JPH0818575B2 - 自動車のル−フ取付構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は自動車のルーフ取付構造に関する。

［従来の技術］ 自動車の車体は周知の様に、各種ピラー、サイドウシ
ル、サイドメンバ、クロスメンバ、カウルボックス及び
ルーフレール等の閉断面の強度部材を骨格として各種パ
ネル材を接合してあり、２ボックスタイプではエンジン
コンパートメントとキャビンを、また３ボックスタイプ
ではエンジンコンパートメントとキャビン及びトランク
ルームとをそれぞれ隔成している。これら何れのタイプ
の車体にあっても、自動車工学全書第19巻自動車の製造
法：昭和55年４月20日山海堂発行の178頁乃至179頁の項
目7.4「車体組立工程」に記載の内容から明らかなよう
に、前記各種骨格メンバ、パネル材を順次に接合してホ
ワイトボディを構成し、これを塗装工程、艤装工程に順
次移送して最終的に各種の機能部品、内装部品を組付け
るようにしている。

ところで、このような構造では、ルーフパネルがホワ
イトボディの段階で、溶接接合され、塗装等が完了した
後、フロントウインドウシールドパネルが後組付けされ
ていた。このため、フロントウインドウシールドパネル
とルーフパネルとの間の隙間を埋めるモールが必要とな
っていた（前記自動車工学全書第19巻234頁参照）。

また、ルーフパネルがホワイトボディの段階で溶接接
合されるため、キャビン等が隔成され、ロボットのアー
ムの動きが制約されて、ロボットの作動制御が複雑化し
てしまうのみならず、ロボットのアームが行き届かず、
組立の自動化が困難になる恐れがあった。

また、艤装工程でキャビン内ルーフパネル等に各種部
品を組付ける場合にあっても、作業者がキャビン内に入
り込んで、あるいはドアが取付く車体開口部より手作業
で行わなければならず、多大な労力と時間とを要してし
まう問題が指摘されている。

そこでこの発明は、フロントウインドウシールドパネ
ルとルーフパネルとの間のモールを廃止でき、各種部品
組付けの自動化も容易な自動車のルーフ取付構造の提供
を目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 上記問題を解決するためにこの発明は、周縁部にリテ
ーナを取付けたルーフパネルを主体とするルーフユニッ
トを分割組成し、このルーフユニットを前記リテーナに
て車体のルーフレールに締結結合し、ルーフレールに支
持されたウインドウシールドパネルの上縁部を前記ルー
フパネルの縁部で覆う構成とした。

［作用］ ルーフユニットを車体のルーフレールに結合すると、
ウインドウシールドパネルの上縁部はルーフパネル縁部
で覆われる。

［実施例］ 以下、図面に基づきこの発明の一実施例を説明する。

第１図〜第４図は、ルーフユニットRUの各ルーフレー
ルへの取付けを示す断面図で、第６図に一例として示し
たハッチバック車のＩ−Ｉ〜IV−IV線矢視におけるもの
である。

まず全体概要を説明すると、このハッチバック車は、
例えば第７図のようにエンジンコンパートメントECと、
エンジンコンパートメントEC後方のフロアユニットFU
と、フロント及びリヤのルーフレールを含むボディサイ
ドBSと、ルーフパネルを主体とするルーフユニットRUの
四つに分割組成され、各ユニットは個別に溶接、塗装お
よび艤装工程に移送され、塗装が完了して各種部品等の
組付けが終った後、相互に結合される構成となってい
る。

次いでルーフユニットRUの取付構造を説明すると、フ
ロントエンドではルーフパネル１に前記第１図、第７図
のように、リテーナとしてのフロントルーフパネルリテ
ーナ３がスポット溶接にて溶接固定されており、リテー
ナ３にはウェルドボルト５が複雑取付けられている。一
方、ボディサイドBSのルーフ部前端を連結するルーフレ
ールとしてのフロントルーフレール７は、ルーフレール
アッパ９とルーフレールロア11とから成り、ルーフレー
ルアッパ９に設けられた平坦な取付面9aに前記リテーナ
３が載置され、ウエルドボルト５は取付面9aの貫通穴9b
を貫通している。また、ルーフレールロア11の作業穴11
aを利用してナット13の取付ができるようになってお
り、このナット13を前記ボルト５に締結してリテーナ３
がルーフレールアッパ９に固定される。これにより、こ
の部位でのルーフユニットRUが車体に取付けられること
になる。このとき、フロントウインドウシールドパネル
15の上縁部15aは若干延長されたルーフパネル１の前縁
部1aで覆われている。このルーフパネル１の前縁部1aに
はウエルト16が取付けられてその端末処理が行われ、こ
れによりルーフパネル１取付時に前縁部1aがウインドウ
シールドパネル15に接触する等したときにウインドウシ
ールドパネル15を傷付けることはない。さらに、ルーフ
パネル１取付状態において、前縁部1aがウインドウシー
ルドパネル15に接触していても、走行振動等による異音
の発生はない。なお、このウエルト16は省略することが
できる。このときは、前縁部1aをヘミング処理するとよ
い。

