JPH08155007A - 薬剤充填容器製剤及びこれに用いる容器 - Google Patents

薬剤充填容器製剤及びこれに用いる容器

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JPH08155007A
JPH08155007A JP6299681A JP29968194A JPH08155007A JP H08155007 A JPH08155007 A JP H08155007A JP 6299681 A JP6299681 A JP 6299681A JP 29968194 A JP29968194 A JP 29968194A JP H08155007 A JPH08155007 A JP H08155007A
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cyclic olefin
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atom
ring
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JP6299681A
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Inventor
Toshiyuki Hirose
敏行 広瀬
Akira Miwa
昭 三輪
Yozo Yamamoto
陽造 山本
Hideo Kobayashi
英夫 小林
Masahiko Kikuchi
正彦 菊池
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daiichi Pharmaceutical Co Ltd
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Daiichi Pharmaceutical Co Ltd
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (1)環状オレフィンとエチレンとのランダ
ム共重合体、(2)環状オレフィンの開環(共)重合体
又は(2)の水素化物である樹脂を成形して得られる注
射筒又は容器に薬剤を充填してなる製剤。 【効果】 透明性に優れ、かつ、薬剤溶液を長期間充填
しても、これに樹脂添加剤が溶出しない。特に薬剤充填
済シリンジ製剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、注射筒又は容器に薬剤
を充填してなる長期間安定な製剤並びに当該製剤に使用
する注射筒及び薬剤保存容器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、注射筒又は容器に薬剤を予め充填
した製剤(いわゆるプレフィルドシリンジ製剤)の開発
・研究が盛んに行われている。このような薬剤充填済み
製剤に用いる注射器又は容器の素材は、当初ガラスが用
いられていたが、近年、ガラスに代わってプラスチック
樹脂を用いる検討がなされている。
【0003】プラスチック製樹脂を用いると、加工の容
易さ、価格、製造工程等の面で有利である反面、次のよ
うな条件を満足する必要がある。
【0004】1)製剤を外部から観察することができ、
異物の混入、薬剤の質的変化、薬剤量等を検査すること
ができるよう、樹脂の透明性が良好なこと。 2)溶出性のない、或は少ないこと、すなわち、樹脂成
分、或は樹脂中に添加した各種添加剤の充填液中への溶
出がないことが必要である。このことは、「日本薬局方
輸液用プラスチック容器試験法溶出試験」により溶出の
有無及びその程度を測定することができる。 3)水蒸気透過性がないか、或は少ないこと。 4)充填された薬剤への影響がないこと。 5)強度が十分であること。例えば、プレフィルドシリ
ンジ用の注射器又は容器として用いる場合には、オート
クレーブ滅菌時の高温下で、高圧に耐えられる程度の強
度が必要であり、また、人体又は動物へ内容物を注入す
るときには、ガスケットを押すことにより注射筒内の内
圧が高まるが、そのときの圧力に耐えられる程度の強度
が必要である。特に、自動注入機を用いて内容液を注入
する場合には、その自動注入機の圧力に耐えられる程度
の強度が必要となる。また、容器が注射筒である場合に
は、その注射筒の容量に応じた強度が必要となる。例え
ば、200ml以上のような大きい容量の場合には、それ
より小さな注射筒、例えば、容量1mlの注射筒に比べか
なりの程度の強度が必要とされることになる。
【0005】特に、従来から主として用いられていた
「通常の使い捨て注射筒」等としての用途ではなく、プ
レフィルドシリンジ(容器)製剤の用途としての新しい
容器、及びそれを用いた製剤は、予め薬剤を充填した
後、充填した状態で長期間保存し、医療現場まで運搬す
ることにより、薬剤を患者に投与する際に、従来のよう
に薬剤を溶かしたり、移し替える必要がなく、プレフィ
ルドシリンジの場合には既にでき上がった製剤を直接投
与できるという特徴をもつことである。かかるプレフィ
ルドシリンジ製剤又はプレフィルド容器製剤のシリンジ
又は容器に用いる素材としては、現在、十分満足できる
ものはなく、多くの問題点を有している。
【0006】例えば、このような薬剤充填済み製剤の容
器の素材として、近年、ポリプロピレン樹脂(以下「P
P」と略す)が用いられているが、この樹脂を容器の素
材として使用するには、透明性を確保するために結晶核
剤を添加する必要がある。従来用いられていた結晶核剤
であるソルビトール系核剤を使用したPP樹脂では、樹
脂が含有する添加剤等の内容液中への溶出が多く、医薬
品を取り扱うシリンジ・容器の素材として適切ではなか
った。このため、核剤として、リン酸エステルを用いた
改良ポリプロピレン系樹脂が開発されていた。このリン
酸エステル系核剤を用いたPP樹脂は、従来のものに比
べ透明性及び添加剤の溶出抑制においてある程度の改善
をみた(特開平5−222078号)。しかし、このも
のも透明性において十分満足できるものではなく、添加
剤によっては、溶出を抑制できないものも多く、耐熱性
に関しても、湿熱蒸気(オートクレーブ)滅菌において
十分耐えられるものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、透明性が良好で、耐熱性に優れ、どのような種類の
添加剤も溶出し難い樹脂素材を用いた薬剤充填用シリン
ジ、薬剤充填用容器、プレフィルドシリンジ製剤及びプ
レフィルド容器製剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】斯かる実状に鑑み本発明
者らは、鋭意研究を行った結果、下記に示す特定の環状
オレフィン系樹脂を用いて得られる注射筒又は容器に、
薬剤を充填すれば、上記課題が解決し得ることを見出し
本発明を完成した。
【0009】すなわち本発明は、次の(A−1)、(A
−2)及び(A−3) (A−1):下記式(1)又は(2)で表される環状オ
レフィンとエチレンとのランダム共重合体、 (A−2):下記一般式(1)又は(2)で表される環
状オレフィンの開環(共)重合体、 (A−3):(A−2)の開環(共)重合体の水素化物 から選ばれる1種又は2種以上の環状オレフィン系樹脂
(A)を成形して得られる注射筒又は容器に薬剤を充填
してなる製剤を提供するものである。
【0010】
【化7】
【0011】〔式中、R1 〜R18並びにRa 及びR
b は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又はハ
ロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基を示し、
15〜R18は互いに結合して二重結合を有していてもよ
い単環又は多環を形成してもよく、R15とR16とで、又
はR17とR18とでアルキリデン基を形成してもよい。n
は0又は1の数を示し、mは0又は自然数を示し、qは
0又は1の数を示す。〕
【0012】
【化8】
【0013】〔式中、R19〜R37はそれぞれ独立に、水
素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていて
もよい脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基若しくは芳
香族炭化水素基又はアルコキシ基を示し、R27及びR28
が結合している炭素原子と、R 31が結合している炭素原
子又はR29が結合している炭素原子とは、直接又は炭素
数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよい。
p及びzは0又は自然数を示し、x及びyは、0、1又
は2の数を示し、n=m=0のときR33とR30又はR33
とR37とは互いに結合して単環又は多環の芳香族環を形
成してもよい。〕
【0014】本発明の製剤は、注射筒又は容器に予め薬
剤が充填されたものであるが、当該薬剤は直接体内に注
