JPH08232059A - 炭素−窒素化合物含有膜被覆基体 - Google Patents

炭素−窒素化合物含有膜被覆基体

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JPH08232059A
JPH08232059A JP3680095A JP3680095A JPH08232059A JP H08232059 A JPH08232059 A JP H08232059A JP 3680095 A JP3680095 A JP 3680095A JP 3680095 A JP3680095 A JP 3680095A JP H08232059 A JPH08232059 A JP H08232059A
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JP
Japan
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film
substrate
carbon
nitrogen compound
nitrogen
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JP3680095A
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English (en)
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Satoru Nishiyama
哲 西山
Kiyoshi Ogata
潔 緒方
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Nissin Electric Co Ltd
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Nissin Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高硬度で、靱性に優れ、密着性良好な炭素−窒
素化合物含有膜で被覆された基体を提供する。 【構成】基体S上にシリコン(Si)、クロム(C
r)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)及びジル
コニウム(Zr)からなる群より選ばれた少なくとも一
種の元素物質からなる膜Sm1、又はこの元素物質の酸
化物若しくは窒化物からなる膜Sm2が形成され、その
外側に炭素−窒素化合物含有膜Sfが形成されている
か、或いは基体Sの表面部分に窒素イオン注入層S1を
有し、その外側に膜Sm1又はSm2と炭素−窒素化合
物含有膜Sfが形成されている炭素−窒素化合物含有膜
被覆基体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工具、金型、磁気ヘッ
ド或いは各種の摺動部品といった耐摩耗性や耐摺動性等
が要求される物品の基体であって、その性能を向上させ
るために、炭素−窒素化合物含有膜で被覆された基体に
関する。
【0002】
【従来の技術】炭素−窒素化合物は高硬度であることか
ら、工具、金型、磁気ヘッド或いは各種の摺動部品とい
った物品の耐摩耗性や耐摺動性を向上させるために、こ
れらの物品上への膜形成が試みられている。例えば特開
平5−287502号公報によると、所定真空度下で基
体上への炭素の蒸着と窒素イオンの照射を同時又は交互
に行うことにより、該基体上に炭素−窒素化合物膜を形
成できることが開示されている。この方法によると、比
較的低温下で炭素−窒素化合物膜を形成できると共に、
窒素イオン照射によって膜形成の初期段階に基体の表層
部に該基体の構成原子と膜構成原子との混合層が形成さ
れるため、良好な膜密着性が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
特開平5−287502号公報による方法では、形成さ
れた炭素−窒素化合物膜の内部応力が大きくなりがちで
ある。そして、それにより、基体と該膜との混合層が形
成されるにもかかわらず、該膜の基体に対する密着性を
