JP2024065581A - 薬剤非吸着性中空容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い透明性が維持された環状ポリオレフィンおよびエチレン系重合体からなる樹脂組成物を用いた中空容器提供することにある。【解決手段】 ガラス転移温度125℃以上、JIS K7142を準拠した屈折率が1.52~1.54である環状ポリオレフィン(A)5~95重量%、およびJIS K7142を準拠した屈折率が1.52~1.53、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる分子量測定において重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2~7の範囲である炭素数6以上の長鎖分岐を有するエチレン系重合体(B)5~95重量%を含む樹脂組成物を用いた中空容器。【選択図】 なし

Description

本発明は、中空容器に関する。さらに詳しくは、輸液や食品包装に用いられる医療用ボトルないしアンプルおよび食品用ボトルないしアンプルに好適な中空容器に関するものである。
薬液、血液等を包装する医療用中空容器および食品を包装する食品用中空容器には、異物の有無を目視確認するための透明性、内容液ないし内容物中の有効成分の散逸防止性ないし保存安定性などが要求される。
従来、これらの性能を満たす医療用中空容器および食品用中空容器にポリオレフィン樹脂や環状ポリオレフィン樹脂が使用されるが、環状ポリオレフィン樹脂はガラス転移温度が室温以上であることから、環状ポリオレフィンのみからなるボトルないしアンプルは衝撃によりひび割れるなど、耐衝撃性の点で課題がある。
そこで、容器の材料である環状ポリオレフィンへポリエチレンやポリプロピレン等の線状ポリオレフィンないしスチレンブロック共重合体、イソブチレン共重合体等をブレンドした樹脂組成物が種々開発され、環状ポリオレフィンと線状ポリオレフィン等からなる樹脂組成物を用いた医療用フィルムが提案されている(例えば、特許文献1~6参照。)。
しかし、環状ポリオレフィン樹脂とポリエチレン系樹脂の樹脂組成物からなる容器は、透明性等が低下するなどの課題がある。また、環状ポリオレフィン樹脂とポリプロピレンの樹脂組成物からなる容器は、低温下での耐衝撃性が低下するなどの課題がある。一方、環状ポリオレフィン樹脂とスチレンブロック共重合体ないしイソブチレン共重合体等の樹脂組成物からなる容器は、容器のコストが上昇するなどの課題がある。そのため、環状ポリオレフィン樹脂の耐衝撃性を改良する樹脂の開発が望まれていた。
特開平8-192871号公報 特開2000-70331号公報 特開2009-248973号公報 特許第5330240号公報 特開2018-165360号公報 特開2018-165361号公報
特許文献5,6に提案の樹脂組成物からなる容器は、耐衝撃性、透明性という点においては効果が見られるものであり食品包装等への展開が可能なものではあったが、医療分野における薬液の安定性の改善を求められるものであった。
そこで、本発明の目的は、環状ポリオレフィン樹脂よりなる医療用ないし食品用中空容器の更なる改善として、高い透明性が維持された中空容器を提供することにある。
さらに、医療用ないし食品用中空容器を用いた製品では、滅菌、調理などの加熱処理が行われるが、加熱処理後にも薬液、調理液や含有成分(以下、有効成分という場合がある)が安定して保持された中空容器を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を行なった結果、特定の環状ポリオレフィン樹脂と特定のポリエチレン系樹脂を特定量配合として含む樹脂組成物からなる内層を有する中空容器により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の各態様は、以下に示す[1]~[16]である。
[1] ガラス転移温度125℃以上、JIS K7142を準拠した屈折率が1.52~1.54である環状ポリオレフィン(A)5~95重量%、およびJIS K7142を準拠した屈折率が1.52~1.53、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる分子量測定において重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2~7の範囲であり、分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に炭素数6以上の長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.15個以上有するエチレン系重合体(B)5~95重量%を含む樹脂組成物からなる中空容器。
[2] 外層、中間層、内層をこの順で有する中空容器であって、容器内側の表面に位置する内層が、ガラス転移温度125℃以上、JIS K7142を準拠した屈折率が1.52~1.54である環状ポリオレフィン(A)5~95重量%、およびJIS K7142を準拠した屈折率が1.52~1.53、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる分子量測定において重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2~7の範囲であり、分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に炭素数6以上の長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.15個以上有するエチレン系重合体(B)5~95重量%を含む樹脂組成物からなる中空容器。
[3] 環状ポリオレフィン(A)が、
(i)ASTM D1238を準拠し、260℃、21.18Nにて測定したメルトマスフローレート(MFR)が10~30g/10分、
(ii)ISO 1133を準拠し、280℃、21.2Nにて測定したメルトマスフローレート(MFR)が10~60g/10分、または
(iii)ISO 1133を準拠し、230℃、21.18Nにて測定したメルトボリュームフローレート(MVR)が10~60cm/10minのいずれかを少なくとも一つ以上満たすものであり、
エチレン系重合体(B)がJIS K 6922-1に準拠し、190℃、荷重21.18Nで測定したメルトマスフローレート(MFR)が0.1~15g/10分である、[1]又は[2]に記載の中空容器
[4] 環状ポリオレフィン(A)が、下記構造式(1)で示される単位を含む重合体である、[1]~[3]のいずれかに記載の中空容器。
(上記式(1)中、Ra、Rbは、水素原子又は有機基を表し、RaとRbはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。mは1以上の整数、nは0以上の整数である。)
[5] 環状ポリオレフィン(A)が、下記構造式(3)で示される単位を30モル%以上含む重合体である、[4]に記載の中空容器。
[6] 環状ポリオレフィン(A)が、下記構造式(4)で示される単位を20モル%以上含む多元共重合体である[5]に記載の中空容器。

[7] 環状ポリオレフィン(A)が、下記構造式(5)で示される単位を10モル%以上含む多元共重合体である、[4]に記載の中空容器。

[8] 環状ポリオレフィン(A)が、上記構造式(4)で示される単位として、その立体異性体であるエンド型が50モル%以上、エキソ型が50モル%未満を含む多元共重合体である、[6]に記載の中空容器。
[9] エチレン系重合体(B)が、JIS K6922-1に準拠して密度勾配管法で測定した密度が930~960kg/mのエチレン系重合体である、[1]~[8]のいずれかに記載の中空容器。
[10] エチレン系重合体(B)が、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる分子量測定において2つのピークを示すものである(分子量測定においてピークトップ分子量(Mp)はGPC測定によって得られた分子量分布曲線を2個のピークに分割し、高分子量側のピークと低分子量側のピークのトップ分子量を評価し、その差が100,000以上である場合を2つのMpを有するとする)、[1]~[9]のいずれかに記載の中空容器。
[11] 環状ポリオレフィン(A)が50~90重量%、およびエチレン系重合体(B)が10~50重量%である、[1]~[10]のいずれかに記載の中空容器。
[12] 環状ポリオレフィン樹脂(A)及びエチレン系重合体(B)の合計100重量部に対して、分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に炭素数6以上の長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.14個以下有する高密度ポリエチレン(C)20~300重量部をさらに含む樹脂組成物からなる、[1]~[11]のいずれかに記載の中空容器。
