JPH08230130A - 積層体及びそれを用いた容器 - Google Patents

積層体及びそれを用いた容器

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JPH08230130A
JPH08230130A JP7040404A JP4040495A JPH08230130A JP H08230130 A JPH08230130 A JP H08230130A JP 7040404 A JP7040404 A JP 7040404A JP 4040495 A JP4040495 A JP 4040495A JP H08230130 A JPH08230130 A JP H08230130A
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吉次 丸橋
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属−ポリエステル積層体において、ポリエ
ステルフィルム層が分子配向されていないときにも、加
熱による粗大球晶を生成せず、脆化が有効に防止され、
その結果として、優れた加工性、耐衝撃性(耐デント
性)、耐腐食性及び耐熱性が維持される積層体並びにこ
の積層体から形成されたシームレス容器を提供する。 【構成】 金属基体にポリエステル組成物を押出しコー
ト等の手段でラミネートするが、種々の共重合ポリエス
テルの内でも、(ii) (a)ブチレングリコールと芳香族
二塩基酸とから誘導されたエステル単位と (b)ブチレン
グリコールと脂肪族二塩基酸とから誘導されたエステル
単位とを含む共重合ポリエステルを選択し、これを
(i)エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエ
ステルにブレンドすることを特徴とする。 【効果】 製膜や二軸延伸等の諸工程を省略して、生産
性を高め、設備費を節減して、高性能のシームレス缶を
安価に提供できるという利点が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属板とポリエステル
及びコポリエステルの組成物の被覆層との積層体に関す
るもので、より詳細には、優れた加工性、耐衝撃性(耐
デント性)、耐腐食性及び耐熱性の組み合わせを有する
積層体並びにこの積層体から形成されたシームレス容器
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、側面無継目缶(サイド・シームレ
ス缶)としては、アルミニウム板、ブリキ板或いはティ
ン・フリー・スチール板等の金属素材を、絞りダイスと
ポンチとの間で少なくとも1段の絞り加工に付して、側
面継目のない胴部と、該胴部に継目無しに一体接続され
た底部とからなるカップに成形し、ついで所望により前
記胴部に、しごきポンチとダイスの間でしごき加工を加
えて、容器胴部を薄肉化したものが知られている。ま
た、しごき加工の代わりに、再絞りダイスの曲率コーナ
部で曲げ伸ばして側壁部を薄肉化することも既に知られ
ている(特公昭56−501442号公報)。
【0003】また、側面無継目缶の有機被覆法として
は、一般に広く使用されている成形後の缶に有機塗料を
施す方法の他に、成形前の金属素材に予め樹脂フィルム
をラミネートする方法が知られており、特公昭59−3
4580号公報には、金属素材にテレフタル酸とテトラ
メチレングリコールとから誘導されたポリエステルフィ
ルムをラミネートしたものを用いることが記載されてい
る。また、曲げ伸ばしによる再絞り缶の製造に際して、
ビニルオルガノゾル、エポキシ、フェノリクス、ポリエ
ステル、アクリル等の被覆金属板を用いることも知られ
ている。
【0004】ポリエステル被覆金属板の製造について
も、多くの提案があり、例えば特公昭51−4229号
公報には、表面に二軸配向が残存しているポリエチレン
テレフタレートより成る塗膜が記載され、更に特公平6
−172556号公報には、極限粘度[η]が0.75
以上のポリエステルフィルムを金属ラミネートに用いる
ことが提案されている。
【0005】また、特公平3−101930号公報に
は、金属板と、エチレンテレフタレート単位を主体とす
るポリエステルフィルム層と、必要により金属板とポリ
エステルフィルム間に介在する接着プライマー層との積
層体から成り、該ポリエステルフィルム層は、下記式
(1) 式中、IAはポリエステルフィルム表面に平行な、面間
隔約0.34nm(CuKαX線回折角が24゜から2
8゜)の回折面によるX線回折強度、IBはポリエステ
ルフィルム表面に平行な、面間隔約0.39nm(Cu
KαX線回折角が21.5゜から24゜)の回折面によ
るX線回折強度、で定義されるX線回折強度比が0.1
乃至15の範囲内にあり且つ結晶の面内配向の異方性指
数が30以下であるフィルム層から成ることを特徴とす
る絞り缶用被覆金属板が記載されており、また、上記被
覆金属板を絞り再絞り成形し、且つ再絞り成形に際して
缶胴側壁部を曲げ伸ばしにより薄肉化して成る薄肉化絞
り缶が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術に認めら
れる提案は、成形前の金属素材に樹脂フィルムを施せば
よく、通常の塗装処理のように、塗膜の焼き付け炉や塗
料排ガスの処理施設が不要で、大気汚染がなく、また成
