JP2015160399A - 医療用成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐脂性に優れ、強度と透明性にも優れた医療用容器に好適な医療用射出成形品や医療用ブロー成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】ノルボルネン系開環重合体水素添加物などのノルボルネン系重合体70〜90重量%と、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体の水素化物などの水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーからなるブロック共重合体10〜30重量%とを含有する樹脂組成物を、前記ノルボルネン系重合体のガラス転移点(Tg)+130〜160℃に加熱して医療用射出成形品又は医療用ブロー成形品を製造する製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、医療用射出成形品や医療用ブロー成形品の製造方法に関するものであり、より詳しくは耐脂性に優れ、強度と透明性にも優れた医療用容器に好適な医療用射出成形品や医療用ブロー成形品の製造方法に関する。
従来から、医療用薬剤の容器の材料として、ノルボルネン系重合体が用いられている。
シクロオレフィン系共重合体に芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体を配合することで透明性と耐衝撃性と低応力白化のバランスに優れたブリスタパック等の医療用途にも好適なシクロオレフィン系共重合体樹脂組成物が知られている(特許文献1、2)。
また、特許文献3には、高温高湿下に曝されても透明性の低下を抑えることのできる成形体を得るべく、熱可塑性エラストマーの含有量が0.1質量%以上2質量%以下である環状オレフィン樹脂を含む樹脂組成物からなる成形体の製造方法として、シリンダー温度が環状オレフィン樹脂のTg+170℃以下の温度条件で成形することが提案されている。通常シリンダー温度は、樹脂温度とほぼ同じか樹脂温度の方がやや高くなる。
このほか、ノルボルネン系重合体の、皮脂の付着による各種の問題を解決する方法として、例えば容器表面に透明インクを印刷する方法(特許文献4)、ブロー成形時のプリフォームの部位別の温度差を小さくする方法(特許文献5)、保護フィルムを積層する方法(特許文献6)、及び特定のモノマー構成でノルボルネン系重合体を得る方法(特許文献7)などが提案されている。
特開2012−097146号公報 欧州公開EP2644653号公報 国際公開WO2012/114608号 特開2005−247372号公報 特開2005−186311号公報 特開2005−115085号公報 特開2006−241204号公報
かかる従来技術の下、本発明者らは、ノルボルネン系重合体70〜90重量%と水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーからなるブロック共重合体10〜30重量%とを含有する樹脂組成物を、射出成形又はブロー成形する時の樹脂温度が、耐脂性、耐衝撃性、光線透過率に影響を及ぼすことを見出し、本発明を完成させるに至った。
かくして本発明によれば、ノルボルネン系重合体70〜90重量%と水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーからなるブロック共重合体10〜30重量%とを含有する樹脂組成物を、前記ノルボルネン系重合体のガラス転移点(Tg)+130℃以上160℃以下に加熱して成形することを特徴とする医療用射出成形品又は医療用ブロー成形品の製造方法が提供される。
前記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーは、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体を水素化したものであるのが好ましい。
前記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーは、スチレン−イソブチレン−スチレン三元共重合体であるのが好ましい。
<ノルボルネン系重合体>
本発明に用いるノルボルネン系重合体は、ノルボルネン骨格を有する単量体であるノルボルネン系単量体を重合してなるものであり、開環重合によって得られるものと、付加重合によって得られるものに大別される。
開環重合によって得られるものとして、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体、ならびにこれらの水素化物などが挙げられる。付加重合によって得られるものとしてノルボルネン系単量体の付加重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体などが挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系単量体の開環重合体水素化物が、耐熱性、機械的強度、防湿性などの観点から好ましい。
ノルボルネン系単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)及びその誘導体、などが挙げられる。
置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基、アルキリデン基などが例示でき、上記ノルボルネン系単量体は、これらを2種以上有していてもよい。具体的には、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
これらのノルボルネン系単量体は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能な他の単量体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体などを挙げることができる。
