JP5890061B1 - 塗料用エマルション樹脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スチレンモノマーの含有量が高いモノマー混合物を乳化重合する場合であっても、高固形分である塗料用エマルション樹脂を製造することができる方法を提供すること。【解決手段】 塗料用エマルション樹脂の製造方法であって、この方法は、スチレンモノマー(a)20〜50質量%、および(a)と共重合可能なα,β−エチレン性不飽和モノマー(b)50〜80質量%からなるモノマー混合物を含むプレエマルション溶液を調製する、プレエマルション溶液調製工程、および、モノマー混合物を乳化重合させてエマルション樹脂を形成させる、エマルション樹脂形成工程、を包含し、この製造方法によって得られる塗料用エマルション樹脂は、数平均粒子径が500nm以下であり、固形分濃度が50質量%以上であり、α,β−エチレン性不飽和モノマー(b)は、スチレンとのモノマー反応性比r1が0.7以下である(メタ)アクリルモノマー(b1)を含み、モノマー混合物中における、(メタ)アクリルモノマー(b1)の含有量は、10〜60質量%であり、エマルション樹脂形成工程において、モノマー混合物の重合率が45%〜90%の範囲となった後に、界面活性剤を、複数回に分けて添加する、塗料用エマルション樹脂の製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、塗料用エマルション樹脂の製造方法に関する。
液状の塗料組成物は、一般に、有機溶剤を含む溶剤型塗料組成物と水性塗料組成物との2種に大別することができる。水性塗料組成物は一般に、有機溶剤の含有量が少なく、環境に対する負荷が少ないことから、幅広く用いられている。このような水性塗料組成物の多くは、エマルション樹脂を含む。水性塗料組成物にエマルション樹脂が含まれることによって、水溶性樹脂のみを含む水性塗料組成物と比較して、高固形分である塗料組成物を調製することができ、また塗料組成物の設計範囲が広がるなどの利点がある。一方で、水性塗料組成物においては、塗料安定性を確保した上で、より速く乾燥・硬化することなどが求められている。そのため、より高固形分であるエマルション樹脂を製造する方法が必要とされている。
特開平7−233208号公報(特許文献1)には、界面活性剤を連続あるいは断続的に添加しながら(メタ)アクリル酸エステルを主体とする単量体または単量体混合物を乳化重合することを特徴とするアクリル系エマルションの製造方法が記載されている(請求項1)。そしてこの製造方法によって、粒子安定性が高く、低粘度であり、そして機械的安定性の優れた、高固形分のアクリル系エマルションを製造することができると記載されている([0010]段落など)。しかしながらこの特許文献1の方法によって得られるアクリル系エマルションは、高濃度のスチレン配合に対する説明がない。また、実施例などにおいてスチレン含有量が低い点においても、本発明とは構成が異なる。
特開平7−238201号公報(特許文献2)には、(メタ)アクリル酸エステルと酸性単量体を主体とする単量体混合物に塩基性化合物を加えて中和または部分中和した後乳化重合することを特徴とするアクリル系エマルションの製造方法が記載されている(請求項1)。そしてこの製造方法によって、低粘度かつ高固形分であるアクリル系エマルションを極めて容易に製造できると記載されている([0010]段落)。しかしながらこの特許文献2の方法によって得られるアクリル系エマルションもまた、高濃度のスチレン配合に対する説明がない。また、実施例などにおいてスチレン含有量が低い点においても、本発明とは構成が異なる。スチレンの含有量が少ないエマルション樹脂は、耐アルカリ性に劣るという欠点がある。スチレンの配合量が少ないと、芳香族環に由来する剛直な構造に起因する、塗膜の機械的強度向上効果が得られにくくなる。そのため、優れた耐摩耗性、耐洗浄性および密着性などの、耐久性向上効果を得ることが困難となる。
特開2001−342201号公報(引用文献3)には、電解質物質を溶解させた水性媒体中で、該電解質物質の濃度を低下させつつ、ビニル系単量体を乳化重合させることを特徴とする、樹脂エマルジョンの製造法が記載されている(請求項1など)。そしてこの方法によって、高濃度、低粘度で、且つ凝集物の発生が極めて抑制されたエマルジョンを製造することができると記載されている([0006]段落など)。しかしながら、樹脂エマルション中の電解質物質濃度が高くなると、塗膜中の電解質濃度が増大し、塗膜の耐水性が劣ることとなる場合がある。またこの特許文献3の方法によって得られるアクリル系エマルションも、スチレン含有量が低い点において、本発明とは構成が異なる。
特開平7−233208号公報 特開平7−238201号公報 特開2001−342201号公報
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、その目的とするところは、スチレンモノマーの含有量が高いモノマー混合物を乳化重合する場合であっても、高固形分である塗料用エマルション樹脂を製造することができる方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]
塗料用エマルション樹脂の製造方法であって、
上記方法は、
スチレンモノマー(a)20〜50質量%、および(a)と共重合可能なα,β−エチレン性不飽和モノマー(b)50〜80質量%からなるモノマー混合物を含むプレエマルション溶液を調製する、プレエマルション溶液調製工程、および
上記モノマー混合物を乳化重合させてエマルション樹脂を形成させる、エマルション樹脂形成工程、
を包含し、
上記製造方法によって得られる塗料用エマルション樹脂は、数平均粒子径が500nm以下であり、固形分濃度が50質量%以上であり、
上記α,β−エチレン性不飽和モノマー(b)は、スチレンとのモノマー反応性比r1が0.7以下である(メタ)アクリルモノマー(b1)を含み、
上記モノマー混合物中における、上記(メタ)アクリルモノマー(b1)の含有量は、10〜60質量%であり、
上記エマルション樹脂形成工程において、上記モノマー混合物の重合率が45%〜90%の範囲となった後に、界面活性剤を、複数回に分けて添加する、
塗料用エマルション樹脂の製造方法。
[2]
上記エマルション樹脂形成工程における界面活性剤の複数回の添加は、後の界面活性剤添加において、その前の界面活性剤の添加量に対して20質量%以上増加した量で添加するのが好ましい。
[3]
上記モノマー(b)は、酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを含み、
上記プレエマルション溶液における、モノマー混合物(b)の中和率は、1.5〜30%であるのが好ましい。
[4]
上記製造方法によって得られる塗料用エマルション樹脂は、残存モノマー濃度が1000ppm未満であるのが好ましい。
[5]
上記エマルション樹脂形成工程の後に、
油溶性重合開始剤を添加した後、さらに還元剤を添加して、残存モノマーを重合させる、残存モノマー重合工程、
をさらに包含する態様が挙げられる。
[6]
上記油溶性重合開始剤は、20℃における水への溶解度が、1g/L以下であるのが好ましい。
[7]
上記エマルション樹脂形成工程において添加される界面活性剤の総量は、上記塗料用エマルション樹脂の製造方法において用いられる界面活性剤の全量に対して、10〜40質量%であるのが好ましい。
本発明の製造方法によれば、スチレンモノマーの含有量が高いモノマー混合物を乳化重合する場合であっても、高固形分である塗料用エマルション樹脂を製造することができる。本発明の製造方法によって得られた塗料用エマルション樹脂を用いて塗料組成物を調製することにより、芳香族環由来の剛直なスチレン骨格を多く配合することが可能となる。これにより、得られる塗膜の機械的強度を向上させることができる。本発明の製造方法によって、優れた耐摩耗性、耐アルカリ性、耐洗浄性、密着性などを有する、耐久性に優れた塗膜を提供する塗料組成物を調製することができる。
発明の経緯
本発明に至った経緯を説明する。本発明者らは、水性塗料組成物の調製おいて、塗料用エマルション樹脂中に含まれるスチレン含有量を高くすることによって、得られる塗料組成物の耐アルカリ性などの性能を改善することができることを見いだした。一方で、エマルション樹脂の製造において、調製に用いられるモノマー混合物中のスチレンモノマー含有量が高い場合は、エマルション樹脂の製造が困難となること、特に高固形分である塗料用エマルション樹脂を製造することが非常に困難となること、が実験により判明した。乳化重合による共重合においては、一般に、モノマー混合物は、まず水へ分散・溶解した後、重合反応の場であるミセルまたは粒子中に吸収されるプロセスを経て、モノマーの共重合が起こる。スチレンモノマーは一般に、水に対する溶解度が低いため、スチレンモノマーの含有量が高い場合、水分量が少ない条件での共重合においては、モノマー混合物の水への分散・溶解が生じ難くなり、重合反応の場であるミセルまたは粒子中へのモノマー混合物の吸収量が著しく低くなる。そのため、共重合反応が進行せず、安定なエマルション樹脂を得ることが困難となることが判明した。より具体的には、高固形分である塗料用エマルション樹脂を製造する際において、スチレンモノマー含有量が高いモノマー混合物を用いる場合は、ゲル化してしまう不具合が生じることがあることが分かった。
上記のような問題を解決することを目的として本発明者らが研究を重ねたところ、スチレンモノマーと共重合可能なα,β−エチレン性不飽和モノマーの種類およびその質量比を調節し、そして、乳化重合において、界面活性剤を加えるタイミングなどを調節することなどによって、スチレンモノマーの含有量が高いモノマー混合物を乳化重合する場合であっても、高固形分である塗料用エマルション樹脂を製造することができることを見いだした。以下、本発明の製造方法について詳述する。なお本明細書中において「塗料用エマルション樹脂」は単に「エマルション樹脂」と表記することもある。
塗料用エマルション樹脂の製造方法
本発明の塗料用エマルション樹脂の製造方法は、
スチレンモノマー(a)20〜50質量%、および(a)と共重合可能なα,β−エチレン性不飽和モノマー(b)50〜80質量%からなるモノマー混合物を含むプレエマルション溶液を調製する、プレエマルション溶液調製工程、および
上記モノマー混合物を乳化重合させてエマルション樹脂を形成させる、エマルション樹脂形成工程、
を包含する。そしてこの方法において、上記α,β−エチレン性不飽和モノマー(b)は、スチレンとのモノマー反応性比r1が0.7以下である(メタ)アクリルモノマー(b1)を含み、そして、上記モノマー混合物中における、上記(メタ)アクリルモノマー(b1)の含有量は、10〜60質量%である。さらに上記エマルション樹脂形成工程において、上記モノマー混合物の重合率が45%〜90%の範囲となった後に、界面活性剤を、複数回に分けて添加することを特徴とする。
プレエマルション溶液調製工程
上記プレエマルション溶液調製工程においては、モノマー混合物を含むプレエマルション溶液を調製する。なお本明細書において「プレエマルション溶液」とは、エマルション樹脂の調製に用いられる、上記モノマー混合物を含む溶液を意味する。このプレエマルション溶液は、上記モノマー混合物、溶媒、そして必要に応じた中和剤、界面活性剤などの添加剤を混合することによって調製することができる。
上記モノマー混合物は、スチレンモノマー(a)20〜50質量%、および、スチレンモノマー(a)と共重合可能なα,β−エチレン性不飽和モノマー(b)50〜80質量%から構成される。上記質量比率は、スチレンモノマー(a)25〜50質量%、および、α,β−エチレン性不飽和モノマー(b)50〜75質量%であるのがより好ましく、スチレンモノマー(a)30〜50質量%、および、α,β−エチレン性不飽和モノマー(b)50〜70質量%であるのがさらに好ましい。スチレンモノマー(a)の含有量が50質量%を超える場合は、モノマー混合物の反応性が低くなり、得られるエマルション樹脂の安定性が低下し、また残存モノマー量が増加するおそれがある。スチレンモノマー(a)の含有量が20質量%未満である場合は、スチレン由来の剛直な骨格に由来する機械的強度向上効果を十分に発現させることができず、エマルション樹脂を含む塗料組成物によって形成される塗膜における、耐アルカリ性、耐洗浄性、密着性などの耐久性向上効果を十分に得ることができない。
上記スチレンモノマー(a)の具体例として、スチレンおよびスチレン誘導体が挙げられる。スチレン誘導体として、例えば、α−アルキルスチレン(例えばα−メチルスチレンなど)、p−アルキルスチレン(例えばp−メチルスチレン、t−ブチルスチレンなど)、p−アルキルオキシスチレン(例えばp−メトキシスチレンなど)、p−クロロスチレン、4−ヒドロキシスチレンなど、が挙げられる。スチレンモノマー(a)中のスチレン含有量は、50〜100質量%であるのが好ましく、80〜100質量%であるのがより好ましい。スチレンモノマーとして、スチレンのみを用いるのがさらに好ましい。
スチレンモノマーと共重合可能なα,β−エチレン性不飽和モノマー(b)として、例えば、
アクリルモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸ジヒドロジシクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル、および、アクリル酸、メタクリル酸など;
上記アクリルモノマーとε−カプロラクトンとの付加物など;
酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマー、例えば、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、イソクロトン酸、α−ハイドロ−ω−((1−オキソ−2−プロペニル)オキシ)ポリ(オキシ(1−オキソ−1,6−ヘキサンジイル))、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、3−ビニルサリチル酸、3−ビニルアセチルサリチル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸など;
水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマー、例えば、アリルアルコール、メタリルアルコールなど;
重合性アミド化合物、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N−モノブチル(メタ)アクリルアミド、N−モノオクチル(メタ)アクリルアミド 2,4−ジヒドロキシ−4’−ビニルベンゾフェノン、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミドなど;
重合性芳香族化合物、例えば、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、2−ビニルピリジンおよび4−ビニルピリジンなど;
重合性ニトリル、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;
重合性アルキレンオキシド化合物、例えば、(メタ)アクリル酸(ポリ)オキシエチレン、(メタ)アクリル酸(ポリ)プロピレングリコールなど;
多官能ビニル化合物、例えば、(メタ)アクリル酸アリル、(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなど;
重合性アミン化合物、例えば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルなど;
α−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレンなど;
ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど;
ジエン類、例えば、ブタジエン、イソプレンなど;
ハロゲン化ビニル、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど;
