WO2007086468A1

WO2007086468A1 - シート

Info

Publication number: WO2007086468A1
Application number: PCT/JP2007/051183
Authority: WO
Inventors: Takahiro Ishijima; Yoichi Takada
Original assignee: Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha; Shiroki Corporation
Priority date: 2006-01-27
Filing date: 2007-01-25
Publication date: 2007-08-02
Also published as: JP2007196902A; US20090289484A1; EP1944192A4; KR20080087181A; US7862121B2; CN101374689B; EP1944192A1; CN101374689A; JP4185935B2; DE602007005762D1; KR101014569B1; EP1944192B1

Abstract

　複数の被調整部の操作性を向上することができる。　車両用シート１０は、着座するためのシート本体に設けられ第１の操作系から伝達される操作力によって調整されるシートリフタ２２と、シート本体に設けられ第２の操作系から伝達される操作力によって調整されるリクライニング機構２０と、シートリフタ２２、リクライニング機構２０を独立して調整するための操作力を付与する操作レバー３０とを備える。操作レバー３０は、シート上下方向に沿う矢印Ｄ又は矢印Ｅ方向に回動操作されてシートリフタ２２に操作力を付与し、シート幅方向に沿う矢印Ｆ方向に回動操作されてリクライニング機構２０操作力を付与する。

Description

明細書

シート

技術分野

[0001] 本発明は、例えば乗員が着座するために自動車等に搭載されるシートに関する。

背景技術

[0002] 車両用シートとして、リクライニング機構のロックを解除してシートバックの角度調整を可能にするための操作レバーと、シートクッション後部の高さを調整するためのノブとを備えたものが知られている (例えば、特許文献 1参照)。操作レバーとノブとは、それぞれシートの幅方向外端部に互いに離間して配置されることで、互いに干渉することなく独立して操作可能とされて!/、る。

[0003] また、リクライニングレバーを 2段階操作可能とし、第 1段階の操作でリクライニング機構のロックを解除してシートバックの角度調整を可能にし、第 2段階の操作でシートノックの角度調整を可能にしたままノ、イトレバーが弓 Iかれてシートが上昇するように構成した車両用シートが知られている（例えば、特許文献 2参照)。

特許文献 1 :特開 2001—130294号公報

特許文献 2：特開平 8 - 26007号公報

特許文献 3：特開 2000— 255295号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0004] し力しながら、上記の前者の技術では、操作レバー及びノブを別個に設けて、るため、両者を共に操作性の良好な位置に配置することが困難であった。一方、後者の技術では、シート高さロック機構のロック解除 (ハイトレバー操作)をリクライニングの口ック解除力独立して行うことができず、操作性の向上には寄与しない。

[0005] 本発明は、上記事実を考慮して、複数の被調整部の操作性を向上することができるシートを得ることが目的である。

課題を解決するための手段

[0006] 上記目的を達成するために請求項 1記載の発明に係るシートは、着座するためのシート本体に設けられ、第 1の操作系から伝達される操作力によって調整される第 1 の被調整部と、前記シート本体に設けられ、第 2の操作系から伝達される操作力によつて調整される第 2の被調整部と、第 1所定方向への操作によって前記第 1の操作系に操作力を付与し、前記第 1所定方向とは異なる第 2所定方向への操作によって前記第 2の操作系に操作力を付与する操作力付与部材と、を備えて!/ヽる。

[0007] 請求項 1記載のシートでは、操作力付与部を第 1所定方向に操作すると、この操作力によって (機械的に)第 1の被調整部が調整されるか、又は、この操作力によって第 1の被調整部が調整可能な状態 (例えば、ロック解除状態等）になる。一方、操作力付与部を第 1所定方向に操作すると、この操作力によって第 2の被調整部が調整されるか、又は、この操作力によって第 2の被調整部が調整可能な状態になる。

[0008] これにより、 1つの操作力付与部材によって、 2つの被調整部を独立して調整することができる。このため、 2つの被調整部を操作するための 2つ操作部を独立して設けた構成と比較して、着座者による操作部位の配置や大きさに対する制約が低減され、設計自由度の向上が図られる。したがって、例えば、 2つの被調整部を独立して操作し得る単一の操作力付与部材を、シート本体における操作性の良好な位置に配置することで、 2つの被調整部を共に良好な操作性で操作することができる。

[0009] このように、請求項 1記載のシートでは、複数の被調整部の操作性を向上することができる。なお、 3つ以上の被調整部とこれらに対応した 3つ以上の操作力付与機能を有する操作力付与部とを備えた構成としても良い。

[0010] 請求項 2記載の発明に係るシートは、請求項 1記載のシートにぉ、て、前記操作力付与部材は、前記シート本体のシート幅方向外側に配置されており、前記第 1所定方向はシート上下方向に沿った方向とされ、前記第 2所定方向はシート幅方向に沿つた方向とされている。

[0011] 請求項 2記載のシートでは、シート本体のシート幅方向外側に配置された操作力付与部材に対し、シート上下方向に沿う第 1所定方向、シート幅方向に沿う第 2所定方向は共に着座者が操作しやすい方向であり、操作性が良好となる。

[0012] 請求項 3記載の発明に係るシートは、請求項 2記載のシートにぉ、て、前記操作力付与部材は、シート前後方向の後端側がシート幅方向に沿う軸線周りに回動可能でかつシート上下方向に沿う軸線廻りに回動可能に前記シート本体に支持されており、前端側をシート上下方向の上側又は下側に変位させる前記シート幅方向に沿う軸線周りの回動方向が第 1所定方向であり、前端側をシート幅方向に変位させる前記シート上下方向に沿う軸線周りの回動方向が第 2所定方向である。

[0013] 請求項 3記載のシートでは、操作力付与部材の前端側を上側又は下側に操作すると、該操作力付与部材はシート幅方向に沿う軸線周りに回動し、この操作力が第 1の被調整部に伝達される。一方、操作力付与部材の前端側をシート幅方向（内向き又は外向きである力外向きの方が好ましい）に操作すると、該操作力付与部材はシ一ト上下方向に沿う軸線周りに回動し、この操作力が第 2の被調整部に伝達される。操作力付与部材は、後端側の支持部位がシート本体に対し上下方向、シート幅方向に変位しないので、コンパクトに構成することができる。

