JPH08210941A - 医薬用プラスチック成形品の成形不良を検査する方法 - Google Patents

医薬用プラスチック成形品の成形不良を検査する方法

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JPH08210941A
JPH08210941A JP3931995A JP3931995A JPH08210941A JP H08210941 A JPH08210941 A JP H08210941A JP 3931995 A JP3931995 A JP 3931995A JP 3931995 A JP3931995 A JP 3931995A JP H08210941 A JPH08210941 A JP H08210941A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 処理時間を短縮して、微細なピンホール等の
成形不良を正確に発見する。検査する医薬用プラスチッ
ク成形品の変形や破損を防止する。 【構成】 医薬用プラスチック成形品2の開口部に空気
漏検出面1Aを密着して、医薬用プラスチック成形品2
を検査壁体とする密閉空間3を形成し、密閉空間3に加
圧空気を供給し、あるいは、密閉空間3を減圧して空気
圧を検出して検査壁体の空気漏れを測定して、医薬用プ
ラスチック成形品の成形不良を検査する。とくに、本発
明の検査方法は、検査壁体の内側と外側の両方に密閉空
間3を形成し、内側と外側に形成される密閉空間3の一
方を加圧し、他方を減圧して検査壁体の空気漏れを検出
することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は医薬用プラスチック成形
品の成形不良を検査する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】医薬用プラスチック成形品は、成形不良
を皆無にすることを追求して成形される。医薬用プラス
チック成形品の成形不良は、細菌による汚染等の原因と
なるからである。医薬用プラスチック成形品は、密閉構
造で滅菌して細菌の汚染を防止している。ただ、成形不
良によって空気漏れが起こると、気密構造に保持でき
ず、雑菌が侵入して汚染される弊害が発生する。このよ
うな弊害を防止するためには、医薬用プラスチック成形
品が正常に成形されているかどうかを検査する必要があ
る。
【0003】医薬用プラスチック成形品を成形後に検査
する従来の方法を図1に示す。この図は、容器の形状に
成形した医薬用プラスチック成形品の検査方法を示して
いる。この検査方法は下記の工程でピンホール等の成形
不良を検査する。
【0004】 押圧部材1の空気漏検出面1Aを医薬
用プラスチック成形品2の開口部に密着し、医薬用プラ
スチック成形品2を検査壁体とする密閉空間3を形成す
る。押圧部材1は、下面の空気漏検出面1Aを鏡面状と
して、医薬用プラスチック成形品2の開口面に気密に密
着できる形状とし、あるいは、下面の空気漏検出面1A
にゴム状弾性体のパッキンを張設して、医薬用プラスチ
ック成形品2の開口面に気密に密着できる構造としてい
る。
【0005】 押圧部材1に連結している空気弁4を
開いて、医薬用プラスチック成形品2で形成される密閉
空間3に加圧空気を供給し、その後に空気弁4を閉弁す
る。 空気弁4と押圧部材1との間に連結している圧力セ
ンサー5で、密閉空間3の圧力低下を検出する。医薬用
プラスチック成形品2にピンホールがあり、あるいは、
医薬用プラスチック成形品2の開口面に欠損部があっ
て、押圧部材1の空気漏検出面1Aとの間に隙間ができ
て、密閉空間3から空気が漏れると、圧力センサー5の
検査圧力が変化する。密閉空間3に空気漏れがないと、
圧力センサー5の指示は変化しない。
【0006】したがって、この方法は圧力センサー5の
指示を検出して、ピンホール等の成形不良を検査でき
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図1に示す検査方法
は、極めて小さいピンホールを発見して、しかも処理時
間を短くすることができない。小さいピンホールを発見
