JP4059811B2 - 車両用シート装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、車両用シート装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両用シート装置においては、シートバックをシート前後方向に起倒調整可能とするリクライニング手段を設けるのが通例であるが、さらにこのリクライニング手段に加えて、シートバックを起倒調整範囲の最前傾姿勢よりもさらにシート前方側へ倒伏させてこれをシートクッション1上に折り重ね状態で載置するシートバック倒伏手段を備えることが試みられている。そして、この場合、例えば、倒伏姿勢でのシートバックのシート前後方向位置を、該シートバックを単一の軸で枢支した場合の位置よりもシート前後方向へ偏位させる等の観点から、上記シートバックの起倒動作の枢支点と、該シートバックの倒伏動作の枢支点とを別々に設けた所謂「二軸枢支構造」を採用することが多い(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、例えば、シートクッションの後端部あるいは該後端部近傍の車体床面に設けた固定ブラケットと、シートバック2の下端部に設けたバック側ブラケットとの間に中間プレートを配し、上記固定ブラケットと中間プレートの一端とを一方の枢支軸で連結するとともに、上記バック側ブラケットと上記中間プレートの他端とを他方の枢支軸で連結する。そして、上記シートバックの起倒動作を上記二本の枢支軸のうち下側に位置する一方の枢支軸を中心として行わせる一方、上記シートバックの倒伏動作は上記二本の枢支軸のうち上側に位置する他方の枢支軸を中心として行わせるようにしたものである。
【0004】
そして、この場合、上記シートバックの起倒調整のための操作レバーと、シートバックの倒伏動作のための操作レバーとを備え、例えば上記シートバックの姿勢がその起倒調整範囲内の何れかに在る場合には、先ず起倒調整用の操作レバーを操作して該シートバックを最前傾姿勢に姿勢変更し、しかる後、倒伏用の操作レバーを操作して上記シートバックを最前傾姿勢からさらに倒伏姿勢まで倒伏させるようになっている。
【0005】
また、上記シートバックを倒伏させる場合、上記シートクッションを車体側に固定したまま、該シートクッションの上に上記シートバックを折り重ね状態で載置するように構成されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭58−116232号公報(第2頁左上欄第13行〜同頁右上欄第4行、第3頁左上欄第15行〜同頁右上欄第7行、第5図、第8
図)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上掲の特許文献1に示されたシート装置においては、起倒調整可能状態にあるシートバックを倒伏姿勢まで倒伏させる場合には、起倒調整用の操作レバーと倒伏操作用の操作レバーとを順次操作しなければならない構成であることから、操作が煩雑で、その操作性が低劣であるという問題があった。
【0008】
また、上記シート装置においては、上記シートバックを倒伏させる場合、シートクッションを固定したまま、その上にシートバックを折り重ね状態で載置する構成であることから、倒伏姿勢におけるシート高さ(即ち、倒伏されたシートバックの背面高さ)が比較的高く、例えば該シートバックを倒伏させた状態でその上面側を通路スペースとして利用する場合とか、物置台として利用する場合における利便性が悪いという問題もあった。
【0009】
そこで本願発明は、シートバックの起倒調整と倒伏姿勢への設定とを行い得るようにした車両用シート装置において、倒伏操作の操作性の向上、倒伏状態における利便性の向上等を図ることを主たる目的としてなされたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【0011】
本願の第1の発明では、シートバック2を、起立した「起立姿勢」と後方へ傾倒した「後傾姿勢」との間で起倒可能とするとともに、上記「起立姿勢」からさらにシート前方側へ倒伏してシートクッション1上に重なる「前倒姿勢」に姿勢設定可能とした車両用シート装置において、一端10aが第1ピン21により車体床面G側の枢支ブラケット8に枢支されるとともに他端10bが第2ピン22により上記シートバック2に設けたバックブラケット6に枢支され、上記枢支ブラケット8から上方へ立ち上がる「第1回動位置」と該枢支ブラケット8からシート前方側へ倒伏する「第2回動位置」との間で位置変更可能とされた中間プレート10と、上記シートバック2を上記第2ピン22回りにおいて上記「起立姿勢」と「後傾姿勢」との間で起倒調整を可能とし且つ所定姿勢での姿勢固定及び固定解除を行うリクライニング手段Xと、上記中間プレート10の上記「第1回動位置」での位置固定と固定解除とを行う回動規制手段Yと、上記シートバック2の倒伏操作を行う倒伏操作手段Qと、上記倒伏操作手段Qの操作を受けて、上記リクライニング手段Xの固定解除と上記回動規制手段Yの固定解除とを順次連動して行う連動手段Rとを備えたことを特徴としている。
【0012】
本願の第2の発明では、上記第1の発明に係る車両用シート装置において、上記リクライニング手段Xを、上記バックブラケット6に設けたセレクトギヤ34とロックプレート12のロック爪35との噛合によって上記シートバック2の起倒位置を保持するとともに噛合解除によって起倒調整を可能とする構成とし、その噛合解除操作が、上記倒伏操作手段Qと、該倒伏操作手段Qとは別個に設けた操作部材30とで選択的に行われるように構成したことを特徴としている。
【0013】
本願の第3の発明では、上記第1の発明に係る車両用シート装置において、上記回動規制手段Yを、上記倒伏操作手段Qの非操作時には上記中間プレート10を上記「第1回動位置」で固定する一方、該倒伏操作手段Qの操作時には上記シートバック2が上記「後傾姿勢」側から上記「前傾姿勢」に達した時点で上記中間プレート10の上記「第1回動位置」での固定を解除して上記「第2回動位置」側への回動を許容するように構成したことを特徴としている。