[0014] 請求項 4記載の発明に係るシートは、請求項 1乃至請求項 3の何れか 1項記載のシートにおいて、前記操作力付与部材が前記第 1所定方向に操作されている状態で、該操作力付与部材から第 2の被調整部への操作力が伝達されることを禁止する第 1 重複操作禁止手段をさらに備えた。

[0015] 請求項 4記載のシートでは、操作力付与部材を第 1所定方向に操作して第 1の被調整部を調整している状態において、第 1重複操作禁止手段が、例えば操作力付与部材の第 2所定方向側への変位を規制し、又は第 2の被調整部への操作力の伝達経路 (第 2の操作系）を遮断することで、第 2の被調整部に操作力が伝達されること ( 第 2の被調整部の調整）が禁止される。これにより、 1つの操作力付与部材で 2つの被調整部を調整可能な構成にぉヽて、着座者の意図しな!ヽ被調整部の調整が行われることが防止される。

[0016] 請求項 5記載の発明に係るシートは、請求項 4記載のシートにおいて、前記第 1重複操作禁止手段は、前記操作力付与部材に対する前記第 2所定方向側に設けられ、前記第 1所定方向側に操作されている前記操作力付与部材の第 2所定方向への変位を係合によって禁止する係合部である。

[0017] 請求項 5記載のシートでは、第 1所定方向側に操作されている操作力付与部材は、第 2所定方向側に操作されると、係合部に係合して第 2所定方向への操作自体が禁止される。これにより、簡単な構造で第 1重複操作禁止手段が実現される。

[0018] 請求項 6記載の発明に係るシートは、請求項 5記載のシートにぉ、て、前記係合部は、前記第 1所定方向及び第 2所定方向に沿って延在する壁部であり、前記壁部には、前記操作力付与部材の非操作位置から前記第 2所定方向への操作に伴って該操作力付与部材の被係合部が入り込む切欠部が形成されている。

[0019] 請求項 6記載のシートでは、第 1所定方向側に操作されている操作力付与部材が第 2所定方向側に操作されると、該操作力付与部材の被係合部が係合部に係合する。一方、非操作位置に位置する操作力付与部材が第 2所定方向側に操作されると、被係合部は切欠部に入り込むことで該第 2所定方向への変位が許容され、第 2の被調整部に操作力が伝わる。そして、この第 2所定方向への操作状態では、第 1所定方向及び第 2所定方向に沿って延在する壁部に形成された切欠部の縁部が位置するため、換言すれば、被係合部に対する第 1所定方向側に壁部の端面端面が位置するため、該端面と被係合部との係合によって操作力付与部材の第 1所定方向への操作が禁止される。

[0020] したがって、本シートでは、共通の操作力付与部材によって、一方の被調整部を調整している状態では、他方の被調整部を調整することが禁止され、着座者の意図しない被調整部の調整が行われることが確実に防止される。

[0021] 請求項 7記載の発明に係るシートは、請求項 1乃至請求項 4の何れか 1項記載のシートにおいて、前記操作力付与部材が前記第 2所定方向側に操作されている状態で、該操作力付与部材が第 1所定方向側に移動することを禁止する第 2重複操作禁止手段をさらに備えた。

[0022] 請求項 7記載のシートでは、操作力付与部材を第 2所定方向に操作して第 2の被調整部を調整している状態において、第 2重複操作禁止手段が、例えば操作力付与部材の第 1所定方向側への変位を規制し、又は第 1の被調整部への操作力の伝達経路 (第 1の操作系）を遮断することで、第 1の被調整部に操作力が伝達されること（第 1の被調整部の調整）が禁止される。これにより、 1つの操作力付与部材で 2つの被調整部を調整可能な構成にぉヽて、着座者の意図しな!ヽ被調整部の調整が行われることが防止される。 [0023] 請求項 8記載の発明に係るシートは、請求項 7記載のシートにぉ、て、前記第 2重複操作禁止手段は、前記操作力付与部材に対し前記第 2所定方向側に位置すると共に前記第 1所定方向及び第 2所定方向に沿って延在する壁部に設けられ、前記操作力付与部材の非操作位置力前記第 2所定方向への操作に伴って該操作力付与部材の被係合部が入り込む切欠部の縁部である。

[0024] 請求項 8記載のシートでは、操作力付与部材が第 2所定方向側に操作されると、被係合部が第 1所定方向及び第 2所定方向に沿って延在する壁部に設けられた切欠部に入り込む。この状態力操作力付与部材を第 1所定方向に操作しょうとすると、被係合部が壁部における切欠部の縁部に係合して該操作力府部材の第 1所定方向への操作が禁止される。一方、非操作位置に位置する操作力付与部材が第 1所定方向側に操作された状態で、該操作力付与部材を第 2所定方向に操作しょうとすると、第 2所定方向側に位置する壁部に被係合部が係合することで、操作力付与部材の第 2所定方向への操作が禁止される。

[0025] したがって、本シートでは、共通の操作力付与部材によって、一方の被調整部を調整している状態では、他方の被調整部を調整することが禁止され、着座者の意図しない被調整部の調整が行われることが確実に防止される。

[0026] 請求項 9記載の発明に係るシートは、請求項 6又は請求項 8記載のシートにおいて、前記壁部は、前記第 1の被調整部を被覆するカバー部材に形成されている。

[0027] 請求項 9記載のシートでは、カバー部材に壁部を設けることで、部品点数を増やすことなく第 1又は第 2重複操作禁止手段を構成することが可能である。

[0028] 請求項 10記載の発明に係るシートは、請求項 1乃至請求項 9の何れか 1項記載のシートにおいて、前記操作力付与部材は、被覆ケーブルのケーブルを介して前記第 2の被調整部に操作力を伝達可能に連結されており、前記被覆ケーブルの被覆部は、前記操作力付与部材側の端部が該操作力付与部材の前記第 1所定方向の変位に追従し前記第 2所定方向の変位に追従しない部位に固定されると共に、前記操作力付与部材の前記第 1所定方向側への変位に伴って張力を生じない長さを有する。

[0029] 請求項 10記載のシートでは、操作力付与部材を第 2所定方向に操作すると、被覆ケーブルの被覆部の操作力付与部材側の固定端から引き出されるようにしてケープルが引っ張られ、第 2の被調整部に操作力が伝達される。一方、操作力付与部材を第 1所定方向に操作した場合には、該操作 (操作限までの操作)に伴って被覆部に張力が作用しないため、被覆部によって操作力付与部材の第 1所定方向への変位が妨げられることがない。また、操作力付与部材の第 1所定方向への操作によってケ一ブル及び被覆部の操作力付与部材側の端部間には相対変位が生ぜず、さらに操作力付与部材の第 1所定方向への操作 (操作限までの操作）に伴ってケーブルに張力が生じることもないので、第 2の被調整部に操作力が伝わることがない。

