JPH0827204A - 大粒子径ゴムラテックスの製造方法 - Google Patents

大粒子径ゴムラテックスの製造方法

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JPH0827204A
JPH0827204A JP16373794A JP16373794A JPH0827204A JP H0827204 A JPH0827204 A JP H0827204A JP 16373794 A JP16373794 A JP 16373794A JP 16373794 A JP16373794 A JP 16373794A JP H0827204 A JPH0827204 A JP H0827204A
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monomer
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JP16373794A
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Shinya Ebita
信哉 胡田
Hirotsugu Osawa
寛嗣 大澤
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ABS樹脂原料に好適な、0.25〜0.8
ミクロンの単分散粒子径分布を有するブタジエンを主成
分とする共重合体ラテックスを、短い重合時間にて製造
する。 【構成】 脂肪族共役ジエン化合物単量体80重量%以
上、溶解度パラメータが7〜15の非重合性有機溶媒
0.5〜20重量部、これらと共重合可能なビニル化合
物0〜15重量部からなる単量体100重量部を、乳化
剤0.1〜1.5重量部を用い、主たる重合温度マイナ
ス20℃までに昇温した後開始剤を投入し、重合率20
〜60重量%に到達した後特定量の乳化剤を含む水溶液
を特定速度で重合系に添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はゴムラテックス、とりわ
けABS樹脂の原料として好適に用いられる平均粒子径
0.25〜0.8ミクロンの粒子よりなり、粒子径分布
の狭い大粒子径ゴムラテックスの製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂は主として乳化重合法により
ゴム質重合体粒子に芳香族ビニル化合物とシアン化ビニ
ル化合物をグラフト共重合することによって得られ、芳
香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物の共重合体中
にゴム質重合体粒子が分散した形態を有する熱可塑性樹
脂組成物であり、その性質はこれを構成するゴムラテッ
クス粒子の大きさに依存することが知られている。例え
ば耐衝撃性はゴムラテックス粒子が大きい程、逆に樹脂
の光沢はその粒子径が小さいほど優れる。ABS樹脂を
設計する際には、これらの相反するゴム粒子への要求を
ともに満足させるために、粒子径の大きいゴムラテック
スと小さいゴムラテックスを併用する手法が用いられる
のが一般的である。ゴムラテックス併用法によるABS
樹脂設計においては、それぞれのゴムラテックス粒子が
目的とされる性能を十分に発揮する必要があるためそれ
ぞれに安定した平均粒子径を有し、かつ粒子径分布が狭
いことが望まれる。
【0003】ところで、乳化重合法によりゴムラテック
スを製造しようとすると、重合に要する時間とゴムラテ
ックス粒子径の間には明確な関連があり、粒子径の大き
なゴムラテックスを得るには長時間要することは良く知
られた事実である。ところで比較的短時間のうちに粒子
径の大きなゴムラテックスを得る方法として、粒子同士
を融着合一させるアグロメレーション技術が知られてい
る。この技術は、粒子径の小さいラテックスを短時間で
重合させ、重合途中に融着合一させる手法であり、アグ
ロメレーションのさせ方として(1)別途作成したゴム
