JPH08238927A - 曇り防止のために自動車用ｈｖａｃシステムを制御する方法および制御システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動車用窓ガラスの曇りを防止する。 【解決手段】 曇りを防止するためにファジー論理を使
用した自動車用ＨＶＡＣ（加熱、換気および空調）シス
テムを制御する方法および制御システム。この制御シス
テムは湿度センサを含む種々の気候制御センサによって
発生する信号に応答し、所望の車輛空気温度および空気
流を発生して前面ガラスの初期曇り発生条件を検出しそ
してそれを避ける。非線形補正を行うため、ファジー論
理および構成員機能に基づくファジー論理計算が実行さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は自動ＨＶＡＣシステ
ムを制御する方法および制御システム、特に曇りの発生
を防止する自動ＨＶＡＣシステムの制御方法およびシス
テムに関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車用加熱、換気および空調（Ｈｅａ
ｔｉｎｇ， Ｖｅｎｔｉｌａｔｉｎｇａｎｄ Ａｉｒ
Ｃｏｎｄｉｔｉｏｎｉｎｇ ：以下ＨＶＡＣ）システム
の基本的目標は前面ガラスの曇り条件を検出しそれを防
止することである。曇りに影響する多くの変数を測定し
制御する試みにおいて、最近の自動車用ＨＶＡＣシステ
ムは多くのセンサおよび制御アクチュエータを有してい
る。典型的なシステムは、車室内の温度センサ、車外の
雰囲気温度を測定するセンサおよびシステム内部の動き
に関する種々の温度を測定するセンサを有している。乗
客は、設定またはその他の調節を行うことによって、或
る程度システムに入力することが出来る。さらに、日射
負荷、湿度等を測定するセンサもシステムに付加でき
る。一連のアクチュエータは、可変速度送風機、空気温
度を変える或る手段、空気流の方向および外気導入と内
気循環との比率を制御するダクトおよび扉を含んでい
る。

【０００３】可能な条件の範囲を分類し、前面ガラスの
曇り発生条件を検出および回避するために何が必要か決
定し、そして利用可能な一連のアクチュエータの制御を
統制することは制御器に依存する。この多重入力、多重
出力制御の問題は、従来の伝統的な制御理論の分野のい
ずれにも入らない。乗客の快適性および車輛の経済性と
言ったものの考慮も考えられる。システム変数と所望の
性能間の相関性と共にシステムの防止の応答性も線形で
はないかもしれない。また、制御のために利用できる全
てのアクチュエータと変数をしても曇りの発生を防止で
きない条件が存在してしまう、と言うことに注意するこ
とが重要である。

【０００４】サイズ、エネルギー消費、コストおよび自
動車にかかる広い条件範囲を実際に考えると、このシス
テムは必要なものを簡単には供給できない。これら全て
を考えると、伝統的制御理論において通常遭遇するもの
からはかけ離れた制御の問題に到達する。

【０００５】ファジー論理は、ある程度の不確かさ、ま
たは曖昧さを含む知識を取り扱う測定学である。ファジ
ー論理の基礎は１９６０年代にエル、エー、ゼダー
（Ｌ．Ａ．Ｚａｄｅｈ）の文献『ファジー集合』（”Ｆ
ｕｚｚｙ Ｓｅｔｓ”）、ＩＮＦＯＲＭ．ＣＯＮＴ
Ｒ．，８，３３８−３５３ページ、１９６５によって設
定された。

