JPH08191694A - アミノ酸合成用の複合プラスミド - Google Patents

アミノ酸合成用の複合プラスミド

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JPH08191694A
JPH08191694A JP7263336A JP26333695A JPH08191694A JP H08191694 A JPH08191694 A JP H08191694A JP 7263336 A JP7263336 A JP 7263336A JP 26333695 A JP26333695 A JP 26333695A JP H08191694 A JPH08191694 A JP H08191694A
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JP
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amino acid
genes
gene
plasmid
phenylalanine
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JP7263336A
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Mark Richard Edwards
リチャード エドワーズ,マーク
Paul Phillip Taylor
フィリップ テイラー,ポール
Michael George Hunter
ジョージ ハンター,マイクル
Ian Graham Fotheringham
グラハム フォザーリンガム,アイアン
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Nutrasweet Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複合プラスミドを利用したアミノ酸の合成 【解決手段】 自律複製単位(レプリコン)を含む第一
のDNA断片、及び二つ以上の遺伝子及びプロモーター
を有する人工的な遺伝子群(オペロン)であってこれら
遺伝子とプロモーターとの組合わせは本来一つの遺伝子
群中には存在していないものである該人工的な遺伝子群
を含む第二のDNA断片を含有する複合プラスミドであ
って;上記遺伝子は、フィードバック阻害抵抗性であっ
て芳香族アミノ酸の合成で機能する酸素をコードする変
pheAtyrAaroFaroGaro
aroL及びtrpE遺伝子からなる群より選ばれ
るものである上記複合プラスミドを利用して得られる形
質転換体を培養することによりアミノ酸を効率良く製造
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本明細書においては、個々に
変異された後に転写単位に組み入れられた多数の遺伝子
を含む複合プラスミドの製造方法について記載される。
これらの複合プラスミドは、アミノ酸や他の代謝物質の
生産及び優れた宿主細胞のスクリーニングに有用であ
る。
【0002】
【従来の技術】細菌による発酵は、アミノ酸の如き一次
代謝物質や抗生物質の如き二次代謝物質の双方を工業的
に生産するのに広く使用されている。これらの代謝物質
の生産は、大きな経済的意味を持つ産業上の工程であ
る。天然に見られる微生物においては、生合成経路が資
源の消費を避けるように強く調節されているので、如何
なる代謝物質も、一般に過剰生産されることはない。産
業上有用な菌株の開発には、突然変異とその後の改良菌
株の選択を含む広範なプログラムが必要である。その様
な選択工程は、菌株開発の終段階において極度に大変な
工程である。発酵によって個々の単離菌株をスクリーニ
ングすることも必要である。
【0003】組換えDNA技術によれば、今では生合成
経路に於る重要遺伝子を単離し、それらを生体外で調節
を受けない様にすることが可能であるので、菌株開発が
大いに促進された。加えて、コピー数の多いプラスミド
に遺伝子をクローニングすることにより、遺伝子の発現
が高められ、それにより細胞内での蛋白質レベルが上が
り、それ故効果的な方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、多くの生合成
経路は、10以上の個々の段階を含んでいるため複雑で
ある。この様な場合、組換えDNA法による菌株開発を
考える際に、遺伝子を選びそれらをベクター上に組み合
わせることが最も重要となる。本発明は、菌株最適化に
組換えDNA法の有用性を最大限に利用し、それにより
菌株開発を大いに促進するように、生合成経路からの遺
伝子をベクター上に組み合わせる工程に関する。該工程
により得られる製造物は、複合プラスミドと呼ばれる。
【0005】個々の遺伝子又は天然のオペロンを含むプ
ラスミドについて記載されている。例えばL−フェニル
アラニンの生産については、FR2486961−A、
EP85958−A、GB2053906A、EP77
196−A;L−プロリン生産についてはGB2075
056−A、EP85958−A;インターフェロン生
産についてはED126338−A;トリプトファン生
産についてはJ59125892−A、EP80378
A、J57080398−A、US4,371,61
4、EP124048Aに記載されている。これらの引
例には、本明細書で述べる複合プラスミドが明らかにさ
れていない。アミノ酸生合成の概要については、Ami
no Acids:Biosynthesis and
Genetic Regulation〔K.M.H
errmannとR.L.Somerville編集、
Addison Wesley Pub.Co.出版
(1983年)〕に述べられている。組換えDNA手順
の総説については、“Amino Acid:Bios
ynthesis and Genetic Regu
lation”,K.M.Herrmann及びR.
