JPH0827203A - ゴムラテックスの製造法 - Google Patents

ゴムラテックスの製造法

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JPH0827203A
JPH0827203A JP16373594A JP16373594A JPH0827203A JP H0827203 A JPH0827203 A JP H0827203A JP 16373594 A JP16373594 A JP 16373594A JP 16373594 A JP16373594 A JP 16373594A JP H0827203 A JPH0827203 A JP H0827203A
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polymerization
monomer
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parts
particles
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JP16373594A
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English (en)
Inventor
Shinya Ebita
信哉 胡田
Hirotsugu Osawa
寛嗣 大澤
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 脂肪族共役ジエン単量体及びこれと共重合可
能なビニル単量体を含む単量体100重量部を多段重合
法により乳化重合してラテックスを製造する方法におい
て、重合率が20重量%以下の時点で特定の有機溶媒を
添加して第一段重合用単量体5〜40重量部を重合させ
た後、上記第一段重合用単量体の重合率が30〜80重
量%に達した時点で第二段重合用単量体を連続的に添加
しつつ重合させる。 【効果】 重合槽内に大量の未反応単量体を滞留される
ことなく、より安定な重合を行うことができ、それによ
り過度の架橋をもたない、粒子の均一な単分散粒子径分
布を有するABS樹脂原料用の共重合体ラテックスを製
造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はゴムラテックス、とりわ
けABS樹脂の原料として好適に用いられる粒子径0.
05〜0.2ミクロンの単分散粒子径分布を有する粒子
からなるゴムラテックスの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂は、主として乳化重合法によ
りゴム質重合体粒子に芳香族ビニル化合物とシアン化ビ
ニル化合物をグラフト共重合させることによって得られ
る、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物共重合
体中にゴム質重合体粒子が分散した形態を有する熱可塑
性樹脂である。この樹脂の性質は、分散したゴム質重合
体の粒子径により変化し、例えば該樹脂の特徴の一つで
ある成形品の光沢は、粒子径の小さいゴム質重合体を用
いることにより改善される。
【0003】ところで、乳化重合法により共重合体ラテ
ックス、すなわちゴムラテックスを製造する場合、重合
に要する時間とゴムラテックスの粒子径には密接な関連
があり、粒子径の小さな粒子からなるゴムラテックス製
造に要する時間は、粒子径の大きな粒子からなるゴムラ
テックス製造時に比べ、著しく短いのが通例である。か
かる現象は、一定量の単量体を重合させようとした場
合、小粒子径ゴムラテックス製造に際してはゴムラテッ
クス粒子の数を大粒子径ゴムラテックス製造に比較し、
著しく多く設定しなければならないことに起因すると考
えられている。すなわち、粒子径の小さな粒子からなる
ラテックスを製造しようとすると、短時間のうちに重合
が進行するため、単位時間あたりの発熱量が著しく大き
くならざるを得ない。かかる現象は、生産規模が拡大す
るにつれて反応熱除去が困難となることを意味し、特に
原料となる単量体がブタジエンを主体とする場合には、
重合熱が円滑に除去できず重合系の温度が上昇し重合器
内圧が著しく上昇したり、局部発熱により重合が均一に
進まず、不均質な製品しか得られないといった問題をひ
きおこすことがある。
【0004】この様な問題点を排除するには、重合系内
に大量の単量体を未反応のまま滞留させないことが有効
