JPH08157160A - エレベータの冠水防止方法および冠水防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 保守員が冠水しそうな建物に出向くことを要
することなく、かつ、個々の建物に冠水センサを設ける
ことなく、乗かごの冠水を防止することができるエレベ
ータの冠水防止方法および防止装置の提供。 【構成】 制御建物群Ａのうちの少なくとも一つの建物
に、冠水が生じたことが確認されたとき、制御建物群Ａ
のすべてのエレベータ２ａ〜２ｃの乗かごを所定の避難
位置まで運行させる避難信号を出力するようになってい
る。 【効果】 保守員の手間を省くとともに、確実に乗かご
を避難させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建物への浸水により前
記エレベータの乗かごが冠水することを防止するエレベ
ータの冠水防止方法および防止装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、エレベータの昇降路は雨天時に
冠水しない場所に設けられるともに、昇降路底部には防
水処理を施して乗かごが冠水しないようにされている。
しかし、予期せぬ集中豪雨によって建物の屋上に設置さ
れている排水処理装置の処理能力が降水量に追従できな
くなり、オーバーフローした水が屋上出入口より建物内
に侵入し、階段を伝わって各階床に流れ込むことがあ
る。そして、階段の近傍にエレベータの乗場が設けられ
ていると、前記のような事態が生じた際に、エレベータ
のドアと敷居の溝との隙間より浸水し、エレベータの乗
かごが冠水して機器の損傷や絶縁低下を生じ、重大事故
につながる恐れがある。

【０００３】また、階段以外にもエレベータの乗場が建
物の内部にない場合、風向きによっては直接雨水が浸水
したり、河川氾濫による水が侵入する恐れがある。

【０００４】そこで、集中豪雨が発生すると、エレベー
タの保守員は冠水しそうな建物に出掛けて、乗かごを安
全な階へ退避させ、その後、エレベータが運行しないよ
うに休止スイッチを投入し冠水を防止するようにしてい
る。

【０００５】また、実開昭５８−１５４２６５号公報に
記載されているように、エレベータ昇降路への浸水を検
知する冠水センサを設け、この冠水センサの検知時にエ
レベータの乗かごが浸水箇所へ走行しないようにしたエ
レベータの非常運転装置が提案されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前述したし
たように保守員が冠水しそうな建物に出向くのは多大な
労力を要するとともに、限られた人員で多台数のエレベ
ータの乗かごを退避させて休止状態とするのは時間を要
するため、急な集中豪雨などの場合には乗かごが冠水す
る前にすべての建物に出向くのは難しいことがあった。

【０００７】また、後者のように、個々の建物に昇降路
への浸水を検知する冠水センサを設けることはコスト的
に問題があり、実際に冠水センサが取り付けられている
のは限られた建物であるのが現状である。

【０００８】本発明は上述した問題に鑑みてなされたも
ので、その目的は、保守員が冠水しそうな建物に出向く
ことを要することなく、かつ、個々の建物に冠水センサ
を設けることなく、乗かごの冠水を防止することができ
るエレベータの冠水防止方法および冠水防止装置を提供
することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明の請求項１に記載の発明は、所定の地域に含
まれ、それぞれエレベータが備えられる複数の建物から
成る制御建物群と、この制御建物群を電話回線を介して
遠隔的に制御可能な監視センタとを有するビルシステム
に備えられ、前記建物への浸水により前記エレベータの
乗かごが冠水することを防止するエレベータの冠水防止
方法において、制御建物群のうちの少なくとも一つの建
物に、冠水が生じたことが確認されたとき、前記制御建
物群のすべてのエレベータの乗かご及びつり合いおもり
が冠水しない位置まで運行させるようになっている。

【００１０】また、前述の目的を達成するため、本発明
の請求項３に記載の発明は、所定の地域に含まれ、それ
ぞれエレベータが備えられる複数の建物から成る制御建
物群と、この制御建物群を電話回線を介して遠隔的に制
御可能な監視センタとを有するビルシステムに備えら
れ、前記建物への浸水により前記エレベータの乗かごが
冠水することを防止するエレベータの冠水防止装置にお
いて、制御建物群のうちの少なくとも一つの建物に具備
され、冠水を検知するとともに検知信号を出力する冠水
センサと、前記監視センタに設けられ、前記検知信号に
応じて前記制御建物群のすべてのエレベータの乗かご及
びつり合いおもりが冠水しない位置まで運行させる避難
信号を出力する信号出力手段とを備えた構成となってい
る。