[0030] これにより、 1つの操作力付与部材で 2つの被調整部を調整可能な構成において、着座者の意図しない被調整部の調整が行われることが防止される。

[0031] 請求項 11記載の発明に係るシートは、請求項 1乃至請求項 10の何れか 1項記載のシートにおいて、前記第 1の被調整部は、前記シート本体の上下方向の位置を調整するための高さ調整機構であり、前記第 2の被調整部は、シートクッションに対するシートバックの角度のロック状態とロック解除状態とを切り替えるためのリクライニング機構である。

[0032] 請求項 11記載のシートでは、リクライニング機構と高さ調整機構とを共通の操作力付与部材によって操作することができるため、これらの操作部材を別個独立して設ける場合と比較して操作部材の配置、寸法形状に対する制約が少ない。このため、着座者にとって操作性の良好な位置に操作力付与部材を配置することで、これらリクライニング機構及び高さ調整機構の良好な操作性を実現することができる。

発明の効果

[0033] 以上説明したように本発明に係るシートは、複数の被調整部の操作性を向上することができると!ヽぅ優れた効果を有する。

図面の簡単な説明

[0034] [図 1A]本発明の第 1の実施形態に係る車両用シートの操作力付与部を示す側面図である。

[図 1B]本発明の第 1の実施形態に係る車両用シートの操作力付与部を示す平面断面図である。 [図 2]本発明の第 1の実施形態に係る車両用シートの操作力付与部を示す一部切り欠いた側面図である。

[図 3]本発明の第 1の実施形態に係る車両用シートの操作力付与部の操作禁止機構を示す斜視図である。

[図 4]本発明の第 1の実施形態に係る車両用シートの全体構成を示す斜視図である

[図 5]本発明の第 1の実施形態に係る車両用シートを構成するシートリフタを示す側面図である。

[図 6]本発明の第 1の実施形態に係る車両用シートを構成するリクライニング機構を示す側面図である。

[図 7]本発明の第 2の実施形態に係る車両用シート操作力付与部の操作力付与部を示す斜視図である。

[図 8A]本発明の第 2の実施形態に係る車両用シートの操作力付与部を示す一部切り欠いた底面図である。

[図 8B]本発明の第 2の実施形態に係る車両用シートの操作力付与部を示す側面図である。

[図 9]本発明の第 2の実施形態に係る車両用シートの全体構成を示す斜視図である

[図 10]本発明の実施形態に係る車両用シートとの比較例に係るシートを示す側面図である。

発明を実施するための最良の形態

[0035] 本発明の第 1の実施形態に係るシートとしての車両用シート 10について、図 1乃至図 6に基づいて説明する。なお、各図に適宜記す矢印 FR、矢印 UP、矢印 Wは、それぞれ車両用シート 10が適用された自動車の前方向（進行方向）、上方向、車幅方向を示しており、これらの上方向、前方向、幅方向は、車両用シート 10の上方向、前方向、幅方向に一致している。以下単に前後方向、上下方向、幅方向というときは上記した車両用シート（自動車)を基準とした各方向を示す。

[0036] 図 4には、車両用シート 10の概略全体構成が斜視図にて示されている。この図に示される如ぐ車両用シート 10は、自動車の乗員が着座するシートクッション 12と、着座した乗員の上体を背後から支持するシートバック 14とを有する。図 6に示される如く、シートクッション 12を構成するシートクッションフレーム 16の後端部とシートバック 14 を構成するシートバックフレーム 18の下端部とは、第 2の被調節部としてのリクライ- ング機構 20を介して相対角度の調整可能に連結されている。リクライニング機構 20 は、幅方向の両端にそれぞれ設けられており、これらのリクライニング機構 20は、図示しな、連動機構にて連動するようになって、る。

[0037] 図 6に示される如ぐリクライニング機構 20は、シートクッションフレーム 16に固定されるクッション側ブラケット 20Aと、リクライニング軸 20Bを介してクッション側ブラケット 20Aに連結されると共にシートバックフレーム 18に固定されるバック側ブラケット 20C と、クッション側ブラケット 20Aとバック側ブラケット 20Cとの、リクライニング軸 20B廻りの相対角度を多段階又は無段階に調整可能でかつ任意の相対角度でロック可能なロック連結部 20Dと、クッション側ブラケット 20Aとバック側ブラケット 20Cとの相対角変位を阻止するロック側にロック連結部 20Dを付勢するトーシヨンスプリング 20Eとを主要構成要素として構成されている。また、シート幅方向一方側（例えば車幅方向外側）のリクライニング機構 20は、長手方向の一端側がリクライニング軸 20Bに一体回転可能に連結されたロック解除アーム 20Fを備えて、る。ロック連結部 20Dにつ、ては公知の各種構造を取り得るので、構造の説明は省略する。

[0038] これら一対のリクライニング機構 20は、ロック連結部 20Dのロック状態において、シートクッション 12 (シートクッションフレーム 16)に対しシートバック 14 (シートバックフレーム 18)を任意の傾斜角で保持する構成である。また、一対のリクライニング機構 20 は、トーシヨンスプリング 20Eの付勢力に抗してロック解除アーム 20Fを図 5に示す矢印 A方向に回動すると、この回動によって直接的に、又は連動機構によってこの回動が伝達されて、それぞれのロック連結部 20Dによるロック状態を解除するようになっている。

[0039] シートクッション 12とシートバック 14との間には、図示しないリターンスプリングが配設されており、各リクライニング機構 20のロック解除状態でシートバック 14に負荷を掛けない場合には、シートバック 14がシートクッション 12に対し所定位置まで前傾するようになつている。一方、各リクライニング機構 20のロック解除状態においてシートバック 14に所定値以上の後向き荷重を作用させると、シートバック 14がシートクッション 12に対し後傾するようになっている。そして、シートバック 14のシートクッション 12に対する任意の傾斜角で、ロック解除アーム 20Fの操作力を解除すると、トーシヨンスプリング 20Eの付勢力によってリクライニング機構 20がロック状態に復帰し、該シートクッション 12に任意の傾斜角でシートバック 14を保持するようになっている。

