JP2000225620A - 樹脂成形用金型及びその製造方法 - Google Patents

樹脂成形用金型及びその製造方法

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JP2000225620A JP11028966A JP2896699A JP2000225620A JP 2000225620 A JP2000225620 A JP 2000225620A JP 11028966 A JP11028966 A JP 11028966A JP 2896699 A JP2896699 A JP 2896699A JP 2000225620 A JP2000225620 A JP 2000225620A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カーボンフィラーなどが入っている樹脂の成
形に対して耐久性のある樹脂成形用金型を製造する。 【解決手段】 型母材の表面に第1ガスイオンを注入す
る工程と、型母材の表面に、チタンを蒸着しながら窒素
雰囲気内で上記第1ガスイオンまたは第1ガスイオンと
は異なる第2ガスイオンを注入することにより、Ti
N、Ti2 NおよびTi3 Nのうちの少なくとも2種の
化合物を含む混合物膜を形成する工程とを備える。高硬
度で型母材との密着性の高い膜のため、耐久性のある膜
となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂成形用金型及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック材料を成形する金型、機械
摩耗部品、切削工具等の表面硬度や耐磨耗性を向上させ
るため、型母材自体の硬さを増加させるか、あるいは型
母材表面に硬質膜を成膜する処理が従来より行われてい
る。前者の型母材自体の硬度を増加させる方法として
は、硬い材料、例えば超硬質の炭化物などを用いたり、
焼き入れを行うなどがあるが、いずれも精密な加工が困
難であったり、成形時の温度変化によって亀裂などの欠
陥を生じ易い。又、焼き入れの場合には、処理後の寸法
変化が大きい問題がある。
【0003】後者の型母材表面に成膜される硬質膜とし
ては、TiNやTiC等の硬質膜を真空蒸着やイオンプ
レーティング等のドライプロセスにより成膜する方法で
形成される。しかしながら、最近では金型等を使用する
際の温度、圧力等の環境が過酷化し、膜の更なる高硬度
化や高密着性が求められており、上述したような方法に
よる硬質膜では不十分となっている。
【0004】このような問題点に対し、特公平7−11
6587号公報には、ホウ素、炭素、窒素または酸素の
中の1種のイオンの注入と、チタンの真空蒸着とを同時
に行うことが開示されている。この方法では、型母材と
膜との間に界面がなく、密着性の高いTiB、TiC、
TiN或いはTiO2 膜を形成するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した公報
の方法で得られた膜の硬度及び密着性は、過酷な成形条
件下では不十分となるものである。特に、成形品の強度
を向上させることを目的として、ガラスやカーボンのフ
ィラーの入った樹脂などを成形材料として用いる際に
は、摩耗が著しく、更なる型の耐久性の向上が必要とな
っている。
【0006】本発明は、このような従来の問題点を考慮
してなされたものであり、ガラスやカーボンなどのフィ
ラーなどが入った樹脂などを成形しても、良好な耐久性
が得られる樹脂成形用金型及びその製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の発明の樹脂成形用金型は、TiN、Ti
2 NおよびTi3 Nのうちの少なくとも2種の化合物か
らなる混合物膜が型母材の表面に形成されていることを
特徴とする。
【0008】型母材上に形成されたTiN、Ti2 Nお
よびTi3 Nのうちの少なくとも2種の化合物からなる
混合物膜では、TiNおよびTi2 NまたはTi3 Nの
各化合物の結晶成長を互いに抑制しながら成長するた
め、各化合物単体の膜よりも結晶粒が非常に細かく、緻
密な膜となる。一般に、結晶粒が細かく、密度の高い膜