【０００６】現在の技術的適用においては、エブラハム
マムダニ（ＥｂｒａｈｉｍＭａｍｄａｎｉ）の著作に
よる『言語合成を用いたファジー論理の近似推論への適
用』（”Ａｐｐｌｉｃａｔｉｏｎ ｏｆ Ｆｕｚｚｙ
Ｌｏｇｉｃ ｔｏＡｐｐｒｏｘｉｍａｔｅ Ｒｅａｓｏ
ｎｉｎｇ”）ＩＥＥＥ ＴＲＡＮＳＡＣーＴＩＯＮＳ
ＯＮ ＣＯＭＰＵＴＥＲＳ、（１９７７）Ｃ−２６Ｎｏ
１２，ｐｐ．１１８２−１１９１に記載されたような
『最大−最小』ファジー推論と呼ばれる特定な方法をし
たファジー論理が最も頻繁に制御問題において見られ
る。この方法は、異なる環境に対して適正な制御応答を
与えるための近似的な知識を、特定制御動作を計算する
ための規則の集合中に組み入れている。この規則は『も
し（ＩＦ）（条件設定）、そのときは（ＴＨＥＮ）（結
果としての制御動作）』として表現される。結果として
の特定動作の程度は、その対応する条件設定の程度に依
存する。状態または結果としての制御動作は、特定のメ
ンバーシップ関数を介して一定の計算に翻訳される。構
成員的機能は、そのクラス内のメンバーシップ関数を温
度の入力変数の値に従って『高い』と定義することによ
り、『温度が高い』というような表現による意味を数量
化する。

【０００７】米国特許４，８５２，３６３は自動車用空
調湿度制御システムを開示している。このシステムは車
輛内の湿度を制御するために車輛速度を含む多くの変数
を測定している。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、自然
にその構成と構造の結果となる不正確性を取り扱うこと
が出来ることによって、従来の方法および制御に比べて
改良された前面ガラスの曇り条件の検出および回避を行
うために自動ＨＶＡＣシステムを制御する非線形的方法
および制御システムを提供することに関する。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の上記および他の
目的を達成するために、車室内の窓ガラスの曇りを防止
するために車輛の乗客車室に空気流を流す車輛用加熱、
換気および空調（ＨＶＡＣ）システムを自動的に制御す
る方法が提供される。このシステムは、可変速度送風
機、空気温度を変える装置、ダクト、空気流の方向およ
び外部空気（フレッシュ）と内部循環空気の比率を制御
するための種々の制御位置を有するアクチュエータ、車
室内の相対湿度を検知する湿度センサ、車室内温度およ
び雰囲気温度を検知する温度センサ、および調整可能な
温度設定点を包含する。この方法は、車室内温度および
雰囲気温度に基づく曇り条件境界を決定する段階を含ん
でいる。この方法はさらに相対湿度と曇り条件境界との
相違を決定し、この相違に基づく曇り発生可能度を決定
し、そして曇り発生可能度と送風機速度間および曇り発
生可能度とアクチュエータの第１の組の制御位置間に構
成員機能およびファジー規則を定義する段階を包含す
る。さらにこの方法は、システムが曇り発生可能度、構
成員機能およびファジー規則に基づき所望の温度および
流れを有する車室内に空気を放出するように、アクチュ
エータの第１の組の位置および送風機の速度を制御する
ための制御信号を発生する段階を包含する。

【００１０】さらに、本発明の上記および他の目的を達
成するために、上記方法の各段階を実行するシステムが
提供される。

【００１１】

【発明の実施の形態】本発明の上記および他の目的、特
徴および利点は、付随の図に関連する以下の本発明の最
良の実施例の詳細な説明から容易に明らかである。

【００１２】一般的に、自動車内の空気温度および空気
流（そして、しばしば湿度）の制御は、車両の車室内に
供給される空気の温度および流れに影響を与える種々の
アクチュエータを使用することによって達成される。図
１は、全般的に２０で示されるＨＶＡＣ（加熱、換気お
よび空調）システムの空気取り扱いシステムを概略的に
示す。システム２０はパネル−デフロスト（除霜）、床
−パネル、温度混合および外気内気循環空気用アクチュ
エータすなわち扉２２、２４、２６および２８のそれぞ
れを有している。扉２２および２４は好ましくは真空モ
ータ（図示せず）により、図１に示すように従来の方法
で、種々の真空度、部分的真空度、真空ではない場合に
対応する各々の位置の間で駆動される。扉２６はまた従
来の方法で電気的サーボモータにより駆動される。扉２
８もまたその位置が連続的に変わるように電気的サーボ
モータにより駆動される。また、システム２０は送風羽
根３２を含む可変速度送風機３０を含んでいる。

