JP4951883B2 - 医療用成形体 - Google Patents

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Description

本発明は樹脂組成物及びその成形体に関する。詳しくは、透明性、耐熱性、剛性、耐湿性、耐薬品性、衛生性などに優れた非晶性環状オレフィン系重合体の特徴を損なわず、耐衝撃性、成形加工性にも優れた樹脂組成物及びその成形体に関するものである。
環状オレフィン系重合体とは、分子内に脂環式炭化水素基を含有する重合体の総称である。重合体としては、α−オレフィンと環状オレフィンとの付加重合体と、環状オレフィンの開環単独重合体とが知られている。かかる重合体は、いずれも環状オレフィンを重合構成単位として有しており、ポリオレフィン由来の耐溶剤性、耐水性などに優れるだけでなく、高い透明性や耐熱性、耐湿性に優れ、気体透過性も低いことが特徴である。透明プラスチックとしては、ポリカーボネートやアクリル樹脂などが代表的で、環状オレフィン系重合体とともに汎用されているが、特に、医療用途においては、衛生性、耐溶出特性などで未解決の問題がある。
従来、ガラス容器が主として使用されてきた医療用成形体は、取り扱いの安全性(破損など)や繰り返し使用における衛生性の問題があり、ガラスに代わって、ポリプロピレンやポリエチレン製のディスポーザル容器が現在では主流である。更には近年になって、作業の簡素化、ヒューマンエラーの防止などのさまざまな目的で、薬液を成形品に充填して保管する、「プレフィルド方式」が提案され、製品化されつつある。しかしながら、現状使用されているポリプロピレンなどの成形体では、酸素や湿度(水分)の透過性などの問題で、薬液の長期保管が困難であるほか、透明性が不足して内容物が見難いなどの問題も発生している。
これらの問題は、環状オレフィン系重合体を使用することで改良出来る。しかし、非晶性ポリオレフィン樹脂は耐衝撃性が低く、更には流動性が低く成形加工性も低いことから、取り扱いが難しいだけでなく、複雑な成形体を成形するのが困難であるという問題が発生していた。
これらの問題については、例えば、環状オレフィンとα−オレフィンとの共重合比を変更したり、環状オレフィン系重合体自体の構造を変更したりすることによって、ある程度改良することも出来る。しかしながら、共重合比の変更による改良法ではガラス転移温度が低下して耐熱性が低下してしまうし、環状オレフィン系重合体そのものの構造を変更する方法では、耐衝撃性の改良は十分な水準とは言えない。また、これらの方法では樹脂の流動性が不足して成形加工性に問題があるほか、射出成形後の離型性にも難点があった。
その他の方法として、環状オレフィン系重合体にポリオレフィンやエチレン系のゴム状重合体を配合する方法(特許文献1参照)、環状オレフィン系重合体に共役ジエン-ビニル芳香族化合物のランダム共重合体を配合する方法(特許文献2参照)、環状オレフィン系重合体に芳香族ビニル化合物-イソブチレンのブロック共重合体を配合する方法(特許文献3参照)などのポリマーアロイの技術を用いる方法が数多く報告されている。
上記の各文献に示される方法によれば、耐衝撃性、成形加工性の改良は認められるものの、透明性が損なわれたり、耐衝撃性を得るために多量配合が必要となり、医療用途として必要な滅菌対応の耐熱性や気体透過性が確保されないなど、各種問題がある。
特開平6−136245号公報 特開平6−316652号公報 特開平9−124854号公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、透明性、耐湿性、剛性、耐薬品性、耐熱性、衛生性などに優れた非晶性ポリオレフィン樹脂(環状オレフィン系重合体)の特徴を損なうことなく、耐衝撃性、成形加工性にも優れた樹脂組成物、及びその成形体を提供しようとするものである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、非晶性環状オレフィン系重合体に特定構造を有するスチレン系熱可塑性エラストマーを配合することにより前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成したものである。
即ち、本発明の要旨は、下記の成分(イ)及び(ロ)を含有する樹脂組成物に存する。
(イ)ガラス転移温度が130℃以上の非晶性環状オレフィン系重合体
(ロ)一般式[(A−B)n]及び/又は[(A−B)n−A]で表されるブロック共重合体(式中、Aはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックを示し、Bは水添されていてもよいビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体ブロックを示し、nは1〜5の整数である。)
また、本発明の他の要旨は、下記の成分(イ)及び(ロ)を含有する樹脂組成物を成形して得られる成形体に存する。
(イ)ガラス転移温度が130℃以上の非晶性環状オレフィン系重合体
