JPH0822738B2 - 硫酸根を含む塩基性ポリ(塩化アルミニウム)溶液の製造方法 - Google Patents

硫酸根を含む塩基性ポリ(塩化アルミニウム)溶液の製造方法

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JPH0822738B2 JP5501327A JP50132793A JPH0822738B2 JP H0822738 B2 JPH0822738 B2 JP H0822738B2 JP 5501327 A JP5501327 A JP 5501327A JP 50132793 A JP50132793 A JP 50132793A JP H0822738 B2 JPH0822738 B2 JP H0822738B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は硫酸根を含む塩基性ポリ(塩化アルミニウ
ム)溶液の製造方法に関する。このような溶液は水処理
及び廃水処理の際に凝結剤として使用される。
従来から長年にわたって凝集剤として使用されて来た
中性アルミニウム塩に対して、近ごろ特に塩基性塩化ア
ルミニウムがより有利であることが判明している。塩基
性塩化アルミニウムを使用した場合、水中に含まれてい
る有害物質の凝結及び沈澱は比較的広いpH範囲で起り、
生成したフロックはそのサイズが大きいので容易に分離
することができる。多価陰イオン、好ましくは硫酸イオ
ンを上記塩基性塩化アルミニウム中に導入することによ
り、凝結を更に改善することができる。その理由は硫酸
根を含む塩基性塩化アルミニウムが塩基性塩化アルミニ
ウムよりも速やかに加水分解するからである。
硫酸イオンが塩基性塩化アルミニウム溶液に添加され
る、硫酸根を含む塩基性塩化アルミニウム溶液の製造方
法がDE−AS第1,907,359号明細書及びDE−PS第2,547,695
号明細書で公知である。DE−AS第1,907,359号明細書に
よれば上記硫酸イオンの添加の際に上記塩基性塩化アル
ミニウム溶液の塩基度はカルシウム化合物又はバリウム
化合物の添加により調整される。これら公知の方法の欠
点は、上記硫酸イオンの一部がCaSO4又はBaSO4として沈
澱すること及びこれらの難溶性化合物を再利用不能な副
産物として除去する必要があることである。加えてまた
これら公知の方法により製造された溶液は不安定化する
傾向がある。この不安定化傾向は具体的には難溶性アル
ミニウム化合物の沈澱又は塩析と云う望ましくない結果
を生み、更にこの結果は凝結効果の著しい減少に繋が
る。
本発明の解決しようとする課題は、廃棄物を発生する
ことなく、強力な凝集能力と優れた保存安定性とを備え
硫酸根を含む塩基性ポリ(塩化アルミニウム)溶液を製
造する方法を提供することにある。加えて、上記溶液の
塩基度の広範囲で調整可能であると共に上記溶液の不安
定化が回避されることが必要である。
上記課題を解決するため本発明は、硫酸根を含む塩基
性ポリ(塩化アルミニウム)溶液の製造方法において、
アルミニウムを含む物質を塩酸を用いて溶解する工程
と、次いでこうして生じた溶液から不溶性残渣を濾別す
る工程と、引き続いてこの固形物の除去された溶液を蒸
発濃縮する工程と、この蒸発濃縮された溶液からAlCl3
・6H2Oを晶出させて採取する工程と、このAlCl3・6H2O
を150〜200℃で熱分解して固形状塩基性塩化アルミニウ
ムに転化する工程と、この固形状塩基性塩化アルミニウ
ムを硫酸の水溶液中に添加し溶解してAl(OH)xCly(SO
4を生成する工程と、最後にこの塩基性塩化アルミ
ニウム硫酸アルミニウム溶液を40〜70℃で1〜3時間に
わたって熱処理する工程とを有するように硫酸根を含む
塩基性ポリ(塩化アルミニウム)溶液の製造方法を構成
した。
アルミニウムを含む物質として例えばアルミナ水化物
が使用される。上記アルミニウムを含む物質の溶解に使