[0040] これらリクライニング機構 20のロック解除は、操作レバー 30からの操作力を第 2の操作系としての被覆ケーブル 46 (何れも後述）がロック解除アーム 20Fに伝達することで果たされるようになって!/、る。

[0041] また、車両用シート 10は、図 5に示される如き第 1の被調整部としてのシートリフタ 2 2を備えている。シートリフタ 22は、それぞれ上下端がアツパレール 24とシートクッションフレーム 16とに回転自在に連結された前後一対のリンク 22A、 22Bを備えており、該アツパレール 24とシートクッションフレーム 16と共に 4節リンクを構成している。アツパレール 24は、車体フロアに固定されたロアレール 26 (図 4参照）に前後方向のスライド可能に支持されている。

[0042] 前後のリンク 22A、 22Bは、それぞれの上下の連結部（回転軸）を結ぶ仮想直線が略平行となるように互ヽに後傾して配置されており、その後傾角度を変化させることで、シートクッションフレーム 16をアツパレール 24に対し上下方向に接離させる構成とされている。なお、図 5の実線、想像線は、それぞれシートクッションフレーム 16 (シートクッション 12)のアツパレール 24に対する下限位置、上限位置を示している。

[0043] また、シートリフタ 22は、シートクッションフレーム 16に回転自在に軸支されたリフタギヤ 22Cを備えており、該リフタギヤ 22Cにおける回転軸の上方部分には連結リンク 22Dの前端部が回転自在に連結されている。連結リンク 22Dの後端は、リンク 22Bとシートクッションフレーム 16との連結部に回転自在に連結されている。これにより、シ一トリフタ 22では、該リフタギヤ 22Cを矢印 B方向に回動させるとリンク 22Bが起立側に回動してシートクッションフレーム 16が上方に変位し、該リフタギヤ 22Cを矢印 Bとは逆の矢印 C方向に回動させるとリンク 22Bが後傾側に回動してシートクッションフレーム 16が下方に変位するようになっている。 [0044] シートリフタ 22は、リフタギヤ 22Cに嚙み合わされたピ-オン 22Eを備え、ピ-オン 22Eは、後に詳述する操作レバー 30と第 1の操作系としてのポンプ式リフタ機構 22F を介して連結されている。ポンプ式リフタ機構 22Fは、シートクッションフレーム 16に支持されており、操作レバー 30の矢印 D方向への回動によってピ-オン 22Eを介してリフタギヤ 22Cを矢印 B方向に回動させ、操作レバー 30の矢印 D側への回動位置 (以下、上側操作位置という）から非操作位置としての中立位置への復帰の際にはピユオン 22Eに操作力を伝達しな、構成とされて！/、る。

[0045] 同様に、ポンプ式リフタ機構 22Fは、操作レバー 30の矢印 E方向への回動によつてピ-オン 22Eを介してリフタギヤ 22Cを矢印 C方向に回動させ、操作レバー 30の矢印 E側への回動位置（以下、下側操作位置という）から中立位置への復帰の際にはピ-オン 22Eに操作力を伝達しな、構成とされて！/、る。

[0046] また、ポンプ式リフタ機構 22Fは、リフタギヤ 22C側からの力でピ-オン 22Eが反転しないようにブレーキ機能を有する。なお、ポンプ式リフタ機構 22Fは、操作レバー 3 0を中立位置側に付勢する付勢部材を含んでおり、操作レバー 30の中立位置への復帰には操作力を要しな、構成とされて、る。

[0047] 以上により、シートリフタ 22は、操作レバー 30を中立位置と矢印 D側の回動位置との間で往復揺動操作することで車体フロアに対しシートクッション 12を上昇させ、操作レバー 30を中立位置と矢印 E側の回動位置との間で往復揺動操作することで車体フロアに対しシートクッション 12を下降させ、かつシートクッション 12を着座荷重に抗して任意の高さで保持することができるようになって!/、る。

[0048] 図 4に示される如ぐシートクッション 12の幅方向端部（例えば車幅方向外側）には、車両用シート 10のリクライニング角度及びフロアに対する高さを調整するための操作力付与部 28が配設されている。操作力付与部 28は、リクライニング機構 20及びシ一トリフタ 22を独立して操作するための単一の操作力付与部材としての操作レバー 3 0を有して構成されている。この実施形態では、操作力付与部 28は、シートクッション 12の側端部に操作可能に配置されて、る。

[0049] 図 1 (A)に示される如ぐ操作レバー 30は、前後方向に長手とされており、その前端側が操作部 30Aとされると共に、その後端側が荷重伝達部 30Bとされている。操作部 30Aは、人手により把持しやすい形状とされている。図 1 (B)にも示される如ぐ荷重伝達部 30Bには、幅方向内向きに開口する円柱状空間である凹部 32が形成されている。

[0050] 荷重伝達部 30Bは、凹部 32内にシートリフタ 22 (ポンプ式リフタ機構 22F)における操作荷重入力部 22Gを内部に入り込ませている。この操作荷重入力部 22Gにおける幅方向外向き面には、上下方向に沿う軸線を有するリクライニング操作軸 36がブラケット 34を介して自軸周りに回転自在に支持されて、る。リクライニング操作軸 3 6におけるブラケット 34から突出した上下端 36Aは、それぞれビス止め等によって荷重伝達部 30Bの凹部 32内に固定されている。荷重伝達部 30Bと操作荷重入力部 2 2Gとの間には、操作レバー 30のリクライニング操作軸 36廻りの所定角度の回動を許容する隙間が設定されている。

[0051] また、図 2及び図 3に示される如ぐ操作荷重入力部 22Gには、複数の係合凹部 38 が形成されている。この実施形態では、操作荷重入力部 22Gの回転軸に対し対称となる前後 2箇所に係合凹部 38が形成されている。一方、荷重伝達部 30Bにおける凹部 32の開口端からは、一対の被係合爪 40A、 40Bが突設されている。一対の被係合爪 40A、 40Bは、それぞれ凹部 32の軸線方向に沿って幅方向内側に突出すると共に筒状部 32の径方向内側に張り出してフック状に形成されて、る。