なお、前記フロントウインドウシールドパネル15上端
部15aはルーフレール７のフランジ7aにシール剤18を介
して支持されている。

また、第２図，第３図のようにルーフユニットRUのリ
ヤエンド及びサイドエンドにおいてもルーフパネル１に
固定されたリテーナとしてのリヤルーフパネルリテーナ
19、サイドルーフパネルリテーナ21にそれぞれウエルド
ボルト23が設けられ、このウエルドボルト23が作業穴25
から挿入したナット27によりルーフレールとしてのリヤ
ルーフレール29、サイドルーフレール31に締結固定され
ているものである。ボディサイドBSのリヤエンドコーナ
ーでは、ルーフパネル１のリヤエンドコーナーが第４図
のように、ボディサイドBSのリヤフェンダ33上端におい
てボルトナット35により締結固定されている。ルーフユ
ニットRUのフロントエンドコーナーはルーフパネル１の
フロントエンドコーナーが第５図のようにフロントピラ
ー37上端部にオーバーラップしている。

上記ルーフユニットRUには予めトリム、ランプ類等が
組付けられる一方、第７図に示すようにフロントピラー
37,センタピラー39,リヤピラー41,サイドシル43及びダ
ッシュサイドパネル45を一体に有するボディサイドBSに
も予めトリム類等が組付けられる。

また、フロアユニットFUは図外のリヤサイドメンバ、
クロスメンバ等、各種骨格メンバを一体に有し、これに
も予めフロアパネル49上面にフロアカーペットが付設さ
れると共に、フロントシート51,リヤシート53,リヤサス
ペンション55等が組付けられる。

エンジンコンパートメントECはダッシュアッパ57,ダ
ッシュロア59を含み、ダッシュアッパ57は車幅方向の骨
格メンバを構成するカウルボックス61の一部を構成す
る。

そしてこのカウルボックス61とフードリッジパネル6
3,フロントサイドメンバ65によってエンジンコンパート
メントECの骨格が構成されると共に、隔成されてエンジ
ンルーム内にはパワーユニット66等が取付けられてい
る。

また、エンジンコンパートメントECには、フロントサ
スペンション67,フロントアクスル、ハンドル69,各種メ
ータを装備したインストルメント71及び各種ペダル等を
装備して予めユニットとして分割組成されている。

そして、この様に分割組成されたエンジンコンパート
メントEC,フロアユニットFU、ルーフユニットRUならび
にボディサイドBSは相互に結合されるが、これらの結合
との関係でエンジンコンパートメントECにおいては第７
図に示すフロントフェンダ73,エンジンフード75、ラジ
コアサポート77及びフロントバンパーユニット79が後組
付けされ、フロアユニットFUではリアパネル81,リヤコ
ンビネーションランプ83及びリヤバンパ85が後組付けさ
れる。ボディサイドBSではドア87が後組付けされる。こ
のドア87にはドアウインドウシールドパネル89,ドア昇
降機構，ドアロック装置及びドアトリム等が予め組付け
られている。バックドア91も後組付けされるが、バック
ドア91には熱線プリントやバックドアロック装置、ワイ
パ93等が予め組付けられている。

上記各ユニットはそれぞれ別のラインで溶接接合が行
われ、それぞれ別の塗装工程、艤装工程に移送される。
すなわち、塗装工程において、別々にパネル塗装が行わ
れると、それぞれ別の艤装工程において各種機能部品内
装品等が組付けられ、それぞれユニットとして分割組成
される。