用される塩酸のHCl含量は15〜35%である。AlCl3・6H2O
の採取は1回又は複数回の晶出操作を経て行うことがで
きるが、晶出物は、後続する部分的熱分解に最適の粒径
を持つと共に残留水分が僅少であることが要求される。
上記晶出過程に再循環される母液から上記晶出物を分離
するためには遠心器が有効である。上記熱分解により生
成した塩基性塩化アルミニウムは大きな溶解度と共に最
適の塩基度(OH:Alのモル比)を持つ必要がある。上記
熱分解の際に生じてHClを含むガス状分解生成物は塩酸
の水溶液に転化され、再び上記アルミニウムを含む物質
の溶解に使用される。上記塩基性塩化アルミニウムを塩
酸の水溶液中に溶解して生成するAl(OH)xCly(SO4
は単量体としてのみならずオリゴマーとしてもまた存
在するが、望ましい重合度は上記熱処理の際に初めて得
られる。
本発明の利点の一つは、従来から廃棄物として投棄さ
れ又は低度の技術的経済的効果をもたらす低度の利用を
余儀なくされていたアルミニウム含有物質を原料として
使用する点である。更に本発明の方法は殆ど閉じたプロ
セスであって、このプロセス内において副産物又は廃棄
物の発生は大幅に排除されている。殊に上記原料の溶解
に必要な塩酸は上記AlCl3・6H2Oの熱分解の際に部分的
に回収される。即ち上記塩酸は再循環される利点を有す
る。また必要な塩基度を調整する目的に、もしかすると
廃棄物処理を要するような化学薬品は一切不用である。
終わりに、本発明の方法により製造された溶液は非常に
良好な実用的性質を有するが、この性質の由来する処は
上記の固形状塩基性中間生成物を作ること、この塩基性
中間生成物を硫酸の水溶液中へ投入すること及び上記塩
化アルミニウム硫酸アルミニウム溶液を熱処理すること
に在る。
アルミニウムを含む物質としてアルミニウムを含む廃
棄物を使用するのがよい。例えばアルミニウムのエッチ
ング又はAlCl3触媒による有機合成の際に発生するよう
な化学工業廃液が適している。また上記固形物の除去さ
れた溶液をAlCl3含量が約30重量%になるまで蒸発濃縮
するのがよい。この蒸発濃縮の後、AlCl3・6H2Oの最適
な晶出を行う。また上記AlCl3・6H2Oは粒径中央値d50
250〜450μmであると共に残留水分値が3〜10重量%で
あるのがよい。さらに上記固形状塩基性塩化アルミニウ
ムの塩基度(OH:Alのモル比)は(1.35:1)〜(2.25:
1)であるのがよい。こうすると上記固形状塩基性塩化
アルミニウムは溶解度が大きくなり、その92〜98重量%
を占める部分が水又は硫酸の水溶液に溶解する。また上
記固形状塩基性塩化アルミニウムを、上記硫酸の水溶液
中に添加する以前に水に溶解するのがよい。また特に良
好な溶解性を得るためには、上記固形状塩基性塩化アル
ミニウムを、40〜70℃において硫酸の水溶液又は水に溶
解するのがよい。また上記塩基性塩化アルミニウム硫酸
アルミニウム溶液中のアルミニウム濃度が3〜10重量
%、好ましくは5〜7.5重量%であるのがよい。また特
に有利な性質を得るためには、上記塩基性塩化アルミニ
ウム硫酸アルミニウム溶液は上記熱処理の後において、
塩基度(OH:Alのモル比)が(1.05:1)〜(1.95:1)で
あると共に硫酸根含量が1〜6重量%、好ましくは2〜
4重量%であるのがよい。また特に一定かつ良好な性質
を持つ上記固形状塩基性塩化アルミニウムを得るために
は、上記AlCl3・6H2Oの熱分解を流動床内で行うのがよ
い。この時、上記AlCl3・6H2O晶出物の粒径が250〜450
μmであれば有利である。また場合によっては、上記塩
基性塩化アルミニウム硫酸アルミニウム溶液を上記熱処
理の後に濾過するのがよい。こうすれば、時には存在す
る固形物を原料としてプロセス循環経路内で再循環する
ことができる。
以下本発明の主題につき実施例をもって詳述する。
実施例1: アルミニウム水化物を塩酸で処理して塩化アルミニウ
