JP2000265012A - 識別ラベル用フィルム - Google Patents

識別ラベル用フィルム

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JP2000265012A
JP2000265012A JP11067400A JP6740099A JP2000265012A JP 2000265012 A JP2000265012 A JP 2000265012A JP 11067400 A JP11067400 A JP 11067400A JP 6740099 A JP6740099 A JP 6740099A JP 2000265012 A JP2000265012 A JP 2000265012A
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JP
Japan
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cyclic olefin
film
group
polymer
formula
Prior art date
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JP11067400A
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English (en)
Inventor
Shigetoshi Nishijima
茂俊 西島
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 転用防止または改竄防止に有効な識別ラベル
であって、易崩壊性で、剥離が容易な識別ラベル用フィ
ルムを提供する。 【解決手段】 識別ラベル用フィルムは、特定構造の環
状オレフィンから導かれるエチレン・環状オレフィンラ
ンダム共重合体[A-1]、該環状オレフィンの開環重合体
または共重合体[A-2]、上記[A-2]の水素化物[A-3]、お
よび上記[A-1]、[A-2]または[A-3]のグラフト変性物[A-
4]からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状オレフ
ィン系重合体からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、識別ラベル用フィ
ルムに関する。より詳細には転用防止または改竄防止に
適した識別ラベルに好適なフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、使い捨てを見直して資源再利用の
観点から、自動車部品や、電気部品などがリサイクルさ
れるようになってきた。そのため、それらの部品は、比
較的簡単に取り外せるように製品に取り付けられてい
る。反面このことは、これらの部品の違法な転用や、窃
盗など不法行為を行い易くしている。
【0003】例えば、自動車のバンパー、フェンダー、
ミラー、シート、エンジン、タイヤホイール、電子回路
のIC、マザーボードなどは、転用してそのまま使用で
きるので、いわゆるマニヤと呼ばれる人たちにより、転
用されたり、世界の治安の悪い地域においては、中古部
品市場での盗品の販売などの問題を惹起している。
【0004】一方、部品が小型、高密度化、高性能化す
るにともない、あるいはPL法の施行により商品使用上
の安全を期するため、法規制上それぞれの部品や製品に
特徴や取り扱い上の注意点を標示することが必要になっ
てきている。この場合には、表示内容が改竄されること
を防止しなければならない。
【0005】従来、商品や部品の識別用に貼って用いら
れる識別ラベルには、ポリ塩化ビニルやポリオレフィン
等の汎用樹脂にフィラーを加えたフィルムが用いられて
きた。このラベルは、商品や部品から剥がそうとすると
簡単に引裂け復元できなくなるため、違法な転用の防止
や改竄防止に効果を有している。
【0006】しかしながら、ポリ塩化ビニル製の識別ラ
ベルは、廃棄したあとの焼却処理時に有害ガスを発生
し、ポリオレフィン等に添加されたフィラーは焼却後に
灰分として残ってしまう。また、部品をリサイクルする
場合に完全に剥がすことが困難なため再利用の障害にな
っている。例えば近年リサイクルされるようになってき
た自動車用のバンパーなどの樹脂製部品では、リサイク
ルは廃棄された自動車のバンパーを溶融して再度成形加
工することにより行われるが、その際異種の樹脂が混入
すると、色むらを生じたり、強度物性に悪影響を及ぼす
という問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、転用防止ま
たは改竄防止に有効な識別ラベルであって、易崩壊性
で、剥離が容易な識別ラベル用フィルムを提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る識別ラベル
用フィルムは、下記[A-1]、[A-2]、[A-3]および
[A-4]からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状
オレフィン系重合体からなることを特徴としている。
【0009】[A-1]エチレンと下記式(I)または(I
I)で表される環状オレフィンとを共重合させて得られ
るエチレン・環状オレフィンランダム共重合体、
【化3】 (式中、nは0または1であり、mは0または1以上の
整数であり、qは0または1であり、R1〜R18ならび
にRaおよびRbは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン
原子または炭化水素基であり、R1 5〜R18は互いに結合
して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環
または多環が二重結合を有していてもよく、またR1 5
1 6とで、またはR1 7とR1 8とでアルキリデン基を形成
していてもよい。)、
【0010】
【化4】 (式中、pおよびqは0または1以上の整数であり、m
およびnは0、1または2であり、R1〜R1 9はそれぞ
れ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、
脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基またはアルコキシ
基であり、R9およびR1 0が結合している炭素原子と、
1 3またはR1 1が結合している炭素原子とは直接あるい
は炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合していても
よく、またn=m=0のとき、R1 5とR1 2またはR1 5
1 9とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形
成していてもよい。)、
【0011】[A-2]上記式(I)または(II)で表さ
れる環状オレフィンの開環重合体または共重合体、[A-
3]上記[A-2]開環重合体または共重合体の水素化物、お
よび[A-4]上記[A-1]、[A-2]または[A-3]のグラフト変
性物。
【0012】また、本発明の識別ラベル用フィルムは、
前記環状オレフィン系重合体からなるフィルムを、縦横