形後の缶体に塗装処理を行わなくてもよいという利点を
与えるものであるが、ポリエステルフィルムとして、二
軸延伸されたフィルムを使用する必要があり、このため
フィルムのコストが高くなるという欠点がある。
【0007】即ち、一般の金属−樹脂積層体において
は、金属基体上に樹脂を押出しコートすることが広く行
われているが、ポリエステルの場合にもこの押出しコー
ト法が適用できれば、製膜及び延伸に伴う作業やそのた
めのコストを低減できることが期待できる。
【0008】しかしながら、金属−ポリエステル積層
体、特にシームレス容器成型用の積層体においては、製
造工程上種々の熱処理を受けるが、この熱処理に際して
未延伸、即ち未配向のポリエステルが粗大球晶を生成す
る傾向があり、被覆が脆くなり、加工性が損なわれると
いう問題を生じる。積層体のポリエステルを分子配向状
態に維持しておけば、熱処理の際のラメラ化が防止され
るので、これが、積層用に配向されたポリエステルフィ
ルムを用いる理由である。
【0009】従って、本発明の目的は、上記金属−ポリ
エステル積層体において、ポリエステルフィルム層が分
子配向されていないときにも、加熱による粗大球晶を生
成せず、脆化が有効に防止され、その結果として、優れ
た加工性、耐衝撃性(耐デント性)、耐腐食性及び耐熱
性が維持される積層体並びにこの積層体から形成された
シームレス容器を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、金属基
体とポリエステルを主体とする樹脂層とから成る積層体
において、前記ポリエステルが、(i)エチレンテレフ
タレート単位を主体とするポリエステルと(ii) (a)ブ
チレングリコールと芳香族二塩基酸とから誘導されたエ
ステル単位と (b)ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸
とから誘導されたエステル単位とを90:10乃至4
0:60の重量比で含む共重合ポリエステルとを、
(i):(ii)=70:30乃至10:90の重量比で
含有する組成物から成ることを特徴とする積層体が提供
される。
【0011】本発明の積層体では、ポリエステルを主体
とする樹脂層が未配向の状態であっても、加熱による粗
大球晶の生成を防止できるため、ポリエステルを直接金
属基体上に押出しラミネートできるという利点をもたら
す。
【0012】本発明によればまた、上記積層体を絞り成
形或いは更にしごき成形して成ることを特徴とするシー
ムレス容器が提供される。
【0013】
【作用】本発明では、金属基体にポリエステル組成物を
押出しコート等の手段でラミネートするが、種々の共重
合ポリエステルの内でも、(ii) (a)ブチレングリコー
ルと芳香族二塩基酸とから誘導されたエステル単位と
(b)ブチレングリコールと脂肪属二塩基酸とから誘導さ
れたエステル単位とを含む共重合ポリエステルを選択
し、これを(i)エチレンテレフタレート単位を主体と
するポリエステルにブレンドしたことが特徴であり、こ
れにより、積層体に優れた加工性、耐衝撃性(耐デント
性)、耐腐食性及び耐熱性を付与することができる。こ
れらの特性は、金属基体−ポリエステル積層体を絞り−
再絞り加工或いは絞り−しごき加工等に付して、シーム
レス缶を製造するときに極めて重要な特性であり、ポリ
エステル層が未配向の状態である積層体から上記特性を
有するシームレス缶が得られることは真に意外のことで
ある。
【0014】即ち、実際の缶詰製品に要求される実用的
な耐衝撃性として、耐デント性と呼ばれるものがある。
これは、缶詰製品を落下して、或いは缶詰製品同士が相
互に衝突して、缶詰製品に打痕と呼ばれる凹みが生じた
場合にもなお、被覆の密着性やカバレージが完全に保た
れることが要求されるという特性である。即ち、デント
試験で被覆が剥離し或いは被覆にピンホールやクラック
が入る場合には、この部分から金属溶出や孔食による漏
洩等を生じて、内容物の保存性を失うという問題を生じ
るのである。
【0015】つぎに、缶詰用缶の場合、被覆への熱処理
の影響を避けることができない。即ち、缶の外面に内容
物等を表示する印刷を施すのが普通であり、印刷インク
を焼き付けるための加熱の影響が、ポリエステルフィル
ムに生じる。ポリエステルは加熱により粗大球晶の生成
が進行する(脆くなる)傾向があり、この傾向はポリエ
ステル層が未配向である場合に著しく、所謂熱結晶化
(ラメラ化、粗大球晶の生成)を生じて、これにより耐
デント性が低下し、金属基体との密着性低下或いは被覆
性低下やネックイン加工、巻締加工等の際の加工性が低
下する。
【0016】本発明に使用するポリエステル樹脂におい
て、上記ポリエステル(i)は形成される被覆に機械的
強度や剛性及び耐熱性を付与する成分であり、一方共重
合成分(ii)は形成されるポリエステル被覆の結晶化速
度を速くし、微細結晶を生成するとともに、ポリエステ
ル被覆層の加工性を向上させ、さらに缶の用途に適用し
た際の耐デント性を向上させる成分であり、これらを組
み合わせて用いることにより、耐熱性を低下させること
なく、耐衝撃性の向上が得られる。
【0017】本発明においては、ポリエステル(i)
に、共重合ポリエステル(ii)をブレンドとして使用す
ることが特に重要であり、たとえば同じ成分比であって
も、これら三者が共重合ポリエステル中に存在する場合
には、その融点が低下して、被覆の耐熱性が劣るように