できることと、処理時間を短くすることは互いに相反す
る特性であって、両方を同時に満足できない。微細なピ
ンホールは空気が少しずつ漏れるので、密閉空間の圧力
が低下するのに時間がかかる。したがって、微細なピン
ホールを発見するためには、加圧空気を圧入した状態
で、圧力低下を検出する時間を長くする必要がある。
【0008】多量生産される医薬用プラスチック成形品
は、ピンホール等の検査時間に制約を受ける。検査時間
が長くなると検査のタクトタイムが長くなるので、生産
のタクトタイムも長くする必要があって、時間当りの生
産数量を少なくする必要がある。このため、医薬用プラ
スチック成形品を能率よく多量生産するためには、検査
時間を短縮する必要がある。しかしながら、検査時間を
短くすると、微細なピンホールの密閉空間では圧力低下
が少なく、確実に検査できなくなる。
【0009】この弊害は、密閉空間に高圧の空気を圧入
することで解消できる。高圧空気は、微細なピンホール
からも多量に空気漏れするからである。ただ、実際に医
薬用プラスチック成形品を検査するときに、高圧の空気
を圧入することは極めて難しい。それは、高圧空気を密
閉空間に圧入すると、空気漏検出面1Aを強く医薬用プ
ラスチック成形品2の開口部に押し付ける必要があり、
さらに、高圧空気で医薬用プラスチック成形品2が変形
したり、あるいは破損する心配があるからである。密閉
空間3に高圧空気を圧入すると、空気漏検出面1Aは、
圧力と開口面積に比例した力で押圧される。この押圧力
は、密閉空間3を医薬用プラスチック成形品2の開口部
から離そうとするので、空気漏検出面1Aから空気漏れ
しやすくなってしまう。空気漏検出面1Aから空気漏れ
が発生しない状態で密着させるために、空気漏検出面1
Aを強く押圧する必要がある。とくに、開口面積の大き
い医薬用プラスチック成形品2は、面積に比例した押圧
力で押圧する必要があって、相当に強い力で押圧する必
要がある。押圧力を強くすると、医薬用プラスチック成
形品2が変形したり、あるいは破損する弊害が発生す
る。
【0010】さらに、空気漏検出面1Aにゴム状弾性体
のパッキン(図示せず)を設けているものは、強く押圧
するとゴム状弾性体の変形量が大きくなって、医薬用プ
ラスチック成形品2の開口面にできる成形不良を正確に
発見するのが難しくなる欠点もある。医薬用プラスチッ
ク成形品2は、開口面を極めて高精度な平面状に成形す
る必要のあるものがある。たとえば、図2に示すよう
に、開口面をゴムパッキン13に押圧して気密に密閉し
て使用する成形品である。この用途に使用される医薬用
プラスチック成形品2は、開口面2Cと空気漏検出面の
空気漏れを検査して、成形不良を検査する。開口面の局
部に凹部ができてしまうと、図2に示すように、医薬用
プラスチック成形品2の開口面2Cをゴムパッキン13
に気密に密着できなくなるからである。
【0011】空気漏検出面1Aのゴム状弾性体を、医薬
用プラスチック成形品2の開口面に密着させて、開口面
と空気漏検出面1Aとの空気漏れを検査する方法は、密
閉空間3の加圧空気を高くして、空気漏検出面1Aを強
く開口面に押圧すると、ゴム状弾性体の変形量が多くな
って、微細な凹部の検出ができなくなる。ゴム状弾性体
が凹部に沿って変形して、空気漏れが起こらなくなるか
らである。このため、開口面の微細な凹部を検出するた
めには、空気漏検出面1Aを強く医薬用プラスチック成
形品2の開口面に強く押圧できない。したがって、密閉
空間3に圧入する空気圧を低くする必要がある。ただ、
密閉空間3の空気圧を低くすると、医薬用プラスチック
成形品2の微細なピンホールが発見できなくなってしま
う弊害が発生する。
【0012】医薬用プラスチック成形品2の開口部にで
きるかも知れない微細な凹部を確実に検出するために
は、空気漏検出面1Aを金属製の鏡面とすればよい。た
だ、金属製の空気漏検出面1Aを開口面に強く押圧する
と、開口部に局部的に強い押圧力が作用して、変形しや
すくなる欠点がある。このため、金属製の空気漏検出面
1Aも、医薬用プラスチック成形品2の開口面に強く押
圧できない。
【0013】検査の処理時間と、密閉空間3に圧入でき