(ロ)一般式[(A−B)n]及び/又は[(A−B)n−A]で表されるブロック共重合体(式中、Aはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックを示し、Bは水添されていてもよいビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体ブロックを示し、nは1〜5の整数である。)
また、本発明の他の要旨は、下記の、成分(イ)の含有量が50質量%未満である成分(イ)及び(ロ)を含有する樹脂組成物に、成分(イ)のペレットをドライブレンドして、要すれば更に溶融混練して、成分(イ)の含有量が95〜50質量%、成分(ロ)の含有量が5〜50質量%の樹脂組成物を製造する方法に存する。
(イ)ガラス転移温度が130℃以上の非晶性環状オレフィン系重合体
(ロ)一般式[(A−B)n]及び/又は[(A−B)n−A]で表されるブロック共重合体(式中、Aはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックを示し、Bは水添されていてもよいビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体ブロックを示し、nは1〜5の整数である。)
本発明により、透明性、耐湿性、剛性、耐薬品性、耐熱性、衛生性などとともに、耐衝撃性、成形加工性にも優れた樹脂組成物を得ることが出来る。この樹脂組成物は、耐滅菌性、溶出特性などを要求される医療用途の他、光学部品などの用成にも好適に使用することが出来る。特に、従来の医療用成形体では、各種の問題で制限されていた薬液種や容器、容器用蓋などの用途にも使用が可能となるなど、医療分野における価値は顕著である。
1.樹脂組成物の構成要素
(イ)ガラス転移温度が130℃以上の非晶性環状オレフィン系重合体
本発明の成形体の原料となる樹脂組成物を構成する成分(イ)とは、環状オレフィンの重合体であって、側鎖に環状構造を有し、示差走査熱量計(DSC)測定による融点が実質的に観測されない非晶質の性質を有し、かつガラス転移温度が130℃以上であるものを指す。具体的には、環状オレフィンの付加単独重合体、環状オレフィンとα−オレフィンとの付加共重合体、環状オレフィンの開環(単独)重合体等が挙げられる。開環重合体の主鎖は、その一部又は全部が水素添加されていてもよい。
付加(単独)重合体を製造する場合の環状オレフィンとしては、ビシクロ(2.2.1)-2-ヘプテン、5-メチルビシクロ(2.2.1)-2-ヘプテン、5,6-ジメチルビシクロ(2.2.1)-2-ヘプテン、テトラシクロ(4.4.0.12,5.17,10)-3-ドデセン、8-メチルテトラシクロ(4.4.0.12,5.17,10)-3-ドデセン、8,9-ジメチルテトラシクロ(4.4.0.12,5.17,10)-3-ドデセンなどが例としてあげられるが、この限りではない。また、環状オレフィンの例示として、DCPD(ジシクロペンタジエン)、CPD(シクロペンタジエン)とオレフィンとのディールス・アルダー付加体なども挙げられる。これらの環状オレフィンは、単独で使用するほか、数種類を混合して使用することも出来る。
付加共重合体を製造する場合の共重合成分としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンなどを初めとする、炭素数2〜20のα-オレフィン等があげられる。これらのα−オレフィンは、環状オレフィンに対して通常50〜90モル%、好ましくは50〜70モル%使用される。α−オレフィンの共重合量が多過ぎる場合は、得られる付加共重合体の結晶性が現れることがある。
開環(単独)重合体を製造する場合の環状オレフィンとしては、ビシクロ(2.2.1)-2-ヘプテン、5-メチルビシクロ(2.2.1)-2-ヘプテン、5,6-ジメチルビシクロ(2.2.1)-2-ヘプテン、5-カルボキシメチルビシクロ(2.2.1)-2-ヘプテン、ジシクロペンタジエン、2,3-ジヒドロジシクロペンタジエン、テトラシクロ(4.4.0.12,5.17,10)-3-ドデセン、8-メチルテトラシクロ(4.4.0.12,5.17,10)-3-ドデセン、8-エチルテトラシクロ(4.4.0.12,5.17,10)-3-ドデセン、8-カルボキシメチルテトラシクロ(4.4.0.12,5.17,10)-3-ドデセン、8-メチル-8-カルボキシメチルテトラシクロ(4.4.0.12,5.17,10)-3-ドデセンなどが例としてあげられるがこの限りではない。
付加重合による製造方法としては、既知の種々の方法を採用することが出来る。例えば、チーグラー触媒、メタロセン触媒を使用して重合することができる。より具体的には、環状オレフィンとエチレンなどの共重合成分をシクロヘキサンなどの炭化水素溶媒中で、可溶性バナジウム化合物、可溶性チタン化合物、可溶性ジルコニウム化合物等と有機アルミニウム化合物などのような助触媒を組合わせた触媒を使用して、通常−50〜100℃の温度範囲、通常0〜50kg/cm2の圧力範囲にて重合することができる。
