JP7104302B2 - 樹脂組成物及びそれよりなるフィルム - Google Patents

樹脂組成物及びそれよりなるフィルム Download PDF

Info

Publication number
JP7104302B2
JP7104302B2 JP2018057792A JP2018057792A JP7104302B2 JP 7104302 B2 JP7104302 B2 JP 7104302B2 JP 2018057792 A JP2018057792 A JP 2018057792A JP 2018057792 A JP2018057792 A JP 2018057792A JP 7104302 B2 JP7104302 B2 JP 7104302B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
weight
film
density polyethylene
molecular weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018057792A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018165361A (ja
Inventor
晋平 濱
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tosoh Corp filed Critical Tosoh Corp
Publication of JP2018165361A publication Critical patent/JP2018165361A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7104302B2 publication Critical patent/JP7104302B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、樹脂組成物及びに関する。さらに詳しくは、輸液や食品包装に用いられる医療用フィルムないし部材および食品用フィルムないし部材に好適な樹脂組成物及びそれよりなるフィルムに関するものである。
薬液、血液等を包装する医療用フィルムないし部材および食品を包装する食品用フィルムには、異物の有無を目視確認するための透明性、さらに内容液ないし内容物中の有効成分の散逸防止性などが要求される。
従来、これらの性能を満たす医療用フィルムおよび食品用フィルムにポリオレフィン樹脂や環状ポリオレフィン樹脂が使用されるが、環状ポリオレフィン樹脂はガラス転移温度が室温以上であることから、環状ポリオレフィンのみからなるフィルムは衝撃によりひび割れるなどの問題があり、耐衝撃性の点で課題がある。
そこで、フィルムの材料に環状ポリオレフィンへポリエチレンやポリプロピレン等の線状ポリオレフィンないしスチレンブロック共重合体、イソブチレン共重合体等をブレンドした樹脂組成物が種々開発され、環状ポリオレフィンと線状ポリオレフィン等からなる樹脂組成物を用いた医療用フィルムが提案されている(例えば、特許文献1~4参照。)。
環状ポリオレフィン樹脂とポリエチレン系樹脂の樹脂組成物からなるフィルムは、透明性等が低下するなどの問題がある。また、環状ポリオレフィン樹脂とポリプロピレンの樹脂組成物からなるフィルムは、低温下での耐衝撃性が低下するなどの問題がある。一方、環状ポリオレフィン樹脂とスチレンブロック共重合体ないしイソブチレン共重合体等の樹脂組成物からなるフィルムは、フィルムのコストが上昇するなどの問題がある。そのため、環状ポリオレフィン樹脂の耐衝撃性を改良する樹脂の開発が望まれていた。
特開平8-192871号公報 特開2000-70331号公報 特開2014-195609号公報 特開2014-196438号公報
本発明の目的は、環状ポリオレフィン樹脂よりなる医療用ないし食品用フィルムの欠点である耐衝撃性に優れ、かつ、高い透明性が維持された環状ポリオレフィンおよび高密度ポリエチレンからなる樹脂組成物及びフィルムを提供することにある。
本発明者は鋭意検討を行なった結果、環状ポリオレフィン樹脂に特定の物性を有する高密度ポリエチレンを特定量配合した樹脂組成物を用いることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の[1]及至[4]に存する。
[1]環状ポリオレフィン(A)41~95重量部、および下記特性(a)~(d)を満足する高密度ポリエチレン(B)5~59重量部((A)及び(B)の合計は100重量部)を含む樹脂組成物。
(a)JIS K6922-1に準拠して密度勾配管法で測定した密度が940~970kg/mである。
(b)JIS K 6922-1に準拠し、190℃、荷重21.18Nで測定したメルトマスフローレート(以下、MFRという)が0.1~15g/10分である。
(c)分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に炭素数6以上の長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.14個以下有する。
(d)ゲルパーミエションクロマトグラフィー(以下、GPCという)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2.0~3.5の範囲である。
[2]上記環状ポリオレフィン(A)が60~95重量部、上記高密度ポリエチレン(B)が5~40重量部であることを特徴とする上記[1]に記載の樹脂組成物。