[13] 高密度ポリエチレン(C)が、JIS K6922-1に準拠して密度勾配管法で測定した密度が940~970kg/m、JIS K 6922-1に準拠し、190℃、荷重21.18Nで測定したメルトマスフローレート(MFR)が0.1~15g/10分のものである、[12]に記載の中空容器。
[14] 高密度ポリエチレン(C)が、Mw/Mnが2.0~3.5、Mnが25,000以上のものである、[12]又は[13]に記載の中空容器。
[15] 高密度ポリエチレン(C)の含有量が20~60重量部である、[12]~[14]のいずれかに記載の中空容器。
[16] 環状ポリオレフィン樹脂(A)及びエチレン系重合体(B)の合計100重量部、高密度ポリエチレン(C)20~60重量部に対して、環状オレフィン系樹脂エラストマー(D)10~40重量部をさらに含む樹脂組成物からなる、[15]に記載の中空容器。
本発明の一態様である中空容器は、透明性に優れる容器であり、医療用ないし食品用中空容器として、加熱処理後にも薬液、調理液や含有成分が安定して保持される。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の一態様である中空容器は、ガラス転移温度125℃以上、JIS K7142を準拠した屈折率が1.52~1.54である環状ポリオレフィン(A)5~95重量%、およびJIS K7142を準拠した屈折率が1.52~1.53、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる分子量測定において重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2~7の範囲であり、分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に炭素数6以上の長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.15個以上有するエチレン系重合体(B)5~95重量%を含む樹脂組成物からなるものである。以下、この容器を単層中空容器ということがある。
また、本発明の一態様である中空容器は、外層、中間層、内層をこの順で有する中空容器であって、容器内側の表面に位置する内層が、ガラス転移温度125℃以上、JIS K7142を準拠した屈折率が1.52~1.54である環状ポリオレフィン(A)5~95重量%、およびJIS K7142を準拠した屈折率が1.52~1.53、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる分子量測定において重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2~7の範囲であり、分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に炭素数6以上の長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.15個以上有するエチレン系重合体(B)5~95重量%を含む樹脂組成物からなるものである。以下、この容器を多層中空容器ということがある。
環状ポリオレフィン(A)は、ガラス転移温度125℃以上、JIS K7142を準拠した屈折率が1.52~1.54である環状ポリオレフィンであり、環状オレフィン成分を重合成分として含むものであり、環状オレフィン成分を主鎖に含むポリオレフィン樹脂であり、ガラス転移温度125℃以上、JIS K7142を準拠した屈折率が1.52~1.54である環状ポリオレフィンであれば、特に限定されない。ここで、ガラス転移温度が125℃未満の環状ポリオレフィンである場合、得られる樹脂組成物は耐熱性に劣るものとなり、容器等とした場合の滅菌処理の際に有効成分の含有量の維持に課題を発生しやすいものとなる。また、屈折率が1.52~1.54の範囲を外れる環状ポリオレフィンである場合、得られる組成物は透明性に課題を発生しやすいものとなる。環状ポリオレフィンとしては、例えば下記構造式(1)で示される単位を有する重合体(以下「ポリマー(1)」と称す場合がある。)及び/又は下記構造式(2)で示される単位を有する共重合体(以下「ポリマー(2)」と称す場合がある。)が挙げられる。特にポリマー(1)を用いることが中空容器を成形した際に外観不良を起こしにくいために好ましい。なお、ポリマー(2)を用いても、成形温度、スクリューの回転数、スクリューのデザインなどの中空容器を成形する条件を適切な条件に設定すれば、外観不良を防止可能であることから、ポリマー(2)の使用を妨げるものではない。
(上記式(1)中、Ra、Rbはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は有機基を表し、RaとRbは互いに結合して環を形成してもよい。nは0以上の整数である。
上記式(2)中、Rc及びRdはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は有機基を表し、RcとRdは互いに結合して環を形成してもよい。nは0以上の整数である。)
なお、上記Ra、Rb、Rc、Rdの有機基としては、炭素数1~8の炭化水素残基、又はハロゲン、エステル、ニトリル、ピリジル等の極性基が挙げられる。
ポリマー(1)は不飽和環状オレフィンモノマーの開環メタセシス重合体の水素添加物であり、該不飽和環状オレフィンモノマーとしては、例えばシクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセンなどの単環シクロオレフィンおよび置換基を有するそれらの誘導体や、ノルボルネン環を有する置換および未置換の二環もしくは三環以上の多環環状オレフィンモノマー(以下、ノルボルネン系モノマーと記載することがある)が挙げられる。製造適性及び内容物適性の観点から、中でもノルボルネン系モノマーが好適に用いられる。
一方、ポリマー(2)はエチレンと不飽和環状オレフィンモノマーとの共重合体である。
ポリマー(1)及びポリマー(2)を構成する不飽和環状オレフィンモノマーとしては、上記のノルボルネン系モノマーであることが好ましく、該ノルボルネン系モノマーとしてより具体的には、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、塩素化ノルボルネン、クロロメチルノルボルネン、トリメチルシリルノルボルネン、フェニルノルボルネン、シアノノルボルネン、ジシアノノルボルネン、メトキシカルボニルノルボルネン、ピリジルノルボルネン、ナヂック酸無水物、ナヂック酸イミドなどの二環シクロオレフィン;ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体などの三環シクロオレフィン;ジメタノヘキサヒドロナフタレン、ジメタノオクタヒドロナフタレンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体などの四環シクロオレフィン;トリシクロペンタジエンなどの五環シクロオレフィン;ヘキサシクロヘプタデセンなどの六環シクロオレフィンなどが挙げられる。また、ジノルボルネン、二個のノルボルネン環を炭化水素鎖又はエステル基などで結合した化合物、これらのアルキル、アリール置換体などのノルボルネン環を含む化合物等を用いることも可能である。
ポリマー(1)の製造方法は特に限定されることなく、公知の種々の製造方法が採用可能である。ポリマー(1)は、例えば、上記の不飽和環状オレフィンモノマー、好ましくはノルボルネン系モノマーを開環重合した後、生成した重合体が有するオレフィン性不飽和結合部分を水素化することによって製造することができる。該開環重合は、例えば、不飽和環状オレフィンモノマーを、遷移金属化合物又は白金族金属化合物と有機アルミニウム化合物等の有機金属化合物を含む触媒系において、必要に応じて脂肪族又は芳香族の第三級アミン等の添加剤の存在下に、-20~100℃の範囲内の温度、0.01~50kg/cmGの範囲内の圧力で行うことができる。また該水素化は、通常の水素化触媒の存在下で行うことができる。