【0014】
本願の第4の発明では、上記第1,第2又は第3の発明に係る車両用シート装置において、上記シートクッション1が、その前端部1aをリンク9によってシート前後方向に回動自在とするとともに、その後端部1bに設けたクッションブラケット5を上記第2ピン22に枢支させた構成であることを特徴としている。
【0015】
【発明の効果】
本願発明ではかかる構成とすることにより次のような効果が得られる。
【0016】
▲1▼ 本願の第1の発明に係る車両用シート装置では、シートバック2を、起立した「起立姿勢」と後方へ傾倒した「後傾姿勢」との間で起倒可能とするとともに、上記「起立姿勢」からさらにシート前方側へ倒伏してシートクッション1上に重なる「前倒姿勢」に姿勢設定可能とした車両用シート装置において、一端10aが第1ピン21により車体床面G側の枢支ブラケット8に枢支されるとともに他端10bが第2ピン22により上記シートバック2に設けたバックブラケット6に枢支され、上記枢支ブラケット8から上方へ立ち上がる「第1回動位置」と該枢支ブラケット8からシート前方側へ倒伏する「第2回動位置」との間で位置変更可能とされた中間プレート10と、上記シートバック2を上記第2ピン22回りにおいて上記「起立姿勢」と「後傾姿勢」との間で起倒調整を可能とし且つ所定姿勢での姿勢固定及び固定解除を行うリクライニング手段Xと、上記中間プレート10の上記「第1回動位置」での位置固定と固定解除とを行う回動規制手段Yと、上記シートバック2の倒伏操作を行う倒伏操作手段Qと、上記倒伏操作手段Qの操作を受けて、上記リクライニング手段Xの固定解除と上記回動規制手段Yの固定解除とを順次連動して行う連動手段Rとを備えたことを特徴としている。
【0017】
従って、この発明の車両用シート装置によれば、上記シートバック2が「起立姿勢」と「後傾姿勢」との間の何れの姿勢に設定されている状態であっても、上記倒伏操作手段Qを操作することで、上記連動手段Rにより上記リクライニング手段Xの固定解除と上記回動規制手段Yの固定解除とが順次連動して行われ、上記シートバック2にこれを「後傾姿勢」側から「前傾姿勢」側へ引き起こす操作力を掛けることで、該シートバック2は「第1回動位置」に固定されている上記中間プレート10の他端10b側の上記第2ピン22を中心として引き起こし方向に回動されて「前傾姿勢」に設定される。さらに上記操作力が掛けられることで、上記中間プレート10が上記シートバック2との相対姿勢を維持したまま「第1回動位置」から「第2回動位置」まで回動され、該中間プレート10が「第2回動位置」に設定された時点において上記シートバック2は「後傾姿勢」に設定される。
【0018】
このように、この発明に係る車両用シート装置によれば、上記倒伏操作手段Qを操作することで上記リクライニング手段Xの固定解除と上記回動規制手段Yの固定解除とが順次連動して行われ、上記シートバック2が「起立姿勢」と「後傾姿勢」との間の何れの姿勢に設定されている状態であっても、該姿勢から一気に「前方倒伏姿勢」まで倒伏させることができるものであり、例えば、倒伏操作に際してその作動途中において上記リクライニング手段Xの固定解除と上記回動規制手段Yの固定解除とをそれぞれ個別に行う必要があるような場合に比して、シートバック2の倒伏操作が簡略化され、その操作性が格段に向上し、延いては車両用シート装置としての商品価値の向上が期待できるものである。
【0019】
▲2▼ 本願の第2の発明に係る車両用シート装置によれば、上記▲1▼に記載の効果に加えて次のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記リクライニング手段Xを、上記バックブラケット6に設けたセレクトギヤ34とロックプレート12のロック爪35との噛合によって上記シートバック2の起倒位置を保持するとともに噛合解除によって起倒調整を可能とする構成とし、その噛合解除操作を、上記倒伏操作手段Qと、該倒伏操作手段Qとは別個に設けた操作部材30とで選択的に行い得るように構成しているので、上記倒伏操作手段Qを操作していないとき、即ち、シートバック2の倒伏操作を行わないときには、上記操作部材30を操作することで、上記倒伏操作手段Qの存在に何ら影響されることなく、上記シートバック2の傾倒調整を行うことができ、これによりシート装置の通常使用時における操作性が確保される。
【0020】
▲3▼ 本願の第3の発明に係る車両用シート装置によれば、上記▲1▼に記載の効果に加えて次のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記回動規制手段Yを、上記倒伏操作手段Qの非操作時には上記中間プレート10を上記「第1回動位置」で固定する一方、該倒伏操作手段Qの操作時には上記シートバック2が上記「後傾姿勢」側から上記「前傾姿勢」に達した時点で上記中間プレート10の上記「第1回動位置」での固定を解除して上記「第2回動位置」側への回動を許容するように構成しているので、上記倒伏操作手段Qが操作されている状態であっても、上記シートバック2が「後傾姿勢」側から「前傾姿勢」へ回動するまでの間は上記中間プレート10が「第1回動位置」で固定され、この結果、上記シートバック2の倒伏操作時において該シートバック2を「後傾姿勢」側から「前傾姿勢」へ回動操作するとき上記中間プレート10が不用意に「第1回動位置」から「第2回動位置」側へ回動するのが阻止され、的確な倒伏操作が実現され、それだけ操作上の信頼性が向上する。
【0021】