こうして分割組成された各ユニットは次のようにして
結合される。すなわち、まずエンジンコンパートメント
ECのダッシュロア59後端に、フロアユニットFUのフロア
パネル49前端がボルト・ナットにより、締結結合され
る。

次に、ボディサイドBSの前部フランジ95をエンジンコ
ンパートメントECのブラケット97に突き当てると共にボ
ディサイドBSのリヤエンドコーナーをフロアユニットFU
のリヤエンドコーナーに合せるようにしてボディサイド
BSを合せ、ボディサイドBSと、エンジンコンパートメン
トEC及びフロアユニットFUとを結合する。ガセット98は
ボディサイドBSのダッシュサイドパネル45と、エンジン
コンパートメントECのダッシュアッパ57,ダッシュロア5
9との結合時に共締めされる。

次に、上記ボディサイドBS,エンジンコンパートメン
トEC,フロアユニットFUから成る車体にフロントウイン
ドウシールドパネル15を嵌め込み、その左右両サイドお
よび下縁にモールを装着する。その後、ルーフユニット
RUを車体に組付ける。このとき、ルーフユニットRUのリ
テーナ3,19,21がそれぞれルーフレール7,29,31上に載置
され、ナット13,27により締結固定されると共に、ルー
フユニットRU前縁部1aがウインドウシールドパネル15の
上縁部15aを覆い且つウエルト16がウインドウシールド
パネル15に密着する。このため、この部位にはモールが
不要となり、ルーフユニットRUの組付けは容易なものと
なる。

上述したようにルーフ部をユニット化することによ
り、ルーフユニットRUに互換性が出るので、ユーザの要
求に即応できると共に、ルーフパネル１内面へのトリム
やランプ類等内装品の取付けはルーフパネル１を裏返し
てできるので作業性が向上し組付作業の自動化も容易と
なる。また、ルーフユニットRUを車体側から取外したル
ーフ開放状態で車体側の内装品の取付その他の作業がで
きるので、作業性が向上する。

またフロアユニットFU,ボディサイドBS,エンジンコン
パートメントEC,及びルーフユニットRUは、それぞれユ
ニット毎に分割組成するものであるため、各ユニットの
パネルの溶接部においては、開放空間で行えるため、溶
接ロボットによる自動制御を簡略化することができる。
さらに、各種内装品機能部品も開口空間で取付けること
ができるため、ロボットによる自動化も簡単になる。

なお、ここではハッチバック車について説明したが、
セダン系の自動車においてリヤウインドウシールドパネ
ルとルーフパネルとの結合においてもフロント側と同様
の構造とすることもできる。

なお、この発明はルーフ部を除いた車体各部の接合を
従来の溶接によるものとしてもよく、最後にルーフユニ
ットRUを取付けるようにしてもよい。

［発明の効果］ 以上のようにこの発明によれば、ルーフパネルの縁部
でウインドウシールドパネルの上縁部を覆ったため、ウ
インドウシールドバネルとルーフパネルとの間に取付け
るモールが不要となり、組付けが簡略化される。また、
ルーフユニットを分割組成して結合するからルーフ部に
互換性が出、ユーザの要求に即応できると共に、ルーフ
パネルを反転させた状態で内装品等を組付けることがで
き、組付けの自動化が容易となる。更に、ルーフユニッ
トを取外した状態で車体側の内装品の取付その他の作業
ができるので、この作業は容易なものとなる。

【図面の簡単な説明】

添付図面はこの発明の一実施例に係わり、第１図乃至第
５図はそれぞれ第６図の拡大されたＩ−Ｉ断面図乃至Ｖ
−Ｖ断面図、第６図はハッチバック車の斜視図、第７図
は第６図のハッチバック車の分解斜視図である。 RU……ルーフユニット １……ルーフパネル 1a……前縁部 ３……フロントルーフパネルリテーナ ７……フロントルーフレール 15……フロントウインドウシールドパネル 15a……上縁部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】周縁部にリテーナを取付けたルーフパネル
   を主体とするルーフユニットを分割組成し、このルーフ
   ユニットを前記リテーナにて車体のルーフレールに締結
   結合し、ルーフレールに支持されたウインドウシールド
   パネルの上縁部を前記ルーフパネルの縁部で覆う構成と
   したことを特徴とする自動車のルーフ取付構造。