重合性カルボニル化合物、例えば、アクロレイン、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、アクリルオキシアルキルプロパナール類、メタクリルオキシアルキルプロパナール類、ジアセトンアクリレート、ジアセトンメタクリレート、アセトニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、ブタンジオールアクリレートアセチルアセテートなど;
重合性アセトアセトキシ化合物、例えば、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートなど;
重合性アルコキシシリル化合物、例えば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ジメトキシメチルシリルスチレン、トリエトキシシリルスチレン、ジエトキシメチルシリルスチレンなど;
を挙げることができる。上記α,β−エチレン性不飽和モノマーは目的に併せて、必要に応じて種々選択することができる。なお本明細書において(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステルとメタアクリル酸エステルとの両方を意味するものとする
本発明において、上記α,β−エチレン性不飽和モノマー(b)は、スチレンとのモノマー反応性比r1が0.7以下である、(メタ)アクリルモノマー(b1)を含む。そして上記モノマー混合物中における、上記(メタ)アクリルモノマー(b1)の含有量は、10〜60質量%(モノマー混合物100質量部に対して10〜60質量部)であることを条件とする。上記(メタ)アクリルモノマー(b1)の含有量は、15〜55質量%であるのがより好ましい。
ここで、スチレンとのモノマー反応性比r1とは、モノマーM1をスチレンとし、モノマーM2を(メタ)アクリルモノマーなどの他のモノマーとした場合において、M1とM2が共重合反応する場合における反応のし易さを示す指数である。r1が1以上である場合は、モノマーM1同士が重合反応し易いことを示す。またr1が1未満である場合は、M1とM2とが共重合反応し易いことを示す。この反応性比r1は、文献値として求めることができる。例えば、POLYMER HANDBOOK, fourth edition, volume 1, WILLY-INTERSCIENCE, A John Wiley & Sons, Inc., Publicationの、Copolymer Reactivity Ratios II/249 - II/260には、M1をスチレンとし、M2を他のモノマーとする、反応性比r1が記載されている。
スチレンとのモノマー反応性比r1が0.7以下である(メタ)アクリルモノマー(b1)の具体例として、例えば、メタクリル酸(r1:0.21)、アクリル酸(r1:0.25)、メチルメタクリレート(r1:0.5)、n−ブチルメタクリレート(r1:0.56)、i−ブチルメタクリレート(r1:0.55)、エチルメタクリレート(r1:0.55)、グリシジルメタクリレート(r1:0.54)、シクロヘキシルメタクリレート(r1:0.58)、ベンジルメタクリレート(r1:0.45)、フェニルメタクリレート(r1:0.25)などが挙げられる。
これらの(メタ)アクリルモノマー(b1)の中でも、メタクリル酸、アクリル酸、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレートなどが、スチレンとの共重合性が高いこと、得られる塗膜のTg設計が容易であること、材料入手の容易であること、製品価格の面などから、より好ましい。(メタ)アクリルモノマー(b1)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記(メタ)アクリルモノマー(b1)における反応性比r1は0.6以下であるのがより好ましく、0.5以下であるのがさらに好ましい。上記α,β−エチレン性不飽和モノマー(b)中に、スチレンとのモノマー反応性比r1が0.7以下である(メタ)アクリルモノマー(b1)が上記質量範囲で含まれることによって、スチレンモノマー(a)とα,β−エチレン性不飽和モノマー(b)との反応性が、エマルション樹脂の調製に対して最適な範囲となり、重合反応が良好に進行し、その結果、経時安定性などに優れたエマルション樹脂が得られるなどの利点がある。
本発明の製造方法においては、スチレンモノマー(a)20〜50質量%と、α,β−エチレン性不飽和モノマー(b)50〜80質量%とを含むモノマー混合物を用いること、ここでα,β−エチレン性不飽和モノマー(b)は、スチレンとのモノマー反応性比r1が0.7以下である(メタ)アクリルモノマー(b1)を含むこと、さらに、上記モノマー混合物中における上記(メタ)アクリルモノマー(b1)の含有量は10〜60質量%であること、によって、スチレンモノマー(a)の含有量が高く、かつ、固形分濃度が50質量%以上である塗料用エマルション樹脂を、好適に製造することができる。例えば、高固形分である塗料用エマルション樹脂を製造する際において、スチレンモノマー(a)の含有量が50質量%を超えるモノマー混合物を用いる場合は、スチレン同士の重合が優先的に進行してしまい、その結果、増粘しゲル化が生じるおそれが高い。
上記プレエマルション溶液は、上記モノマー混合物に加えて、溶媒、そして必要に応じた中和剤、界面活性剤などを含む。プレエマルション溶液に含まれる溶媒として、水が好ましく用いられる。必要に応じてさらに、溶媒として、上記モノマー混合物と反応しない有機溶媒を用いることもできる。
上記プレエマルション溶液は、中和剤を含むのが好ましい。ここでいう中和剤は、上記モノマー混合物中に含まれうる、酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーの酸基を中和する塩基性物質を意味する。酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、および、上記α,β−エチレン性不飽和モノマー(b)において例示した、酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーが挙げられる。中和剤の具体例として、例えば、水酸化アンモニウム、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
上記プレエマルション溶液における、モノマー混合物(b)の中和率は、1.5〜30%であるのが好ましく、2〜30%であるのがより好ましく、3〜30%であるのがさらに好ましい。中和率が1.5%を下回ると、エマルションの中和安定化効果が得られないおそれがある。また30%を超えるとエマルションの粘度が上昇し、製造が困難となるおそれがある。
本明細書において、モノマー混合物(b)の中和率は、モノマー混合物中に含まれる、酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーの量、および上記中和剤(塩基性物質)の量(モル比)から算出することによって求めることができる。
上記プレエマルション溶液に中和剤が含まれることによって、プレエマルション溶液の粘度を低く設計することができ、製造作業性などが向上するなどの利点がある。
上記プレエマルション溶液は、必要に応じて界面活性剤を含んでもよい。上記プレエマルション溶液中に界面活性剤が含まれることによって、モノマー混合物の重合において、モノマー分散性能などが向上し、重合反応が良好に進行するなどの利点がある。界面活性剤として、例えば、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤および重合性界面活性剤などが挙げられる。
アニオン界面活性剤として、通常用いられるアニオン界面活性剤を用いることができる。アニオン界面活性剤の具体例として、例えば、アルキル脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、スルホコハク酸アルキル二塩、ポリオキシエチレンスルホコハク酸アルキル二塩、アシルメチルタウリンなどが挙げられる。塩の種類として、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルカノールアミン塩などが挙げられる。これらの界面活性剤の中でも、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸アンモニウムなどがより好ましい。
ノニオン界面活性剤として、通常用いられるノニオン界面活性剤を用いることができる。ノニオン界面活性剤の具体例として、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキル脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルジメチルアミンオキシドなどが挙げられる。
重合性界面活性剤として、例えば、その分子中にラジカル重合能を有する二重結合を有する重合性界面活性剤が挙げられる。このような重合性界面活性剤の具体例として、例えば、アルキルアリルスルホコハク酸塩、メタアクリロイルポリオキシアルキレン硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステル塩などが挙げられる。なお、これらの重合性界面活性剤を用いる場合は、重合性界面活性剤の含有量は、(a)と共重合可能なα、β−エチレン不飽和性モノマー(b)の一部として組み入れられる。
これらの界面活性剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また界面活性剤として、市販品を用いてもよい。
上記プレエマルション溶液中に含まれる界面活性剤の量は、プレエマルション溶液100質量部に対して0.05〜8質量部であるのが好ましく、0.1〜3質量部であるのがより好ましい。
エマルション樹脂形成工程
上記エマルション樹脂形成工程においては、上記モノマー混合物を乳化重合させてエマルション樹脂を形成させる。上記モノマー混合物を乳化重合させる方法として、例えば、上記モノマー混合物を含むプレエマルション溶液を、重合反応容器中に順次滴下する方法が挙げられる。
プレエマルション溶液を滴下する重合反応容器は、予め、水性媒体を含むのが好ましい。重合反応容器中に含まれうる水性媒体として、水および必要に応じた重合開始剤などを含む水性媒体が挙げられる。重合開始剤として、例えば、
過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩重合開始剤、
2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]2硫酸塩2水和物、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]などの水溶性アゾ重合開始剤、
t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソノナノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−アミルハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物、および
過酸化水素、
などが挙げられる。
これらの重合開始剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
プレエマルション溶液を、重合反応容器中に順次滴下し重合反応させる条件として、例えば、室温〜95℃、より好ましくは70〜90℃で、1〜24時間、より好ましくは2〜12時間、さらに好ましくは2〜6時間かけて、プレエマルション溶液を滴下する態様などが挙げられる。なおこれらの温度および滴下時間などの条件は、用いられる反応装置および反応スケールなどに応じて、適宜変更することができる。
本発明の方法においては、エマルション樹脂形成工程において、上記モノマー混合物の重合率が45%を超えた後に、界面活性剤を、複数回に分けて添加する。「モノマー混合物の重合率が45%を超えた後に、界面活性剤を添加する」とは、モノマー混合物の重合率が45%未満である状態においては、エマルション樹脂形成工程において界面活性剤を加えないことを意味する。なお、プレエマルション溶液中に必要に応じて含まれる界面活性剤は、ここでいう「エマルション樹脂形成工程における界面活性剤の添加」には該当しない。また、界面活性剤の添加を開始する際における重合率の上限は、90%である。
上記工程において、上記モノマー混合物の重合率が50%を超えた後に界面活性剤を添加するのがより好ましい。界面活性剤の添加を開始する際における重合率の上限は、85%であるのがより好ましい。
このエマルション樹脂形成工程における「界面活性剤を、複数回に分けて添加する」とは、「界面活性剤を連続的に添加する」状態と対照的な状態であって、界面活性剤を2またはそれ以上の回数に分けて添加する状態を意味する。界面活性剤の添加は、例えば2〜20の回数に分けて添加する態様を挙げることができ、2〜10の回数に分けて添加するのが好ましく、2〜7の回数に分けて添加するのがより好ましい。ここでいう回数の「1回」とは、所定量の界面活性剤を1ショットで加える状態を意味し、連続的滴下のような状態を意味するものではない。
重合率とは、モノマー混合物が重合してポリマーとなった割合(質量%)を意味する。この重合率は、反応混合物をサンプリングし、生成したポリマーの質量を測定することによって求めることができる。
エマルション樹脂形成工程において添加する界面活性剤として、上述の界面活性剤を用いることができる。界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸アンモニウムなどを用いるのがより好ましい。
エマルション樹脂形成工程における界面活性剤の複数回の添加は、後の界面活性剤添加において、その前の界面活性剤の添加量に対して20質量%以上増加した量で添加する態様が好ましい。より具体的には、例えば1回目の界面活性剤の添加量がz質量部であった場合は、2回目の界面活性剤の添加量は、z×1.2質量部以上の量を添加する。後の添加における界面活性剤添加量の増加量の上限は、特に限定されるものではないが、例えば5倍以下であってよく、3倍以下であるのがより好ましく、2倍以下であるのがさらに好ましい。このように本発明におけるエマルション樹脂形成工程では、複数回に分けて添加される界面活性剤の添加量は、後の添加となるに従って、より添加量が多くなる態様がより好ましい。後の界面活性剤添加量が多くなることによって、エマルション樹脂の粒子径が反応時間に応じて変化し、これにより、高固形分濃度であり、より保存安定性に優れたエマルション樹脂を形成することが可能となるという利点がある。
エマルション樹脂形成工程において添加される界面活性剤(有効成分量)の総量は、モノマー混合物100質量部に対して0.05〜10質量部であるのが好ましく、0.1〜5質量部であるのがより好ましく、0.2〜3質量部であるのがさらに好ましい。例えば、エマルション樹脂形成工程において添加される界面活性剤の総量が、モノマー混合物100質量部に対して0.55〜1.5質量部であって、そしてこの界面活性剤を4回に分けて添加する場合においては、1回目の添加量が0.1質量部、2回目の添加量が0.12〜0.2質量部、3回目の添加量が0.15〜0.4質量部、4回目の添加量が0.18〜0.8質量部となる態様が挙げられる。
上記エマルション樹脂形成工程において添加される界面活性剤の総量は、上記塗料用エマルション樹脂の製造方法において用いられる界面活性剤の全量に対して10〜40質量%であるのが好ましく、15〜30質量%であるのがより好ましい。ここで「塗料用エマルション樹脂の製造方法において用いられる界面活性剤の全量」とは、プレエマルション溶液中に含まれる界面活性剤の量と、エマルション樹脂形成工程において添加される界面活性剤の総量とを合計した量を意味する。
本発明の製造方法によって得られるエマルション樹脂は、数平均粒子径が500nm以下である。本明細書におけるエマルション樹脂の数平均粒子径は、粒度測定装置(例えば、大塚電子社製、ELS−Z)を用いて、動的および/または電気泳動光散乱法によって求めることができる。エマルション樹脂の数平均粒子径は、450nm以下であるのがより好ましく、400nm以下であるのがさらに好ましい。