ラテックスを添加する方法(特公昭48−16060
号、及び特開昭63−48313号公報) (2)重合の途中で単量体を追加添加し重合する方法
(特公平3−2165号公報)等が開示されている。こ
れらの方法は少量の乳化剤のみで重合する方法や重合時
に使用する水の量を減らす方法に比べ短時間のうちに平
均粒子径の大きいゴムラテックスを与え、また無機電解
質の添加により乳化系を不安定化しアグロメレーション
をひきおこす方法に比べ重合残渣が少ないといった効果
を有するが、これら技術を用いてもなお、0.3ミクロ
ン程度の粒子よりなるラテックスを得るのに50〜60
時間を要する。また、粒子径分布は必ずしも十分に狭い
とは言えなかった。
【0004】また、アクリロニトリルを必須成分とする
多段重合法により、比較的短時間のうちに大粒径ゴムラ
テックスを製造する技術は公知であるが(特公昭47−
36024号公報)、この技術により得られるゴムラテ
ックス粒子は不規則な形状を有し、ABS樹脂原料とし
て用いるには、不適当であった。この問題を解決するた
め、より短時間のうちに粒子径の大きなABS樹脂原料
1適した球形を有するゴムラテックスを製造し得る技術
として、特定量の乳化剤を用い、かつ少量のシアン化ビ
ニル化合物を重合開始反応時に使用することで著しく重
合が加速されかつ球形の粒子からなるゴムラテックスが
得られる技術が開発されているが(特開平5−1750
8号公報)、得られたゴムはブタジエンとシアン化ビニ
ル化合物の共重合体であるため、ブタジエン100%の
ゴムに比べ、ABS化時にASのグラフト反応を促進す
る効果があるが、ゴム粒子表面へのグラフト量が比較的
少なくなってしまう欠点があった。
【0005】一方、コ−ト紙のバインダ−等に有用なラ
テックスを製造する方法として、重合初期から特定の有
機溶媒を使用する方法も開示されているが(特開平3−
229703号公報)、この方法では有機溶媒は重合連
鎖移動剤の効率を上げる目的で使用されており、目的も
使用範囲も異なっている。すなわち、この方法において
はエチレン系不飽和単量体を20重量%以上使用するこ
とを必須としており、そのため重合速度を向上させると
いう思想は全くない。更に、粒子の凝集を起こすことを
目的として、重合途中に親油性のスチレン、ベンゼンま
たは、親水性のアセトン等の溶媒や、ポリビニルアルコ
ール、ポリエチレンオキサイド等の物質をラテックス中
に加えて撹拌等の処理により大粒子径のラテックスを得
る方法は知られているが、これらは溶媒の添加時期が重
合途中であるため、重合速度を確実に向上させることは
困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記現状に鑑
み、シアン化ビニル化合物を用いず、短時間のうちに平
均粒子径が大きく、かつ粒子径の分布が狭い、すなわち
単分散の粒子径分布を有するゴム質重合体を製造する技
術を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するため鋭意検討した結果、特定の重合方法をとる
ことにより、ABS樹脂として好適で平均粒子径が大き
く、かつ粒子径分布のシャープなゴムラテックスが得ら
れることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発
明は脂肪族共役ジエン単量体100重量部、又は脂肪族
共役ジエン単量体及びこれと共重合可能なビニル単量体
を含む単量体であって、全単量体に占める脂肪族共役ジ
エン単量体の割合が85重量%以上である単量体100
重量部を乳化重合してラテックスを製造する方法におい
て、(1)重合に先立ち予め、単量体100重量部に乳
化剤0.5〜1.5重量部及び溶解度パラメータが7〜
15である非重合性有機溶媒0.5〜20重量部を添加
して乳化液とし、(2)前記乳化液を主たる重合温度よ
り20℃低い温度以上に昇温した後、重合開始剤を投入
することにより重合を開始し、(3)前記単量体の重合
率が20〜60重量%に達した時点から、該重合率に到
達するのに要した時間の1倍〜3倍の範囲内の時間をか