であり、例えば特公昭54−3511号公報には、高温
条件下で高活性に保った重合槽内に単量体を連続又は間
欠的に添加しつつ重合を行なう技術が開示されている。
しかしながら、この技術は反応系の活性を維持するため
に通常の乳化重合法ゴムラテックス製造時に比べ高い重
合温度が必要とされるため、ゴム粒子内部における架橋
反応が進行し易く、よってABS樹脂用原料ゴム作成に
は適さなかった。
【0005】また、特開平5−17507号公報には少
量のシアン化ビニル化合物を含む第一単量体を特定の重
合率まで重合させた後、第二単量体を連続的に追加して
重合することにより、小粒子からなるゴムラテックスを
得る方法が開示されている。しかしながら、この方法で
は得られたゴムはシアン化ビニル化合物と脂肪族共役ジ
エン単量体との共重合体であるため、脂肪族共役ジエン
単量体を使用した重合体に比べてABS化時のASのグ
ラフト反応を促進する効果はあるものの、ゴム粒子表面
への均一なグラフト厚さとする点で充分ではなかった。
【0006】一方、コ−ト紙のバインダ−等に有用なラ
テックスを製造する方法として、重合初期から特定の有
機溶媒を使用する方法も開発されているが(特開平3−
229703号公報)、この方法では有機溶媒は重合連
鎖移動剤の効率を上げる目的で使用されており、目的も
使用範囲も違っている。すなわち、この方法においては
エチレン系不飽和単量体を20重量%以上使用すること
を必須としており、そのため重合速度を向上させるとい
う思想は全くない。更に、粒子の凝集を起こすことを目
的として、重合途中に親油性のスチレン、ベンゼン、又
は親水性のアセトン等の溶媒やポリビニルアルコール、
ポリエチレンオキサイド等の物質をラテックス中に加え
て撹拌等の処理により大粒子径のラテックスを得る方法
は知られているが、これらは溶媒の添加時期が重合途中
であるため、重合速度を確実に向上させることは困難で
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記現状に鑑
み、ABS樹脂原料に好適で、かつ過度の架橋を有しな
いゴムラテックスを製造し得る技術を提供すること目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために鋭意検討した結果、脂肪族共役ジエン化
合物を主とした単量体を少量の特定の有機溶剤を重合開
始反応時に使用することで、著しく重合が加速され、重
合温度を高くせずとも、残余の単量体を連続的に追添加
するだけで、反応を継続させることが可能であることを
見出し、本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明は脂肪族共役ジエン単量
体100重量部、又は脂肪族共役ジエン単量体及びこれ
と共重合可能なビニル単量体を含む単量体であって、全
単量体に占める脂肪族共役ジエン単量体の割合が85重
量%以上である単量体100重量部を多段重合法により
乳化重合してラテックスを製造する方法において、
(1)重合率が20重量%以下の時点において、溶解度
パラメータが7〜15である非重合性有機溶媒0.5〜
20重量部を添加し、第一段重合用単量体5〜40重量
部を重合させ、ついで、(2)上記第一段重合用単量体
の重合率が30〜80重量%に達した時点で第二段重合
用単量体95〜60重量部を連続的に添加しつつ重合さ
せることを特徴とする重量平均粒子径0.05〜0.2
ミクロンの粒子よりなるゴムラテックスの製造法であ
る。以下、本発明の内容について説明する。
【0010】本発明の特徴とするところは、(A)予め
重合槽内に投入された第一段重合用単量体(以下、第一
単量体という)を用い重合を開始し(第一段重合)、重
合が進行中の系に対し第二段重合用単量体(以下、第二
単量体という)を連続的に追添加しながら重合を継続す
る(第二段重合)という多段重合法を用いる点、(B)
上記第一段重合にあたって、単量体の0.5〜20重量
%溶解度パラメータが7〜15の非重合性有機溶媒を使
用する点である。
【0011】本発明において、第一段重合に用いる単量
体量は全単量体100重量部あたり5〜40重量部が必
要であり、好ましくは10〜30重量部である。第一段
重合に用いる単量体が40重量部を越えると、多段重合
を用いる利点が薄れ、一方、5重量部未満では第一段重
合にて用いる溶解度パラメータが7〜15の非重合性有
機溶媒の重合系活性化効果が十分発揮されない傾向にあ
る。