▲4▼ 本願の第4の発明に係る車両用シート装置によれば、上記▲1▼,▲2▼又は▲3▼に記載の効果に加えて次のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記シートクッション1が、その前端部1aをリンク9によってシート前後方向に回動自在とするとともに、その後端部1bに設けたクッションブラケット5を上記第2ピン22に枢支させた構成としているので、上記シートバック2の倒伏操作が行われる場合、上記中間プレート10の「第1回動位置」から「第2回動位置」への回動動作に連動して、該中間プレート10の他端10bに設けた上記第2ピン22が上記枢支ブラケット8の上方側からシート前方側へ弧回動しその位置が前方斜め下方へ移動する。この第2ピン22の移動に追従して、これに枢支された上記シートクッション1の後端部1bが前方斜め下方へ移動すると同時に該シートクッション1の前端部1aも上記リンク9の弧回動によって前方斜め下方へ移動し、該シートクッション1の高さ位置が低くなる。この高さ位置が低くなった上記シートクッション1の上面側に上記シートバック2が折り重なるように倒伏されるので、倒伏状態における上記シートバック2の高さ、即ち、その背面の高さが、例えば上記シートクッション1が車体床面G側に固定されている場合に比して、該シートクッション1の高さ低下分だけ低くなる。この結果、例えば、上記シートバック2を倒伏させた状態で、該シートバック2の背面上を通路として利用する場合とか、該背面を物置台として利用する場合における利便性が向上し、延いては車両用シート装置としての商品価値の向上が期待できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0023】
図1〜図3には、本願発明に係る車両用シート装置の動作形態を示している。この車両用シート装置は、シートクッション1とシートバック2とを備えて構成され、車体床面G側に前後した固定配置した前側枢支ブラケット7と後側枢支ブラケット8(特許請求の範囲中の「枢支ブラケット8」に該当する)とによって支持されている。また、上記後側枢支ブラケット8には、第1ピン21を介して中間プレート10の一端10aが枢支されるとともに、該中間プレート10の他端10bには第2ピン22が取り付けられている。
【0024】
上記シートクッション1は、クッションフレーム3を備えるとともに、その後端部には略L字状に形成されたクッションブラケット5が取り付けられている。そして、このシートクッション1は、その前端部1a(即ち、上記クッションフレーム3の前端部)をリンク9を介して上記前側枢支ブラケット7に枢支させる一方、その後端部1b(即ち、上記クッションフレーム3に取り付けられた上記クッションブラケット5の後端部)はこれを上記第2ピン22を介して上記中間プレート10の他端10bに枢支させている。
【0025】
上記シートバック2は、バックフレーム4を備えるとともに、該バックフレーム4の下端部にはバックブラケット6が取り付けられている。そして、このシートバック2は、上記バックブラケット6の下端部を上記第2ピン22を介して上記中間プレート10の他端10bに枢支させている。
【0026】
また、上記中間プレート10は、図1及び図2に示すように、上記後側枢支ブラケット8から上方に起立した「第1回動位置」と、図3に示すように上記第1ピン21回りに回動して上記後側枢支ブラケット8の前方側へ略水平に延出する「第2回動位置」との間で位置変更可能とされている(尚、この中間プレート10の回動位置の規制を行う回動規制手段Yについては後述する)。
【0027】
そして、このように構成された車両用シート装置は、上記中間プレート10を「第1回動位置」に設定し且つ位置保持した状態において、上記シートバック2を、図1に示す「起立姿勢」と図2に示す「後傾姿勢」の間で起倒調整自在とされている(このシートバック2の起倒調整を実現するリクライニング手段Xについては後述する)。
【0028】
さらに、この車両用シート装置では、図1に示す状態から、上記中間プレート10を上記第1ピン21回りにシート前方へ回動させて、図3に示すように「第2回動位置」に設定することで、上記シートバック2は「前倒姿勢」に設定される。この「前倒姿勢」においては、上記シートバック2は、上記シートクッション1の上側に折り重ね状態で略水平に延出している。この場合、上記クッションブラケット5が上記第2ピン22に枢支され、また上記クッションフレーム3の前端部が上記リンク9を介して上記前側枢支ブラケット7に枢支されていることから、上記中間プレート10の「第1回動位置」から「第2回動位置」への回動変位に伴って上記シートクッション1は前方斜め下方へ平行移動し、しかもこのシートクッション1上に上記シートバック2が折り重ねられていることから、「前倒姿勢」におけるシート高さ(即ち、上記シートバック2の背面高さ)が低く抑えられる。
【0029】
このように、この車両用シート装置では、上記中間プレート10を「第1回動位置」に設定した状態において上記シートバック2が「起立姿勢」と「後傾姿勢」の間で起倒自在とされるとともに、必要に応じて上記シートバック2を前方に倒伏させて「前倒姿勢」とすることができるものであるが、特に上記シートバック2を「前倒姿勢」へ姿勢変更する場合にこれを一操作によって簡便に行えるようにしたことに最大の特徴がある。
【0030】
即ち、上記シートバック2の「前倒姿勢」への姿勢変更は、上記シートバック2の背面上部に設けた操作ノブ19により操作ケーブル18を引張することで行われるが、この場合、その操作開始時点において上記シートバック2が「起立姿勢」と「後傾姿勢」の間の何れの姿勢にあっても、上記操作ノブ19を操作したまま上記シートバック2を手動にて引き起こし、さらにシート前方側へ倒伏させることで、これを「前倒姿勢」に姿勢設定することができるものである。具体的には、上記シートバック2が「起立姿勢」と「後傾姿勢」の間の何れかの姿勢に設定されていた場合には、該シートバック2に引き起こし操作力が加えられることで、該シートバック2は上記中間プレート10が「第1回動位置」に位置固定されたまま、「起立姿勢」まで引き起こされる。さらに該シートバック2に操作力が加えられると、該シートバック2は上記中間プレート10との相対位置を保持したまま、該中間プレート10がその「第1回動位置」から「第2回動位置」まで回動するのに伴ってこれと一体的に倒伏され、最終的に「前倒姿勢」に設定されるものである。即ち、上記操作ケーブル18の操作のみによって(即ち、上記操作ケーブル18の操作途中で他の操作を行うことなく)上記シートバック2を「後傾姿勢」と「起立姿勢」の間の任意の姿勢から一気に「前倒姿勢」まで姿勢変更をすることができるものであり、複数の操作を連動して行う必要がある場合に比して、その操作性が格段に向上するものである。