開環重合による製造方法も、既知の種々の方法を採用することが出来る。例えば、環状オレフィンを遷移金属化合物または白金族金属化合物と有機アルミニウム化合物などの有機金属化合物を含む触媒系において、必要に応じて、脂肪族または芳香族の3級アミン等の添加剤の存在下に、通常−20〜100℃の温度範囲、通常0〜50kg/cm2の圧力範囲にて重合することが出来る。更に、重合後の水素添加反応についても既知の水素化触媒の存在下で行うことが出来る。
上記で説明した環状オレフィン系重合体の製造方法を、反応式で例示すれば、図1の通りである。(1)は付加共重合体の製造方法、(2)は開環単独重合体の製造方法を示す。
上記のようにして得られる環状オレフィン重合体は、本発明の樹脂組成物としての耐熱性の点から、ガラス転移温度が130℃以上であることが必要であり、135℃以上であるのが好ましい。また、良好な熱可塑性材料とするためにガラス転移温度は250℃以下、特に230℃以下であるのが好ましい。ガラス転移温度の制御は、環状オレフィンの構造、重合方法、共重合物質、共重合割合などを適宜に選択することによって行うことができる。尚、ガラス転移温度はJIS K7191によって測定されたものである。
また、得られる環状オレフィン重合体は、非晶性であることが必要である。ここに非晶性とは、示差走査熱量計(DSC)測定による融点が実質的に観測されないことを意味する。実質的に融点が認められる結晶性の重合体では、透明性に劣るので本発明には用いることができない。環状オレフィン系重合体は、環状オレフィンモノマー以外の共重合モノマーが著しく過大とならない限り、通常の重合条件下で得られるものは、おおむね非晶性を示すものである。尚、DSC測定はJIS K7121に準拠して行われる。
上記のような非晶性環状オレフィン系重合体の市販品としては、三井化学社製「アペル6015」、日本ゼオン社製「ゼオネックス480」「ゼオノア」、JSR社製「アートン」、ティコナ社製「トパス」等があげられる。本発明においては、これら市販品の中からガラス転移温度が130℃以上のものを選択して用いればよい。
(ロ)一般式[(A−B)n]及び/又は[(A−B)n−A]で表されるブロック共重合体(式中、Aはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックを示し、Bは水添されていてもよいビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体ブロックを示し、nは1〜5の整数である。)
成分(ロ)は、ビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(A)とビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合体の共重合体ブロック(B)とからなる。その重合体ブロック(A)がハードセグメントを、共重合体ブロック(B)がソフトセグメントをそれぞれ構成している。代表的には、A−B、又は、A−B−Aで表される共重合構造を有し、共役ジエンの二重結合が部分的に或いは完全に水素添加されていてもよいブロック共重合体である。
ビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(A)を構成する化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられ、中でも、スチレンが好ましい。また、これらは混合物として使用することもできる。
ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合体の共重合体ブロック(B)を構成するビニル芳香族炭化水素は、前記重合体ブロック(A)を構成する化合物と同様である。一方、共重合体ブロック(B)を構成する共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、中でも、ブタジエン、イソプレン、又は、ブタジエン/イソプレンの両者混合物であるのが好ましい。
ビニル芳香族炭化水素―共役ジエンの共重合体ブロック(B)は、ソフトセグメントを構成するものであり、組成物としての柔軟性を高め、反発弾性を低くする観点から、ランダムの共重合体であることが好ましい。
本発明において、重合体ブロック(A)−共重合体ブロック(B)、又は、重合体ブロック(A)−共重合体ブロック(B)−重合体ブロック(A)から成るブロック共重合体としては、(A)と(B)の合計量に対して、(A)の含有量の下限が、通常3質量%、好ましくは4質量%、更に好ましくは5質量%であり、同上限が、通常70質量%、好ましくは50質量%、更に好ましくは30質量%である。(A)の含有量は、組成物として機械的強度、耐熱性の点から上記の下限以上が好ましく、一方、柔軟性の点では上記の上限以下が好ましい。
共重合体ブロック(B)を水素添加して使用する場合、水素添加率は、通常30%以上、好ましくは50%以上、特には90%以上であるものがよい。組成物として耐候性、耐熱性の向上の点から、水素添加率は前記下限以上が好ましい。