なる。
【0018】上記ポリエステル及び共重合ポリエステル
は、(i):(ii)=70:30乃至10:90、特に
55:45乃至10:90の重量比で用いることも重要
であり、ポリエステル(i)の量が70%よりも多いと
きには、ポリエステル組成物の耐衝撃性が本発明の範囲
内にある場合に比して低下する傾向があり、一方ポリエ
ステル(i)の量が30%よりも少ないときには、ポリ
エステル組成物の耐熱性が本発明の範囲内にある場合に
比して低下する傾向があり、更にフィルムが工具に粘着
したりする成形上の問題があり、いずれも好ましくな
い。
【0019】エチレンテレフタレート系ポリエステルに
配合する共重合ポリエステルは、(ii)(A)ブチレン
グリコールと芳香族二塩基酸とから誘導されたエステル
単位と(ii)(A)ブチレングリコールと脂肪族二塩基
酸とから誘導されたエステル単位の共重合ポリエステル
であることも前述した耐デント性の点で特に重要であ
る。即ち、ジオール成分としてエチレングリコールを用
いた共重合ポリエステルやテレフタル酸以外の芳香族ジ
カルボン酸から誘導された共重合ポリエステルでは、後
述する例に示すとおり、耐デント性の改善は行われな
い。
【0020】本発明では、用いる共重合ポリエステル
が、(a)ブチレングリコールと芳香族二塩基酸とから
誘導されたエステル単位と、(b)ブチレングリコール
と脂肪族二塩基酸とから誘導されたエステル単位とを、
80:20乃至40:60、特に67:33乃至40:
60の重量比で含有することも重要である。尚、本発明
における成分(i)、(ii)−(a)及び(ii)−
(b)の重量組成比は図5の三成分組成図で示される。
【0021】即ち、(ii)(A)ブチレングリコールと
芳香族二塩基酸とから誘導されたエステル単位の量が8
0%よりも多いと、耐衝撃性が本発明の場合に比して低
下する傾向があり、特にシームレス缶にしたとき、衝撃
を受けた際の金属露出(ERV)が大きくなる。また、
(ii)(A)ブチレングリコールと芳香族二塩基酸とか
ら誘導されたエステル単位の量が40%よりも少ない
と、耐衝撃性能がやはり本発明の場合に比して低下する
傾向があり、特にシームレス缶にしたとき、衝撃を受け
た際の金属露出(ERV)が大きくなり、耐衝撃性に関
して(ii)(A)ブチレングリコールと芳香族二塩基酸
とから誘導されたエステル単位の量には最適範囲があ
る。
【0022】本発明では、上記ポリエステル組成物をラ
ミネート材料に用いることにより、ポリエステルを製膜
し、二軸延伸することなしに直接ラミネートすることが
でき、この場合にも十分にシームレス缶に加工でき、こ
の缶においても前述した諸特性が得られるという利点が
ある。このため、本発明によれば、諸工程を省略して、
生産性を高め、設備費を節減して、高性能のシームレス
缶を安価に提供できるという利点をもたらす。
【0023】
【発明の好適態様】本発明の積層体の断面構造の一例を
示す図1において、この積層体1は金属基体2と少なく
とも容器内面側に位置するポリエステル組成物層3とか
ら成っている。金属基体2には外面被膜4が形成されて
いるが、この外面被膜4はポリエステル組成物層3と同
様のものであってもよいし、また通常の缶用塗料や樹脂
フィルム被覆であってもよい。
【0024】積層体の断面構造の他の例を示す図2にお
いて、ポリエステル組成物層3と金属基体2との間に接
着用プライマーの層5を設けている以外は、図1の場合
と同様である。
【0025】本発明のシームレス缶の一例を示す図3に
おいて、このシームレス缶6は前述したポリエステル−
金属ラミネート1の絞り−再絞り加工による曲げ伸ばし
或いは更にしごき加工により形成され、底部7と側壁部
8とから成っている。側壁部8の上端には所望によりネ
ック部9を介してフランジ部10が形成されている。こ
の缶6では、底部7に比して側壁部8は曲げ伸ばし或い
は更にしごき加工により、下記数式(2) 式中、Tb は素板厚であり、Tw は側壁部の厚みであ
る。で定義される板厚残存率RIが、20乃至95%、
特に30乃至85%となるように薄肉化されている。
【0026】[金属板]本発明では、金属板としては各
種表面処理鋼板やアルミニウム等の軽金属板が使用され
る。
【0027】表面処理鋼板としては、冷圧延鋼板を焼鈍
後二次冷間圧延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメ
ッキ、電解クロム酸処理、クロム酸処理等の表面処理の
一種または二種以上行ったものを用いることができる。
好適な表面処理鋼板の一例は、電解クロム酸処理鋼板で
あり、特に10乃至200mg/m2 の金属クロム層と
1乃至50mg/m2 (金属クロム換算)のクロム酸化
物層とを備えたものであり、このものは塗膜密着性と耐
腐食性との組み合わせに優れている。表面処理鋼板の他
の例は、0.5乃至11.2g/m2 の錫メッキ量を有
する硬質ブリキ板である。このブリキ板は、金属クロム
換算で、クロム量が1乃至30mg/m 2 となるような
クロム酸処理或いはクロム酸−リン酸処理が行われてい
ることが望ましい。
【0028】更に他の例としては、アルミニウムメッ
キ、アルミニウム圧接等を施したアルミニウム被覆鋼板
が用いられる。
【0029】軽金属板としては、所謂アルミニウム板の
ほかにアルミニウム合金板が使用される。耐腐食性と加
工性との点で優れたアルミニウム合金板は、Mn:0.