【0012】本発明においては、第一単量体の重合率が
30〜80重量%に達した時点で第二単量体を連続的に
添加しつつ重合させることが肝要である。30重量%未
満では重合速度が上がりすぎ、単位時間当たりの発熱量
が大きく、温度コントロ−ルが困難であり、80重量%
を超えると脂肪族共役ジエンの架橋が進みすぎる。好ま
しくは50〜60重量%である。
【0013】本発明における連続的な単量体添加とは、
重合速度に見合う速度で単量体を添加することを意味
し、一定速度での連続添加の他に、間欠的連続添加、少
量ずつの分割添加、添加速度に傾斜をつけた連続添加も
含む。本発明は上記多段重合法を用いることによって、
全単量体を未反応のままの状態、或いは低重合率の状態
で重合槽内に滞留させる必要がなくなる。多段重合を用
いる利点は、第二段重合用単量体と重合系の温度差を利
用し、追添加する単量体の顕熱によって除熱がなされる
点であり、かかる除熱では不十分である場合には、公知
の除熱方法、例えば重合槽ジャケットに冷水を通水する
方法やリフラックスコンデンサーを用いる方法を併用す
ることが好ましい。多段重合法を用いる別の利点として
は、重合進行に伴う重合系の粘度変化を小さくし得るこ
とがあげられる。この効果は、第二段重合用単量体を連
続添加する操作と平行して、重合系に水及び必要に応じ
乳化剤、重合開始剤、pH調整剤を連続追添加し、重合
系内の固形分比率を一定に保つことにより、均一な撹拌
効果が得られ、重合槽内の局部的な発熱や異常反応が回
避でき、均質な製品、更には粒子径分布の狭い製品を得
ることができる。
【0014】本発明においては第一単量体の重合開始初
期に溶解度パラメータが7〜15である非重合性溶媒を
共在させることが肝要である。溶解度パラメータが7〜
15である非重合性有機溶媒は、重合を円滑に開始せし
め、重合系を高活性に維持する効果を有する。この効果
発現の理由に関しては十分明らかではないが、(1)上
記特定の有機溶媒がブタジエン及び水両者共にある一定
以上溶解可能であることから、界面張力が低下して、溶
媒を使用しない場合と比較し、同等の撹拌状態で粒子が
小さくなり、界面の面積が大きくなること及び、(2)
上記特定の有機溶媒がブタジエン及び水両者共にある一
定以上溶解可能であることから、界面での物質移動が容
易となる等の理由で、全体の重合が加速されることが考
えられる。すなわち、本発明により、重合系の温度を著
しく高く設定せずとも第二段単量体は重合系に添加され
るとすみやかに重合し、よって重合系内に未反応単量体
が滞留することが無くなり、安定に再現性良く粗大粒子
を含まないABS樹脂原料として好適なゴムラテックス
製造が可能となったものである。
【0015】本発明においては重合率が20重量%以下
の時点において特定の有機溶媒及び特定量の乳化剤を添
加することによって重合速度が向上する。ここで、重合
率は下記の式によって求められる値をいう。
【0016】
【数1】
【0017】なお、上記式中の固形分は以下の方法で求
める。重合装置からSUS304製1リットルの耐圧容
器に約250ミリリットルをサンプリングし、耐圧容器
を大気圧(760mmHg)にし、1時間後にサンプル
約1gを直径6cm約1gのアルミ皿に取り計量する
(計量A)。このアルミ皿を乾燥機(TABAI,ES
PEC,CORP.MODEL,LC−112)に入
れ、130℃、45分間乾燥させた後、アルミ皿を取り
出し、デシケ−タに入れ、30分間放冷したものを計量
する(計量B)。ここで用いるアルミ皿は予めデシケ−
タ内に30分以上経過したものを計量する(計量C)。
なお、計量はカ−ルツァイス株式会社製ザルトリウス型
式A200Sを用い、小数点以下4桁までのグラム数を
読み取る。固形分は下記の式にて求める。
【0018】 固形分=乾燥後のサンプル重量/乾燥前のサンプル重量 =(計量B−計量C)/(計量A−計量C) 有機溶媒の添加時期として好ましいのは重合開始時であ
る。重合開始時とは、単量体の合計100重量部の時単
量体の消費速度が1時間当たり0.5重量部以下の条件
のことである。
【0019】本発明に用いる特定の有機溶媒としては、
本発明の目的である機能を発現させるためには水及び脂
肪族共役ジエン両者にある一定以上溶解可能である必要
があるため溶解度パラメータが7〜15であることが肝
要であり、特に9〜14が好ましい。本発明で言う溶解
度パラメータは、以下の式にて求める。
【0020】
【数2】
【0021】尚、溶媒の沸点は、JIS,K0066の
