JPH1034845A - 積層フィルムおよび包装材 - Google Patents

積層フィルムおよび包装材

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JPH1034845A
JPH1034845A JP9086487A JP8648797A JPH1034845A JP H1034845 A JPH1034845 A JP H1034845A JP 9086487 A JP9086487 A JP 9086487A JP 8648797 A JP8648797 A JP 8648797A JP H1034845 A JPH1034845 A JP H1034845A
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JP
Japan
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layer
laminated film
cyclic olefin
resin
thermoplastic polyester
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JP9086487A
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English (en)
Inventor
Kenji Mitsuharu
憲治 三春
Masaru Kokuryo
勝 国領
Yozo Yamamoto
陽造 山本
Yasushi Amada
康 尼田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOUSERO KK
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
TOUSERO KK
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、耐衝撃性、水蒸気バリアー性および
易手裂き開封性に優れ、安価に製造できる積層フィルム
を提供する。 【解決手段】 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層と環
状オレフィン系樹脂(C)層とが接着剤(B)層を介し
て積層され、上記(A)層および/または(B)層が2
軸延伸され、しかも熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層
の厚さ(合計)が0.5〜50μmであり、接着剤
(B)層の厚さ(合計)が0.5〜20μmであり、環
状オレフィン系樹脂(C)層の厚さ(合計)が5〜15
0μmである積層フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積層フィルムに関
し、さらに詳しくは手で容易に引き裂くことができ、し
かも防湿性に優れ、食品または医薬品等の包装用、特に
易手裂き開封性包装用として好適に使用できる積層フィ
ルム、およびこの積層フィルムからなる層を有する包装
材、特に易手裂き開封性包装材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、食品または医薬品等の包装用とし
て用いられる包装用フィルムは、通常、少なくともヒー
トシール層と外層とを有し、2層以上の多層構成となっ
ている。ヒートシール層は、フィルムにより包装される
被包装物を密閉包装する役割を果たし、ポリエチレン
(PE)またはポリプロピレン(PP)等からなってい
る。外層は、ヒートシール時の熱に耐える耐熱性と、包
装後外部からの物理的衝撃から包装体(包装用フィル
ム)および被包装物(内容物)を保護するために必要な
耐衝撃性とを兼ね備えている。この外層用材料として
は、ポリエステル、ポリアミド(Ny)、ポリプロピレ
ン(PP)およびセロファン等が単独であるいは2種以
上組合せて(複合的に)使用されている。
【0003】これら外層用材料のポリエステル、ポリア
ミドおよびポリプロピレン等のフィルムとしては、一般
的には2軸延伸加工処理を施すことにより、耐熱性およ
び耐衝撃性をさらに向上させたものが用いられている。
またセロファンは、そのままでは吸湿性が過大で吸湿後
の物性変化も大きいため、その片面または両面を塩化ビ
ニリデン樹脂製薄膜などで防湿コート処理した「防湿セ
ロファン」が、外層用材料として使用されることが多
い。
【0004】ところで包装用フィルムの外層用材料(外
層材)には耐熱性および耐衝撃性に加えて、被包装物の
保存、流通時においては、外部湿気と被包装物との接触
を遮断し、被包装物が吸湿しないような水蒸気バリアー
性を有することが求められる。また被包装物の摂取、使
用時などにおいては、被包装物を包んでいる包装体(フ
ィルム)を、手で簡単に引裂いて被包装物を取出すこと
ができる「易手裂き開封性」も重要な機能である。しか
しながら、従来の積層フィルムでは、以下に説明するよ
うに、耐熱性および耐衝撃性を有し、しかも水蒸気バリ
アー性および易手裂き開封性を備えたものは見出されて
いない。
【0005】すなわち、外層用材料としてセロファンを
用いた積層フィルムとしては、セロファン/PE、防湿
セロファン/PE、防湿セロファン/紙/PE、防湿セ
ロファン/紙/アルミニウム箔/PE等があげられる。
このようなセロファン系積層フィルムは、一般的にセロ
ファン自身の特性に基づく易手裂き開封性を有してい
る。しかしながら、上記従来のセロファン/PE積層フ
ィルムは、水蒸気バリアー性に著しく劣る。また防湿セ