【００１１】

【作用】本発明の請求項１に記載の発明は前記のよう
に、エレベータが備えられる建物に冠水が生じたことが
確認されたとき、電話回線を介して避難信号を当該建物
を含む所定の地域の複数の建物から成る制御建物群のす
べてに出力し、エレベータの乗かご及びつり合いおもり
が冠水しない位置まで運行させるようになっている。こ
れによって、保守員が冠水しそうな建物に出向くことを
要することなく、かつ、個々の建物に冠水センサを設け
ることなく、乗かご及びつり合いおもりの冠水を防止す
ることができる。

【００１２】また、本発明の請求項３に記載の発明は前
記のように構成したので、制御建物群のうちの少なくと
も一つの建物に具備される冠水センサが冠水を検知して
監視センタへ検知信号を出力すると、前記監視センタは
信号出力手段により前記制御建物群へ避難信号を出力
し、この制御建物群のすべてのエレベータの乗かご及び
つり合いおもりが冠水しない位置まで運行させるように
なっている。これによって、保守員が冠水しそうな建物
に出向くことを要することなく、かつ、個々の建物に冠
水センサを設けることなく、乗かご及びつり合いおもり
の冠水を防止することができる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明のエレベータの冠水防止方法お
よび冠水防止装置の実施例を図に基づいて説明する。図
１は本発明のエレベータの冠水防止方法の一実施例を示
す説明図である。

【００１４】本実施例の冠水防止方法が適用されるビル
システム１は図１に示すように、所定の地域に含まれ、
それぞれエレベータ２ａ、２ｂ、２ｃおよび制御装置３
ａ、３ｂ、３ｃが備えられる複数の建物４ａ、４ｂ、４
ｃから成る制御建物群Ａと、この制御建物群Ａを電話回
線５を介して遠隔的に制御可能な監視センタ６とを有し
ている。

【００１５】この実施例にあっては、制御建物群Ａに含
まれる建物４ａが冠水しそうであるという連絡を監視セ
ンタ６で受けた場合、監視センタ６から電話回線５を介
してそれぞれの制御装置３ａ〜３ｃに対して避難信号、
すなわち、エレベータ２ａ〜２ｃの乗かごを所定の退避
位置、例えば２階以上の階床まで運行させる信号を出力
する。制御装置３ａ〜３ｃは前記避難信号の受信に応じ
てエレベータ２ａ〜２ｃの乗かごを所定位置へと避難さ
せる。また、監視センタ６は前記の避難信号の出力とと
もに電話回線５を介してそれぞれの制御装置３ａ〜３ｃ
に対して制御信号、すなわち、前述の退避位置以外には
運行できないようにする信号を出力し、エレベータ２ａ
〜２ｃの乗かごが浸水箇所あるいは浸水が懸念される箇
所へと運行することを防止するようになっている。

【００１６】図２は本発明のエレベータの冠水防止装置
の一実施例を示す説明図、図３は図２の冠水防止装置の
冠水検知状態を説明する縦断面図である。なお、前述し
た図１に示すものと同等のものには同一符号が付してあ
る。すなわち、１はビルシステム、２ａ〜２ｃはエレベ
ータ、３ａ〜３ｃは制御装置、４ａ〜４ｃは建物、５は
電話回線、６は監視センタ、Ａは制御建物群である。

【００１７】本実施例の冠水防止装置は図２に示すよう
に、制御建物群Ａのうちの一つの建物４ａに具備され、
冠水を検知するとともに検知信号を出力する冠水センサ
７と、監視センタ６に設けられ、前記検知信号に応じて
制御建物群Ａのすべてのエレベータ２ａ〜２ｃの乗かご
を所定の避難位置まで運行させる避難信号、および、所
定の階床への乗かごの運行を不可能とする制御信号をそ
れぞれ出力する信号出力手段、例えば信号出力装置８と
を備えている。また、図３に示すように、前述の冠水セ
ンサ７は、エレベータ２ａの昇降路２ａ１下部に取り付
けられており、昇降路２ａ１内に冠水した水が所定位置
となったときに作動するようになっている。

【００１８】この実施例にあっては、例えば集中豪雨に
より雨水が建物４ａ内に侵入し昇降路２ａ１下部に所定
量、溜ると冠水センサ７が水に浸り作動する。この作動
に伴い電話回線５を介して監視センタ６へ検知信号が出
力され、監視センタ６は信号出力装置８により制御建物
群Ａ、すなわち、建物４ａ〜４ｃの制御装置３ａ〜３ｃ
に対してへ避難信号を出力し、エレベータ２ａ〜２ｃの
それぞれの乗かごを所定の避難位置まで運行させるよう
になっている。また、監視センタ６は前記の避難信号の
出力とともに電話回線５を介してそれぞれの制御装置３
ａ〜３ｃに対して制御信号、すなわち、前述の退避位置
以外には運行できないようにする信号を出力し、エレベ
ータ２ａ〜２ｃの乗かごが浸水箇所あるいは浸水が懸念
される箇所へと運行することを防止するようになってい
る。