けて、乳化剤0.1〜1重量部を含む水溶液を前記乳化
液に対し連続的に添加することを特徴とする重量平均粒
子径0.25〜0.8ミクロンの粒子からなる大粒子径
ラテックスの製造方法である。以下、本発明について説
明する。
【0008】本発明の要点となるところは、(A)少量
の乳化剤しか用いないにもかかわらず、極めて円滑に重
合を開始せしめる技術、(B)アグロメレーションを
量体と乳化剤を含む水溶液を重合系に連続追添加するこ
とにより制御する技術より構成される。まず、(A)少
量の乳化剤しか用いないにもかかわらず、極めて円滑に
重合を開始せしめるための第一の手段は重合反応の開始
段階で溶解度パラメータが7〜15の非重合性有機溶媒
を使用する点である。上記特定の有機溶媒を使用するこ
とによる重合反応が加速される理由に関しては十分明ら
かではないが、(1)上記特定の有機溶媒がブタジエン
及び水両者共にある一定以上溶解可能であることから、
界面張力が低下して、溶媒を使用しない場合と比較し、
同等の撹拌状態で粒子が小さくなり、界面の面積が大き
くなること、及び(2)上記特定の有機溶媒がブタジエ
ン及び水両者共にある一定以上溶解可能であることか
ら、界面での物質移動が容易となる等の理由で、全体の
重合が加速されることが考えられる。一方で、最終的に
粒子径の大きなラテックスが得られる理由として、重合
初期段階で生じた微小粒子が、その成長に伴い乳化剤に
よる粒子表面の被覆率が低下し、ラテックス粒子が不安
定化することにより、粒子同志が融着合一(アグロメレ
ーション)するためと考えられる。
【0009】本発明に用いる特定の有機溶媒としては、
本発明の目的である機能を発現させるためには水及び脂
肪族共役ジエン両者にある一定以上溶解可能である必要
がある必要があるため溶解度パラメータが7〜15であ
ることが肝要であるが、特に9〜14が好ましい。本発
明で言う溶解度パラメータは、以下の式にて求める。
【0010】
【数1】
【0011】尚、溶媒の沸点はJIS,K0066の化
学製品の蒸留試験方法において、RIGOSHA,C
O.LTD製の蒸留装置DISTILATION,AP
PARATUS型式150−01Eを用い試験を行い、
溶媒の留出量25重量%時点の蒸留温度(℃)を絶対温
度(K)に換算したものを上式に当てはめる。このよう
な有機溶媒としては、下記一般式(1)〜(4)で示さ
れるものがある。
【0012】
【化1】
【0013】上記有機溶媒としては、具体的にはアセト
ニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセト
アミド、ジメチルホルムアミドが挙げられ、有機溶媒添
加後のラテックスの分散安定性を損ないにくい点からは
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルが
好ましい。これらの有機溶媒は単独若しくは2種以上組
み合わせて使用される。
【0014】有機溶媒の使用量は、単量体の合計100
重量部あたり0.5〜20重量部が必要である。また好
ましくは1〜5重量部が適当である。使用量が0.5重
量部未満では本発明の効果は十分ではなく、20重量部
を超えるとラテックスが不安定化し、重合残渣が増加す
る傾向を示す。本発明において乳化液を作製するのに用
いる乳化剤としては、不均化ロジン酸、オレイン酸、ス
テアリン酸などの高級脂肪酸のアルカリ金属塩、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸といったスルホン酸アルカリ金属
塩、アルケニルコハク酸といった二塩基酸のアルカリ金
属塩を単独又は組み合せて用いることができる。
【0015】乳化剤の使用量は全単量体100重量部あ
たり0.5〜1.5重量部であることが肝要である。乳
化剤量が0.5重量部未満の場合でも、併用する上記特
定の有機溶媒の量を多めに設定することで本発明の効果
は発現するが、重合残渣が発生し易くなる。1.5重量
部を越えると重合系の粘度上昇が顕著となり、重合熱の
除去等で困難を生じる。なお、最終的に得られるラテッ