[3]高密度ポリエチレン(B)のMnが25,000以上であることを特徴とする上記[1]または[2]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[4]上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の樹脂組成物からなるフィルム。
以下に、本発明に関わる環状ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン樹脂、樹脂組成物、それよりなるフィルムについて説明する。
[1]環状ポリオレフィン(A)
本発明に用いる環状ポリオレフィン(A)は、環状オレフィン成分を重合成分として含むものであり、環状オレフィン成分を主鎖に含むポリオレフィン樹脂であれば、特に限定されない。例えば下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマー(以下「ポリマー(1)」と称す場合がある。)及び/又は下記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリマー(以下「ポリマー(2)」と称す場合がある。)が挙げられる。
Figure 0007104302000001
Figure 0007104302000002
(上記式(1)中、Ra、Rbはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は有機基を表し、RaとRbは互いに結合して環を形成してもよい。mは1以上の整数、nは0以上の整数である。
上記式(2)中、Rc及びRdはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は有機基を表し、RcとRdは互いに結合して環を形成してもよい。x及びzはそれぞれ1以上の整数、yは0以上の整数である。)
なお、上記Ra、Rb、Rc、Rdの有機基としては、炭素数1~8の炭化水素残基、又はハロゲン、エステル、ニトリル、ピリジル等の極性基が挙げられる。
ポリマー(1)は不飽和環状オレフィンモノマーの開環メタセシス重合体の水素添加物であり、該不飽和環状オレフィンモノマーとしては、例えばシクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセンなどの単環シクロオレフィンおよび置換基を有するそれらの誘導体や、ノルボルネン環を有する置換および未置換の二環もしくは三環以上の多環環状オレフィンモノマー(以下、ノルボルネン系モノマーと記載することがある)が挙げられる。製造適性及び内容物適性の観点から、中でもノルボルネン系モノマーが好適に用いられる。
一方、ポリマー(2)はエチレンとノルボルネン系モノマーとの共重合体である。
ポリマー(1)及びポリマー(2)を構成するノルボルネン系モノマーとしてより具体的には、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、塩素化ノルボルネン、クロロメチルノルボルネン、トリメチルシリルノルボルネン、フェニルノルボルネン、シアノノルボルネン、ジシアノノルボルネン、メトキシカルボニルノルボルネン、ピリジルノルボルネン、ナヂック酸無水物、ナヂック酸イミドなどの二環シクロオレフィン;ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体などの三環シクロオレフィン;ジメタノヘキサヒドロナフタレン、ジメタノオクタヒドロナフタレンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体などの四環シクロオレフィン;トリシクロペンタジエンなどの五環シクロオレフィン;ヘキサシクロヘプタデセンなどの六環シクロオレフィンなどが挙げられる。また、ジノルボルネン、二個のノルボルネン環を炭化水素鎖又はエステル基などで結合した化合物、これらのアルキル、アリール置換体などのノルボルネン環を含む化合物等を用いることも可能である。
ポリマー(1)の製造方法は特に限定されることなく、公知の種々の製造方法が採用可能である。ポリマー(1)は、例えば、上記の不飽和環状オレフィンモノマー、好ましくはノルボルネン系モノマーを開環重合した後、生成した重合体が有するオレフィン性不飽和結合部分を水素化することによって製造することができる。該開環重合は、例えば、不飽和環状オレフィンモノマーを、遷移金属化合物又は白金族金属化合物と有機アルミニウム化合物等の有機金属化合物を含む触媒系において、必要に応じて脂肪族又は芳香族の第三級アミン等の添加剤の存在下に、-20℃~100℃の範囲内の温度、0.01~50kg/cmGの範囲内の圧力で行うことができる。また該水素化は、通常の水素化触媒の存在下で行うことができる。
ポリマー(1)としては、上記式(1)で表される繰り返し単位のうち、異なる構造の繰り返し単位が複数含まれていてもよい。また、上記式(1)で表されるものの中でも、下記式(3)で表される繰り返し単位を含むことが好ましく、より具体的には、分子中に下記式(3)で表されるものが30モル%以上含まれることが好ましい。
Figure 0007104302000003
一方、ポリマー(2)に含まれる単量体成分としてのエチレンとノルボルネン系モノマーの割合は、エチレン/ノルボルネン系モノマーのモル比として、エチレン/ノルボルネン系モノマーが80/20~30/70の範囲であることが好ましい。この範囲においてエチレンが少ないほどポリマー(2)のガラス転移温度が高くなり耐熱性に優れたものとなる傾向にあり、また、この範囲においてエチレンが多いほどポリマー(2)の成形性が良好となる傾向にあり、また靭性が優れたものとなる傾向にある。