入されるため、高度の安全性が要求される。その製剤例
としては静脈内投与用、動脈内投与用、筋肉内投与用、
皮下投与用、臓器内直接注入用の薬剤等が挙げられる。
注射筒又は容器に予め充填される薬剤の種類は、特に限
定されないが、各種疾病の治療又は診断に用いる薬剤、
化学薬品、試薬、リンゲル液、生理的に許容し得る各種
栄養液剤等を挙げることができる。特に、投与液量の多
い場合に本シリンジ、及び本シリンジ製剤は有用であ
る。上記の中で、診断薬としては、各種の造影剤を挙げ
ることができ、造影剤としては、X線造影剤、MRI造
影剤及び超音波造影剤を挙げることができ、各々におい
て、それらのリポソーム製剤を剤型として挙げることが
できる。X線造影剤の例としては、例えば、ヨード含有
の造影剤を挙げることができる。ヨード含有造影剤とし
ては、イオヘキソール、イオジキサノール等の造影剤を
挙げることができる。MRI造影剤の例としては、
(i)ガドリニウム(Gd)、マンガン(Mn)、ディ
スプロシウム(Dy)等の常磁性金属イオン等を含む配
位化合物、例えばガドジアミド水和物、(ii)各種フ
ェライトに代表される強磁性、超強磁性又は超常磁性物
質を含む製剤、(iii)ニトロキシドラジカル類、
(iv)前記の(i)、(ii)又は(iii)を含ん
だリポソーム製剤等を挙げることができる。また、超音
波造影剤としては、蛋白、糖類、或は種々のポリマーか
らなる微小気泡を取り込んだ(又は微小気泡を含んだ)
バブル製剤又はカプセル製剤よりなる超音波造影剤を挙
げることができる。その例としては、いわゆるマイクロ
バブルと呼ばれる、気泡を取り込んだアルブミン製剤
(アルブネックス)等を挙げることができる。各種造影
剤の1つとしてエマルジョン型造影剤を挙げることがで
きる。例えば、水と混和せず沸点が10℃以上かつ60
℃以下の液体からなるO/W型エマルジョンが好まし
く、その代表例としてはフルオロカーボン又はフルオロ
ハイドロカーボン、その酵素、窒素、硫黄原子置換体を
挙げることができる。
【0015】また、薬剤としては、液剤、粉末からなる
粒状剤、固形剤、粉剤等を挙げることができ、液剤は水
溶液に限らず、懸濁液及び油性液を含むものである。ま
た、製剤の形態としては注射筒、薬剤保存用容器等が挙
げられるが、注射筒が好ましい。薬品又は試薬について
は、合成樹脂を溶解することのない、粉状、固形(型)
状、流動状、液体状を問わない。薬品又は試薬の種類と
しては、合成樹脂を溶解しなければ、種類を問わず、ど
のような薬品・試薬でも用いることができる。また、環
状オレフィン系樹脂を用いて製造された注射筒若しくは
容器の中に、薬剤液等を充填した製剤の安全性について
説明する。本発明に係る製剤は、内容物の薬品の安定性
から捕えて、長期間安定である、また、容器からの溶出
物がないという面から捕えて、長期間安定である。この
場合の長期間とは、3年間以上を意味する。この期間内
は、薬剤が安定であり、また、用いた容器からの樹脂へ
の各種添加剤及び樹脂成分の溶出がなく、人体に投与又
は注入しても安全である。
【0016】本発明で用いる環状オレフィン系樹脂
(A)の原料の1つである環状オレフィン(1)は、前
記一般式(1)で表されるものであり、式中、nは0又
は1であり、mは0又は自然数であり、qは0又は1で
ある。なお、qが1の場合には、qを用いて表される環
は6員環となり、qが0の場合にはこの環は5員環とな
る。
【0017】また、R1 〜R18並びにRa 及びRb は、
それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン
原子で置換されていてもよい炭化水素基である。ここ
で、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子
又はヨウ素原子である。また、炭化水素基としては、通
常、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハ
ロゲン化アルキル基、炭素数3〜15のシクロアルキル
基又は芳香族炭化水素基を挙げることができる。より具
体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、
プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、
ヘキチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシ
ル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テト
ラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタ
デシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル
基等が挙げられる。これらアルキル基はハロゲン原子で
置換されていてもよい。また、シクロアルキル基として
は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基等を挙げることができ、芳香族
炭化水素基としてはフェニル基及びナフチル基を挙げる
ことができる。
【0018】さらに、上記式(1)において、R15とR
16とが、R17とR18とが、R15とR 17とが、R16とR18
とが、R15とR18とが、或はR16とR17とがそれぞれ結
合して(互いに共同して)、単環又は多環の基を形成し
ていてもよい。さらに、このようにして形成された単環
又は多環の基が二重結合を有していてもよい。ここで形
成される単環又は多環の基としては、具体的に以下のよ
うな基を挙げることができる。
【0019】
【化9】
【0020】なお、上記例示において、1又は2の番号
を賦した炭素原子は、式(1)においてそれぞれR
15(R16)又はR17(R18)が結合している炭素原子を
表す。また、R15とR16とで、又はR17とR18とでアル
キリデン基を形成していてもよい。このようなアルキリ
デン基は、通常は炭素数2〜20のアルキリデン基であ
り、このようなアルキリデン基の例としては、エチリデ
ン基、プロピリデン基及びイソプロピリデン基を挙げる
ことができる。
【0021】本発明で用いるオレフィン系樹脂(A)の
もう一方の原料である環状オレフィン(2)は、前記一
般式(2)で表されるものであり、式中、p及びzは0
又は自然数であり、y及びxは0、1又は2である。
【0022】また、R19〜R37は、それぞれ独立に、水
素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていて
もよい炭化水素基又はアルコキシ基である。ここでハロ
ゲン原子は、上記式(1)の説明中に挙げたハロゲン原
子と同じ意味である。
【0023】また、脂肪族炭化水素基としては、通常は
炭素数1〜20のアルキル基が挙げられ、脂環族炭化水
素基又は芳香族炭化水素基としては、炭素数3〜15の
シクロアルキル基又は芳香族炭化水素基を挙げることが
できる。より具体的には、アルキル基としては、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、ペンチル基、ヘキチル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、
トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキ
サデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデ
シル基、エイコシル基等が挙げられる。これら、アルキ
ル基はハロゲン原子で置換されていてもよい。シクロア
ルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル
基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ
る。また、芳香族炭化水素基としては、アリール基及び
アラルキル基を挙げることができ、具体的には、フェニ
ル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基及びフェニル
エチル基を挙げることができる。
【0024】また、アルコキシ基としては、前記アルキ
ル基に酸素原子が結合したものが挙げられ、具体的には
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基を
挙げることができる。
【0025】さらに、式(2)において、R27及びR28
が結合している炭素原子と、R31が結合している炭素原
子又はR29が結合している炭素原子とは、直接或は炭素
数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよい。
すなわち、上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して
結合している場合には、R27とR31とが、又は、R28
