JPH08273672A - 空気電池用空気極集電材料及びそれを備えた空気電池 - Google Patents

空気電池用空気極集電材料及びそれを備えた空気電池

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JPH08273672A
JPH08273672A JP7078708A JP7870895A JPH08273672A JP H08273672 A JPH08273672 A JP H08273672A JP 7078708 A JP7078708 A JP 7078708A JP 7870895 A JP7870895 A JP 7870895A JP H08273672 A JPH08273672 A JP H08273672A
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隆文 藤原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電池の内部抵抗の低減、保存による内部抵抗
の増加の抑制により、強負荷放電に優れた電池を提供す
ることを目的とするものである。 【構成】 金属ネット、エキスパンドメタルまたはパン
チングメタルに金属粉末と黒鉛を含んだ導電性塗料を塗
布した空気極集電材料を空気電池用空気極4の集電体層
2として用いる。金属ネットの金属線およびエキスパン
ドメタル又はパンチングメタルはステンレス、ニッケ
ル、あるいはステンレスにニッケルメッキを施したもの
からなる。導電性塗料は導電性物質として黒鉛と金属粉
末のニッケル、銀あるいはニッケルと銀の混合物のいず
れか一つを含み、バインダーとして塩化ビニル、エポキ
シ樹脂、ポリアミドイミド及び水ガラスのうち少なくと
も1つを含む塗料とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸素を活物質に用いる
ガス拡散電極の集電材料及び、それを備えた電池に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、空気電池の正極であるガス拡散電
極(空気極)の集電材料には導電性及び電解液の安定性
などの面からステンレス線、ニッケル線あるいはステン
レスにニッケルメッキを施した線を平織で金属ネットに
したものが基板として用いられている。そして、これら
金属ネットを芯材として、カーボンに白金を担持した触
媒粉末や、あるいはマンガン酸化物、活性炭の混合粉末
に導電材としてカーボンブラックを加え、水溶性ふっ素
樹脂ディスパージョンを結着剤として混練したものなど
を充填することによりガス拡散電極を構成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の従
来の集電材料は、ガス拡散電極として電池に組み込んだ
場合、酸素の酸化作用によりその表面に薄い酸化被膜が
形成されたり、電解質として用いるアルカリが電池保存
中に比較的濡れ性の高い金属表面に浸透し表面の酸化作
用を促進することがある。この表面酸化が進むと電気的
接触状態が低下して内部抵抗の増加による放電電圧の低
下を引き起こし、保存後の放電容量は減少する。特に大
電流による放電では内部抵抗が増加することは大きな問
題となる。
【0004】このため、集電材料の基板として用いる金
属ネットに黒鉛導電性樹脂を塗布したものを用いること
が考え出された。この黒鉛導電性樹脂を塗布した集電材
料は、電池として構成すると初期の内部抵抗は黒鉛導電
性塗料を塗布しないものより低く、保存中も安定した内
部抵抗を示す。しかし、大電流を取り出すためにはさら
に内部抵抗を低くし、保存中にも安定した内部抵抗を示
し、強負荷放電特性に優れた電池を得ることが必要であ
る。
【0005】本発明はこのような問題点を解決するもの
で、電池の内部抵抗を低くするとともに、内部抵抗の増
加を抑制し、強負荷放電に優れた電池を提供するもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】これらの課題を解決する
ために本発明の空気電池用空気極集電材料は、金属ネッ
ト、エキスパンドメタル、またはパンチングメタルに金
属粉末と黒鉛を含んだ導電性塗料を塗布したものであ
り、これを空気極集電体に用いて空気電池を構成したも
のである。金属ネットの金属線はステンレス線、ニッケ
ル線、あるいはステンレスにニッケルメッキを施した線
のうち少なくとも一つを含む線よりなり、エキスパンド
メタルまたはパンチングメタルはステンレス、ニッケ
ル、あるいはステンレスにニッケルメッキを施したもの
のうちいずれか一つからなるものである。
【0007】さらに、導電性塗料は導電性物質として黒
鉛と金属粉末のニッケル、銀あるいはニッケルと銀の混
合物のいずれか一つを含み、バインダーとして塩化ビニ
ル、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド及び水ガラスのう
ち少なくとも一つを含む塗料とする。
【0008】
【作用】黒鉛の電気抵抗率は1375×10-6Ωcmと