は高硬度となることが知られており、従ってこの発明の
混合物膜は高硬度となり、しかも密着力も高くなる。こ
のため、ガラスやカーボンなどのフィラーなどが入った
樹脂などの成形に対して良好な耐久性を有したものとす
ることができる。
【0009】請求項2の発明は、請求項1記載の発明で
あって、上記混合物膜は、第1ガスイオンを注入した
後、チタンを蒸着しながら窒素雰囲気内で上記第1ガス
イオンまたは第1ガスイオンとは異なる第2ガスイオン
を注入することにより形成されることを特徴とする。
【0010】この発明では、第1ガスイオンの注入によ
って、型母材表面の汚れや自然酸化層が除去すると共
に、型母材の表面がエッチングするため、型母材と膜と
の密着性が向上する。このため、樹脂成形の耐久性が向
上する。又、その後のチタン蒸着を窒素雰囲気内で行う
ことにより、請求項1の発明の高硬度の膜となる。
【0011】請求項3の発明の製造方法は、型母材の表
面に第1ガスイオンを注入する工程と、上記型母材の表
面に、チタンを蒸着しながら窒素雰囲気内で上記第1ガ
スイオンまたは第1ガスイオンとは異なる第2ガスイオ
ンを注入することにより、TiN、Ti2 NおよびTi
3 Nのうちの少なくとも2種の化合物を含む混合物膜を
形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0012】この発明では、TiN、Ti2 NおよびT
3 Nのうちの少なくとも2種の化合物を含む混合物膜
をダイナミックミキシング法によって成膜するものであ
る。すなわち、膜を構成するチタン金属元素の蒸着と、
膜を構成する窒素元素のイオン注入とを同時に行うこと
により、窒化チタン系からなる化合物膜を成膜する。イ
オン注入では、添加を目的とする窒素原子をイオン化
し、高真空中で数keVから数100keVに加速して
型母材に添加することにより、バルクと異なった特定の
性質を有する表面層を形成することができる。ダイナミ
ックミキシング法はイオン注入の効果により、通常の蒸
着膜よりも密着性の良い膜が得られるものである。
【0013】本発明における型母材に第1ガスイオンを
注入する工程では、前工程での洗浄で除去できない型母
材表面の汚れや自然酸化層を除去すると共に、型母材の
表面をエッチングすることにより膜と型母材との密着性
を向上することができる。この第1ガスイオンとして
は、窒素、酸素、アルゴン、その他のガスを注入するこ
とができる。
【0014】第1ガスイオンとして、窒素イオンを注入
する場合には、以上の効果に加えて、窒素イオンが型母
材を窒化するため、硬度が向上する。この窒素イオンの
注入エネルギー(加速速度)は、上述した十分な効果及
び過剰注入による型の寸法変化等のダメージを考慮した
場合、10keVから100keVの範囲であることが
望ましい。
【0015】かかる第1ガスイオンの注入の後、同じチ
ャンバー内でTiN系膜のダイナミックミキシング法に
よる成膜を行う。ダイナミックミキシングにおいて蒸着
する金属元素はTiである。Tiの蒸着レート(蒸着速
度)は、その他の条件との兼ね合いで設定されるもので
あり、3〜30オングストローム/secの間で調整す
ることにより、チタンリッチなTiN系膜を作製するこ
とができる。
【0016】一方、注入イオンとしては、N,C,O,
Ar等であり、その反応促進のために20keV以上の
エネルギー(好ましくは20keV〜100keV)で
イオン注入する。さらに窒素の供給源として窒素ガスを
0〜20sccmの間で導入することにより、窒素雰囲
気とする。この場合、反応促進を目的として、型を加熱
しても良い。
【0017】型母材として用いられる材質としては、F
e、Cr等を主成分とするSUS系鋼材、Cr,Zn,
Ni,Al等の非鉄金属等の種々の材質を用いることが
可能であるが、金型の精度、コスト等を考慮した場合、
SUS系鋼材が、特に好ましい。
【0018】ダイナミックミキシングでは、型母材上に
TiN、Ti2 NおよびTi3 Nのうちの少なくとも2
種の化合物からなる混合物膜が形成されるが、この混合
物膜はTiNおよびTi2 NまたはTi3 Nの各化合物
の結晶成長を互いに抑制しながら成長するため、各化合
物単体の膜よりも結晶粒が非常に細かく、緻密な膜とな
る。このため、高硬度の膜となる。しかも、ダイナミッ