エマルション樹脂の固形分濃度は50質量%以上であるのが好ましく、55質量%以上であるのがより好ましく、60質量%以上であるのがさらに好ましく、65質量%以上であるのがさらに好ましい。
本発明の製造方法によって得られるエマルション樹脂は、スチレン成分を多く含むことを特徴とする。加えて、例えば固形分濃度が50質量%以上と高固形分濃度であっても、製造安定性そして分散安定性が優れていることを特徴とする。このような特徴は、上記の様に数平均分子量が500nm以下であることに加えて、粒子径の分布が例えば二峰性分布となっている態様がより好ましい。粒子径の分布は、上記のような粒度測定装置を用いて粒子径分布を測定することによって求めることができる。高固形分エマルション樹脂において、粒子径の分布が二峰性分布である場合は、粒子充填状態が高く、より向上した分散安定性をもたらす状態となっていることが考えられる。なお本明細書において、固形分の測定は、150℃で1時間乾燥させた場合における、乾燥前後の質量の差を求めることによって測定される。
本発明の製造方法は、上記エマルション樹脂形成工程の後に、
油溶性重合開始剤を添加した後、さらに還元剤を添加して、残存モノマーを重合させる、残存モノマー重合工程、
を包含する態様が、より好ましい。この工程を含むことによって、上記モノマー混合物に由来する残存モノマーの量を低減することができ、例えば臭気などの問題を解決することができる。得られたエマルション樹脂に含まれる残存モノマーの濃度は、1000ppm未満であるのが好ましく、900ppm未満であるのがより好ましい。なお本明細書において、残存モノマーの濃度の測定は、液体クロマトグラフ/質量分析計を用いて測定することができる。
上記油溶性重合開始剤は、20℃における水への溶解度が、1g/L以下であるのが好ましい。このような油溶性重合開始剤として、例えば、
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物、および、
2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)などの油用性アゾ重合開始剤、
などが挙げられる。
これらの油溶性重合開始剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
油溶性重合開始剤として、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートからなる群より選択される1種またはそれ以上を用いるのがより好ましい。
上記残存モノマー重合工程において添加する油溶性重合開始剤の量は、モノマー混合物100質量部に対して0.05〜5質量部であるのが好ましく、0.1〜3質量部であるのがより好ましく、0.2〜2質量部であるのがさらに好ましい。
上記還元剤として、例えば、
L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸塩(アスコルビン酸ナトリウムなど)、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖、ホルムアルデヒドスルホキシラート金属塩などの、還元性有機化合物、および
チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄などの、還元性無機化合物、
などが挙げられる。
これらの還元剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
還元剤として、例えば、L−アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖、ホルムアルデヒドスルホキシラート金属塩、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムからなる群より選択される1種またはそれ以上を用いるのがより好ましい。
上記残存モノマー重合工程において添加する還元剤の量は、モノマー混合物100質量部に対して0.05〜5質量部であるのが好ましく、0.1〜3質量部であるのがより好ましく、0.2〜2質量部であるのがさらに好ましい。
上記残存モノマー重合工程において、上記油溶性重合開始剤を先に添加し、一定時間をおいた後に上記還元剤を添加する態様が好ましい。より好ましい態様として、例えば、上記油溶性重合開始剤を添加してから10分以上経過した後に、上記還元剤を添加する態様が好ましい。この経過時間は、15分以上であるのがより好ましく、20分以上であるのがさらに好ましい。上記油溶性重合開始剤および還元剤をこのような条件で添加することによって、残存モノマーの量を極めて効果的に低減することができるという利点がある。なお、上記のように、油溶性重合開始剤を先に添加しその後に上記還元剤を添加する添加は、必要に応じて繰り返し行ってもよい。
添加剤など
本発明の製造方法では、上記成分などに加えて、必要に応じた添加剤を、いずれの工程において用いてもよい。添加剤として、例えば、連鎖移動剤、バッファーなどの重合調整剤が挙げられる。重合調整剤は、プレエマルション溶液調製工程において予めプレエマルション溶液中に加えてもよく、また、エマルション樹脂形成工程において任意の手順によって加えてもよい。
連鎖移動剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、アセトフェノン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド等の炭素数2〜8のカルボン酸類;および、ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ノルマルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチル、チオグリセロール等のメルカプタン類などが挙げられる。これらは、2種以上を併用してもよい。
バッファーとしては、例えば、酢酸ソーダ、酢酸アンモニウム、第二リン酸ソーダなどが挙げられる。これらは、2種以上を併用してもよい。
本発明の製造方法によって、スチレンモノマーの含有量が高いモノマー混合物を乳化重合する場合であっても、高固形分である塗料用エマルション樹脂を製造することが可能となる。本発明の製造方法によって得られる、芳香族環由来の剛直なスチレン成分の含有量が高い塗料用エマルション樹脂を用いて、塗料組成物を調製することによって、得られる塗膜の機械的強度が向上する。これにより、優れた耐摩耗性、耐アルカリ性、耐洗浄性、密着性などを有する、優れた耐久性を有する塗膜を提供する塗料組成物を調製することができる。さらに、本発明の製造方法によって得られるエマルション樹脂は、固形分が50%以上である。この固形分は、例えば固形分60%以上、さらには固形分65%以上の、極めて高固形分であるエマルション樹脂とすることもできる。エマルション樹脂が高固形分であることによって、塗料組成物の調製における設計自由度が格段に向上するという利点がある。また塗料組成物の調製に用いられるエマルション樹脂の固形分が高いことによって、塗料組成物の製造、運搬などにおいて必要とされるエネルギーを低減化することができるという利点もある。
塗料組成物
本発明はまた、上記製造方法によって得られたエマルション樹脂を含む塗料組成物にも関する。塗料組成物として、例えば、上記エマルション樹脂、そして、必要に応じた、顔料、意匠材料(砂、硅砂、カラーサンド、ビーズ、カラーチップ、鉱物チップ、ガラスチップ、木質チップおよびカラービーズなど)、顔料分散剤、他の樹脂成分、増粘剤、pH調整剤、溶媒および添加剤などを含む塗料組成物が挙げられる。
顔料としては、特に限定されず、例えば、アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、モノアゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ナフトール系顔料、ピラゾロン系顔料、アントラキノン系顔料、アンソラピリミジン系顔料、金属錯体顔料などの有機系着色顔料;黄鉛、黄色酸化鉄、酸化クロム、モリブデートオレンジ、ベンガラ、チタンイエロー、亜鉛華、カーボンブラック、二酸化チタン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、コバルトバイオレットなどの無機系着色顔料;マイカ顔料(二酸化チタン被覆マイカ、着色マイカ、金属メッキマイカ);グラファイト顔料、アルミナフレーク顔料、金属チタンフレーク、ステンレスフレーク、板状酸化鉄、フタロシアニンフレーク、金属メッキガラスフレーク、その他の着色、有色偏平顔料;酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、珪酸マグネシウム、クレー、タルク、シリカ、焼成カオリンの体質顔料などを挙げることができる。
塗料組成物中に顔料が含まれる場合は、顔料分散剤を用いて顔料の分散性能を向上させるのが好ましい。顔料分散剤として、例えば、DISPERBYK(商標)−102、180、184、185、187、190、191、192、193、194N、198、199、2010、2012、2015、2096などの、高分子顔料分散剤などが挙げられる。
塗料組成物が顔料を含む場合は、塗料組成物の固形分に対する顔料質量濃度(PWC)が5〜70質量%の範囲内であることが好ましい。上記PWCが5質量%未満であると、下地隠蔽性が劣り、上記PWCが70質量%を超えると、耐侯性が低下するおそれがある。顔料質量濃度(PWC)は20〜45質量%であることがより好ましい。
他の樹脂成分として、例えば、エポキシ樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリウレタン樹脂;ニトロセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレートなどのセルロース誘導体;ポリ塩化ビニル;ポリ酢酸ビニル;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などの共重合体;ポリブタジエン;塩化ゴム;石油樹脂;ポリビニルブチラール;ポリビニルアルコール;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどのハロゲン化ポリオレフィン;ポリフッ化ビニリデン;アミノ樹脂、ポイソシアネート、ブロックポリイソシアネートなどの硬化剤;およびこれらの反応物または変性物など;が挙げられる。
増粘剤として、例えば、コロイダルシリカ、ベントナイト、モンモリロナイト、コロイドアルミナなどの無機増粘剤;ポリアクリル酸、アクリル共重合体などのアクリル増粘剤;ウレタン会合型増粘剤;アルカリ膨潤型増粘剤;変性ポリオキシエチレン・ウレタンブロックコポリマーなどのコポリマー増粘剤;メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、疎水性基変性ヒドロキシセルロースなどのセルロース増粘剤;ポリエチレングリコールエーテル、ノニオン界面活性剤などの界面活性剤;アルギン酸塩、グアガム、マンナンなどの多糖類;ポリアクリル酸、ボリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂;などが挙げられる。
pH調整剤として、例えば、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミンなどのアルキルアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミンなどのアルカノールアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのアルキレンポリアミン、アンモニア、エチレンイミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、および、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどアルカリ金属塩などが挙げられる。
溶媒として、水および各種有機溶媒が挙げられる。有機溶媒として、例えば、アルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテルなどの、塗料組成物の分野において一般的に用いられる有機溶媒が挙げられる。
添加剤として、例えば、造膜助剤、表面調整剤、防腐剤、防かび剤、消泡剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、pH調整剤などの、塗料組成物の分野において一般的に用いられる添加剤が挙げられる。
塗料組成物の調製法としては特に限定されず、上述した各成分を、攪拌機などにより攪拌することによって調製することができる。塗料組成物中に顔料または意匠材料が含まれる場合は、分散性のよいものは攪拌機により混合することができ、他の方法として、水、界面活性剤または分散剤などを含むビヒクルにサンドグラインドミルなどを用いて予め分散させたものを加えることもできる。
本発明の塗料組成物は、各種基材に対して塗装することができる。基材として、例えば、各種セメント、窯業建材、軽量発泡コンクリート、モルタル、スレート板、屋根、瓦、ALCなどの無機建材;各種ガラス類;鋼板、アルミニウム、ステンレススチールなどの金属基材;などが挙げられる。
塗料組成物の塗装方法としては、被塗物(基材)の種類および形状などに応じた、任意の適切な方法を用いることができる。水性塗料組成物を塗装する方法として、例えば、浸漬、刷毛、流し塗り、ローラー、ロールコーター、エアースプレー、エアレススプレー、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、ダイコーターなどの、一般に用いられている塗装方法などを用いることができる。
本発明の塗料組成物の1態様として、上記基材に塗装し放置することによって下塗り塗膜を形成する、下塗り塗料組成物として用いることができる。本発明の塗料組成物を下塗り塗料組成物として用いる場合は、必要に応じて基材を前処理してもよい。基剤の前処理として、例えば、シーラーなどの下地調整剤を塗装する方法などが挙げられる。さらに本発明の塗料組成物は、旧塗膜上に塗装する下塗り塗料組成物としても用いることができる。本発明の塗料組成物を下塗り塗料組成物として用いる場合は、例えば、塗装量が50〜500g/mとなるように、ハケ、スプレー、ローラーなどの一般的な塗装方法によって塗装することができる。この塗装は、複数回に分けて行ってもよい。
本発明の塗料組成物の他の1態様として、必要に応じて形成された下塗り塗膜上に塗装し放置することによって上塗り塗膜を形成する、上塗り塗料組成物として用いることができる。塗料組成物を上塗り塗料組成物として用いる場合は、例えば、塗装量が50〜500g/mとなるように、ハケ、スプレー、ローラーなどの一般的な塗装方法によって塗装することができる。この塗装は、複数回に分けて行ってもよい。
本発明の塗料組成物は、スチレンモノマーの含有量が高いモノマー混合物を乳化重合して得られたエマルション樹脂を含む。そのため、本発明の塗料組成物を塗装した後に乾燥させることによって、優れた耐アルカリ性、耐水性、耐薬品性、耐候性などを有する塗膜を形成することができる。本発明の塗料組成物は、優れた耐アルカリ性、耐候性などを有しているため、例えば、コンクリートなどの無機建材、建築物などの内壁または外壁などの壁面、屋根などの塗装などに好適に用いることができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
製造実施例1
ガラスコルベンに水15.0質量部(以下単に部ということもある)を仕込み80℃まで加熱した。
温度を80℃に制御しながら、過硫酸アンモニウム0.5部を水2部に溶解させた溶液を添加した後、下記表記載のモノマー乳化液(プレエマルション溶液)を、5時間に渡って一定速度で滴下した。
Figure 0005890061
*プレエマルション溶液中のモノマー濃度:80%
更に、重合中に、別口から、ガラスコルベンに、総量0.87部の、上記と同一の界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム30%水溶液を、重合率50%となった時点から1時間毎に合計4回に分割し、各回を以下の量にて一括添加した。