ムを含む溶液を作り、不溶性残渣を濾別した後、この溶
液をAlCl3含量が30重量%になるまで蒸発濃縮し、続い
て500kg/hの割合で循環式懸濁液晶出器に給送した。次
いでこの晶出器から晶出物懸濁液を取りだして遠心器に
導入し、残留水分を約6重量%含みAlCl3・6H2Oから成
る晶出物を得た。続いてこの晶出物を流動床反応器内で
170〜180℃で塩基度(OH:Alのモル比)が1.8:1になるま
で分解させた。上記流動床反応器から取り出された時、
この分解物はH2O含量値が3.9重量%、粒径中央値d50が3
60μmであり、この分解物の87%を占める部分が粒径20
0〜500μmの範囲内に在った。こうして得られた固形状
塩基性塩化アルミニウムは溶解性に優れ、その1重量部
の99.8%が約100℃において25重量部の水中に溶解でき
た。
6kgの上記固形状塩基性塩化アルミニウムを60℃にお
いて硫酸の水溶液中に添加して溶解し、Al3+=5.5重量
%、Cl-=8.7重量%、SO4 2-=2.9重量%、残部は水なる
組成を持つ塩基性塩化アルミニウム硫酸アルミニウム溶
液を得た。続いてこの溶液を60℃において攪拌しながら
2時間にわたって熱処理した。この熱処理の後、この溶
液の塩基度(OH:Alのモル比)は1.5:1であった。上記固
形状塩基性塩化アルミニウムにつき0.5重量%の不溶性
残渣をこの硫酸根を含む塩基性ポリ(塩化アルミニウ
ム)溶液から濾別した。
上記硫酸根を含む塩基性ポリ(塩化アルミニウム)溶
液はその製造後、非常に良好な安定性を示した。即ちそ
の混濁度は1日後に1.4TE/F、30日後に3.7TE/Fであった
(TE/F=DIN 38,404 C2に準拠してフォルマジン(For
mazin)を基準とした混濁度の単位)。
実施例2: 実施例1で述べた製造条件下で硫酸根を含む塩基性ポ
リ(塩化アルミニウム)溶液を製造した。但し実施例1
との相違点は、中間生成物として塩基度(OH:Alのモル
比)が2.16:1の固形状塩基性塩化アルミニウムを流動床
内で作ることがあった。各々6kgの上記固形状塩基性塩
化アルミニウムを異なった量の硫酸の水溶液中に溶解
し、さらに60℃において2時間にわたる熱処理を行って
下記硫酸根を含む塩基性ポリ(塩化アルミニウム)溶液
を得た: 溶液2a: Al3+=7.2重量%、Cl-=9.9重量%、SO4 2-
3.9重量%、塩基度(OH:Alのモル比)=1.65:1。
溶液2b: Al3+=6.0重量%、Cl-=7.1重量%、SO4 2-
3.3重量%、塩基度(OH:Alのモル比)=1.8:1。
上記硫酸根を含む塩基性ポリ(塩化アルミニウム)溶
液は両液共に非常に良好な安定性を有した。
実施例3: 本発明の方法により実施例1及び2で製造された硫酸
根を含む塩基性ポリ(塩化アルミニウム)溶液1、2a及
び2bから、各溶液1部を水10部に混合した希釈溶液を各
々調製した。そしてこれら希釈溶液1、2a及び2bの凝結
性能を所謂Jar試験により検査した。このJar試験では、
先ず1mlの5%活性炭懸濁液を800mlの水に混合した。続
いて凝結剤、即ち上記希釈溶液1、2a及び2bの活性凝結
剤物質Al2O35mg相当量を、上記活性炭を混合した水試料
中に120回転/分を超える攪拌速度の下で1分間かかっ
て投入した。その後、この混合液を10分間にわたって40
回転/分で攪拌した。続いてフロックが所定の沈降時間
内に沈積し、懸濁した活性炭は巻き込まれて凝降した。
表1に上記希釈溶液1、2a及び2bの主な凝結性能を示
す。表1から短時間内に非常に良い残存混濁度が得られ
ることが分かる。また上記希釈溶液2a及び2bの調製に使
用された硫酸根を含む塩基性ポリ(塩化アルミニウム)
溶液は製造後100日を経過しても変質することがなかっ
た。
終わりに、硫酸を上記塩基性塩化アルミニウムの水溶
液中に添加し、次いで60℃で2時間にわたって熱処理を
行って硫酸根を含む塩基性ポリ(塩化アルミニウム)溶