低下させたり、密着性を経時的に低下させたりする傾向
にある。また、内部応力が大きくなりがちであることに
より、該膜の靱性を低下させる傾向にある。そして、そ
の結果、形成された炭素−窒素化合物膜被覆基体を実用
に供した場合、使用中に該膜が一部剥離したり欠けたり
して、該膜の有する高硬度等の特性が必ずしも、十分に
生かされない。
【0004】そこで本発明は、高硬度で、靱性に優れ、
密着性良好な炭素−窒素化合物含有膜で被覆された基体
を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記課題を解
決するために研究を重ね、基体上にシリコン(Si)、
クロム(Cr)、チタン(Ti)、アルミニウム(A
l)及びジルコニウム(Zr)からなる群より選ばれた
少なくとも一種の元素物質からなる膜、又は該元素物質
の酸化物若しくは窒化物からなる膜(中間膜)を形成
し、その外側に炭素−窒素化合物含有膜を形成すること
で、基体上に直接炭素−窒素化合物含有膜を形成する場
合に比べて、基体と該中間膜との間及び該中間膜と炭素
−窒素化合物含有膜との間の濡れ性、整合性が良くなる
ことを見出した。また、基体と炭素−窒素化合物含有膜
との間に該中間膜を形成することにより炭素−窒素化合
物含有膜の内部応力が減少することを見出した。そし
て、その結果、靱性に優れた高硬度な炭素−窒素化合物
含有膜が密着性良く被覆された基体を得ることができ
る。
【0006】また、前記中間膜及び炭素−窒素化合物含
有膜の形成に先立ち、基体の表面部分に窒素イオン注入
層を形成しておくことで、膜全体として基体との密着性
が一層向上するとともに、前記中間膜の硬度が比較的低
いときでもその中間膜形成による膜全体の硬度低下を抑
制できることを見出した。前記知見に基づき本発明の炭
素−窒素化合物含有膜被覆基体は、基体上にSi、C
r、Ti、Al及びZrからなる群より選ばれた少なく
とも一種の元素物質からなる膜、又は該元素物質の酸化
物若しくは窒化物からなる膜が形成され、その外側に炭
素−窒素化合物含有膜が形成されていることを特徴とす
る。
【0007】前記中間膜の膜厚は、10nm〜1000
nm程度であることが考えられる。これは、10nmよ
り小さいと、その外側に形成する炭素−窒素化合物含有
膜の密着性及び靱性を十分に向上させることができず、
1000nmより大きいと膜全体の硬度が大きく低下す
るからである。基体の材質は特に限定されず、例えばセ
ラミック、金属、高分子等を用いることができる。
【0008】前記炭素−窒素化合物含有膜被覆基体の製
法としては、例えば次のものが考えられる。すなわち、
基体を成膜用真空容器内のホルダに支持させ、所定真空
下で、該基体に対してSi、Cr、Ti、Al及びZr
のうち少なくとも一種の元素物質を真空蒸着又はスパッ
タ蒸着する。これにより、基体上に前記元素物質からな
る中間膜を形成することができる。このとき、この蒸着
と同時、交互、又はその後に、イオン源から該基体に対
してヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アル
ゴン(Ar)ガス、クリプトン(Kr)ガス、キセノン
(Xe)ガス等の不活性ガスのイオンを照射してもよ
く、これにより前記中間膜の基体への密着性が向上す
る。
【0009】また、前記の不活性ガスイオンの照射に代
えて、酸素(O)イオン又は窒素(N)イオンを照射す
ると、前記の元素物質の酸化物又は窒化物からなる中間
膜を形成することができる。酸素イオンを照射するため
にイオン源に導入するガスとしては、酸素(O2 )ガス
等を挙げることができ、窒素イオンを照射するこめにイ
オン源に導入するガスとしては、窒素(N2 )ガス、ア
ンモニア(NH3 )等を挙げることができる。
【0010】次いで、前記中間膜が被覆された基体上へ
炭素を真空蒸着又はスパッタ蒸着し、該蒸着と同時又は
交互に窒素イオン、或いは窒素イオン及び不活性ガスイ
オンを照射して、炭素−窒素化合物含有膜を形成する。
前記の中間膜形成及び炭素−窒素化合物含有膜形成にお
けるイオン照射に当たっては、イオン加速エネルギは
0.1keV以上40keV以下とすることが考えられ