ポリマー(1)としては、上記構造式(1)で示される単位であれば、異なる構造の単位を複数含む重合体であってもよい。また、上記構造式(1)で示される単位の中でも、嵩高い置換基を導入したことによる非晶性で無色透明となる点から、下記構造式(3)で表される単位を含むことが好ましく、より具体的には、分子中に下記構造式(3)で表される単位を30モル%以上含む重合体であることが好ましい。さらに分子中に下記構造式(3)で示される単位を30モル%以上、かつ、下記構造式(4)で示される単位を20モル%以上含む多元共重合体が好ましく、特に、下記構造式(3)よりもさらに嵩高い置換基を導入したことによりガラス転移温度が上昇する下記構造式(5)で示される単位を10モル%以上をも含む多元共重合体であることが好ましい。そして、下記構造式(4)で示される単位を含む際には、立体異性体としてエンド異性体及びエキソ異性体が存在し、その際には、耐熱性が優れ、高温時の変形を小さくすることが可能となることから、エンド-エキソ異性体の組成比は、エンド型が50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上の多元共重合体であることが好ましい。
一方、ポリマー(2)を構成する単位としてのエチレン残基単位と不飽和環状オレフィンモノマー残基単位、特にノルボルネン系モノマー残基単位の割合は、エチレン残基単位/不飽和環状オレフィンモノマー残基単位のモル比として、エチレン残基単位/不飽和環状オレフィンモノマー残基単位が80/20~30/70の範囲であることが好ましい。この範囲においてエチレン残基単位が少ないほどポリマー(2)のガラス転移温度が高くなり耐熱性に優れたものとなる傾向にあり、また、この範囲においてエチレン残基単位が多いほどポリマー(2)の成形性が良好となる傾向にあり、また靭性が優れたものとなる傾向にある。
ポリマー(2)の製造方法は特に限定されることなく、公知の種々の製造方法を採用することができる。ポリマー(2)は、例えば、エチレン及び不飽和環状オレフィンモノマー、特にノルボルネン系モノマーを、液相で共重合させることによって製造することができる。該液相での共重合は、例えば、可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下、シクロヘキサン等の炭化水素溶媒中で、-50~100℃の範囲内の温度、0.01~50kg/cmGの範囲内の圧力で行うことができる。
環状ポリオレフィン(A)は、成形性、靭性の観点から、(i)ASTM D1238 (260℃、21.18N)に準拠したMFRでは10~30g/10min、(ii)ISO 1133 (280℃、21.2N))に準拠したMFRでは10~60g/10min、または(iii)ISO 1133 (230℃、21.18N))に準拠したMVRでは10~60cm/10minのいずれかを1つ以上満たすことが好ましい。
このような環状ポリオレフィン(A)は市販品として入手可能であり、ポリマー(1)としては、例えば、日本ゼオン(株)製の商品名「Zeonex(登録商標)」、「Zeonor(登録商標)」、JSR(株)製の商品名「ARTON(登録商標)」等が挙げられる。
また、ポリマー(2)としては、例えば三井化学株式会社製の「アペル(登録商標)」、TOPAS Advanced Polymers社製の「TOPAS(登録商標)」等が挙げられる。
環状ポリオレフィン(A)としては、ポリマー(1)の1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、ポリマー(2)の1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、ポリマー(1)の1種又は2種以上とポリマー(2)の1種又は2種以上を併用してもよい。
環状ポリオレフィン(A)としては、中空容器を成形する条件の設定幅が広く、外観不良を起こしにくいポリマー(1)が好ましい。環状ポリオレフィン(A)が、上記構造式(1)で示される単位を含むものの中でも、ガラス転移温度を高くすることが可能であることから、上記構造式(3)で示される単位を30モル%以上含む重合体であることが好ましく、特に上記構造式(3)で示される単位を30モル%以上、かつ、上記構造式(4)で示される単位を20モル%以上含む多元共重合体であることが好ましく、更に上記構造式(3)で示される単位30モル%以上、上記構造式(4)で示される単位20モル%以上、および、上記構造式(5)で示される単位10モル%以上含む多元共重合体であることであることが好ましい。また、環状ポリオレフィン(A)の上記構造(4)であらわされるものの中でも、耐熱性が優れ、高温時の変形を小さくすることが可能である、エンド型が50モル%以上、かつ、エキソ型が50モル%未満含むものであることが好ましい。
中空容器ないし多層中空容器の内層に用いる樹脂組成物を構成するエチレン系重合体(B)は、JIS K7142を準拠した屈折率が1.52~1.53、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる分子量測定において重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2~7の範囲であり、好ましくは3~5の範囲であり、分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に炭素数6以上の長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.15個以上有するエチレン系重合体であり、例えばエチレン単独重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体等のポリマーである。このようなエチレン系重合体は、例えばメタロセン系触媒によるエチレンの重合又はコポリマーとの共重合により得ることができる低圧法エチレン系重合体を挙げることができ、より具体的には、特開2012-126862号公報、特開2012-126863号公報、特開2012-158654号公報、特開2012-158656号公報、特開2013-28703号公報等に記載の方法により得ることができる。ここで、屈折率が1.52~1.53の範囲を外れるものである場合やエチレン系重合体でない場合、得られる組成物は透明性に課題を発生しやすいものとなる。また、Mw/Mnが7を越えるものである場合、得られる組成物は耐熱性に劣るものとなる。
該エチレン系重合体(B)は、得られる樹脂組成物の溶融張力が高く中空容器とする場合、成形加工性に優れるものとなることから分子量分別で得られたMnが10万以上のフラクションの炭素数6以上の長鎖分岐数が主鎖1000炭素数あたり0.15個以上有するものである。
該エチレン系重合体(B)は、得られる樹脂組成物が中空容器の成形加工性に優れるものとなることから、JIS K6922-1に準拠し、190℃、荷重21.18Nで測定したMFRが0.1~15g/10分であることが好ましく、特に0.5~10.0g/10分、更に1.0~5.0g/10分であることが好ましい。
該エチレン系重合体(B)は、得られる樹脂組成物が特に耐熱性、透明性に優れるものとなることからJIS K6922-1に準拠した密度が930~960kg/mの範囲であることが好ましく、特に935~955kg/m、更に940~950kg/mの範囲であることが好ましい。
該エチレン系重合体(B)は、特に透明性に優れるものとなることからGPCによる分子量測定において2つのピークを示すものであることが好ましい。ピークトップ分子量(Mp)はGPC測定によって得られた分子量分布曲線を後述の方法で2個のピークに分割し、高分子量側のピークと低分子量側のピークのトップ分子量を評価し、その差が100,000以上である場合を2つのMpを有するとした。100,000未満である場合は、実測された分子量分布曲線のトップ分子量を1つのMpとした。
分子量分布曲線の分割方法は以下のとおりに行った。GPC測定によって得られた、分子量の対数であるLogMに対して重量割合がプロットされた分子量分布曲線のLogMに対して、標準偏差が0.30であり、任意の平均値(ピークトップ位置の分子量)を有する2つの対数分布曲線を任意の割合で足し合わせることによって、合成曲線を作成する。さらに、実測された分子量分布曲線と合成曲線との同一分子量(M)値に対する重量割合の偏差平方和が最小値になるように、平均値と割合を求める。偏差平方和の最小値は、各ピークの割合がすべて0の場合の偏差平方和に対して0.5%以下にした。偏差平方和の最小値を与える平均値と割合が得られた時に、2つの対数正規分布曲線に分割して得られるそれぞれの対数分布曲線のピークトップの分子量をMpとした。
該エチレン系重合体(B)は、GPCにより測定した数平均分子量(Mn)が15,000以上であることが好ましく、さらに好ましくは15,000~100,000、特に15,000~50,000が好ましい。Mnが15,000以上である場合、得られた中空容器の強度が高くなる。
また、該エチレン系重合体(B)は、成形加工時の押出負荷が小さく、得られた中空容器の外観(表面肌)が良好な樹脂組成物となることから分子量分別で得られたMnが10万以上のフラクションの割合が、エチレン系重合体(B)全体の40%未満であることが好ましい。