これらの、ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。ノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体とを開環共重合する場合は、開環重合体中のノルボルネン系単量体由来の構造単位と開環共重合可能なその他の単量体由来の構造単位との割合が、重量比で通常70:30〜99:1、好ましくは80:20〜99:1、より好ましくは90:10〜99:1の範囲となるように適宜選択される。
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン、及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。
これらの、ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。ノルボルネン系単量体とこれと付加共重合可能なその他の単量体とを付加共重合する場合は、付加重合体中のノルボルネン系単量体由来の構造単位と付加共重合可能なその他の単量体由来の構造単位との割合が、重量比で通常30:70〜99:1、好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは70:30〜95:5の範囲となるように適宜選択される。
ノルボルネン系単量体の開環重合体、又はノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体は、単量体成分を、公知の開環重合触媒の存在下で重合して得ることができる。開環重合触媒としては、例えば、ルテニウム、オスミウムなどの金属のハロゲン化物と、硝酸塩又はアセチルアセトン化合物、及び還元剤とからなる触媒、又は、チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いることができる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体水素化物は、通常、上記開環重合体の重合溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を水素化することにより得ることができる。
ノルボルネン系単量体の付加重合体、又はノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体は、これらの単量体を、公知の付加重合触媒、例えば、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いて重合させて得ることができる。
<水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー>
本発明に用いる水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーは、主として芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体からなるブロック共重合体の共役ジエン単量体部分が部分的あるいはすべて水素添加されたブロック共重合体ばかりでなく、ブチレンやイソブチレンなどのように炭素−炭素二重結合を1個だけ有するものを用いて重合した後、結果的に得られた重合体が水素添加したものと同等なものになるブロック共重合体であっても良い。
ブロック共重合体を構成する共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン等を挙げることができる。水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、芳香族ビニル系化合物重合体ブロックとブタジエン系重合体ブロックからなるスチレン−ブタジエン共重合体を水素化したスチレン−エチレン/ブチレン−スチレン三元共重合体(SEBS)、芳香族ビニル系化合物重合体ブロックとイソプレン系重合体ブロックからなるスチレン−イソプレン共重合体を水素化したスチレン−エチレン/プロピレン−スチレン三元共重合体(SEPS)、芳香族ビニル系化合物重合体ブロックとイソペンタジエン系重合体ブロックからなるスチレン−イソペンタジエン共重合体を水素化したスチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレン三元共重合体(SEEPS)等の、スチレンブロックとジエンブロックとを有する共重合体のジエンブロックを完全又は部分水素添加して得られたもの;スチレン−イソブチレン−スチレン三元共重合体等の、炭素−炭素二重結合を1個だけ有するものを用いて重合した後、結果的に得られた重合体が水素添加したものと同等なものになるブロック共重合体が挙げられる。
これらの中でも、スチレン−イソブチレン−スチレン三元共重合体がノルボルネン系重合体との混練品における透明性の観点から好適である。
本発明において好適に用いられるスチレン−イソブチレン−スチレン三元共重合体の原料となる芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体とは、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックおよびイソブチレンを主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体である。芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メチルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチルスチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メチル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルスチレン、o−、m−又はp−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−クロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロスチレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、o−、m−又はp−t−ブチルスチレン、o−、m−又はp−メトキシスチレン、o−、m−又はp−クロロメチルスチレン、o−、m−又はp−ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレン誘導体、インデン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらの中でも、工業的な入手性やガラス転移温度の点から、スチレン、α−メチルスチレン、および、これらの混合物が好ましく、特にスチレンが好ましい。
イソブチレン系重合体ブロックは、イソブチレンに由来するユニットが60重量%以上、好ましくは80重量%以上から構成される重合体ブロックである。
いずれの重合体ブロックも、共重合成分として、相互の単量体を使用することができるほか、その他のカチオン重合可能な単量体成分を使用することができる。このような単量体成分としては、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類、シラン類、ビニルカルバゾール、β−ピネン、アセナフチレン等の単量体が例示できる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族オレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン、オクテン、ノルボルネン等が挙げられる。
ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、ジビニルベンゼン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。
ビニルエーテル系単量体としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、(n−、イソ)プロピルビニルエーテル、(n−、sec−、tert−、イソ)ブチルビニルエーテル、メチルプロペニルエーテル、エチルプロペニルエーテル等が挙げられる。
シラン化合物としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
本発明の芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックから構成されている限り、その構造には特に制限はなく、例えば、直鎖状、分岐状、星状等の構造を有するブロック共重合体、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、マルチブロック共重合体等のいずれも選択可能である。好ましい構造としては、物性バランス及び成形加工性の点から、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(即ち、芳香族ビニル系重合体ブロック−イソブチレン系重合体ブロック−芳香族ビニル系重合体ブロックで構成されるトリブロック共重合体)が挙げられる。これらは所望の物性及び成形加工性を得る為に、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
芳香族ビニル系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックの割合に関しては、特に制限はないが、柔軟性、屈折率およびゴム弾性の点から、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体における(a)芳香族ビニル系重合体ブロックの含有量が15重量%以上であることが好ましく、30重量%超過35重量%以下であることがさらに好ましい。
芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体の分子量は特に制限はないが、流動性、成形加工性、ゴム弾性等の面から、GPC測定による重量平均分子量で30,000〜300,000であることが好ましく、30,000〜250,000であることが特に好ましい。
重量平均分子量が30,000よりも低い場合には機械的な物性が十分に発現されない傾向があり、一方300,000を超える場合には流動性、加工性が悪化する傾向がある。さらには加工安定性の観点からイソブチレン系ブロック共重合体の重量平均分子量/数平均分子量が1.4以下であることが好ましい。
芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体の製造方法については特に制限はないが、例えば、下記一般式で表される化合物の存在下に、単量体成分を重合させることにより得られる。
(CRX)nR
(式中Xはハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基またはアシロキシ基から選ばれる置換基、R、Rはそれぞれ水素原子または炭素数1〜6の1価炭化水素基でR、Rは同一であっても異なっていても良く、Rは一価若しくは多価芳香族炭化水素基または一価若しくは多価脂肪族炭化水素基であり、nは1〜6の自然数を示す。)
上記一般式で表わされる化合物は開始剤となるものでルイス酸等の存在下、炭素陽イオンを生成し、カチオン重合の開始点になると考えられる。
本発明で用いられる一般式の化合物の例としては、(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)−5−(t−ブチル)ベンゼンなどが挙げられる。
これらの中でも、特に好ましいのはビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[C(C(CHCl)]、トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[(ClC(CH]である。
芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体を製造する際には、さらにルイス酸触媒を共存させることもできる。このようなルイス酸としてはカチオン重合に使用できるものであれば良く、TiCl、TiBr、BCl、BF、BF・OEt、SnCl、SbCl、SbF、WCl、TaCl、VCl、FeCl、ZnBr、AlCl、AlBr等の金属ハロゲン化物;EtAlCl、EtAlCl等の有機金属ハロゲン化物を好適に使用することができる。中でも触媒の反応性の高さや工業的な入手の容易さから、TiCl、BCl、及びSnClが好ましい。ルイス酸の使用量は、特に限定されないが、使用する単量体の重合特性あるいは重合濃度等を考慮して設定することができる。上記一般式で表される化合物に対して、通常0.1〜100モル当量使用することができ、好ましくは1〜50モル当量の範囲である。
芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体の製造に際しては、さらに必要に応じて電子供与体成分を共存させることもできる。この電子供与体成分は、カチオン重合に際して、成長炭素カチオンを安定化させる効果があるものと考えられており、電子供与体の添加によって、分子量分布の狭い、構造が制御された重合体を生成することができる。使用可能な電子供与体成分としては特に限定されないが、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、または金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等を挙げることができる。
芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体の重合は必要に応じて有機溶媒中で行うことができ、有機溶媒としてはカチオン重合を本質的に阻害しなければ、特に制約なく使用することができる。具体的には、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化エチル、ジクロロエタン、n−プロピルクロライド、n−ブチルクロライド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン等のアルキルベンゼン類;エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の直鎖式脂肪族炭化水素類;2−メチルプロパン、2−メチルブタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,2,5−トリメチルヘキサン等の分岐式脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類;石油留分を水添精製したパラフィン油等を挙げることができる。
これらの溶媒は、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体を構成する単量体の重合特性及び生成する重合体の溶解性等のバランスを考慮して、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
溶媒の使用量は、得られる重合体溶液の粘度や除熱の容易さを考慮して、重合体の濃度が1〜50wt%、好ましくは5〜35wt%となるように決定される。
実際の重合を行うに当たっては、各成分を冷却下例えば−100℃以上0℃未満の温度で混合する。エネルギーコストと重合の安定性を釣り合わせるために、特に好ましい温度範囲は−30℃〜−80℃である。
芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体の配合量はノルボルネン系重合体100重量部に対して1〜50重量部が好ましく、3〜25重量部がさらに好ましい。ブロック共重合体が少なすぎると耐衝撃性が不充分となり、逆に多すぎると剛性と耐衝撃性のバランスが悪くなるおそれがある。
<その他配合剤>
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、その他の各種配合剤(樹脂工業において通常用いられる配合剤)を単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
その他の配合剤としては、熱可塑性樹脂材料で通常用いられているものであれば格別な制限はなく、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、染料や顔料などの着色剤、可塑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、その他の樹脂などの配合剤が挙げられる。
老化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられるが、これらの中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。酸化防止剤は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の配合量は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択されるが、ノルボルネン系重合体と、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体との合計量100重量%に対して通常0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、より好ましくは0.1〜1重量%の範囲である。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、アクリレート系紫外線吸収剤、金属錯体系紫外線吸収剤などが挙げられる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤を挙げることができる。
