理を施し、電子ビームによるダフルハー
ス方式によりTi,Alの電子ビーム蒸着量をコン
トロールしながら、同時に窒素イオンを照射して
多層の複合窒化物膜を形成した複合硬質材料を製
造した。なお、各膜の組成、Ti及びAlの蒸着速
度、窒素イオンの照射時の加速電圧、ビーム電流
密度を下記第1表に示す。
し、特に耐酸化性の優れた複合硬質材料及びその
製造方法に係わる。 [従来の技術及び課題] 耐熱性が高く、硬質であるTiNは、従来より
種々の基材上に被覆してその特長である耐熱性、
耐摩耗性を基材に付与することが行われ、かつ各
方面で実用化されている。特に、高速度鋼、超硬
合金にTiN膜を被覆した複合硬質材料は耐摩耗
部品、切削工具等で長年に亙つて実績を上げてき
ている。しかしながら、工業的利用の面から更に
苛酷な使用条件に耐える複合硬質材料が要望され
ている。 上述した要望から、最近、Ti(C・N)、(Ti,
Hf)N、(Ti,Zr)N等の3元系の複合材料が検
討され、夫々の元素の特長を生かした特性を有す
る材料の開発が行われている。 一方、(Ti,Al)N系の複合材料はAl成分を含
むため、高温での酸化条件下で保護膜である
Al2O3を生成することにより耐酸化性の向上が確
認されており、該複合材料を基材被覆した複合硬
質材料は、従来の複合硬質材料(例えば基材上に
TiNを被覆したもの)に比べてクレータ及びフ
ランク摩耗量が少ないため、有望な切削工具用材
料と考えられている。 しかしながら、(Ti,Al)Nの特定の組成、例
えば(50at%Ti−50at%Al)Nの組成の複合被
膜を所望の基材上に直接被覆すると、基材と複合
被膜との化学組成、結晶構造の相違からそれらの
界面での構成ギヤツプにより密着性が不十分とな
つたり、熱膨張係数のギヤツプにより熱応力下で
界面から複合被膜が剥離する等の問題があつた。 本発明は、上記従来の課題を解決するためにな
されたもので、耐酸化性の優れた(Ti,Al)N
組成を有する複合被膜を基材上にそれら界面での
クラツクや剥離発生等を招くことなく良好に密着
させた複合硬質材料、並びにかかる複合硬質材料
を簡単な工程により製造し得る方法を提供しよう
とするものである。 [課題を解決するための手段] 本発明は、基材上に、該基材側からAl量を段
階的もしくは連続的に増加させた(Ti,Al)N
系の組成構造を有する複合被膜を被覆したことを
特徴とする複合硬質材料である。 上記基材としては、例えば高速度鋼、超硬合
金、サーメツト等からなるものを挙げることがで
きる。 また、本発明方法は基材上にTi及びAlを蒸着
すると同時にイオン源より窒素イオンを照射する
イオンミキシング法により該基材側からAl量を
段階的もしくは連続的に増加させた(Ti,Al)
N系の組成構造を有する複合被膜を形成すること
を特徴とする複合硬質材料の製造方法である。 上記Ti,Alの蒸着手段としては、ターゲツト
を利用したイオンビームスパツタ法と、電子ビー
ムによる真空蒸着を挙げることができる。前者の
方法では、所定の化学組成を有するTi−Al合金
ターゲツトを利用してもよく、或いはTi及びAl
単体の金属ターゲツトに順次スパツタイオンビー
ムを照射して合金膜を基材表面に蒸着してもよ
い。この場合、スパツタイオンビームの加速電
圧、ビーム電流を調節したり、ターゲツトにイオ
ンビームを照射する時間を調節することにより蒸
着組成を制御することが可能となる。また、電子
ビームを用いる真空蒸着法の場合はダブルハース
方式で電子ビームによりTiとAlを蒸着するがTi
とAlとを連続的に蒸着することも可能であり、
適当な時間間隔をおいて蒸着することも可能であ
り、組成制御も可能である。 前記イオン源より照射する窒素イオンは、蒸着
と独立して操作することが可能である。このた
め、蒸着量と窒素イオンの相対的な組成比率は自
由に調節でき、目的とする所定比率の(Ti,Al)
Nの被膜を形成することが可能であり、組成を段
階的もしくは連続的に制御することが可能であ
る。 [作用] 本発明によれば、基材上に、該基材側からAl
量を段階的もしくは連続的に増加させた(Ti,
Al)N系の組成構造を有する複合被膜を被覆す
ることによつて、基材と接する複合被膜の界面で
の極端な組成の落差に起因する複合被膜のクラツ
クや剥離等の発生を防止できると共に基材に対す
る密着性を向上できる。また、複合被膜中のAl
量を基材側から段階的もしくは連続的に増加させ
ることによつて、最上層側の被膜部分中のAlの
Tiリツチ層への拡散を抑制できるため、目的と
した耐酸化性及び切削性能を有する複合被膜を基
材上に被覆した複合硬質材料を得ることができ
る。 更に、本発明によれば組成制御、組成の段階的
もしくは連続的な制御が容易なイオンミキシング