液を製造するように上記固形状塩基性塩化アルミニウム
の溶解過程を変更した場合、得られた硫酸根を含む塩基
性ポリ(塩化アルミニウム)溶液の性質は本発明の方法
による製品に比べてひどく劣悪であることが判明した。
即ち硫酸の水溶液を上記塩基性塩化アルミニウムの水溶
液中に添加するように本発明の製造方法から逸脱して実
施例1を実施すると、得られた硫酸根を含む塩基性ポリ
(塩化アルミニウム)溶液を1:10の割合で希釈した溶液
の凝結性能は次のように悪化した: フロックのサイズ 0.3mm 沈降時間 >10分 残存混濁度 0.22TE/F。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特表 昭56−501520(JP,A)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】硫酸根を含む塩基性ポリ(塩化アルミニウ
    ム)溶液の製造方法において、 アルミニウムを含む物質を塩酸を用いて溶解する工程
    と、 次いでこうして生じた溶液から不溶性残渣を濾別する工
    程と、 引き続いてこの固形物の除去された溶液を蒸発濃縮する
    工程と、 この蒸発濃縮された溶液からAlCl3・6H2Oを晶出させて
    採取する工程と、 このAlCl3・6H2Oを150〜200℃で熱分解して固形状塩基
    性塩化アルミニウムに転化する工程と、 この固形状塩基性塩化アルミニウムを硫酸の水溶液中に
    添加し溶解してAl(OH)xCly(SO4を生成する工程
    と、 最後にこの塩基性塩化アルミニウム硫酸アルミニウム溶
    液を40〜70℃で1〜3時間にわたって熱処理する工程と
    を特徴とする、硫酸根を含む塩基性ポリ(塩化アルミニ
    ウム)溶液の製造方法。
  2. 【請求項2】アルミニウムを含む物質としてアルミニウ
    ムを含む廃棄物を使用する請求項1の方法。
  3. 【請求項3】上記固形物の除去された溶液をAlCl3含量
    が約30重量%になるまで蒸発濃縮する請求項1又は2の
    方法。
  4. 【請求項4】上記AlCl3・6H2Oは粒径中央値d50が250〜4
    50μmであると共に残留水分値が3〜10重量%である請
    求項1〜3のいずれか1項の方法。
  5. 【請求項5】上記固形状塩基性塩化アルミニウムの塩基
    度(OH:Alのモル比)が(1.35:1)〜(2.25:1)である
    請求項1〜4のいずれか1項の方法。
  6. 【請求項6】上記固形状塩基性塩化アルミニウムを、上
    記硫酸の水溶液中に添加する以前に水に溶解する請求項
    1〜5のいずれか1項の方法。
  7. 【請求項7】上記固形状塩基性塩化アルミニウムを、40
    〜70℃において硫酸の水溶液又は水に溶解する請求項1
    〜6のいずれか1項の方法。
  8. 【請求項8】上記塩基性塩化アルミニウム硫酸アルミニ
    ウム溶液中のアルミニウム濃度が3〜10重量%、好まし
    くは5〜7.5重量%である請求項1〜7のいずれか1項
    の方法。
  9. 【請求項9】上記塩基性塩化アルミニウム硫酸アルミニ
    ウム溶液は上記熱処理の後において、塩基度(OH:Alの
    モル比)が(1.05:1)〜(1.95:1)であると共に硫酸根
    含量が1〜6重量%、好ましくは2〜4重量%である請
    求項1〜8のいずれか1項の方法。
  10. 【請求項10】上記AlCl3・6H2Oの熱分解を流動床内で
    行う請求項1〜9のいずれか1項の方法。
  11. 【請求項11】上記塩基性塩化アルミニウム硫酸アルミ
    ニウム溶液を上記熱処理の後に濾過する請求項1〜10の
    いずれか1項の方法。
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