2乃至1.5重量%、Mg:0.8乃至5重量%、Z
n:0.25乃至0.3重量%、及びCu:0.15乃
至0.25重量%、残部がAlの組成を有するものであ
る。これらの軽金属板も、金属クロム換算で、クロム量
が1乃至300mg/m 2 となるようなクロム酸処理或
いはクロム酸−リン酸処理が行われていることが望まし
い。
【0030】金属板の素板厚、即ち缶底部の厚み(tb
)は、金属の種類、容器の用途或いはサイズによって
も相違するが、一般に0.005乃至0.50mmの厚
みを有するのがよい。
【0031】[ポリエステル組成物]本発明に用いるポ
リエステル組成物は、(i)エチレンテレフタレート単
位を主体とするポリエステルと、(ii) (a)ブチレング
リコールと芳香族二塩基酸とから誘導されたエステル単
位と (b)ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸とから誘
導されたエステル単位を含有する組成物からなる。
【0032】上記ポリエステル(i)はホモポリエステ
ル、即ちポリエチレンテレフタレートであることが好ま
しいが、ポリエチレンテレフタレートの本質を損なわな
い範囲で少量の共重合成分を含有することができる。
【0033】ポリエステル(i)中に含有させうるテレ
フタル酸以外の二塩基酸成分としては、イソフタル酸、
P−β−オキシエトキシ安息香酸、ナフタレン−2,6
−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカ
ルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサ
ヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、アジ
ピン酸、セバシン酸等を挙げることができ。
【0034】またポリエステル(i)中に含有させうる
エチレングリコール以外のジオール成分としては、プロ
ピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペン
チルグリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘ
キサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキ
サイド付加物などのグリコール成分を挙げることができ
る。
【0035】ポリエステル(i)は、フィルム形成範囲
の分子量を有するべきであり、溶媒として、フェノール
/テトラクロロエタン混合溶媒を用いて測定した極限粘
度〔η〕は0.5乃至1.5、特に0.6乃至1.5の
範囲にあるのがよい。また、ポリエステル(i)の融点
(Tm)は、200乃至290℃、特に210乃至28
0℃の範囲に、またガラス転移点(Tg)は、20乃至
90℃、特に30乃至80℃の範囲にあるのがよい。
【0036】用いる共重合ポリエステル(ii)は、グリ
コール成分としてブチレングリコール、二塩基酸成分と
してテレフタル酸及び脂肪族ジカルボン酸を用いて誘導
される。この共重合ポリエステルは、ブロック共重合ポ
リエステルでもランダム共重合ポリエステルでもよい
が、ブロック共重合ポリエステルが好ましい。
【0037】脂肪族二塩基酸成分としては、コハク酸、
アゼライン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、
セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸等を挙げ
ることができ、、前述した理由から長鎖の脂肪族二塩基
酸が好ましく、炭素数4乃至20のジカルボン酸が好ま
しい。
【0038】この共重合ポリエステル(ii)は、(a)ブ
チレングリコールと芳香族二塩基酸とから誘導されたエ
ステル単位と、 (b)ブチレングリコールと脂肪族二塩基
酸とから誘導されたエステル単位とを、80:20乃至
40:60、特に67:33乃至40:60の重量比で
含有する。
【0039】この共重合ポリエステル(ii)は、上記の
2種の反復単位のみから成ることが好ましいが、その本
質を損なわない範囲で他のエステル反復単位を含有して
いることができる。
【0040】共重合ポリエステル(ii)も、フィルム形
成範囲の分子量を有するべきであり、溶媒として、フェ
ノール/テトラクロロエタン混合溶媒を用いて測定した
極限粘度〔η〕は0.5乃至1.5、特に0.6乃至
1.5の範囲にあるのがよい。また、共重合ポリエステ
ル(ii)の融点(Tm)は、120乃至230℃、特に
130乃至225℃の範囲に、またガラス転移点(T
g)は、−30乃至30℃、特に−30乃至20℃の範
囲にあるのがよい。
【0041】上記ポリエステル(i)と共重合ポリエス
テル(ii)とを、前述した量比で混合して、組成物とす
る。混合は乾式混合で行っても、或いはメルトブレンド
によって行ってもよい。
【0042】本発明で用いるポリエステル組成物は、ポ
リエステル(i)と共重合ポリエステル(ii)のブレン
ドであることに関連して、示差熱分析に付すると、ポリ
エステル(i)に特有の融点(Tm1 )及びガラス転移
点(Tg1 )と、共重合ポリエステル(ii)に特有の融
