JPH0826007A - 車両用シートのリフタ機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 リクライニングレバーの２段階操作により、
シートの背もたれの傾斜角を規制するロック装置のロッ
クを解除し、シートの高さを規制するロック装置のロッ
クが解除され、シートの高さをシートの背もたれがシー
ト後部のベッドに当接することなく、背もたれをフラッ
トにすることができる車両用シートのリフタ機構の提
供。 【構成】 リンク機構に支持されて上下動するシートの
ロック装置の操作レバーであるハイトレバーとシートの
背もたれのロック装置の操作レバーであるリクライニン
グレバーとがその長さに余裕を持ったワイヤーケーブル
で連結されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、シートの前後を各々独
立させて上下動させ、シートの高さをレバーで調節でき
る前後独立タイプの車両用シートのリフタ機構の改良に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のシートをレバーで上下動及び固定
させる前後独立タイプの車両用シートのリフタ機構は、
図５に示されるように、シート１を支持するリンク機構
１５がシート１の下部に設けられており、シート１を上
昇させるようにスプリング１４、１４がロッド２３、２
３の上部で左右に引っ張っており、シートを所定の高さ
に固定するためのロック装置のロックの固定及び解除は
左右２つのハイトレバーで行っている。

【０００３】また、シートの背もたれ１８のリクライニ
ングは、渦巻バネとリクライニングレバーによって係脱
するロック装置とによって所定の角度に背もたれ１８が
設定され、解除されることによって行っている。つま
り、従来のシートにおいては、シートの上下動及び固定
を左右２つのハイトレバーの操作と、リクライニングレ
バーの操作という３つのレバーを操作することにより行
なっている。

【０００４】そして、従来のこの種車両用シートは、運
転時には、ドライバーの好みにシートの高さを固定して
走行するが、ベッド２０を運転室内に有する車両におい
ては、仮眠や休憩時にシート１をリクライニングして倒
す際、シート１が低い高さの位置に設定固定されると、
背もたれ１８がベット２０に当接し、シート１のリクラ
イニング角度が仮眠や休息に都合の悪いものとなり、楽
な姿勢で仮眠や休息ができないという問題を有してい
る。なお、１６はシートフレーム、１９はシートベー
ス、２４はベッドベース、２５は運転室のフロアーであ
る。

【０００５】ところで、実開平５ー２６５９９号公報に
は、ベースフレームとシートフレームとをＸ型併行リン
ク機構で連結し、スプリングでシートフレームを上昇側
へ付勢すると共に、前記シートスフレーム上へシートを
傾動自在に取り付け、前記Ｘ型併行リンク機構にはその
Ｘ型併行リンク機構を適宜姿勢でロック可能な第一の油
圧ダンパを、又シートを傾動自在に取り付ける部材には
シートを適宜傾斜姿勢でロックする第二の油圧ダンパを
それぞれ設け、それら油圧ダンパのロック解除操作でシ
ートの高さ及び傾斜角度の調整を可能とする車両用シー
トが記載されている。

【０００６】また、実願昭５６ー１８６９５４号（実開
昭５８ー９０８３９号公報）の明細書及び図面には、シ
ートクッションフレームまたは車体の一方に枢支された
多数の係止部を有するロッドと、上記シートクッション
フレームまたは車体の他方に枢支され上記係止部に係止
される係合部材を有することにより一定のエア圧でシー
トクッションを支持するトラック等の運転席に装着され
る車両用エアサスペンションシートロック機構が記載さ
れている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上記実開平５ー２６５
９９号公報に記載されているものでは、前記した従来の
ものにおけるレバーでシートをそれぞれ独立して上下動
させて、シートの高さを固定するものであるとともに、
前記問題点である仮眠や休憩時にシートをリクライニン
グして倒す際、シートが低い高さの位置に設定固定され
ると、背もたれがベットに当接し、シートのリクライニ
ング角度が仮眠や休息に都合の悪いものとなり、楽な姿
勢で仮眠や休息ができないという問題を解決することが
できない。