に延伸し得られる。
【0013】また、本発明の識別ラベル用フィルムは、
前記環状オレフィン系重合体からなる樹脂層を少なくと
も1層有する多層フィルムであってもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る環状オレフィ
ン系重合体およびそれからなる識別ラベル用フィルムに
ついて具体的に説明する。
【0015】環状オレフィン系重合体 本発明では、環状オレフィン系重合体として、[A-1]:
エチレンと下記式(I)または(II)で表される環状オ
レフィンとのランダム共重合体、[A-2]:下記式(I)
または(II)で表される環状オレフィンの開環重合体ま
たは共重合体、[A-3]:上記[A-2]開環重合体または共
重合体の水素化物、および、[A-4]:上記[A-1]、[A-2]
または[A-3]のグラフト変性物からなる群より選ばれる
少なくとも1種が用いられる。
【0016】本発明で用いられる環状オレフィン系重合
体は、DSCで測定したガラス転移温度(Tg)が、70
℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは70〜
250℃であり、特に75〜180℃が好ましい。
【0017】また、本発明で用いられる環状オレフィン
系重合体は、非晶性または低結晶性であり、X線回折法
によって測定される結晶化度が、通常20%以下であ
り、好ましくは10%以下、さらに好ましくは2%以下
である。
【0018】また、本発明の環状オレフィン系重合体
は、135℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]
が、好ましくは0.01〜20dl/gであり、より好
ましくは0.03〜10dl/g、さらに好ましくは
0.05〜5dl/gであり、ASTM D1238に準じ260
℃、荷重2.16kgで測定した溶融流れ指数(MF
R)は、好ましくは0.1〜200g/10分であり、
より好ましくは1〜100g/10分、さらに好ましく
5〜50g/10分である。
【0019】さらに、環状オレフィン系重合体の軟化点
は、サーマルメカニカルアナライザーで測定した軟化点
(TMA)として、通常30℃以上であり、好ましくは
70℃以上、さらに好ましくは80〜260℃である。
【0020】ここで、まず本発明で用いられる環状オレ
フィン系重合体を形成する式(I)または(II)で表さ
れる環状オレフィンについて説明する。環状オレフィン 本発明で用いられる環状オレフィンは、下記式(I)ま
たは(II)で表わされる。
【化5】
【0021】上記式(I)中、nは0または1であり、
mは0または1以上の整数であり、qは0または1であ
る。なお、qが1の場合には、RaおよびRbは、それぞ
れ独立に、下記に示す原子または炭化水素基であり、q
が0の場合には、それぞれの結合手が結合して5員環を
形成する。
【0022】R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それ
ぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基で
ある。ここでハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、
臭素原子またはヨウ素原子である。
【0023】また、炭化水素基としては、それぞれ独立
に、通常、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子
数3〜15のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基が挙
げられる。より具体的には、アルキル基としてはメチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル
基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基お
よびオクタデシル基が挙げられ、シクロアルキル基とし
ては、シクロヘキシル基が挙げられ、芳香族炭化水素基
としては、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
これらの炭化水素基は、ハロゲン原子で置換されていて
もよい。さらに上記式(I)において、R1 5〜R18がそ
れぞれ結合して(互いに共同して)単環または多環を形
成していてもよく、しかも、このようにして形成された
単環または多環は二重結合を有していてもよい。
【0024】
【化6】 式(II)中、pおよびqは0または1以上の整数であ
り、mおよびnは0、1または2である。またR1〜R1
9は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水
素基またはアルコキシ基である。
【0025】ハロゲン原子は、上記式(I)におけるハ
ロゲン原子と同じ意味である。炭化水素基としては、そ
れぞれ独立に炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原
子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜
15のシクロアルキル基または芳香族炭化水素基が挙げ
られる。より具体的には、アルキル基としては、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル
基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基お
よびオクタデシル基が挙げられ、シクロアルキル基とし
ては、シクロヘキシル基が挙げられ、芳香族炭化水素基
としては、アリール基およびアラルキル基、具体的に
は、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基お
よびフェニルエチル基などが挙げられる。
【0026】また、アルコキシ基としては、メトキシ
基、エトキシ基およびプロポキシ基などを挙げることが
できる。これらの炭化水素基およびアルコキシ基は、フ
ッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換
されていてもよい。
【0027】ここで、R9およびR1 0が結合している炭
素原子と、R1 3が結合している炭素原子またはR1 1が結
合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜
3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわ
ち上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合して
いる場合には、R9およびR1 3で表される基が、または
1 0およびR1 1で表される基が、互いに共同して、メチ
レン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2CH2-)またはプロピレ
ン基(-CH2CH2CH2-)のうちのいずれかのアルキレン基を
形成している。
【0028】さらに、n=m=0のとき、R1 5とR1 2
たはR1 5とR1 9とは互いに結合して単環または多環の芳