1時間(重合率50%):0.10部
2時間:0.17部
3時間:0.27部
4時間:0.33部
プレエマルションおよび界面活性剤の滴下終了後、さらに60分間保持し、その後60℃まで冷却した。
60℃になったところで、tーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 0.3部を添加してから30分間保持した。
続いてアスコルビン酸0.4部を水1部に溶解させた溶液を添加した後、60℃にて90分間保持した。
この後添加の操作を2回繰り返し後、冷却した。
得られたエマルションは固形分濃度69.3%、粘度3794mPas、pH1.8、平均粒子径248nmの安定なエマルションであった。
なお、重合率の算出は以下の通り行った。即ち、反応混合物を1.0g秤量し、150℃で1時間放置して揮発分を揮発させ、再度精秤して質量減少量を求めた。この質量減少量を残存モノマーとし、次式により重合率を求めた。
重合率(%)=[1−(質量減少量/揮発処理前の反応混合物質量)]×100
製造実施例2
ガラスコルベンに水15.0質量部を仕込み80℃まで加熱した。
温度を80℃に制御しながら、過硫酸アンモニウム0.5部を水2部に溶解させた溶液を添加した後、下記の配合のモノマー乳化液(プレエマルション溶液)を5時間に渡って一定速度で添加した。
Figure 0005890061
*プレエマルション溶液中のモノマー濃度:80%
更に、重合中に、別口から、ガラスコルベンに、総量0.77部の、上記と同一の界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム30%水溶液を、重合率82%となった時点から1時間毎に合計3回に分割し、各回を以下の量にて一括添加した。