近赤外線吸収剤は、例えば、シアニン系近赤外線吸収剤;ピリリウム系赤外線吸収剤;スクワリリウム系近赤外線吸収剤;クロコニウム系赤外線吸収剤;アズレニウム系近赤外線吸収剤;フタロシアニン系近赤外線吸収剤;ジチオール金属錯体系近赤外線吸収剤;ナフトキノン系近赤外線吸収剤;アントラキノン系近赤外線吸収剤;インドフェノール系近赤外線吸収剤;アジ系近赤外線吸収剤;などが挙げられる。
染料としては、均一に分散・溶解するものであれば特に限定されないが、本発明で用いられる樹脂組成物との相溶性が優るので油溶性染料(各種C.I.ソルベント染料)が広く用いられる。油溶性染料の具体例としてはThe Society of Diyes and Colourists社刊Color Index vol.3に記載される各種のC.I.ソルベント染料が挙げられる。
顔料としては、ジアリリド系顔料、アゾレーキ系顔料、縮合アゾ系顔料、ペンズイミダゾロン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系顔料が挙げられる。
可塑剤としては、燐酸トリエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸一塩基酸エステル系可塑剤、二価アルコールエステル系可塑剤、オキシ酸エステル系可塑剤、主骨格が主にC−C又はC=C構造である常温で液状の炭化水素ポリマーなどが使用できるが、これらの中でも燐酸トリエステル系可塑剤が好ましく、トリクレジルフォスフェート、トリキシリルフォスフェートが特に好ましい。
帯電防止剤としては、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどの長鎖アルキルアルコール、グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレートなどの多価アルコールの脂肪酸エステルなどが挙げられるが、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが特に好ましい。
その他の樹脂としては、柔軟性を付与するためのポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
これらの配合剤の配合量は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択されるが、ノルボルネン系重合体と芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体との合計量100重量%に対して通常0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜1重量%の範囲である。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明では、上記各成分を必要に応じて混合して使用される。混合方法は、重合体中に配合剤が十分に分散する方法であれば、特に限定されない。例えば、ミキサー、一軸混練機、二軸混練機、ロール、ブラベンダー、押出機などで樹脂を溶融状態で混練する方法、適当な溶剤に溶解して分散させて凝固法、キャスト法、又は直接乾燥法により溶剤を除去する方法などがある。
二軸混練機を用いる場合、混練後は、通常は溶融状態で棒状に押出し、ストランドカッターで適当な長さに切り、ペレット化して用いられることが多い。
<樹脂組成物の形成加工>
本発明の樹脂組成物の成形加工方法としては、射出成形法又はブロー成形法が挙げられる。ブロー成形法に関しては、エクストルージョンブロー成形法、インジェクションブロー成形法、二段ブロー成形法、多層ブロー成形法、コネクションブロー成形法、延伸ブロー成形法など、いずれの方法でも良い。
<医療用薬剤容器>
医療用薬剤容器の具体例としては、広口瓶、狭口瓶、バイアル瓶、プレフィラブル・シリンジ、プレフィルド・シリンジ、ワクチン用プレフィルド・シリンジ、抗がん剤用プレフィルド・シリンジ、ニードルレス・シリンジ、アンプルおよびプレス・スルー・パッケージ、輸液用バッグ、点滴薬容器、点眼薬容器などの液体または粉体、固体の薬品容器、血液検査用のサンプリング用試験管、採血管、検体容器などのサンプル容器などが挙げられる。
各種物性の測定法は次のとおりである。
(1)ノルボルネン系重合体70〜90重量%及び芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体10〜30重量%の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、シクロヘキサンを溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリイソプレン換算値として測定した。
(2)水素添加率は、H−NMRにより測定した。
(3)ガラス転移温度は、JIS K 7121に基づき、示差走査熱量分析計(ナノテクロノジー社製、製品名「DSC6220S11」)を用い、ガラス転移温度より30℃以上に加熱した後、冷却速度−10℃/分で室温まで冷却し、その後、昇温速度10℃/分で昇温する過程で測定した。
(4)スキンクリーム塗布試験は、ニベアクリーム(登録商標;ニベア花王社製)をブロー成形品の外表面に塗布し、40℃、24時間静置した後、亀裂の発生の有無を確認した。
(5)落下衝撃試験は、ブロー成形品に純水を充填後、キャップにて密封し、温度23℃、湿度50%下に1時間静置した。その後、ブロー成形品の底面を下向きにし、高さ1.8mから鉛直方向に繰り返し10回落下後、変形及び漏水の有無を確認した。
(6)光線透過率は、厚さ3mmの試験片を用いて、紫外可視赤外分光光度計(日本分光株式会社製、型式「V−570」)にて測定した。
[製造例1]