ポリマー(2)の製造方法は特に限定されることなく、公知の種々の製造方法を採用することができる。ポリマー(2)は、例えば、エチレン及びノルボルネン系モノマーを、液相で共重合させることによって製造することができる。該液相での共重合は、例えば、可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下、シクロヘキサン等の炭化水素溶媒中で、-50℃~100℃の範囲内の温度、0.01~50kg/cmGの範囲内の圧力で行うことができる。
環状ポリオレフィン(A)の数平均分子量又は極限粘度数は、特に限定されることなく目的等に応じて適宜好適なものを採用することができるが、一般的には、数平均分子量が10000~500000の範囲内であるか、又はデカリン中135℃で測定した極限粘度数が0.01~20dL/gの範囲内であることが好ましい。環状ポリオレフィン(A)の数平均分子量又は極限粘度数が上記上限値以下であると成形性の観点から好ましく、上記下限値以上であると靭性の観点から好ましい。なお、環状ポリオレフィン(A)がASTM D1238 (260℃、21.18N)に準拠したMFRでは10~30g/10min、ISO 1133 (280℃、21.2N))に準拠したMFRでは10~60g/10min、またISO 1133 (230℃、21.18N))に準拠したMVRでは10~60cm/10minの範囲内であれば、上記の数平均分子量又は極限粘度数の範囲内にある。
このような環状ポリオレフィン(A)は市販品として入手可能であり、ポリマー(1)としては、例えば、日本ゼオン(株)製の商品名「Zeonex(登録商標)」、「Zeonor(登録商標)」、JSR(株)製の商品名「ARTON(登録商標)」等が挙げられる。
また、ポリマー(2)としては、例えば三井化学株式会社製の「アペル(登録商標)」、TOPAS Advanced Polymers社製の「TOPAS(登録商標)」等が挙げられる。
本発明において、環状ポリオレフィン(A)としては、ポリマー(1)の1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、ポリマー(2)の1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、ポリマー(1)の1種又は2種以上とポリマー(2)の1種又は2種以上を併用してもよい。
[2]高密度ポリエチレン(B)
本発明に用いる高密度ポリエチレン(B)は、エチレン単独重合体、またはエチレンとα-オレフィンの共重合体である。
本発明に関わる高密度ポリエチレン(B)は、JIS K6922-1に準拠し、190℃、荷重21.18Nで測定したMFRが0.1~15g/10分、好ましくは0.5~10.0g/10分、さらに好ましくは1.0~5.0g/10分である。MFRが0.1g/10分未満だと、成形加工時に押出機の負荷が大きくなると共に、成形時に表面荒れが発生するため好ましくない。また、MFRが15g/10分を超える場合、溶融張力が小さくなり、成形安定性が低下するため好ましくない。
本発明に関わる高密度ポリエチレン(B)は、JIS K6922-1に準拠した密度が940~970kg/m、好ましくは950~965kg/mである。密度が940kg/m未満だと加熱処理により容器の変形が生じる等耐熱性が不足し、970kg/mを超える場合、透明性が低下するため好ましくない。
本発明に関わる高密度ポリエチレン(B)は、分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.14個以下有する。10万以上のフラクション中の長鎖分岐数が主鎖1000炭素数あたり0.14個以下であると、製造したフィルムの透明性が高くなるため、好ましい。
本発明に関わる高密度ポリエチレン(B)は、Mw/Mnが2.0~3.5の範囲である。
Mw/Mnが2.0未満であると、成形時の膜揺れ等成形性が不足し、3.5を超えると、透明性が低下するため好ましくない。
また、Mnが25000以上であると、透明性が向上するため好ましい。
本発明に関わる高密度ポリエチレン(B)は、例えばスラリー法、溶液法、気相法等の製造法により製造することが可能である。該高密度ポリエチレン(B)を製造する際には、一般的にマグネシウムとチタンを含有する固体触媒成分及び有機アルミニウム化合物からなるチーグラー触媒、シクロペンタジエニル誘導体を含有する有機遷移金属化合物と、これと反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び/又は有機金属化合物からなるメタロセン触媒、バナジウム系触媒等を用いることができ、該触媒によりエチレンを単独重合またはエチレンとα-オレフィンを共重合することにより製造可能である。
本発明に関わる高密度ポリエチレン(B)としては、市販品として入手したものであってもよく、例えば、東ソー(株)製(商品名)ニポロンハード 5700、8500、8022等を挙げることができる。
また、本発明に関わる高密度ポリエチレン(B)は以下の方法により製造することができる。例えば、特開2009-275059号公報等に記載の方法により、スラリー法、溶液法、気相法等の製造法を用いて、シクロペンタジエニル誘導体を含有する有機遷移金属化合物と、これと反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び/又は有機金属化合物からなるメタロセン触媒によりエチレンを単独重合またはエチレンとα-オレフィンを共重合する方法を用いることができる。
α-オレフィンとしては、一般にα-オレフィンと称されているものでよく、プロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1、4-メチル-1-ペンテン等の炭素数3~12のα-オレフィンであることが好ましい。エチレンとα-オレフィンの共重合体としては、例えばエチレン・ヘキセン-1共重合体、エチレン・ブテン-1共重合体、エチレン・オクテン-1共重合体等が挙げられる。