1時間(重合率82%):0.17部
2時間:0.27部
3時間:0.33部
滴下終了後、製造実施例1と同様にして重合を行った。得られたエマルションは固形分濃度69.3%、粘度400mPas、pH5.2、平均粒子径374nmの安定なエマルションであった。
製造実施例3
ガラスコルベンに水15.0質量部を仕込み80℃まで加熱した。
温度を80℃に制御しながら、過硫酸アンモニウム0.5部を水2部に溶解させた溶液を添加した後、下記の配合のモノマー乳化液(プレエマルション溶液)を5時間に渡って一定速度で添加した。
Figure 0005890061
*プレエマルション溶液中のモノマー濃度:81%
更に、重合中に、別口から、ガラスコルベンに、総量0.77部の、上記と同一の界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム30%水溶液を、重合率71%となった時点から1時間毎に合計3回に分割し、各回を以下の量にて一括添加した。

1時間(重合率71%):0.17部
2時間:0.27部
3時間:0.33部

滴下終了後、製造実施例1と同様にして重合を行った。得られたエマルションは固形分濃度69.5%、粘度597mPas、pH5.0で平均粒子径314nmの安定なエマルションであった。
製造実施例4
ガラスコルベンに水15.0質量部を仕込み80℃まで加熱した。
温度を80℃に制御しながら、過硫酸アンモニウム0.5部を水2部に溶解させた溶液を添加した後、下記の配合のモノマー乳化液(プレエマルション溶液)を5時間に渡って一定速度で添加した。
Figure 0005890061
*プレエマルション溶液中のモノマー濃度:80%
更に、重合中に、別口から、ガラスコルベンに、総量0.77部の、上記と同一の界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム30%水溶液を、重合率80%となった時点から1時間毎に合計3回に分割し、各回を以下の量にて一括添加した。

1時間(重合率80%):0.17部
2時間:0.27部
3時間:0.33部

滴下終了後、製造実施例1と同様にして重合を行った。得られたエマルションは固形分濃度69.3%、粘度228mPas、pH5.1で平均粒子径339nmの安定なエマルションであった。
製造実施例5
ガラスコルベンに水15.0質量部を仕込み80℃まで加熱した。温度を80℃に制御しながら、過硫酸アンモニウム0.5部を水2部に溶解させた溶液を添加した後、下記の配合のモノマー乳化液(プレエマルション溶液)を5時間に渡って一定速度で添加した。
Figure 0005890061
*プレエマルション溶液中のモノマー濃度:80%
更に、重合中に、別口から、ガラスコルベンに、総量0.77部の、上記と同一の界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム30%水溶液を、重合率82%となった時点から1時間毎に合計3回に分割し、各回を以下の量にて一括添加した。

1時間(重合率82%):0.17部
2時間:0.27部
3時間:0.33部

滴下終了後、製造実施例1と同様にして重合を行った。
得られたエマルションは固形分濃度69.0%、粘度1011mPas、pH5.0で平均粒子径265nmの安定なエマルションであった。
製造実施例6
ガラスコルベンに水15.0質量部を仕込み80℃まで加熱した。
温度を80℃に制御しながら、過硫酸アンモニウム0.5部を水2部に溶解させた溶液を添加した後、下記の配合のモノマー乳化液(プレエマルション溶液)を5時間に渡って一定速度で添加した。
Figure 0005890061
*プレエマルション溶液中のモノマー濃度:81%
更に、重合中に、別口から、ガラスコルベンに、総量0.77部の、上記と同一の界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム30%水溶液を、重合率85%となった時点から1時間毎に合計3回に分割し、各回を以下の量にて一括添加した。

1時間(重合率85%):0.17部
2時間:0.27部
3時間:0.33部

滴下終了後、製造実施例1と同様にして重合を行った。
得られたエマルションは固形分濃度69.8%、粘度821mPas、pH5.2で平均粒子径430nmの安定なエマルションであった。
製造実施例7
ガラスコルベンに水15.0質量部を仕込み80℃まで加熱した。
温度を80℃に制御しながら、過硫酸アンモニウム0.5部を水2部に溶解させた溶液を添加した後、下記の配合のモノマー乳化液(プレエマルション溶液)を5時間に渡って一定速度で添加した。
Figure 0005890061
*プレエマルション溶液中のモノマー濃度:81%
更に、重合中に、別口から、ガラスコルベンに、総量0.77部の、上記と同一の界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム30%水溶液を、重合率80%となった時点から1時間毎に合計3回に分割し、各回を以下の量にて一括添加した。

1時間(重合率80%):0.17部
2時間:0.27部
3時間:0.33部

滴下終了後、製造実施例1と同様にして重合を行った。
得られたエマルションは固形分濃度69.7%、粘度231mPas、pH5.1で平均粒子径360nmの安定なエマルションであった。
製造実施例8
ガラスコルベンに水15.0質量部を仕込み80℃まで加熱した。
温度を80℃に制御しながら、過硫酸アンモニウム0.5部を水2部に溶解させた溶液を添加した後、下記の配合のモノマー乳化液(プレエマルション溶液)を5時間に渡って一定速度で添加した。
Figure 0005890061
*プレエマルション溶液中のモノマー濃度:81%
更に、重合中に、別口から、ガラスコルベンに、総量0.77部の、上記と同一の界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム30%水溶液を、重合率79%となった時点から1時間毎に合計3回に分割し、各回を以下の量にて一括添加した。

1時間(重合率79%):0.17部
2時間:0.27部
3時間:0.33部

滴下終了後、製造実施例1と同様にして重合を行った。
得られたエマルションは固形分濃度69.0%、粘度940mPas、pH5.0で平均粒子径287nmの安定なエマルションであった。
製造実施例9
ガラスコルベンに水15.0質量部を仕込み80℃まで加熱した。
温度を80℃に制御しながら、過硫酸アンモニウム0.5部を水2部に溶解させた溶液を添加した後、下記の配合のモノマー乳化液(プレエマルション溶液)を5時間に渡って一定速度で添加した。
Figure 0005890061
*プレエマルション溶液中のモノマー濃度:80%
更に、重合中に、別口から、ガラスコルベンに、総量0.77部の、上記と同一の界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム30%水溶液を、重合率82%となった時点から1時間毎に合計3回に分割し、各回を以下の量にて一括添加した。