法を採用しているため、既述したような耐酸化性
及び切削性能を有する複合被膜を基材上に対して
クラツク等を発生せずに良好に密着、被覆した複
合硬質材料を簡単に製造することができる。 [実施例] 以下、本発明の実施例を詳細に説明する。 実施例 1 まず、基材としての30×30×2mmの寸法の高速
度鋼板を用意し、この板をイオン照射と蒸着機能
を備えた真空チヤンバ内のホルダに保持した。つ
づいて、このチヤンバ内を5×10-6torrに真空引
きした後、イオン源から加速電圧5kVのArイオ
ンを引き出し、前記板に照射して表面清浄化のた
めの前処理を施した。次いで、Ti及びAlをダブ
ルハース方式の電子ビーム蒸着法で、まず前記高
速度鋼板にTiを3.0Å/secの蒸着速度で蒸着しな
がら、Alを0〜3.0Å/secの蒸着速度で次第に蒸
着速度を増大させて、Ti−Alの組成変化がなさ
れた連続膜を形成すると同時にイオン源から窒素
イオンを加速電圧10kV、イオン電流密度
0.25mA/cm2の条件で引き出し、該連続膜に照射
して複合窒化物膜を形成し、最後に(50at%Ti
−50at%Al)Nの組成となるように条件をコン
トロールして厚さが4μmの複合被膜を形成して複
合硬質材料を製造した。 比較例 1 前記実施例1と同様な前処理を施した高速度鋼
板にダブルハース方式と窒素イオンの照射により
厚さ4μmの(50at%Ti−50at%Al)Nの組成を
持つ複合被膜を直接形成して複合硬質材料を製造
した。なお、TiとAlの蒸着速度は夫々3mA.0
Å/sec、窒素イオンの照射を加速電圧10kV、イ
オン電流密度0.25/cm2の条件で行なつた。 しかして、真空チヤンバから取出した本実施例
1及び比較例1の複合硬質材料を切断し、断面を
SEMで観察した。その結果、比較例1の複合硬
質材料では高速度鋼と複合被膜の界面に僅かであ
るがマイクロクラツクの発生が認められた。これ
に対し、本実施例1の複合硬質材料では高速度鋼
板と複合被膜との界面にも何等の欠陥も観察され
ず良好な被覆構造を有することが確認された。 実施例 2 一般的なCVD法によりTiN膜が被覆された超
硬合金チツプをイオン照射と蒸着機能を備えた真
空チヤンバ内のホルダに保持した。つづいて、こ
のチヤンバ内を5×10-6torrに真空引きした後、
イオン源から加速電圧5kVのArイオンを引き出
し、前記チツプ表面に5分間照射して表面清浄化
のための前処理を施した。ひきつづき、75at%
Ti−25at%Alのターゲツトにスパツタイオン源
より加速電圧3.5kV、イオン電流2.0Aで引出した
Arイオンを照射して前記チツプにスパツタ蒸着
すると同時に他のイオン源から窒素イオンを加速
電圧10kV、イオン電流密度0.25mA/cm2の条件で
引き出し、該スパツタ蒸着膜に照射して厚さ2μm
の(75at%Ti−25at%Al)N組成を有する複合
窒化物膜を形成した。次いで、この複合窒化物膜
に別の50at%Ti−50at%Alのターゲツトにスパ
ツタイオン源より加速電圧2.5kV、イオン電流
1.5Aで引出したArイオンを照射して前記チツプ
にスパツタ蒸着すると同時に他のイオン源から窒
素イオンを加速電圧10kV、イオン電流密度
0.25mA/cm2の条件で引き出し、該スパツタ蒸着
膜に照射して厚さ約2μmの(50at%Ti−50at%
Al)N組成を有する複合窒化物膜を形成して複
合硬質材料を製造した。 比較例 2 前記実施例2と同様に表面清浄化処理された
TiN膜が被覆された超硬合金チツプにスパツタ
蒸着と窒素イオンの照射により厚さ4μmの(50at
%Ti−50at%Al)N組成を有する複合窒化物膜
のみを形成して複合硬質材料を製造した。 しかして、本実施例2及び比較例2の複合硬質
材料によりHB=280のSNCM8鋼をV=180m/
min,f=0.25mm/rev,t=1.5mm(1回の切削
時での切り込み量)の条件で切削した時の耐摩耗
性を調べた。その結果、本実施例2の複合硬質材
料では10分間でVB=0.15mmであつたが、比較例
2の複合硬質材料では10分間でVB=0.25mmと劣
つており、しかも基材であるTiN被覆超硬合金
チツプと複合窒化物膜との界面で一部クラツクの
発生が認められた。 実施例 3 30×30×2mmのTi板を実施例1と同様な表面
清浄化処理を施し、電子ビームによるダフルハー
ス方式によりTi,Alの電子ビーム蒸着量をコン
トロールしながら、同時に窒素イオンを照射して
多層の複合窒化物膜を形成した複合硬質材料を製
造した。なお、各膜の組成、Ti及びAlの蒸着速
度、窒素イオンの照射時の加速電圧、ビーム電流
密度を下記第1表に示す。
【表】
比較例 3
30×30×2mmのTi板を実施例1と同様な表面