[3]樹脂組成物
本発明に用いる樹脂組成物の環状ポリオレフィン(A)、高密度ポリエチレン(B)の配合割合は、(A)、(B)の合計100重量部中、環状ポリオレフィン(A)が41~95重量部、好ましくは60~90重量部、より好ましくは70~80重量部、高密度ポリエチレン(B)が5~59重量部、好ましくは10~40重量部、より好ましくは20~30重量部である。
高密度ポリエチレン(B)が5重量部以上の場合は耐衝撃性が向上し、59重量部以下の場合は透明性が高くなるため好ましい。
本発明の樹脂組成物は、前述の環状ポリオレフィン(A)、高密度ポリエチレン(B)、を、従来公知の方法、例えばヘンシェルミキサー、V-ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合する方法、あるいはこのような方法で得られた混合物をさらに一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練した後、造粒することによって得ることができる。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、通常用いられる公知の添加剤、例えば酸化防止剤、中和剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、有機系あるいは無機系の顔料、紫外線吸収剤、分散剤等を適宜必要に応じて配合することができる。本発明に関わる樹脂組成物に上記の添加剤を配合する方法は特に制限されるものではないが、例えば、重合後のペレット造粒工程で直接添加する方法、また、予め高濃度のマスターバッチを作製し、これを成形時にドライブレンドする方法等が挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない程度の範囲内で、高圧法低密度ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体ゴム、ポリ-1-ブテン等の他の熱可塑性樹脂を配合して用いることもできる。
[4]フィルム
本発明のフィルムは、上記樹脂組成物からなるものである。
本発明のフィルムの厚みは特に限定されず、必要に応じて適宜決定することができるが、通常は3~5000μm、好ましくは5~2000μmであり、医療用ないし食品用フィルムとして用いる場合、その厚みは通常10~500μm、好ましくは20~300μmである。
本発明のフィルムの製造方法は特に限定されないが、押出成形法、ブロー成形法、射出成型法、カレンダー成形法、プレス成形法、インフレーション成形法等が挙げられる。
本発明のフィルムの用途としては、医療関係全般に用いることができ、例えば輸液用フィルム、血液用フィルムが挙げられる。また、本発明の樹脂組成物製フィルムは、食品関係全般にも用いることができ、例えばレトルト容器用フィルム、シュリンクフィルムなどの食品用フィルムが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は衝撃強度が高く、フィルムにした場合、耐衝撃性に優れ、かつ高い透明性を維持させることができる。
以下に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により制限されるものではない。
A.樹脂
実施例、比較例に用いた樹脂の諸性質は下記の方法により評価した。
<分子量、分子量分布>
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)およびピークトップ分子量(Mp)は、GPCによって測定した。GPC装置(東ソー(株)製(商品名)HLC-8121GPC/HT)およびカラム(東ソー(株)製(商品名)TSKgel GMHhr-H(20)HT)を用い、カラム温度を140℃に設定し、溶離液として1,2,4-トリクロロベンゼンを用いて測定した。測定試料は1.0mg/mlの濃度で調製し、0.3ml注入して測定した。分子量の検量線は、分子量既知のポリスチレン試料を用いて校正した。なお、MwおよびMnは直鎖状ポリエチレン換算の値として求めた。
<分子量分別>
分子量分別は、カラムとしてガラスビーズ充填カラム(直径:21mm、長さ:60cm)を用い、カラム温度を130℃に設定して、サンプル1gをキシレン30mLに溶解させたものを注入する。次に、キシレン/2-エトキシエタノールの比率が5/5のものを展開溶媒として用い、留出物を除去する。その後、キシレンを展開溶媒として用い、カラム中に残った成分を留出させ、ポリマー溶液を得る。得られたポリマー溶液に5倍量のメタノールを添加しポリマー分を沈殿させ、ろ過および乾燥することにより、Mnが10万以上である成分を回収した。
<長鎖分岐>
長鎖分岐数は、日本電子(株)製JNM-GSX400型核磁気共鳴装置を用いて、13C-NMRによってヘキシル基以上の分岐数を測定した。溶媒はベンゼン-d6/オルトジクロロベンゼン(体積比30/70)である。主鎖メチレン炭素(化学シフト:30ppm)1,000個当たりの個数として、α-炭素(34.6ppm)およびβ-炭素(27.3ppm)のピークの平均値から求めた。
<密度>
密度は、JIS K6922-1に準拠して密度勾配管法で測定した。
<MFR>
MFRは、JIS K6922-1に準拠して測定を行った。
(1)環状ポリオレフィン
下記市販品を用いた。
(A)-1:三井化学(株) (商品名)アペル APL6509T([MFR(ASTM D1238 (260℃、21.18N))]=30g/10min)