L.Somerville,Addison Wesl
ey Pub.Co.(1983)に記載されている。
U.S.P.No.4,514,502号、薬剤耐性遺
伝子と、大腸菌又は枯草菌の内で増殖可能でコリネ型の
グルタミン酸生産細菌から得たドライブユニット(dr
ive−unit)領域とを含むプラスミドについて記
載している。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明により次のものか
らなる複合プラスミドが提供される。即ち、(a)一つ
以上の転写単位を含む第2のDNA断片に共有結合した
レプリコンを含む第一のDNA断片;及び(b)もし一
つのみの転写単位を含む場合には、アミノ酸合成で機能
する二つ以上の酵素をコードするフィードバック抵抗性
遺伝子を二つ以上含む転写単位あるいは(c)もし二つ
以上の転写単位を含む場合には、アミノ酸合成で機能す
る一つ以上の酵素をコードするフィードバック抵抗性遺
伝子の一つ以上を含む第一の転写単位と、アミノ酸生産
に役立つ酵素をコードする一つ以上の遺伝子を含む一つ
以上の付加的な転写単位から成る。アミノ酸で、好まし
いものは芳香族アミノ酸であり、特に好ましくはフェニ
ルアラニン、トリプトファン及びチロシンである。
【0007】本発明の好ましい態様としては、付加した
転写単位が、異化酵素(catabolic enzy
me)或いは輸送タンパクの遺伝子を含んでいる複合プ
ラスミドである。より好ましい態様としては、次の遺伝
子、即ちpheA、aroF、tyrA、pheR、t
yrR、tyrB、aroL、aroH、aroG、t
ypE、aspC、又はtryBAD又はCの変異体
(mutant)から選ばれた二つ以上のフィードバッ
ク抵抗性遺伝子を含む複合プラスミドである。本発明の
複合プラスミドは、原核生物又は真核生物の細胞内で複
製可能で、各々の細胞型に特異的な転写単位中で複製可
能である。
【0008】本発明の一つの目的は、アミノ酸合成に有
用な異化酵素又は透過酵素を含む転写単位を提供するこ
とである。発明の好ましい態様として、複合プラスミド
の転写単位の一つにおいて、アミラーゼを利用すること
である。本発明の更に一つの目的は、アミノ酸生産の律
速段階を触媒するフィードバック抵抗性酵素をコードす
る遺伝子を含む複合プラスミドを細胞の形質転換に使
い、アミノ酸生産に役立つ微生物をスクリーニングし、
しかる後に望ましいアミノ酸の生産を定量化する方法を
提供することである。
【0009】本発明の複合プラスミドは如何なるグラム
陰性生物のスクリーニングにも使用し得る。同様に如何
なるグラム陰性の微生物にも、本発明の複合プラスミド
を使用してアミノ酸生産に利用し得る。本明細書で例示
する複合プラスミドは、芳香族アミノ酸、特にL−フェ
ニルアラニンとL−トリプトファンの生産用としてグラ
ム陰性の微生物に使用し得る。
【0010】使用し得るグラム陰性の微生物には次の属
のものがある、即ち、ネイセリア(Neiseri
a)、ベエイロネラ(Veillonella)、ブル
セラ(Brucella)、ボルデエテラ(Borde
tella)、パスツーレラ(Pasteurell
a)、ハエモフィラス(Haemophilus)、エ
ッシャリイヒヤ(Escherichia)、エルウニ
ア(Erwinia)、シゲラ(Shigella)、
サルモネラ(Salmonella)、プロテウス(P
roteus)、イエルシニア(Yersinia)、
エンテロバクター(Enterobacter)、セラ
チア(Serratia)、アゾトバクター(Azot
obacter)、リゾビウム(Rhizobiu
m)、ニトロソモナス(Nitrosomonas)、
ニトロバクター(Nitrobacter)、チオバシ
ラス(Thiobacillus)、シュードモナス
(Pseudomonas)、アセトバクター(Ace
tobacter)、フォトバクテリウム(Photo
bacterium)、ザイモモナス(Zymomon
as)、アエロモナス(Aeromonas)、ヴィブ
リオ(Vibrio)、デスルフォヴィブリオ(Des
ulfovibrio)及びスピリラム(spiril
lum)である。
【0011】また、本発明は、生産される酵素が過剰の
アミノ酸生産物の存在下でさえもアミノ酸合成の活性を
残す様なフィードバック抵抗性条件に合う様に個々の遺
伝子を変異させ、次いでその変異遺伝子を転写単位に連
結することにより複合プラスミドを製造する方法にも関
する。好ましい複合プラスミドの態様としてはpME2
02、pME219、pME214及びpPT112が
挙げられる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の目的の一つは、興味ある
生合成経路下の炭素の流れ(flux ofcarbo
n)に影響を与える最も重要な酵素をコードする遺伝子
を、適当なベクター上に連結することである。かかる酵
素は、通常調節が原則的に起こる経路で重要なものにな
っている。かかる調節を受ける遺伝子の外にも、調節段
階を調整する他の酵素の遺伝子も含む必要がある。かか
る遺伝子は、通常興味ある生合成経路内にあるが、中間
的物質代謝においても存在し得、結果的に生合成経路へ
の前駆体の供給を左右する作用を有する。他の遺伝子
も、間接的であるが、重要かも知れない。例えば、次の
ものを含む必要がある場合もあり得る。即ち、興味ある
流れを増加させるか或いは好ましくない競争経路の流れ
を低下させる様な合成経路調節物の遺伝子;反応基質又
は生産物のいずれかの細胞膜透過性に影響する遺伝子;
より望ましい基質での生物の生育を可能にする遺伝子;
発酵を促進する為にオン・オフできる様にクローン化遺