清浄化処理を施した後、該Ti板上に上記第1表
の第3層目の膜形成と同様な方法により厚さ3μm
の(50at%Ti−50at%Al)N組成を有する複合
窒化物膜を直接形成して複合硬質材料を製造し
た。 しかして、本実施例3及び比較例3の複合硬質
材料を夫々空気中で1700℃、300時間の酸化試験
を行ない、酸化増量を調べた。その結果を下記第
2表に示した。
清浄化処理を施した後、該Ti板上に上記第1表
の第3層目の膜形成と同様な方法により厚さ3μm
の(50at%Ti−50at%Al)N組成を有する複合
窒化物膜を直接形成して複合硬質材料を製造し
た。 しかして、本実施例3及び比較例3の複合硬質
材料を夫々空気中で1700℃、300時間の酸化試験
を行ない、酸化増量を調べた。その結果を下記第
2表に示した。
【表】
上記第2表から明らかなように、本実施例3の
複合硬質材料は耐酸化性が極めて優れていること
がわかる。 なお、上記実施例では基材上に該基材側から
Al量を段階的もしくは連続的に増大させた(Ti,
Al)N系の組成構造を有する複合被膜を被覆し
た複合硬質材料について説明したが、基材の種類
や結晶構造等により該基材側からAl量を段階的
もしくは連続的に減少させた(Ti,Al)N系の
組成構造を有する複合被膜を基材上に被覆した
り、Al量を段階的もしくは連続的に増減させた
複合被膜を基材上に被覆してもよい。 [発明の効果] 以上詳述した如く、本発明によれば耐酸化性の
優れた(Ti,Al)N組成を有する複合被膜を基
材上にそれら界面でのクラツクや剥離発生等を招
くことなく良好に密着させた耐摩耗部品や切削工
具等に好適な複合硬質材料、並びにかかる複合硬
質材料を簡単な工程により製造し得る方法を提供
できる。
複合硬質材料は耐酸化性が極めて優れていること
がわかる。 なお、上記実施例では基材上に該基材側から
Al量を段階的もしくは連続的に増大させた(Ti,
Al)N系の組成構造を有する複合被膜を被覆し
た複合硬質材料について説明したが、基材の種類
や結晶構造等により該基材側からAl量を段階的
もしくは連続的に減少させた(Ti,Al)N系の
組成構造を有する複合被膜を基材上に被覆した
り、Al量を段階的もしくは連続的に増減させた
複合被膜を基材上に被覆してもよい。 [発明の効果] 以上詳述した如く、本発明によれば耐酸化性の
優れた(Ti,Al)N組成を有する複合被膜を基
材上にそれら界面でのクラツクや剥離発生等を招
くことなく良好に密着させた耐摩耗部品や切削工
具等に好適な複合硬質材料、並びにかかる複合硬
質材料を簡単な工程により製造し得る方法を提供
できる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 基材上に、該基材側からAl量を段階的もし
くは連続的に増加させた(Ti,Al)N系の組成
構造を有する複合被膜を被覆したことを特徴とす
る複合硬質材料。 2 基材上にTi及びAlを蒸着すると同時にイオ
ン源より窒素イオンを照射するイオンミキシング
法により該基材側からAl量を段階的もしくは連
続的に増加させた(Ti,Al)N系の組成構造を
有する複合被膜を形成することを特徴とする複合
硬質材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28973588A JPH02138459A (ja) | 1988-11-16 | 1988-11-16 | 複合硬質材料及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28973588A JPH02138459A (ja) | 1988-11-16 | 1988-11-16 | 複合硬質材料及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02138459A JPH02138459A (ja) | 1990-05-28 |
JPH0588310B2 true JPH0588310B2 (ja) | 1993-12-21 |
Family
ID=17747075
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28973588A Granted JPH02138459A (ja) | 1988-11-16 | 1988-11-16 | 複合硬質材料及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH02138459A (ja) |