[0052] これら一対の被係合爪 40A、 40Bは、操作レバー 30がリクライニング非操作位置に位置する状態では、図 3に実線にて示す如ぐ対応する係合凹部 38に入り込むようになっている。また、操作レバー 30がリクライニング操作位置に位置する状態では、図 3に想像線にて示す如ぐ前側の被係合爪 40Aが幅方向外側に変位して係合凹部 38から抜け出し、後側の被係合爪 40Bが幅方向内側に変位して係合凹部 38から抜け出すようになつている。

[0053] これにより、操作力付与部 28は、リクライニング非操作位置に位置する操作レバー 30を第 1所定方向としての矢印 D又は矢印 E方向に回動すると、一対の被係合爪 40 と係合凹部 38とが係合して操作荷重入力部 22Gが操作レバー 30と一体的に矢印 D 又は矢印 E方向に回動する構成とされている。なお、操作レバー 30の矢印 D又は矢印 E方向への操作力の一部又は全部は、リクライニング操作軸 36、ブラケット 34を介して操作荷重入力部 22Gに伝達される構成としても良い。

[0054] 一方、図 1 (B)に示される如ぐ操作レバー 30は、シートリフタ 22すなわち該シートリフタ 22を支持するシートクッションフレーム 16に対し、操作部 30Aを幅方向外向きに変位させる第 2所定方向としての矢印 F方向へのリクライニング操作軸 36廻りの所定角度の回動が可能とされている。この回動によって操作レバー 30は、図 1 (B)に実線にて示す如く前後方向に沿ったリクライニング非操作位置と、図 1 (B)に想像線にて示す如く非操作位置力矢印 F方向に所定角度だけ回動したリクライニング操作位置とを取り得る構成とされて、る。

[0055] また、操作力付与部 28は、操作力変換部材 42を備えて、る。操作力変換部材 42 は、その支持部 42Aにおいて、シートクッションフレーム 16に支持された図示しないブラケットを介して上下方向に沿う支軸 44廻りに回動可能に軸支されて、る。操作力変換部材 42は、それぞれ支持部 42Aから平面視で放射方向の異なる方向に延設された入力アーム 42B、出力アーム 42Cを有する。この実施形態では、操作力変換部材 42は、支持部 42A力前方に突出した入力アーム 42Bと、 42Aから幅方向外側に突出した出力アーム 42Cとが平面視で略直角を成すように形成されている。

[0056] この操作力変換部材 42は、その入力アーム 42Bがリクライニング非操作位置に位置する操作レバー 30の被係合爪 40Bの幅方向内側に位置しており、該操作レバー 30のリクライニング操作位置への回動によって入力アーム 42Bが幅方向内向き押圧されて矢印 G方向に回動する構成とされている。したがって、操作力変換部材 42は、矢印 G方向の回動によって、出力アーム 42Cの自由端側が前方に変位するようになつている。

[0057] そして、操作力付与部 28は、操作レバー 30のリクライニング非操作位置からリクライユング操作位置への操作力を、操作力変換部材 42及び被覆ケーブル 46を介してリクライニング機構 20に伝達する構成とされている。具体的には、被覆ケーブル 46は、ケーブル 46Aと、ケーブル 46Aを被覆する被覆 46Bとを有して構成されて!、る。

[0058] 被覆 46Bは、一端がリクライニング機構 20の近傍でシートクッションフレーム 16に固定されたケーブル固定ブラケット 48に固定されると共に、他端が操作力変換部材 42 (操作レバー 30)の近傍でシートクッションフレーム 16に固定されたケーブル固定ブラケット 50に固定されている。一方、両端が被覆 46B力も突出したケーブル 46Aは、一端がロック解除アーム 20Fの自由端側に係止されると共に、他端が操作力変換部材 42の出力アーム 42Cの自由端側に係止されている。

[0059] 以上により、操作力付与部 28では、トーシヨンスプリング 20Eの付勢力がケーブル 4 6Aを介して操作力変換部材 42に伝達され、入力アーム 42Bが被係合爪 40Bを幅方向外向きに押圧することで、非操作状態の操作レバー 30がリクライニング非操作位置に保持 (偏倚)されるようになつている。一方、操作力付与部 28では、操作レバ一 30をリクライニング非操作位置からリクライニング操作位置へ操作すると、操作力変換部材 42が矢印 G方向に回動してケーブル 46Aが弓 |つ張られるようになっており、このケーブル 46Aの変位によってロック解除アーム 20Fは矢印 A方向に回動するようになつている。

[0060] さらに、図 1 (B)に示される如ぐ操作力付与部 28は、シートクッションフレーム 16と操作レバー 30との間に位置し、シートリフタ 22におけるシートクッションフレーム 16の幅方向外側に位置するポンプ式リフタ機構 22Fの一部 (操作荷重入力部 22Gを除く部分)を被覆するカバー部材 52を備えている。カバー部材 52は、例えばシートクッシヨン 12を構成するクッション材ゃ表皮材の内側に埋め込まれてポンプ式リフタ機構 22 Fを保護している。

[0061] カバー部材 52は、ポンプ式リフタ機構 22Fを径方向外側力も覆う短円筒形状の力バー本体 52Aと、カバー本体 52Aのシート幅方向内端力径方向外側に張り出しシートクッションフレーム 16に固定された固定フランジ 52Bと、短円筒形状のカバー本体 52Aの幅方向外短カも径方向内向きに張り出し操作荷重入力部 22Gを貫通させる貫通孔 52Cの縁部を規定するカバーフランジ 52Dとを有する。

[0062] 円筒壁状に形成された壁部としての短円筒形状のカバー本体 52A及び 52Dには、リクライニング非操作位置に位置する操作レバー 30の被係合爪 40Bに対応して切欠部 54が形成されており、操作レバー 30のリクライニング操作位置側への操作に伴つて被係合爪 40Bが切欠部 54に入り込むことで、該操作レバー 30のリクライニング操作位置への変位が許容されるようになっている。この切欠部 54は、操作力変換部材 42の入力アーム 42Bの進退も可能とされて!/、る。 [0063] そして、この切欠部 54におけるカバー本体 52Aの周方向における縁部は、壁面 54 A、 54Bとされている。これらの壁面 54A、 54Bは、該切欠部 54に入り込んだ被係合爪 40Bすなわちリクライニング操作位置に位置する操作レバー 30の矢印 D方向、矢印 E方向の回動を禁止するようになっている。