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500部に、1−ヘキセン0.82部、ジブチルエーテル0.15部、及びトリイソブチルアルミニウム0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン、以下、「DCP」と略記する。)76部と、8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下「TCD」と略す)70部と、テトラシクロ[7.4.0.02,7.110,13]トリデカ−2,4,6,11−テトラエン(以下「MTF」と略す)54部と、六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)80部とを、並行して2時間かけて連続的に添加し重合した。次いで、重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06部とイソプロピルアルコール0.52部を加えて重合触媒を不活性化し重合反応を停止させた。得られた開環重合体を含有する反応溶液をガスクロマトグラフィー分析したところ、各モノマーの重合転化率は、99.5%であった。
次いで、得られた開環重合体を含有する反応溶液100部に対して、シクロヘキサン270部を加え、さらに水素添加触媒としてケイソウ土担持ニッケル触媒(ニッケル担持率58重量%、細孔容積0.25ml/g、比表面積180m/g)5部を加え、水素により5MPaに加圧して撹拌しながら温度200℃まで加温した後、8時間反応させ、DCP/TCD/MTF開環共重合体水素添加物を含有する反応溶液を得た。濾過により水素化触媒を除去し、次いで、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所社製)を用いて、温度270℃、圧力1kPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去し、次いで水素化物を溶融状態で押出機からストランド状に押出し、冷却後ペレット化してペレットを得た。このペレット化された開環共重合体水素添加物(ノルボルネン系重合体A)のMwは34,000、重合体中の炭素−炭素結合の内、水素添加率は99.8%、Tgは135℃、比重は1.01g/cmであった。
[製造例2]
シクロヘキサン258リットルを装入した反応容器に、常温、窒素気流下でビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(以下、「NB」という)120kgを加え、5分間撹拌を行った。さらにトリイソブチルアルミニウムを系内の濃度が1.0ml/リットルとなるように添加した。続いて、撹拌しながら常圧でエチレンを流通させ系内をエチレン雰囲気とした。オートクレーブの内温を70℃に保ち、エチレンにて内圧がゲージ圧で6kg/cmとなるように加圧した。10分間撹拌した後、予め用意したイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリド及びメチルアルモキサンを含むトルエン溶液0.4リットルを系内に添加することによって、エチレンとNBとの共重合反応を開始させた。このときの触媒濃度は、全系に対してイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリドが0.018mmol/リットルであり、メチルアルモキサンが8.0mmol/リットルである。
重合中、系内にエチレンを連続的に供給することにより、温度を70℃、内圧をゲージ圧で6kg/cmに保持した。60分後、イソプロピルアルコールを添加することにより、重合反応を停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、その後、水1mに対し濃塩酸5リットルを添加した水溶液と1:1の割合で強撹拌下に接触させ、触媒残渣を水相へ移行させた。この接触混合液を静置したのち、水相を分離除去し、さらに水洗を2回行い、重合液相を精製分離した。
次いで精製分離された重合液を3倍量のアセトンと強撹拌下で接触させ、共重合体を析出させた後、固体部(共重合体)を濾過により採取し、アセトンで十分洗浄した。さらに、ポリマー中に存在する未反応のモノマーを抽出するため、この固体部を40kg/mとなるようにアセトン中に投入した後、60℃で2時間の条件で抽出操作を行った。抽出処理後、固体部を濾過により採取し、窒素流通下、130℃、350mmHgで12時間乾燥し、エチレン・NB共重合体(ノルボルネン系重合体B)を得た。Tgは135℃であった。
[製造例3]
乾燥し、窒素置換した重合反応器に、DCP30モル%、TCD26モル%、及びNB44モル%からなる単量体混合物7部(重合に使用するモノマー全量に対して1%)、脱水したシクロヘキサン1,600部、分子量調節剤として1−ヘキセン3.0部、ジイソプロピルエ−テル1.3部、イソブチルアルコール0.33部、トリイソブチルアルミニウム0.84部並びに六塩化タングステン0.66%シクロヘキサン溶液30部を入れ、55℃で10分間攪拌した。
次いで、反応系を55℃に保持し、攪拌しながら、前記重合反応器中に前記単量体混合物693部と六塩化タングステン0.77%シクロヘキサン溶液72部を各々150分かけて連続的に滴下し、さらに滴下終了後30分間攪拌した後にイソプロピルアルコール1.0部を添加して重合反応を停止させた。ガスクロマトグラフィーによって重合反応溶液を測定したしたところ、モノマーの重合体への転化率は100%であった。
次いで、上記重合体を含有する重合反応溶液300部を攪拌器付きオートクレーブに移し、シクロヘキサン100部及び珪藻土担持ニッケル触媒(日揮化学社製、製品名「T8400RL」、ニッケル担持率58%)2.0部を加えた。オートクレーブ内を水素で置換した後、180℃、4.5MPaの水素圧力下で6時間反応させた。
水素化反応終了後、珪藻土(昭和化学工業社製、製品名「ラヂオライト(登録商標)♯500」)をろ過床として、加圧ろ過器(IHI社製、製品名「フンダフィルタ−」)を使用し、圧力0.25MPaで加圧ろ過して、無色透明な溶液を得た。