中空容器ないし多層中空容器の内層に用いる樹脂組成物は、該環状ポリオレフィン(A)5~95重量%及び該エチレン系重合体(B)5~95重量%を含むものであり、特に薬液の安定性に優れる樹脂組成物となることから該環状ポリオレフィン(A)50~90重量%及び該エチレン系重合体(B)10~50重量%を含むものであることが好ましい。ここで、環状ポリオレフィン(A)が5重量%未満である場合、得られる組成物は耐熱性に劣るものとなるとなる。一方、95重量%を越える場合、耐衝撃性に劣るものとなる。なお、上記の環状ポリオレフィン(A)及びエチレン系重合体(B)の含有量は、これらの合計を100重量%としたときの割合を示すものである。
中空容器ないし多層中空容器の内層に用いる樹脂組成物は、容器等とした際に加熱処理により変形しない等の耐熱性が高くなると共に、透明性を維持したものとなることから、さらに分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.14個以下有する、高密度ポリエチレン(C)を含んでいることが好ましい。高密度ポリエチレン(C)としては如何なるものであってもよく、例えば、エチレン単独重合体、またはエチレンとα-オレフィンの共重合体が挙げられる。該環状ポリオレフィンと該エチレン系重合体の合計100重量部に対し、高密度ポリエチレン(C)を20~300重量部、特に20~60重量部含むものであることが好ましい。中でも、成形加工時の押出機の負荷が低く、成形加工性に優れる樹脂組成物となることから、JIS K6922-1に準拠し、190℃、荷重21.18Nで測定したメルトマスフローレート(以下、MFRという)が0.1~15g/10分であることが好ましく、特に0.5~10.0g/10分、さらに0.8~5.0g/10分であることが好ましい。
また、該高密度ポリエチレン(C)は、加熱処理により容器が変形しない等耐熱性が高くなると共に、透明性の低下が小さくなる樹脂組成物となることからJIS K6922-1に準拠した密度が940~970kg/mであることが好ましく、特に945~970kg/m、更に950~965kg/mであることが好ましい。さらに、成形時の膜揺れ等の成形性の課題が発生しにくく、透明性に優れる樹脂組成物となることから、Mw/Mnが2.0~3.5の範囲であることが好ましく、Mnが25000以上であることが好ましい。
該高密度ポリエチレン(C)としては、市販品として入手したものであってもよく、例えば、東ソー(株)製(商品名)ニポロンハード 5700、8500、8022等や東ソー(株)製(商品名)ニポテック06S81H、YK47等を挙げることができる。
また、本発明に関わる高密度ポリエチレン(C)は、例えばスラリー法、溶液法、気相法等の製造法により製造することが可能である。該高密度ポリエチレン(C)を製造する際には、一般的にマグネシウムとチタンを含有する固体触媒成分及び有機アルミニウム化合物からなるチーグラー触媒、シクロペンタジエニル誘導体を含有する有機遷移金属化合物と、これと反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び/又は有機金属化合物からなるメタロセン触媒、バナジウム系触媒等を用いることができ、該触媒によりエチレンを単独重合またはエチレンとα-オレフィンを共重合することにより製造可能である。α-オレフィンとしては、一般にα-オレフィンと称されているものでよく、プロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1、4-メチル-1-ペンテン等の炭素数3~12のα-オレフィンであることが好ましい。エチレンとα-オレフィンの共重合体としては、例えばエチレン・ヘキセン-1共重合体、エチレン・ブテン-1共重合体、エチレン・オクテン-1共重合体等が挙げられる。
該環状オレフィン系樹脂エラストマー(D)は、環状オレフィン系樹脂からなりゴム弾性をもつものであれば制限を受けないが、例えば下記構造式(6)で示される環状アルキレン構造及び/又は下記構造式(7)で示される環状アルキレン構造と、下記構造式(8)で示される直鎖状アルキレン構造と、を有する共重合体が挙げられる。該環状オレフィン系樹脂エラストマー(D)の組成は、下記構造式(6)で示される環状アルキレン構造及び/又は下記構造式(7)で示される環状アルキレン構造の単位が5~10mol%であると共に下記構造式(8)で示される直鎖状アルキレン構造の単位が90~95mol%である。下記構造式(7)で示される環状アルキレン構造としては、下記構造式(9)があげられる。該環状オレフィン系樹脂エラストマー(D)の靭性改善効果が期待されることから、ISO 11357-1,-2,―3に準拠したガラス転移温度が10℃以下であることが好ましい。更に、環状オレフィン系樹脂エラストマー(D)のガラス転移温度が-50℃未満であると、常温で保管する時にペレット同士が貼りつくなどの問題が生じることがあり、ガラス転移温度は-50℃以上であることが好ましい。該環状オレフィン系樹脂エラストマー(D)は、市販品として入手したものであってもよく、例えば、TOPAS Advanced Polymers製 TOPAS ELASTOMER E-140を挙げることができる。
(上記式(6)中、R1~R12は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子及び炭化水素基からなる群より選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、R9とR10、及び、R11とR12は、それぞれ、一体化して2価の炭化水素基を形成していてもよく、 R9又はR10と、R11又はR12とは、それぞれ、結合して環を形成していてもよい。nは、0又は正の整数を示し、nが2以上の場合には、R5~R8は、繰り返し単位ごとに、互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(7)中、R1、R2及びR9~R12は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子及び炭化水素基からなる群より選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、R9とR10、及び、R11とR12は、それぞれ、一体化して2価の炭化水素基を形成していてもよく、R9又はR10と、R11又はR12とは、それぞれ、結合して環を形成していてもよい。)
該環状ポリオレフィンと該エチレン系重合体の合計100重量部、高密度ポリエチレン(C)20~60重量部に対して、環状オレフィン系樹脂エラストマー(D)10~40重量部含むものであることが好ましい
中空容器ないし多層中空容器の内層に用いる樹脂組成物は、前述の環状ポリオレフィン(A)、エチレン系重合体(B)、場合によっては、高密度ポリエチレン(C)又は環状オレフィン系樹脂エラストマー(D)を、従来公知の方法、例えばヘンシェルミキサー、V-ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合する方法、あるいはこのような方法で得られた混合物をさらに一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練することにより得ることができ、その際にはペレット等の造粒物として得ることができる。
中空容器ないし多層中空容器の内層に用いる樹脂組成物には、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、通常用いられる公知の添加剤、例えば酸化防止剤、中和剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、有機系あるいは無機系の顔料、紫外線吸収剤、分散剤等を適宜必要に応じて配合することができる。本発明に関わる樹脂組成物に上記の添加剤を配合する方法は特に制限されるものではないが、例えば、重合後のペレット造粒工程で直接添加する方法、また、予め高濃度のマスターバッチを作製し、これを成形時にドライブレンドする方法等が挙げられる。
また、中空容器ないし多層中空容器の内層に用いる樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない程度の範囲内で、高圧法低密度ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体ゴム、ポリ-1-ブテン等の他の熱可塑性樹脂を配合して用いることもできる。