香族環を形成していてもよい。この場合の単環または多
環の芳香族環として、たとえば下記のようなR1 5とR1 2
がさらに芳香族環を形成している基が挙げられる。
【0029】
【化7】 ここでqは、式(II)におけるqと同じ意味である。
【0030】上記のような式(I)または式(II)で示
される環状オレフィンを、より具体的に次に例示する。
一例として、
【化8】 で示されるビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン(=ノルボルネ
ン)(上記一般式中において、1〜7の数字は炭素の位
置番号を示す。)および該化合物に炭化水素基が置換し
た誘導体が挙げられる。
【0031】この置換炭化水素基として、5-メチル、5,
6-ジメチル、1-メチル、5-エチル、5-n-ブチル、5-イ
ソブチル、7-メチル、5-フェニル、5-メチル-5-フェニ
ル、5-ベンジル、5-トリル、5-(エチルフェニル)、5-
(イソプロピルフェニル)、5-(ビフェニル)、5-(β-ナフ
チル)、5-(α-ナフチル)、5-(アントラセニル)、5,6-ジ
フェニルなどを例示することができる。
【0032】さらに他の誘導体として、シクロペンタジ
エン-アセナフチレン付加物、1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テ
トラヒドロフルオレン、1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-
ヘキサヒドロアントラセンなどのビシクロ[2.2.1]-2-ヘ
プテン誘導体を例示することができる。
【0033】この他、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセ
ン、2-メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン、5-メ
チルトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセンなどのトリシク
ロ[4.3.0.12,5]-3-デセン誘導体、トリシクロ[4.4.0.1
2,5]-3-ウンデセン、10-メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]
-3-ウンデセンなどのトリシクロ[4.4.0.12,5]-3-ウンデ
セン誘導体、
【化9】 で示されるテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセ
ン、およびこれに炭化水素基が置換した誘導体が挙げら
れる。
【0034】その炭化水素基として、8-メチル、8-エチ
ル、8-プロピル、8-ブチル、8-イソブチル、8-ヘキシ
ル、8-シクロヘキシル、8-ステアリル、5,10-ジメチ
ル、2,10-ジメチル、8,9-ジメチル、8-エチル-9-メチ
ル、11,12-ジメチル、2,7,9-トリメチル、2,7-ジメチル
-9-エチル、9-イソブチル-2,7-ジメチル、9,11,12-トリ
メチル、9-エチル-11,12-ジメチル、9-イソブチル-11,1
2-ジメチル、5,8,9,10-テトラメチル、8-エチリデン、8
-エチリデン-9-メチル、8-エチリデン-9-エチル、8-エ
チリデン-9-イソプロピル、8-エチリデン-9-ブチル、8-
n-プロピリデン、8-n-プロピリデン-9-メチル、8-n-プ
ロピリデン-9-エチル、8-n-プロピリデン-9-イソプロピ
ル、8-n-プロピリデン-9-ブチル、8-イソプロピリデ
ン、8-イソプロピリデン-9-メチル、8-イソプロピリデ
ン-9-エチル、8-イソプロピリデン-9-イソプロピル、8-
イソプロピリデン-9-ブチル、8-クロロ、8-ブロモ、8-
フルオロ、8,9-ジクロロ、8-フェニル、8-メチル-8-フ
ェニル、8-ベンジル、8-トリル、8-(エチルフェニル)、
8-(イソプロピルフェニル)、8,9-ジフェニル、8-(ビフ
ェニル)、8-(β-ナフチル)、8-(α-ナフチル)、8-(アン
トラセニル)、5,6-ジフェニル等を例示することができ
る。
【0035】さらには、(シクロペンタジエン-アセナ
フチレン付加物)とシクロペンタジエンとの付加物など
のテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン誘導
体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-4-ペンタデ
センおよびその誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.1
9,12.08,13]-3-ペンタデセンおよびその誘導体、ペンタ
シクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-ヘキサデセンおよ
びその誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]-
4-ヘキサデセンおよびその誘導体、ヘキサシクロ[6.6.
1.13,6.110,13.02,7.09,14]-4-ヘプタデセンおよびその
誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.0
12,16]-5-エイコセンおよびその誘導体、ヘプタシクロ
[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]-4-エイコセ
ンおよびその誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.1
11,18.03,8.012,17]-5-ヘンエイコセンおよびその誘導
体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.0
3,8.012, 17]-5-ドコセンおよびその誘導体、ノナシクロ
[10.9.1.14,7.113,20.115,18.02, 10.03,8.012,21.0
14,19]-5-ペンタコセンおよびその誘導体などが挙げら
れる。
【0036】本発明で使用することのできる前記式
(I)または式(II)の具体例は、上記した通りである
が、より具体的なこれらの化合物の構造については、本
願出願人の出願による特開平7-145213号公報明
細書の段落番号[0032]〜[0054]に示されて
おり、本願発明においても、上記明細書に例示されるも
のを本願発明の環状オレフィンとして使用することがで
きる。
【0037】上記のような一般式(I)または(II)で
表される環状オレフィンの製造方法としては、例えば、
シクロペンタジエンと対応する構造を有するオレフィン
類とのディールス・アルダー反応を挙げることが出来
る。
【0038】これらの環状オレフィンは、単独であるい
は2種以上組み合わせて用いることができる。本発明で
用いられる環状オレフィン系重合体は、上記のような式
(I)または式(II)で表される環状オレフィンを用い
て、たとえば特開昭60-168708号、同61-120816号、同61
-115912号、同61-115916号、同61-271308号、同61-2722
16号、同62-252406号および同62-252407号などの公報に