ロファンを用いた積層フィルムは、水蒸気バリアー性は
比較的良好であるが、セロファンに対する塩化ビニリデ
ンコート処理が複雑で多数の工程を必要とするため手間
とコストが掛かるという問題点がある。また塩化ビニリ
デン分子中には塩素原子が含有されており、このような
セロファンを用いた多層フィルムには、環境保護の面で
問題がある。
【0006】一方、外層用材料としてポリエステル、ポ
リアミド(Ny)またはポリプロピレン(PP)等を使
用した積層フィルムとしては、2軸延伸ポリエステル/
PP、2軸延伸Ny/PE、2軸延伸PP/PPなどが
あげられる。これらの積層フィルムは、前記セロファン
系積層フィルムよりは水蒸気バリアー性は良好であるが
充分ではなく、しかも外層の引裂強度が大きく、前記セ
ロファン系積層フィルムに比べて手裂き開封性が劣る。
【0007】例えば、外層用材料としてポリエステルを
用いたポリエステル系積層フィルムにおいても水蒸気バ
リアー性は充分ではなく、しかもポリエステルの引裂強
度が過大であるため手裂き開封性が著しく劣る。このた
め、従来ではこのようなポリエステル系積層フィルムか
らなる包装体の手裂き開封性を向上させるため、包装体
自身に切り口(「ノッチ」ともいう)を入れて易手裂き
開封性を確保する方法や、積層フィルムの外層に微細孔
を開けて包装体の開封強度を低減させる方法等が採用さ
れている。しかしながら、このような包装体では、その
製造工程が複雑化し、製造に手間が掛かるという問題点
がある。
【0008】水蒸気バリアー性を向上させるため、前記
セロファンと同様に表面を塩化ビニリデンコート処理し
たり、あるいはアルミニウムやシリカ等を極薄膜状に蒸
着処理することが行われている。例えば、吸湿を嫌う被
包装物用の積層フィルムとして、塩化ビニリデンコート
2軸延伸ポリエステル/PP、塩化ビニリデンコート2
軸延伸PP/PP、2軸延伸PP/アルミニウム箔/P
E、2軸延伸PP/アルミニウム蒸着ポリエステル/P
E、2軸延伸ポリエステル/アルミニウム箔/PE等の
積層フィルムが用いられている。しかしながら、上記の
ように塩化ビニリデン処理、アルミニウム蒸着処理また
はアルミニウム箔積層配置等の方法を採用すると、いず
れの場合も積層フィルムの製造工程が複雑(煩雑)化
し、コストアップになるという問題点がある。
【0009】このように、従来の多層フィルムでは、耐
熱性および耐衝撃性を有し、しかも水蒸気バリアー性お
よび易手裂き開封性に優れ、かつ簡単で安価に製造でき
るものは見出されていない。
【0010】ところで特開平4−276253号には、
少なくとも1層に熱可塑性飽和ノルボルネン系ポリマ
ー、特にノルボルネン系モノマーの開環重合体またはそ
の水素化物層を有し、他の熱可塑性樹脂層と積層した多
層構造体からなる医療用または食品包装用容器が記載さ
れている。しかし上記容器は輸液医療用テストチュー
ブ、医療用セル、血液バッグ、輸液バッグ、薬品用ボト
ル、検査用セル等の医療用容器、または一般的な食品包
装用容器であり、手裂き可能な薄層フィルムからなる包
装材料については開示がなく、易手裂き開封性について
は何ら考慮されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
従来の問題点を解決するため、耐熱性および耐衝撃性に
優れ、しかも水蒸気バリアー性(防湿性)および易手裂
き開封性に優れ、かつ簡単で安価に製造でき、包装材、
特に易手裂き開封性包装材に適用できる積層フィルム、
ならびにこの積層フィルムからなる層を有する包装材を
提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は次の積層フィル
ムおよび包装材である。 (1) 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層と環状オレ
フィン系樹脂(C)層とが接着剤(B)層を介して積層
され、かつ熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層および/
または環状オレフィン系樹脂(C)層が2軸延伸され、
しかも熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層の厚さ(合
計)が0.5〜50μmであり、接着剤(B)層の厚さ
(合計)が0.5〜20μmであり、環状オレフィン系
樹脂(C)層の厚さ(合計)が5〜150μmである積
層フィルム。 (2) 延伸倍率が縦横両方向共に1倍を超え5倍以
下、面積延伸倍率が1.5〜20倍である上記(1)記
載の積層フィルム。 (3) 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層が1層であ
り、環状オレフィン系樹脂(C)層が1層である上記
(1)または(2)記載の積層フィルム。 (4) 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層が2層であ
り、環状オレフィン系樹脂(C)層が1層であり、最外
層がいずれも熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層である
上記(1)または(2)記載の積層フィルム。 (5) 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)が、テレフタ
ル酸成分単位をジカルボン酸成分単位中80モル%以上
含み、エチレングリコール成分単位をジヒドロキシ化合
物成分単位中80モル%以上含み、極限粘度[η]0.