【０００８】また、上記実願昭５６ー１８６９５４号
（実開昭５８ー９０８３９号公報）の明細書及び図面に
記載されているトラック等の運転席に装着される車両用
エアサスペンションシートロック機構も、上記実開平５
ー２６５９９号公報に記載されているものと同様、仮眠
や休憩時にシートをリクライニングして倒す際、シート
が低い高さの位置に設定固定されると、背もたれがベッ
トに当接し、シートのリクライニング角度が仮眠や休息
に都合の悪いものとなり、楽な姿勢で仮眠や休息ができ
ないという問題を解決することができないものである。

【０００９】本発明は、リクライニングレバーの２段階
操作により、シートの背もたれの傾斜角度を規制するロ
ック装置と、シートの高さを規制するロック装置のロッ
クとが解除され、シートの高さをシートの背もたれがシ
ート後部のベッドに当接することなく、背もたれをフラ
ットにすることもできる車両用シートのリフタ機構の提
供を目的とするものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明に係る車両用シー
トのリフタ機構は、リンク機構に支持されて上下動する
シートの高さを規制するロック装置の操作レバーである
ハイトレバーと、シートの背もたれの傾斜角を規制する
ロック装置の操作レバーであるリクライニングレバーと
を有し、前記ハイトレバーとリクライニングレバーとが
その長さに余裕を持ったワイヤーケーブルで連結されて
いる。

【００１１】

【作用】リクライニングレバーと２つのハイトレバーと
がその長さに余裕を持ったワイヤーケーブルによって連
結されているので、リクライニングレバーの２段階操作
つまり第１段階の操作で背もたれの傾斜角度を規制する
ロック装置のロックが解除され、シートが傾動する。

【００１２】そして、第２段階の操作として、もう一段
深くリクライニングレバーを引くと２つのハイトレバー
がワイヤーケーブルを介して引かれシートの高さを規制
するロック装置のロックが解除され、シートは上昇し固
定される。

【００１３】リクライニング角度に連動したワイヤーケ
ーブルで、前後２つのハイトレバーを同時に解除し、前
後２つのハイトレバーの作動によりシートの高さを規制
するロック装置のロックが解除されると、それぞれ引っ
張られているスプリングの力によりシートは上昇する。
ハイトレバーに連結されたワイヤーケーブルによっての
２段階操作により簡単にシートの高さが変えられ、シー
トの高さが高くなれば、背もたれを倒した時にベットと
のクリアランスがとれシートがフラットになる。

【００１４】 可撓性のワイヤーケーブルの
端はその一部がシートに固定されている保持ブラケット
を経てケーブル連結部材に連結されており、ケーブル連
結部材には左右２本の作動ケーブルが取り付けられてお
り、作動ケーブルの端はハイトレバーのケーブル取付部
材に連結されているので、リクライニングレバーの前半
のストロークでは通常のシートのリクライニング作動が
なされ、後半のストロークでハイトレバー側も解除され
るように保持ブラケットでワイヤーケーブルの長さを調
整する。

【００１５】リクライニングレバーの第２段階の操作に
よりリンク機構を所定の高さにおいてロックしている、
左右２つのロック部材と左右２つの可動ロック部材との
係合が、係合するラックを作動ワイヤーが引っ張ること
によりラックが回動し、ピニオンとの係合が解かれ、両
者の係合が解かれる。そして、可動ロック部材はスプリ
ングの引っ張り力によりそれぞれ左右に移動し、シート
を支持するリンク機構の上昇工程によりシートも上方に
移動する。なお、その移動の固定はハイトレバーで行
う。