29とが互いに共同して、メチレン基(-CH2-) 、エチレ
ン基(-CH2CH2-)又はプロピレン基(-CH2CH2CH2-)のうち
のいずれかのアルキレン基を形成している。
【0026】さらに、x=y=0のとき、R33とR30
はR33とR37とは互いに結合して単環又は多環の芳香族
環を形成していてもよい。具体的には、x=y=0のと
き、R33とR30とにより形成される以下のような芳香族
環を挙げることができる。
【0027】
【化10】
【0028】〔式中、zは前記と同じものを示す。〕 上記のような式(1)又は(2)で表される環状オレフ
ィンとしては、具体的には、ビシクロ−2−ヘプテン誘
導体(ビシクロヘプト−2−エン誘導体)、トリシクロ
−3−デセン誘導体、トリシクロ−3−ウンデセン誘導
体、テトラシクロ−3−ドデセン誘導体、ペンタシクロ
−4−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジ
エン誘導体、ペンタシクロ−3−ペンタデセン誘導体、
ペンタシクロ−3−ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ
−4−ヘキサデセン誘導体、ヘキサシクロ−4−ヘプタ
デセン誘導体、ヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体、
ヘプタシクロ−4−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−
5−ヘンエイコセン誘導体、オクタシクロ−5−ドコセ
ン誘導体、ノナシクロ−5−ペンタコセン誘導体、ノナ
シクロ−6−ヘキサコセン誘導体、シクロペンタジエン
−アセナフチレン付加物、1,4−メタノ−1,4,4
a,9a−テトラヒドロフルオレン誘導体、1,4−メ
タノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロ
アントラセン誘導体を挙げることができる。
【0029】上記のような式(1)又は(2)で表され
る環状オレフィンのより具体的な例を以下に示す。
【0030】
【化11】
【0031】
【化12】
【0032】
【化13】
【0033】
【化14】
【0034】
【化15】
【0035】
【化16】
【0036】
【化17】
【0037】
【化18】
【0038】
【化19】
【0039】
【化20】
【0040】
【化21】
【0041】
【化22】
【0042】
【化23】
【0043】
【化24】
【0044】
【化25】
【0045】
【化26】
【0046】
【化27】
【0047】
【化28】
【0048】
【化29】
【0049】
【化30】
【0050】
【化31】
【0051】
【化32】
【0052】
【化33】
【0053】これらの環状オレフィンは、1種又は2種
以上を組み合わせて用いることができる。また、これら
のうち、特に下記式(3)で表されるものが好ましい。
【0054】
【化34】
【0055】〔式中、R38及びR39は、水素原子、ハロ
ゲン原子又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭化
水素基を示す。〕
【0056】上記のような環状オレフィンと共に環状オ
レフィンランダム共重合体(A−1)を形成するのはエ
チレンである。ただし、環状オレフィンランダム共重合
体は、本発明の目的を損なわない範囲で上記のエチレン
及び環状オレフィン以外の他の共重合可能なモノマーか
ら誘導される構成単位を20モル%以下、好ましくは1
0モル%以下の量で含有していてもよい。
【0057】このような他のモノマーとして具体的に
は、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキ
セン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペン
テン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペ
ンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル
−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4
−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、
1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラ
デセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン及び1−
エイコセンのような炭素数3〜20のα−オレフィン
類、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、
3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘ
キセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセ
ン、シクロオクテン及び3a,5,6,7a−テトラヒ
ドロ−4,7−メタノ−1H−インデンのようなシクロ
オレフィン類、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノ
ルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−イソ
プロピル−2−ノルボルネン、5−n−ブチル−2−ノ
ルボルネン、5−イソブチル−2−ノルボルネン、5,
6−ジメチル−2−ノルボルネン、5−クロロ−2−ノ
ルボルネン及び5−フルオロ−2−ノルボルネンのよう
なノルボルネン類、1,4−ヘキサジエン、4−メチル
−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサ
ジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエ
ン、5−エチリデン−2−ノルボルネン及び5−ビニル
−2−ノルボルネンのような非共役ジエン類を挙げるこ
とができる。
【0058】これらの他のモノマーは、単独で或は2種
以上を組み合わせて用いることができる。環状オレフィ
ンランダム共重合体において、前記式(1)又は(2)
で表される環状オレフィンは、下記式(1′)又は
(2′)で表される構造の繰り返し単位を形成している
と考えられる。
【0059】
【化35】
【0060】上記式(1′)中、m、n、q及びR1
18並びにRa 、Rb は前記式(1)におけるのと同じ
意味である。
【0061】
【化36】
【0062】上記式(2′)中、x、y、p、z及びR
19〜R37は前記式(2)におけるのと同じ意味である。
【0063】また、前記式(3)で表される環状オレフ
ィンは、下記式(3′)で表される構造の繰り返し単位
を形成していると考えられる。
【0064】
【化37】
【0065】上記式(3′)中、R38及びR39は前記式
(3)におけるのと同じ意味である。
【0066】エチレンと環状オレフィンとのランダム共
重合体(A−1)には、エチレンから誘導される繰り返
し単位を、通常は10〜90モル%、好ましくは50〜
85モル%の範囲内の量で含有しており、また環状オレ
フィンから誘導される繰り返し単位は、通常は10〜9
0モル%、好ましくは15〜50モル%の範囲内の量で
含有している。そして、エチレンから誘導される繰り返
し単位と環状オレフィンから誘導される繰り返し単位と
は、ランダムに配列されており、しかもこれらの繰り返
し単位は実質上線状に配列されている。
【0067】エチレンと環状オレフィンとのランダム共
重合体(A−1)は、例えば、エチレンと上記環状オレ
フィンとを、炭化水素媒体又は上述の環状オレフィンの
うち反応温度で液体である環状オレフィン中で、炭化水
素可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物と
から形成される触媒(イ)又はシクロペンタジエニル骨
格を有する配位子を含むIV族又はランタニドの遷移金
属化合物と有機アルミニウムオキシ化合物と必要に応じ
て有機アルミニウム化合物とからなる触媒(ロ)の存在
下で重合させることにより製造することができる。
【0068】このような重合方法自体は既に公知であ
り、特開昭60−168708号、同61−12081
6号、同61−115912号、同61−115916
号、同61−271308号、同61−272216
号、同62−252406号、同62−252407
号、特開昭62−252406号及び同62−2524
07号等の公報に記載された方法に従い適宜条件を選定
して製造することができる。
【0069】具体的には、連続重合装置を用いてシクロ
ヘキサン媒体中において、環状オレフィンとしてテトラ
シクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセン
(以下、「TCD−3」と略記することもある)を用
い、触媒としてVO(OCH2CH3)Cl2/Al(C
2CH31.5Cl1.5を用い、反応温度10℃、反応時
間(重合反応滞留時間)を30分程度に設定して共重合
させることにより、エチレン・TCD−3ランダム共重
合体を製造することができる。
【0070】また、環状オレフィン開環(共)重合体
(A−2)は、上記式(1)又は(2)で表される環状
オレフィンを開環させて重合又は共重合させることによ
り得られる樹脂である。
【0071】このような環状オレフィンの開環重合体又
は開環共重合体において、上記式(1)又は(2)で表
される環状オレフィンは、少なくとも一部が、下記式
(4)又は(5)で表される繰り返し単位を形成してい
ると考えられる。
【0072】
【化38】
【0073】ただし上記式(4)において、n、m、q
及びR1 〜R13並びにRa 及びRbは、式(1)におけ
るのと同じ意味である。
【0074】
【化39】
【0075】ただし上記式(5)において、x、y、
p、z及びR19〜R37は、式(2)におけるのと同じ意
味である。
【0076】このような開環重合体又は開環共重合体
(A−2)は、前記公報に開示された製造方法により製
造することができる。すなわち、上記式(1)又は
(2)で表される環状オレフィンを開環重合触媒の存在
下に、重合又は共重合させることにより製造することが
できる。
【0077】ここで使用される開環重合触媒としては、
ルテニウム、コジウム、パラジウム、オスミウム、イン
ジウム又は白金等の金属のハロゲン化物、硝酸塩又はア
セチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒、又
は、チタン、パラジウム、ジルコニウム又はモリブデン
等の金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物
と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒を挙げるこ
とができる。
【0078】さらに、開環(共)重合体の水素化物(A
−3)は、上述の開環(共)重合体を、公知の水素添加
触媒の存在下に水素化することにより得られる。この開
環(共)重合体の水素化において、式(1)又は(2)
で表される環状オレフィンは、少なくとも一部が下記式
(6)又は(7)で表される繰り返し単位を構成してい
ると考えられる。
【0079】
【化40】
【0080】ただし上記式(6)において、n、m、q
及びR1 〜R18並びにRa 及びRbは式(1)における
のと同じ意味である。
【0081】
【化41】
【0082】ただし上記式(7)において、x、y、
q、z及びR19〜R37は式(2)におけるのと同じ意味
である。
【0083】このような開環重合体、開環共重合体、こ
れらの水素添加物の例として、テトラシクロドデセンと
ノルボルネン及びそれらの誘導体との開環共重合体、及
びその水素添加物を挙げることができる。
【0084】本発明において、上記環状オレフィンラン
ダム共重合体、環状オレフィン開環(共)重合体及び環
状オレフィン開環(共)重合体の水素化物は、単独で使
用することもできるし組み合わせて使用することもでき
る。
【0085】なお、上述の環状オレフィン系樹脂は、そ
の一部が無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸等で変性
されていてもよい。このような変性物は、上記のような
環状オレフィン系樹脂と、不飽和カルボン酸、これらの
無水物、又は、不飽和カルボン酸のアルキルエステル等
の誘導体とを反応させることにより製造することができ
る。なお、この場合の変性環状オレフィン系樹脂の変性
率は、通常は50モル%以下、好ましくは10モル%以
下である。
【0086】変性環状オレフィン系樹脂は、上記環状オ
レフィン系樹脂に変性剤をグラフト重合させることによ
り製造することができる。このグラフト重合には、例え
ば、環状オレフィン系樹脂を溶融させ変性剤を添加して
グラフト重合させる方法或は環状オレフィン系樹脂及び
変性剤を溶媒に溶解させてグラフト重合させる方法があ
る。このグラフト重合の際にはラジカル開始剤を使用す
ることが好ましい。このグラフト重合温度は、通常60
〜350℃である。
【0087】また、このような変性環状オレフィン系樹
脂は、環状オレフィン系樹脂に、所望の変性率になるよ
うな量の変性剤を配合してグラフト重合させることによ
り製造することもできるし、予め高変性率の変性物を調
製し、次いでこの変性物と未変性の環状オレフィン系樹
脂とを混合することによっても製造することができる。
【0088】本発明で使用される環状オレフィン系樹脂
(A)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度
(η)が、0.01〜20dl/g、特に0.05〜1
0dl/g、さらに0.3〜8dl/gの範囲内にある
ものが好ましい。
【0089】これらの環状オレフィン系樹脂(A)は、
一般に非晶性又は低結晶性であり、好ましくは非晶性で
ある。また、これらの環状オレフィン系樹脂(A)につ
いて、X線回折法により測定した結晶化度は、通常は5
%以下、その好ましくは0%であり、示差走査型熱量計
(DSC)で明確な融点が観察されないものが多い。
【0090】また、これら環状オレフィン系樹脂(A)
は、ガラス転移温度(Tg)及び軟化温度(TMA)が
高いという特性を有している。この共重合体はガラス転
移温度(Tg)が、50〜230℃、特に120〜20
0℃の範囲内のものが好ましい。また、この環状オレフ
ィン系樹脂(A)は軟化温度が、通常70〜250℃、
特に140〜220℃の範囲内あるものが好ましい。
【0091】またこれらの環状オレフィン系樹脂(A)
の熱分解温度は、通常は350〜420℃、多くが37
0〜400℃の範囲内にある。機械的性質として、この
環状オレフィン系樹脂(A)の曲げ弾性率は、通常1×
104〜5×104kg/cm2 の範囲内にあり、曲げ強度も
通常300〜1500kg/cm2 の範囲内にあるものが好
ましい。
【0092】また、これらの環状オレフィン系樹脂
(A)自体の密度は、通常0.86〜1.10g/c
m3 、好ましくは0.88〜1.08g/cm3 の範囲内
にある。なお、本発明において、上記の軟化温度(TM
A)は、デニポン社製Thermo Mechanic
al Analyserを用いた厚さ1mmのシートの熱
変形挙動を測定することにより特定した。すなわち、シ
ート上に石英製針をのせ、この石英製針に荷重49gを
かけ、5℃/分の速度で昇温して、針がシートに0.6
35mm侵入したときの温度をTMAとした。
【0093】本発明では、環状オレフィン系樹脂(A)
として、上述のような未変性の環状オレフィン系樹脂又
は環状オレフィン系樹脂の変性物を単独で使用すること
もできるし、未変性の環状オレフィン系樹脂と変性環状
オレフィン系樹脂とを組み合わせて使用することもでき
る。
【0094】本発明で使用するオレフィン系樹脂(A)
は、各種の添加剤を含有することができる。該樹脂に含
有させることのできる添加剤としては、塩酸吸収剤、酸
化防止剤、着色剤、UV吸収剤、帯電防止剤等を挙げる
ことができる。また、本発明は、PPと違ってほとんど
結晶性がないためソルビトール系等の核剤を加えなくと
も透明性の良好な成形体を得ることが可能であり、衛生
性の面からも好ましい。
【0095】次に、各々の添加剤について説明する。先
ず、塩酸吸収剤としては、ステアリン酸ナトリウム、ス
テアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ス
テアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、12−ヒドロ
キシステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリ
ン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシ
ウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、1
2−ヒドロキシステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩;エ
ポキシ化ステアリン酸オクチル、エポキシ化大豆油等の
エポキシ系化合物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシ
ウム、ハイドロタルナイト等の無機化合物を一例として
挙げることができる。
【0096】酸化防止剤としては、下記のフェノール系
抗酸化剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤等が例示され
る。フェノール系抗酸化剤の例として、p−ヒドロキシ
アニソール、3−メチル−4−イソプロピルフェノー
ル、アスコルビン酸、2−tert−ブチル−4,6−
ジメチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メト
キシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノ
ール、没食子酸プロピル、m,p−スチレン化クレゾー
ル、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメ
チルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチル−4−
ヒドロキシトルエン、3,5−ジ−tert−ブチル−
4−ヒドロキシトルエン、2,5−ジ−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェノール、4−ヒドロキシメチル
−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4,
6−トリ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−
tert−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾー
ル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、没食子酸n−オクチル、没食子酸ドデシル、ブ
チル化ビスフェノールA、4,4′−メチレン−ビス
(2−tert−ブチル−6−メチルフェノール)、
2,2′−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert
−ブチルフェノール)、4,4′−チオ−ビス(2−メ
チル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−
チオ−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノ
ール)、2,2′−チオ−ビス(4−メチル−6−te
rt−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス
(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、N
−ステアロイル−p−アミノフェノール、4,4′−ブ
チルデン−ビス(6−tert−ブチル−m−クレゾー
ル)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−ter
t−ブチルベンジル)スルフィド、2,2′−メチレン
ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、
4,4′−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノ
ール)、2,2′−ジヒドロキシ−3,3′−ジ−α−
メチルクロヘキシル−5,5′−ジメチルジフェニルメ
タン、4,4′−メチレン−ビス(2,6−ジ−ter
t−ブチルフェノール)、dl−α−トコフェロール、
2,2′−メチレン−ビス(6−メチルベンジル−p−
クレゾール)、2,6−ビス(2′−ヒドロキシ−3′
−tert−ブチル−5′−メチルベンジル)4−メチ
ルフェノール、n−オクタデシル−3−(4′−ヒドロ
キシ−3,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)プロ
ピオネート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒ
ドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、
4,4′−ブチリデン−ビス(2−メチル−4−ヒドロ
キシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−ラウリル
チオエーテル、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t
ert−ブチルアニリノ)−2,4−ビス(オクチルチ
オ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−
6−(n−オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、
1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒド
ロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−s−トリアジン
−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、トリ
ス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)フォスフェート、1,3,5−トリメチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)ベンジルベンゼン、1,3,
5−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−
ブチルベンジル−s−トリアジン−2,4,6−(1
H,3H,5H)−トリオン、トリス[2−tert−
ブチル−4−チオ(2′−メチル−4′−ヒドロキシ−
5′−tert−ブチルフェニル)5−メチルフェニ
ル]フォスファイト、テトラキス[メチレン−3(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]メタン及び3,5−ジ−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォリックアシッ
ド−ジステアリルエステルを挙げることができる。
【0097】リン系安定剤の例としては、トリス(2,
4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、
トリス(モノ&ジノニルフェニル)フォスファイト及び
テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
−4,4−ビフェニレンジフォスフォナイトを挙げるこ
とができる。
【0098】イオウ系安定剤の例としては、ジラウリル
チオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロ
ピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート及びペ
ンタ(ニリスリチル−テトラ−β−メルカプトラウリ
ル)プロピオネートを挙げることができる。
【0099】着色剤としては、ウルトラマリン、酸化チ
タン、カーボンブラック、キナクリド系レッド、ペリレ
ン系レッド、縮合アゾ系レッド、特殊多環系レッド、ア
ゾキレート系レッド、N−チタンイエロー、Cr−チタ
ンイエロー、イソインドリノン系イエロー、アゾレーキ
系イエロー、アゾニッケル系イエロー、アンスラキノン
系イエロー、チタングリーン、コバルトグリーン、銅フ
タロシアニングリーン、群青、コバルトブルー、銅フタ
ロシアニンブルー、キナクリドン系マゼンタ等を例示す
ることができる。
【0100】UV吸収剤としては下記化合物を例示する
ことができる。2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフ
ェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフ
ェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノ
ン、2,2′−ジヒドロキシ−4−n−オクトキシベン
ゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、
2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノ
ン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベ
ンゾフェノンなどのヒドロキシベンゾフェニン類、
【0101】2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert
−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾ
トリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−
ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンドト
リアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ
−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−
クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−
5′−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−ter
t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′
−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−
3′,5′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)]ベン
ゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−
(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタロイド−
メチル)−5′−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾー
ル、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テ
トラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール
−2−イル)フェノール]などのベンゾトリアゾール
類、
【0102】メチル−3−[3−tert−ブチル−5
−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒド
ロキシフェニル]プロピオネートとポリエチレングリコ
ール(分子量約300)との縮合物、フェニルサリシレ
ート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、
2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−
tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキ
サデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシベンゾエートなどのベンゾエート類、2,2′−チ
オビス(4−tert−オクチルフェノール)Ni塩、
[2,2′−チオビス(4−tert−オクチルフェノ
ラート)]−n−ブチルアミンNi塩、(3,5−ジ−
tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホン
酸モノエチルエステルNi塩、(3,5−ジ−tert
−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホン酸モノオ
クチルエステルNi塩、ジブチルジチオカルバメートN
i塩などのニッケル化合物類、α−シアノ−β−メチル
−β(p−メトキシフェニル)アクリル酸メチル、α−
シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸メチルなどの置
換アクリロニトリル類、N−2−エチルフェニル−N′
−2−エトキシ−5−tert−フェニルシュウ酸ジア
ミド、N−2−エチルフェニル−N′−2−エトキシフ
ェニルシュウ酸アミドなどのシュウ酸ジアニリド類など
が挙げられる。
【0103】これらのうちでも、2−ヒドロキシ−4−
n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2′−ヒドロキ
シ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−
メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールが好
ましく用いられる。
【0104】帯電防止剤としては、アルキルスルホン酸
ナトリウム塩及び/又はアルキルスルホン酸ホスホニウ
ム塩を例示することができる。ここでアルキル基として
は炭素数8〜22、好ましくは10〜20、特に好まし
くは13〜18のもの、具体的にはオクチル基、ノニル
基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル
基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル
基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、
イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等の直鎖アル
キル基;メチルヘプチル基、メチルオクチル基、メチル
ノニル基、メチルデシル基、メチルウンデシル基、メチ
ルドデシル基、メチルトリデシル基、メチルテトラデシ
ル基、メチルペンタデシル基、メチルヘキサデシル基、
メチルヘプタデシル基、メチルオクタデシル基、メチル
ノナデシル基、メチルイコシル基、メチルヘンイコシル
基等のメチル基を有する分岐アルキル基;エチルヘキシ
ル基、エチルヘプチル基、エチルオクチル基、エチルノ
ニル基、エチルデシル基、エチルウンデシル基、エチル
ドデシル基、エチルトリデシル基、エチルテトラデシル
基、エチルペンタデシル基、エチルヘキサデシル基、エ
チルヘプタデシル基、エチルオクタデシル基、エチルノ
ナデシル基、エチルイコシル基等のエチル基を有する分
岐アルキル基等を例示することができる。また、ステア
リン酸のグリセリンエステル等の脂肪酸エステルヒドロ
キシアミン系化合物等の帯電防止剤として用いることが
できる。
【0105】本発明において塩酸吸収剤、酸化防止剤、
着色剤、UV吸収剤、帯電防止剤を樹脂に配合する場合
の量は、樹脂100g当たりに配合するg数で表示する
と次のとおりである。
【0106】塩酸吸収剤は通常0.005〜5g、好ま
しくは0.01〜1g;酸化防止剤は通常0.005〜
5g、好ましくは0.01〜1g;UV吸収剤は通常
0.01〜2g、好ましくは0.05〜1gである。ま
た着色剤、帯電防止剤は本発明においては必要に応じて
配合されるものであって、配合しない場合もあり、その
配合量は着色剤については通常0〜5gであり、帯電防
止剤は通常0〜5gである。
【0107】《注射筒又は容器の成形方法》本発明に係
る製剤に用いる注射筒又は容器は、例えば、オレフィン
系樹脂(A)を射出成形、インジェクションブロー成
形、ダイレクトブロー成形、インフレーション成形等す
ることにより製造することができる。
【0108】《製剤の製造方法》次に、上記により製造
して得られた樹脂容器を用いて、薬剤を製剤する方法に
ついて説明する。上記により製造された容器、例えば注
射筒は、湿熱滅菌により、又は、エチレンオキサイドガ
ス滅菌により滅菌処理後、注射筒の先端部に栓をする。
その後、充填機にて滅菌済みの薬剤液(例えば、規定量
の造影剤液)を無菌的な操作、環境下で充填する。或
は、本発明にかかる製剤に用いる注射筒又は容器に薬剤
を充填した後、滅菌しようとする容器の内圧と(オート
クレーブ内であって)その容器の外圧をほぼ等しくする
ように調整した圧力調整型湿熱滅菌又は通常のオートク
レーブを用いて蒸気滅菌を行う方法により製剤化する方
法がある。
【0109】本発明の製剤に用いる注射筒は、どちらの
方法においても使用可能である。しかし、本発明に係る
注射筒、或は本発明の製剤において用いる注射筒は、耐
熱性に優れるため、薬剤充填後に最終工程で湿熱滅菌す
る方法に適している。
【0110】製剤化の工程における、薬剤充填量は、1
mlから2000mlまで種々の容量が可能であり、多くの
場合、200ml以下の範囲で行われる。充填後の打栓の
工程については、つまみ打栓により、又は真空打栓等に
より、ガスケットにより注射筒上部(ガスケットの入る
部分)を密封し、製剤とする。上記例は注射筒に薬剤液
を充填する場合であるが、注射筒容器以外の容器につい
ても同様に薬剤を充填して、製剤化することができる。
【0111】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0112】合成例 エチレンとテトラシクロ〔4.4.0.12,5
7,10〕−3−ドデセン(以下、「TCD−3」と省略
する)とのランダム共重合体の合成:攪拌翼を備えた1
リットルのガラス製重合器上部からTCD−3のシクロ
ヘキサン溶液を、重合器内におけるTCDの供給濃度が
40g/リットルとなるように、連続的に供給した。ま
た重合器上部から触媒として、VO(O・エチル)Cl
2 のシクロヘキサン溶液を、重合器内でのバナジウム濃
度が0.5ミリモル/リットルとなるように、エチルア
ルミニウムセスキクロリド(Al(C251, 5
1,5)のシクロヘキサン溶液を重合器内でのアルミニ
ウム濃度が4.0ミリモル/リットルとなるようにそれ
ぞれ重合器内に連続的に供給した。また重合系にバブリ
ング管を用いてエチレンを36.0リットル/時間、窒
素を35.0リットル/時間、水素を1.0リットル/
時間の量で供給した。