中空容器は、特に耐衝撃性、透明性、耐熱性に優れる容器として適したものである。その際の中空容器の厚みは特に限定されず、必要に応じて適宜決定することができ、例えば100~5000μm、好ましくは200~2000μmを挙げることができ、特に医療用ないし食品用として用いる場合、300~800μm、好ましくは400~700μmを挙げることができる。
中空容器は、外層、中間層、および内層をこの順で積層した多層中空容器であることが好ましい。各層の層厚みは特に限定されず、必要に応じて適宜決定することができる。外層および内層は、本発明の効果を損なわない範囲で厚みを薄く設定することで、中空容器の耐衝撃性や柔軟性および製造コストが良好となるために好ましい。内層の厚みは、例えば10~200μm、好ましくは20~150μm、更に好ましくは25~100μmである。
中空容器(単層および多層を含み、以下、単に「中空容器」と記載することもある)の製造方法としては、特に制限はなく、例えば押出成形法、ブロー成形法、射出成形法、プレス成形法等の一般的な方法が挙げられる。
そして、中空容器の用途としては、医療用容器、食品用容器、化粧品用容器等が挙げられる。医療用容器としては、輸液製剤容器、アンプル製剤容器、キット製剤容器、点眼薬容器、等が挙げられる。食品用容器としては、各種飲料容器、濃縮飲料容器、調味料容器、惣菜容器、ドレッシング容器、マヨネーズ・ケチャップ容器、各種レトルト食品容器、哺乳瓶等が挙げられる。化粧品用容器としては、整髪料、毛髪料、香水、毛染剤、アイシャドー、マニキュア、ローション、クリーム、乳液、化粧水、パーマ液等の容器が挙げられる。
以下に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により制限されるものではない。
A.樹脂
実施例、比較例に用いた樹脂の諸性質は下記の方法により評価した。
<分子量、分子量分布>
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)およびピークトップ分子量(Mp)は、GPCによって測定した。GPC装置(東ソー(株)製(商品名)HLC-8121GPC/HT)およびカラム(東ソー(株)製(商品名)TSKgel GMHhr-H(20)HT)を用い、カラム温度を140℃に設定し、溶離液として1,2,4-トリクロロベンゼンを用いて測定した。測定試料は1.0mg/mlの濃度で調製し、0.3ml注入して測定した。分子量の検量線は、分子量既知のポリスチレン試料を用いて校正した。なお、MwおよびMnは直鎖状ポリエチレン換算の値として求めた。
<分子量分別>
分子量分別は、カラムとしてガラスビーズ充填カラム(直径:21mm、長さ:60cm)を用い、カラム温度を130℃に設定して、サンプル1gをキシレン30mLに溶解させたものを注入する。次に、キシレン/2-エトキシエタノールの比率が5/5のものを展開溶媒として用い、留出物を除去する。その後、キシレンを展開溶媒として用い、カラム中に残った成分を留出させ、ポリマー溶液を得る。得られたポリマー溶液に5倍量のメタノールを添加しポリマー分を沈殿させ、ろ過および乾燥することにより、Mnが10万以上である成分を回収した。
<長鎖分岐>
長鎖分岐数は、日本電子(株)製JNM-GSX400型核磁気共鳴装置を用いて、13C-NMRによってヘキシル基以上の分岐数を測定した。溶媒はベンゼン-d6/オルトジクロロベンゼン(体積比30/70)である。主鎖メチレン炭素(化学シフト:30ppm)1000個当たりの個数として、α-炭素(34.6ppm)およびβ-炭素(27.3ppm)のピークの平均値から求めた。
<密度>
密度は、JIS K6922-1に準拠して密度勾配管法で測定した。
<MFR>
MFRは、JIS K6922-1に準拠して測定を行った。
<溶融張力>
溶融張力の測定用試料は、サンプルに耐熱安定剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、イルガノックス1010TM;1,500ppm、イルガフォス168TM;1,500ppm)を添加したものを、インターナルミキサー(東洋精機製作所製、商品名ラボプラストミル)を用いて、窒素気流下、190℃、回転数30rpmで30分間混練したものを用いた。
溶融張力の測定は、バレル直径9.55mmの毛管粘度計(東洋精機製作所、商品名キャピログラフ)に、長さが8mm,直径が2.095mmのダイスを流入角が90°になるように装着し測定した。温度を160℃に設定し、ピストン降下速度を10mm/分、延伸比を47に設定し、引き取りに必要な荷重(mN)を溶融張力とした。最大延伸比が47未満の場合、破断しない最高の延伸比での引き取りに必要な荷重(mN)を溶融張力とした。
<構造解析>
実施例に挙げたなか、一部の環状ポリオレフィンにおいて、一次構造を核磁気共鳴分光法(以下、単に「NMR」と記載することもある)により解析した。プロトンNMR(以下、単に「1H NMR」と記載することもある)測定では、BRUKER製 AVANCE III HD500型核磁気共鳴装置を用いて、観測核は1H(500.1MHz)、積算回数は128回、溶媒はトルエン-d8、濃度は2%(w/v)、温度は100℃に設定した。炭素13NMR(以下、単に「13C NMR」と記載することもある)測定では、BRUKER製 AVANCE III HD500型核磁気共鳴装置を用いて、観測核は13C(125.8MHz)、積算回数は1、024回、溶媒はトルエン-d8、濃度は10%(w/v)、温度は100℃に設定し、測定モードは逆ゲーテッドデカップリング法とした。また、構造の詳細な解析のために、二次元NMR(以下、単に「2D NMR」と記載することもある)の異種核一量子相関分光法(以下、単に「HSQC」と記載することもある)、異種核多量子相関分光法(以下、単に「HMBC」と記載することもある)、Total correlation spectroscopy(以下、単に「TOCSY」と記載することもある)も活用した。2D NMRでは、BRUKER製 AVANCE III HD500型核磁気共鳴装置を用いて、観測核は1H(500.1MHz)ないし13C(125.8MHz)、溶媒はトルエン-d8、濃度は10%(w/v)、温度は100℃に設定し、積算回数は、HSQCが8回、HMBCが16回、HSQC-TOCSYが16回とした。
<屈折率>
屈折率の測定は、JIS K7142(A法)に準拠して、多波長アッベ屈折計((株)アタゴ、型式DR-M2)に、干渉フィルターを用いて基準波長589nmの屈折率を測定した。測定室温は、23℃に設定した。測定用フィルム試料は、幅が5~8mm、長さが20~40mm、厚みが約100μmの寸法のものを用いた。中間液には、1-ブロモナフタレンを用いた。なお、測定用フィルムは、樹脂に係るペレットを圧縮成形機 AWFA.50(神藤金属工業社製)にて、加熱温度を180~230℃までの任意の温度に設定し、加熱圧力10kgf/cm、加熱時間10分にて加熱圧縮後、冷却温度30℃、冷却圧力10kgf/cm、冷却時間4分で固化させて100μmのフィルムとしたものを用いた。
実施例、比較例では、下記の方法により製造した樹脂および市販品を用いた。
(1)環状ポリオレフィン
下記市販品を用いた。
(A)-1:日本ゼオン(株)製 (商品名)Zeonex 690R([MFR(ISO 1133 (280℃、21.2N))]=17g/10min、[ガラス転移温度(JIS K7121)]=136℃)
(A)-2:日本ゼオン(株)製 (商品名)Zeonor 1430R([MFR(ISO 1133 (280℃、21.2N))]=30g/10min、[ガラス転移温度(JIS K7121)]=133℃)
(A)-3:日本ゼオン(株)製 (商品名)Zeonor 1020R([MFR(ISO 1133 (280℃、21.2N))]=20g/10min、[ガラス転移温度(JIS K7121)]=102℃)
(A)-4:TOPAS Advanced Polymers製 (商品名)TOPAS 6013F-04 ([MVR(ISO 1133 (230℃、21.18N))]=12cm/10min、[ガラス転移温度(ISO 11357-1,-2,―3)]=138℃)
(A)-5:TOPAS Advanced Polymers製 (商品名)TOPAS 8007F-04 ([MVR(ISO 1133 (230℃、21.18N))]=12cm/10min、[ガラス転移温度(ISO 11357-1,-2,―3)]=78℃)
(A)-6:三井化学(株) (商品名)アペル APL6013T([MFR(ASTM D1238 (260℃、21.18N))]=15g/10min、[ガラス転移温度(三井化学法)]=125℃)
表1に(A)-1、(A)-3に含まれる構造単位のモル%を示す。
表2に環状ポリオレフィン(A)-1~(A)-7の屈折率を示す。
(2)エチレン系重合体
下記の製造方法で得られたもの又は市販品を用いた。
(B)-1:下記の製造方法で得られた。