化学製品の蒸留試験方法において、RIGOSHA,C
O.LTD製の蒸留装置DISTILATION,AP
PARATUS型式150−01Eを用い試験を行い、
溶媒の留出量25重量%時点の蒸留温度(℃)を絶対温
度(K)に換算したものを上式に当てはめる。このよう
な有機溶媒としては、下記一般式(1)〜(4)で示さ
れるものが好ましい。
【0022】
【化1】
【0023】上記有機溶媒としては、具体的にはアセト
ニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセト
アミド、ジメチルホルムアミドが挙げられ、有機溶媒添
加後のラテックスの分散安定性を損ないにくい点からは
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルが
好ましい。これらの有機溶媒は単独若しくは2種以上組
み合わせて使用される。
【0024】有機溶媒の使用量は、単量体の合計100
重量部あたり0.5〜20重量部であることが肝要であ
り、好ましくは1〜5重量部である。同化合物の使用量
が0.5重量部未満では、本発明の効果は十分でなく、
20重量部を超えるとラテックスが不安定化し、重合残
渣が増加する傾向を示す。第一単量体に対する上記有機
溶媒の割合は、該単量体の0.5〜20重量%であるこ
とが肝要である。0.5重量%未満では上記効果は十分
でなく、重合が遅く、かつ粗大粒子が生じ易い。使用す
る有機溶媒は例示した物質と同一である必要はなく、溶
解度パラメータが7〜15であれば良く、ブタジエン及
び水両者に対しある一定以上の溶解度を有することで上
記効果が発現する。
【0025】本発明に用いる脂肪族共役ジエンとして
は、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレンな
どが挙げられるが、ABS樹脂原料としては1,3−ブ
タジエンが好適である。脂肪族共役ジエンと他のビニル
単量体を共重合させることも可能で、その他のビニル単
量体としてスチレン、αメチルスチレン、ビニルトルエ
ン等の芳香族ビニル化合物、メチルアクリレート、エチ
ルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタアク
リレート、エチメメタアクリレート等の(メタ)アクリ
ル酸エステル化合物を用いることができる。また、メル
カプタン類、テレペン類といった分子量調整剤の使用も
任意である。全単量体に占める脂肪族共役ジエン単量体
の割合はABS樹脂用として好適なゴム弾性を有する重
合体を得るには85重量%以上であることが肝要であ
り、好ましくは90重量%以上である。更に、99.5
重量%以上である領域において、特にこの特定の有機溶
媒の添加効果が大きい。
【0026】重合開始剤としては、例えば過硫酸ナトリ
ウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムといった水
溶性過硫酸塩、クメンハイドロパーオキサイド等の有機
過酸化物を一成分とするレドックス系開始剤等を用いる
ことができる。重合開始剤は、単量体の合計100重量
部に対し0.05〜0.4重量部程度が好ましい使用量
である。過硫酸塩に開始剤として使用する場合、生成す
る硫酸イオンを中和する程度のpH調整剤を使用するこ
とが望まれるが、大量の酸、アルカリや無機電解質を加
える必要はない。
【0027】ゴムラテックスの分散媒体としての水の使
用量は、単量体の合計100重量部に対し50〜200
重量部が好ましく、さらに好ましくは60〜120重量
部が好適である。極端に使用水量を下げるとゴムラテッ
クス粘度が上昇し好ましくなく、また多量の水の使用は
経済的に不利である。水は、重合反応開始時点に全量一
括して投入しても、重合過程で分割、或いは連続的に投
入しても良い。実際には、重合進行に伴うゴムラテック
ス粘度上昇を緩和し、かつ重合残渣を軽減すべく、乳化
剤とともに重合途中で連続的に追添加する方法が好まし
いが、特に制約すべき要素ではない。
【0028】本発明に用いる乳化剤としては、不均化ロ
ジン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸の
アルカリ金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸といった
スルホン酸アルカリ金属塩、アルケニルコハク酸といっ
た二塩基酸のアルカリ金属塩を単独又は組み合せて用い