クス粒子径は、重合開始時に使用する乳化剤量によって
決まるため、目標とする粒子径に応じ乳化剤量を決定
し、この乳化剤量に対し、重合残渣の発生がなく、かつ
最も重合加速効果が発現する様上記特定の有機溶媒量を
設定することが好ましい。
【0016】重合を円滑に開始するための第二の手段は
重合開始剤の投入時期にあり、開始剤を含まない単量体
乳化液を重合開始剤の分解速度が十分高くなる温度、お
よび単量体の重合速度が十分に高くなる温度まで昇温し
た後に重合開始剤を投入することにより重合を開始する
ものである。この方法を用いることで、乳化液に含まれ
るミセルがすみやかにポリマー粒子へ転化するので粒子
径の均一化が達成できる。逆に、予め重合開始剤を含む
乳化液を作成し徐々に重合温度まで昇温した場合は昇温
過程においても少量ながらポリマー粒子が発生するた
め、得られたラテックスの粒子径分布は広くなる。具体
的には主たる重合温度より20℃低い温度以上に、好ま
しくは重合温度より15℃低い温度以上に昇温した重合
開始剤を含まない単量体乳化液に対し、重合開始剤水溶
液を投入し重合を開始することで単分散粒子径分布を有
するラテックスを得ることができる。本発明における主
たる重合温度とは単量体の合計100重量部の時、単量
体の消費速度が1時間当たり1〜10重量部の範囲にあ
る温度をいう。
【0017】本発明に用いる重合開始剤としては、過硫
酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムと
いった水溶性過硫酸塩があげられる。これらを単独ある
いは2種以上併用し、単量体100重量部に対し0.0
5〜0.4重量部用い重合開始することにより好ましい
開始反応は達成できるが、乳化液に還元剤を予め加えて
おき過酸化物をレドックス分解する方法、油溶性開始剤
を少量の単量体に溶解した反応液を別途作成し昇温の終
了した乳化液に添加し反応を開始する方法を用いること
も任意である。
【0018】重合反応を円滑かつ均一に開始することは
単分散粒子径分布を有するラテックスを得る上で極めて
重要であるが、本発明においては上記二つの手段を併用
することにより、重合反応を極めて円滑かつ均一に開始
することに成功したものである。次ぎに(B)アグロメ
レーションを乳化剤を含む水溶液を重合系に連続追添加
することにより制御する技術(アグロメレーション過程
における粒子径分布コントロール)について説明する。
【0019】本発明ではこのアグロメレーションを、乳
化剤を含む水溶液を重合系に連続添加することにより制
御する。乳化剤が不足することにより、アグロメレーシ
ョンが進行している粒子に対し、粒子被覆安定化に十分
な量の乳化剤を加えることでアグロメレーションを停止
できることは、容易に考えられる。しかし、乳化剤、或
いは乳化剤水溶液を重合系に対し、一括して短時間のう
ちに投入すると、微小粒子を含むラテックスが生成す
る。これは、添加した乳化剤がミセルを形成してしま
い、すでに重合系に存在する粒子の表面に吸着されるよ
り早くラジカルを補足し、ポリマー粒子となるためと考
えられる。
【0020】乳化剤を含む水溶液の重合系への添加開始
時期は、重合率20〜60重量%の範囲内でなければな
らない。更には25〜50重量%に達した時期が好適で
ある。重合率20重量%未満の時点で連続添加を開始す
るとアグロメレーションが十分でなく著しく小さな粒子
のみからなるラテックスしか得られず、逆に60重量%
を越える重合率に到達するまで連続添加の開始を遅らせ
るとアグロメレーションが進みすぎ部分的に巨大粒子が
発生し、粒子径の単分散性が損なわれる。すなわち、粒
子径の分布が拡がる傾向にある。連続添加の開始時期が
該重合率範囲にあれば、最終的に得られるラテックス粒
子径は、重合開始時点に用いた乳化剤量のみによって決
まり、連続添加開始時点での重合率には依存しない。
【0021】本発明の重合率は下記の式によって求めら
れる値をいう。
【0022】
【数2】
【0023】なお、上記式中の固形分は以下の方法で求