[重合触媒の調製]
300mLのフラスコを窒素置換した後にメジアン径14μmを有するジメチルヘキサコシルアミン(MeN(C2653)変性合成ヘクトライト25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2、4,7-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリドを0.4406g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加し、ヘキサンにて5回洗浄し、重合触媒懸濁液を得た(固形重量分:12.0重量%)。
[(B)-1の製造]
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、[重合触媒の調製]で得られた触媒懸濁液を75mg(固形分9.0mg相当)加え、80℃に昇温後、1-ブテンを8.3g加え、分圧が0.85MPaになるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給した(エチレン/水素混合ガス中の水素の濃度:850ppm)。90分経過後58.5gの低圧法エチレン系重合体を得た。
得られた低圧法エチレン系重合体のMFRは4.0g/10分、密度は941kg/mであった。また、数平均分子量は21200、重量平均分子量は74000であり、分子量41500および217100の位置にピークが観測された。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクション中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.18個であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクションの割合は、全ポリマーの14.8重量%であった。また、溶融張力は49mNであった。また、屈折率は1.52だった。評価結果を表3に示す。
(B)-2:下記の製造方法で得られた。
[重合触媒の調製]
300mLのフラスコを窒素置換した後にメジアン径15μmを有するジメチルヘベニルアミン変性合成ヘクトライト25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4,7-トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロリドを0.4406g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加して60℃で3時間攪拌した。ヘキサンにて5回洗浄後、重合触媒懸濁液を得た(固形重量分:12.4重量%)。
[(B)-2の製造]
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、[重合触媒の調製]で得られた重合触媒懸濁液を52mg(固形分6.4mg相当)加え、70℃に昇温後、1-ブテンを17.6g加え、分圧が0.80MPaになるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給した(エチレン/水素混合ガス中の水素の濃度:590ppm)。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで61.8gの低圧法エチレン系重合体を得た。
得られた低圧法エチレン系重合体のMFRは1.6g/10分、密度は930kg/mであった。また、数平均分子量は17600、重量平均分子量は86700であり、分子量30500および155,300の位置にピークが観測された。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクション中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.27個であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクションの割合は、全ポリマーの20.1重量%であった。また、溶融張力は75mNであった。また、屈折率は1.52だった。評価結果を表3に示す。
(B)-3:下記の製造方法で得られた。
[(B)-3の製造]
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、B-2で用いた重合触媒懸濁液を70mg(固形分8.4mg相当)加え、80℃に昇温後、1-ブテンを2.4g加え、分圧が0.90MPaになるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給した(エチレン/水素混合ガス中の水素の濃度:720ppm)。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで63.0gの低圧法エチレン系重合体を得た。
得られた低圧法エチレン系重合体のMFRは11.5g/10分、密度は954kg/mであった。また、数平均分子量は16200、重量平均分子量は58400であり、分子量28200および181000の位置にピークが観測された。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクション中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.16個であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクションの割合は、全ポリマーの6.8重量%であった。また、溶融張力は38mNであった。また、屈折率は1.52だった。評価結果を表3に示す。
(B)-4:下記の製造方法で得られた。
[(B)-4の製造]
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、B-2で用いた重合触媒懸濁液を74mg(固形分8.3mg相当)加え、65℃に昇温後、1-ブテンを17.5g加え、分圧が0.75MPaになるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給した(エチレン/水素混合ガス中の水素の濃度:570ppm)。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで51.5gの低圧法エチレン系重合体を得た。
得られた低圧法エチレン系重合体のMFRは0.8g/10分、密度は928kg/mであった。また、数平均分子量は17900、重量平均分子量は99300であり、分子量28100および229,100の位置にピークが観測された。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクション中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.26個であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクションの割合は、全ポリマーの25.4重量%であった。また、溶融張力は90mNであった。また、屈折率は1.51だった。評価結果を表3に示す。
(B)-5:下記の製造方法で得られた。
[(B)-5の製造]
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、B-2で用いた重合触媒懸濁液を90mg(固形分10.4mg相当)加え、65℃に昇温後、1-ブテンを17.5g加え、分圧が0.75MPaになるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給した(エチレン/水素混合ガス中の水素の濃度:550ppm)。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで61.4gの低圧法エチレン系重合体を得た。
得られた低圧法エチレン系重合体のMFRは0.08g/10分、密度は926kg/mであった。また、数平均分子量は21900、重量平均分子量は127000であり、分子量31300および247800の位置にピークが観測された。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクション中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.32個であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクションの割合は、全ポリマーの36.9重量%であった。また、溶融張力は140mNであった。また、屈折率は1.51だった。評価結果を表3に示す。
(B)-6:下記の製造方法で得られた。