1時間(重合率82%):0.17部
2時間:0.27部
3時間:0.33部
滴下終了後、製造実施例1と同様にして重合を行った。得られたエマルションは固形分濃度69.3%、粘度480mPas、pH5.2、平均粒子径310nmの安定なエマルションであった。
製造実施例10
ガラスコルベンに水15.0質量部を仕込み80℃まで加熱した。
温度を80℃に制御しながら、過硫酸アンモニウム0.5部を水2部に溶解させた溶液を添加した後、下記の配合のモノマー乳化液(プレエマルション溶液)を5時間に渡って一定速度で添加した。
Figure 0005890061
*プレエマルション溶液中のモノマー濃度:78%
更に、重合中に、別口から、ガラスコルベンに、総量0.77部の、上記と同一の界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム30%水溶液を、重合率82%となった時点から1時間毎に合計3回に分割し、各回を以下の量にて一括添加した。

1時間(重合率82%):0.17部
2時間:0.27部
3時間:0.33部
滴下終了後、製造実施例1と同様にして重合を行った。得られたエマルションは固形分濃度69.2%、粘度1830mPas、pH5.2、平均粒子径322nmの安定なエマルションであった。
製造比較例1
ガラスコルベンに水15.0質量部を仕込み80℃まで加熱した。
温度を80℃に制御しながら、過硫酸アンモニウム0.5部を水2部に溶解させた溶液を添加した後、下記の配合のモノマー乳化液(プレエマルション溶液)を5時間に渡って一定速度で添加した。
Figure 0005890061
*プレエマルション溶液中のモノマー濃度:80%
更に、重合中に、別口から、ガラスコルベンに、総量0.87部の、上記と同一の界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム30%水溶液を、重合率39%となった時点から1時間毎に合計4回に分割し、各回を以下の量にて一括添加した。

1時間(重合率39%):0.10部
2時間:0.17部
3時間:0.27部
4時間:0.33部

滴下終了後、製造実施例1と同様にして重合を行った。
得られたエマルションは固形分濃度58.8%、平均粒子径310nmのエマルションであった。得られたエマルションは、極めて粘度が高い状態であり、粘度を測定することができなかった。
製造比較例2
ガラスコルベンに水15.0質量部を仕込み80℃まで加熱した。
温度を80℃に制御しながら、過硫酸アンモニウム0.5部を水2部に溶解させた溶液を添加した後、下記の配合のモノマー乳化液(プレエマルション溶液)を5時間に渡って一定速度で添加した。
Figure 0005890061
*プレエマルション溶液中のモノマー濃度:80%
更に、重合中に、別口から、ガラスコルベンに、総量0.77部の、上記と同一の界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム30%水溶液を、重合率51%となった時点から1時間毎に合計3回に分割し、各回を以下の量にて一括添加した。

1時間(重合率51%):0.17部
2時間:0.27部
3時間:0.33部

滴下終了後、製造実施例1と同様にして重合を行った。
得られたエマルションは固形分濃度55.8%、平均粒子径267nmのエマルションであった。得られたエマルションは、極めて粘度が高い状態であり、粘度を測定することができなかった。
製造比較例3
ガラスコルベンに水15.0質量部を仕込み80℃まで加熱した。
温度を80℃に制御しながら、過硫酸アンモニウム0.5部を水2部に溶解させた溶液を添加した後、下記の配合のモノマー乳化液(プレエマルション溶液)を5時間に渡って一定速度で添加した。
Figure 0005890061
*プレエマルション溶液中のモノマー濃度:80%
更に、重合中に、別口から、ガラスコルベンに、総量0.77部の、上記と同一の界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム30%水溶液を、重合率84%となった時点から1時間毎に合計3回に分割し、各回を以下の量にて一括添加した。

1時間(重合率84%):0.17部
2時間:0.27部
3時間:0.33部

滴下終了後、製造実施例1と同様にして重合を行った。
得られたエマルションは固形分濃度65.1%、平均粒子径323nmのエマルションであった。得られたエマルションは、極めて粘度が高い状態であり、粘度を測定することができなかった。
製造比較例4
ガラスコルベンに水15.0質量部を仕込み80℃まで加熱した。
温度を80℃に制御しながら、過硫酸アンモニウム0.5部を水2部に溶解させた溶液を添加した後、下記の配合のモノマー乳化液(プレエマルション溶液)を5時間に渡って一定速度で添加した。
Figure 0005890061
*プレエマルション溶液中のモノマー濃度:80%
更に、重合中に、別口から、ガラスコルベンに、総量0.77部の、上記と同一の界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム30%水溶液を、重合率50%となった時点から1時間毎に合計3回に分割し、各回を以下の量にて一括添加した。

1時間(重合率50%):0.17部
2時間:0.27部
3時間:0.33部

滴下終了後、製造実施例1と同様にして重合を行った。
得られたエマルションは固形分濃度54.3%、平均粒子径243nmのエマルションであった。得られたエマルションは、極めて粘度が高い状態であり、粘度を測定することができなかった。
製造比較例5
製造実施例1の別口から添加する界面活性剤を予め先仕込して加えること以外は、全て製造実施例1と同様にして重合を行った。
得られたエマルションは固形分濃度58.6%、平均粒子径194nmのエマルションであった。得られたエマルションは、極めて粘度が高い状態であり、粘度を測定することができなかった。
製造比較例6
製造実施例4の重合率41%となった時点から1時間毎に総量0.87部の上記と同一の界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム30%水溶液を合計4回に分割し、各回を以下の量にて一括添加した以外は全て製造実施例4と同様にして重合を行った。

1時間(重合率41%):0.10部
2時間:0.17部
3時間:0.27部
4時間:0.33部

得られたエマルションは固形分濃度61.0%、平均粒子径210nmのエマルションであった。得られたエマルションは、極めて粘度が高い状態であり、粘度を測定することができなかった。
製造比較例7
製造実施例4の重合率93%となった時点から1時間毎に総量0.6部の上記と同一の界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム30%水溶液を合計2回に分割し、各回を以下の量にて一括添加した以外は全て製造実施例4と同様にして重合を行った。

1時間(重合率93%):0.27部
2時間:0.33部

得られたエマルションは固形分濃度63.3%、平均粒子径424nmのエマルションであった。得られたエマルションは、極めて粘度が高い状態であり、粘度を測定することができなかった。
製造比較例8
ガラスコルベンに水15.0質量部を仕込み80℃まで加熱した。
温度を80℃に制御しながら、過硫酸アンモニウム0.5部を水2部に溶解させた溶液を添加した後、下記の配合のモノマー乳化液(プレエマルション溶液)を5時間に渡って一定速度で添加した。
Figure 0005890061
*プレエマルション溶液中のモノマー濃度:80%
更に、重合中に、別口から、ガラスコルベンに、総量0.87部の、上記と同一の界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム30%水溶液を、重合率65%となった時点から1時間毎に合計4回に分割し、各回を以下の量にて一括添加した。