【００１３】またこのシステムは、典型的な車輛空調装
置のヒータコア３４および蒸発器コア３６のような加熱
および冷却要素を含んでいる。温度、空気流の方向およ
びフレッシュな空気と再循環の空気の割合を制御するた
め、上記コンポーネントの各々はダクト３８を介して連
結されている。車室内の温度および空気流を自動的に制
御するために、車室内外の条件がセンサによって監視さ
れ、電子的制御器が、センサによって指摘された条件に
従って、空調装置のアクチュエータを制御するための信
号を発生する。蒸発器の温度は、システムがその周りを
流れる空気を除湿するように従来の自動的な方法で制御
される。

【００１４】図２に示すように、ＨＶＡＣシステムの典
型的なセンサは、車内温度、雰囲気空気（外気）温度、
エンジン冷却剤温度（ＥＣＴ）、吹き出し空気温度、湿
度および日射負荷を表す信号を提供する。さらに、運転
者によって手動で設定される所望の温度を指示する設定
信号すなわち設定温度が存在する。また、車内設定温度
（車内温度−設定温度）信号および設定値７５（設定温
度−７５度Ｆ）信号が発生または計算される。

【００１５】これらの信号は、条件回路４２によって条
件づけられた後に、入力として電子制御器４０に送られ
る。制御器４０はこの入力信号をスケーリングし、そし
てスケーリングした出力信号をハードウヱア制御器４４
に与え、そこで温度および空気流を調整するために扉２
２乃至２８および送風機３２を制御し、そして最終的
に、乗客室内の窓ガラスの曇りを防止する。混合扉位置
が逆矢印で示すようにフィードバックされる。

【００１６】図２のファジー論理システムのブロック図
において、センサ入力は条件づけされ、スケールされ、
そして制御器４０のファジー推論機構に送られる。送風
機速度、オフセット、目標設定点、モード移行、循環／
外気導入（フレッシュ）比、期間校正等の種々の制御機
能に対する規則集合４６が、実施されるべき方法の詳細
を推論機構に与える。ファジー出力がスケールされそし
てルーチンに送られて、送風機、アクチュエータおよび
扉を制御し、乗客室に供給される空気の流れおよび空調
を達成する。規則集合に基づく制御法は、制御動作の校
正と調整を容易にするような方法を実現する。

【００１７】ファジー論理雰囲気制御器４０は、好まし
くはその計算にモトローラのマイクロプロセッサ６８Ｈ
Ｃ１１を使用する。このマイクロプロセッサは５１２バ
イトのＲＡＭと１２キロバイトのＲＯＭを備えている。
それは５００ナノセカンドの指令サイクルタイムを与え
る８メガヘルツのクロックを使用している。８チャンネ
ルのアナログ−デジタル変換器がこのマイクロプロセッ
サに内蔵されている。８つの内の５つのチャンネルが、
制御システムすなわち：大気（外気）温度、エンジン冷
却剤温度、車室内温度、相対湿度および日射負荷に使用
される入力を測定するために使用される。システムへ向
かうもう１つの入力は、乗客が制御ユニットの前面にあ
るボタンを使用することによって調整できる設定温度で
ある。システムの出力は：吹き出し空気モード、取り込
み空気比（フレッシュ空気／循環空気）混合扉位置およ
び送風機速度である。最後の３つの出力は連続値であ
り、前者は不連続である。ファジー論理制御計算はスケ
ールした入力値を受け、そして単一の相対出力値を発生
する。

【００１８】制御器４０は好ましくは最初Ｃでプログラ
ムされ、そしてマイクロプロセッサ指令にクロスコンパ
イルされる。各ファジー規則集合は、実行時間の間に効
果的計算を行わせる形式に予め変換された１組の表とし
てファジーエンジン中に組み入れられている。３０ミリ
秒毎に実行されるファジー論理制御の方法は、主ループ
の一部と呼ばれる。ファジー論理エンジンはその実行時
におおよそ６００バイトのＲＯＭを占有し、そして１２
バイトのＲＡＭを使用する。ファジー計算の実行時間は
典型的には２０ミリ秒である。