おいて本出願人が提案した方法に従い、適宜条件を選択
することにより製造することができる。
【0039】[A-1]エチレン・環状オレフィンランダ
ム共重合体 [A-1]エチレン・環状オレフィンランダム共重合体
は、エチレンから誘導される構成単位を、通常は20〜
95モル%、好ましくは30〜90モル%の量で、環状
オレフィンから誘導される構成単位を、通常は5〜80
モル%、好ましくは10〜70モル%の量で含有してい
る。なおエチレンおよび環状オレフィンの組成比は、13
C−NMRによって測定される。
【0040】この[A-1]エチレン・環状オレフィンラ
ンダム共重合体では、上記のようなエチレンから誘導さ
れる構成単位と環状オレフィンから誘導される構成単位
とが、ランダムに配列して結合し、実質的に線状構造を
有している。この共重合体が実質的に線状であって、実
質的にゲル状架橋構造を有していないことは、この共重
合体が有機溶媒に溶解した際に、この溶液に不溶分が含
まれていないことにより確認することができる。たとえ
ば、極限粘度[η]を測定する際に、この共重合体が1
35℃のデカリンに完全に溶解することにより確認する
ことができる。
【0041】本発明で用いられる[A-1]エチレン・環
状オレフィンランダム共重合体において、上記式(I)
または(II)で表される環状オレフィンの少なくとも一
部は、下記式(IV)または(V)で示される繰り返し単
位を構成していると考えられる。
【0042】
【化10】 式(IV)において、n、m、q、R1〜R18ならびにRa
およびRbは式(I)と同じ意味である。
【0043】
【化11】 式(V)において、n、m、p、qおよびR1〜R1 9
式(II)と同じ意味である。
【0044】また本発明で用いられる[A-1]エチレン
・環状オレフィンランダム共重合体は、本発明の目的を
損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能なモノ
マーから誘導される構成単位を有していてもよい。この
ような他のモノマーとしては、上記のようなエチレンま
たは環状オレフィン以外のオレフィンを挙げることがで
き、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、
1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテ
ン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メ
チル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメ
チル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-
ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テト
ラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンおよび1-エ
イコセンなどの炭素数3〜20のα-オレフィン、シク
ロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4-ジメ
チルシクロペンテン、3-メチルシクロヘキセン、2-(2-
メチルブチル)-1-シクロヘキセンおよびシクロオクテ
ン、3a,5,6,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン
などのシクロオレフィン、1,4-ヘキサジエン、4-メチル
-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、1,7-
オクタジエン、ジシクロペンタジエンおよび5-ビニル-2
-ノルボルネンなどの非共役ジエン類を挙げることがで
きる。
【0045】これらの他のモノマーは、単独であるいは
組み合わせて用いることができる。[A-1]エチレン・
環状オレフィンランダム共重合体において、上記のよう
な他のモノマーから誘導される構成単位は、通常は20
モル%以下、好ましくは10モル%以下の量で含有され
ていてもよい。
【0046】本発明で用いられる[A-1]エチレン・環
状オレフィンランダム共重合体は、エチレンと式(I)
または(II)で表される環状オレフィンとを用いて前記
公報に開示された製造方法により製造することができ
る。これらのうちでも、この共重合を炭化水素溶媒中で
行ない、触媒として該炭化水素溶媒に可溶性のバナジウ
ム化合物および有機アルミニウム化合物から形成される
触媒を用いて[A-1]エチレン・環状オレフィンランダ
ム共重合体を製造することが好ましい。
【0047】また、この共重合反応では固体状のIV族メ
タロセン系触媒を用いることもできる。ここで固体状IV
族メタロセン系触媒とは、シクロペンタジエニル骨格を
有する配位子を含む遷移金属化合物と、有機アルミニウ
ムオキシ化合物と、必要により配合される有機アルミニ
ウム化合物とからなる触媒である。ここでIV族の遷移金
属としては、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムで
あり、これらの遷移金属が少なくとも1個のシクロペン
タジエニル骨格を含む配位子を有している。シクロペン
タジエニル骨格を含む配位子の例としては、アルキル基
が置換していてもよいシクロペンタジエニル基またはイ
ンデニル基、テトラヒドロインデニル基、フロオレニル
基を挙げることができる。これらの基は、アルキレン基
など他の基を介して結合していてもよい。また、シクロ
ペンタジエニル骨格を含む配位子以外の配位子の例とし
ては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基等があげられる。
【0048】また、有機アルミニウムオキシ化合物およ
び有機アルミニウム化合物は、通常オレフィン系樹脂の
製造に使用されるものを用いることができる。このよう
な固体状IV族メタロセン系触媒については、例えば特開
昭61-221206号、同64-106号および特開平2-173112号公
報等に記載されているものを使用し得る。
【0049】[A-2] 環状オレフィンの開環重合体また
は共重合体 [A-2]環状オレフィンの開環重合体または共重合体
は、前記式(I)または(II)で表される環状オレフィ
ンの開環重合体、または前記式(I)および/または
(II)で表される環状オレフィンの開環重合単位を含む
共重合体である。共重合体の場合、2種以上の異なる環
状オレフィンを組み合わせて用いる。
【0050】環状オレフィンの開環重合体または開環共
重合体において、上記式(I)または(II)で表される
環状オレフィンの少なくとも一部は、下記式(VI)また
は(VII)で表される繰り返し単位を構成していると考
えられる。
【化12】 式(VI)において、n、m、qおよびR1〜R18ならび
にRaおよびRbは式(I)と同じ意味である。
【0051】
【化13】 式(VII)において、n、m、p、qおよびR1〜R1 9
式(II)と同じ意味である。
【0052】このような開環重合体または開環共重合体
は、前記公報に開示された製造方法により製造すること
ができ、例えば、上記式(I)で表される環状オレフィ