【0031】
以下、上記の如き各動作を実現するための具体的な構成について、図4〜図12を参照して説明する。
【0032】
図4〜図6には、上記シートクッション1とシートバック2の連結部分の具体的構成を示している。既述部分と若干重複する部分もあるが、この連結部分の構成を説明する。
【0033】
後側枢支ブラケット8は、特許請求の範囲中の「枢支ブラケット8」に該当するものであって、図4及び図5に示すように、車体床面Gに固定されている。この後側枢支ブラケット8の一方の側面側には、第1ピン21を介して次述の中間プレート10の一端10aが矢印a−b方向に回動自在に枢支されている。また、この後側枢支ブラケット8は、その上側周縁に後斜め上方に向けて開口する嵌合凹部41を設けるとともに、該嵌合凹部41より前方側に位置する周縁をガイド面45とし、さらに上記第1ピン21の下方位置にはストッパーピン25を設けている。
【0034】
上記中間プレート10は、所定長さの板状体で一体構成されるものであって、その一端10aは上述のように上記第1ピン21を介して上記後側枢支ブラケット8に枢支され矢印a−b方向に回動自在とされるが、この場合、該中間プレート10は、その一端10a側の外周部に突設した係合突起26が上記後側枢支ブラケット8側の上記ストッパーピン25と係合することで矢印a方向へのそれ以上の回動が規制される(このとき、中間プレート10はやや後傾した姿勢をとる回動位置にあり、以下、この回動位置を「第1回動位置」という)一方、図13に示すように、上記係合突起26Aから矢印a方向に所定角度だけ回動した位置に設けた平坦な係合面26Bに上記ストッパーピン25が係合することで矢印b方向へのそれ以上の回動が規制される(このとき、中間プレート10は前方へ向けて略水平に延出した姿勢にあり、以下、この回動位置を「第2回動位置」という)。
【0035】
一方、上記中間プレート10の他端10b側には第2ピン22が設けられるとともに、該第2ピン22には、上記中間プレート10の他端10bをその両側から挟むようにそれぞれ取り付けられた上記バックブラケット6の一端と円板状のガイドプレート17とが枢支されている。この場合、上記中間プレート10の他端10bの上記第2ピン22の回りには、左右一対のガイド弧状穴51,52が設けられるとともに、端縁側には弧状に切り欠かれ且つその両端をそれぞれ第1端部50a及び第2端部50bとしたガイド部50が設けられている。
【0036】
そして、上記バックブラケット6と上記ガイドプレート17とは、上記各ガイド弧状穴51,52及びガイド部50を貫設して設けたガイドピン27〜29によって一体的に連結固定され、一体として上記第2ピン22を中心として矢印c−d方向に回動自在とされるとともに、上記ガイドピン27,28がそれぞれ上記ガイド弧状穴51,52の端部に、また上記ガイドピン29が上記ガイド部50の第1端部50a又は第2端部50bに当接係合することで矢印c−d方向への最大回動角度が規制されるようになっている。そして、図4に示すように、上記ガイドピン27,28がそれぞれ上記ガイド弧状穴51,52の一端51a,52aに当接係合し、また上記ガイドピン29がガイド部50の第1端部50aに当接係合したとき、上記バックブラケット6は上記中間プレート10と略同軸状に延伸した姿勢にある(以下、このときのバックブラケット6の姿勢及び該バックブラケット6の姿勢に対応した上記シートバック2の姿勢を「起立姿勢」という)。これに対して、図11に示すように、上記ガイドピン27,28がそれぞれ上記ガイド弧状穴51,52の他端51b,52bに当接係合し、また上記ガイドピン29がガイド部50の第2端部50bに当接係合したとき、上記バックブラケット6は上記中間プレート10に対してこれよりも後方へ傾倒した姿勢にある(以下、このときのバックブラケット6の姿勢及び該バックブラケット6の姿勢に対応した上記シートバック2の姿勢を「後傾姿勢」という)。即ち、上記バックブラケット6(即ち、上記シートバック2)は、上記中間プレート10の他端10b側において、上記第2ピン22を中心として、上記「起立姿勢」と「後傾姿勢」の範囲内で傾倒自在とされている。
【0037】
上記バックブラケット6は、これに突設したバネ受けピン39と上記第2ピン22との間に介設した渦巻バネ14のバネ力によって常時矢印d方向(即ち、「起立姿勢」側)に回動付勢されている。
【0038】
また、上記シートバック2の傾倒位置を上記「起立姿勢」と「後傾姿勢」の範囲内の所要位置で固定あるいは固定解除するために、上記バックブラケット6の上記第2ピン22回りの外周部にはセレクトギヤ34が設けられている。
【0039】
上記中間プレート10の上記第1ピン21と第2ピン22の中間位置には、ロックプレート12が第3ピン23によって矢印g−h方向に揺動自在に枢支され、該第3ピン23の揺動によって、図4に示すように上記ロックプレート12に設けたロック爪35が上記バックブラケット6側のセレクトギヤ34に噛合して該バックブラケット6の回動を規制するロック状態と、図7に示すように上記ロックプレート12に設けたロック爪35が上記バックブラケット6側のセレクトギヤ34から噛合離脱して該バックブラケット6の回動を許容するロックオフ状態とを実現するようになっている。
【0040】
さらに、上記ロックプレート12に突設されたガイドピン37は、第4ピン24を介して上記中間プレート10に取り付けられたコントロールプレート11のガイド長穴36に係入している。このコントロールプレート11は、上記第4ピン24と一体化され、該第4ピン24を中心として矢印e−f方向に揺動自在とされ、上記中間プレート10との間に配置した第1バネ31のバネ力によって常時矢印f方向へ回動付勢されるとともに、ベルト取付部38に取り付けられる操作部材30の引張操作によって上記第1バネ31のバネ力に抗して矢印e方向に回動可能とされている。そして、上記ガイド長穴36は、上記コントロールプレート11が矢印f方向へ回動されたとき(図4の状態)には上記ロックプレート12をロック状態とし、上記コントロールプレート11が矢印e方向へ回動されたとき(図7の状態)には上記ロックプレート12をロックオフ状態とするようにその形状が設定されている。