点(Tm2 )及びガラス転移点(Tg2 )とを示す。勿
論、各ピークの高さは両成分の配合比に依存する。この
事実は、均一の組成物であっても、ポリエステル(i)
と共重合ポリエステル(ii)とが互いに独立の相として
存在していることを示している。図4は、このポリエス
テル組成物の一例の示差熱分析曲線を示す。
【0043】本発明に用いるポリエステル組成物は、ポ
リエステル(i)と共重合ポリエステル(ii)とのブレ
ンドではあるが、エステル単位の最適な組み合わせが存
在する。即ち、重量組成で表して、図5の三成分組成図
の点A,B,C,Dを結ぶ線で囲まれた範囲、即ち、下
記不等式 10% ≦ 組成物におけるポリエステル(i)の重量
比 ≦ 70% 40% ≦ 共重合ポリエステル(ii)における (a)ブ
チレングリコールと芳香族二塩基酸とから誘導されたエ
ステル単位の重量比 ≦ 90% を同時に満足する範囲にあることが、デントERV特性
及び印刷適性(耐熱性)の点で好適である。
【0044】勿論、このポリエステル組成物には、それ
自体公知の樹脂用配合剤、例えば非晶質シリカ等のアン
チブロッキング剤、二酸化チタン(チタン白)等の顔
料、各種帯電防止剤、抗酸化剤や安定剤、滑剤等を公知
の処方に従って配合することができる。
【0045】[ラミネートの製造方法]本発明のポリエ
ステル−金属ラミネートは、上記ポリエステル組成物を
溶融状態で金属基体上に押出しコートして、熱接着させ
ることにより製造することができる。金属基体に施すポ
リエステル組成物層の厚みは、2乃至100μm、特に
5乃至50μmの範囲にあるのが金属の保護効果及び加
工性の点でよい。
【0046】ポリエステル−金属ラミネートの製造方法
を説明するための図6において、金属板11を必要によ
り加熱ロール12により予備加熱し、チルロール13と
ニップロール14間に供給する。一方、ポリエステル組
成物は、押出し機のダイヘッド15を通して薄膜16の
形に押しだし、チルロール13とニップロール14間に
金属板11と重ねられるように供給される。チルロール
13とニップロール14は、強制冷却されており、金属
板11にポリエステル組成物から成る薄膜16を圧着し
て両者を熱接着させると共に両側から急冷することによ
り積層体17を得る。
【0047】金属基体に対するポリエステル組成物の熱
接着は、溶融ポリエステル層が有する熱量と、金属板が
有する熱量とにより行われる。金属板の加熱温度
(T1 )は、一般に90℃乃至290℃、特にTm10
0℃乃至Tm280℃の温度が適当である。
【0048】ポリエステルフィルムと金属素材の間に所
望により設ける接着プライマーは、金属素材とポリエス
テル組成物との両方に優れた接着性を示すものである。
密着性と耐腐食性とに優れたプライマー塗料の代表的な
ものは、種々のフェノール類とホルムアルデヒドから誘
導されるレゾール型フェノールアルデヒド樹脂と、ビス
フェノール型エポキシ樹脂とから成るフェノールエポキ
シ系塗料であり、特にフェノール樹脂とエポキシ樹脂と
を50:50乃至5:95重量比、特に40:60乃至
10:90の重量比で含有する塗料である。
【0049】接着プライマー層は、一般に0.01乃至
10μmの厚みに設けるのがよい。接着プライマー層は
あらかじめ金属素材上に設けてよい。
【0050】[シームレス缶及びその製造]本発明のシ
ームレス缶は、上記のポリエステル−金属ラミネートを
有底カップに絞り成形或いは更に深絞り成形することに
より得られ、好ましくは、この深絞り段階で曲げ伸し或
いは曲げ伸しとしごきを行うことによりカップ側壁部の
薄肉化を行う。
【0051】例えば、深絞り曲げ伸ばし成形(絞り−曲
げ伸ばし再絞り成形)によれば、被覆金属板から成形さ
れた前絞りカップを、このカップ内に挿入された環状の
保持部材とその下に位置する再絞りダイスとで保持す
る。これらの保持部材及び再絞りダイスと同軸に、且つ
保持部材内を出入し得るように再絞りポンチを配置す
る。再絞りポンチと再絞りダイスを互いに噛み合うよう
に相対的に移動させる。
【0052】これにより、前深絞りカップの側壁部は、
環状保持部材の外周面から、その曲率コーナ部を経て、
径内方向に垂直に曲げられて環状保持部材の環状底面と
再絞りダイスの上面とで規定される部分を通り、再絞り
ダイスの作用コーナ部により軸方向にほぼ垂直に曲げら
れ、前絞りカップよりも小径の深絞りカップに成形する
ことができる。
【0053】この際、再絞りダイスの作用コーナ部の曲
率半径(Rd )を、被覆金属板素板厚(Tb )の1乃至
2.9倍、特に1.5乃至2.9倍の寸法とすることに
より、側壁部の曲げ伸ばしによる薄肉化を有効に行うこ
とができる。のみならず、側壁部の下部と上部とにおけ
る厚みの変動が解消され、全体にわたって均一な薄肉化
が可能となる。一般に、缶胴の側壁部を一度或いは二度
以上の薄肉化再絞り行程により、最終的に被覆金属板素
板厚(Tb )の20乃至95%、特に30乃至85%の
厚みに薄肉化することができる。
【0054】深絞り缶の場合、下記数式(3) 式中、Dは剪断したラミネート材の径であり、dはポン
チ径である、で定義される絞り比RDは一段では1.1
乃至3.0の範囲、トータルでは1.5乃至5.0の範
囲にあるのがよい。