伝子を調節するのに含まれる遺伝子;プラスミドの安定
性に影響を与えるのに使用し得る、或いはプラスミドの
選択に使用し得る遺伝子である。
【0013】複合プラスミド用の興味ある遺伝子は、最
適には、全遺伝子が望ましい調節特性のプロモーターか
ら転写される、合成或いは半合成のオペロンとして、組
立ててもよい(チャート1参照)。理想的には、遺伝子
は、内在する制限酵素部位を使って簡単に組立てられる
様に修飾する。有用な制限酵素部位と、機能性あるリボ
ソーム結合部位とをオーバーラップ出来る制限酵素Ba
mHIを用いた。最後に、転写範囲を限る為に、オペロ
ンの最終遺伝子の下流に転写終結配列を含むことが最良
である。全体のオペロンは、理想的には、“カセット”
として扱える様に制限酵素部位が隣接しており、大きさ
を最小にする為に出来るだけ余分なDNAを少なく含ん
でいるのが好い。かかるオペロンは、通常の組換えDN
A技術、即ち、最初に遺伝子のクローニング、次にDN
A塩基配列の決定、望ましい制限酵素部位を導入する為
の部位指定変異(directed mutagene
sis)、及び合成オリゴヌレオチドを使った最適リン
カー、プロモーター、ターミネーターを組合わせた組換
えDNA技術により構築できる。かかる組換えDNA技
術は、遺伝子工学上の当業者には公知である。
【0014】転写単位は、概略的にチャート1で定義さ
れる。それは、天然では一緒には見出されない組立てら
れた成分を含み、またそれはプロモーター/オペレータ
ー領域を含む調節領域、フィードバック抵抗性に変異さ
れた一つ以上の遺伝子、転写単位の成分間にある一つ以
上の制限部位、及び最終の遺伝子の後の転写ターミネー
タから成っている。
【0015】
【化1】
【0016】複合プラスミドの長所 複合プラスミドは、非常に多用途に亘っており、次に示
す如く、菌株開発に使える組換えDNA法の多様性は大
きく広がっている。 1. もし反応経路での調節段階のクローン化遺伝子が
まだフィードバック阻害抵抗性(FBIR )の誘導体を
生じる様変異していない場合には、プラスミドへの変異
導入と生産体のスクリーニングによってすぐに望ましい
変異体を作ることが出来る。該方法は、受容体(rec
ipient background)が突然変異を受
けずそれ故に通常の菌株開発で起こる未知で多分有害な
変異が避けられるという長所を有する。 2. オペロンは、最適生産の為の発現レベルを評価す
るために、種々のコピー数のベクター間で簡単に取り換
え得る。
【0017】3. 同様にオペロンは、安定性を最適化
するために種々のベクター間で取り替え得る。もし必要
ならば、オペロンは、宿主の遺伝的受容体(genet
icbackground)に簡単に再び取り込ませ得
る。 4. 発現レベルは、プロモーターの簡単な修飾によっ
てコピー数を変動せしめて、変え得る。 5. 種々の遺伝子産物の割合は、リボソーム結合部位
(RBS)の効率を変えることで、詳細に調整し得る。
このことは、リボソーム結合配列内に、制限酵素部位が
あることで大いに促進される。もし必要ならば、求める
発現レベルでの大きな相異は、アテニュエーターを利用
することによって或いは強さの異なるプロモーターを持
った二つのオペロンに構築体を分けて入れることによっ
て、調整できよう。 6. その様な構築体を有するプラスミドで形質転換す
ることによって、効率よく即座に菌株が調節を受けない
様にされるので、かかるプラスミドは、生産性に影響す
る菌株間のはっきりしない相異点をスクリーニングし生
産株に最良の受容体(background)を選ぶ非
常に敏速な方法に有用である。
【0018】7. その様なプラスミドは、反応経路で
知られていることすべてを具体化可能であるので、それ
は変異導入と結びついて生産性の増加した特定菌株の変
異体のスクリーニングに使用し得る。菌株は突然変異さ
せられ次に形質転換し、更に生産性のある株がスクリー
ニングされる。このことにより、第一に、プラスミドと
同程度に反応経路の調節を受けない様にするに必要な何
回もの変異導入を、第二にクローン化遺伝子に対する変
異の潜在的に有害な影響を避けることができる。 8. オペロンは、異なる種や属で生産できる様に、異
なる又は拡大した宿主範囲を持つプラスミドにクローン
化し得る。該プラスミドをかかる背景で最適化すること
は、単一のプロモーターとRBS配列に制限部位がある
ことによって比較的簡単であろう。 9. 重要な付加的遺伝子は、発酵の必要性に応じて又
はシステムの理解が進むのに従い、組み込むことができ
る。 10. 競合する転写/発現の複雑さが避けられるの
で、生産物の生合成に関係する多くの遺伝子を持つプラ
スミドの構築及び最適化が遙かに行い易い。
【0019】実施例の説明 本発明応用の実施例として、アミノ酸のフェニルアラニ
ンとチロシンの生合成が如何にしてうまく調節を受けな
い様に出来得るか、また合成オペロンプラスミドが如何
にしてL−フェニルアラニン又はL−チロシンの如き芳
香族アミノ酸を生産する菌株の開発に有用に使い得るか
を以下に述べる。芳香族アミノ酸の生合成は、コリスメ
ート迄の共通経路を経て、そこから枝分れしてフェニル
アラニンを生じる経路(10段階)、チロシンを生じる
経路(10段階)、トリプトファン(12段階)、芳香
族ビタミン及びエンテロケリンを生じる経路となる複雑
な経路の一例である(第1図を参照)。
【0020】大腸菌(及び他の腸内生物)での共通経路
の調節で決定的な段階は、三つのDAHP合成酵素のア
イソザイムで触媒される第一番目の反応である。この反
応速度は、炭素が前駆体ホスホエノール(ピルベイト
(PEP)及びエリスローズ−4−ホスフェート(E4