る空気圧の制限を受けて、現在使用されている検査方法
は、約0.3mmのピンホールを発見できるが、それよ
りも小さいピンホールは発見できない。このため、実際
に医薬用プラスチック成形品2を成形する工程において
約0.3mmよりも小さいピンホールができるとこれを
不良品として識別できない。このため、測定限界をさら
に小さくすることが切望さている。
【0014】本発明は、このことを実現することを目的
に開発されたもので、本発明の重要な目的は、処理時間
を短縮できるにもかかわらず、微細なピンホール等の成
形不良を正確に発見できる医薬用プラスチック成形品の
成形不良を検査する方法を提供することにある。
【0015】さらに本発明の他の重要な目的は、医薬用
プラスチック成形品を変形し、あるいは破損することな
く、ピンホール等の成形不良を正確に検出できる医薬用
プラスチック成形品の成形不良を検査する方法を提供す
ることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の医薬用プラスチ
ック成形品の成形不良を検査する方法は、前述の目的を
達成するために下記のようにして検査する。本発明の検
査方法は、医薬用プラスチック成形品2の開口部に空気
漏検出面1Aを密着して、医薬用プラスチック成形品2
を検査壁体とする密閉空間3を形成し、密閉空間3に加
圧空気を供給し、あるいは、密閉空間3を減圧して空気
圧を検出して検査壁体の空気漏れを測定して、医薬用プ
ラスチック成形品の成形不良を検査する方法を改良した
ものである。
【0017】本発明の検査方法は、検査壁体の内側と外
側の両方に密閉空間3を形成し、内側と外側に形成され
る密閉空間3の一方を加圧し、他方を減圧して医薬用プ
ラスチック成形品の空気漏れを検出することを特徴とし
ている。
【0018】
【作用】本発明の医薬用プラスチック成形品の成形不良
を検査する方法は、その好ましい実施例を示す図3のよ
うに、検査壁体の内側と外側の両方に密閉空間3を形成
し、内側と外側に形成される密閉空間3の一方を加圧
し、他方を減圧して検査壁体の空気漏れを検出する。こ
の図に示す検査方法は、検査壁体の内側の密閉空間3を
加圧し、外側の密閉空間3を減圧している。検査壁体の
内側を加圧するために、医薬用プラスチック成形品2の
開口面に押圧部材1の空気漏検出面1Aを押圧して密着
する。医薬用プラスチック成形品2の外側を減圧するた
めに、医薬用プラスチック成形品2を検査用の密閉容器
6に入れている。押圧部材1の空気漏検出面1Aは、密
閉容器6と医薬用プラスチック成形品2の開口面に密着
されて、医薬用プラスチック成形品2の内側と外側に密
閉空間3を形成する。
【0019】図3に示す状態で、医薬用プラスチック成
形品2の内側を加圧し、外側を減圧し、内側あるいは外
側の圧力変化を検出してピンホールを検査する。医薬用
プラスチック成形品2にピンホールがあると、ピンホー
ルから空気が漏れて、内側の圧力が低下し、外側の圧力
が次第に上昇する。
【0020】図3に示すように、検査壁体の一方を加圧
し、他方を減圧すると、医薬用プラスチック成形品2の
内外の圧力差が大きくなる。ピンホールからの空気漏れ
は、内外の圧力差に比例する。したがって、本発明の医
薬用プラスチック成形品の成形不良を検査する方法は、
小さいピンホールからの空気の漏れ量が多くなって、小
さいピンホールを正確に検出できる。とくに、ピンホー
ルの空気漏れを多くできるので、検査時間を長くするこ
となく、小さいピンホールを正確に検出できる特長があ
る。
【0021】さらに本発明の検査方法において大切なこ
とは、医薬用プラスチック成形品2を強く加圧しない
で、ピンホールからの空気漏れ量を多くできることであ
る。強く加圧しないことは、医薬用プラスチック成形品
2の変形や破損を有効に防止し、しかも、開口面にでき
る小さい欠損を正確に検出できることに効果がある。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想
を具体化するための医薬用プラスチック成形品の成形不
良を検査する方法を例示するものであって、本発明は検