【0041】
また、上記第4ピン24には、上記コントロールプレート11と一体をなすようにしてロックカム13が設けられており、該ロックカム13は図4に示すように上記ロックプレート12がロック状態とされたとき、該ロックプレート12と係合して該ロックプレート12のロックオフ方向への回動(矢印g方向への回動)を規制するように作用する。
【0042】
一方、上記中間プレート10の背面側(上記ガイドプレート17が取り付けられた側)には、図5及び図6に示すように、揺動レバー15及び規制プレート16を、上記第4ピン24(上記コントロールプレート11が枢支されたピン)に枢支している。
【0043】
上記揺動レバー15は、その一端15aを上記第4ピン24に枢支せしめるとともに、その他端15bには操作ケーブル18のインナーケーブル18Aを連結している。尚、このインナーケーブル18Aは、アウターケーブル18Bに挿通され、その他端は上述のように(図1〜図3参照)上記シートバック2の上端背面に取り付けられた上記操作ノブ19に連結されており、該操作ノブ19の引張操作によって上記インナーケーブル18Aは上記揺動レバー15を矢印e方向へ回動させるように作用する。また、上記アウターケーブル18Bの一端は、上記中間プレート10の他端10b側に固定されている。
【0044】
ここで、上記揺動レバー15と上記第4ピン24との係合関係を説明する。上記第4ピン24には、上記中間プレート10の表面側に配置した上記コントロールプレート11が固着され該第4ピン24の回動変位がそのまま上記コントロールプレート11の回動変位となるが、この第4ピン24と上記揺動レバー15とは回動方向に所定の遊び範囲をもって枢支されている。具体的には、上記第4ピン24側から上記揺動レバー15側に回転伝達が行われる場合、即ち、上述のように、上記操作部材30を引張して上記コントロールプレート11を矢印e方向へ回動させて上記ロックプレート12をロックオフ状態とするとき、このコントロールプレート11の回動と一体的に上記第4ピン24が矢印e方向へ回動するときには、この回動範囲においては該第4ピン24と上記揺動レバー15とが非係合とされ、該回動範囲を越えた領域では上記第4ピン24と揺動レバー15とが係合し該第4ピン24によって上記揺動レバー15が回動される。これに対して、上記揺動レバー15側から上記第4ピン24側へ回転伝達が行われる場合、即ち、上記インナーケーブル18Aが引張され上記揺動レバー15が矢印e方向へ回動される場合には、その回動初期から該揺動レバー15と第4ピン24とが係合し、これら両者が一体的に矢印e方向へ回動するようにしている。
【0045】
また、上記第4ピン24には、上記規制プレート16が相対回転自在に枢支されている。そして、この規制プレート16は、上記中間プレート10との間に配置した第2バネ32のバネ力によって矢印f方向へ回動して該規制プレート16に設けた嵌合突起42が上記後側枢支ブラケット8に設けた上記嵌合凹部41に嵌入してこれら両者の相対回動を規制するように常時付勢されている。さらに、この規制プレート16は、上記揺動レバー15との間に配置した第3バネ33のバネ力によって常時矢印e方向へ回動付勢されている。従って、例えば図6の状態から上記インナーケーブル18Aが引張され上記揺動レバー15が矢印e方向へ回動されると、この揺動レバー15の回動変位が上記第3バネ33を介すして上記規制プレート16に伝達され、該規制プレート16は上記第2バネ32のバネ力に抗して矢印e方向へ回動して上記嵌合突起42を上記嵌合凹部41から離脱させるように作用する。
【0046】
さらに、上記規制プレート16の上記嵌合突起42の反対側の側円には係合突起43が設けられている。この係合突起43は、上記規制プレート16が矢印e方向に回動して上記嵌合突起42が上記嵌合凹部41から離脱する時期(即ち、上記中間プレート10の回動許容時期)を制御するためのものであって、かかる制御を実現するために上記ガイドプレート17の上記第1ピン21寄りの外周面には円弧状の外周面部47と該外周面部47から上方(上記第2ピン22寄り)へ凹入する切欠状の係合凹部44とを形成している。尚、上記係合突起43は、上記バックブラケット6(即ち、上記シートバック2)が「後傾姿勢」から「起立姿勢」の直前位置までの間においては上記外周面部47に対応し、上記バックブラケット6が「起立姿勢」に達した時点において上記係合凹部44に対応するように、該係合凹部44との相対関係が設定されている。
【0047】
従って、図12に示すように上記規制プレート16の上記係合突起43が上記ガイドプレート17の外周面部47に対応している状態ではこれら両者が当接係合することで上記規制プレート16の矢印e方向への回動、即ち、上記嵌合突起42の上記嵌合凹部41からの離脱が阻止される(即ち、上記中間プレート10の「第1回動位置」での位置固定が行われる)一方、図14に示すように上記規制プレート16の上記係合突起43が上記ガイドプレート17の係合凹部44に対応した状態では該係合突起43が上記係合凹部44内に進入することで上記規制プレート16の矢印e方向への回動、即ち、上記嵌合突起42の上記嵌合凹部41からの離脱が許容される(即ち、上記中間プレート10の「第1回動位置」から「第2回動位置」への回動が許容される)ようになっている。
【0048】
以上が上記シートクッション1とシートバック2の連結部分の具体的な構造等である。
【0049】
尚、この実施形態においては、上記バックブラケット6に設けたセレクトギヤ34と上記ロックプレート12及び上記コントロールプレート11によって特許請求の範囲中の「リクライニング手段X」が構成され、上記後側枢支ブラケット8の嵌合凹部41と上記規制プレート16の嵌合突起42と上記規制プレート16の係合突起43と上記ガイドプレート17の係合凹部44及び外周面部47によって特許請求の範囲中の「回動規制手段Y」が構成され、
上記揺動レバー15と上記ガイドプレート17と上記第4ピン24及び上記コントロールプレート11によって特許請求の範囲中の「連動手段R」が構成され、さらに上記操作ノブ19と上記操作ケーブル18によって特許請求の範囲中の「倒伏操作手段Q」が構成されている。