P)から反応経路へ与えられる速度を律する。三種のア
イソザイムは、各々芳香族アミノ酸生合成の最終生産物
の一つにより阻害され、遺伝子aroF(チロシン感受
性)、aroG(フェニルアラニン感受性)及びaro
H(トリプトファン感受性)である。フェニルアラニン
分枝で調節を受ける酵素は、コリスメートミュテース即
ちプレフェネートデヒドラテース、pheA遺伝子の生
産物であり、これは、それのプレフェネートデヒドラテ
ース活性が、フェニルアラニンによるフィードバック阻
害に非常に感受性な二官能性酵素である。同様に、チロ
シン分枝で、tyrA遺伝子産物のコリスメートミュテ
ース即ちプレフェネートデヒドロゲネースは、チロシン
によるフィードバック阻害に感受性である。
【0021】反応経路を通して炭素の流れを調節するよ
うに主に統制しているフィードバック阻害に加えて、上
述の酵素やシキメートカイネース(aroL)は、すべ
て転写レベルでの統制により調節されている。pheA
の発現は、フェニルアラニンリプレッサー、即ちphe
R遺伝子産物及び減衰統制(attenuationc
ontrol)により支配されている。aroF及びt
yrA遺伝子は、一緒に天然のオペロンを構成してお
り、その発現は、チロシンリプレッサー、即ちtyrR
遺伝子産物により調節されている。このtyrRは、a
roGの発現の調節も行なう。結局aroH遺伝子発現
は、トリプトファンリプレッサー即ちtrpR遺伝子産
物により調節されている。
【0022】複合プラスミドによるアミノ酸生産の例と
して、大腸菌K12株から得たaroF、pheA及び
tyrA遺伝子を適当に操作してフェニルアラニン又は
チロシン生産のいずれかが調節を受けない様にしたプラ
スミドを構築した。これらの遺伝子源として、遺伝子ラ
イブラリーから、pheA及びaroFGHでの損傷を
相補い合える能力により単離した6キロ塩基対EcoR
I断片を用いた。この断片は本質的にZurawski
らが述べているものと同一であり、高コピー数ベクター
pAT153にクローン化して、pME65を得た。p
heA及びaroF遺伝子を見つけ出して、確立された
方法で塩基配列を決定し、実施例に記載した如く調節を
受けないものにした。好ましい複合プラスミド及び宿主
HW77大腸菌株は(本株は、DAHP及びフェニルア
ラニンのいずれについても栄養要求性でなく、そのty
rA遺伝子に唯一の変異を有しておりそのためチロシン
についてのみ栄養要求性を示す。)寄託され、下記寄託
プラスミドの表に掲げる。
【0023】
【表1】 アメリカンタイプカルチャーコレクションは米国メリー
ランド州、ロックビル、パークタウン ドライブ 12
301(MD 20852)にある。ATCC5313
6,ATCC53137,ATCC53138及びAT
CC53139は、いずれもブタペスト条約に基づく国
際寄託である。
【0024】
【実施例】実施例1 PheA、AroF、AspC及びアミラー
ゼ遺伝子の調製 1. pheA遺伝子の調製 pheA遺伝子の塩基配列はチャート2.に示した。N
coI部位にBamHI−BglIIリンカーを挿入す
ることにより、L−フェニルアラニン(L−phe)に
よるフィードバック阻害に対し十分に抵抗性を有する、
プレフェネート・デハイドラテース(prephena
te dehydratase)活性が得られることが
わかった。更に、酵素のコリスメート・ミュテエースと
プレフェネート・デハイドラテースの両活性も強められ
ることがわかった。転写の脱調節は、プロモーターとア
テニュエーターの塩基配列を、天然のpheAプロモー
ターを基にして“プリブノーボックス”配列(−10)
と重なる二回回転対称(dyadsymmetry)を
欠く合成プロモーターで置き換えることによりなし得
た。この置換は、pheA遺伝子の前のEcoRI部位
と、pheA遺伝子のN末端にあるHaeII部位との
間で行なった。最終的には、BamHI部位を、部位特
異的変異(directed mutagenesi
s)によりpheA遺伝子の3′側に導入した。得られ
た最適のpheA塩基配列をチャート3に示す。
【0025】2. aroF遺伝子の調製 aroF遺伝子の塩基配列をチャート4に示す。フィー
ドバック阻害抵抗性の誘導体を次の様にして単離した。
aroF遺伝子を、中間コピー数のベクターpLG33
8を用いて、HindIII−BamHI断片でまずサ
ブクローニングした。これを三種のDAHP合成酵素ア
イソザイムすべてを欠損した菌株(HW295)に形質
転換した。この形質転換株は、芳香族アミノ酸やシキメ
ートを含まない最少培地でも、aroF遺伝子の生産物
によって、生育できる様になった。しかし、チロシン1
00mcg/mlが含まれていると、aroF遺伝子の
生産物は阻害を受け、結果的に菌株は生育に十分なPh
eやTrpを合成出来なくなる。最少培地で生育出来る
変異体を単離し、採集して、HW295を、再び形質転
換し、得られた形質転換体を、チロシンを添加した最少
培地での生育性によりスクリーニングした。この培地で
生育出来る形質転換体は、変異プラスミドが導入された
と推定され、そのDAHP合成酵素活性を調べた。フィ
ードバック阻害抵抗性の充分なaroF遺伝子を持つ変
異体については更に解析した。
【0026】
【化2】
【0027】
【化3】
【0028】
【化4】
【0029】
【化5】
【0030】
【化6】
【0031】
【化7】
【0032】制限酵素断片の切り替え実験から、そのフ
ィードバック損傷部はBstXI−PvuII断片上に
あることがわかった。次にDNA塩基配列決定により、
一塩基の変化で152番目のグルタミン残基がアルギニ
ン残基に変っていることがわかった。プロモーターとt