【００１６】ワイヤーケーブルに遊びがないと通常のリ
クライニング操作時にハイトレバー操作が解除してしま
うので、この問題の発生を防ぐために、シートの高さを
規制するロック装置の操作レバーであるハイトレバーと
シートの背もたれの傾斜角を規制するロック装置の操作
レバーであるリクライニングレバーとを連結するワイヤ
ーケーブルの長さに余裕を持たせる、つまりワイヤーケ
ーブルに遊びをつけることによりリクライニングレバー
の第１段階操作で背もたれがリクライニング作動し、次
の第２段階のリクライニングレバーの操作でハイトレバ
ーがシートの高さを規制するロックを解除し、シートと
背もたれはフルフラット状態とすることができる。

【００１７】なお、この発明においては、通常のシート
の高さの調整は、シートの下側面にある前後２つのハイ
トレバーの操作により行うことができ、背もたれの傾斜
角度の調整は、リクライニングレバの第１段階の操作を
するだけで行うことができる。

【００１８】

【実施例】以下図面を参照して本発明に係る車両用シー
トのリフタ機構の一実施例を説明する。図１は車両用シ
ートのリフタ機構の一部のカバーを除いた側面図、図２
はリフタ機構と作動ケーブルとの関係を示す説明図、図
３はリフタ機構の要部の斜視図、図４はシートの裏面を
示す図、そして図５は従来の車両用シートの作動状況を
示す概念図である。

【００１９】図１において、シート１には背もたれ１８
が連結部材２２を介して渦巻バネ７により反時計方向に
負勢されて回動できるように、しかし渦巻バネ７の外周
の係止爪６とラチェト部５が係合し、背もたれ部１８の
回動をロックする。

【００２０】ラチェト部５の端部には他端にリクライニ
ングレバー２を有するリクライニングリンク部材４が設
けられており、リクライニングリンク部材４のリクライ
ニングレバー２の近傍にはワイヤーケーブル３が取り付
けられている。以上のように、背もたれの傾斜角度を規
制するロック装置は、渦巻バネ７、係止爪６、ラチェト
部５、リクライニングリンク部材４及びワイヤーケーブ
ル３から構成されている。

【００２１】ワイヤーケーブル３は可撓性のものであ
り、その他端はその一部がシート１に固定されている保
持ブラケット８を経てケーブル連結部材１１に連結され
ており、ケーブル連結部材１１には左右２本の作動ケー
ブル１０、１０が取り付けられており、作動ケーブルの
他端はハイトレバー９、９のケーブル取付部材２８に連
結されている。

【００２２】シート１は、運転室のフロアー２５に取り
付けられたシートベース１９に前後に摺動固定されるよ
うに設けられたシートフレーム１６に回動ピン３５、３
５に回動自在に設けられているリンク機構１５を構成す
る連結ロッド２３、２３に支持されて設けられている。

【００２３】運転室２５の後方にはベッドベース２４が
形成されており、ベッドベース２４の上に運転者が休息
安眠するベッド２０が取り付けられている。

【００２４】シート１を支持するリンク機構１５は、前
後左右の連結ロッド２３、２３と該ロッド２３、２３の
上端はシート１の下部に設けられたシート取付部材３３
にピン２１の回りに回動するように取り付けられてい
る。ピン２１には引っ張りバネ１４が取り付けられてお
り、リンクを構成するロッド２３を立ち上がらせるよう
に引っ張って他端は取付部材の端部の引っ張りバネ係止
ピン１７に取り付けられている。

【００２５】リンク機構１５はまた、図３に示すロック
機構を有している。ロック機構は、リンク機構１５を所
定の高さにおいてロックするもので、左右２つのロック
部材１２、１２と左右２つの可動ロック部材１３、１３
とからなりろぉっくぶざい１２、１２と可動ロック部材
１３、１３はそれぞれ係合するラック３２、３２とピニ
オン３３、３３を有している。

【００２６】シート１の下部の設けられた取付部材３７
には可動ロック部材１３、１３が摺動する摺動長孔３４
が設けられており、可動ロック部材１３、１３の突状体
（図示せず）が摺動長孔３４に沿って摺動し、可動ロッ
ク部材１３、１３にはロッド２３、２３に取り付けられ
た回動ピン２１、２１（図１）に引っ張りバネ１４、１
４が取り付けられている。