本発明の成分(ロ)の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量として、50,000〜500,000であるのが好ましく、70,000〜300,000であるものが特に好ましい。熱可塑性エラストマー組成物として機械的強度の点から重量平均分子量が前記下限以上が好ましく、一方、傷つき性や成形加工性の点から前記上限以下が好ましい。なお、上記分子量は、通常、液体クロマトグラフまたはSEC(サイズ排除クロマトグラフ)専用のクロマトグラフ装置を使用して測定することができる。測定条件としては、特に規定するものではないが、一例として、クロロホルムを溶媒として、流速0.5mL/分、常温、測定濃度0.1質量%、注入量20μLにて、例えば、Tosoh TSK gelsuper HM−Mなどのカラムを使用し測定することができる。検出方法としては、UV検出、RI検出など通常の方法を採用できる。UV検出の場合、ビニル芳香族炭化水素の含量によって検出比が変化するため、都度補正が必要となる。RI検出の場合、かかる補正は不要なので簡便である。計算方法は一般的に使用されるポリスチレン換算である。
尚、本発明において、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロック(A)−ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合体ブロック(B)のブロック共重合体における共役ジエンのミクロ構造や、ビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックの構造は、核磁気共鳴スペクトル(NMR)を測定し、J.C.Randall,J.Polym.Sci.Polym.Phs.Ed.,Vol.13,901(1975)を参考にして信号を帰属することにより求めたものである。
本発明に用いるブロック共重合体の製造方法としては、上記の構造・物性が得られるものであればどのような製造方法を用いてもよい。例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒等を用いて不活性溶媒中でブロック重合を行うことによって得ることができる。また、これらのブロック共重合体の水素添加処理は、例えば特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、あるいは特開昭59−133203号公報および特開昭60−79005号公報に記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下で行うことができる。
ブロックを形成する反応順序の一例を示すに、先ず、スチレンまたはその誘導体を単独で重合し、次いでスチレンと共役ジエンを共重合し、これをカップリング剤によりカップリングして得ることもできる。また、ジリチウム化合物を開始剤としてスチレンと共役ジエンを重合し、次いで、スチレンまたはその誘導体を逐次重合して得ることもできる。
2.各成分の配合比
成分(イ)及び(ロ)の配合比は、(イ)/(ロ)=95/5〜50/50の範囲が好ましい。つまり、成分(イ)及び(ロ)の含有量が両者の合計量に対して、成分(イ)が95〜50質量%、成分(ロ)が5〜50質量%であることが好ましい。耐衝撃性改良の効果の点では前記の上限以下が好ましく、耐熱性や剛性の点では前記下限以上が好ましい。
3.付加的成分
本発明の成形体の原料となる樹脂組成物には、上記成分に加えて、本発明の用途に適合し、かつ効果を損なわない範囲で、目的に応じて他の任意の配合成分を配合することができる。任意成分としては、例えば、軟化材、充填材、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴材、蛍光増白剤等の各種添加物、上記必須成分以外の熱可塑性樹脂、上記必須成分以外のエラストマー、フィラー等を挙げることができ、これらの中から任意のものを単独でまたは併用して用いることができる。
これら任意成分の配合量は、本発明の優れた効果を大幅に損なわなければ特に限定されるものではないが、樹脂ないしエラストマー成分にあっては、樹脂組成物全体における含有量として、通常40質量%以下、特に10質量%以下、更に5質量%以下が好ましい。各種の機能付与剤にあっては2質量%以下、特に1質量%以下とするのが好ましい。
4.配合方法
本発明の成形体の原料となる樹脂組成物を得るための配合方法としては、一般的に用いられる溶融法、溶液法、懸濁分散法等があり、特に限定されない。実用的には溶融混練法が好ましい。溶融混練にはヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等を用いて均一に混合した後、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、一軸又は二軸等の多軸混練押出機等の通常の混練機を用いて混練する方法が例示できる。
各成分の溶融混練の温度は、使用する成分の融点を超え、溶融状態になる温度であれば良いが、樹脂の劣化等を考慮に入れると好ましくは280℃以下であることが望ましい。その他、変色などを避けるためにフィード部から不活性ガスを注入する、ポンプなどを使用して真空にするなど、さらに溶融混練における樹脂の酸化を極力軽減する方法を採用することが好ましい。