1時間(重合率65%):0.10部
2時間:0.17部
3時間:0.27部
4時間:0.33部

滴下終了後、製造実施例1と同様にして重合を行った。
得られたエマルションは固形分濃度69.4%、250mPas、pH5.1で平均粒子径301nmのエマルションであった。
製造比較例9
ガラスコルベンに水23.5質量部を仕込み80℃まで加熱した。
温度を80℃に制御しながら、過硫酸アンモニウム0.5部を添加した後、下記の配合のモノマー乳化液(プレエマルション溶液)を5時間に渡って一定速度で添加した。
しかし、プレエマルション溶液の粘度が非常に高く、滴下することができなかった。
Figure 0005890061
*プレエマルション溶液中のモノマー濃度:85%
上記製造実施例および製造比較例によって調製されたエマルション樹脂について、以下の試験を行った。試験結果を下記表に示す。
固形分の測定
固形分はサンプルを2g採取し、ミニジェットオーブン(富山産業(株)製)中において、150℃で1時間乾燥させた後、乾燥前後の質量を用いて以下の式から算出した。
固形分(%)=(乾燥後の質量)/(乾燥前の質量)×100
エマルション粘度の測定
粘度は、TVB10形粘度計(東機産業(株)製)を用いて、25℃、6rpmにて測定した。
エマルション樹脂の数平均粒子径の測定
エマルション樹脂の数平均粒子径は、ELS−Z(大塚電子(株)製)を用いて測定した。なお数平均粒子径の算出については、得られた拡散係数からキュムラント解析法にて算出した。
pHの測定
pHは、pHメーター(東亜−DKK(株)製)を用いて25℃にて測定した。
Figure 0005890061
Figure 0005890061
上記表中の記号は下記を意味する。
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
MMA:メタクリル酸メチル
nBMA:メタクリル酸n−ブチル
nBA:アクリル酸n−ブチル
2−EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
DAAm:ダイアセトンアクリルアマイド
また、各モノマーの括弧内の数値は、各モノマーのr1値(スチレンとのモノマー反応性比、POLYMER HANDBOOK 4th Editionより引用)である。
製造実施例によって得られたエマルション樹脂は、いずれも、高固形分であるにも関わらず、粘度が低く、粘度測定を行うことができた。つまり、エマルションとして安定していた。
製造比較例1および2においては、モノマー混合物中における、スチレンとのモノマー反応性比r1が0.7以下である(メタ)アクリルモノマーの量が10質量%未満である。そのため、これらの製造比較例によって得られたエマルションは、極めて粘度が高い状態であり、粘度を測定することができなかった。これらの製造比較例で得られたエマルション樹脂はまた、固形分濃度が、製造実施例によって得られたエマルション樹脂の固形分濃度と比較して大幅に低下している。これは、未反応のモノマーが多く残存していることを示す。このようなエマルション樹脂は、極めて高粘度であるため、塗料化することができない。これは、エマルション樹脂の粘度が極めて高いことにより、塗料組成物を構成する他の成分との分散性が大きく低下してしまい、得られる塗料組成物の分散安定性が劣ることとなるためである。そのため、塗料用エマルション樹脂として適していない。さらに未反応モノマーに由来する臭気が強いという問題もある。
製造比較例3においては、スチレンとのモノマー反応性比r1が0.7以下である(メタ)アクリルモノマー(b1)の量が、60質量%超えている。そのため、製造比較例3によって得られたエマルションは、極めて粘度が高い状態であり、粘度を測定することができなかった。この製造比較例3で得られたエマルション樹脂もまた、固形分濃度が、製造実施例によって得られたエマルション樹脂の固形分濃度と比較して大幅に低下している。つまり未反応のモノマーが多く残存している。また得られたエマルション樹脂が極めて高粘度であるため、塗料化することができない。そのため、塗料用エマルション樹脂として適していない。
製造比較例4においては、スチレンモノマー(a)の量が50質量%を超えている。そのため、製造比較例4によって得られたエマルションは、極めて粘度が高い状態であり、粘度を測定することができなかった。この製造比較例においては、スチレンモノマー(a)の含有量が多いことから、重合系内の疎水性が高くなりすぎてしまい、プレエマルション溶液の水への分散・溶解が良好に進行せず、重合反応の場であるミセルまたは粒子中へのモノマー混合物の吸収量が著しく低くなるため、重合反応が順調に進まなかった。その結果、極めて高粘度な状態となり、粘度測定することができなかったと考えられる。この製造比較例4で得られたエマルション樹脂もまた、固形分濃度が、製造実施例によって得られたエマルション樹脂の固形分濃度と比較して大幅に低下している。つまり未反応のモノマーが多く残存している。さらに、このようなエマルション樹脂は高粘度であるため、塗料化することができない。そのため、塗料用エマルション樹脂として適していない。
製造比較例5においては、エマルション樹脂形成工程において、界面活性剤の添加を行っていない。そのため、粒子径の異なる粒子が系中に共存することなく、同程度の粒子径のエマルションが多く存在すると考えられる。そしてこれらのエマルション粒子の粒子間相互作用が増大してしまい、その結果、極めて高粘度な状態となり粘度測定することができなかったと考えられる。この製造比較例5で得られたエマルション樹脂もまた、固形分濃度が、製造実施例によって得られたエマルション樹脂の固形分濃度と比較して大幅に低下している。つまり未反応のモノマーが多く残存している。さらに、このようなエマルション樹脂は高粘度であるため塗料化することができない。そのため、塗料用エマルション樹脂として適していない。
製造比較例6においては、エマルション樹脂形成工程において、モノマー混合物の重合率が45%を超える前に界面活性剤を添加している。この場合は、エマルション樹脂の粒子の大きさが最適な範囲となる前において、界面活性剤が添加されることとなる。そのため、重合系内において、高固形分に最適な粒子サイズ分布を達成することができず、極めて高粘度な状態となり粘度測定することができなかったと考えられる。この製造比較例6で得られたエマルション樹脂もまた、固形分濃度が、製造実施例によって得られたエマルション樹脂の固形分濃度と比較して大幅に低下している。つまり未反応のモノマーが多く残存している。さらに、このようなエマルション樹脂は高粘度であるため、塗料化することはできない。そのため、塗料用エマルション樹脂として適していない。
製造比較例7においては、エマルション樹脂形成工程において、モノマー混合物の重合率が90%を超えた後に界面活性剤を添加している。そのため、界面活性剤が不足してしまい、粒子が不安定な状態となり、粒子間の相互作用が強くなり、これにより極めて高粘度な状態となり、粘度測定することができなかったと考えられる。この製造比較例7で得られたエマルション樹脂もまた、固形分濃度が、製造実施例によって得られたエマルション樹脂の固形分濃度と比較して大幅に低下している。つまり未反応のモノマーが多く残存している。さらに、このようなエマルション樹脂は高粘度であるため塗料化することができない。そのため、塗料用エマルション樹脂として適していない。
製造比較例8は、スチレンモノマーの含有量が10質量%と、スチレンモノマーの量が本発明における範囲よりも少ない例である。この製造例によって得られたエマルション樹脂は、耐アルカリ性が劣ることが判明した。この実験結果は下記で詳述する。
製造比較例9は、特開平7−233208号公報に記載される実施例1に相当する製造比較例である。この製造比較例においては、モノマー混合物を含むプレエマルション溶液の粘度が非常に高く、一般的に用いられる滴下装置を用いてプレエマルション溶液を滴下することはできなかった。一方で、ポンプなどの設備を用いてプレエマルション溶液を強制的に滴下することは可能であった。しかしながら、プレエマルション溶液の粘度が非常に高いことから、重合作業性は非常に悪く、生産効率性も極めて劣っていた。この製造比較例9で得られたエマルション樹脂もまた、固形分濃度が、製造実施例によって得られたエマルション樹脂の固形分濃度と比較して大幅に低下している。つまり、プレエマルション溶液の粘度が非常に高く、乳化重合途中で最適な粒子サイズを形成することができなかったため、未反応のモノマーが多く残存している。さらに剛直なスチレンユニットを含有していないため、耐アルカリ性、耐洗浄性(耐摩耗性の指標)に劣り、さらに、膜ひずみが生じやすくなり、密着性が大きく低下する。そのため、塗料用エマルション樹脂として適していない。
実施例1 上塗り塗料組成物の調製
顔料ペーストの調製
イオン交換水6質量部、増粘剤(商品名「SP−600N」、ダイセル化学工業社製、ヒドロキシエチルセルロース系増粘剤)0.1質量部、顔料分散剤(商品名「Disperbyk−190」、ビックケミー社製)1.5質量部、二酸化チタン(商品名「TI−PURE R−706」、デュポン社製)22.2質量部、工業用防腐剤(商品名「ベストサイド201」、日本曹達社製)、0.1質量部、および消泡剤(商品名「BYK−018」、ビックケミー社製)、0.1質量部をステンレス容器に入れて混合後、ガラスビーズを投入し、ディスパーにて30分攪拌・分散させて、顔料ペーストを得た。
上塗り塗料組成物の調製
製造実施例1で得られたエマルション樹脂100質量部、顔料ペースト30質量部、造膜助剤6質量部、エチレングリコール1質量部、pH調整剤0.1質量部、消泡剤0.6質量部、増粘剤1を0.2質量部、増粘剤2を0.4質量部、イオン交換水11.2質量部を充分混合することによって水性上塗り塗料組成物1を得た。
実施例2〜4
製造実施例1で得られたエマルション樹脂の代わりに、製造実施例2、4または7で得られたエマルション樹脂を用いたこと以外は、実施例1と同様に調製して、水性上塗り塗料組成物2〜4を得た。
比較例1
実施例1で得られた水性上塗り塗料組成物の調製において用いたエマルション樹脂を、製造実施例1のものから、製造比較例8で得られたエマルション樹脂に変更したこと以外は、実施例1と同様に調製して、水性上塗り塗料組成物5を得た。
上記上塗り塗料組成物の調製において用いた成分は、以下の通りである。
(造膜助剤)
造膜助剤:商品名「CS−12」、チッソ社製、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
(pH調整剤)
pH調整剤:25%アンモニア水、和光純薬社製
(消泡剤)
消泡剤:商品名「BYK−024」、ビックケミー社製
(増粘剤1)
増粘剤1:商品名「アデカノールUH−420」、旭電化社製、ウレタン会合型増粘剤
(増粘剤2)
増粘剤2:商品名「プライマルTT−615」、ローム・アンド・ハース社製、アルカリ膨潤型増粘剤
上記実施例および比較例によって得られた水性上塗り塗料組成物について、塗膜性能(塗膜外観、耐水性、耐アルカリ性、耐洗浄性、促進耐候性)を調べた。なお、耐洗浄性は、耐磨耗性の指標として調べた。試験方法は以下の通りである。試験結果を下記表に示す。
塗膜外観
フレキシブル板(JIS A 5430準拠)に、ニッペウルトラシーラーIII(日本ペイント社製、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル樹脂系シーラー)を、塗付け量100g/mで刷毛を用いて塗装し、16時間放置(温度23℃湿度50%)後、評価塗料を塗付け量100g/mで刷毛を用いて、塗装間隔時間を3時間とり、2回塗り重ねて塗装した。その後、24時間放置した後評価(目視)した。
○:塗膜に異常が認められない
×:割れ、ちぢみ、ピンホールなどの異常が認められる
耐水性
フレキシブル板(JIS A 5430準拠)に、ニッペウルトラシーラーIII(日本ペイント社製、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル樹脂系シーラー)を塗付け量100g/mで刷毛を用いて塗装し、16時間放置(温度23℃湿度50%)後、評価塗料を塗付け量100g/mで刷毛を用いて、塗装間隔時間を3時間とり、2回塗り重ねて塗装した。その後、7日間乾燥養生して耐水性試験板を作成し、20℃の水に7日間浸漬した。浸漬後、取り出して水洗した後に、30分以内に塗膜表面の状態を観察し、評価した。
○:塗膜に、膨れ、割れ、はがれなどがない
△:塗膜に、局所的に、膨れ、割れ、はがれ等がある
×:塗膜全体において、膨れ、割れ、はがれなどがある
耐アルカリ性
フレキシブル板(JIS A 5430準拠)に、ニッペウルトラシーラーIII(日本ペイント社製、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル樹脂系シーラー)を塗付け量100g/mで刷毛を用いて塗装し、16時間放置(温度23℃湿度50%)後、評価塗料を塗付け量100g/mで刷毛を用いて、塗装間隔時間を3時間とり、2回塗り重ねて塗装した。その後、7日間乾燥養生して耐アルカリ性試験板を作成した。得られた試験板を、20℃の水酸化ナトリウム3%水溶液に7日間没水した。取り出して水洗した後に、30分以内に塗膜表面の状態を観察した。
○:塗膜に膨れ、割れ、はがれなどがない
△:塗膜に局所的に膨れ、割れ、はがれなどがある
×:塗膜に全体的に膨れ、割れ、はがれなどがある
耐洗浄性(JIS K 5663 合成樹脂エマルションペイント 1種規格)
装置:JIS K 5600−5−11の6.3の湿潤磨耗試験装置の機能を有しており、試験槽、石けん液槽、ブラシなどを有し、試験片の塗膜上をブラシが往復するもの。