【0055】また再絞り或いは曲げ伸ばしでは、再絞り
ダイの曲げ伸ばし加工部の後方にしごき加工部を配置し
て、側壁部に対してしごき加工を行うこともできる。
【0056】曲げ伸ばし或いは更にしごきにより、板厚
残存率RIが、20乃至95%、特に30乃至85%と
なるように薄肉化することが好ましい。
【0057】絞り成形等に際して、被覆金属板或いは更
にカップに、各種滑剤、例えば流動パラフィン、合成パ
ラフィン、食用油、水添食用油、パーム油、各種天然ワ
ックス、ポリエチレンワックスを塗布して成形を行うの
がよい。滑剤の塗布量は、その種類によっても相違する
が、一般に10乃至1000mg/m2 、特に20乃至
500mg/m2 の範囲にあるのがよく、滑剤の塗布
は、これを溶融状態で表面にスプレー塗布することによ
り行われる。
【0058】カップへの絞り成形性を向上させるため、
ポリエステル被覆絞りカップの温度を(I)エチレンテ
レフタレート単位を主体とするポリエステルのガラス転
移点(Tg)以上、特に熱結晶化温度以下の範囲に予め
設定加熱して、樹脂被覆層の塑性流動を容易にした状態
で成形することが有利である。
【0059】成形後の内面側有機被覆金属製カップは、
カップ開口部の耳の部分を切断する、所謂トリミングを
行った後、印刷工程に付する。このトリミング処理に先
立って、成形後のカップを被覆樹脂のガラス転移点(T
g)以上で融点よりも低い温度に加熱して、被覆樹脂の
歪みを緩和しておくことができる。この操作は、熱可塑
性樹脂の場合、特に被覆樹脂と金属基体との密着性を高
めるために有効である。
【0060】本発明によるシームレス缶は、前述した印
刷工程等を含めて、少なくとも一段の熱処理に付するこ
とができる。この熱処理には、種々の目的があり、加工
により生じるフィルムの残留歪を除去すること、加工の
際用いた滑剤を表面から揮発させること、表面に印刷し
た印刷インキを乾燥硬化させること等が主たる目的であ
る。この熱処理には、赤外線加熱器、熱風循環炉、誘導
加熱装置等それ自体公知の加熱装置を用いることができ
る。また、この熱処理は一段で行ってもよく、二段或い
はそれ以上の多段で行うこともできる。熱処理の温度
は、180乃至240℃の範囲が適当である。熱処理の
時間は、一般的にいって、1秒間乃至5分間のオーダー
である。
【0061】熱処理後の容器は急冷してもよく、また放
冷してもよい。即ち、フィルムや積層板の場合には急冷
操作が容易であるが、容器の場合には、三次元形状でし
かも金属による熱容量も大きいため、工業的な意味での
急冷操作は面倒なものであるが、本発明では急冷操作な
しでも、結晶成長が抑制され、優れた組み合わせ特性が
得られるのである。勿論、所望によっては、冷風吹き付
け、冷却水散布等の急冷手段を採用することは任意であ
る。
【0062】本発明による積層体では、ポリエステル組
成物層は本質的に未配向なものであるが、前述した絞り
加工或いは再絞り加工の際、側壁部のポリエステル層が
缶軸方向に一軸配向され、この分子配向により、薄肉化
された側壁部のポリエステル組成物層の機械的強度や腐
食成分に対するバリアー性の点で多くの利点が奏され
る。勿論、シームレス缶の缶底部のポリエステル層は実
質上未配向の状態で残留するが、前述した理由により、
缶底部のポリエステル層も耐デント性に優れた状態に維
持されることはいうまでもない。
【0063】
【実施例】本発明を次の例で説明する。本発明の特性値
は以下の測定法による。 デントERV試験 缶底部を切り出し、室温、湿潤下で、厚み3mm、硬度
50゜のシリコンゴムに内面側を接触させて、外面側に
直径5/8インチの鋼球を置き、1kgのおもりを40
mm高さから落下させて衝撃張り出し加工を行う。衝撃
加工部の樹脂皮膜の割れの程度を電圧6.30Vでの電
流値で測定し、6個の平均を取った。水充填後の缶を3
7℃雰囲気下で一週間貯蔵経時を行った後、上記試験に
供したものを以下の基準で評価した。 評価 平均電流値 ≦ 0.050mA ◎ 0.050mA < 平均電流値≦0.100mA ○ 0.100mA < 平均電流値 × 経時脆化試験 缶製造直後にデントERV試験を行ったもの(直後条
件)と、純水中に浸漬し37℃にて1週間貯蔵経時を行
った後にデントERV試験を行ったもの(経時条件)の
平均電流値の比をとった。以下の基準で経時脆化特性を
評価した。 評価 0<(経時条件の平均電流値)/(直後条件の平均電流値) ≦ 5 ◎ 2<(経時条件の平均電流値)/(直後条件の平均電流値) ≦10 △ 10<(経時条件の平均電流値)/(直後条件の平均電流値) × アクエリアス貯蔵試験 アクエリアス(登録商標)を充填した缶を5℃にて、ボ
トムラジアス部に直径10mmの鋼製の棒を置き、50
0gのおもりを60mmの高さから落下させて衝撃を与
えた。その後、室温にて貯蔵試験を行い、1年後の缶の
内面及び漏洩状態を調べた。 融点・ガラス転移点温度 樹脂の融点を示差熱走査型熱量計(パーキンエルマー社
製DSC2型)を用いて求めた。資料5mg窒素気流下
にて、280℃−5分間溶融保持し、300℃/分の冷
却速度で冷却する。ついで10℃/分の昇温速度で昇温
し結晶融解に基づく吸熱ピークの最大高さの温度を融点
とした。ガラス転移温度はJIS(K7121 9.