ンを開環重合触媒の存在下に、重合または共重合させる
ことにより製造することができる。開環重合触媒として
は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、
インジウムまたは白金などから選ばれる金属のハロゲン
化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と還元剤と
からなる触媒、あるいは、チタン、パラジウム、ジルコ
ニウムまたはモリブテンなどから選ばれる金属のハロゲ
ン化物またはアセチルアセトン化合物と有機アルミニウ
ム化合物とからなる触媒を用いることができる。
【0053】[A-3]開環重合体または共重合体の水素
化物 本発明で用いられる[A-3]開環重合体または共重合体
の水素化物は、上記のようにして得られる開環重合体ま
たは共重合体[A-2]を、従来公知の水素添加触媒の存
在下に水素化して得られる。
【0054】この[A-3]開環重合体または共重合体の
水素化物においては、式(I)または(II)で表される
環状オレフィンのうち少なくとも一部は、下記式(VII
I)または(IX)で表される繰り返し単位を構成してい
ると考えられる。
【0055】
【化14】 式(VIII)において、n、m、qおよびR1〜R18なら
びにRaおよびRbは式(I)と同じ意味である。
【0056】
【化15】 式(IX)においてn、m、p、q、R1〜R1 9は式(I
I)と同じ意味である。
【0057】[A-4] グラフト変性物 環状オレフィン系重合体のグラフト変性物は、上記の
[A-1]エチレン・環状オレフィンランダム共重合体、
[A-2]環状オレフィンの開環重合体または共重合体、
または、[A-3]開環重合体または共重合体の水素化物
のグラフト変性物である。
【0058】ここで用いられる変性剤としては、通常不
飽和カルボン酸類があげられ、具体的には、(メタ)ア
クリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル
酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロ
トン酸、エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-
2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)などの不飽和カルボ
ン酸、さらにこれら不飽和カルボン酸の誘導体たとえば
不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸ハライド、
不飽和カルボン酸アミド、不飽和カルボン酸イミド、不
飽和カルボン酸のエステル化合物などが例示される。
【0059】不飽和カルボン酸の誘導体としては、より
具体的に、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、塩化マ
レニル、マレイミド、マレイン酸モノメチル、マレイン
酸ジメチル、グリシジルマレエートなどが挙げられる。
【0060】これらのなかでは、α,β−不飽和ジカル
ボン酸およびα,β−不飽和ジカルボン酸無水物たとえ
ばマレイン酸、ナジック酸およびこれら酸の無水物が好
ましく用いられる。これらの変性剤は、2種以上組合わ
せて用いることもできる。
【0061】このような環状オレフィン系重合体のグラ
フト変性物は、所望の変性率になるように環状オレフィ
ン系重合体に変性剤を配合してグラフト重合させ製造す
ることもできるし、予め高変性率の変性物を調製し、次
いでこの変性物と未変性の環状オレフィン系重合体とを
所望の変性率になるように混合することにより製造する
こともできる。
【0062】環状オレフィン系重合体と変性剤とから環
状オレフィン系重合体のグラフト変性物を得るには、従
来公知のポリマー変性方法を広く適用することができ
る。たとえば溶融状態にある環状オレフィン系重合体に
変性剤を添加してグラフト重合(反応)させる方法、あ
るいは環状オレフィン系重合体の溶媒溶液に変性剤を添
加してグラフト反応させる方法などによりグラフト変性
物を得ることができる。
【0063】このようなグラフト反応は、通常60〜3
50℃の温度で行われる。またグラフト反応は、有機過
酸化物およびアゾ化合物などのラジカル開始剤の共存下
に行うことができる。
【0064】本発明では、環状オレフィン系重合体とし
て、上記のような[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A
-4]のいずれかを単独で用いることができ、またこれら
を組み合わせて用いることもできる。これらのうちで
は、エチレン・環状オレフィンランダム共重合体[A-
1]が好ましく用いられる。さらには、エチレン・テト
ラシクロドデセン共重合体またはエチレン・ノルボルネ
ン共重合体が好ましい。
【0065】本発明においては、この環状オレフィン系
重合体に、必要に応じて、さらに他の樹脂を配合してな
る樹脂組成物を用いることもできる。他の樹脂は、本発
明の目的を損なわない範囲で添加される。ここで環状オ
レフィン系重合体に添加しうる重合体(樹脂成分)を以
下に例示する。
【0066】添加し得る他の樹脂成分 (1)1個または2個の不飽和結合を有する炭化水素から
誘導される重合体。 具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リメチルブテン-1、ポリ4-メチルペンテン-1、ポリブテ
ン-1およびポリスチレンなどのポリオレフィンが挙げら
れる。なおこれらのポリオレフィンは架橋構造を有して
いてもよい。
【0067】(2)ハロゲン含有ビニル重合体。 具体的にはポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
フッ化ビニル、ポリクロロプレン、塩素化ゴムなどが挙
げられる。
【0068】(3)α,β-不飽和酸とその誘導体から誘導
された重合体。 具体的にはポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポ
リアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、または前記
の重合体を構成するモノマーとの共重合体、たとえばア
クリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アク
リロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・
スチレン・アクリル酸エステル共重合体などが挙げられ
る。
【0069】(4)不飽和アルコールおよびアミンまたは
そのアシル誘導体またはアセタールから誘導される重合
体。 具体的にはポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポ
リスレアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレ
イン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタ
レート、ポリアリルメラミン、または前記重合体を構成
するモノマーとの共重合体、たとえばエチレン・酢酸ビ