試験片の作成:
硬質塩化ビニルシート(JIS K 6734に規定)に、評価塗料を、6milアプリケーターを用いて塗装し、7日間乾燥養生して耐洗浄性試験板を作成した。JIS K 5663 7.12に沿って実施した。
操作:
試験片を洗浄試験装置の試験槽の試験台に、塗面を上向きにして水平に固定した。0.5%石けん水溶液を十分に浸み込ましたブラシを試験片の塗面に載せ、こする面に0.5%石けん水溶液を滴下し、常にぬれた状態に保ちながら、塗面をブラシで500回往復させ、こすった。その後、試験片を取り出し水で洗い、乾燥させた後、目視によって評価を実施した。
○:ブラシの往復処理(回数500回)を行った後においても、こすった箇所に塗膜の破れ、磨耗による素地の露出が認められない
×:ブラシの往復処理(回数500回)を行った後において、こすった箇所に塗膜の破れ、磨耗による素地の露出が認められる
促進耐候性
フレキシブル板(JIS A 5430準拠)に、ニッペウルトラシーラーIII(日本ペイント社製、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル樹脂系シーラー)を塗付け量100g/mで刷毛を用いて塗装し、16時間放置(温度23℃、湿度50%)後、評価塗料を塗付け量100g/mで刷毛を用いて、塗装間隔時間を3時間とり、2回塗り重ねて塗装した。その後、7日間乾燥養生して促進耐候性試験板を作成、JIS K 5600−7−7(キセノンランプ法)に従い、照射240時間経過後に、試験体を取り出し、室内に1時間放置し、評価を実施した。
○:白亜化等級が1以下で膨れ、はがれ、割れ等なく、色の変化が見本板と比較して大きく変化がない
×:白亜化等級が2以上、もしくは、はがれ、割れが発生、もしくは色の変化が大きい
白亜化:JIS K 5600−8−6に準拠する。
Figure 0005890061
製造実施例によって得られたエマルション樹脂を用いて調製した実施例の水性上塗り塗料組成物はいずれも、塗膜外観、耐水性、耐アルカリ性、耐洗浄性(耐磨耗性)、耐候促進性に優れていることが確認された。
一方で、製造比較例8によって得られたエマルション樹脂を用いて調製した、水性上塗り塗料組成物は、耐アルカリ性および耐洗浄性(耐磨耗性)が大きく劣り、また耐水性も劣ることが確認された。
水性下塗り塗料組成物の調製
実施例5
製造実施例3で得られたエマルション樹脂100質量部、造膜助剤8質量部、二酸化チタン14質量部、炭酸カルシウム97質量部、増粘剤1.6質量部および添加剤7.4質量部を充分混合することによって水性下塗り塗料組成物1を得た。
実施例6
実施例5の水性下塗り塗料組成物のエマルション樹脂を製造実施例3のものから製造実施例5のものに変更した以外は実施例5と同じ方法で水性下塗り塗料組成物2を得た。
実施例7
実施例5の水性下塗り塗料組成物のエマルション樹脂を製造実施例3のものから製造実施例6のものに変更した以外は実施例5と同じ方法で水性下塗り塗料組成物3を得た。
実施例8
実施例5の水性下塗り塗料組成物のエマルション樹脂を製造実施例3のものから製造実施例8のものに変更した以外は実施例5と同じ方法で水性下塗り塗料組成物4を得た。
比較例2
実施例5の水性下塗り塗料組成物のエマルション樹脂を製造実施例3のものから製造比較例8のものに変更した以外は実施例5と同じ方法で水性下塗り塗料組成物5を得た。
上記実施例および比較例によって得られた水性上塗り塗料組成物について、塗膜性能(耐アルカリ性、耐水性、密着性)を調べた。試験方法は以下の通りである。試験結果を下記表に示す。
評価試験
2液性ウレタン塗料を塗装量150mg/mで塗装して下地調整した70×150mmのスレート板上に、上記水性下塗り塗料組成物1〜5を、それぞれ塗装量300mg/mで塗装して、評価試験板を得た。得られた評価試験板に対して以下の各種試験を行い、評価を実施した。
耐アルカリ性
得られた評価試験板を20℃の水酸化ナトリウム3%水溶液に7日間没水した。取り出して水洗した後に、30分以内に塗膜表面の状態を観察した。
○:塗膜に膨れ、割れ、はがれなどがない
△:塗膜に局所的に膨れ、割れ、はがれなどがある
×:塗膜に全体的に膨れ、割れ、はがれなどがある
耐水性
得られた評価試験板を20℃の水に7日間没水した。取り出して水洗した後に、30分以内に塗膜表面の状態を観察、評価した。
○:塗膜に膨れ、割れ、はがれなどがない
△:塗膜に局所的に膨れ、割れ、はがれなどがある
×:塗膜に全体的に膨れ、割れ、はがれなどがある
密着性
得られた評価試験板を室温で16時間静置したのち、カッターナイフでスレート板まで達する深さのクロスカットを入れた。続いて、カット部分にガムテープを貼り付けた後、急激に引き剥がし、剥離状態を評価した。
○:塗膜にはがれを生じない
△:塗膜剥離面積が、ガムテープの貼付面積の75%未満
×:塗膜剥離面積が、ガムテープの貼付面積の75%以上
Figure 0005890061
製造実施例によって得られたエマルション樹脂を用いて調製した実施例の水性下塗り塗料組成物はいずれも、耐アルカリ性、耐水性、密着性に優れていることが確認された。
一方で、製造比較例8によって得られたエマルション樹脂を用いて調製した、水性下塗り塗料組成物は、耐アルカリ性および密着性が大きく劣り、また耐水性も劣ることが確認された。
本発明の製造方法によれば、スチレンモノマーの含有量が高いモノマー混合物を乳化重合する場合であっても、高固形分である塗料用エマルション樹脂を製造することができる。本発明の製造方法によって得られた塗料用エマルション樹脂を用いて塗料組成物を調製することによって、芳香族環由来の剛直なスチレン骨格を多く配合することが可能となる。これにより、得られる塗膜の機械的強度を向上させることができる。本発明の製造方法によって、優れた耐摩耗性、耐アルカリ性、耐洗浄性、密着性などを有する、耐久性に優れた塗膜を提供する塗料組成物を調製することができるという利点がある。

Claims (7)

  1. 塗料用エマルション樹脂の製造方法であって、
    前記方法は、
    スチレンモノマー(a)20〜50質量%、および(a)と共重合可能なα,β−エチレン性不飽和モノマー(b)50〜80質量%からなるモノマー混合物を含むプレエマルション溶液を調製する、プレエマルション溶液調製工程、および
    前記モノマー混合物を乳化重合させてエマルション樹脂を形成させる、エマルション樹脂形成工程、
    を包含し、
    前記製造方法によって得られる塗料用エマルション樹脂は、数平均粒子径が500nm以下であり、固形分濃度が50質量%以上であり、
    前記α,β−エチレン性不飽和モノマー(b)は、スチレンとのモノマー反応性比r1が0.7以下である(メタ)アクリルモノマー(b1)を含み、
    前記モノマー混合物中における、前記(メタ)アクリルモノマー(b1)の含有量は、10〜60質量%であり、
    前記エマルション樹脂形成工程において、前記モノマー混合物の重合率が45%〜90%の範囲となった後に、界面活性剤を、複数回に分けて添加する、
    塗料用エマルション樹脂の製造方法。
  2. 前記エマルション樹脂形成工程における界面活性剤の複数回の添加は、後の界面活性剤添加において、その前の界面活性剤の添加量に対して20質量%以上増加した量で添加する、請求項1記載の製造方法。
  3. 前記モノマー(b)は、酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを含み、
    前記プレエマルション溶液における、モノマー混合物(b)の中和率は、1.5〜30%である、
    請求項1または2記載の製造方法。
  4. 前記製造方法によって得られる塗料用エマルション樹脂は、残存モノマー濃度が1000ppm未満である、請求項1〜3いずれかに記載の製造方法。
  5. 前記エマルション樹脂形成工程の後に、
    油溶性重合開始剤を添加した後、さらに還元剤を添加して、残存モノマーを重合させる、残存モノマー重合工程、
    をさらに包含する、請求項1〜4いずれかに記載の製造方法。
  6. 前記油溶性重合開始剤は、20℃における水への溶解度が、1g/L以下である、請求項5記載の製造方法。
  7. 前記エマルション樹脂形成工程において添加される界面活性剤の総量は、前記塗料用エマルション樹脂の製造方法において用いられる界面活性剤の全量に対して、10〜40質量%である、請求項1〜6いずれかに記載の製造方法。
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