【００１９】本発明の方法およびシステムは、制御器４
０により適切に利用される、湿度センサと情報処理の組
み合わせを含んでいる。センサからの湿度情報は、制御
器４０に既に取り込まれた情報（車室内温度、雰囲気温
度、送風機速度その他）と組合わされて、前面ガラスに
曇りが発生する可能性の程度を計算する。

【００２０】図３は車室内温度および車室内湿度の関数
である特定大気温度（３０°Ｆ）に対する初期曇りの境
界を示す。白丸は最悪の条件としての曇りを示し、黒丸
は曇り無しを示す。境界線の下は、前面ガラスに曇りが
発生せず、境界線（太線）の直上は、最悪の場合（空気
の流れがないような）に、曇りが発生し、境界線のかな
り上では、空気流の早い前面ガラスの部分を除き曇りが
発生する。

【００２１】図４は種々の大気温度に対する多くの境界
線を示す。図８は、車室内温度、湿度および雰囲気温度
の入力を用いて、どこに曇りが発生するかを示す３次元
グラフである。図８において、示された体積内のいずれ
もが高い曇り発生の可能性を表している。

【００２２】湿度情報の利用価値が与えられると、境界
のマッピングが多数の計算のいずれかによって達成され
る。ファジー論理はそのような方法の１つである。図５
は、４０度Ｆの一定大気温度における車室内温度と車室
内湿度を入力として使用した曇り発生可能度のファジー
マッピングを示す。

【００２３】初期曇り境界は関連変数の関数として明記
でき、

【数１】ＢＤ Ｈｕｍ＝ｆｎ（車室内，雰囲気） 例えば、簡単なそのような関数は、

【数２】 測定した車室内湿度と初期曇り湿度間の相違はファジー
マッピングの入力変数として使用される。

【数３】 この変数は、以下のようなそして図６ａおよび図６ｂに
図示するような図５の境界の鋭さを限定するために規則
メンバーシップ関数の簡単な組と共に使用されてもよ
い。 規則 １：もし湿度−ＢＤ＿Ｈｕｍが高いなら、曇り発
生可能度は高い 規則 ２：もし湿度−ＢＤ＿Ｈｕｍが低いなら、曇り発
生可能度は低い

【００２４】初期曇り条件の検出可能性が与えられる
と、これらの条件を避ける方法を宣言することが適切で
ある。１つの方法は、曇り条件が絶対に起こらないよう
に、全てを含んだ方法指令に組み入れることである。曇
りを絶対排除する方法は或る絶対的な信頼を有する。ま
ず、曇り条件が絶対発生しないことを確実にするために
は、その方法は快適性や経済性といった他の重要な考慮
点を犠牲にする。従って、曇り防止手段は、好ましく
は、曇りが発生するかも知れないこのような限られた条
件においてのみ実施される。次に、自動車空調制御が遭
遇するあらゆる状況において完璧に制御することは不可
能である。制御下に置けない変数が多過ぎる。何時曇り
条件に係わっているかを常に決定することはできない。

【００２５】曇り防止法は完全な標準ファジー法であっ
て、以下の規則が付加されている。 もし湿度が高いなら、内気循環は弱い もし湿度が高いなら、送風機は中間である もし曇り発生可能度が高いなら、内気循環はゼロである もし曇り発生可能度が高いなら、送風機は強い もし曇り発生可能度が高いなら、目標は高い もし曇り発生可能度が高いなら、モードは除湿である もし曇り発生可能度が中間なら、そして車内が暖かいな
ら、モードはパネル／デフ（ＰＮＬ／ＤＥＦ）である もし曇り発生可能度が中間なら、そして車内が冷えてい
るなら、モードは床／デフ（ＦＬＲ／ＤＥＦ）である ここで、湿度は測定された相対湿度であり、曇りの可能
性は前面ガラスの曇る可能性の尺度であり、内気循環は
空気が循環する扉位置であり、送風機は送風機速度であ
り、モードは空気のダクトモードであり、そして目標は
設定温度に対する調整結果である。図７は曇り止め防止
法のモードマッピングを示す。図９は曇り止め防止法の
送風機電圧のマッピングを示す。