める。重合装置からSUS304製1リットルの耐圧容
器に約250ミリリットルをサンプリングし、耐圧容器
を大気圧(760mmHg)にし、1時間後にサンプル
約1gを直径6cm約1gのアルミ皿に取り計量する
(計量A)。このアルミ皿を乾燥機(TABAI,ES
PEC,CORP.MODEL,LC−112)に入
れ、130℃、45分間乾燥させた後、アルミ皿に取り
出し、デシケ−タに入れ、30分間放冷したものを計量
する(計量B)。ここで用いるアルミ皿は予めデシケ−
タ内に30分以上経過したものを計量する(計量C)。
なお、計量はカ−ルツァイス株式会社製ザルトリウス型
式A200Sを用い、小数点以下4桁までのグラム数を
読み取る。固形分は下記の式にて求める。
【0024】 固形分=乾燥後のサンプル重量/乾燥前のサンプル重量 =(計量B−計量C)/(計量A−計量C) 本発明において連続添加にかける時間は、重合開始から
連続添加の開始までに要した時間の1〜3倍が必要であ
る。連続添加に要する時間が該範囲より短い場合には、
実質的に乳化剤を一括添加した場合と同等な結果とな
り、微小粒子が発生する。逆に3倍を越えるとラテック
ス粒子の単分散性が損なわれる傾向にある。尚、連続添
加の意味は、少量ずつ乳化剤を重合系に投入することで
あり、連続添加速度を添加中に変化させたり、間欠的に
連続添加を繰り返すことは任意である。
【0025】連続添加する乳化剤の量は0.1〜1重量
部が必要であり、更には0.3〜0.7重量部が好適で
ある。0.1部未満ではアグロメレーション制御効果が
不十分で、部分的に巨大粒子を生じ易く、1部を越える
と連続添加過程で微小粒子を発生する場合がある。連続
添加する乳化剤量が該範囲内であれば重合開始時に用い
た乳化剤量に応じた重量平均粒子径を有する単分散粒子
径分布をもつラテックスが得られるので、重合残渣が著
しく発生しない程度に適宜その乳化剤量を設定すれば良
い。
【0026】連続添加する乳化剤としては上記乳化液の
調整で用いたのと同様の乳化剤が適宜選択できる。本発
明に用いる脂肪族共役ジエンとしては、1,3−ブタジ
エン、イソプレン、クロロプレンなどが挙げられるが、
ABS樹脂原料としては1,3−ブタジエンが好適であ
る。脂肪族共役ジエンと他のビニル単量体を共重合させ
ることも可能で、その他のビニル単量体にはスチレン、
αメチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化
合物、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチ
ルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチメメタ
アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル化合物を
用いることができる。また、メルカプタン類、テレペン
類といった分子量調整剤の使用も任意である。これら単
量体の100重量部に対し、脂肪族共役ジエン化合物を
85〜100重量部、及びこれらの共重合可能なビニル
単量体を0〜15重量部を用いることにより、ABS樹
脂に対する耐衝撃性付与効果の良好なゴム質重合体が得
られる。全単量体に占める脂肪族共役ジエン単量体の割
合は好ましくは95重量%以上であり、99.5重量%
以上である領域において、特にこの特定の溶媒の添加効
果が大きい。
【0027】ラテックスの分散媒体としての水の使用量
は、単量体の合計100重量部に対し50〜200重量
部が好ましく、さらに好ましくは60〜120重量部が
好適である。極端に使用水量を下げるとラテックス粘度
が上昇し好ましくなく、また多量の水の使用は経済的に
不利である。水は、重合反応開始時点に全量一括して投
入しても、重合過程で分割、或いは連続的に投入しても
良い。実際には、全使用水の50〜80%を初期投入
分、残余を連続追添加分に振り分けることで好ましいラ
テックスが得られる。
【0028】乳化剤、重合開始剤の他に、pH調整剤を
使用することも任意である。重合温度は、通常のラテッ