ニル共重合体などが挙げられる。
【0070】(5)エポキシドから誘導される重合体。 具体的にはポリエチレンオキシドまたはビスグリシジル
エーテルから誘導された重合体などが挙げられる。
【0071】(6)ポリアセタール。 具体的にはポリオキシメチレン、ポリオキシエチレン、
コモノマーとしてエチレンオキシドを含むようなポリオ
キシメチレンなどが挙げられる。
【0072】(7)ポリフェニレンオキシド。 (8)ポリカーボネート。 (9)ポリスルフォン。 (10)ポリウレタンおよび尿素樹脂。
【0073】(11)ジアミンおよびジカルボン酸および/
またはアミノカルボン酸または相応するラクタムから誘
導されたポリアミドおよびコポリアミド。 具体的にはナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、
ナイロン12などが挙げられる。
【0074】(12)ジカルボン酸およびジアルコールおよ
び/またはオキシカルボン酸または相応するラクトンか
ら誘導されたポリエステル。 具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリ1,4-ジメチロール・シクロヘキサ
ンテレフタレートなどが挙げられる。
【0075】(13)アルデヒドとフェノール、尿素または
メラミンから誘導された架橋構造を有した重合体。 具体的には、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、尿素
・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド
樹脂などが挙げられる。
【0076】(14)アルキッド樹脂。 具体的にはグリセリン・フタル酸樹脂などが挙げられ
る。 (15)飽和および不飽和ジカルボン酸と多価アルコールと
のコポリエステルから誘導され、架橋剤としてビニル化
合物を使用して得られる不飽和ポリエステル樹脂ならび
にハロゲン含有改質樹脂。
【0077】(16)天然重合体。 具体的にはセルロース、ゴム、蛋白質、あるいはそれら
の誘導体たとえば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロ
ース、セルロースエーテルなどが挙げられる。
【0078】(17)軟質重合体。 例えば、環状オレフィン成分を含む軟質重合体、α-オ
レフィン系共重合体、α-オレフィン・ジエン系共重合
体、芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン系軟質共重合
体、イソブチレンまたはイソブチレン・共役ジエンから
なる軟質重合体または共重合体等が挙げられる。
【0079】その他の添加物 本発明で用いる環状オレフィン系重合体には、さらに上
述の成分に加えて、発明の目的を損なわない範囲で、従
来公知の耐候安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、難燃
剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑
剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、有機また
は無機の充填剤などが配合されていてもよい。
【0080】たとえば、任意成分として配合される耐候
安定剤の紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合
物、ベンゾトリアゾール系化合物、ニッケル系化合物、
ヒンダードアミン系化合物があり、具体的には、2,2',
4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-(2'-ヒドロ
キシ-3'-t-ブチル-5'-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾ
トリアゾールや2-(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-ブチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(3,5-ジ-t-ブチ
ル-4-ヒドロキシベンゾイルフォスフォリックアシッド
エチルエステルのニッケル塩、ビス(2,2',6,6'-テトラ
メチル-4-ピペリジン)セバケイトなどが挙げられる。
【0081】また、任意成分として配合される耐熱安定
剤としては、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチ
ル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、
β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピ
オン酸アルキルエステル、2,2'-オキザミドビス[エチ
ル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピ
オネートなどのフェノール系酸化防止剤、ステアリン酸
亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2-ヒドロキシステア
リン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、グリセリンモノ
ステアレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリ
スリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジ
ステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート
などの多価アルコール脂肪酸エステルなどを挙げること
ができ、また、ジステアリルペンタエリスリトールジフ
ォスファイト、フェニル-4,4'-イソプロピリデンジフェ
ノール-ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス
(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリト
ールジフォスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニ
ル)フォスファイト等のリン系安定剤を使用してもよ
い。これらは単独で配合してもよいが、組み合わせて配
合してもよい。たとえばテトラキス[メチレン-3-(3.5-
ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
メタンとステアリン酸亜鉛とグリセリンモノステアレー
トとの組み合わせなどを例示できる。これらの安定剤
は、1種または2種以上組み合わせて用いることができ
る。
【0082】本発明で使用される環状オレフィン系重合
体と他の樹脂成分や添加剤との混合方法としては、それ
自体公知の方法が適用できる。たとえば各成分を同時に
混合する方法などである。
【0083】識別ラベル用フィルム 本発明に係る識別ラベル用フィルムは、上記のような環
状オレフィン系重合体から形成される。フィルムを成形
するには、公知の方法、例えばTダイ法、インフレーシ