クミキシングを用いた膜であるため、密着力も高い膜と
なる。これらにより、樹脂の成形に対して耐久性のある
金型とすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)図1は樹脂成形
用金型の型母材に対してダイナミックミキシングによる
成膜を行うイオン注入装置である。真空チャンバー1内
には、型母材としてのSUS系鋼材12を保持するため
の試料ホルダー3が設けられている。試料ホルダー3は
回転駆動系4によって回転可能に保持されており、回転
駆動系4は、図示しない基台に固定されている。
【0020】SUS系鋼材12の蒸着面12aに対向す
る位置には、SUS系鋼材12に対してイオンを放出す
るイオン放出器2が配設されている。イオン放出器2は
イオンを取り込む取込口5とプラズマ室6とを備えてい
る。又、イオンビーム9を放出するイオン放出器2のイ
オン放出部位の前方には、シャッター7が開閉可能に設
けられている。
【0021】真空チャンバー1内には、SUS系鋼材1
2の蒸着面12aに蒸着物質を蒸着させる電子ビーム蒸
着器20が配設されている。電子ビーム蒸着器20は蒸
着物質としてのチタン10と、このチタン10に電子ビ
ームを打ち込む電子ビーム銃11とを備えている。電子
ビーム蒸着器20による蒸着速度は、電子ビーム電流の
調整により制御する。
【0022】真空チャンバー1の排気口8には、真空チ
ャンバー1内を排気するための排気用ポンプ(図示せ
ず)が接続されている。また、真空チャンバー1内に窒
素ガスを導入して、真空チャンバー1内を窒素雰囲気と
するための窒素ガス管13が挿入されている。この窒素
ガス管13は真空チャンバー1の外側に配置された窒素
ガスボンベ30に接続されている。
【0023】以下、この実施の形態によって樹脂成形用
金型を製造する手順を説明する。樹脂成形用金型の型母
材であるSUS系鋼材12は、予め洗浄された後、真空
チャンバー1内の試料ホルダー3に保持される。この保
持では、その蒸着面12aをイオン放出器2に向けるよ
うに行われる。
【0024】まず、真空チャンバー1内を排気用ポンプ
によって、3×10-5Pa程度の真空度にする。そし
て、シャッター7を開口して、イオン放出器2のイオン
放出部2aから第1ガスイオンである窒素イオンをイオ
ンビーム9として放出し、この窒素イオンを50ke
V、5×1017ions/cm2 でSUS系鋼材12の
蒸着面12aに注入する。
【0025】この窒素イオンの注入によって、洗浄では
除去することができないSUS系鋼材12の蒸着面12
aの汚れや自然酸化層を除去すると共に、蒸着面12a
をエッチングするため、膜と蒸着面12aとの密着性が
向上する。特に、この実施の形態では、窒素イオンを注
入するため、これらに加えて、窒素イオンがSUS系鋼
材12の蒸着面12aを窒化するため、硬度が増大す
る。
【0026】次に、窒素ガス管13から窒素ガスを真空
チャンバー1内に3sccm導入して、真空チャンバー
1内を窒素雰囲気とする。その後、SUS系鋼材12の
蒸着面12aに対して、電子ビーム蒸着器20によって
チタン10を10オングストローム/secの蒸着速度
で蒸着すると同時に、イオン放出器2によって窒素イオ
ンを60keVで注入する。これにより、蒸着面12a
に対してミキシング膜を3μm成膜する。なお、3μm
成膜後の窒素イオンの注入量は、7×1017ions/
cm2 程度であった。以上によって製造された樹脂成形
用金型を試料(A)とする。
【0027】次に、試料(A)と比較するための樹脂成
形用金型を作製する。まず、窒素ガス管13から窒素ガ
スを真空チャンバー1内に3sccm導入して窒素雰囲
気とする。その後、SUS系鋼材12の蒸着面12a
に、電子ビーム蒸着器20によってチタン10を2オン
グストローム/secの蒸着速度で蒸着しながら、イオ
ン放出器2によって窒素イオンを10keVで注入す
る。これにより、ミキシング膜を3μm成膜する。この
3μm成膜後の窒素イオンの注入量は、2×1017io
ns/cm2 程度であった。以上によって製造された樹
脂成形用金型を試料(B)とする。
【0028】上記の試料(A)及び(B)の元素分析を
行った結果、(A)はTiNとTi 2 Nとが共存した膜