る。イオン加速エネルギが0.1keVより小さいと、
基体と中間膜との界面及び中間膜と炭素−窒素化合物含
有膜との界面で該両者の混合層が十分に形成されないた
め膜密着性が劣り、40keVより大きいと、基体に与
える熱的、機械的損傷が大きくなるので好ましくない。
【0011】また、前記の炭素−窒素化合物含有膜形成
において、照射イオンとして窒素イオン及び不活性ガス
イオンを用いる場合は、基体上に到達する窒素(N)イ
オン数と不活性ガス(I)イオン数の比(N/I輸送
比)は0.1以上20以下とすることが考えられる。N
/I輸送比が0.1より小さいと形成される膜が十分に
窒化されず、20より大きいと不活性ガスイオンの作用
が不十分になり好ましくない。
【0012】N/I輸送比の制御は、イオン源に導入す
る窒素イオンの原料ガスと不活性ガスの流量比を調整す
ることで行える。また、前記の中間膜形成及び炭素−窒
素化合物含有膜形成において、基体上に到達する蒸着原
子(V)数とイオン(i)数の比(V/i輸送比)は
0.1以上40以下とすることが考えられる。V/i輸
送比が0.1より小さいと照射イオンにるスパッタリン
グ作用のために形成される膜の膜厚が小さくなり過ぎ
る。また、40より大きいとイオン照射による混合層の
形成が不十分になり、膜密着性が低下する。また、特に
炭素−窒素化合物含有膜形成時には、V/i輸送比が4
0より大きいと、照射イオンによって蒸着原子が高励起
化され難く、その結果、形成される膜中に高硬度な結晶
構造が生成し難くなり、該膜の硬度が低下する。V/i
輸送比の制御は、膜厚モニタで蒸着物質の蒸着量をモニ
タし、イオン電流測定器で照射イオン個数をモニタする
ことで行える。
【0013】なお、ここでは蒸着法又はイオン蒸着薄膜
形成法により中間膜を形成する方法を説明したが、その
他スパッタ法により中間膜を形成することもできる。す
なわち、例えば、イオンビーム、高周波、マグネトロン
等により、不活性ガスのイオンでSi、Cr、Ti、A
l及びZrのうち少なくとも一種の元素物質をスパッタ
することで該元素物質からなる中間膜を形成できる。ま
た、不活性ガスに代えて酸素ガス又は窒素ガス等の活性
ガスのイオンで該元素物質をスパッタする反応性スパッ
タリングによると、該元素物質の酸化物又は窒化物から
なる中間膜を形成できる。
【0014】また、本発明の炭素−窒素化合物含有膜被
覆基体は、基体の表面部分に窒素イオンが注入された層
を有することが考えられ、これにより、基体と中間膜と
の密着性を一層向上させることができるとともに、中間
膜の硬度が比較的低いときでもその中間膜形成による膜
全体の硬度の低下が抑制される。かかる膜被覆基体の製
法としては、例えば次のものが考えられる。
【0015】すなわち、基体を成膜用真空容器内のホル
ダに支持させ、所定真空下で、該基体に対して窒素イオ
ンを照射する。これにより基体表面部分に窒素イオン注
入層を形成することができる。次いで、その外側に、前
記の方法で前記中間膜及び炭素−窒素化合物含有膜を形
成する。このイオン照射におけるイオン加速エネルギは
0.1keV以上40keV以下とすることが考えられ
る。また、イオン照射量は1×1013個/cm2 以上1
×1018個/cm2 以下とすることが考えられる。イオ
ン加速エネルギが0.1keVより小さい場合、又はイ
オン照射量が1×1013個/cm2 より小さい場合は、
基体表面部分の窒化が不十分でその外側に形成される中
間膜の密着性を十分に向上させることができない。ま
た、イオン加速エネルギが40keVより大きい場合、
又はイオン照射量が1×1018個/cm2 より大きい場
合は、基体に与える熱的、機械的損傷が大きくなるので
好ましくない。
【0016】
【作用】本発明の炭素−窒素化合物含有膜被覆基体によ
ると、基体と炭素−窒素化合物含有膜との間にSi、C
r、Ti、Al及びZrからなる群より選ばれた少なく
とも一種の元素物質からなる中間膜、又は前記元素物質
の酸化物若しくは窒化物からなる中間膜を有している。
基体と中間膜との間及び中間膜と炭素−窒素化合物含有
膜との間の濡れ性、整合性は、基体と炭素−窒素化合物
含有膜との間の濡れ性、整合性より良好であり、また該
中間膜を有することで炭素−窒素化合物含有膜の内部応