比較的小さいものであるが、これに電気抵抗率が6.8
4×10-6Ωcm(20℃)であるニッケル、1.59
×10-6Ωcm(20℃)である銀、あるいはこれらの
混合物を混合することにより、著しくその抵抗率を低下
させることができる。
【0009】また、黒鉛の撥水性は非常に高く、黒鉛を
含む導電性塗料を金属ネットに塗布すると黒鉛の撥水性
により電池の保存中に電解液が金属ネット表面に浸透し
にくくなり、表面酸化を抑制するため電気的接触状態が
良好に保たれ、電池の内部抵抗の増加は起こらない。
【0010】これらのことから金属ネットに金属粉末と
黒鉛を含んだ導電性塗料を塗布した集電材料を用いる
と、電池の内部抵抗を低下し、保存による内部抵抗の増
加を抑制した強負荷放電特性の優れた電池を得ることが
できる。
【0011】
【実施例】以下、図面とともに本発明を具体的な実施例
に沿って説明する。
【0012】図1に本発明を適用した円筒形空気亜鉛電
池の構造断面図を示した。図中の4は触媒層を含む3層
構造の円筒状の空気極で、内側から1は触媒層、2は集
電体層、3は撥水性ふっ素樹脂多孔膜層である。
【0013】空気極は金属粉末と黒鉛を含んだ導電性塗
料で被覆した集電体ネットに触媒層シートをプレスによ
り圧着する。この触媒層シートは活性炭3kg、マンガ
ン酸化物4kg、カーボンブラック1.5kg及びふっ
素樹脂粉末0.7kgを混合し、この混合合剤にエチル
アルコールを加え混練した後、押し出し成形により偏平
帯状にし、更に約60℃に加熱した2本ローラーに通し
て圧延し0.6mmのシートにしたものである。次に触
媒層シートを圧延した裏側にふっ素樹脂微粉末の分散液
を塗布し、乾燥する。
【0014】このふっ素樹脂分散液を塗布することによ
り電解液が電極を貫通し、この面に液膜を作り酸素ガス
の供給を妨害する事を防いでいる。最後にふっ素樹脂微
粉末分散液を塗布した側に、ガス透過能を有する撥水性
のふっ素樹脂多孔膜をプレス圧着することにより、触媒
層1、集電体層2及びふっ素樹脂多孔膜層3からなる3
層構造の平盤の空気極4を作成する。このように作成し
た平盤の空気極4を触媒層1が内側になるように湾曲し
触媒層1とふっ素樹脂多孔膜層3の両端部の一部を重ね
て筒形とする。
【0015】ついで、この重なった部分の触媒層1及び
ふっ素樹脂多孔膜層3の一部を取り除いて露出した集電
体層2をスポット溶接し、液密の状態にない接合部に合
成ゴム系の接着剤を充填し液密に補修する。以上の行程
により、3層構造の円筒形の空気極4を作り上げる。5
はセロハンセパレータ、6はゲル状亜鉛負極である。ゲ
ル状亜鉛負極6は以下のようにして調整した。40重量
%の水酸化カリウム水溶液(酸化亜鉛を3重量%含む)
に3重量%のポリアクリル酸ソーダと1重量%のカルボ
キシメチルセルロースを加えてゲル化する。次にゲル状
電解液に対して重量比で2倍の亜鉛粉末を加えて混合
し、ゲル状亜鉛負極6とした。7は空気拡散紙、8は正
極缶、9は絶縁チューブである。10は、空気取り入れ
孔で、11は電池を使用する前にはがす密封シール、1
2は皿紙、13は正極キャップである。13と14は金
属製のキャップで13と14の間に円筒形空気極を挟み
込み圧着させ、正極缶とスポット溶接する事により集電
する。15は有機封止剤、16は樹脂封口体、17は負
極端子キャップ、18は負極集電子である。
【0016】上記の方法で作成した本発明の円筒形空気
亜鉛電池と、導電性物質として黒鉛のみを含んだ導電性
塗料を金属ネットに塗布したもの及び導電性塗料を塗布
しないものをガス拡散電極として用いた比較例の円筒形
空気亜鉛電池を作成し、電池種No.1〜No.7とし
た。これら電池を組み立て直後の電池内部抵抗と、60
℃、密封状態での保存10日後及び20日後の電池内部
抵抗の測定結果、並びに組み立て直後の電池を3.9Ω
の強負荷で放電したときの放電容量(0.9Vカット)
を電池種No.7の電池を100として指数で表したも
のを(表1)に示した。
【0017】
【表1】
【0018】(表1)において電池種No.1は線径1
60μmのステンレス線を用いた40メッシュのネット
にニッケルメッキを約3μm施し、導電性物質としてニ
ッケル粉末と黒鉛粉末、バインダーとしてエポキシ樹脂
である導電性塗料を塗布し乾燥させて出来上がった集電
体を用いた電池である。同様に電池種No.2は導電性
物質の金属粉末としてニッケルの代わりに銀を用いた電
池であり、電池種No.3からNo.5までは電池種N
o.2のバインダーを(表1)に示すものに代えて用い
た電池である。電池種No.6は導電性物質として黒鉛
粉末のみを用いた電池であり、電池種No.7はニッケ
ルメッキのみを施し、導電性塗料を塗布していない集電
体を用いた電池である。(表1)から明らかなように、
電池種No.1からNo.5までの電池は電池種No.
7の導電性塗料を用いない電池と比較しても、さらに電
池種No.6の黒鉛のみを用いた電池と比較しても初度
の内部抵抗は低く、保存後の内部抵抗も低くなっている
ことがわかる。
【0019】(表1)の右端の放電容量指数は組み立て
直後の電池を3.9Ωで放電したときの放電容量(0.