次いで、得られた溶液に、前記水素添加物100部当り、酸化防止剤として、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン社製、製品名「イルガノックス(登録商標)1010」)0.5部を加えて溶解させた。
この溶液をフィルター(キュノーフィルター社製、製品名「ゼータプラス(登録商標)30H」、孔径0.5〜1μm)でろ過した後、ろ液を金属ファイバー製フィルター(ニチダイ社製、孔径0.4μm)にてろ過して異物を除去した。
次いで、上記で得られたろ液を、円筒型濃縮乾燥機(日立製作所製)を用いて、温度260℃、圧力1kPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去し、濃縮機に直結したダイから溶融状態でストランド状に押出し、水冷後、ペレタイザー(長田製作所製、型式「OSP−2」)でカッティングして脂環構造含有開環重合体の水素添加物のペレットを得た。
この脂環構造含有開環重合体の水素添加物(ノルボルネン系重合体C)の分子量はMw=46,000、Mn=17,000、Mw/Mn=2.70であり、水素化率は99.9%、Tgは70℃であった。
[製造例4]
芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体(D)の製造方法
2リットルのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換したのち、注射器を用いてn−ヘキサン456.4ml及び塩化ブチル656.3ml(いずれもモレキュラーシーブスで乾燥したもの)を加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した。イソブチレンモノマー235ml(2910mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にポリテトラフルオロエチレン製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン0.733g(3.2mmol)及びα−ピコリン1.30g(14mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン8.67ml(79.1mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から3時間同じ温度で撹拌を行なったのち、あらかじめ−70℃に冷却しておいたスチレンモノマー149g(1433mmol)、n−ヘキサン14.1ml及び塩化ブチル20.4mlの混合溶液を重合容器内に添加した。さらに2.5時間後大量の水を加えて反応を終了させた。
反応溶液を2回水洗し、溶媒を蒸発させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することによりMwが160000であるブロック共重合体(D)を得た。
[実施例1]
製造例1で得られたノルボルネン系重合体A90部と芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体D10部、酸化防止剤としてペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.5部とを、ブレンダーで混合し、次いで70℃で6時間、0.1hPaで真空乾燥した。ホッパーを窒素置換した2軸混練機を用い、270℃のシリンダー温度で混練して押し出し、ペレット化した樹脂組成物1を得た。このペレット化した樹脂組成物1について、樹脂温度265℃(Tg+130℃)、型温度60℃で射出成形し、全長145.4mm、最大外形29.7mm、肉厚4.7mmのプリフォームを作成した。このプリフォームを、ブロー成形機(フロンティア社製、型式「EFB−1000ET」)にて、プリフォーム加熱温度178℃、ブロー時間2.10秒、サイクルタイム5.26秒の条件で、縦1.55倍、横2.00倍に延伸し、ブロー成形品を作成した。このブロー成形品を用いて、スキンクリーム塗布試験及び落下衝撃試験を行った。尚、ここでプリフォームが得られた場合、表1における「射出成形」の項目を「可」となり、プリフォームが得られなかった場合、表1における「射出成形」の項目を「不可」とした。
また、ペレット化した樹脂組成物1を樹脂温度265℃(Tg+130℃)、型温度120℃で射出成形し、厚さ3.0mmの試験片を作成した。成形した試験片を用い、光線透過率を測定した。
[実施例2]
射出成形時の樹脂温度を295℃(Tg+160℃)に変えた以外は実施例1と同様にして、ブロー成形品及び厚さ3.0mmの試験片を得た。
[実施例3]
ノルボルネン系重合体A70部と芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体D30部に変えた以外は実施例1と同様にして、ペレット化した樹脂組成物2を得た。このペレット化した樹脂組成物2から実施例1と同様にして、射出成形時の樹脂温度265℃(Tg+130℃)でブロー成形品及び厚さ3.0mmの試験片を得た。
[実施例4]
射出成形時の樹脂温度を295℃(Tg+160℃)に変えた以外は実施例3と同様にして、ブロー成形品及び厚さ3.0mmの試験片を得た。
[実施例5]
製造例2で得られたノルボルネン系重合体B90部と芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体D10部に変えた以外は実施例1と同様にして、ペレット化した樹脂組成物3を得た。このペレット化した樹脂組成物3から実施例1と同様にして、射出成形時の樹脂温度265℃(Tg+130℃)でブロー成形品及び厚さ3.0mmの試験片を得た。
[実施例6]
射出成形時の樹脂温度を295℃(Tg+160℃)に変えた以外は実施例5と同様にして、ブロー成形品及び厚さ3.0mmの試験片を得た。
[実施例7]