(A)-2:日本ゼオン(株)製 (商品名)Zeonor 1020R([MFR(ISO 1133 (280℃、21.2N))]=20g/10min)
(A)-3:TOPAS Advanced Polymers製 (商品名)TOPAS 9506F-04 ([MVR(ISO 1133 (230℃、21.18N))]=6g/10min)
(A)-4:TOPAS Advanced Polymers製 (商品名)TOPAS 8007F-04 ([MVR(ISO 1133 (230℃、21.18N))]=12g/10min)
(2)高密度ポリエチレン
下記の製造方法で得られたもの又は市販品を用いた。
(B)-1:下記の製造方法で得られた。
[変性粘土の調製]
脱イオン水4.8L、エタノール3.2Lの混合溶媒に、ジメチルベヘニルアミン;(C2245)(CHN 354gと37%塩酸83.3mLを加え、ジメチルベヘニルアミン塩酸塩溶液を調製した。この溶液に合成ヘクトライト1,000gを加え終夜撹拌し、得られた反応液をろ過した後、固体分を水で十分洗浄した。固体分を乾燥させたところ、1,180gの有機変性粘土を得た。赤外線水分計で測定した含液量は0.8%であった。次に、この有機変性粘土を粉砕し、平均粒径を6.0μmに調製した。
[重合触媒の調製]
5Lのフラスコに、[変性粘土の調製]の項で得た有機変性粘土450g、ヘキサン1.4kgを加え、その後トリイソブチルアルミニウムのヘキサン20重量%溶液1.78kg(1.8モル)、ビス(n-ブチル-シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド7.32g(18ミリモル)を加え、60℃に加熱して1時間撹拌した。反応溶液を45℃に冷却し、2時間静置した後に傾斜法で上澄液を除去した。次に、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン1重量%溶液1.78kg(0.09モル)を添加し、45℃で30分間反応させた。反応溶液を45℃で2時間静置した後に傾斜法で上澄液を除去し、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン20重量%溶液0.45kg(0.45モル)を加え、ヘキサンで再希釈して全量を4.5Lとし重合触媒を調製した。
[(B)-1の製造]
内容量300Lの重合器に、ヘキサンを135kg/時、エチレンを20.0kg/時、ブテン-1を0.4kg/時、水素8NL/時および[重合触媒の調製]の項で得られた重合触媒を連続的に供給した。また、助触媒として液中のトリイソブチルアルミニウムの濃度を0.93ミリモル/kgヘキサンとなるように、それぞれ連続的に供給した。重合温度は85℃に制御した。得られた高密度ポリエチレン((B)-1)はMFR=3.0g/10分、密度945kg/mであった。(B)-1の基本特性評価結果を表1に示す。
(B)-2:下記の製造方法で得られた。
[変性粘土の調製]
(B)-1と同様の方法により変性粘土を調製した。
[重合触媒の調製]
(B)-1と同様の方法により重合触媒を調製した。
[(B)-2の製造]
内容量300Lの重合器に、ヘキサンを135kg/時、エチレンを20.0kg/時、ブテン-1を0.3kg/時、水素5NL/時および[重合触媒の調製]の項で得られた重合触媒を連続的に供給した。また、助触媒として液中のトリイソブチルアルミニウムの濃度を0.93ミリモル/kgヘキサンとなるように、それぞれ連続的に供給した。重合温度は85℃に制御した。得られた高密度ポリエチレン((B)-2)はMFR=1.0g/10分、密度952kg/mであった。(B)-2の基本特性評価結果を表1に示す。
(P)-1:下記市販品を用いた。
東ソー(株)製 (商品名)ニポロンハード 5700(MFR=1.0g/10分、密度=954kg/m
Figure 0007104302000004
(3)直鎖状低密度ポリエチレン
下記市販品を用いた。
(Q)-1:東ソー(株)製 (商品名)ニポロン-Z HF213K(MFR=2.0g/10分、密度=905kg/m
(4)ポリプロピレン
下記市販品を用いた。
(R)-1:日本ポリプロ(株)製 (商品名)ノバテックTM PP FW4B(MFR=6.5g/10分(230℃)、密度=900kg/m
実施例1乃至8、比較例1乃至7
<フィルムの製造>
表2,3に示す樹脂組成物に係るペレットを圧縮成形機 AWFA.50(神藤金属工業社製)にて、加熱温度200℃、加熱圧力10kgf/cm、加熱時間10分にて加熱圧縮後、冷却温度30℃、冷却圧力10kgf/cm、冷却時間4分で固化させて200μmの評価用フィルムを製造した。
<フィルムの評価>
実施例1乃至8、比較例1乃至7に用いたフィルムの諸性質は下記の方法により評価した。
<透明性>
上記フィルムから、幅10mm×長さ50mmの試験片を切出し、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製 型式V-530)を用いて、純水中で波長450nmにおける光線透過率を測定した。当該光線透過率が40%以上の試料を透明性が高いと判断した。さらに、当該光線透過率が45%以上の試料を特に透明性が高いと判断した。結果を表4及び表5に示す。
<低温衝撃強度>
衝撃強度は、JIS K7160 B法に準拠して、-20℃下で測定を行った。当該衝撃強度が30kJ/m以上の試料を耐衝撃性が高いと判断した。
Figure 0007104302000005
Figure 0007104302000006
Figure 0007104302000007
Figure 0007104302000008