3)記載のガラス転移温度の求め方に従った。 固有粘度 固有粘度[η]は、製膜後の樹脂をフェノールと1,
1,2,2・テトラクロロエタンの体積比60:40の
混合溶媒に溶解し、20℃で測定した粘度/濃度曲線の
外挿値より下式(4)に従って求めた。 式中、C=1、K=0.37、η rel=T/T0、η SP=η
rel-1、Tは溶液の流下時間、T0 は溶媒の流下時間で
ある。
【0064】実施例1(TFS、缶成形) 150℃に加熱した板厚0.180mm、調質度DR−
9のティン・フリー・スチール(THF)上に、表1に
示される組成の樹脂をエクストルージョン・ラミネーシ
ョン設備を備えた65mmφ押出し機に供給した後、樹
脂温度270℃で厚さ50μmとなるよう溶融押出しを
行い鋼板片面側にラミネートした。次いで同じ樹脂成分
を、エクストルージョン・ラミネーション設備を備えた
65mmφ押出し機に供給した後、板温度を150℃に
加熱し樹脂温度270℃で厚さ30μmとなるよう溶融
押出しを行い、もう一方の面にラミネートした。このよ
うにして得られた樹脂被覆金属板にペトロレイタムを塗
布し、直径179mmの円板を打抜き常法に従い浅絞り
カップを成形した。この絞り工程における絞り比は1.
56であった。次いでこの絞りカップを第1次、第2次
薄肉化再絞り成形を行った。 第1次再絞り比 1.37 第2次再絞り比 1.27 このようにして得られた深絞りカップの諸特性は以下の
通りであった。 カップ径 66mm カップ高さ 128mm 側壁厚み変化率 −20%(素板厚に対して) この絞りカップを常法に従いドーミング成形を行い、開
口端縁部のトリミング加工、曲面印刷、フランジング加
工を行って350gツーピース缶を作成した。この缶を
デントERV試験、経時脆化試験及びアクエリアス貯蔵
試験に供し評価を行った。表1にこの缶の特性及び評価
結果を示した。耐衝撃性、経時脆化性ともに問題がな
く、貯蔵テスト後の缶の状態にも特に異常はなかった。
【0065】実施例2 表1に示した組成のポリエステル樹脂を使用した他は、
実施例1と同様にした。表1に評価結果を示した。耐衝
撃性、経時脆化性ともに問題がなく、貯蔵テスト後の缶
の状態にも特に異常はなかった。
【0066】実施例3 表1に示した組成のポリエステル樹脂を使用した他は、
実施例1と同様にした。表1に評価結果を示した。耐衝
撃性、経時脆化性ともに問題がなく、貯蔵テスト後の缶
の状態にも特に異常はなかった。
【0067】実施例4(A3105H39、缶成形) 220℃に加熱した板厚0.260mmのアルミ合金板
(A3105H39材)上に、表4に示される組成の樹
脂をエクストルージョン・ラミネーション設備を備えた
65mmφ押出し機に供給した後、樹脂温度270℃で
厚さ50μmとなるよう溶融押出しを行い鋼板片面側に
ラミネートした。次いで同じ樹脂成分を、エクストルー
ジョン・ラミネーション設備を備えた65mmφ押出し
機に供給した後、板温度を150℃に加熱し樹脂温度2
70℃で厚さ30μmとなるよう溶融押出しを行い、も
う一方の面にラミネートした。このようにして得られた
樹脂被覆金属板にペトロレイタムを塗布し、直径152
mmの円板を打抜き常法に従い浅絞りカップを成形し
た。この絞り工程における絞り比は1.65であった。
次いでこの絞りカップを第1次、第2次薄肉化再絞り成
形を行った。 第1次再絞り比 1.18 第2次再絞り比 1.18 このようにして得られた深絞りカップの諸特性は以下の
通りであった。 カップ径 66mm カップ高さ 127mm 側壁厚み変化率 −55%(素板厚に対して) この絞りカップを常法に従いドーミング成形を行い、開
口端縁部のトリミング加工、曲面印刷、フランジング加
工を行って350gツーピース缶を作成した。この缶を
デントERV試験、経時脆化試験及びアクエリアス貯蔵
試験に供し評価を行った。表1にこの缶の特性及び評価
結果を示した。耐衝撃性、経時脆化性ともに問題がな
く、貯蔵テスト後の缶の状態にも特に異常はなかった。
【0068】実施例5 表1に示した組成のポリエステル樹脂を使用した他は、
実施例4と同様にした。表1に評価結果を示した。耐衝
撃性、経時脆化性ともに問題がなく、貯蔵テスト後の缶
の状態にも特に異常はなかった。
【0069】比較例1 表1に示した組成のポリエステル樹脂を使用した他は、
実施例1と同様にした。表1に評価結果を示した。耐衝
撃性が劣り、経時による性能低下も著しい。貯蔵試験に
よりすべての缶に孔食による漏洩が発生した。
【0070】比較例2 表1に示した組成のポリエステル樹脂を使用した他は、
実施例1と同様にした。表1に評価結果を示した。耐衝
撃性、経時脆化性ともに問題はないが、耐熱性に劣り、
曲面印刷の際に有機被覆の溶融流動が生じ、外観の著し
い不良を生じた。
【0071】比較例3 表1に示した組成のポリエステル樹脂を使用した他は、
実施例1と同様にした。表1に評価結果を示した。耐衝
撃性が劣り、経時による性能低下も著しい。貯蔵試験に
よりすべての缶に孔食による漏洩が発生した。
【0072】比較例4 表1に示した組成のポリエステル樹脂を使用した他は、
実施例4と同様にした。表1に評価結果を示した。耐衝
撃性が劣り、経時による性能低下も著しい。貯蔵試験に
よりすべての缶に孔食による漏洩が発生した。
【0073】
【表1】
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、金属基体にポリエステ
ル組成物を押出しコート等の手段でラミネートするが、
種々の共重合ポリエステルの内でも、(ii) (a)ブチレ