クス製造に用いられる領域、すなわち50〜80℃で実
施することが可能である。重合温度は、重合期間を通じ
一定である必要はなく、高速度で反応の進む重合の前半
を低温で実施し、重合速度の低下する重合後半を高温で
実施するなど、適宜設定すれば良い。また重合は必ずし
も完結させる必要はなく、求められる架橋度に対応した
任意の重合率にて重合を終了し、残余の単量体を回収す
るなど、当業者公知の方法で重合を終了することができ
る。
【0029】本発明の製法によれば、後述の方法で測定
される重量平均粒子径が0.2〜0.8ミクロンの粒子
からなる大粒子径ラテックスが製造できる。更に、本発
明の製法によって得られるラテックスは重量平均粒子径
の0.8倍〜1.2倍の範囲に85重量%以上の粒子を
有する単分散粒子径分布を有するものである。ここで、
ラテックスの単分散粒子径分布とは、単に1μを超える
巨大粒子や微小粒子を含まないことのみならず、平均粒
子径±20%の範囲内に、全粒子の80重量%以上が含
まれる粒子径分布である。
【0030】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を説明する。な
お、実施例及び比較例中の粒子径の測定は日立電子顕微
鏡H600ABを用い、800倍に拡大したネガを25
000倍に拡大焼き付けた写真の粒子1個1個の粒子径
を測定し、5000個以上の粒子径測定値について重量
平均粒子径に換算した値を用いる。電子顕微鏡の倍率検
定にはダウケミカル社製の単分散ラテックス粒子109
0Å、2160Å、2620Åの3種を使用した。ここ
で言う単分散とは(数平均粒子径/重量平均粒子径)の
値が1.1以下のものである。
【0031】また、実施例及び比較例中の部数は、重量
部を表わす。
【0032】
【実施例1】重合を開始する時点において、以下の組成
(固形分基準)の物質を、内部を真空に脱気した50リ
ットルオートクレーブに投入し、65℃に昇温した。 1,3−ブタジエン 100.0 部 ブタノール(溶解度パラメ−タ:10.9) 3.0 部 t−ドデシルメルカプタン 0.2 部 不均化ロジン酸カリウム塩 0.6 部 牛脂ケン化石ケン 0.3 部 (日本油脂(株)製、商標ノンサールTN−1) カセイソーダ 0.1 部 重炭酸ソーダ 0.35部 脱イオン水 55.0 部 65℃到達後、脱イオン水5.0部に過硫酸ソーダ0.
25部を溶解してなる水溶液を投入し、重合を開始し主
たる重合温度65℃にて重合を継続した。65℃到達後
6時間目から16時間目の間に、以下の組成の物質をオ
ートクレーブに連続添加しながら重合を継続した。
【0033】 不均化ロジン酸カリウム塩 0.3 部 牛脂ケン化石ケン 0.1 部 (日本油脂(株)製、商標ノンサールTN−1) 過硫酸ソーダ 0.1 部 カセイソーダ 0.05部 重炭酸ソーダ 0.15部 脱イオン水 45.0 部 連続添加終了後、重合系を80℃に昇温し、65℃到達
時から30時間目に冷却し重合を終了した。65℃到達
時から6時間目の重合率は40重量%、最終重合率は9
0重量%であった。電子顕微鏡写真により求めたゴムラ
テックスの重量平均粒子径は0.31ミクロンであっ
た。このラテックスは、0.31±0.06ミクロンす
なわち0.25ミクロン〜0.37ミクロンの範囲内に
85重量%の粒子を有する単分散粒子径分布を有するラ
テックスであった。
【0034】
【比較例1】実施例1と同様の重合を、予め過硫酸ソー
ダ0.25部を脱イオン水5.0部に溶解してなる水溶
液を20℃の重合槽内に投入し、投入後65℃に昇温す
ることにより実施した。重合開始は、重合槽温度が65
℃に到達した時点とみなし、また20℃から65℃に昇
温するのに要した時間は1.5時間であった。重合開始
30時間目に冷却し、最終の重合率91重量%、重量平
均粒子径0.30ミクロンのゴムラテックスを得た。こ
のラテックスは、0.4ミクロンの大粒子23重量%、
0.27ミクロンのメイン粒子77重量%からなるもの
であった。
【0035】
【実施例2】実施例1と同様の重合で、ブタノール3.