【００２６】本発明を空調制御システムの方法に使用す
ることにより、初期前面ガラス曇り条件の検出とその防
止が改善できる。テーラー収束（ｔａｌｏｒ ｇｒａｄ
ｖａｌ）の非線形応答によって、過去においては適正に
扱うことの出来なかった或る状況に合った方法が可能と
なる。

【００２７】新車輛開発プログラムおよびサイマルテニ
アス（同時進行）エンジニアリングによって、新しい自
動空調制御方法の開発に与えられる時間が短縮されてい
る。したがって、制御方法はＨＶＡＣシステムが設計さ
れている時間と同時に開発されるべきである。本発明の
構成およびその柔軟性は、ＨＶＡＣシステムの特徴が最
終的に確定する以前においても一連の基本規則の開発を
可能にする。

【００２８】本発明を実施するための最良の形態が詳細
に説明されたが、本発明の関連する技術の当業者は、付
随の特許請求の範囲に記載した本発明を実施するための
種々の設計変更および実施例変更があることを認識する
であろう。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の方法および制御システムによって制御
できる空気取り扱いシステムを示す概略図。

【図２】本発明の制御システムの概略ブロック図。

【図３】車室内温度および湿度の関数である特定雰囲気
温度に対する初期曇りの境界を示すグラフ。

【図４】多くの雰囲気温度に対する多くのそのような境
界を示すグラフ。

【図５】一定雰囲気温度における車室内温度と湿度の入
力を用いた曇り発生頻度のファジーマップを示す３次元
グラフ。

【図６】先行および対応する後発の構成員関数を包含す
る曇り発生可能度規則の集合を示す図。

【図７】本発明のモード移行規則集合の結果としての応
答表面を示す図。

【図８】車室内温度、湿度および雰囲気温度の入力を用
いた曇り発生可能度を示す図。

【図９】送風機電圧、車室内温度および曇り発生可能度
の入力を用いた送風法を示す図。

【符号の説明】

２０ システム ２２、２４、２６、２８ アクチュエータ ３０ 送風機 ３４ ヒータコア ３８ ダクト ４０ 制御器 ４４ ハードウエア制御器 ４６ 規則集合

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車室内の窓ガラスの曇りを防止するため
   に車輛の乗客車室に空気流を流す車輛用加熱、換気およ
   び空調（ＨＶＡＣ）システムを自動的に制御する制御シ
   ステムにおいて、前記ＨＶＡＣシステムは、可変速度送
   風機、空気温度を変える装置、ダクト、空気流の方向お
   よび外部空気と内部循環空気の比率を制御するための種
   々の制御位置を有するアクチュエータ、車室内の相対湿
   度を検知する湿度センサ、車室内温度および大気温度を
   検知する温度センサ、および調整可能な温度設定点を包
   含するものであって、前記システムは、車室内温度およ
   び大気温度に基づく曇り条件境界を決定する装置と、相
   対湿度と曇り条件境界との相違を決定する装置と、この
   相違に基づく曇り発生可能度を決定する装置と、曇り発
   生可能度と送風機速度間および曇り発生可能度とアクチ
   ュエータの第１の組の制御位置間にメンバーシップ関数
   およびファジー規則を定義する装置と、窓ガラスの曇り
   を防止するために、ＨＶＡＣシステムが、曇り発生可能
   度、メンバーシップ関数およびファジー規則に基づい
   て、所望の温度および流れを有する車室内に空気を放出
   するように、アクチュエータの第１の組の位置および送
   風機の速度を制御するための制御信号を発生する装置を
   有している、前記のシステム。
2. 【請求項２】 相対湿度とアクチュエータの制御位置間
   にメンバーシップ関数およびファジー規則を定義するた
   めの装置をさらに有し、制御信号を発生する前記装置は
   相対湿度にさらに基づく制御信号を発生する、請求項１
   に記載のシステム。