[0064] 以上により、操作力付与部 28では、操作レバー 30がリクライニング操作位置に位置する状態では、該操作レバー 30の矢印 D又は矢印 E方向への操作が禁止される構成とされている。このため、操作レバー 30がリクライニング操作位置に位置する状態 (リクライニング非操作位置とリクライニング操作位置と中間位置を含む)でのリフタ操作が禁止されると共に、一対の被係合爪 40A、 40Bが係合凹部 38に対し位置ずれすることも防止される構成である。

[0065] また、操作力付与部 28では、操作レバー 30が矢印 D方向（上側操作位置側）、矢印 E方向（下側操作位置側）に操作されている状態では、被係合爪 40Bが切欠部 54 に対し周方向に位置ずれすることで、該被係合爪 40Bの径方向内向きの変位すなわち操作レバー 30のリクライニング操作がカバー本体 52A、カバーフランジ 52Dによつて禁止される構成とされて！/、る。

[0066] したがって、以上説明したカバー部材 52が本発明における第 1、第 2重複操作禁止手段に相当し、カバー本体 52A、カバーフランジ 52Dが第 1所定方向（カバー部材 52の周方向）及び第 2所定方向（カバー本体 52Aの高さ、カバーフランジ 52Dの厚み方向）に延在する壁部に相当する。

[0067] 次に、第 1の実施形態の作用を説明する。

[0068] 上記の構成の車両用シート 10では、着座者が着座高さを高くする方向に調整する際には、着座者は、操作レバー 30の操作部 30Aに手指を掛け又は操作部 30Aを把持し、該操作レバー 30を中立位置と上操作位置との間で揺動 (往復回動)させる。操作レバー 30の操作のうち中立位置力も上操作位置へ向力動作に伴う操作力がシ一トリフタ 22に伝達され、シートクッション 12すなわち車両用シート 10が全体として上方に変位する。所望の高さで操作レバー 30の操作を停止すると、シートリフタ 22によつてシートクッション 12の高さが調整した高さに維持される。

[0069] 同様に、着座者が着座高さを低くする方向に調整する際には、着座者は、操作レバー 30の操作部 30Aを掌で押しつつ又は把持しつつ、該操作レバー 30を中立位置と下操作位置との間で揺動 (往復回動）させる。操作レバー 30の操作のうち中立位置から下操作位置へ向力動作に伴う操作力がシートリフタ 22に伝達され、シートクッション 12すなわち車両用シート 10が全体として下方に変位する。所望の高さで操作レバー 30の操作を停止すると、シートリフタ 22によってシートクッション 12の高さが調整した高さに維持される。

[0070] 一方、着座者がシートバック 14のシートクッション 12に対する角度を調整する際には、着座者は、操作レバー 30の操作部 30Aに手指を掛けて又は操作部 30Aを把持し、該操作部 30Aを幅方向外側に押し出し（引き出し)て操作レバー 30をリクライニング非操作位置からリクライニング操作位置に操作する。すると、操作力変換部材 42が矢印 G方向に回動することで被覆 46Bに対し相対変位するケーブル 46Aがロック解除アーム 20Fを矢印 A側に回動し、リクライニング機構 20のロックが解除される。着座者は、シートバック 14に体重を掛けて該シートバック 14を後傾させて所望の位置で停止し、又はリターンスプリングの付勢力で立ち上がるシートバック 14を所望の位置で停止させる。着座者が操作レバー 30から操作力を解除すると、トーシヨンスプリング 20Eの付勢力によって、リクライニング機構 20はロック状態に復帰し、操作レバー 30 は非操作位置に復帰する。

[0071] ここで、車両用シート 10では、単一の操作レバー 30の操作方向に応じてリクライ- ング機構 20、シートリフタ 22を独立して (選択的に)操作することができるため、着座者にとって操作性の良好な位置に操作レバー 30を配置して、これらリクライニング機構 20及びシートリフタ 22の操作性を両立する構成が実現された。

[0072] この点を図 10に示す比較例との比較で説明すると、該比較例に係るシート 200では、シート高さ調整用のリフタノブ 202と、リクライニングロック解除用のリクライニングレバー 204とは、互いに独立して操作されるように、着座者による被操作部 202A、 2 04Aが大きく離間して配置されている。このため、調整用のリフタノブ 202、リクライ- ングレバー 204のそれぞれについて、必要な最低限の寸法、独立した操作スペースを確保する必要があり、これらリフタノブ 202、リクライニングレバー 204の寸法形状や配置に対する制約が大きい。具体的には、シート 200では、着座者にとって操作性の良い位置には、被操作部 202A、 204Aの何れか一方しか配置することができず、この比較例では、リクライニングレバー 204は、その位置がシート後部であるため手が届き難ぐ操作時に手がシートベルト装置 206 (バックル係止部）等が干渉してしまう虡もある。また、リフタノブ 202、リクライニングレバー 204は共にアーム長（前後長）が短く制限されるので、操作力の軽減には限界がある。さらに、リフタノブ 202、リクライユングレバー 204の上記した制約の範囲で各機能の確保が優先されるので、シート 2 00は意匠、設計の自由度が少ない。

[0073] このように、車両用シートにおいて、着座者にとって操作性の良好な範囲は限られる力車両用シート 10では、操作レバー 30をリクライニング機構 20とシートリフタ 22とで共通化しているため、該操作レバー 30の配置や大きさに対する制約が低減され、設計自由度の向上が図られた。具体的には、単一の操作レバー 30をバックルとの干渉を避けかつ手指の届き易い適切な位置に配置してリクライニング機構 20及びシートリフタ 22の操作性を確保、向上した。また、操作レバー 30は、アーム長の設定の自由度が高いため、操作力や操作ストロークを容易に適切に設定することができる。

[0074] また、車両用シート 10では、操作レバー 30 (操作部 30A)の操作方向が上下方向（矢印 D、 E方向）、シート幅方向外向き（矢印 F方向）であるため、着座者によって操作し易い (操作力を付与し易い)方向への操作でリクライニング調整、シート高さ調整を行うことができる。また、操作レバー 30の操作用空間（操作位置を取るための空間）力 Sシート外方に設定されるので、操作レバー 30の設置に対する制約 (特に配置制約 )が少なくなる。そして、車両用シート 10では、操作レバー 30の後端に位置する荷重伝達部 30Bを、ポンプ式リフタ機構 22Fの回動軸線廻り及びリクライニング操作軸 36 廻りの双方に回動自在に支持することで、上記操作性の良好な操作方向を設定することが実現された。