0部をアセトニトリル(溶解度パラメ−タ:13.5)
3.0部に置き換え、反応混合物を55℃に昇温し、こ
れに対し脱イオン水5.0部に過硫酸ソーダ0.25部
溶解してなる水溶液を添加し、更に65℃まで昇温して
重合を開始し、主たる重合温度65℃にて重合を継続し
た。重合開始は、重合槽温度が65℃に到達した時点と
みなし、また55℃〜65℃に昇温するに要した時間
は、30分であった。重合開始30時間目に冷却し、重
合率90重量%、ゴムラテックスの重量平均粒子径0.
30ミクロン、0.24〜0.36ミクロンの範囲内に
83重量%の粒子を有する単分散粒子径分布をもつゴム
ラテックスを得た。
【0036】
【実施例3】実施例1と同様の重合で、ブタノール3.
0部をジメチルホルムアミド(溶解度パラメ−タ:1
1.7)3.0部、1,3−ブタジエンを90.0部に
置き換え、スチレン10.0部を加えて実施した。65
℃到達時から6時間目重合率43重量%、30時間目重
合率92重量%、重合平均粒子径0.3ミクロンの単分
散粒子径分布を有するゴムラテックスが得られた。
【0037】
【実施例4】実施例1と同様の重合を、不均化ロジン酸
カリウム塩0.8部、牛脂ケン化石ケン0.4部重合開
始時に使用し実施した。65℃到達時から30時間目重
合率94重量%、重合平均粒子径0.27ミクロンの単
分散粒子径分布をもつゴムラテックスが得られた。
【0038】
【実施例5】実施例1と同様の重合で、ブタノール3.
0部をアセトニトリル3.0部に置き換え、不均化ロジ
ン酸カリウム塩0.4部、牛脂ケン化石ケン0.2部重
合開始時に使用し実施した。65℃到達時から30時間
目の重合率83重量%、重量平均粒子径0.38ミクロ
ンの単分散粒子径分布をもつゴムラテックスが得られ
た。
【0039】
【実施例6】実施例1と同様の重合で、ブタノール3.
0部をアセトニトリル1.0部に置き換えて実施した。
65℃到達時から30時間目重合率85重量%、重量平
均粒子径0.29ミクロンの単分散粒子径分布をもつゴ
ムラテックスが得られた。
【0040】
【実施例7】実施例1と同様の重合を、乳化剤水溶液の
連続添加時期を65℃到達後6時間目から22時間目に
変更し実施した。なお、65℃から80℃への重合系温
度変更は、実施例1と同じく65℃到達後16時間目に
実施した。65℃到達時から30時間目重合率は90重
量%、重量平均粒子径0.31ミクロンの単分散粒子径
分布をもつゴムラテックスが得られた。
【0041】
【実施例8】実施例1と同様の重合を、乳化剤水溶液の
連続添加時期を65℃到達後4時間目から14時間目に
変更し実施した。なお、65℃から80℃への重合系温
度変更は、乳化剤水溶液連続添加終了と同時に実施し
た。65℃到達時から4時間目重合率は30重量%、6
5℃到達時から30時間目重合率92重量%、重量平均
粒子径0.30ミクロンの単分散粒子径分布をもつゴム
ラテックスが得られた。
【0042】
【比較例2】実施例1と同様の重合を、1,3−ブタジ
エン100部、ブタノールを使用せず実施した。65℃
到達時から6時間目重合率13重量%、65℃到達時か
ら30時間目にても重合率は50重量%であった。
【0043】
【比較例3】実施例1と同様の重合を、1,3−ブタジ
エン90部に置き換え、アクリロニトリル10部を加え
て実施した。1μを越える巨大粒子を含むゴムラテック
スが得られるとともに、著しい重合残渣が観察された。
【0044】
【比較例4】比較例3と同様の重合を、不均化ロジン酸
カリウム塩0.8部、牛脂ケン化石ケン0.4部重合開
始時に使用し実施した。65℃到達直後から著しい発熱
がおこり同時にゴムラテックスが増粘し重合系温度が制
御できなくなり、重合を中止した。
【0045】
【比較例5】実施例1と同様の重合を、乳化剤水溶液の