力が減少している。これにより、本発明の基体は高硬度
な炭素−窒素化合物含有膜で被覆された基体であって、
該膜は靱性に優れ、基体に対する密着性良好に形成され
たものである。
【0017】また、本発明の膜被覆基体は、基体の表面
部分に窒素イオンが注入された層を有するときには、基
体表面がイオン照射によるスパッタリングで清浄化され
ており、また前記中間膜との濡れ性、整合性が一層良好
であるため、膜全体の基体に対する密着性は一層良好で
ある。また、基体の表面部分にイオンが注入されること
により、該部分の硬度が向上することから、該中間膜の
硬度が比較的低い場合にも、膜全体の硬度低下が抑制さ
れる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1(A)は本発明の炭素−窒素化合物含有膜被
覆基体の1例の一部の拡大断面図であり、図1(B)は
本発明の炭素−窒素化合物含有膜被覆基体の他の例の一
部の拡大断面図である。また、図2は本発明基体の製造
に用いる成膜装置の1例の概略構成を示す図である。
【0019】図2に示す装置は、真空容器1を有し、容
器1内には被成膜基体Sを支持するホルダ2、並びにこ
れに対向する位置に、Si、Cr、Ti、Al及びZr
のうち少なくとも一種の元素物質を蒸発させる蒸発源3
1と炭素を蒸発させる蒸発源32及びイオン源4が設置
されている。また基体ホルダ2付近には、例えば水晶振
動子式膜厚モニタ等の膜厚モニタ5、及び例えばファラ
デーカップ等のイオン電流測定器6が配置されている。
また容器1には排気装置7が付設されて容器1内を所定
の真空度にすることができる。
【0020】前記装置を用いて本発明の炭素−窒素化合
物含有膜被覆基体を製造するにあたっては、基体Sをホ
ルダ2に支持させた後、真空容器1内を所定の真空度に
する。次いで、基体Sに向けて蒸発源31からSi、C
r、Ti、Al及びZrのうち少なくとも一種の元素物
質31aを真空蒸着(又はスパッタ蒸着)させる。この
際、該蒸着と同時、交互、又はその後にイオン源4より
不活性ガスイオンを当該蒸着面に照射してもよい。この
ようにして基体S上にSi、Cr、Ti、Al及びZr
のうち少なくとも一種の元素物質からなる中間膜を膜厚
10nm〜1000nm程度に形成する。また、不活性
ガスイオンに代えて、イオン源4より酸素イオン又は窒
素イオンを照射して、前記元素物質の酸化物又は窒化物
からなる中間膜を形成する場合もある。
【0021】次いで中間膜が形成された基体Sに向けて
蒸発源32から炭素32aを真空蒸着(又はスパッタ蒸
着)させ、それと同時、又は交互に、イオン源4より窒
素イオン(又は窒素イオン及び不活性ガスイオン)を当
該蒸着面に照射して任意の膜厚の炭素−窒素化合物含有
膜を形成する。前記中間膜形成及び炭素−窒素化合物含
有膜形成操作において、イオン照射時の加速エネルギは
0.1keV以上40keV以下とする。また、基体に
到達する蒸着(V)原子数とイオン(i)数の比(V/
i輸送比)は0.1以上40以下とする。また、炭素−
窒素化合物含有膜形成時に窒素イオンに加えて不活性ガ
スイオンを照射する場合の、基体に到達する窒素(N)
イオン数と不活性ガス(I)イオン数の比(N/I輸送
比)は0.1以上20以下とする。
【0022】これにより図1(A)に示すように、基体
S上に、Si、Cr、Ti、Al及びZrのうち少なく
とも一種の元素物質からなる中間膜Sm1又は該元素物
質の酸化物若しくは窒化物からなる中間膜Sm2が形成
され、その外側に炭素−窒素化合物含有膜Sfが形成さ
れた炭素−窒素化合物含有膜被覆基体が得られる。基体
Sと中間膜Sm1又はSm2との間、及び中間膜Sm1
又はSm2と炭素−窒素化合物含有膜Sfとの間は、基
体Sと炭素−窒素化合物含有膜Sfとの間に比べて濡れ
性、整合性が良いため、炭素−窒素化合物含有膜Sfの
基体Sとの密着性は良好である。また、中間膜Sm1又
はSm2を有することで炭素−窒素化合物含有膜Sfは
内部応力が減少し、靱性が優れる。
【0023】また、前記装置を用いて本発明の他の炭素
−窒素化合物含有膜被覆基体を製造するにあたっては、
真空容器1内を所定真空度にした後、中間膜Sm1又は