ることができる。重合に用いる乳化剤量には特に制限は
無いが、全単量体100重量部あたり0.5〜25重量
部、好ましくは1〜3重量部、このうち、第一段重合に
は0.1〜0.5重量部使用することが好ましい。最終
的なゴムラテックス粒子径は、第一単量体の重合に用い
る乳化剤量と第一単量体の比率によって決まる。例えば
第一単量体20重量部において0.1部程度の少量の乳
化剤を用い重合を開始すると0.15〜0.2ミクロン
程度の、1.2重量部程度の若干多量の乳化剤を用い重
合を開始すると0.05〜0.10ミクロン程度の粒子
からなるゴムラテックスが得られる。また、0.1重量
部の乳化剤を用い第一単量体10重量部重合させると
0.1〜0.3ミクロン程度の、第一単量体30重量部
重合させると0.16〜0.2ミクロン程度のゴムラテ
ックス粒子がそれぞれ得られる。この様な現象がおこる
原因は、重合開始時点に存在したミセルの数よりも、む
しろ重合初期段階にて生成した微小粒子がその成長に伴
い乳化剤による被覆率が低下し、粒子として不安定とな
るため粒子同志が融着合一(アグロメレーション)する
ことにより、重合開始時に使用した乳化剤と単量体の量
に応じた粒子数にて重合系が安定化するためと考えられ
る。
【0029】重合温度は、通常のゴムラテックス製造に
用いられる領域、すなわち50〜80℃で実施すること
が可能である。重合温度は、重合期間を通じ一定である
必要はなく、高速度で反応の進む重合の前半を低温で実
施し、重合速度の低下する重合後半を高温で実施するな
ど、適宜設定すれば良い。また重合は必ずしも完結させ
る必要はなく、求められる架橋度に対応した任意の重合
率で重合を終了し、残余の単量体を回収するなど、当業
者公知の方法で行うことができる。
【0030】本発明によれば、重合槽内に大量の未反応
単量体を滞留させる必要がなくなり、よって安定に、か
つ過度の架橋を持たない単分散粒子径分布を有するゴム
ラテックスが製造できる。尚、単分散粒子径分布とは、
主たる粒子の3倍以上の巨大粒子や1/3以下の微小粒
子を含まないのみならず電子顕微鏡写真より求めた重量
平均粒子径±20%の範囲内に、全粒子の80重量%以
上が含まれる分布の程度を意味する。
【0031】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を説明する。な
お、実施例及び比較例中の粒子径の測定は、日立電子顕
微鏡H600ABを用い、800倍に拡大したネガを2
5000倍に拡大焼き付けた写真の粒子1個1個の粒子
径を測定し、5000個以上の粒子径測定値について重
量平均粒子径に換算した値を用いる。なお、電子顕微鏡
の倍率検定にはダウケミカル社製の単分散ラテックス粒
子1090Å、2160Å、2620Åの3種を使用し
た。ここで言う単分散とは(数平均粒子径/重量平均粒
子径)の値が1.1以下のものである。
【0032】また、実施例及び比較例中で用いる部数は
重量部を表す。
【0033】
【実施例1】重合を開始する時点において、以下の組成
の物質(固形分基準)を、内部を真空に脱気した50リ
ットルオートクレーブに投入し、65℃にて重合した。 1,3−ブタジエン 20.0 部 ブタノール(溶解度パラメ−タ:10.9) 2.0 部 t−ドデシルメルカプタン 0.1 部 不均化ロジン酸カリウム塩 0.067部 牛脂ケン化石ケン 0.033部 (日本油脂(株)製、商標ノンサールTN−1) 過硫酸ナトリウム 0.075部 カセイソーダ 0.03 部 重炭酸ソーダ 0.10 部 脱イオン水 60.0 部 65℃到達後3時間目から7時間かけて、以下の組成の
物質をオートクレーブに連続添加しながら重合した。
尚、3時間目の重合率は62重量%であった。
【0034】 1,3−ブタジエン 80.0 部 t−ドデシルメルカプタン 0.3 部 不均化ロジン酸カリウム塩 0.67 部 牛脂ケン化石ケン 0.33 部 (日本油脂(株)製、商標ノンサールTN−1) 過硫酸ナトリウム 0.1 部 カセイソーダ 0.05 部 重炭酸ソーダ 0.15 部 脱イオン水 50.0 部 連続添加終了後、重合系を80℃に昇温し、65℃到達
時から15時間目に冷却し重合を終了した。重合率は9
5重量%、電子顕微鏡写真により求めた重合体ゴムラテ
ックスの重量平均粒子径は0.18ミクロンであった。
また、2ミクロンを越す大粒子、0.01ミクロン未満
の小粒子は、認められなかった。
【0035】
【実施例2】実施例1と同等の重合で、ブタノール2.