連続添加時期を65℃到達後6時間目から11時間目に
変更し実施した。なお、65℃から80℃への重合系温
度変更は、実施例1と同じく65℃到達時から16時間
目に実施した。65℃到達時から30時間目重合率は9
8重量%に達したが、重量平均粒子径0.29ミクロン
の粒子45重量%と0.11ミクロンの小粒子55重量
%からなる多分散粒子径分布をもつゴムラテックスであ
った。
【0046】
【比較例6】実施例1と同様の重合を、連続追添加する
水溶液中の不均化ロジン酸カリウム0.8部、牛脂ケン
化石ケン0.4部に変更し実施した。65℃到達時から
30時間目重合率97重量%であったが、比較例5同様
に小粒子を含む多分散粒子径分布をもつゴムラテックス
であった。
【0047】
【比較例7】実施例1と同様の重合を、乳化剤を含まな
い水溶液を連続添加することにより実施した。得られた
ゴムラテックスには1ミクロンを越える粗大粒子が存在
した。
【0048】
【比較例8】実施例1と同様の重合を、乳化剤水溶液の
連続添加時期を65℃到達後2時間目から12時間目に
変更し実施した。なお、重合温度の変更は、65℃到達
時から16時間目に実施した。粒子径分布は狭いもの
の、微小な粒子からなるゴムラテックスであった。
【0049】
【比較例9】実施例1の重合を、乳化剤水溶液を連続添
加することなく継続した。65℃到達時から30時間目
重合率は67重量%にしか達せず、以降の重合を断念し
た。以上、実施例1〜8、及び比較例1〜9の重合条件
及び結果を表1〜4に示す。尚、表1、2中のASはア
セトニトリル、ANはアクリロニトリル、BTはブタノ
ール、BDは1,3−ブタジエン、DMFはジメチルホ
ルムアミド、STはスチレンを表わす。この表1〜4よ
り、本発明の製造方法は大粒子径を有する単分散粒子径
分布をもつゴムラテックス製造に効果的であることがあ
きらかである。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【発明の効果】本発明の方法によれば、単に短時間のう
ちに粒子径が大きく、かつ粒子径分布の狭いゴムラテッ
クスが得られるばかりでなく、重合途中において別途作
成したゴムラテックスを添加する方法に比べ、同一反応
器で重合させ得る単量体量を多くできること、重合途中
に単量体を添加する方法の様に新たに重合させねばなら
ない単量体を加える必要がないなど、経済的に有利であ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪族共役ジエン単量体100重量部、
    又は脂肪族共役ジエン単量体及びこれと共重合可能なビ
    ニル単量体を含む単量体であって、全単量体に占める脂
    肪族共役ジエン単量体の割合が85重量%以上である単
    量体100重量部を乳化重合してゴムラテックスを製造
    する方法において、 (1)重合に先立ち予め、単量体100重量部に乳化剤
    0.5〜1.5重量部及び溶解度パラメータが7〜15
    である非重合性有機溶媒0.5〜20重量部を添加して
    乳化液とし、 (2)前記乳化液を主たる重合温度より20℃低い温度
    以上に昇温した後、重合開始剤を投入することにより重
    合を開始し、 (3)前記単量体の重合率が20〜60重量%に達した
    時点から、該重合率に到達するのに要した時間の1倍〜
    3倍の範囲内の時間をかけて、乳化剤0.1〜1重量部
    を含む水溶液を前記乳化液に対し連続的に添加すること
    を特徴とする重量平均粒子径0.25〜0.8ミクロン
    の粒子からなる大粒子径ゴムラテックスの製造方法。
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