Claims (3)

  1. 環状ポリオレフィン(A)60~90重量部、および下記特性(a)~(d)を満足する高密度ポリエチレン(B)10~40重量部((A)及び(B)の合計は100重量部)を含む樹脂組成物。
    (a)JIS K6922-1に準拠して密度勾配管法で測定した密度が940~970kg/mである。
    (b)JIS K 6922-1に準拠し、190℃、荷重21.18Nで測定したメルトマスフローレートが0.1~15g/10分である。
    (c)分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に炭素数6以上の長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.14個以下有する。
    (d)ゲルパーミエションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2.0~3.5の範囲である。
  2. 高密度ポリエチレン(B)のMnが25,000以上であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の樹脂組成物からなるフィルム。
JP2018057792A 2017-03-28 2018-03-26 樹脂組成物及びそれよりなるフィルム Active JP7104302B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017063423 2017-03-28
JP2017063423 2017-03-28

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018165361A JP2018165361A (ja) 2018-10-25
JP7104302B2 true JP7104302B2 (ja) 2022-07-21

Family

ID=63922636

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018057792A Active JP7104302B2 (ja) 2017-03-28 2018-03-26 樹脂組成物及びそれよりなるフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7104302B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7069923B2 (ja) * 2018-03-26 2022-05-18 東ソー株式会社 樹脂組成物およびそれよりなるフィルム