0部をアセトリトリル(溶解度パラメ−タ:13.5)
2.0部に置き換えて実施した。65℃到達時から15
時間目に冷却し重合を終了した。重合率は96重量%、
電子顕微鏡写真により求めた重合体ゴムラテックスの重
量平均粒子径は0.16ミクロンであった。また、巨大
粒子、微小粒子の存在は認められなかった。
【0036】
【実施例3】実施例1と同等の重合で、ブタノール2.
0部をジメチルホルムアミド(溶解度パラメ−タ:1
1.7)2.0部に置き換えて実施した。65℃到達時
から16時間目に冷却し重合を終了した。重合率は95
重量%、電子顕微鏡写真により求めた重合体ゴムラテッ
クスの重量平均粒子径は0.17ミクロンであった。ま
た、巨大粒子、微小粒子の存在は認められなかった。
【0037】
【実施例4】実施例1と同等の重合で、ブタノール2.
0部をアセトリトリル1.0部に置き換えて実施した。
65℃到達時から16時間目に冷却し重合を終了した。
重合率は95重量%、電子顕微鏡写真により求めた重合
体ゴムラテックスの重量平均粒子径は0.16ミクロン
であった。また、巨大粒子、微小粒子の存在は認められ
なかった。
【0038】
【実施例5】実施例1と同等の重合を、第二単量体とし
て1,3−ブタジエン70.0部、スチレン10.0部
に置き換えて実施した。65℃到達時から13時間目に
冷却し重合を終了した。重合率は98重量%、電子顕微
鏡写真により求めた共重合体ゴムラテックスの重量平均
粒子径は0.16ミクロンであった。また、巨大粒子、
微小粒子の存在は認められなかった。
【0039】
【実施例6】実施例1と同等の重合を、開始時の不均化
ロジン酸カリウム塩0.2部、牛脂ケン化石ケン0.1
部、第二単量体添加開始を65℃到達時から2時間目に
変更し、実施した。連続添加開始時点での重合率は60
重量%であった。65℃到達時から9時間目に冷却し、
重合を終了した。重合率は97重量%、電子顕微鏡写真
により求めたゴムラテックスの重量平均粒子径は0.1
6ミクロンであった。また、巨大粒子、微小粒子の存在
は認められなかった。
【0040】
【実施例7】実施例1と同等の重合を、第一単量体とし
て1,3−ブタジエン30部、ブタノール3部、第二単
量体として、1,3−ブタジエン70部、第二単量体及
び水溶液の添加開始を65℃到達時から4時間目、添加
時間を8時間に変更し実施した。65℃到達時から18
時間目に冷却し、重合を終了した。重合率は97重量
%、電子顕微鏡写真により求めた重合体ゴムラテックス
の重量平均粒子径は0.18ミクロンであった。また、
巨大粒子、微小粒子の存在は認められなかった。
【0041】
【比較例1】実施例1と同等の重合で、ブタノールを使
用せずに実施した。65℃到達後、5時間を経ても重合
が開始されず、以降の反応を断念した。
【0042】
【比較例2】実施例1と同等の重合を、第一単量体とし
て1,3−ブタジエン30部、第二単量体として1,3
−ブタジエン70部に置き換えて実施した。65℃到達
時から3時間目の重合率は19重量%、65℃到達時か
ら20時間目重合率62重量%、重合体ゴムラテックス
の重量平均粒子径は0.25ミクロンであった。また、
重合体ゴムラテックス粒子の中には0.4ミクロンを越
える巨大粒子が存在した。
【0043】
【比較例3】実施例1と同等の重合を、第二単量体及び
水溶液の連続添加開始時期を65℃到達時から5時間に
変更し、実施した。連続添加開始時点での重合率は83
重量%であった。65℃到達時から15時間目に冷却し
て得た重合体ゴムラテックスは、重合率96重量%であ
るものの、0.07ミクロンの微小粒子と、0.15ミ
クロンの粒子の混合物であった。
【0044】
【比較例4】実施例1と同等の重合を、第一単量体とし
て1,3−ブタジエン10部、アクリロニトリル10部
に置き換えて実施した。65℃到達時から14時間目に
冷却し、重合率95重量%のゴムラテックスを得た。こ
の重合体ゴムラテックスに含まれる粒子は、0.15ミ