【0050】
続いて、上記の如き構成を備えたシート装置の作動を、「シートバック2の起立姿勢設定時の作動」と、「シートバック2の起立姿勢から前倒姿勢への倒伏操作時の作動」と、「シートバック2の後傾姿勢から前倒姿勢への倒伏操作時の作動」と、「シートバック2の前倒姿勢からの引き起こし時の作動」をそれぞれ説明する。
【0051】
(I) シートバック2の「起立姿勢」設定時(図1,図4及び図6参照)
上記シートバック2が「起立姿勢」に設定された状態においては、図6に示すように、上記操作ケーブル18のインナーケーブル18Aの引張操作がなされておらず、従って、上記中間プレート10はその嵌合突起42が上記後側枢支ブラケット8の嵌合凹部41に嵌入することで「第1回動位置」に固定保持されている。この場合、上記規制プレート16の係合突起43は、該規制プレート16の矢印e方向への回動によって上記ガイドプレート17の係合凹部44に嵌入して上記嵌合突起42の上記嵌合凹部41からの離脱を許容し得るような状態にあるが、上記インナーケーブル18Aが引張操作されない限り、上記嵌合突起42の上記嵌合凹部41への嵌入状態(即ち、固定状態)は保持される。
【0052】
一方、このシートバック2の「起立姿勢」では、図4に示すように、上記バックブラケット6は上記シートバック2と一体に「起立姿勢」に設定されており、該バックブラケット6の姿勢保持は、上記コントロールプレート11が上記第1バネ31のバネ力によって矢印f方向に回動付勢され、これを受けて上記ロックプレート12が矢印h方向に回動し、そのロック爪35が上記バックブラケット6側のセレクトギヤ34に噛合し、さらにこのロックプレート12の矢印g方向への回動が上記ロックカム13によって規制されることで、保持されている。
【0053】
このシートバック2の「起立姿勢」においては、該シートバック2を適宜起倒調整することができる。即ち、図4に示すように、上記操作部材30を引張すると、上記コントロールプレート11が矢印e方向へ回動され該コントロールプレート11のガイド長穴36と上記ロックプレート12に設けた上記ガイドピン37とのガイド作用によって該ロックプレート12は上記第1バネ31のバネ力に抗して矢印g方向へ回動され、そのロック状態が解除される。この場合、上記コントロールプレート11の回動に伴って上記第4ピン24が矢印e方向に回動しても、該第4ピン24と上記揺動レバー15との非係合状態は保持されるので、上記シートクッション1はそのまま「第1回動位置」に固定保持される。
【0054】
従って、上記ロックプレート12をロックオフ状態とした後は、上記シートバック2を手動にて矢印c−d方向に回動させることでその姿勢を上記「起立姿勢」と「後傾姿勢」の範囲内の任意姿勢に設定することができる。姿勢設定後、上記操作部材30の引張操作を解除することで、上記第1バネ31のバネ力を受けて上記ロックプレート12がロック状態に復帰し、当該姿勢が固定保持される。
【0055】
即ち、上記シートバック2の傾倒操作は、上記操作ノブ19の操作(即ち、シートバック2の倒伏操作)とは別個独立に行い得るようになっている。
【0056】
(II) シートバック2の起立姿勢から前倒姿勢への倒伏操作時の作動
上記シートバック2を「起立姿勢」から「前倒姿勢」まで倒伏操作する場合には、図4及び図6に示すように上記シートバック2を「起立姿勢」に姿勢保持した状態から、上記操作ノブ19を引張操作する。
【0057】
すると、先ず、図8に示すように、上記操作ノブ19の引張によって上記インナーケーブル18Aが引かれることで、上記揺動レバー15が矢印e方向に回動し、上記第3バネ33のバネ力を介して上記規制プレート16が上記第2バネ32のバネ力に抗して矢印e方向へ回動される。この場合、上記規制プレート16は、これが矢印e方向へ回動されることで上記係合突起43が上記ガイドプレート17の上記係合凹部44に進入し、該規制プレート16の嵌合突起42が上記後側枢支ブラケット8の嵌合凹部41から離脱する。これによって、上記中間プレート10の「第1回動位置」から「第2回動位置」側への回動が許容されることになる。
【0058】
一方、上記揺動レバー15の回動に伴って上記第4ピン24が矢印e方向へ回動することで、図7に示すように、該第4ピン24に固着された上記規制プレート16もこれと一体に矢印e方向に回動し、該規制プレート16のガイド長穴36とこれに係入する上記ロックプレート12のガイドピン37とのガイド作用によって該ロックプレート12は矢印g方向へ回動され、そのロック爪35が上記バックブラケット6のセレクトギヤ34から離脱し、該ロックプレート12によるロック状態が解除される。この状態では、上記ロックプレート12による上記シートバック2の傾倒規制は解除されているものの、上記各ガイドピン27,28がそれぞれ上記ガイド弧状穴51,52の一端部51a,52aに当接し、また上記ガイドピン29が上記ガイド部50の第1端部50aに当接していることで、上記シートバック2を上記第2ピン22を中心として「起立姿勢」からさらに矢印d方向へ回動することが規制されている(即ち、上記シートバック2を矢印d方向へ回動させるについては、上記中間プレート10と上記バックブラケット6とが一体化状態にある)。
【0059】
従って、この状態で、上記シートバック2にこれを矢印d方向へ回動させる操作力を加えると、該シートバック2は上記第2ピン22を中心とするのではなく、上記第1ピン21を中心として上記中間プレート10と一体的に矢印d方向(上記中間プレート10では矢印b方向)に回動され、最終的には、図13及び図14に示す「前倒姿勢」に設定されることになる。
【0060】