[0075] さらに、車両用シート 10では、操作レバー 30の操作部 30Aを上下動してシートリフタ 22を操作して、る状態では、操作レバー 30の被係合爪 40Bと操作力変換部材 42 の入力アーム 42Bとが相対変位するため、換言すれば、操作力の伝達経路が遮断されるため、仮に操作レバー 30が矢印 F方向に操作されてもリクライニング機構 20が操作されることが禁止される。し力も、操作レバー 30の操作部 30Aを上下動してシートリフタ 22を操作して、る状態では、操作レバー 30の被係合爪 40Bがカバー部材 52 に干渉するため、操作レバー 30の矢印 F方向への操作自体が禁止される。これにより、被係合爪 40Bと入力アーム 42Bとが操作レバー 30の回動方向に干渉してしまうことが防止される。

[0076] 一方、車両用シート 10では、操作レバー 30の操作部 30Aを幅方向外向きに操作してリクライニング機構 20のロックを解除してヽる状態では、被係合爪 40Bがカバー部材 52の切欠部 54に入り込むため、操作レバー 30の矢印 D又は矢印 E方向に操作自体が禁止される。これにより、一対の被係合爪 40A、 40Bと操作荷重入力部 22 Gとが幅方向に干渉すること、すなわち一対の被係合爪 40A、 40Bが 38内に復帰できなくなることが防止される。

[0077] 以上説明したように車両用シート 10では、リクライニング機構 20及びシートリフタ 22 の何れか一方の操作中には他方の操作が禁止されるので、着座者 (車両乗員）の意図しな、操作が行われることが防止される。

[0078] (第 2の実施形態）本発明の第 2の実施形態に係る車両用シート 60について、図 7乃至図 9に基づいて説明する。なお、上記第 1の実施形態と基本的に同一の部品、部分については上記第 1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略し、また図示を省略する場合がある。さらに、図 8 (A)に示すポンプ式リフタ機構 22Fは、図 1 (B) に示すポンプ式リフタ機構 22Fと形状が異なるが、その機能は同一である。

[0079] 図 9には、車両用シート 60の概略全体構成が斜視図にて示されており、図 7には、車両用シート 60を構成する操作力付与部 62が側面図にて示されている。また、図 8 (A)には、操作力付与部 62がー部切り欠いた底面図にて示されており、図 8 (B)には操作力付与部 62が側面図にて示されている。これらの図に示される如ぐ操作力付与部 62は、操作レバー 30に代えて操作レバー 64を備えている。

[0080] 操作レバー 64は、その前端側が操作部 64Aとされると共に、その後端側が荷重伝達部 64Bとされている。操作部 64Aは、人手により把持しやすい形状とされている。荷重伝達部 64Bには、側面視で後向きに開口する略 U字状の縁部を有する切欠部 64Cが設けられることで、該切欠部 64Cの上下に一対の支持片 64Dが形成されてヽる。 [0081] 一方、シートリフタ 22の操作荷重入力部 22Gには、操作レバー 64の切欠部 64C内に配設されたジョイント部材 66が同軸的かつ一体回転可能に取り付けられている。そして、操作レバー 64は、上下一対の支持片 64Dがそれぞれ上下方向に沿った軸線を有し同軸的に配置された支持ピン 68を介して、ジョイント部材 66に対し支持ピン 6 8廻りの回動可能に支持されている。操作レバー 64における切欠部 64Cの前縁部、ジョイント部材 66の前端部の形状は、操作レバー 64の矢印 F方向への回動に伴って互いに干渉しな、ように、前部が平面視円弧状に形成されて!、る。

[0082] 以上により、操作レバー 64は、ジョイント部材 66と一体的にポンプ式リフタ機構 22F の軸線廻りに矢印 D又は矢印 E方向に回動することができ、またジョイント部材 66に対し矢印 F方向に回動することができる構成である。したがって、操作レバー 64は、操作レバー 30と全く同様にシートリフタ 22を操作することができる。

[0083] 操作レバー 64によってリクライニング機構 20を調整するための構造を説明する前に補足すると、図 8 (A)に示される如ぐ操作レバー 64は、シートクッションフレーム 1 6 (シートクッション 12)を幅方向外側力覆うカバー部材 70の幅方向外側に配設されている。カバー部材 70は、カバー部材 52に代えて設けられて該カバー部材 52とは異なり、図 9に示される如くシートクッション 12の略全長に亘り前後方向に延在している。また、ジョイント部材 66は、操作レバー 64よりも幅方向内側に突出した張出部 6 6Aを有し、張出部 66Aは操作荷重入力部 22Gの上部を外周から覆っている。操作荷重入力部 22G、張出部 66Aは、カバー部材 70の貫通孔 70Aを貫通している。

[0084] そして、操作レバー 64によってリクライニング機構 20を調整するために、操作レバ一 64の下側の支持片 64Dからは、図 8 (A)に示される如くアーム 72が幅方向内向きに突設されている。アーム 72は、操作レバー 64と一体的に矢印 F方向に回動するようになつており、非操作位置力矢印 F方向への回動によって自由端側が前方に変位するようになつている。

[0085] このアーム 72の自由端近傍に設けられたケーブル係止部 72Aには、被覆ケープル 46における一端がロック解除アーム 20Fに係止されたケーブル 46Aの他端が係止されている。したがって、操作力付与部 62では、操作レバー 64を矢印 F方向に操作すると、ケーブル 46Aが引っ張られてロック解除アーム 20Fが矢印 A方向に回動し、リクライニング機構 20のロックが解除される構成とされて、る。

[0086] また、この実施形態では、図 8 (A)及び図 8 (B)に示される如ぐジョイント部材 66の張出部 66Aにケーブル固定ブラケット 50が固定されており、このケーブル固定ブラケット 50は、シートリフタ 22の操作時には操作レバー 64と一体的に矢印 D又は矢印 E 方向に回動するようになっている。これにより、操作力付与部 62では、操作レバー 64 によるシートリフタ 22の調整に伴ってリクライニング機構 20に操作力が作用することがない構成とされている。

[0087] 車両用シート 60の他の構成は、車両用シート 10の対応する構成と同じである。

[0088] したがって、第 2の実施形態に係る車両用シート 60では、単一の操作レバー 30の操作方向に応じてリクライニング機構 20、シートリフタ 22を独立して (選択的に)操作することができるため、該車両用シート 60によっても、リクライニング機構 20及びシートリフタ 22の何れか一方の操作時に他方の操作が禁止されることを除、て、第 1の実施形態に係る車両用シート 10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。