yrR結合部位は、aroFリボソーム結合部位にBa
mHI部位を導入することにより取り除いた。aroF
遺伝子の下流の塩基配列については、PvuII−Sa
lI部分を、PvuII−SalI断片に合成ターミネ
ーターを持つもので置き換えた。最適化したaroFの
塩基配列をチャート5に示す。pheA、aroF及び
tyrA遺伝子に加えて、大腸菌K12株から取ったa
spC遺伝子及びB.lichenoformisから
取ったα−アミラーゼ遺伝子も複合プラスミドに使用す
る為に調製した。Hudson,G.S.and Da
vidson,B.E.,J.Molecular B
iol.180:1023−1051(1984)に
は、aroF、tryA及びpheA遺伝子の全領域に
ついて記載されており、またtryA遺伝子の制限酵素
地図及びヌクレオチド配列も記載されている。
【0033】3. aspC遺伝子の調製 aspC遺伝子のクローニングはヨーロッパ特許出願番
号第84100521.8(公開No.116860)
に記載されている。本発明のためには、遺伝子の塩基配
列を決定し便利な制限酵素部位を導入することが必要で
あった。そのDNAの塩基配列をチャート6に示す。B
amHI部位を部位特異的変異によりリボソーム結合部
位に導入した。aspC遺伝子下流のStuI部位を使
いBglIIリンカーを挿入し、BglII部位を導入
した。これらにより、aspC遺伝子を、便利なBam
HI−BglII断片で分離出来る様になった。最適化
したaspC遺伝子をチャート7.でリボソーム結合部
位とともに示す。
【0034】4. アミラーゼ遺伝子の調製 B.lichenoformisのクローニングは、ヨ
ーロッパ特許出願番号第84308868.3号(ヨー
ロッパ特許公開番号149,915号)に記載されてい
る。アミラーゼ遺伝子の塩基配列はチャート8.に示さ
れる。リボソーム結合領域に、本発明者らは部位特異的
変異によりBamHI部位を導入した。アミラーゼ遺伝
子の下流において、HindIII部位へBamHIリ
ンカーを挿入することにより、第二のBamHI部位を
導入した。これらの修飾の詳細をチャート9.に示し
た。
【0035】複合プラスミド及びその応用の実施例 実施例2 遺伝子を高コピー数により転写で脱調節性とした構築体 プラスミドpME157は、高コピー数ベクターpAT
153でクローン化した野生型プロモーターから転写さ
れるFBIR pheA遺伝子を持つ。HindIII−
BglII断片上に存在するtyrA遺伝子並びにar
oF遺伝子は、まずHindIII末にBglIIリン
カーを付加して修飾し、次いでpME157のBamH
I部位にクローン化した。この過程で2組のプラスミド
が得られた。第1組(pME171)では、pheAと
aroFの遺伝子が同一線的(colinearly)
に転写される。第2組(pME170)では両遺伝子は
収束的(convergently)に転写される。p
ME171は、更にBstXI断片をFBIR aroF
プラスミドpMEX13で取り替えて、脱調節プラスミ
ドpST35を生じるFBIR aroF産物を含む様に
修飾した。これらのプラスミドのDAHP合成酵素及び
プレフェネートデヒドラテースへの影響を第1表に要約
した。
【0036】
【化8】
【0037】
【化9】
【0038】
【化10】
【0039】
【化11】
【0040】
【表2】
【0041】第1表において、「検出せず」とは、活性
が存在するものの、その活性が低いために検出できなか
ったことを意味する。HW77を所定のプラスミドで形
質転換した。各々の株は、0.5%カザミノ酸を添加し
た最少培地でOD600 が1.0となる迄生育させた。次
に細胞抽出物を調製しプレフェネートデヒドラテース及
びDAHP合成酵素の活性を評価した。プレフェネート
・デヒドラテース活性はL−フェニルアラニンの存在下
で測定した。DAHP合成活性はフィードバック阻害剤
のない所で測定したので、全体のDAHP合成活性を示
している。酵素活性はmu/min・mgタンパクで表
示した。三つのプラスミドpME171、pME170
及びpST35を、tyrA遺伝子含有HW77(本株
は、DAHP及びフェニルアラニンの両者について栄養
要求を示す。)へ導入した。これらの株に対する栄養共
生実験(第2表)からプラスミドpME170とpME
171は十分にL−フェニルアラニンを生産することが
示された。しかし、pST35を持つHW77は、最少
培地上で非常に生育が悪く、その結果としてほとんど栄
養共生を示さない。高レベルのFBIR aroFは細胞
にとって有害であり、すなわち、FBIR aroFが高
濃度に存在する場合には細胞にとって有害であり、ま
た、該酵素が低いレベル、すなわちより低い濃度で存在
することが、本条件下で最適のL−フェニルアラニン生
産に必要であると思われる。
【0042】実施例3 転写において脱調節性のpheA遺伝子を含む複合プラ
スミド プラスミドpJW2は合成プロモーターから転写される
FBIR pheA遺伝子を持つ。プラスミドpME22
7は、自分のプロモーターから転写し、上述の合成ター
ミネーターで終わるFBIR aroF遺伝子を持つ。両
プラスミドとも高コピー数のプラスミドpAT153を
基にしている。pheAを持つEcoRI断片は、ph
eAを持つpJW2のEcoRI−BamHI断片にE
coRIリンカーを付加することにより構築した。この
EcoRI断片をpME227のEcoRI部位にクロ
ーン化した。aroFに対して両方向に転写するphe
Aを持つプラスミドが得られ、pME238(分散型d
ivergent)及びpME237(同一線型col