[重合触媒の調製]
温度計と還流管が装着された300mLのフラスコを窒素置換した後にメジアン径15μmのジメチルベヘニアルミン変性合成ヘクトライト25.0gをヘキサン165mLに懸濁させ、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド0.3485gおよびトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(1.18M)85mLを添加し、1%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液200mLにて2回洗浄した。洗浄後の上澄み液を抜き出し、5%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液にて全体を250mLとした。次いで、別途ジフェニルメチレン(1-シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロライド0.1165gのヘキサン10mL懸濁液に20%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.71M)5mlを加えることにより調製した溶液を添加し、ヘキサン200mLにて2回洗浄後、ヘキサンを200mL加えて重合触媒懸濁液を得た(固形重量分:12.0重量%)。
[(B)-6の製造]
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、[重合触媒の調製]で得られた重合触媒懸濁液を125mg(固形分15.0mg相当)加え、85℃に昇温後、1-ブテンを2.4g加え、分圧が0.90MPaになるようにエチレンを連続的に供給した。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで45.0gの低圧法エチレン系重合体を得た。
得られた低圧法エチレン系重合体のMFRは4.4g/10分であり、密度は951kg/mであった。数平均分子量は9100、重量平均分子量は77100であり、分子量10400および168400の位置にピークが観測された。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクション中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.24個であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクションの割合は、全ポリマーの15.7重量%であった。また、溶融張力210mNであった。また、屈折率は1.51だった。評価結果を表3に示す。
(S)-1:下記市販品を用いた。
東ソー(株)製、(商品名)ペトロセン 219(MFR=3.0g/10分、密度=934kg/m)(S)-1の基本特性評価結果を表3に示す。
(3)高密度ポリエチレン
下記の製造方法で得られたもの又は市販品を用いた。
(C)-1:下記の製造方法で得られた。
[変性粘土の調製]
脱イオン水4.8L、エタノール3.2Lの混合溶媒に、ジメチルベヘニルアミン;(C2245)(CHN 354gと37%塩酸83.3mLを加え、ジメチルベヘニルアミン塩酸塩溶液を調製した。この溶液に合成ヘクトライト1,000gを加え終夜撹拌し、得られた反応液をろ過した後、固体分を水で十分洗浄した。固体分を乾燥させたところ、1,180gの有機変性粘土を得た。赤外線水分計で測定した含液量は0.8%であった。次に、この有機変性粘土を粉砕し、平均粒径を6.0μmに調製した。
[重合触媒の調製]
5Lのフラスコに、平均粒径を6.0μmのジメチルベヘニルアミン(C2245)(CHN)変性合成ヘクトライト450g、ヘキサン1.4kgを加え、その後トリイソブチルアルミニウムのヘキサン20重量%溶液1.78kg(1.8モル)、ビス(n-ブチル-シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド7.32g(18ミリモル)を加え、次に、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン1重量%溶液1.78kg(0.09モル)を添加し、ヘキサンで再希釈して全量を4.5Lとし重合触媒を調製した。
[(C)-1の製造]
内容量300Lの重合器に、ヘキサンを135kg/時、エチレンを20.0kg/時、ブテン-1を0.3kg/時、水素5NL/時および[重合触媒の調製]の項で得られた重合触媒を連続的に供給した。また、助触媒として液中のトリイソブチルアルミニウムの濃度を0.93ミリモル/kgヘキサンとなるように、それぞれ連続的に供給した。重合温度は85℃に制御した。得られた高密度ポリエチレン((C)-1)はMFR=1.0g/10分、密度952kg/mであった。(C)-1の基本特性評価結果を表4に示す。
(C)-2:下記の製造方法で得られた。
[変性粘土の調製]
(C)-1と同様の方法により変性粘土を調製した。
[重合触媒の調製]
(C)-1と同様の方法により重合触媒を調製した。
[(C)-2の製造]
内容量300Lの重合器に、ヘキサンを135kg/時、エチレンを20.0kg/時、ブテン-1を0.4kg/時、水素8NL/時および[重合触媒の調製]の項で得られた重合触媒を連続的に供給した。また、助触媒として液中のトリイソブチルアルミニウムの濃度を0.93ミリモル/kgヘキサンとなるように、それぞれ連続的に供給した。重合温度は85℃に制御した。得られた高密度ポリエチレン((C)-2)はMFR=3.0g/10分、密度945kg/mであった。(C)-2の基本特性評価結果を表4に示す。
(4)環状オレフィン系樹脂エラストマー
下記市販品を用いた。
(D)-1:TOPAS Advanced Polymers製 (商品名)TOPAS ELASTOMER E-140([MVR(ISO 1133 (260℃、21.18N))]=12cm/10min、[融点(ISO 11357)]=84℃、[ガラス転移温度(ISO 11357-1,-2,―3)]=6℃)
表5に環状オレフィン系樹脂エラストマー(D)-1の屈折率と組成を示す。
(5)直鎖状低密度ポリエチレン
下記市販品を用いた。
(Q)-1:東ソー(株)製 (商品名)ニポロン-Z HF213K(MFR=2.0g/10分、密度=905kg/m、屈折率=1.51)
実施例1乃至14、比較例1乃至10
表6,7に示す樹脂組成物を用いて、下記の方法で中空容器を製造し、評価した。結果を表8乃至15に示す。
<中空容器の作製>
500ml角型ボトル用金型、及び40mmφ(1本)、30mmφ(2本)の押出スクリューを備えたブロー成形機(タハラ社製)を用いて、外層および中間層のシリンダ温度180℃、内層のシリンダ温度260℃、吐出量6kg/h、ダイギャップ1.0mmの条件で評価樹脂の500ml角ボトルを製造した。尚、各層の厚みは外層/中間層/内層=(1)40μm/420μm/40μm、又は、(2)25μm/250μm/25μmとした。このとき、外層に東ソー(株)製 (商品名)ニポロン-P FY11(MFR=1g/10分、密度=930kg/m)、中間層に東ソー(株)製 (商品名)ニポロン-P FY12(MFR=2g/10分、密度=916kg/m)、内層に本発明に係る樹脂組成物を使用した。次いで、上記3層ボトルに、超純水を500ml充填し、ヘッドスペースを50ml設けて密封して滅菌処理用の容器を作製した。ただし、脂溶性ビタミンの安定性試験においては、該当する項目に記載した方法にて滅菌処理用の容器を作製した。
<滅菌処理>
上記医療容器を、高温高圧調理殺菌装置((株)日阪製作所社製)を用いて、温度121℃で20分間滅菌処理を行なった。
<中空容器の特性評価>
中空容器の特性は下記の方法により評価した。
<透明性>
滅菌処理後の上記3層ボトルからなる中空容器から、幅10mm×長さ50mmの試験片を切出し、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製 型式V-530)を用いて、純水中で波長450nmにおける光線透過率を測定した。滅菌処理後に55%以上の光線透過率が維持される場合を透明性が良好な容器の目安とした。なお、この場合における55%以上の光線透過率は、第十八改正日本薬局方における一般試験法の7.容器・包装材料試験法を参照して、設定した。
<脂溶性ビタミンの安定性試験>
上記3層ボトルの脂溶性ビタミンの吸着抑制性能を評価するために、脂溶性ビタミンとしてトコフェロール酢酸エステルを用いて、実験を行った。