[0089] また、車両用シート 60では、車両用シート 60がジョイント部材 66に固定されているため、操作レバー 64の矢印 D又は矢印 E方向への操作に伴ってアーム 72と車両用シート 60 (被覆 46Bの操作レバー 64側端部）とに相対変位が生じることがない。このため、例えば車両用シート 60をシートクッションフレーム 16に固定した場合のように、ジョイント部材 66の矢印 D又は矢印 E方向への操作に伴ってケーブル 46Aが引っ張られてしまうことがない。すなわち、シートリフタ 22の調整操作中に、着座者が意図せずリクライニング機構 20を操作してしまうことが防止される。

[0090] なお、上記各実施形態では、操作レバー 30、 64がシート幅方向に沿う軸線 (ボンプ式リフタ機構 22F)廻りに回動可能とされると共に、上下方向に沿う軸線 (リクライ- ング操作軸 36、支持ピン 68)廻りに回動可能とされた例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、操作レバー 30等が前後方向に沿う軸線廻りの回動を含む 2方向に操作可能とされても良ぐ操作レバー 64等の操作方向として回動に代えて直線的な変位方向を採用しても良ヽ。

[0091] また、上記各実施形態では、第 1の被調整部としてシートリフタ 22、第 2の被調整部としてリクライニング機構 20を備えた例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、操作レバー 30の操作による調整対象を他の被調整部として構成しても良い。他の被調整部としては、例えば、シートバック 14のシートクッション 12の前部の後部に対する高さを調整するためのシート前部チルト機構やフロアに対する座面角度を調整するための座面角調整機構など採ることができる。

[0092] さらに、上記各実施形態では、本発明が車両用シート 10〜150として適用された例を示したが、本発明はこれに限定されず、各種乗物用シートや安楽椅子、事務椅子などに適用することも可能である。

符号の説明

[0093] 10車両用シート（シート）

12シートクッション（シート本体）

14シートバック（シート本体）

16シートクッションフレーム（操作系支持部）

20リクライニング機構 (第 2の被調整部）

20Fロック解除アーム（アーム部材）

22シートリフタ (第 1の被調整部）

22Fポンプ式リフタ機構 (第 1の操作系）

30操作レバー (操作力付与部材）

40B被係合爪 (被係合部）

46被覆ケーブル

46Aケーブル（第 2の操作系）

46B被覆 (被覆部）

52カバー部材 (第 1重複操作禁止手段、第 2重複操作禁止手段）

52Aカバー本体 (壁部）

52Dカバーフランジ (壁部）

54切欠部

60車両用シート

64操作レバー (操作力付与部材）

Claims

請求の範囲

[1] 着座するためのシート本体に設けられ、第 1の操作系から伝達される操作力によつて調整される第 1の被調整部と、

前記シート本体に設けられ、第 2の操作系から伝達される操作力によって調整される第 2の被調整部と、

第 1所定方向への操作によって前記第 1の操作系に操作力を付与し、前記第 1所定方向とは異なる第 2所定方向への操作によって前記第 2の操作系に操作力を付与する操作力付与部材と、

を備えたシート。

[2] 前記操作力付与部材は、前記シート本体のシート幅方向外側に配置されており、前記第 1所定方向はシート上下方向に沿つた方向とされ、前記第 2所定方向はシート幅方向に沿った方向とされて、る請求項 1記載のシート。

[3] 前記操作力付与部材は、

シート前後方向の後端側がシート幅方向に沿う軸線周りに回動可能でかつシート上下方向に沿う軸線廻りに回動可能に前記シート本体に支持されており、

前端側をシート上下方向の上側又は下側に変位させる前記シート幅方向に沿う軸線周りの回動方向が第 1所定方向であり、

前端側をシート幅方向に変位させる前記シート上下方向に沿う軸線周りの回動方向が第 2所定方向である請求項 2記載のシート。

[4] 前記操作力付与部材が前記第 1所定方向に操作されて!ヽる状態で、該操作力付与部材から第 2の被調整部への操作力が伝達されることを禁止する第 1重複操作禁止手段をさらに備えた請求項 1乃至請求項 3の何れ力 1項記載のシート。

[5] 前記第 1重複操作禁止手段は、前記操作力付与部材に対する前記第 2所定方向側に設けられ、前記第 1所定方向側に操作されている前記操作力付与部材の第 2所定方向への変位を係合によって禁止する係合部である請求項 4記載のシート。

[6] 前記係合部は、前記第 1所定方向及び第 2所定方向に沿って延在する壁部であり前記壁部には、前記操作力付与部材の非操作位置から前記第 2所定方向への操作に伴って該操作力付与部材の被係合部が入り込む切欠部が形成されている請求項 5記載のシート。

[7] 前記操作力付与部材が前記第 2所定方向側に操作されている状態で、該操作力付与部材が第 1所定方向側に移動することを禁止する第 2重複操作禁止手段をさらに備えた請求項 1乃至請求項 4の何れか 1項記載のシート。

[8] 前記第 2重複操作禁止手段は、前記操作力付与部材に対し前記第 2所定方向側に位置すると共に前記第 1所定方向及び第 2所定方向に沿って延在する壁部に設けられ、前記操作力付与部材の非操作位置から前記第 2所定方向への操作に伴つて該操作力付与部材の被係合部が入り込む切欠部の縁部である請求項 7記載のシート。

[9] 前記壁部は、前記第 1の被調整部を被覆するカバー部材に形成されて!ヽる請求項 6又は請求項 8記載のシート。

[10] 前記操作力付与部材は、被覆ケーブルのケーブルを介して前記第 2の被調整部に操作力を伝達可能に連結されており、

前記被覆ケーブルの被覆部は、前記操作力付与部材側の端部が該操作力付与部材の前記第 1所定方向の変位に追従し前記第 2所定方向の変位に追従しな、部位に固定されると共に、前記操作力付与部材の前記第 1所定方向側への変位に伴つて張力を生じない長さを有する請求項 1乃至請求項 9の何れか 1項記載のシート。

[11] 前記第 1の被調整部は、前記シート本体の上下方向の位置を調整するための高さ調整機構であり、

前記第 2の被調整部は、シートクッションに対するシートバックの角度のロック状態とロック解除状態とを切り替えるためのリクライニング機構である請求項 1乃至請求項 1 0の何れ力 1項記載のシート。