ングリコールと芳香族二塩基酸とから誘導されたエステ
ル単位と (b)ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸とか
ら誘導されたエステル単位とを含む共重合ポリエステル
を選択し、これを(i)エチレンテレフタレート単位を
主体とするポリエステルにブレンドしたことが特徴であ
り、これにより、積層体に優れた加工性、耐衝撃性(耐
デント性)、耐腐食性及び耐熱性を付与することができ
る。
【0075】本発明によればまた、ポリエステル層が未
配向の状態である上記積層体から、絞り成形や絞り−再
絞り成形等により、上記特性を有するシームレス缶が得
られる。また、製膜や二軸延伸等の諸工程を省略して、
生産性を高め、設備費を節減して、高性能のシームレス
缶を安価に提供できるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層体の断面構造の一例を示す拡大断
面図である。
【図2】本発明の積層体の断面構造の他の例を示す拡大
断面図である。
【図3】本発明のシームレス缶の一例を示す断面図であ
る。
【図4】本発明のポリエステル組成物の一例の時差熱分
析曲線である。
【図5】本発明のポリエステル組成物の適切な配合比を
示す三成分組成図である。
【図6】本発明のポリエステル−金属ラミネートの製造
方法示す模式図である。
【符号の説明】
1 積層体 2 金属基体 3 ポリエステル組成物層 4 外面被膜 5 接着用プライマーの層 6 シームレス缶 7 底部 8 側壁部 9 ネック部 10 フランジ部 11 金属板 12 加熱ロール 13 チルロール 14 ニップロール 15 ダイヘッド 16 薄膜 17 積層体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮沢 哲夫 神奈川県綾瀬市小園1328−60

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基体とポリエステルを主体とする樹
    脂層とから成る積層体において、前記ポリエステルが、
    (i)エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエ
    ステルと(ii) (a)ブチレングリコールと芳香族二塩基
    酸とから誘導されたエステル単位と (b)ブチレングリコ
    ールと脂肪族二塩基酸とから誘導されたエステル単位と
    を90:10乃至40:60の重量比で含む共重合ポリ
    エステルとを(i):(ii)=70:30乃至10:9
    0の重量比で含有する組成物から成ることを特徴とする
    積層体。
  2. 【請求項2】 ポリエステルを主体とする樹脂層が金属
    基体上に押出しラミネートされている請求項1記載の積
    層体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の積層体をしぼり成形或は
    更にしごき成形して成ることを特徴とするシームレス容
    器。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997045483A1 (fr) * 1996-05-31 1997-12-04 Kanebo, Limited Composition de resine polyester, film obtenu a partir de cette composition, film composite polyester, laminat metallique obtenu a partir de ce film et procede permettant de diminuer le contenu d'un polyester en composes de faible poids moleculaire
KR20010061648A (ko) * 1999-12-28 2001-07-07 이구택 고분자 주쇄에 부틸렌기를 갖는 폴리에스테르 공중합체 및그 제조방법
US6623797B2 (en) 1997-05-30 2003-09-23 Alcoa Inc. Method for coating metal strip

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997045483A1 (fr) * 1996-05-31 1997-12-04 Kanebo, Limited Composition de resine polyester, film obtenu a partir de cette composition, film composite polyester, laminat metallique obtenu a partir de ce film et procede permettant de diminuer le contenu d'un polyester en composes de faible poids moleculaire
US6623797B2 (en) 1997-05-30 2003-09-23 Alcoa Inc. Method for coating metal strip
KR20010061648A (ko) * 1999-12-28 2001-07-07 이구택 고분자 주쇄에 부틸렌기를 갖는 폴리에스테르 공중합체 및그 제조방법

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