この場合、操作ノブ19の引張操作は、上記操作ノブ19の配置位置が上記シートバック2の背面上部に設けられ該シートバック2を回動操作する場合に人が手を掛け易い位置に設定されているので、上記シートバック2が「起立姿勢」から「前倒姿勢」に設定されるまでの間操作し続けることを基本操作形態とする。しかし、かかる操作形態に限られるものではなく、例えば、上記操作ノブ19の引張操作によって上記規制プレート16の嵌合突起42を上記後側枢支ブラケット8の嵌合凹部41から離脱させ且つ上記シートバック2を矢印d方向へ適宜回動させて該嵌合突起42を上記嵌合凹部41から外れて上記ガイド面45側に対応させた時点(即ち、上記操作ノブ19の引張操作を解除しても上記嵌合突起42が上記嵌合凹部41に再嵌合する虞れがなくなった時点)で該操作ノブ19の引張操作を解除するような操作形態をとることも可能であり、これら何れの操作形態をとるかは操作者に委ねられる。
【0061】
尚、このように上記シートバック2を「前倒姿勢」に設定した状態では、上記シートクッション1側の上記クッションブラケット5が上記第2ピン22に枢支されていることから、図3に示すように上記シートクッション1もシート前方斜め下方へ移動し、このシートクッション1上に折り重ね状態で載置される上記シートバック2の高さが低く抑えられ、その使用上の利便性が向上することは既述の通りである。
【0062】
(III) シートバック2の後傾姿勢から前倒姿勢への倒伏操作時の作動
図11及び図12には、上記シートバック2を「前倒姿勢」に設定した状態において、これを倒伏させるべく上記操作ノブ19を引張した状態を示している。この状態では、図12に示すように、上記インナーケーブル18Aの引張によって上記揺動レバー15が矢印e方向に回動し、上記第3バネ33を介して上記規制プレート16にも矢印e方向への回転力が付与される。しかし、この状態では、上記規制プレート16の係合突起43が上記ガイドプレート17の外周面部47に当接し、それ以上に矢印e方向へ回動するのが規制されているので、上記規制プレート16の上記嵌合突起42は依然として上記後側枢支ブラケット8の上記嵌合凹部41に嵌入したままとなり、これによって上記中間プレート10の「第1回動位置」での位置固定が実現されている。
【0063】
一方、上述のように、上記インナーケーブル18Aの引張によって上記揺動レバー15が矢印e方向に回動されることで、これに追従して上記第4ピン24も矢印e方向へ回動しているため、図11に示すように、該第4ピン24に固着された上記コントロールプレート11及びロックカム13が共に矢印e方向に回動する。この結果、上記ロックカム13による上記ロックプレート12に対する回動規制作用が解除され、上記ロックプレート12は、上記コントロールプレート11の上記ガイド長穴36と上記ロックプレート12の上記ガイドピン37とのガイド作用によって矢印g方向へ回動され、そのロック爪35が上記バックブラケット6側の上記セレクトギヤ34から噛合離脱してロックオフ状態とされる。
【0064】
従って、上記シートバック2に対してこれを「後傾姿勢」から「起立姿勢」側に引き起こす方向の操作力を加えると、上記バックブラケット6が上記第2ピン22を中心として矢印d方向へ回動され、該シートバック2の引き起こし操作が実現される。
【0065】
そして、このような上記第2ピン22回りにおける上記バックブラケット6(即ち、シートバック2)の回動は、上記ガイドピン27,28がそれぞれ上記ガイド弧状穴51,52の他端51b,52bに当接し、また上記ガイドピン29が上記ガイド部50の第2端部50bに当接する時点まで継続され、これらが全て当接した時点で停止され、この時点で、上記バックブラケット6と上記中間プレート10とが上記シートバック2の倒伏方向(即ち、上記中間プレート10の矢印b方向)において一体化される。
【0066】
従って、この状態で、上記シートバック2に対する操作力が引き続き加えられることで、上記中間プレート10は、上記バックブラケット6と一体的に上記第1ピン21を中心として矢印b方向へ回動され、最終的には図13に示すように、上記バックブラケット6と共にシート前方側へ略水平に延出する「第2回動位置」に位置決めされ、上記シートバック2の「前倒姿勢」への姿勢設定が完了する(図3参照)。尚、この場合、上記操作ノブ19に対する引張操作については、上記シートバック2が「後傾姿勢」から「前倒姿勢」に設定されるまで引張操作を維持する操作形態と、上記シートバック2が「起立姿勢」を越え該操作ノブ19の引張操作を解除しても上記嵌合突起42が上記嵌合凹部41に再嵌合する虞れがなくなった時点まで維持したのち引張操作を解除する操作形態とを任意に選択することができる。これら何れの操作形態であっても、上記操作ノブ19に対する操作は一回のみで良いことから、その操作性は極めて良好である。
【0067】
(IV) シートバック2の「前倒姿勢」からの引き起こし時の作動
上記シートバック2の「前倒姿勢」への姿勢設定が完了した時点(図14に示す状態)において上記操作ノブ19に対する操作力を解除すると、上記揺動レバー15に対する引張作用が解除されるので該揺動レバー15は上記第3バネ33のバネ力によって矢印f方向へ復帰回動し、上記規制プレート16の係合突起43が上記ガイドプレート17の係合凹部44から離脱するとともに、上記規制プレート16の嵌合突起42は上記後側枢支ブラケット8のガイド面45に当接する。従って、上記後側枢支ブラケット8と中間プレート10とは相対回動自在な状態となっている。
【0068】
一方、上述のように、上記操作ノブ19の操作力解除に伴って上記第4ピン24が矢印f方向へ回動すると、図13において、上記第4ピン24の回動と一体的に上記コントロールプレート11が矢印f方向へ回動し、これを受けて上記ロックプレート12が矢印h方向へ回動することで該ロックプレート12によるロック状態が実現され、「前倒姿勢」において上記シートバック2が上下方向にがたつくのが防止される。
【0069】
このような「前倒姿勢」での上記シートバック2の使用時状態において、該シートバック2を「前倒姿勢」から「起立姿勢」側に引き起こす場合には、上記操作ノブ19を操作することなく、単に、上記シートバック2に対してこれを引き上げる方向の操作力(即ち、上記中間プレート10を矢印a方向に回動させる方向の操作力)を掛ければ良い。
【0070】