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000265012A (ja) 1999-03-12 2000-09-26 Mitsui Chemicals Inc 識別ラベル用フィルム
JP2005162965A (ja) 2003-12-05 2005-06-23 Shinseisha:Kk 化粧フィルム
JP2012134474A (ja) 2010-11-30 2012-07-12 Mitsubishi Plastics Inc 太陽電池用多層体
JP2013076056A (ja) 2011-09-13 2013-04-25 Sumitomo Bakelite Co Ltd 包装用シート
JP2014518928A (ja) 2011-05-27 2014-08-07 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 押し出しプロセスの間のチルロールビルドアップが低減されるポリエチレンブレンド組成物
WO2014141817A1 (ja) 2013-03-13 2014-09-18 ポリプラスチックス株式会社 溶媒用容器及び溶媒の保存方法
JP2014227199A (ja) 2013-05-22 2014-12-08 東ソー株式会社 飲料用容器
WO2014207950A1 (ja) 2013-06-25 2014-12-31 Dic株式会社 積層体及びこれを用いた包装材

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000265012A (ja) 1999-03-12 2000-09-26 Mitsui Chemicals Inc 識別ラベル用フィルム
JP2005162965A (ja) 2003-12-05 2005-06-23 Shinseisha:Kk 化粧フィルム
JP2012134474A (ja) 2010-11-30 2012-07-12 Mitsubishi Plastics Inc 太陽電池用多層体
JP2014518928A (ja) 2011-05-27 2014-08-07 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 押し出しプロセスの間のチルロールビルドアップが低減されるポリエチレンブレンド組成物
JP2013076056A (ja) 2011-09-13 2013-04-25 Sumitomo Bakelite Co Ltd 包装用シート
WO2014141817A1 (ja) 2013-03-13 2014-09-18 ポリプラスチックス株式会社 溶媒用容器及び溶媒の保存方法
JP2014227199A (ja) 2013-05-22 2014-12-08 東ソー株式会社 飲料用容器
WO2014207950A1 (ja) 2013-06-25 2014-12-31 Dic株式会社 積層体及びこれを用いた包装材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018165361A (ja) 2018-10-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7310992B2 (ja) 樹脂組成物およびそれよりなるフィルム
CA2584381C (en) Polymer blends for producing films with a reduced number of defects
WO2015053334A1 (ja) ポリエチレン樹脂組成物、それよりなる積層体およびこの積層体を用いた医療容器
JP2009040894A (ja) エチレン系重合体およびそれよりなるフィルム
JPH11124429A (ja) 熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体、及びその製造方法
JP2015074744A (ja) ポリエチレン樹脂組成物およびそれよりなる医療容器
JP7104302B2 (ja) 樹脂組成物及びそれよりなるフィルム
EP2644653A1 (en) Transparent thermoplastic resin composition with high ductility and use thereof
WO2016017528A1 (ja) 樹脂成形体
JP2010006985A (ja) 包装部材用成形材料
JP4962151B2 (ja) 医薬用低密度ポリエチレン容器
JP7069923B2 (ja) 樹脂組成物およびそれよりなるフィルム
TW201542646A (zh) 樹脂組成物、樹脂成形體以及光學元件
JP2016087110A (ja) 医療用器具
JP4951883B2 (ja) 医療用成形体
JP5381939B2 (ja) ノルボルネン系開環共重合体水素化物からなるフィルム
JP2023069610A (ja) 樹脂組成物およびそれよりなるフィルム
JP2024009554A (ja) 多層フィルム
JP2017122141A (ja) ポリエチレン樹脂組成物およびそれよりなる医療容器
JP6767454B2 (ja) 樹脂改質剤
JP2018115268A (ja) フィルム及び医療容器
JP2010144007A (ja) インフレーションフィルム
JP7312580B2 (ja) 環状オレフィン系共重合体ペレット、成形体、及び、環状オレフィン系共重合体ペレットの製造方法
KR101534345B1 (ko) 사출 성형체로 이루어지는 광학 부품 및 사출 성형체로 이루어지는 광학 부품 형성용 수지 조성물
JPH11130842A (ja) 多環式重合体およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210210

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211214

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220208

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220607

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220620

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7104302

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151