Sm2の形成に先立ち、基体Sに向けてイオン源4から
窒素イオンを照射する。このときイオン加速エネルギは
0.1keV以上40keV以下とし、イオン照射量は
1×1013個/cm2 以上1×1018個/cm2 以下と
する。
【0024】このようにして基体S表面部分に窒素イオ
ン注入層S1を形成する。さらに前記と同様の操作で、
層S1の上に中間膜Sm1又はSm2及び炭素−窒素化
合物含有膜Sfを形成する。これにより、図2(B)に
示すように、基体S表面部分に窒素イオン注入層S1を
有し、その外側に前記中間膜Sm1又はSm2が形成さ
れ、その外側に炭素−窒素化合物含有膜Sfが形成され
た炭素−窒素化合物含有膜被覆基体が得られる。
【0025】イオン照射により形成された層S1はその
表面が清浄化されており、また、窒素イオン注入層S1
は元の基体Sに比べて中間膜Sm1又はSm2との濡れ
性、整合性が一層良好であるため、膜全体の基体Sに対
する密着性は一層良好である。また、窒素イオン注入層
S1は元の基体Sに比べて高硬度であることから、中間
膜Sm1又はSm2の硬度が比較的低い場合にも、膜全
体の硬度低下が抑制されている。
【0026】次に、図2に示す装置による本発明の炭素
−窒素化合物含有膜被覆基体の製造の具体例と、それに
よって得られる炭素−窒素化合物含有膜被覆基体につい
て説明する。 実験例1 図2に示す装置を用いて、高速度工具鋼(SKH51)
よりなる基体Sを水冷した基体ホルダ2に設置し、真空
容器1内を1×10-6Torr以下の真空度とした。次
いで純度99.9%(3N)のSiペレットを電子ビー
ム蒸発源31を用いて蒸気化し、基体S上に成膜した。
それと同時にイオン源4にArガスを容器1内が5×1
-5Torrの真空度になるまで導入し、イオン化さ
せ、10keVの加速エネルギで基体Sに対して垂直に
照射した。このときのV/i輸送比は5であった。この
ようにして、基体S上に膜厚約50nmのSi中間膜S
m1を形成した。
【0027】その後、容器1内を再び1×10-6Tor
r以下の真空度とし、純度99.9%(3N)の炭素ペ
レットを電子ビーム蒸発源32を用いて蒸気化し、Si
中間膜Sm1上に成膜した。それと同時にイオン源4に
窒素ガスを真空容器1内が5×10-5Torrの真空度
になるまで導入し、イオン化させ、該窒素イオンを10
keVの加速エネルギで基体Sに対して垂直に照射し
た。このときのV/i輸送比は3であった。このように
してSi中間膜Sm1上に膜厚約500nmの炭素−窒
素化合物含有膜Sfを形成した。 実験例2 実験例1において、中間膜形成に際して、不活性ガスイ
オンに代えて窒素イオンを照射して基体S上に膜厚約5
0nmの窒化シリコン中間膜Sm2を形成した。その他
の条件は実験例1と同様とした。 実験例3 実験例1において、中間膜形成に際して、蒸発物質とし
てSiペレットに代えて純度99.9%(3N)のCr
ペレットを用い、また不活性ガスイオンに代えて窒素イ
オンを用い、その他の条件は実験例1と同様にして基体
S上に膜厚約50nmの窒化クロム中間膜Sm2を形成
した。
【0028】その後、容器1内を再び1×10-6Tor
r以下の真空度とし、純度99.9%(3N)の炭素ペ
レットを電子ビーム蒸発源32を用いて蒸気化し、窒化
クロム中間膜Sm2上に成膜した。それと同時にイオン
源4に窒素ガス及びArガスを1:1の流量比で真空容
器1内が1×10-5Torrの真空度になるまで導入
し、イオン化させ、該窒素イオン及びアルゴンイオンを
3keVの加速エネルギで、基体Sに対して垂直に照射
した。このときのV/i輸送比は5であった。このよう
にして、窒化クロム中間膜Sm2上に膜厚約500nm
の炭素−窒素化合物含有膜Sfを形成した。 実験例4 実験例1において、Si中間膜Sm1及び炭素−窒素化
合物含有膜Sf形成に先立ち、真空容器1内を1×10
-6Torr以下の真空度とした後、イオン源4に窒素ガ
スを容器1内が1×10-5Torrになるまで導入し、
イオン化させ、該窒素イオンを5keVの加速エネルギ
で1×1016個/cm2 を照射した。このようにして基
体S表面部分に窒素イオン注入層S1を形成した。その