すると、既に上記ロックプレート12のロック作用によって上記バックブラケット6は上記中間プレート10に対して「起立姿勢」のまま固定されているので、上記シートバック2(即ち、上記バックブラケット6)に対してこれを引き上げる方向の操作力が加えられると、上記中間プレート10は上記バックブラケット6と一体化状態のまま上記第1ピン21を中心として矢印a方向に回動し、上記シートバック2の引き上げが実現される。
【0071】
この場合、上述のように、上記規制プレート16の嵌合突起42は上記後側枢支ブラケット8のガイド面45に当接し且つ上記中間プレート10の回動に伴って該ガイド面45上を上記嵌合凹部41側に向かって摺動する。そして、上記中間プレート10が「第1回動位置」に位置した時点において、図6に示すように上記規制プレート16の嵌合突起42が上記後側枢支ブラケット8の嵌合凹部41に嵌入し、該中間プレート10は「第1回動位置」に固定される。
【0072】
従って、この後は、図4において、上記操作部材30を引張して上記コントロールプレート11を矢印e方向へ回動させて上記ロックプレート12のロック状態を解除し、上記シートバック2を後方へ傾倒させることで、図11に示すようにシートバック2を「後傾姿勢」に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る車両用シート装置の「起立姿勢」における側面図である。
【図2】本願発明に係る車両用シート装置の「後傾姿勢」における側面図である。
【図3】本願発明に係る車両用シート装置の「前倒姿勢」における側面図である。
【図4】「起立姿勢」におけるシートクッションとシートバックとの連結部分の構造を示す側面図である。
【図5】図4のV−V矢視図である。
【図6】図5のVI−VI矢視図である。
【図7】「起立姿勢」におけるリクライニング手段のロック解除状態を示す側面図である。
【図8】図7の背面図(図6に対応する)である。
【図9】「後傾姿勢」から「起立姿勢」への姿勢変更時における「起立姿勢」直前の状態を示す正面図である。
【図10】図9の背面図(図6に対応する)である。
【図11】「後傾姿勢」におけるリクライニング手段のロック解除状態を示す側面図である。
【図12】図11の背面図(図6に対応する)である。
【図13】「前倒姿勢」におけるシートクッションとシートバックとの連結部分の構造を示す正面図である。
【図14】図13の背面図(図6に対応する)である。
【符号の説明】
1はシートクッション、2はシートバック、3はクッションフレーム、4はバックフレーム、5はクッションブラケット、6はバックブラケット、7は前側枢支ブラケット、8は後側枢支ブラケット、9はリンク、10は中間プレート、11はコントロールプレート、12はロックプレート、13はロックカム、14は渦巻バネ、15は揺動レバー、16は規制プレート、17はガイドプレート、18は操作ケーブル、19は操作ノブ、20は固定具、21は第1ピン、22は第2ピン、23は第3ピン、24は第4ピン、25はストッパーピン、26Aは係合突起、26Bは係合面、27〜29はガイドピン、30は操作部材、31は第1バネ、32は第2バネ、33は第3バネ、34はセレクトギヤ、35はロック爪、36はガイド長穴、37はガイドピン、38はベルト取付部、39はバネ受けピン、41は嵌合凹部、42は嵌合突起、43は係合突起、44は係合凹部、47は外周面部、50はガイド部、51及び52はガイド弧状穴、Gは車体床面、Qは倒伏操作手段、Rは連動手段、Xはリクライニング手段、Yは回動規制手段である。
Claims (4)
- シートバック(2)を、起立した「起立姿勢」と後方へ傾倒した「後傾姿勢」との間で起倒可能とするとともに、上記「起立姿勢」からさらにシート前方側へ倒伏してシートクッション(1)上に重なる「前倒姿勢」に姿勢設定可能とした車両用シート装置であって、
一端(10a)が第1ピン(21)により車体床面(G)側の枢支ブラケット(8)に枢支されるとともに他端(10b)が第2ピン(22)により上記シートバック(2)に設けたバックブラケット(6)に枢支され、上記枢支ブラケット(8)から上方へ立ち上がる「第1回動位置」と該枢支ブラケット(8)からシート前方側へ倒伏する「第2回動位置」との間で位置変更可能とされた中間プレート(10)と、
上記シートバック(2)を上記第2ピン(22)回りにおいて上記「起立姿勢」と「後傾姿勢」との間で起倒調整を可能とし且つ所定姿勢での姿勢固定及び固定解除を行うリクライニング手段(X)と、
上記中間プレート(10)の上記「第1回動位置」での位置固定と固定解除とを行う回動規制手段(Y)と、
上記シートバック(2)の倒伏操作を行う倒伏操作手段(Q)と、
上記倒伏操作手段(Q)の操作を受けて、上記リクライニング手段(X)の固定解除と上記回動規制手段(Y)の固定解除とを順次連動して行う連動手段(R)とを備えたことを特徴とする車両用シート装置。 - 請求項1において、
上記リクライニング手段(X)は、上記バックブラケット(6)に設けたセレクトギヤ(34)とロックプレート(12)のロック爪(35)との噛合によって上記シートバック(2)の起倒位置を保持するとともに噛合解除によって起倒調整を可能とする構成であって、その噛合解除操作が、上記倒伏操作手段(Q)と、該倒伏操作手段(Q)とは別個に設けた操作部材(30)とで選択的に行われるように構成されていることを特徴とする車両用シート装置。 - 請求項1において、
上記回動規制手段(Y)は、上記倒伏操作手段(Q)の非操作時には上記中間プレート(10)を上記「第1回動位置」で固定する一方、該倒伏操作手段(Q)の操作時には上記シートバック(2)が上記「後傾姿勢」側から上記「前傾姿勢」に達した時点で上記中間プレート(10)の上記「第1回動位置」での固定を解除して上記「第2回動位置」側への回動を許容する構成であることを特徴とする車両用シート装置。 - 請求項1,2又は3において、
上記シートクッション(1)は、その前端部(1a)がリンク(9)によってシート前後方向に回動自在とされるとともに、その後端部(1b)に設けたクッションブラケット(5)が上記第2ピン(22)に枢支されていることを特徴とする車両用シート装置。
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