Families Citing this family (24)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH04103755A (ja) * | 1990-08-23 | 1992-04-06 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | 表面被覆鋼製品及びその製造方法 |
JP2699031B2 (ja) * | 1991-05-21 | 1998-01-19 | 株式会社不二越 | 複層コーティング工具 |
JPH0634818B2 (ja) * | 1992-04-09 | 1994-05-11 | 大 山岡 | Ti−Al−N組成物の皮膜を備えた器具 |
JP2999346B2 (ja) * | 1993-07-12 | 2000-01-17 | オリエンタルエンヂニアリング株式会社 | 基体表面被覆方法及び被覆部材 |
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KR0180850B1 (ko) * | 1996-06-26 | 1999-03-20 | 구자홍 | 유리기판 에칭장치 |
KR100265556B1 (ko) | 1997-03-21 | 2000-11-01 | 구본준 | 식각장치 |
US6327011B2 (en) | 1997-10-20 | 2001-12-04 | Lg Electronics, Inc. | Liquid crystal display device having thin glass substrate on which protective layer formed and method of making the same |
KR100272513B1 (ko) | 1998-09-08 | 2001-01-15 | 구본준 | 유리기판의 식각장치 |
KR100308157B1 (ko) | 1998-10-22 | 2001-11-15 | 구본준, 론 위라하디락사 | 액정표시소자용 유리기판 |
KR100552798B1 (ko) | 2000-11-30 | 2006-02-20 | 엘지.필립스 엘시디 주식회사 | 액정 표시 장치의 씰 패턴 및 그의 형성 방법 |
KR100685918B1 (ko) | 2000-12-27 | 2007-02-22 | 엘지.필립스 엘시디 주식회사 | 유리기판 식각장치 및 이를 이용한 유리기판 식각방법 |
KR100652041B1 (ko) | 2000-12-29 | 2006-11-30 | 엘지.필립스 엘시디 주식회사 | 액정표시소자 및 그 제조방법 |
KR100595302B1 (ko) | 2000-12-30 | 2006-07-03 | 엘지.필립스 엘시디 주식회사 | 액정표시소자 제조를 위한 유리기판 식각장치 |
US8512580B2 (en) | 2001-09-21 | 2013-08-20 | Lg Display Co., Ltd. | Method of fabricating thin liquid crystal display device |
KR100595303B1 (ko) | 2001-09-25 | 2006-07-03 | 엘지.필립스 엘시디 주식회사 | 식각장치용 버블판 및 그를 이용한 식각장치 |
KR100771949B1 (ko) | 2001-11-07 | 2007-10-31 | 엘지.필립스 엘시디 주식회사 | 초박형 액정표시장치용 씰패턴 |
KR100809938B1 (ko) | 2001-12-06 | 2008-03-06 | 엘지.필립스 엘시디 주식회사 | 액정 표시 장치의 제조 방법 |
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KR100606965B1 (ko) | 2001-12-29 | 2006-08-01 | 엘지.필립스 엘시디 주식회사 | 식각장치 |
KR100843132B1 (ko) | 2002-05-23 | 2008-07-02 | 엘지디스플레이 주식회사 | 액정표시장치용 씰패턴 |
KR100710160B1 (ko) | 2002-10-07 | 2007-04-20 | 엘지.필립스 엘시디 주식회사 | 유리기판 파손방지용 카세트 |
-
1988
- 1988-11-16 JP JP28973588A patent/JPH02138459A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02138459A (ja) | 1990-05-28 |
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