ョン法などにより成形できる。得られたフィルムの厚み
は、0.005〜2mm、好ましくは0.01〜0.5
mmであり、そのままでも易崩壊性を示すが、このフィ
ルムをさらに縦横に延伸しても使用できる。ここで易崩
壊性とは、フィルムに外部から引張力やせん断力を加え
ると、容易に引裂けることをいう。
【0084】延伸条件は、フィルムを、環状オレフィン
系重合体のガラス転移温度(Tg)より0〜60℃、好
ましくは5〜40℃高い温度で延伸するのが好ましい。
延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよい。延伸手段として
は、ロール延伸、テンター延伸、インフレーション法な
どの通常の手段を用い得る。延伸速度は50%/分〜1
万%/分である。こうして得られた延伸フィルムも易崩
壊性に優れる。
【0085】また、上記環状オレフィン系重合体からな
るフィルムは、芳香族炭化水素系溶剤、脂環族炭化水素
系溶剤、テルペン系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤な
どの有機溶剤に容易に溶解するため、識別ラベルとして
製品や部品に貼着されたものでも、完全に取り除くこと
ができる。さらに識別ラベルの貼着に用いる粘着剤も上
記の溶剤に溶解するものが好ましい。
【0086】芳香族炭化水素系溶剤の例として、具体的
に、ベンゼン、トルエン、キシレン、フェノール、エチ
ルベンゼン、スチレン、ジビニルベンゼン、クメン、サ
イメンなど;脂環族炭化水素系溶剤の例として、シクロ
ペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シク
ロヘキサン、シクロオクタン、ジシクロペンタジエン、
エチルノルボルネン、ドデカヒドロナフタレンなど;テ
ルペン系溶剤の例として、リモネン、ミルセン、カレ
ン、ピネン、オシメン、カンフェン、テルピノレン、ト
リシクレン、テルピネン、フェンチェン、フェランドレ
ン、シルベストレン、サビネン、サンタレン、セドレ
ン、セスキベニヘン、カンホレン、ミレン、トタレンな
ど;ハロゲン化炭化水素系溶剤の例として、トリクロル
メタン、ジクロロエタン、1,1,1,-トリクロルエタン、
四塩化炭素、1,2-ジクロルプロパン、クロルベンゼン、
ジクロルベンゼン、クロルトルエン、クロルスチレン、
クロルキシレンなどあげることができる。
【0087】本発明の識別ラベル用フィルムは、上記環
状オレフィン系重合体からなる樹脂層を少なくとも1層
有する多層フィルムであってもよい。この多層フィルム
には、他の樹脂としてポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、
セロファン、ポリ塩化ビニール、生分解性樹脂等の公知
の樹脂が使用できる。多層フィルムの製造方法として
は、ドライラミネート法、押出しラミネート法、ウェッ
トラミネート法、ホットメルト法、ニーラム法、ノンソ
ルドライラミネート法、共押出し法などの公知の方法を
使用できる。
【0088】識別ラベルの製造には、まず上記のフィル
ムに各種の印刷・印字が施される。印刷や印字方法とし
ては公知の方法を採用しうる。凸版、凹版、平板、グラ
ビヤ印刷等が採用できる。また、印字にインクジェット
方式を用いてもよいし、レーザーマーキング法によって
もよい。レーザーマーキングを行う場合、環状オレフィ
ン系重合体にマイカ等を含有させて、レーザーのエネル
ギーを樹脂に吸収し易くすることが好ましい。
【0089】印刷・印字したのち、フィルムの裏面に感
圧性接着剤を塗布し、剥離紙を貼って裁断後、識別ラベ
ルが完成する。感圧性接着剤としては、合成ゴムまたは
天然ゴム、熱可塑性エラストマーなどの接着主剤にロジ
ン、エステルガム、石油樹脂などの粘着付与剤、可塑
剤、充填剤を配合したものなどを使用できる。またフィ
ルムを直接被接着体に接着する際には、接着剤としてア
クリル系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着
剤、シアノアクリレート系接着剤、また、環状オレフィ
ン系重合体を溶解し得る上記の溶剤を塗布して接着させ
ることもできる。識別ラベルの接着強度を上げるために
は、フィルムの接着剤塗布面にプラズマ放電処理、グロ
ー放電処理、コロナ放電処理などを施すことが好まし
い。さらに、金属や樹脂を使用し識別ラベルを部分的に
挟み込む方法に示されるように、機械的な手法を用いて
固定してもよい。
【0090】
【発明の効果】本発明の環状オレフィン系重合体からな
る識別ラベル用フィルムは、易崩壊性に優れるので、識
別ラベルとして用いたとき、外部から力を加えると容易
に引裂けるので、転用防止に効果を発揮する。また、本
発明の環状オレフィン系重合体からなる識別ラベル用フ
ィルムは、多くの有機溶剤に容易に溶解するので、識別
ラベルに記載された内容を、溶剤で修正することができ
ず改竄防止の効果を有する。さらに、製品や部品に貼着
された識別ラベルを溶剤で完全に溶解除去できるので、
リサイクルが容易になる。
【0091】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例で用いた評価方法を次に示す。 (1)引き剥がし崩壊性 接着させたフィルムをゆっくりと手で引き剥がしたと
き、フィルム全体が破壊または切れたものを◎、多層フ
ィルムで層間剥離するとともに環状オレフィン系重合体
層のみフィルム全体が破壊または切れたものを○、縦横
いずれか一方が切れ他方は切れずに界面剥離したものを
△、フィルムが切れずに界面剥離したものを×として評
価した。
【0092】(2)拭き取り性 フィルムを接着した被接着体を60℃に保温したリモネ
ン中に24時間浸漬したのち引き上げて綿の布を用いて
拭き取る。このとき溶解し完全に拭き取れたものを◎、
浸漬後の拭き取りを2回繰り返して拭き取れたものを
○、2回繰り返してもまったく拭き取れなかったものを
×として評価した。
【0093】(実施例1)エチレン・テトラシクロドデ
セン共重合体(テトラシクロドデセン単位含量:32モ
ル%、MFR[260℃、荷重2.16kg]:30g/10分、T
g:80℃)を用い、30mmφの押出機を使用し、シ
リンダー温度230℃でTダイにて厚さ50μmのフィ
ルムを得た。このフィルムを長さ100mm、幅5mm
に切断し、α−シアノアクリレート系接着剤を端から長
さ70mmの範囲に塗布したのち、ガラス板に貼り付け
た。貼り付け後24時間放置し、接着していない部分を
手に持ってゆっくり引き剥がし引き剥がし崩壊性を評価
した。別のサンプルについて拭き取り性を評価した。結
果を表1に示す。
【0094】(実施例2)エチレン・テトラシクロドデ
セン共重合体(テトラシクロドデセン単位含量:32モ
ル%、MFR[260℃、荷重2.16kg]:30g/10分、T
g:80℃)を用い、30mmφの押出機を使用し、シ
リンダー温度230℃でTダイにて厚さ200μmのフ
ィルムを得た。このフィルムを用いて、温度85℃、延
伸速度500%/分で縦横各2倍に同時2軸延伸して厚
さ50μmのフィルムを作成した。このフィルムを実施
例1と同様に処理して引き剥がし崩壊性と拭き取り性を
評価した。結果を表1に示す。
【0095】(実施例3)エチレン・テトラシクロドデ