2枚の3層ボトルから切り出したシートを重ねて、充填液が接する部分の寸法として縦が50mm、横が50mmとなるよう、3方をインパルス式シール機にてヒートシールした後、トコフェロール酢酸エステルが500ppm含有される参天製薬(株)製 サンテ40プラスを12ml充填して、ヒートシールにより密封した。高温高圧調理殺菌装置((株)日阪製作所社製)を用いて、温度121℃で20分間滅菌処理を行なった後、(株)生産日本社製のラミジップ平袋ALタイプ(品番:AL-G)に、三菱ガス化学(株)製のエージレス(品番:ZP-202)2個とエージレスアイ(品番:LSバラ(糸入))2個と同封した。その上で、25℃、60%RHの環境下ないし40℃、75%RHの環境下にて保管した。保管開始時(初期)、1か月および3か月後における容器内のトコフェロール酢酸エステル濃度を高速液体クロマトグラフィで測定し、充填時の濃度に対する割合を残存率として求めた。保管開始時(初期)にトコフェロール酢酸エステル濃度が70%以上に維持される場合を安定性が良好な容器の目安、トコフェロール酢酸エステル濃度が75%以上に維持される場合を安定性が特に良好な容器の目安とした。また、保管開始から1か月後ないし3ヶ月後に、保管開始時(初期)と比べて、トコフェロール酢酸エステル濃度の低下が10%未満である場合を、保管時の安定性が良好な容器の目安とした。
充填液にサンテ40プラスを用いた理由は、以下の通りである。当該容器に、トコフェロール酢酸エステルをポリソルベートないしポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の界面活性剤により超純水に溶解させた水溶液を充填して、滅菌などの前記の所定の処理を行った場合、容器および界面活性剤の種類に関わらずトコフェロール酢酸エステル濃度が滅菌処理後に95%以上に維持された。これは、トコフェロール酢酸エステルが界面活性剤のミセルに取り囲まれた状態で水に溶解していることから、トコフェロール酢酸エステルと
の接触が阻まれていることによると考えられる。トコフェロール酢酸エステルとシートを接触させるためには、ミセル構造を乱す作用がある構造、具体的にはアルキル鎖のような疎水性部位の両端に、水酸基、スルホニル基、アミノ基などの親水性官能基が結合した化合物の添加が有効であると考えられ、その化合物としてはタウリン、イプシロン-アミノカプロン酸、塩化ベンザルコニウム、パンテノール、ピリドキシン塩酸塩、チアミン塩化物塩酸塩などが該当する。そのため、本願発明では、トコフェロール酢酸エステル、界面活性剤のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、および、当該化合物であるタウリン、イプシロンーアミノカプロン酸が含まれるサンテ40プラスを充填液に用いた。

Claims (16)

  1. ガラス転移温度125℃以上、JIS K7142を準拠した屈折率が1.52~1.54である環状ポリオレフィン(A)5~95重量%、およびJIS K7142を準拠した屈折率が1.52~1.53、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる分子量測定において重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2~7の範囲であり、分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に炭素数6以上の長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.15個以上有するエチレン系重合体(B)5~95重量%を含む樹脂組成物からなる中空容器。
  2. 外層、中間層、内層をこの順で有する中空容器であって、容器内側の表面に位置する内層が、ガラス転移温度125℃以上、JIS K7142を準拠した屈折率が1.52~1.54である環状ポリオレフィン(A)5~95重量%、およびJIS K7142を準拠した屈折率が1.52~1.53、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる分子量測定において重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2~7の範囲であり、分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に炭素数6以上の長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.15個以上有するエチレン系重合体(B)5~95重量%を含む樹脂組成物からなる中空容器。
  3. 環状ポリオレフィン(A)が、
    (i)ASTM D1238を準拠し、260℃、21.18Nにて測定したメルトマスフローレート(MFR)が10~30g/10分、
    (ii)ISO 1133を準拠し、280℃、21.2Nにて測定したメルトマスフローレート(MFR)が10~60g/10分、または
    (iii)ISO 1133を準拠し、230℃、21.18Nにて測定したメルトボリュームフローレート(MVR)が10~60cm/10min
    のいずれかを少なくとも一つ以上満たすものであり、
    エチレン系重合体(B)がJIS K 6922-1に準拠し、190℃、荷重21.18Nで測定したメルトマスフローレート(MFR)が0.1~15g/10分である、請求項1又は2に記載の中空容器
  4. 環状ポリオレフィン(A)が、下記構造式(1)で示される単位を含む重合体である、請求項1又は2に記載の中空容器。
    (上記式(1)中、Ra、Rbは、水素原子又は有機基を表し、RaとRbはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。mは1以上の整数、nは0以上の整数である。)
  5. 環状ポリオレフィン(A)が、下記構造式(3)で示される単位を30モル%以上含む重合体である、請求項4に記載の中空容器。
  6. 環状ポリオレフィン(A)が、下記構造式(4)で示される単位を20モル%以上含む多元共重合体である請求項4に記載の中空容器。
  7. 環状ポリオレフィン(A)が、下記構造式(5)で示される単位を10モル%以上含む多元共重合体である、請求項4に記載の中空容器。
  8. 環状ポリオレフィン(A)が、上記構造式(4)で示される単位として、その立体異性体であるエンド型が50モル%以上、エキソ型が50モル%未満を含む多元共重合体である、請求項6に記載の中空容器。
  9. エチレン系重合体(B)が、JIS K6922-1に準拠して密度勾配管法で測定した密度が930~960kg/mのエチレン系重合体である、請求項1又は2に記載の中空容器。
  10. エチレン系重合体(B)が、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる分子量測定において2つのピークを示すものである(分子量測定においてピークトップ分子量(Mp)はGPC測定によって得られた分子量分布曲線を2個のピークに分割し、高分子量側のピークと低分子量側のピークのトップ分子量を評価し、その差が100,000以上である場合を2つのMpを有するとする)、請求項1又は2に記載の中空容器。
  11. 環状ポリオレフィン(A)が50~90重量%、およびエチレン系重合体(B)が10~50重量%である、請求項1又は2に記載の中空容器。
  12. 環状ポリオレフィン樹脂(A)及びエチレン系重合体(B)の合計100重量部に対して、分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に炭素数6以上の長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.14個以下有する高密度ポリエチレン(C)20~300重量部をさらに含む樹脂組成物からなる、請求項1又は2に記載の中空容器。
  13. 高密度ポリエチレン(C)が、JIS K6922-1に準拠して密度勾配管法で測定した密度が940~970kg/m、JIS K 6922-1に準拠し、190℃、荷重21.18Nで測定したメルトマスフローレート(MFR)が0.1~15g/10分のものである、請求項12に記載の中空容器。
  14. 高密度ポリエチレン(C)が、Mw/Mnが2.0~3.5、Mnが25,000以上のものである、請求項12に記載の中空容器。
  15. 高密度ポリエチレン(C)の含有量が20~60重量部である、請求項13に記載の中空容器。
  16. 環状ポリオレフィン樹脂(A)及びエチレン系重合体(B)の合計100重量部、高密度ポリエチレン(C)20~60重量部に対して、環状オレフィン系樹脂エラストマー(D)10~40重量部をさらに含む樹脂組成物からなる、請求項15に記載の中空容器。
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