【0113】重合器外部に取り付けられたジャケットに
熱媒体を循環させた重合系を10℃に保持しながら共重
合反応を行った。上記共重合反応によって生成する共重
合体の重合溶液を重合器上部から、重合器内の重合液が
常に1リットルになるように(すなわち平均滞留時間が
0.5時間となるように)連続的に抜き出した。この抜
き出した重合液に、シクロヘキサン/イソプロピルアル
コール(1:1)混合液を添加して重合反応を停止させ
た、その後、水1リットルに対し濃塩酸5mlを添加した
水溶液と重合液とを1:1の割合でホモミキサーを用い
強攪拌下で接触させ、触媒残渣を水相へ移行させた。こ
の接触混合液を静置した後、水相を分離除去した後、さ
らに蒸留水で2回水洗を行い、重合液相を精製分離し
た。
【0114】次いで精製分離させた重合液を3倍量のア
セトンと強攪拌下で接触させ共重合体を析出させた後、
この固体部を濾過により採取し、アセトンで十分洗浄し
た。さらに、共重合体中に存在する未反応のTCDを抽
出するためこの固体部を40g/リットルとなるように
アセトン中に投入した後、60℃で2時間の条件で抽出
操作を行った。抽出処理後、固体部を濾過により採取
し、窒素流通下、130℃、350mmHgで12時間乾燥
した。以上のようにして、表1に試料名をED−1とし
て示す環状オレフィン系樹脂(A)を得た(TCD−3
の含有量28.1モル%)。エチレンとTCD−3の割
合が反応条件を変えて同様に反応を行いED−2、ED
−3の樹脂を得た。これら環状オレフィン系樹脂(A)
の物性を表1、2に示す。また比較例において使用する
ppの物性もあわせて表1に示す。
【0115】
【表1】
【0116】試験例1 表1に示す物性のエチレンと環状オレフィンとのランダ
ム共重合体及びPPに、表2及び表3に示す如き添加剤
を配合した試料を用い以下の試験を行った。ここで用い
た添加剤を以下に示す。
【0117】・塩酸吸収剤A:ステアリン酸カルシウム ・塩酸吸収剤B:水酸化マグネシウム ・酸化防止剤A:テトラキス〔メチレン−3(3,5−
ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネート〕メタン ・酸化防止剤B:トリス(2,4−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)フォスファイト ・着色剤:群青 ・UV吸収剤A:2−(2′−ヒドロキシ−3′−te
rt−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベン
ゾトリアゾール ・UV吸収剤B:2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ
ベンゾフェノン ・UV吸収剤C:コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロ
キシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テト
ラメチルピペリジン重縮合物 ・帯電防止剤A:ホスタスタットFE2(脂肪酸エステ
ル系)(ヘキストジャパン(株)製) ・帯電防止剤B:ダスパー125B(特殊ヒドロキシア
ミン剤)(ミヨシ油脂(株)製) ・結晶核剤A:ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビ
トール ・結晶核剤B:リン酸2,2−メチレンビス(4,6−
ジ−tert−ブチルフェニル)ナトリウム ・滑剤:ステアリルアミド 表2及び表3に示す数値は樹脂100g当たりの上記各
添加剤の配合量をg数で表したものである。
【0118】
【表2】
【0119】
【表3】
【0120】溶出試験:表2、表3に示す各種樹脂をサ
ンプルとして、該樹脂から添加剤等の溶出性を検討する
目的で、日本薬局方一般試験法輸液用プラスチック容器
試験法溶出性試験(日本薬局方解説書、B−431、1
2局)を行った。本発明に係る筒又は容器のできるだけ
湾曲が少なく、厚さの均一な部分をとって切断し、厚み
が0.5mm以下のときは、表裏の表面積の合計が120
0cm2 になるように、また、厚みが0.5mmを超えると
きは、表面積が約600cm2 になるように切断片を集
め、さらに、これらを長さ約5cm、幅0.5cmの大きさ
に細断し、水で洗った後、室温で乾燥した。これを内容
約300mlの硬質ガラス製容器に入れ、水200mlを正
確に加え、適当な栓で密封した後、高圧蒸気滅菌器を用
いて121℃で1時間加熱し、室温になるまで放置し、
この液を試験液とした。別に水を用いて、同様の方法で
対照の空試験液を調製した。試験液及び対照の空試験液
につき、次の試験を行った。
【0121】i)アンモニウム等の検出試験 試験液10mlをネスラー管にとり、水を加えて50mlと
し、水酸化ナトリウム1gを水で3mlにした溶液2.0
ml及びネスラー試液1.0mlを加えてよく振り混ぜると
き、試験液を用いたときの色を次の比較液を用いたとき
の色と比較し、それらの色の濃淡により比べた。比較液
は、試験液の代わりにアンモニア標準液0.5mlに水を
加えて10mlとした液を用い、同様に操作した。アンモ
ニア標準液は、塩化アンモニウム2.97gを正確に秤
量し、アンモニウム試験用精製水に溶かし、この液10
mlを正確に量りこれにアンモニウム試験用精製水を加え
て1000mlとした。この液1mlは、アンモニウム(N
4 +)0.01mgを含む液である。本試験は、アンモニ
ウム類をネスラー試薬で検出する反応によるが、アンモ
ニウムイオンの他にアミン類、ブドウ糖等は陽性とな
り、アンモニウム(NH4 +)として0.5ppm 以下を基
準としている。この試験の結果は、表4に示すごとく、
樹脂番号No.1〜20の環状ポリオレフィン系樹脂を
用いた試験液は全て基準値以下であったが、樹脂番号2
1のPP−Aは基準値を満たさなかった。
【0122】ii)過マンガン酸カリウム還元性物質検
出試験 試験液20mlを共栓フラスコに取り、0.01N過マン
ガン酸カリウム液20ml及び希塩酸1mlを加え、3分間
煮沸し、冷後、これにヨウ化カリウム液0.10gを加
えて、密栓し、振り混ぜて10分間放置した後、0.0
1Nチオ硫酸ナトリウム液で滴定した(指示薬:デンプ
ン試薬5滴)。別に、対照として空試験液20mlを用い
同様に操作した。0.01N過マンガン酸カリウム液の
消費量の差は1.0ml以下を基準として、1ml以下を合
格、それ以上を不合格とした。この試験の結果は表4に
示すごとく、樹脂番号1〜20の環状ポリオレフィン系
樹脂の全てが基準を満たした。しかし、ポリプロピレン
系の樹脂の中で樹脂番号No.21は、基準値を満さな
かった。
【0123】(iii)紫外吸収スペクトル吸収物質検
出試験 試験液につき、空試験液を対照として吸光度測定法によ
り試験を行ったとき、波長220nm以上241nm未満に
おける吸光度は0.08以下であること、波長241nm
以上350nm以下における吸光度は0.05以下である
ことが適合の基準とした。この試験の結果は表4の紫外
吸収物質の欄が示すごとく、試験した樹脂の中で、エチ
レンとTCD−3のランダム共重合体である樹脂の内、
樹脂番号No.3からNo.20までの18種の樹脂
は、短波長(UV220〜240nm)域及び長波長(U
V241〜350nm)域の両域において基準値以下を示
し、合格であった。しかし、該ランダム共重合体樹脂の
中でもガラス転移温度の低い樹脂である、樹脂番号N
o.1及びNo.2の樹脂は、短波長(241〜350
nm)域の吸収試験において基準に不合格であった。ま
た、試験したポリプロピレン系樹脂については、樹脂番
号No.22(PP−B)は紫外吸収スペクトルの短波
長(UV220〜240nm)域において基準を満たさ
ず、また、No.21(PP−A)は短波長(241〜
350nm)域と長波長(242〜350nm)域におい
て、基準値を超えたため、2種のポリプロピレン系樹脂
は共に総合判断において「不適」であった。
【0124】
【表4】
【0125】実施例1 〈注射筒の製造方法〉表1に記載の物性を有する環状オ
レフィン系重合体(ED−1、ED−2、ED−3)に
表2に記載の添加剤を配合して得られる樹脂ペレットを
型締力50tの射出成形機に供給し、下記表5の条件で
成形を行い、内容積5mlの注射筒を得た。
【0126】
【表5】
【0127】実施例2 実施例1と同様な方法で内容積のみ1mlとした注射筒に
下記処方の油性製剤を充填し、薬剤充填済シリンジ製剤
を得た。
【0128】
【表6】 ジメルカプロール 100mg ベンジルベンゾエート 2mg ラッカセイ油 全量 1ml
【0129】実施例3 実施例1と同様な方法で内容積のみ10mlとした注射筒
に、下記処方の脂肪乳剤を充填し、薬剤充填済シリンジ
製剤を得た。
【0130】
【表7】 大豆油 100mg 卵黄レシチン 10mg グリセリン 25mg 注射用水 全量 1ml
【0131】実施例4 実施例1と同様な方法で内容積のみ100mlとした注射
筒に、下記処方の造影剤製剤を充填し、薬剤充填済みシ