9Vカット)を電池種No.7を100としたときの指
数で示したものである。この表からわかるように電池の
内部抵抗を低く抑えることにより、それと比例して強負
荷放電容量も増加する。このことは電池電圧0.9Vカ
ットしたときに内部抵抗の低減は放電時のIR分極成分
を減少させることで、結果として放電容量が増加したも
のと考えられる。また、60℃、20日(密封状態)で
保存した後同様の方法で放電を行ったが電池種No.1
からNo.6の放電容量は組み立て直後とほとんど変わ
りはなかったが、No.7は約30%低下していた。
【0020】これらのことから導電性物質として金属粉
末と黒鉛粉末を用いた導電性塗料を集電体に塗布するこ
とにより電池の内部抵抗を低く抑え強負荷放電時の放電
容量を増加することができ、さらに保存後の電気的接触
状態も保たれ保存後の電池の内部抵抗の増加も小さく抑
えることができた。
【0021】なお、本実施例では集電体の基板として金
属ネットの金属線としてステンレスにニッケルメッキを
施した線を用いたがステンレス線あるいはニッケル線を
用いた場合でも同様の効果が得られる。
【0022】また、本実施例では集電体の基板として金
属ネットを使用したがエキスパンドメタルあるいはパン
チングメタルを使用した場合でも同様の効果が得られ
る。
【0023】
【発明の効果】以上のことから明らかなように、本発明
によれば金属ネット、エキスパンドメタルあるいはパン
チングメタルに金属粉末と黒鉛を含む導電性塗料を塗布
した空気極集電材料に用いることにより、電池の内部抵
抗の低減及び保存による内部抵抗の増加の抑制ができ、
強負荷放電に優れた電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における円筒形空気亜鉛電池の
構造断面図
【図2】図1のA部分の拡大構造断面図
【符号の説明】
1 触媒層 2 集電体層 3 撥水性ふっ素樹脂多孔膜層 4 空気極 5 セロハンセパレータ 6 ゲル状亜鉛負極 7 空気拡散紙 8 正極缶 9 絶縁チューブ 10 空気取り入れ孔 11 密封シール 12 皿紙 13 正極キャップ 14 金属製キャップ 15 有機封止剤 16 樹脂封口体 17 負極端子キャップ 18 負極集電子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 茂雄 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属ネット、エキスパンドメタル、または
    パンチングメタルに金属粉末と黒鉛を含んだ導電性塗料
    を塗布したことを特徴とする空気電池用空気極集電材
    料。
  2. 【請求項2】金属ネットの金属線はステンレス線、ニッ
    ケル線、あるいはステンレスにニッケルメッキを施した
    線のうち少なくとも一つを含む線よりなる請求項1記載
    の空気電池用空気極集電材料。
  3. 【請求項3】エキスパンドメタルまたはパンチングメタ
    ルはステンレス、ニッケル、あるいはステンレスにニッ
    ケルメッキを施したいずれか一つからなる請求項1記載
    の空気電池用空気極集電材料。
  4. 【請求項4】金属粉末はニッケル、銀あるいはニッケル
    と銀の混合物のいずれか一つである請求項1記載の空気
    電池用空気極集電材料。
  5. 【請求項5】導電性塗料は金属粉末と黒鉛を含み、バイ
    ンダーとして塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリアミドイ
    ミド及び水ガラスのうち少なくとも1つを含む塗料から
    なる請求項1記載の空気電池用空気極集電材料。
  6. 【請求項6】金属ネット、エキスパンドメタル、または
    パンチングメタルに金属粉末と黒鉛を含んだ導電性塗料
    を塗布した空気電池用空気極集電材料を正極集電体とし
    て備えたことを特徴とする空気電池。
  7. 【請求項7】金属ネットの金属線はステンレス線、ニッ
    ケル線、あるいはステンレスにニッケルメッキを施した
    線のうち少なくとも一つを含む線よりなる請求項6記載
    の空気電池。
  8. 【請求項8】エキスパンドメタルまたはパンチングメタ
    ルはステンレス、ニッケル、あるいはステンレスにニッ
    ケルメッキを施したいずれか一つからなる請求項6記載
    の空気電池。
  9. 【請求項9】金属粉末はニッケル、銀あるいはニッケル
    と銀の混合物のいずれか一つである請求項6記載の空気
    電池。
  10. 【請求項10】導電性塗料は金属粉末と黒鉛を含み、バ
    インダーとして塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリアミド
    イミド及び水ガラスのうち少なくとも1つを含む塗料か
    らなる請求項6記載の空気電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000041259A1 (en) * 1999-01-04 2000-07-13 Toyo Kohan Co., Ltd. Alkali storage battery and its core
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KR101383054B1 (ko) * 2012-04-19 2014-04-10 한국세라믹기술원 리튬일차전지의 양극 제조방법

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