inear)と名づけた。これらのプラスミドを持つ菌
株のDAHP合成酵素及びプレフェネート・デヒドラテ
ースの活性を第2表に示す。 第2表 フェニルアラニン生産に関係するクローン化遺
伝子(Pheプラスミド)を持つHW77の栄養共生実
験 HW77を実施例において記載する下記リストのプラス
ミドすべてで形質転換した。24時間及び48時間後の
栄養共生相対度合を示す。
【0043】
【表3】
【0044】両方のプラスミドは、HW77(ATCC
13281)へ導入すると最少培地上での菌株生育を妨
げた。このことは多分FBIR aroF遺伝子の過剰発
現に依るものであろう。この結果としていずれの株もフ
ェニルアラニン栄養要求体と共に加えた最少培地上では
十分な栄養共生の分布域を作らなかった。
【0045】
【化12】
【0046】
【化13】
【0047】
【化14】
【0048】
【化15】
【0049】
【化16】
【0050】
【化17】
【0051】実施例4 半合成オペロンの構築 本実施例では、pheAとaroF遺伝子は、単一の転
写単位内で結合している。プラスミドpJW2は、合成
プロモーターから転写されるpheA遺伝子を持つ。p
heAの下流の変異で作ったBamHI部位は、リボソ
ーム結合部位にBamHI部位を持つaroF遺伝子を
クローニングするのに使った。最終的には、PvuII
部位とSalII部位の間に存在するtyrA塩基配列
は合成ターミネーターを付加して取り除いた。このプラ
スミドpME202は、2,400塩基対のEcoRI
−SalI断片上に半合成オペロンを持っている。この
断片の有用性を一層増す為に、SalI部位にEcoR
Iリンカーを持つpME202の誘導体(pME20
4)を構築した。第3表で、見つかったおよその数を示
す。プラスミドpME202(ATCC53136)
は、多くの菌株に導入され、それにより多くの培地上で
の生育時のDAHP合成酵素及びプレフエネート・デヒ
ドラテースの程度が決定された。これらの一例を第1表
に示した。プラスミドは二つの活性物質を過剰生産して
いるのが明らかであり、フェニルアラニン存在下、非存
在下の生育で酵素レベルを比較することにより、二つの
遺伝子の発現が充分に脱調節となっていると確認され
る。
【0052】
【表4】
【0053】pME202(FBIR aroFを保持し
ている)を持つ大腸菌HW77を用いて栄養共生実験
で、L−フェニルアラニン生産テストを行った。(第2
表)。形質転換してないコントロールに対して極端に大
きいコロニー分布域(zone)が得られた。このこと
は、オペロン構築で二つの遺伝子の発現を同調させるこ
とが有利なことを示す。FBIR aroF生産物のレベ
ルは、最少培地上でのHW77の生育に十分なものであ
る。
【0054】実施例5 さまざまなプラスミドコピー数の効果評価における半合
成フェニルアラニンオペロン構築体の利用 発現へのプラスミドコピー数の効果を確認する為に、a
roF pheAオペロンを持つpME204からEc
oRI断片を次のベクターに再クローン化した。pBR
322(コピー数50)に再クローン化してpMH19
を得、pLG338(コピー数10)にpME208を
得、RP4(コピー数1〜3)にpME214を得た。
これらのプラスミドをtyrA株のHW77及びHW7
60へ導入し、得られた形質転換体については、最少培
地上での生育性と栄養共生実験でL−pheの生産性の
テストを行なった。尚、tyrA株のHW77はチロシ
ンについてのみ栄養要求性である。tyrA株のHW7
60は、原栄養株HW79から誘導されるものであり、
tyrA遺伝子上に欠失を有しておりそのため不活性化
されており、HW77の類似体でもある。これらの実験
結果を第4表に要約した。高コピー数の誘導体は明らか
にHW760の生育に有害である一方、HW77はすべ
てのプラスミドに耐え得ることがわかった。更によりコ
ピー数の少ない誘導体pME208とpME214はH
W760の生育を妨げなかった。pME214又はpM
208を持つHW760は栄養共生の非常に大きな分布
域(zone)を作った。本実施例は、うまくベクター
を選びpheA aroFオペロンのコピー数を変える
ことにより最適発現レベルを如何に得られるかをよく示
している。
【0055】実施例6 半合成フェニルアラニンオペロンの宿主域の拡大 pheA aroFオペロンを含むpME204からの
EcoRI断片を、次の広域宿主ベクターに再クローン
化した。即ち、RP4に再クローン化して、pME21
4を、pCT460に再クローン化して、pME211
を、pKT231に再クローン化してpME212を得
た。
【0056】
【表5】 第4表の最初のプラスミドpME214からpAT15
3まではHW77の形質転換体に相当し、その次のプラ
スミドpME214からpME202まではHW760
の形質転換体に相当する。
【0057】菌株は、それにふさわしい適当な抗生物質
を添加したL−培地で終夜生育させた。終夜培養液の1
ミリリットルを50μg/mlチロシン及び適当な抗生
物質を補った最少乾天培地の上に縞条に流した。生育性
は24時間と48時間後に調べた。これらのプラスミド
を、各種の菌株に形質転換、接合又は吸着(mobil
ization)により導入して、大腸菌L−phe栄
養要求株の栄養共生(cross−feeding)に
ついて調べて、各種菌株のL−phe生産性を検出し
た。第5表に、種々の生物/プラスミド組み合わせと栄
養共生を詳しく示した。意味ある栄養共生が、pseu
domonadsと条件的メチロトローフスを含む生物
で、認められた。
【0058】原理的には、適当なプラスミドに人工オペ