【００２７】図１から図４に示すように、取付部材３７
に固着部材３６、３６によって取り付け固定されている
軸支持部材３１、３１に支持された軸３０にロック部材
１２、１２が回動自在に取り付けられており、ロック部
材１２、１２にはハイトレバー９、９がケーブル取付部
材２８、２８を介して取り付けられており、ケーブル取
付部材２８、２８に、他端がリクライニングレバー２に
取り付けられているワイヤーケーブル３に連結されてい
る作動ケーブル１０、１０が取り付けられている。

【００２８】図２に示すように、シート１に取り付けら
れたリクライニングレバー２をその先端に有するリクラ
イニングリンク部材４にワイヤーケーブル３のワイヤー
２７が取り付けられており、ワイヤーケーブル３は取付
部材３７に固定されている保持ブラケット８に取り付け
られ、そのワイヤー２７の先端がケーブル連結部材１１
に取付けられている。

【００２９】ケーブル連結部材１１には、ケーブル取付
部材２８、２８に両端が取り付けられている作動ケーブ
ル１０、１０が取付部材３７に固着部材３６、３６によ
って固定されているガイドブラケット２９、２９を介し
てその長さに遊びを持つように取り付けられている。な
お、２６は渦巻きバネカバーである。

【００３０】図４に示すように、作動ケーブル１０の作
動長さに遊びに相当する長さの余裕を持たせたので、リ
クライニング操作時のリクライニングレバー２の１段で
リクライニング操作をし、２段目のオーバーストローク
時にハイトレバーが解除され、背もたれ１８がフルフラ
ット状態となる。

【００３１】

【発明の効果】本発明に係る車両用シートのリフタ機構
は、リクライニングレバーのみの２段階操作により、シ
ートの背もたれの傾斜角度を規制するロック装置のロッ
クと、シートの高さを規制するロック装置のロックとを
解除することができ、シートの背もたれがシート後部の
ベッドに当接することのないシートの高さに上昇固定し
て、背もたれをフラットにすることができ、運転者が楽
な姿勢で休息や安眠をとることができるという効果を奏
する。

【００３２】本発明に係る車両用シートのリフタ機構
は、上記のように、リクライニングレバーのみの２段階
操作により、シートの背もたれの傾斜角度を規制するロ
ック装置のロックと、シートの高さを規制するロック装
置のロックとを解除することができ、シートの背もたれ
がシート後部のベッドに当接することのないシートの高
さに上昇固定して、背もたれをフラットにすることがで
きるとともに、通常のシートの高さの調整は、シートの
下側面にある前後２つのハイトレバーの操作により行う
ことができ、背もたれの傾斜角度の調整は、リクライニ
ングレバの第１段階の操作をするだけで行うことができ
るという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図１から図４は、本発明に係る車両用シートのリフタ機
構の一実施例を示すものである。

【図１】車両用シートのリフタ機構の一部のカバーを除
いた側面図である。

【図２】リフタ機構と作動ケーブルとの関係を示す説明
図である。

【図３】リフタ機構の要部の斜視図である。

【図４】シートの裏面を示す図である。

【図５】従来の車両用シートの使用状況を示す概念図で
ある。

【符号の説明】

１ シート ２ リクライニングレバー ３ ワイヤーケーブル ９ ハイトレバー １５リンク機構 １８背もたれ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 リンク機構に支持されて上下動するシー
   トの高さを規制するロック装置の操作レバーであるハイ
   トレバーと、シートの背もたれの傾斜角を規制するロッ
   ク装置の操作レバーであるリクライニングレバーとを有
   し、前記ハイトレバーとリクライニングレバーとがその
   長さに余裕を持ったワイヤーケーブルで連結されている
   ことを特徴とする車両用シートのリフタ機構。