査方法を下記の方法に特定しない。
【0023】さらに、この明細書は、特許請求の範囲を
理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番
号を、「特許請求の範囲の欄」、「作用の欄」、および
「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付
記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、
実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0024】図3に示す検査方法は下記の工程で、医薬
用プラスチック成形品2のピンホールや開口面に欠損を
検査する。 (1) 医薬用プラスチック成形品2を密閉容器6に入れ
る。密閉容器6は、医薬用プラスチック成形品2の外側
を減圧するために使用される。密閉容器6の上端開口面
は、内部に入れた医薬用プラスチック成形品2の開口面
と同一平面となるように設計されている。
【0025】(2) 密閉容器6と、医薬用プラスチック
成形品2の開口部に、押圧部材1の下面に設けられた空
気漏検出面1Aを密着して、医薬用プラスチック成形品
2の内側と外側に、医薬用プラスチック成形品2を検査
壁体とする密閉空間3を形成する。
【0026】(3) 押圧部材1に連結された空気弁4を
開いて、医薬用プラスチック成形品2の内側に加圧空気
を圧入して加圧し、医薬用プラスチック成形品2の外側
の空気を排出して減圧する。医薬用プラスチック成形品
2の内部に圧入する空気圧は、たとえば、大気圧よりも
約0.6kg/cm2高く設定する。ただ、空気圧は、
医薬用プラスチック成形品2を変形させたり、あるいは
損傷させいない範囲に設定できる。たとえば、加圧空気
圧は、大気圧よりも0.3〜3kg/cm2、好ましく
は、0.3〜2kg/cm2、さらに好ましくは0.3
〜1kg/cm2高く設定される。さらに、医薬用プラ
スチック成形品2の外側を減圧する空気圧は、たとえ
ば、大気圧よりも約500mmHg低く設定される。た
だし、減圧する空気圧は、医薬用プラスチック成形品2
に変形等の悪影響のない範囲で低くするほど、検出感度
を高くできる。したがって、減圧する空気圧は、たとえ
ば、大気圧よりも730〜200mmHg、好ましく
は、650〜350mmHg、さらに好ましくは600
〜400mmHg低く設定される。
【0027】(4) 空気弁4を閉弁し、1秒経過後に、
医薬用プラスチック成形品2の内側と、外側の圧力変化
を圧力センサー5で検出する。空気弁4を閉弁してから
圧力変化を検出するまでの時間は、長くすると検出感度
を高くできる。ピンホールから漏れる空気量が多くなる
からである。ただ、この時間を長くすると、1個の検査
時間が長くなって、タクトタイムが長くなる。したがっ
て、空気弁4を閉弁してから、圧力変化を検出するまで
の時間は、検出感度と処理能力とを考慮して、たとえ
ば、0.5〜5秒、好ましくは0.7〜3秒、さらに好
ましくは0.8〜2秒の範囲に設定する。
【0028】閉弁後の圧力変化が、設定圧力変化値より
も大きいと、空気漏れのある成形不良品と判定する。成
形不良と判定する設定圧力変化値は、たとえば、医薬用
プラスチック成形品2に注入する加圧空気圧を0.6k
g/cm2とする場合、加圧空気圧よりも0.1kg/
cm2低く設定する。また、医薬用プラスチック成形品
の外部の減圧部分を、たとえば、大気圧よりも約500
mmHg低く設定するときに、150mmHg圧力が変
化すると成形不良と判定する。設定圧力変化値を、加圧
空気圧や減圧空気圧に接近させるほど、微細なピンホー
ルを確実に発見できる。ただ、設定圧力変化値が加圧空
気圧や減圧空気圧に近すぎると、正常品を不良品と誤っ
て検出する確率が高くなる。したがって、設定圧力変化
値は、微細なピンホールを発見でき、かつ正常品を不良
品と誤判定しない圧力に設定される。
【0029】以上の方法は、医薬用プラスチック成形品
2の内部に設けられる密閉空間3に加圧空気を注入し、
外側を減圧して空気漏れを検出する。この方法とは反対
に、医薬用プラスチック成形品2の内部を減圧し、外側