製造例3で得られたノルボルネン系重合体C90部と芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体D10部、酸化防止剤としてペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.5部とを、ブレンダーで混合し、次いで40℃で6時間、0.1hPaで真空乾燥した。ホッパーを窒素置換した2軸混練機を用い、210℃のシリンダー温度で混練して押し出し、ペレット化した樹脂組成物4を得た。このペレット化した樹脂組成物4について、樹脂温度200℃(Tg+130℃)、型温度40℃で射出成形し、全長145.4mm、最大外形29.7mm、肉厚4.7mmのプリフォームを作成した。このプリフォームを、ブロー成形機(フロンティア社製、型式「EFB−1000ET」)にて、プリフォーム加熱温度:130℃、ブロー時間:2.70秒、サイクルタイム:5.86秒の条件で、縦1.55倍、横2.00倍に延伸し、ブロー成形品を作成した。このブロー成形品を用いて、スキンクリーム塗布試験及び落下衝撃試験を行った。
また、ペレット化した樹脂組成物4を樹脂温度200℃(Tg+130℃)、型温度40℃で射出成形し、厚さ3.0mmの試験片を作成した。成形した試験片を用い、光線透過率を測定した。
[実施例8]
射出成形時の樹脂温度を230℃(Tg+160℃)に変えた以外は実施例7と同様にして、ブロー成形品及び厚さ3.0mmの試験片を得た。
[比較例1]
射出成形時の樹脂温度を235℃(Tg+100℃)に変えた以外は実施例1と同様にした。樹脂温度が低いため、成形することができなかった。
[比較例2]
射出成形時の樹脂温度を315℃(Tg+180℃)に変えた以外は実施例1と同様にして、ブロー成形品及び厚さ3.0mmの試験片を得た。
[比較例3]
射出成形時の樹脂温度を235℃(Tg+100℃)に変えた以外は実施例3と同様にした。樹脂温度が低いため、成形することができなかった。
[比較例4]
射出成形時の樹脂温度を315℃(Tg+180℃)に変えた以外は実施例3と同様にして、ブロー成形品及び厚さ3.0mmの試験片を得た。
[比較例5]
射出成形する際の樹脂温度を235℃(Tg+100℃)に変えた以外は実施例5と同様にした。樹脂温度が低いため、成形することができなかった。
[比較例6]
射出成形時の樹脂温度を315℃(Tg+180℃)に変えた以外は実施例5と同様にして、ブロー成形品及び厚さ3.0mmの試験片を得た。
[比較例7]
射出成形時の樹脂温度を170℃(Tg+100℃)に変えた以外は実施例7と同様にした。樹脂温度が低いため、成形することができなかった。
[比較例8]
射出成形時の樹脂温度を250℃(Tg+180℃)に変えた以外は実施例7と同様にした。樹脂の酸化及び焼けの発生がみられ、評価に適した成形品を得ることができなかった。
[比較例9]
ノルボルネン系重合体A95部と芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体D5部に変えた以外は実施例1と同様にして、ブロー成形品及び厚さ3.0mmの試験片を得た。
[比較例10]
ノルボルネン系重合体A65部と芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体D35部に変えた以外は実施例1と同様にして、ブロー成形品及び厚さ3.0mmの試験片を得た。
実施例1〜8、比較例1〜10の結果を表1に示す。
Figure 2015160399
この結果から、以下のことがわかる。
ノルボルネン系重合体及び芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体からなる樹脂組成物について、射出成形時の樹脂温度をTg+130℃以上160℃以下の条件に設定することで、耐脂性、耐衝撃性、透明性に優れた射出成形品及びブロー成形品を得ることができる(実施例1〜8)。さらには、樹脂温度は範囲内で低い方が、耐脂性、耐衝撃性、透明性に優れることがわかる(実施例1〜8)。
それに対して、樹脂温度をTg+100℃に設定する場合、流動性が乏しく射出成形することができない(比較例1、3、5、7)。また、樹脂温度をTg+180℃に設定する場合、樹脂の酸化劣化が発生する(比較例2、4、6、8)。
イソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体が少なすぎる場合、透明性に優れるが耐脂性、耐衝撃性に劣る(比較例9)。また、イソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体が多すぎる場合、耐脂性、耐衝撃性に優れるが透明性に劣る(比較例10)。

Claims (4)

  1. ノルボルネン系重合体70〜90重量%と水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーからなるブロック共重合体10〜30重量%とを含有する樹脂組成物を、前記ノルボルネン系重合体のガラス転移点(Tg)+130℃以上160℃以下に加熱して成形することを特徴とする医療用射出成形品又は医療用ブロー成形品の製造方法。
  2. 前記ノルボルネン系重合体がノルボルネン系開環重合体水素添加物である請求項1記載の医療用射出成形品又は医療用ブロー成形品の製造方法。
  3. 前記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体を水素化したものである請求項1又は2に記載の医療用射出成形品又は医療用ブロー成形品の製造方法。
  4. 前記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが、スチレン−イソブチレン−スチレン三元共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の医療用射出成形品又は医療用ブロー成形品の製造方法。
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