ロンの様なものを単に導入するだけで反応経路が調節を
受けない様にする本発明の方法は、有益な特性を持つほ
とんどの微生物にも拡張できるであろう。発現は多分、
例えばグラム陽性の生物に対しては再び最適化する必要
があろう。またこのことは合成プロモーターと種々のリ
ボゾーム結合部位に変更を必要とするであろう。そのよ
うな企ては、オペロンのモジュラー構造やリボゾーム結
合部位に制限酵素部位のあることにより非常に行ない易
いであろう。
【0059】実施例7 オペロンの拡張−α−アミラーゼ遺伝子の取込み 修飾したα−アミラーゼ遺伝子は、リボソーム結合部位
にBamHI部位が、遺伝子下流のHindIII部位
にはBamHIリンカーが隣接している。amy遺伝子
を運ぶBamHI断片は、pME202の下流のBam
HI部位にクローン化し、人工的な三遺伝子オペロンp
PT112(ATCC53139として寄託)(チャー
ト11参照)が得られた。このプラスミドをHW77へ
形質転換し、澱粉での生育性を調べた。澱粉とブドウ糖
でのHW77/pPT112の生育性の比較から、澱粉
でもブドウ糖でも生育速度の違いは小さいが澱粉での生
育の方は遙かに長い対数期を必要とする(第2図)こと
が明らかになった。50g/lの可溶性澱粉で生育した
HW77/pPT112による発酵でL−pheの意味
ある蓄積が見られた(第3図)。発酵条件は、初期培地
にブドウ糖を含めなかったことと蔗糖供給を行なわなか
ったことの他は実施例10で記載したと同じであった。
可溶性澱粉は50g/lをオートクレーブに先だち発酵
槽に仕込んだ。
【0060】
【表6】第5表 他の属の菌のL−phe生産を高める
為に広域宿主プラスミドへのpheオペロンの利用 プラスミド:pME202 pAT153におけるph
eオペロン。 pME204 SalI部位にEcoRIリンカーを持
つpME204として。 pME211 pME204からのpheオペロンをp
CT460のEcoRI部位にクローン化したもの。 pME212 pME204からのpheオペロン(H
indIII へ向かって転写される)をpKT231の
coRI部位にクローン化したもの。 pME213 pME204からのpheオペロン(s
tr.に向かって転写される)をpKT231のEco
RI部位にクローン化したもの。 RP4 pME204からのpheオペロン(H
indIII 部位に向かって転写される)RP4のEco
RI部位にクローン化したもの。
【0061】
【表7】
【0062】実施例8 オペロンの拡張−aspC遺伝子の取り込み 人工のpheA aroFオペロンは、更に修飾しアス
パラギン酸アミノトランスフェラーゼ(aspC)遺伝
子を含むべく次の様にした。即ち、リボソーム結合部位
にBamHI部位が、またaspC遺伝子の下流にBg
lII部位が隣接するaspC遺伝子を持つpIF18
を、aspCを内包するBamHI−BglII断片の
源として使った。この断片は次にBamHIで部分分解
したpME202へクローン化して、誘導体pME21
9(ATCC53138として寄託してある)を得た。
このものは三遺伝子の人工オペロンを生じる様にaro
Fの下流にaspC遺伝子を持っている(チャート1
0)。HW77へ導入すると、このプラスミドは栄養共
生で検出された如くL−pheを生産する。細胞フリー
の抽出物解析によりaspC活性レベルが向上している
ことがわかる(第6表)。
【0063】
【表8】
【0064】菌株は0.5%カザミノ酸を補ったブドウ
糖最少培地でO.D.600になる迄生育させた。本構
築体の有益性は、本プラスミドがフェニルアラニンの経
路を単に調節しないだけでなくaspCレベルの向上を
もたらすということにある。このことは、L−フェニル
アラニンの力価を上げる為にはアスパラギン酸塩又はグ
ルタミン酸塩とともに化学合成したPPAをL−phe
醗酵に補給出来ることに役立つ。この様な発酵とバイオ
コンバージョンの組み合わせは、L−phe単離がより
一層容易なることとL−pheのより高生産性なことを
包含する特徴を有している。
【0065】
【化18】
【0066】
【化19】
【0067】
【化20】
【0068】
【化21】
【0069】
【化22】
【0070】
【化23】
【0071】
【化24】
【0072】実施例9 フェニルアラニンオペロンプラスミドの菌株スクリーニ
ングへの応用 全部で31ヶの大腸菌株を他の腸内種のものの外にpM
E202で形質転換し、最少培地上での生育性とL−p
he栄養要求体の栄養共生によりスクリーニングした。
その結果を第4表に要約したpheAとaroFの完全
な脱調節は、通常の突然変異法の5〜6回を要するかも
知れないので、複合プラスミド法は速さの点で非常に大
きい長所があると見ることが出来る。45菌株のこの程
度の突然変異を達成するには、これまでの方法では、1
0年が必要であろう、また損傷(lesions)が直
接に比較出来る保証がないかも知れない。複合プラスミ
ド法を使い、菌株は同じ損傷で容易に脱調節することが
出来、最初のスクリーニングにより二週間以内で評価す
ることが出来る。
【0073】実施例10 Pheプラスミドの発酵での有用性 Pheプラスミドを持つ菌株のL−フェニルアラニン生
産能力を調べる為に、10リットル発酵槽でのHW10
57(HW77・pME202)とHW77との生産性
を比較した。両方の菌株を単一コロニーからL−培地で
15時間培養した。HW1057培地は、アンピシリン
100μg/mlを補った。これらの終夜培養液を、次
の最少培地を含む振盪フラスコに加えた。 最少培地: ブドウ糖 19.4 (NH4 2 HPO4 2.0 K2 PO4 6.6 FeAmmCit 0.1 チロシン 0.225 MgSO4 ・7H2 O 2.25 添加割合はグラム/リッターである。微量成分溶液も1