となっており、(B)はTiNのみの膜であった。これ
らの膜を荷重25gf、押し付け時間15秒でビッカー
ス硬度を測定したところ、試料(A)は2300Hvで
あったのに対し、試料(B)は900Hvであった。
【0029】また、膜の密着性をスクラッチ試験により
比較した。スクラッチ試験では、スタイラスの曲率半径
10μm、荷重0〜50gf、振幅50μmで行った結
果、試料(A)は50gfまで荷重を上げても膜剥離が
起きなかったのに対し、試料(B)は10gf程度で膜
が剥離してしまった。
【0030】(実施の形態2)この実施の形態では、実
施の形態1と同様に洗浄後のSUS系鋼材12を図1の
真空チャンバー1内の試料ホルダー3に取り付け、イオ
ン放出器2から第1のガスイオンとしてのアルゴンイオ
ンを100keV、5×1018ions/cm 2 で蒸着
面12aに注入した。
【0031】次に、真空チャンバー内に窒素ガス管13
から窒素ガスを5sccm導入して窒素ガス雰囲気とし
た。その後、電子ビーム蒸着器20からチタン10を2
0オングストローム/secの蒸着速度で蒸着しなが
ら、イオン放出器2から窒素イオンを30keVで注入
した。これによりSUS系鋼材12の蒸着面12aにミ
キシング膜を3μm成膜した。3μm成膜後の窒素イオ
ンの注入量は5×1017ions/cm2 程度であっ
た。このようにして作製した樹脂成形用金型を試料
(C)とする。
【0032】これに対し、比較のために真空チャンバー
内に窒素ガス管13から窒素ガスを5sccm導入して
窒素ガス雰囲気とした状態で、電子ビーム蒸着器20か
らチタン10を40オングストローム/secの蒸着速
度で蒸着しながら、イオン放出器2から窒素イオンを5
0keVで注入してSUS系鋼材12の蒸着面12aに
ミキシング膜を3μm成膜した。3μm成膜後の窒素イ
オンの注入量は5×1017ions/cm2 程度であっ
た。このようにして作製した樹脂成形用金型を試料
(D)とする。
【0033】上記の試料(C)及び(D)の元素分析を
行った結果、(C)はTiNとTi 2 Nが共存した膜と
なっており、(D)はTi3 Nのみの膜であった。これ
らの膜を荷重25gf、押し付け時間15秒の条件でビ
ッカース硬度を測定したところ、試料(C)は2200
Hvであったのに対し、試料(D)は1500Hvであ
った。
【0034】また、膜の密着性をスクラッチ試験により
比較した。スクラッチ試験では、スタイラスの曲率半径
10μm、荷重0〜50gf、振幅50μmで行った結
果、試料(C)は50gfまで荷重を上げても膜剥離が
起きなかったのに対し、試料(D)は25gf程度で膜
が剥離した。
【0035】次に、同じSUS系鋼材から成る樹脂成形
用金型を2個用意し、それぞれに対して、上述と同様の
方法でTiNおよびTi2 Nの混合膜と、Ti3 N単膜
とを成膜して、上述の試料(C)及び試料(D)を作製
した。
【0036】そして、それぞれの樹脂成形用金型につい
て、カーボンフィラーを20%、ガラスフィラーを10
%含有したポリカーボネートを用いて、型温を130℃
程度に設定して成形を行った。その結果、試料(C)の
型は2万ショット成形しても磨耗しなかったが、試料
(D)の型は5000ショット程度で型の磨耗が確認で
きた。これにより、試料(C)の型の方が硬度のみなら
ず成形の耐久性にも優れることが確認できた。
【0037】なお、以上の実施の形態においては、Ti
NとTi2 Nの混合膜としたが、本発明はこれに限ら
ず、TiN、Ti2 N、Ti3 Nのうちの少なくとも2
種の化合物よりなる混合物膜であれば、どのような組み
合わせでも同様の効果が得られるものである。
【0038】以上の説明から、本発明は以下の付記項の
発明を包含するものである。
【0039】(1)ガスイオンを注入した後、チタンを
蒸着しながら窒素雰囲気で前記ガスイオン又は別のガス
イオンを注入して、型母材の表面にTiN、Ti2 Nお
よびTi3 Nのうち少なくとも2種の化合物からなる混
合物膜を形成することを特徴とする樹脂成形用金型の製
造方法。
【0040】この発明では、硬度が大きく、密着性の大
きな混合膜とすることができ、耐久性のある樹脂成形用
金型とすることができる。
【0041】(2)型母材の表面に第1ガスイオンを1