【００１９】このように構成した実施例では、保守員が
冠水しそうな建物に出向くことを要することなく、か
つ、個々の建物４ａ〜４ｃに冠水センサ７を設けること
なく、乗かごの冠水を防止することができる。

【００２０】なお、図２、３に示すように本実施例では
センサ７を昇降路２ａ１下部に設置したが、本発明はこ
れに限らずエレベータのドアの底部や建物の入り口など
に複数設置してもよい。また、制御建物群Ａは気象条件
によってその地域を変更してもよい。例えば局地的な集
中豪雨の場合は、制御建物群Ａの建物全部を対象とする
のではなく、一部だけでもよい。

【００２１】また、本実施例ではエレベータ２ａ〜２ｃ
の退避位置を例えば２階以上の階としたが、図示しない
つり合いおもりも冠水しない階へエレベータ２ａ〜２ｃ
を退避することが望ましい。

【００２２】

【発明の効果】本発明は以上のように構成したので、請
求項１、３に記載の発明では、保守員が冠水しそうな建
物に出向くことを要することなく乗かごの冠水を防止す
ることができ、これによって、保守員の手間を省くとと
もに、確実に乗かごを避難させることができる。

【００２３】また、請求項３に記載の発明では、個々の
建物に冠水センサを設けることなく、すなわち、一つの
建物に設けた冠水センサで他の建物についても制御する
ことができ、これによって、コストの低減を図ることが
できる。

【００２４】また、請求項２、４に記載の発明では、乗
かごを退避位置以外には運行できないようにし、浸水箇
所あるいは浸水が懸念される箇所へと運行することを防
止することにより、確実に前記乗かごを冠水から保護す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のエレベータの冠水防止方法の一実施例
を示す説明図である。

【図２】本発明のエレベータの冠水防止装置の一実施例
を示す説明図である。

【図３】図２の冠水防止装置の冠水検知状態を説明する
縦断面図である。

【符号の説明】

１ ビルシステム ２ａ〜２ｃ エレベータ ３ａ〜３ｃ 制御装置 ４ａ〜４ｃ 建物 ５ 電話回線 ６ 監視センタ ７ 冠水センサ ８ 信号出力装置（信号出力手段） Ａ 制御建物群

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保田 弘司 東京都千代田区神田錦町１丁目６番地 株 式会社日立ビルシステムサービス内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定の地域に含まれ、それぞれエレベー
   タが備えられる複数の建物から成る制御建物群と、この
   制御建物群を電話回線を介して遠隔的に制御可能な監視
   センタとを有するビルシステムに備えられ、前記建物へ
   の浸水により前記エレベータの乗かごが冠水することを
   防止するエレベータの冠水防止方法において、 制御建物群のうちの少なくとも一つの建物に、冠水が生
   じたことが確認されたとき、前記制御建物群のすべての
   エレベータの乗かご及びつり合いおもりが冠水しない位
   置まで運行させることを特徴とするエレベータの冠水防
   止方法。
2. 【請求項２】 乗かご及びつり合いおもりが冠水する階
   床への運行を不可能とすることを特徴とする請求項１に
   記載のエレベータの冠水防止方法。
3. 【請求項３】 所定の地域に含まれ、それぞれエレベー
   タが備えられる複数の建物から成る制御建物群と、この
   制御建物群を電話回線を介して遠隔的に制御可能な監視
   センタとを有するビルシステムに備えられ、前記建物へ
   の浸水により前記エレベータの乗かごが冠水することを
   防止するエレベータの冠水防止装置において、 制御建物群のうちの少なくとも一つの建物に具備され、
   冠水を検知するとともに検知信号を出力する冠水センサ
   と、前記監視センタに設けられ、前記検知信号に応じて
   前記制御建物群のすべてのエレベータの乗かご及びつり
   合いおもりが冠水しない位置まで運行させる避難信号を
   出力する信号出力手段とを備えたことを特徴とするエレ
   ベータの冠水防止装置。
4. 【請求項４】 前述した信号出力手段は、前記避難信号
   とともに、乗かご及びつり合いおもりが冠水する階床へ
   の運行を不可能とする制御信号を出力することを特徴と
   する請求項３に記載のエレベータの冠水防止装置。