更に、各成分の混練順序及び方法は、特に限定されるものではなく、配合材料を一括して混練する方法、一部を混練した後、付加的な配合材料を含めた残りの成分を混練する方法でもよい。
5.成形方法
得られた樹脂組成物は、例えば射出成形、押出成形法、インフレーション成形法、Tダイフィルム成形法、ラミネート成形法、ブロー成形法、中空成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法等の成形法により直接成形することが出来る。また、押し出し成形などで成形されたシートを真空成形などの方法により成形体を得る方法も採用することが出来るが、主には射出成形に適している。
また、他の樹脂、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどポリオレフィン樹脂などとのインサート射出成形、2色射出成形などをすること、及び、Tダイ成形、ラミネート成形法における積層フィルム、シートなどを成形することも出来る。
射出成形法など各種の成形加工を行う場合、成分(イ)の含有量が相対的に少量(50質量%未満)である、成分(イ)(ロ)の樹脂組成物に、成分(イ)単独のペレットをドライブレンドしたものを用いることができる。これにより、樹脂組成物中における成分(イ)(ロ)の含有量を所望の値に容易に制御することができる。即ち、成分(イ)単独のペレットをマスターバッチとして使用する態様である。
6.成形体の物性
本発明の成形体は 耐熱性に優れており、JIS−K7191に準拠して測定した(0.45MPa荷重での測定)熱変形温度が、通常120℃以上である。
また、本発明の成形体は透明性に優れており、JIS−K7105に準拠して測定したヘイズ(霞度)が、通常20%以下であり、好ましくは15%以下であり、特に好ましくは10%以下である。同様に、全光線透過率、(厚み2mmの射出成形板にて、積分球式光線透過率測定装置を用いて測定)が、通常80%以上であり、好ましくは85%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
また、本発明の成形体は耐衝撃性に優れており、JIS−K7110に準拠して測定したアイゾット衝撃強度(モールドノッチ付き成形片を使用)が通常、2kJ/m2以上であり、好ましくは3kJ/m2以上であり、特に好ましいもので6kJ/m2以上である。
7.利用分野
本発明の樹脂組成物及びその成形体は、透明性、耐熱性、気体透過性、衛生性などに優れ、医療用のシリンジや各種容器などにおいて成形加工性が向上するだけでなく、オートクレーブ滅菌にも対応出来、更に、薬液を注入して保管するプレフィルドにも対応可能である。また、光学部品などにも好適である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例で用いた原材料及び物性評価方法を以下に示す。
1.原材料
成分(イ):環状オレフィン系重合体成分
イ−1;三井化学社製、「アペル6015T」。ガラス転移温度145℃、MFR7g/10分(260℃、荷重21N)。
イ−2;日本ゼオン社製、「ゼオネックス480」。ガラス転移温度139℃、MFR20g/10分(280℃、荷重21N)。
イ−3;三井化学社製、「アペル6509」。 ガラス転移温度80℃、MFR30g/10分(260℃、荷重21N)。
成分(ロ):スチレン系エラストマー成分
ロー1;スチレン重合体ブロック−スチレン/ブタジエンランダム共重合体ブロック−スチレン重合体ブロックからなるトリブロック共重合体の水素添加物(全スチレン含有量:60質量%、スチレン重合体ブロック含有量:45質量%、水素添加率:99%、重量平均分子量:162,000、ブタジエンの1,2−ビニル結合量:60%)
ロ−2;スチレン重合体ブロック−スチレン/ブタジエンランダム共重合体ブロック−スチレン重合体ブロックからなるトリブロック共重合体の水素添加物(全スチレン含有量:39質量%、スチレン重合体ブロック含有量:19質量%、水素添加率:99%、重量平均分子量:127,000、ブタジエンの1,2−ビニル結合量:35%)
成分(ハ):その他に使用した樹脂成分
ハ−1;JSR社製、「ダイナロン1322P」。スチレン/ブタジエンランダム共重合体の水素添加物。
ハ−2;JSR社製、「ダイナロン4600P」。スチレン−ブタジエン−ブタジエンからなるトリブロック共重合体の水素添加物(末端ブタジエンブロックは完全1,4結合であるので、水素添加後は結晶性ポリエチレンと同様な化学構造となる)。
ハ−3;クラレ社製、「セプトン2104」。スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体の水素添加物。
ハ−4;MFR20g/10分(230℃、21N)、曲げ弾性率1500MPaのホモプロピレン重合体。
2.物性評価方法
(1)メルトフローレート(MFR)
溶融混練して得られた樹脂組成物のペレットを用いて、JIS−K7210に準拠し、230℃、荷重49Nの条件で測定した。
(2)曲げ弾性率
インラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製「IS130」)にて、射出圧力50MPa、シリンダー温度240℃、金型温度40℃の条件でJISファミリー金型を使用して射出成形した各種の成形品を用いて、JIS−K7171(1993)に準拠して測定した。
(3)引張り特性
前記同様の射出成形品を用いて、JIS−K7161に準拠して測定した。
(4)アイゾット衝撃強度
前記同様の射出成形品を用いて、JIS−K7110に準拠して測定した。成形品としては、モールドノッチ付き成形片を使用した。
(5)熱変形温度
前記同様の射出成形品を用いて、JIS−K7191に準拠し、荷重0.45MPaで測定した。
(6)光線透過率及びヘイズ
JIS−K7105に準拠し、厚み2mmの射出成形板にて、積分球式光線透過率測定装置を用いて測定した。
(7)水蒸気透過性
油圧式電機プレス成形機を用い、プレス成形温度220℃にて、厚さ0.50±0.05mmのフィルムを成形した。このフィルムを使用して、JIS−K7129B法に準拠し、測定装置「モタンコントロール社製、PERMATRAN W200」を用い、試験温度40℃、90%RHにて測定した。
(8)酸素透過性
前記同様のフィルムを用いて、JIS−K7126B法に準拠し、測定装置「MOCON社製、OXTRAN10/50A」を用い、試験温度23℃にて測定した。
(9)二酸化炭素透過性
前記同様のフィルムを用いて、JIS−K7126A法に準拠し、測定装置「東洋精機社製、差圧式ガス透過試験機」を用い、試験温度23℃にて測定した。
[実施例1〜5]
表1に示す配合量(質量部)にて配合した成分(イ)〜(ハ)の合計量100質量部に対して、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバスペシャリティケミカルズ社製、「イルガノックス1010」)0.1質量部を添加し、L/Dが33、シリンダー径44mmの二軸押出機を用いて230℃の温度に設定して溶融混練させ、これをダイよりストランド状に押し出し、カッティングして樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを上記記載の各種方法にて評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例1〜10]
表2に示す配合量(質量部)にて配合した成分(イ)〜(ハ)の合計量100質量部に対して、上記実施例と同様にしてペレットを得て評価した。評価結果を表2に示す。
Figure 0004951883
Figure 0004951883
Figure 0004951883
表1、表2より次のことが明らかである。
(1)本発明の実施例によれば、いずれも85%以上の光透過率が達成されており、かつアイゾット衝撃強度が最低でも6kJ/m2以上ある。
(2)比較例1〜3から分かるように、環状オレフィン系重合体の単独使用では光透過率は優れるものの、アイゾット衝撃強度に劣る。
(3)比較例4〜10から分かるように、環状オレフィン系重合体に本発明以外のブロック共重合体水添物を加えた組成物、或いはホモポリプロピレンにあっては、透明性(HAZE)及び光透過率、アイゾット衝撃強度又は熱変形温度のいずれかが不良である。
本発明で使用する環状オレフィン系重合体の製造反応例を示す。
符号の説明
1:付加共重合体
2:開環単独重合体(水素化を含む)
1、R2、R3:水素又は炭化水素基
l、m、n:重合度(繰り返し単位数)

Claims (6)

  1. 下記の成分(イ)及び(ロ)を含有する樹脂組成物を成形して得られる医療用成形体。
    (イ)ガラス転移温度が130℃以上の非晶性環状オレフィン系重合体
    (ロ)一般式[A−B−A]で表されるブロック共重合体(式中、Aはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックを示し、Bは水添されていてもよいビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体ブロックを示し、かつAとBの合計量に対して、Aの含有量が3質量%以上、70質量%以下である。)
  2. ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体ブロックBが、スチレンとブタジエンとの共重合体ブロックの水添物である請求項1に記載の医療用成形体。
  3. 成分(イ)及び(ロ)の含有量が両者の合計量に対して、成分(イ)が95〜50質量%、成分(ロ)が5〜50質量%である請求項1又は2に記載の医療用成形体。
  4. 熱変形温度が120℃以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の医療用成形体。
  5. アイゾット衝撃強度が2kJ/m2以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の医療用成形体。
  6. 容器又は容器蓋である請求項1〜の何れかに記載の医療用成形体。
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