を加圧して空気漏れを検出することもできる。
【0030】さらに、本発明の検査方法は、空気弁4を
閉弁した後に空気圧を検査するのではなく、密閉空間3
に空気を圧入しながら、あるいは排気しながら空気圧を
検出して成形不良を検査することもできる。それは、空
気漏れがあると、加圧空気を圧入する密閉空間3は圧力
上昇が少なくなり、減圧する密閉空間3は圧量低下が少
なくなるからである。
【0031】さらにまた、本発明の検査方法は、必ずし
も加圧空気圧と減圧空気圧の両方を検出し、何れかの圧
力変化が設定値よりも大きくなと、成形不良と判定する
必要はなく、一方を検出して、医薬用プラスチック成形
品の成形不良を検出することもできる。
【0032】さらに、図4は、筒状で内部に隔壁のある
医薬用プラスチック成形品の成形不良を検査する状態を
示す。この形状の医薬用プラスチック成形品2は、たと
えば、図5に示すように、薬剤を輸液に混合する容器の
外筒7に使用される。外筒7は、下端に輸液容器8を連
結し、上端に薬剤瓶9を充填している上下筒10を連結
して使用される。外筒7の内部には、上下に摺動できる
ように注入針11を配設する。注入針11は外周に鍔を
有し、鍔を外筒7の内面に摺動できるように配設してい
る。この構造の容器は、上下筒10を押し下げると、注
入針11の下端が輸液容器8に、上端が薬剤瓶9のゴム
栓に挿通される。この状態で上下反転させると、輸液が
薬剤瓶9に注入された薬剤が輸液に溶解される。その
後、さらに容器を反転させると、薬剤瓶9の輸液が輸液
容器8に注入される。したがって、この構造の容器を使
用すると、外部から遮断して滅菌状態で輸液に薬剤を溶
解できる。
【0033】この用途に使用される外筒7は、隔壁2A
の中心に設けた開口周壁2Bの先端面を、輸液容器8の
ゴム栓の上面に気密に密着して、気密室を形成する。し
たがって、この形状の医薬用プラスチック成形品2は、
開口周壁2Bの先端を完全な平滑面に成形し、かつ隔壁
2Aにピンホールがないことが大切である。
【0034】この形状の医薬用プラスチック成形品2
は、図4に示すようにして、下記の工程で、開口周壁2
Bの開口面と、隔壁2Aのピンホールを検査する。 (1) 検査平板12の上に医薬用プラスチック成形品2
を載せる。検査平板12は金属製で、医薬用プラスチッ
ク成形品2との間で空気漏れが発生しないように、上面
を鏡面状に平面仕上げしている。
【0035】(2) 医薬用プラスチック成形品2の外側
の開口面と、開口周壁2Bの開口面に密着する押圧部材
1を押圧する。押圧部材1は金属製で、外側の開口面
と、開口周壁2Bの開口面に密着する空気漏検出面1A
を鏡面状に平面仕上げしている。この状態で、隔壁2A
の下面の医薬用プラスチック成形品2の内側と、隔壁2
A上面の外側に密閉空間3が形成される。
【0036】(3) 押圧部材1を貫通して隔壁2Aの上
方の密閉空間3に加圧空気を圧入し、検査平板12を貫
通して、隔壁2A下方の密閉空間3の空気を排気して減
圧する。密閉空間3の加圧空気圧と、減圧空気圧は図3
に示す方法と同じにする。
【0037】(4) その後、空気弁4を閉弁して一定時
間経過後に、両密閉空間3の圧力変化を検出する。空気
弁4を閉弁してから圧力変化を検出するまでの時間は、
図3に示す方法と同じように設定できる。閉弁後の内圧
と外圧の変化が、設定圧力変化値よりも大きいと、開口
周壁2Bの開口面に成形不良があり、あるいは、隔壁2
Aにピンホールのある成形不良品と判定する。成形不良
と判定する設定圧力変化値も図3に示す方法と同じに設
定できる。
【0038】以上の方法は、隔壁2A上方の密閉空間3
に加圧空気を注入し、隔壁2A下方の密閉空間3を減圧
して空気漏れを検出する。この方法とは反対に、隔壁2
A上方の密閉空間3を減圧し、隔壁2A下方の密閉空間
3を加圧して空気漏れを検出することもできる。
【0039】さらに、この図の検査方法も、空気弁4を
閉弁した後に空気圧を検査するのではなく、密閉空間3
に空気を圧入しながら、あるいは排気しながら空気圧を
検出して成形不良を検査することもできる。
【0040】さらにまた、この検査方法も、加圧空気圧