0keV〜100keVで注入する工程と、0〜20s
ccmの窒素雰囲気で、上記型母材の表面にチタンを蒸
着速度3〜30オングストローム/秒で蒸着する第2工
程と、上記第2工程と同時に、上記型母材の表面に上記
第1ガスイオンまたは第1ガスイオンとは異なる第2ガ
スイオンを20keV〜100keVで注入することに
より、TiN、Ti2 NおよびTi3 Nのうちの少なく
とも2種の化合物を含む混合物膜を形成する第3工程
と、を有することを特徴とする樹脂成形用金型の製造方
法。
【0042】この発明では、TiN、Ti2 NおよびT
3 Nのうちの少なくとも2種の化合物を含む混合物膜
を確実に形成することができる。
【0043】(3)上記第1ガスイオンは、窒素イオ
ン、酸素イオンあるいはアルゴンイオンであることを特
徴とする上記(2)項記載の樹脂成形用金型の製造方
法。
【0044】これらの第1のガスイオンの注入によっ
て、型母材の表面に膜を密着状態で成膜することができ
る。
【0045】(4)上記第2ガスイオンは、窒素イオ
ン、炭素イオン、酸素イオンあるいはアルゴンイオンで
あることを特徴とする上記(2)又は(3)項記載の樹
脂成形用金型の製造方法。
【0046】これらの第2ガスイオンを注入することに
よって、TiN系膜生成の反応を促進することができ
る。
【0047】(5)上記型母材は、Cr、Zn、Ni、
AlあるいはFe、Crを主成分とするSUS系鋼材で
あることを特徴とする上記(2)〜(4)のいずれかに
記載の樹脂成形用金型の製造方法。
【0048】これらの型母材を用いることにより、耐久
性のある樹脂成形用金型とすることができる。
【0049】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、TiN、Ti
2 NおよびTi3 Nのうちの少なくとも2種の化合物か
らなる混合物膜が、各化合物単体の膜よりも結晶粒が細
かく、緻密な膜のため、高硬度を有していると共に、密
着力が高く、ガラスやカーボンなどのフィラーなどが入
った樹脂などの成形に対して良好な耐久性を有すること
ができる。
【0050】請求項2の発明によれば、型母材と膜との
密着性が向上するため、樹脂成形の耐久性が向上する。
【0051】請求項3の発明によれば、型母材上にTi
N、Ti2 NおよびTi3 Nのうちの少なくとも2種の
化合物からなる混合物膜を形成するため、高硬度でしか
も密着性の高い膜とすることができ、樹脂の成形に対し
て耐久性のある樹脂成形用金型を製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂成形用金型の製造に用いられるイ
オン注入装置の断面図である。
【符号の説明】
1 真空チャンバー 2 イオン放出器 3 試料ホルダー 4 回転駆動系 5 取込口 6 プラズマ室 7 シャッター 8 排気口 9 イオンビーム 10 チタン 11 電子ビーム銃 12 SUS系鋼材 12a 蒸着面 13 窒素ガス管 20 電子ビーム蒸着器 30 窒素ガスボンベ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 TiN、Ti2 NおよびTi3 Nのうち
    の少なくとも2種の化合物からなる混合物膜が型母材の
    表面に形成されていることを特徴とする樹脂成形用金
    型。
  2. 【請求項2】 上記混合物膜は、第1ガスイオンを注入
    した後、チタンを蒸着しながら窒素雰囲気内で上記第1
    ガスイオンまたは第1ガスイオンとは異なる第2ガスイ
    オンを注入することにより形成されることを特徴とする
    請求項1記載の樹脂成形用金型。
  3. 【請求項3】 型母材の表面に第1ガスイオンを注入す
    る工程と、 上記型母材の表面に、チタンを蒸着しながら窒素雰囲気
    内で上記第1ガスイオンまたは第1ガスイオンとは異な
    る第2ガスイオンを注入することにより、TiN、Ti
    2 NおよびTi3 Nのうちの少なくとも2種の化合物を
    含む混合物膜を形成する工程と、 を有することを特徴とする樹脂成形用金型の製造方法。
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