ml/l加えた。HW77pME202の生育培地には
アンピシリンを加えた。
【0074】この種培地(seed culture)
は33℃で12時間培養し、同じ培地の10リットル攪
拌発酵槽に加えた。発酵はチロシンが消費する迄、即ち
ブドウ糖供給が始まるまで約11時間続けた。チロシン
欠乏により、生育はA670 =約20に限られた。70%
のブドウ糖供給は0.63g/l・時間の割合で行なっ
た。L−フェニルアラニン濃度は、発酵の間つねにモニ
ターした。第5図でHW77とPheプラスミドpME
202を持つHW77との典型的な比較を詳しく示す。
本発明のプラスミドの存在で、L−フェニルアラニンの
蓄積速度と最終力価が高くなっているのは明らかであ
る。生産性と最終的な培地での力価の詳細を要約すると
次の表のようである。
【0075】
【表9】
【0076】尚、前記第1表において示したように、H
W77はL−フェニルアラニンをその量はわずかではあ
るが、合成することができる。発酵槽の培地を解析し
て、HW77はプレフエネート及びコリスメートの両方
をかなりの量蓄積するのに対し、HW77・pME20
2は蓄積しないということも明らかになった。このこと
はpME202上の脱調節化されたpheA遺伝子が、
in vivoのプレフエネートデヒドラテース活性を
上げることにより反応経路のL−フェニルアラニン分岐
枝の流れを増大させるという望ましい効果を持つことを
示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】芳香族アミノ酸生合成経路の概略図を示す。第
1図において、rは抑制、aはアテニュエーション(減
弱)、fはフィードバック抑制を示す。
【図2】フドウ糖と澱粉でのHW77/pPT112の
生育曲線を示す。
【図3】可溶性澱粉でのHW77/pPT112の発酵
を示す。A670は670nmの光の吸光度を示し、◇
A670は670nmの光の吸光度の経時変化を示す。
【図4】L−フェニルアラニン生産用複合プラスミド
(pME202)を使い48時間後測定の分布域サイズ
(zone size)を用いたフェニルアラニン生産
株のスクリーニングを示す。
【図5】HW77及びHW77/pME202による発
酵時のフェニルアラニン生産の比較を示す。A670は
670nmの光の吸光度を示し、◇A670は670n
mの光の吸光度の経時変化を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 13/22 A //(C12N 1/21 C12R 1:19) (72)発明者 ハンター,マイクル ジョージ イギリス国 エイリスベリィ,タマー ク ロース 8 (72)発明者 フォザーリンガム,アイアン グラハム イギリス国 オックスフォード,ヘッディ ントン,エイ ロンドン ロード 101

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族アミノ酸を製造する方法であっ
    て、 (a)自律複製単位(レプリコン)を含む第一のDNA
    断片、及び二つ以上の遺伝子及びプロモーターを有する
    人工的な遺伝子群(オペロン)であってこれら遺伝子と
    プロモーターとの組合わせは本来一つの遺伝子群中には
    存在していないものである該人工的な遺伝子群を含む第
    二のDNA断片を含有する複合プラスミドであって;上
    記遺伝子は、フィードバック阻害抵抗性であって芳香族
    アミノ酸の合成で機能する酸素をコードする変異phe
    tyrAaroFaroGaroHaro
    及びtrpE遺伝子からなる群より選ばれるものであ
    る上記複合プラスミドを含む細菌細胞カルチャーを用い
    て醗酵を実施し; (b)次いで該アミノ酸を単離する;ことを含む上記方
    法。
  2. 【請求項2】 該アミノ酸がフェニルアラニンである請
    求項第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】 該アミノ酸がチロシンである請求項第1
    項記載の方法。
  4. 【請求項4】 該アミノ酸がトリプトファンである請求
    項第1項記載の方法。
  5. 【請求項5】 芳香族アミノ酸の製造方法であって、 i)(a)チャート3、(b)チャート5、(c)チャ
    ート7、(d)チャート9、(e)チャート10及び
    (f)チャート11に示すDNA配列からなる群より選
    ばれる精製され単離されたDNA配列を含むプラスミド
    を有する細菌細胞カルチャーを用いて醗酵し; ii)次いでアミノ酸を単離する;ことを含む上記方
    法。
  6. 【請求項6】 芳香族アミノ酸がフェニルアラニンであ
    る請求項第5項記載の方法。
  7. 【請求項7】 芳香族アミノ酸がチロシンである請求項
    第5項記載の方法。
  8. 【請求項8】 芳香族アミノ酸がトリプトファンである
    請求項第5項記載の方法。
  9. 【請求項9】 フェニルアラニンによるフィードバック
    阻害に抵抗性を示し、第8図に示すポリペプチドのアミ
    ノ酸配列を有する、フェニルアラニンの合成で機能する
    酵素。
  10. 【請求項10】 チロシンによるフィードバック阻害に
    抵抗性を示し、第10図に示すポリペプチドのアミノ酸
    配列を有する、芳香族アミノ酸の合成で機能する酵素。
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