と減圧空気圧の両方を検出し、いずれかの圧力変化が設
定値よりも大きいとき、あるいは、両方の圧力変化が設
定値よりも大きいときに成形不良と判定する必要はな
く、加圧あるいは減圧するいずれか一方の密閉空間3の
空気圧の変化を検出して成形不良を検出することもでき
る。
【0041】
【発明の効果】本発明の医薬用プラスチック成形品の成
形不良を検査する方法は、独得の方法によって、この種
の用途に大切な極めて優れた下記の特長を実現する。 検査時間を長くすることなく、極めて微細なピンホ
ールを発見できる。それは、本発明の検査方法が、検査
壁体の外側と内側の両方に密閉空間を形成し、一方を加
圧し、他方を減圧してピンホールや欠損部からの空気漏
れを多くしているからである。ちなみに、本発明者の実
験では、検査時間を従来の方法と同じにして、0.15
mmのピンホールを発見することに成功した。実際に医
薬用プラスチック成形品を成形して0.15mm以下の
ピンホールができる確率は皆無に近い。ピンホールがで
きるとすれば、これよりも大きくなるからである。した
がって、本発明の医薬用プラスチック成形品の成形不良
を検査する方法は、ピンホール等の成形不良を漏らさず
確実に検査できる特長がある。
【0042】 短時間に微細なピンホールを発見し
て、医薬用プラスチック成形品の損傷や変形を防止でき
る。それは、本発明の方法が、密閉空間に圧入する加圧
空気の空気圧を高くすることなく、微細なピンホールを
発見できるからである。加圧空気を低くすることによっ
て、本発明の検査方法は、押圧部材を強く医薬用プラス
チック成形品に押圧する必要がない。
【0043】 開口面の微細な欠損を正確に検査でき
る。それは、本発明の検査方法が、押圧部材を強く開口
面に押圧する必要がないからである。本発明の検査方法
は、密閉空間の加圧空気圧を高くする必要がないので、
押圧部材を開口面に強く押圧する必要がない。このた
め、空気漏検出面に例えゴム状弾性体のパッキン等を使
用しても、開口面に欠損があると空気漏検出面との間に
空気漏れが発生して成形不良が正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の医薬用プラスチック成形品の成形不良を
検査する方法を示す断面図
【図2】医薬用プラスチック成形品の使用状態を示す断
面図
【図3】本発明の実施例にかかる方法で医薬用プラスチ
ック成形品の成形不良を検査する状態を示す断面図
【図4】本発明の他の実施例にかかる方法で医薬用プラ
スチック成形品の成形不良を検査する状態を示す断面図
【図5】図4に示す方法で検査される医薬用プラスチッ
ク成形品の使用状態を示す断面図
【符号の説明】
1…押圧部材 1A…空気漏検出面 2…医薬用プラスチック成形品 2A…隔壁
2B…開口周壁 2C…開口面 3…密閉空間 4…空気弁 5…圧力センサー 6…密閉容器 7…外筒 8…輸液容器 9…薬剤瓶 10…上下筒 11…注入針 12…検査平板 13…ゴムパッキン

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 医薬用プラスチック成形品(2)の開口部
    に空気漏検出面(1A)を密着して、医薬用プラスチック成
    形品(2)を検査壁体とする密閉空間(3)を形成し、密閉空
    間(3)に加圧空気を供給し、あるいは、密閉空間(3)を減
    圧して空気圧を検出し検査壁体の空気漏れを測定して、
    医薬用プラスチック成形品の成形不良を検査する方法に
    おいて、 検査壁体の内側と外側の両方に密閉空間(3)を形成し、
    内側と外側に形成される密閉空間(3)の一方を加圧し、
    他方を減圧して検査壁体の空気漏れを検出することを特
    徴とする医薬用プラスチック成形品の成形不良を検査す
    る方法。
JP7039319A 1995-02-02 1995-02-02 医薬用プラスチック成形品の成形不良を検査する方法 Expired - Fee Related JP2859553B2 (ja)

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