リンジ製剤を得た。
【0132】
【表8】 イオヘキソール 64.71g エデト酸二ナトリウムカルシウム 10.00mg トロメタモール 121.00mg 注射用水全量 100ml
【0133】
【発明の効果】本発明によれば、シリンジの透明性にお
いて格段に優れ、また強度においても耐熱性においても
十分であり、かつ、シリンジ中に薬剤液を長期間充填し
ておいても、その中に保存した薬剤液中に樹脂に含まれ
る成分である各種添加剤が液中に溶出しない、使用にあ
たって安全性の高い薬液充填シリンジ製剤、容器製剤が
得られ、また、薬剤液等を長期間保存可能とするシリン
ジ及び容器が得られる。特に薬剤充填済シリンジ製剤と
して有用である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年12月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正内容】
【0088】本発明で使用される環状オレフィン系樹脂
(A)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度
[η]が、0.01〜20dl/g、特に0.05〜1
0dl/g、さらに0.3〜8dl/gの範囲内にある
ものが好ましい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正内容】
【0094】本発明で使用するオレフィン系樹脂(A)
は、各種の添加剤を含有することができる。該樹脂に含
有させることのできる添加剤としては、塩酸吸収剤、酸
化防止剤、着色剤、UV吸収剤、帯電防止剤等を挙げる
ことができる。また、本発明は、ポリプロピレンと違っ
てほとんど結晶性がないためソルビトール系等の核剤を
加えなくとも透明性の良好な成形体を得ることが可能で
あり、衛生性の面からも好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0115
【補正方法】変更
【補正内容】
【0115】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61M 5/31 C08F 232/08 MNV C08L 23/08 LCF LCL 23/24 LCZ 45/00 LKB 65/00 LNY (72)発明者 山本 陽造 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内 (72)発明者 小林 英夫 東京都江戸川区北葛西1丁目16の13 第一 製薬株式会社東京研究開発センター内 (72)発明者 菊池 正彦 東京都江戸川区北葛西1丁目16の13 第一 製薬株式会社東京研究開発センター内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の(A−1)、(A−2)及び(A−
    3) (A−1):下記式(1)又は(2)で表される環状オ
    レフィンとエチレンとのランダム共重合体、 (A−2):下記一般式(1)又は(2)で表される環
    状オレフィンの開環(共)重合体、 (A−3):(A−2)の開環(共)重合体の水素化物 から選ばれる1種又は2種以上の環状オレフィン系樹脂
    (A)を成形して得られる注射筒又は容器に薬剤を充填
    してなる製剤。 【化1】 〔式中、R1 〜R18並びにRa 及びRb は、それぞれ独
    立に、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子で置換
    されていてもよい炭化水素基を示し、R15〜R18は互い
    に結合して二重結合を有していてもよい単環又は多環を
    形成してもよく、R15とR16とで、又はR17とR18とで
    アルキリデン基を形成してもよい。nは0又は1の数を
    示し、mは0又は自然数を示し、qは0又は1の数を示
    す。〕 【化2】 〔式中、R19〜R37はそれぞれ独立に、水素原子、ハロ
    ゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい脂肪族
    炭化水素基、脂環族炭化水素基若しくは芳香族炭化水素
    基又はアルコキシ基を示し、R27及びR28が結合してい
    る炭素原子と、R 31が結合している炭素原子又はR29
    結合している炭素原子とは、直接又は炭素数1〜3のア
    ルキレン基を介して結合していてもよい。p及びzは0
    又は自然数を示し、x及びyは、0、1又は2の数を示
    し、n=m=0のときR33とR30又はR33とR37とは互
    いに結合して単環又は多環の芳香族環を形成してもよ
    い。〕
  2. 【請求項2】 環状オレフィン系樹脂(A)が、135
    ℃、デリカン中で測定した極限粘度(η)が0.3〜8
    dl/gである請求項1記載の製剤。
  3. 【請求項3】 環状オレフィン系樹脂(A)が、ランダ
    ム共重合体(A−1)である請求項1記載の製剤。
  4. 【請求項4】 ランダム共重合体(A−1)が、エチレ
    ンと下記式(3) 【化3】 〔式中、R38及びR39は、水素原子、ハロゲン原子又は
    ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基を示
    す。〕で表されるテトラシクロ〔4.4.0.12,5
    7,10〕−3−ドデセン類とから生成するランダム共重
    合体である請求項3記載の製剤。
  5. 【請求項5】 エチレンに由来する繰り返し単位(a)
    と、テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3
    −ドデセン類(TCD−3類)に由来する繰り返し単位
    (b)のモル比(a/b)が10/90〜90/10で
    あり、TCD−3類に由来する繰り返し単位(b)が下
    記式(3′) 【化4】 〔式中、R38及びR39は、水素原子、ハロゲン原子又は
    ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基を示
    す。〕で表される構造である請求項4記載の製剤。
  6. 【請求項6】 ランダム共重合体(A−1)のガラス転
    移温度(Tg)が120℃以上である請求項4又は5記
    載の製剤。
  7. 【請求項7】 薬剤が造影剤である請求項1〜6のいず
    れかの項記載の製剤。
  8. 【請求項8】 環状オレフィン系樹脂(A)が、UV吸
    収剤、着色剤、帯電防止剤、塩酸吸収剤及び酸化防止剤
    から選ばれる1種又は2種以上を含有する請求項1〜7
    いずれかの項記載の製剤。
  9. 【請求項9】 次の(A−1)、(A−2)及び(A−
    3) (A−1):下記式(1)又は(2)で表される環状オ
    レフィンとエチレンとのランダム共重合体、 (A−2):下記一般式(1)又は(2)で表される環
    状オレフィンの開環(共)重合体、 (A−3):(A−2)の開環(共)重合体の水素化物 から選ばれる1種又は2種以上の環状オレフィン系樹脂
    (A)を成形して得られる長期間の薬液保存に適した注
    射筒又は容器。 【化5】 〔式中、R1 〜R18並びにRa 及びRb は、それぞれ独
    立に、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子で置換
    されていてもよい炭化水素基を示し、R15〜R18は互い
    に結合して二重結合を有していてもよい単環又は多環を
    形成してもよく、R15とR16とで、又はR17とR18とで
    アルキリデン基を形成してもよい。nは0又は1の数を
    示し、mは0又は自然数を示し、qは0又は1の数を示
    す。〕 【化6】 〔式中、R19〜R37はそれぞれ独立に、水素原子、ハロ
    ゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい脂肪族
    炭化水素基、脂環族炭化水素基若しくは芳香族炭化水素
    基又はアルコキシ基を示し、R27及びR28が結合してい
    る炭素原子と、R 31が結合している炭素原子又はR29
    結合している炭素原子とは、直接又は炭素数1〜3のア
    ルキレン基を介して結合していてもよい。p及びzは0
    又は自然数を示し、x及びyは、0、1又は2の数を示
    し、n=m=0のときR33とR30又はR33とR37とは互
    いに結合して単環又は多環の芳香族環を形成してもよ
    い。〕
  10. 【請求項10】 環状オレフィン系樹脂(A)が、UV
    吸収剤、着色剤、帯電防止剤、塩酸吸収剤及び酸化防止
    剤から選ばれる1種又は2種以上を含有する請求項9記
    載の注射筒又は容器。
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