セン共重合体(テトラシクロドデセン単位含量:32モ
ル%、MFR[260℃、荷重2.16kg]:30g/10分、T
g:80℃)と、ホモポリプロピレン(MFR[230℃、
荷重2.16kg]:7g/10分)を用い、30mmφの押
出機2基を使用し双方共シリンダー温度230℃で、環
状オレフィン系重合体層50μm、ポリプロピレン層3
0μm、総厚さ80μmの共押出しフィルムを得た。こ
のフィルムを長さ100mm、幅5mmに切断し、α−
シアノアクリレート系接着剤を環状オレフィン系重合体
層の端から長さ70mmの範囲に塗布したのち、同層側
をガラス板に貼り付けた。貼り付け後24時間放置し、
接着していない部分を手に持ってゆっくり引き剥がし引
き剥がし崩壊性を評価した。別のサンプルについて拭き
取り性を評価した。結果を表1に示す。
【0096】(実施例4)エチレン・テトラシクロドデ
セン共重合体(テトラシクロドデセン単位含量:32モ
ル%、MFR[260℃、荷重2.16kg]:30g/10分、T
g:80℃)80重量部と、高密度ポリエチレン(密度
0.956g/cm3、MFR[190℃、荷重2.16kg]:6
g/10分)20重量部とを混合した樹脂と、直鎖状低
密度ポリエチレン(密度0.920g/cm3、MFR
[190℃、荷重2.16kg]:2.1g/10分)とを用い、3
0mmφの押出機2基を使用し双方共シリンダー温度2
30℃で、環状オレフィン系重合体層20μm、直鎖状
低密度ポリエチレン層30μm、総厚さ50μmの共押
出しフィルムを得た。このフィルムを実施例3と同様に
処理して引き剥がし崩壊性と拭き取り性を評価した。結
果を表1に示す。
【0097】(実施例5)環状オレフィン系重合体(A)
としてエチレン・テトラシクロドデセン共重合体(テト
ラシクロドデセン単位含量:32モル%、MFR[260
℃、荷重2.16kg]:30g/10分、Tg:80℃)と、
熱可塑性ポリエステル樹脂(B)としてポリエチレンテレ
フタレート(極限粘度[η]:0.67dl/g、密度
1.40g/cm3、融点256℃)と、接着性樹脂(C)
としてアドマー(登録商標、三井化学(株)製、MFR[2
30℃、荷重2.16kg]:2.7g/10分、密度0.88g
/cm3)とを用い、(B)/(C)/(A)/(C)/(B)の順に積
層された5層フィルムを、20μm/15μm/130
μm/15μm/20μmの厚さで共押出しして得た。
このフィルムを縦3.2倍、横3.2倍に同時2軸延伸
し、延伸後の総厚さ20μmのフィルムを得た。このフ
ィルムを実施例1と同様に処理して引き剥がし崩壊性と
拭き取り性を評価した。結果を表1に示す。
【0098】(比較例1)高密度ポリエチレン(密度
0.956g/cm3、MFR[190℃、荷重2.16kg]:6
g/10分)を用い、30mmφの押出機を使用しシリ
ンダー温度230℃でTダイにて厚さ50μmのフィル
ムを得た。このフィルムを実施例1と同様に処理して引
き剥がし崩壊性と拭き取り性を評価した。結果を表1に
示す。
【0099】(比較例2)ホモプロピレン(密度0.9
1g/cm3、MFR[230℃、荷重2.16kg]:1.4g/
10分)を用いて、30mmφの押出機を使用しシリン
ダー温度230℃でTダイにてフィルム成形し、このフ
ィルムを縦5倍、横10倍に延伸して厚さ20μmのフ
ィルムを得た。このフィルムの縦方向、横方向のそれぞ
れを長手方向として切断して評価サンプルとし、実施例
1と同様にそれぞれ処理して引き剥がし崩壊性と拭き取
り性を評価した。結果を表1に示す。
【0100】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G09F 3/02 G09F 3/02 Z

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A
    -4]からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状オレ
    フィン系重合体からなる識別ラベル用フィルム; [A-1]エチレンと下記式(I)または(II)で表され
    る環状オレフィンとを共重合させて得られるエチレン・
    環状オレフィンランダム共重合体、 【化1】 (式中、nは0または1であり、mは0または1以上の
    整数であり、qは0または1であり、R1〜R18ならび
    にRaおよびRbは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン
    原子または炭化水素基であり、R1 5〜R18は互いに結合
    して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環
    または多環が二重結合を有していてもよく、またR1 5
    1 6とで、またはR1 7とR1 8とでアルキリデン基を形成
    していてもよい。)、 【化2】 (式中、pおよびqは0または1以上の整数であり、m
    およびnは0、1または2であり、R1〜R1 9はそれぞ
    れ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、
    脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基またはアルコキシ
    基であり、R9およびR1 0が結合している炭素原子と、
    1 3またはR1 1が結合している炭素原子とは直接あるい
    は炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合していても
    よく、またn=m=0のとき、R1 5とR1 2またはR1 5
    1 9とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形
    成していてもよい。)、 [A-2]上記式(I)または(II)で表される環状オレ
    フィンの開環重合体または共重合体、 [A-3]上記[A-2]開環重合体または共重合体の水素化
    物、および [A-4]上記[A-1]、[A-2]または[A-3]のグラフト変性
    物。
  2. 【請求項2】前記環状オレフィン系重合体からなるフィ
    ルムを、縦横に延伸して得られる請求項1に記載の識別
    ラベル用フィルム。
  3. 【請求項3】前記環状オレフィン系重合体からなる樹脂
    層を少なくとも1層有する多層フィルムである請求項1
    または2に記載の識別ラベル用フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006085690A1 (ja) 2005-02-10 2006-08-17 Nippon Carbide Kogyo Kabushiki Kaisha 再帰反射シート
CN104885202A (zh) * 2013-03-04 2015-09-02 琳得科株式会社 切割片用基材膜及具备该基材膜的切割片
JP2018165361A (ja) * 2017-03-28 2018-10-25 東ソー株式会社 樹脂組成物及びそれよりなるフィルム

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