後、層S1上にSi中間膜Sm1及び炭素−窒素化合物
含有膜Sfを形成した。比較例実験例1において、Si
中間膜Sm1を形成せず、その他は実験例1と同様にし
て膜厚約500nmの炭素−窒素化合物含有膜Sfを形
成した。
【0029】次に、実験例1、2、3、4及び比較例に
より得られた各炭素−窒素化合物含有膜被覆基体につい
て硬度及び膜密着性を評価した。硬度は10gヌープ硬
度(Hk)を測定し、密着性はスクラッチ試験器で測定
することで評価した。結果を次表に示す。 ヌープ硬度(kg/mm2) 密着力(N) 実験例1 3300 28 実験例2 3500 28 実験例3 4200 28 実験例4 3300 30 比較例 3300 10 実験例1、2、3、4による炭素−窒素化合物含有膜被
覆基体は、比較例による炭素−窒素化合物含有膜被覆基
体に比べて、硬度が低下することなく、しかも膜密着性
が優れていた。また、比較例による炭素−窒素化合物含
有膜被覆基体は硬度測定時に表面に圧痕が生じ、また密
着性測定時に表面のスクラッチ痕周辺にクラックが生じ
たが、実験例1、2、3、4による炭素−窒素化合物含
有膜被覆基体ではこのような現象は観察されず、靱性に
も優れていることが分かる。
【0030】
【発明の効果】本発明によると、高硬度で、靱性に優
れ、密着性良好な炭素−窒素化合物含有膜で被覆された
基体を提供することができる。また、基体の表面部分に
窒素イオンが注入された層を有しているときには、膜全
体の密着性が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図(A)は本発明の炭素−窒素化合物含有膜被
覆基体の1例の一部の拡大断面図であり、図(B)は本
発明の炭素−窒素化合物含有膜被覆基体の他の例の一部
の拡大断面図である。
【図2】本発明の炭素−窒素化合物含有膜被覆基体の製
造に用いる成膜装置の1例の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1 真空容器 2 基体ホルダ 31、32 蒸発源 31a シリコン、クロム、チタン、アルミニウム及び
ジルコニウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の
元素物質 32a 炭素 4 イオン源 5 膜厚モニタ 6 イオン電流測定器 7 排気装置 S 基体 S1 イオン注入層 Sf 炭素−窒素化合物含有膜 Sm1、Sm2 中間膜

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上にシリコン(Si)、クロム(C
    r)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)及びジル
    コニウム(Zr)からなる群より選ばれた少なくとも一
    種の元素物質からなる膜、又は該元素物質の酸化物若し
    くは窒化物からなる膜が形成され、その外側に炭素−窒
    素化合物含有膜が形成されていることを特徴とする炭素
    −窒素化合物含有膜被覆基体。
  2. 【請求項2】 前記基体の表面部分に、窒素イオンが注
    入された層を有している請求項1記載の炭素−窒素化合
    物含有膜被覆基体。
JP3680095A 1995-02-24 1995-02-24 炭素−窒素化合物含有膜被覆基体 Pending JPH08232059A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106756817A (zh) * 2016-11-29 2017-05-31 沈阳黎明航空发动机(集团)有限责任公司 利用PVD在模具表面制备Cr‑ZrSiN‑TiAlSiCN薄膜的方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106756817A (zh) * 2016-11-29 2017-05-31 沈阳黎明航空发动机(集团)有限责任公司 利用PVD在模具表面制备Cr‑ZrSiN‑TiAlSiCN薄膜的方法

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