クロンの粒子の他に0.5ミクロンを越える巨大粒子、
微小粒子の集合体と思われる(非球形)粒子を含み、か
つ、著しい重合残渣が観察された。
【0045】
【比較例5】実施例1と同等の重合を、第二単量体とし
て1,3−ブタジエン4部、第二単量体として1,3−
ブタジエン86部、アクリロニトリル10部に置き換え
て実施した。65℃到達時から14時間目に冷却し、重
合率98重量%のゴムラテックスを得た。このゴムラテ
ックスには多数の異形粒子を含み、かつ著しい重合残渣
が観察された。尚、異形粒子の中には、粒子同志が凝集
することによって生じたと思われる0.2ミクロン以上
の大粒子が観察された。
【0046】
【比較例6】実施例1と同等の重合を、第二単量体添加
開始を65℃到達時から1時間目に繰り上げ、実施し
た。65℃到達時から12時間目に冷却し重合率98重
量%のゴムラテックスを得た。このゴムラテックスは、
0.09ミクロンの粒子の他に0.2ミクロンを越える
大粒子からなるものであった。
【0047】以上、実施例1〜7、及び比較例1〜6の
結果を表1、2にまとめた。尚、表中のASはアセトニ
トリル、ANはアクリロニトリル、BTはブタノール、
BDは1,3−ブタジエン、DMFはジメチルホルムア
ミド、STはスチレンを表わす。また乳化剤量は、重合
開始時に用いた不均化ロジン酸カリウム塩を牛脂ケン化
石ケンの合計量を示す。粒子径分布の均一性の判断は、
電子顕微鏡写真を用い、主たる粒子の他に粗大粒子、微
小粒子が存在せず、重量平均粒子径±20%以内に全粒
子の80重量%以上が含まれるものを良好(○)、そう
でないものを不良(×)とした。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】本発明によれば重合槽内に大量の未反応
単量体を滞留されることなく、より安定な重合を行うこ
とができ、それにより過度の架橋をもたない、粒子の均
一な単分散粒子径分布を有するABS樹脂原料用のゴム
ラテックスを製造できる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪族共役ジエン単量体100重量部、
    又は脂肪族共役ジエン単量体及びこれと共重合可能なビ
    ニル単量体を含む単量体であって、全単量体に占める脂
    肪族共役ジエン単量体の割合が85重量%以上である単
    量体100重量部を多段重合法により乳化重合してゴム
    ラテックスを製造する方法において、 (1)重合率が20重量%以下の時点において、溶解度
    パラメータが7〜15である非重合性有機溶媒0.5〜
    20重量部を添加し、第一段重合用単量体5〜40重量
    部を重合させ、ついで、 (2)上記第一段重合用単量体の重合率が30〜80重
    量%に達した時点で第二段重合用単量体95〜60重量
    部を連続的に添加しつつ重合させることを特徴とする重
    量平均粒子径0.05〜0.2ミクロンの粒子よりなる
    ゴムラテックスの製造法。
JP16373594A 1994-07-15 1994-07-15 ゴムラテックスの製造法 Withdrawn JPH0827203A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100417065B1 (ko) * 2001-01-09 2004-02-05 주식회사 엘지화학 메틸메타크릴레이트-부타디엔-스티렌 수지용 고무라텍스의제조방법

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KR100417065B1 (ko) * 2001-01-09 2004-02-05 주식회사 엘지화학 메틸메타크릴레이트-부타디엔-스티렌 수지용 고무라텍스의제조방법

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