5〜1.4dl/gのポリエチレンテレフタレートであ
る上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の積層フィ
ルム。 (6) 接着剤(B)が、不飽和カルボン酸またはその
誘導体によりグラフト変性されたグラフト変性エチレン
・α−オレフィンランダム共重合体を含有する接着剤で
ある上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の積層フ
ィルム。 (7) 環状オレフィン系樹脂(C)が、下記(C−
1)、(C−2)、(C−3)および(C−4)からな
る群から選ばれるいずれか1種または2種以上を含む樹
脂である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の積
層フィルム。 (C−1):エチレンと、下記一般式(1)または
(2)で表される環状オレフィンとを共重合させて得ら
れるエチレン・環状オレフィンランダム共重合体。
【化3】 〔式(1)中、nは0または1、mは0または正の整
数、qは0または1である。R1〜R18ならびにRaおよ
びRbは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子また
は炭化水素基である。この炭化水素基はハロゲン原子で
置換されていてもよい。R15〜R18は互いに結合して単
環または多環を形成していてもよく、この単環または多
環は二重結合を有していてもよい。またR15とR16
で、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成してい
てもよい。〕
【化4】 〔式(2)中、pおよびqは0または正の整数、mおよ
びnは0、1または2である。R1〜R19はそれぞれ独
立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコ
キシ基である。この炭化水素基およびアルコキシ基はハ
ロゲン原子で置換されていてもよい。R9およびR10
結合している炭素原子と、R13が結合している炭素原子
またはR11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭
素数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよ
い。またn=m=0のときR15とR12、またはR15とR
19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成
していてもよい。〕 (C−2):上記一般式(1)または(2)で表される
環状オレフィンの開環重合体または共重合体。 (C−3):上記開環重合体または共重合体(C−2)
の水素化物。 (C−4):上記(C−1)、(C−2)または(C−
3)のグラフト変性物。 (8) 環状オレフィン系樹脂(C)のガラス転移温度
が60〜120℃である上記(7)記載の積層フィル
ム。 (9) 50mm×50mmの積層フィルムを中間部で
2つに曲げ、この上に63mm×100mm角で100
gの金属板を載せ、23℃で1分間維持して折り目を付
け、その後金属板を除いてフィルムの折り目の角度を測
定する方法により測定したフィルムの戻り角度が80°
以下である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の
積層フィルム。 (10) 上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の
積層フィルムからなる層を有する包装材。
【0013】《熱可塑性ポリエステル樹脂(A)》本発
明において熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層を構成す
る熱可塑性ポリエステル樹脂(A)は主鎖中にエステル
結合を含む熱可塑性のポリエステル樹脂である。このよ
うなエステル結合は、ジカルボン酸から導かれるジカル
ボン酸成分単位と、ジヒドロキシ化合物から導かれるジ
ヒドロキシ化合物成分単位とから構成される。このよう
な熱可塑性ポリエステル樹脂(A)は、実質上線状であ
る。このことは熱可塑性ポリエステル樹脂(A)がo−
クロロフェノールに溶解することにより確認される。
【0014】上記ジカルボン酸としては、例えばテレフ
タル酸、フタル酸(o-フタル酸)、イソフタル酸(m-フタ
ル酸)、2-メチルテレフタル酸、ジフェニルエーテル-4,
4′-ジカルボン酸、およびナフタリン-1,4または2,6-ジ
カルボン酸等の芳香族ジカルボン酸; シュウ酸、コハク
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジ
カルボン酸およびウンデカンジカルボン酸等の脂肪族ジ
カルボン酸などがあげられる。これらの中ではテレフタ
ル酸が好ましい。
【0015】前記ジヒドロキシ化合物としては、例えば
エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピ
レングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグ
リコール、ヘキサメチレングリコールおよびドデカメチ
レングリコール等の脂肪族グリコール;シクロヘキサン
ジオールおよびシクロヘキサンジメタノール等の脂環族
グリコール;ビスフェノール類(例えば、ビスフェノー
ルAF、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)、ヒ
ドロキノン、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼ
ン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2-
ビス(4-β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンお
よびビス(4-β-ヒドロキシエトキシフェニル)スルホ
ン等の芳香族ジヒドロキシ化合物などがあげられる。こ
れらの中ではエチレングリコールが好ましい。
【0016】熱可塑性ポリエステル樹脂(A)には、ジ
カルボン酸およびジヒドロキシ化合物以外にも、ベンゾ
イル安息香酸、ジフェニルスルホンモノカルボン酸、ス
テアリン酸、メトキシポリエチレングリコールおよびフ
ェノキシポリエチレングリコール等の単官能化合物から
導かれる成分単位;トリメチロールメタン、トリメチロ
ールエタンおよびトリメチロールプロパン等の多官能化
合物から導かれる成分単位などが少量、例えば2モル%
以下の量で含有されていてもよい。
【0017】本発明で用いる熱可塑性ポリエステル樹脂
(A)としては、o−クロロフェノール中25℃で測定
した極限粘度[η]が0.5〜1.4dl/g、好まし
くは0.6〜1.1dl/gのものが望ましい。極限粘
度[η]が0.5dl/g未満では2軸延伸後の耐衝撃
性および耐熱性の大幅な向上が得られなくなり、1.4
dl/gを超えると2軸延伸加工が困難になる傾向があ
る。
【0018】なお熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の極
限粘度[η]は次の方法によって測定される。すなわち
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)をo−クロロフェノー
ルに1g/100mlの濃度で溶解し、25℃でウベロ
ーデ型毛細管粘度計を用いて溶液粘度の測定を行い、そ
の後o−クロロフェノールを徐々に添加して、低濃度側
の溶液粘度を測定し、0%濃度に外挿して極限粘度
[η]を求める。
【0019】本発明において最も好ましい熱可塑性ポリ
エステル樹脂(A)としては、極限粘度[η]が上記範
囲にあり、かつジカルボン酸成分単位の80モル%以
上、好ましくは90モル%以上がテレフタル酸成分単位
であり、ジヒドロキシ化合物成分単位の80モル%以
上、好ましくは90モル%以上がエチレングリコール成
分単位であるポリエチレンテレフタレートがあげられ
る。
【0020】このようなポリエチレンテレフタレート
は、テレフタル酸成分単位およびエチレングリコール成
分単位だけからなっていてもよく、またテレフタル酸成
分単位以外に前記ジカルボン酸成分単位が1種または2
種以上含まれ、エチレングリコール成分単位以外に前記
ジヒドロキシ化合物成分単位が1種または2種以上含ま
れた共重合体(共重合ポリエステル)であってもよく、
あるいはジカルボン酸成分単位およびジヒドロキシ化合
物成分単位以外の単官能または多官能化合物から導かれ
る成分単位が含まれた共重合体であってもよい。
【0021】熱可塑性ポリエステル樹脂(A)として
は、上記ポリエチレンテレフタレートを1種単独で使用
することもできるし、2種以上の混合物(混合ポリエス
テル)として使用することもできるし、ポリエチレンテ
レフタレートとポリエチレンテレフタレート以外の他の
熱可塑性ポリエステル樹脂との混合物(混合ポリエステ
ル)として使用することもできる。上記他の熱可塑性ポ
リエステル樹脂としては、テレフタル酸以外のジカルボ
ン酸成分単位とエチレングリコール以外のジヒドロキシ
化合物成分単位とからなる熱可塑性ポリエステル樹脂な
どがあげられる。
【0022】熱可塑性ポリエステル樹脂(A)は公知の
製造方法により製造することができる。また、熱可塑性
ポリエステル樹脂(A)には、架橋剤、耐熱安定剤、耐
候安定剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、無機充填剤、顔
料分散剤、顔料または染料などの各種配合剤を、公知の
方法により配合することもできる。
【0023】《環状オレフィン系樹脂(C)》環状オレ
フィン系樹脂(C)層用の樹脂としては、下記(C−
1)、(C−2)、(C−3)または(C−4)のいず
れかを単独で用いることもできるし、これらを組合せて
配合した組成物を用いることもできる。これらの中で
は、手裂き性および成形性等の面からエチレン・環状オ
レフィンランダム共重合体(C−1)が好ましい。
【0024】(C−1):エチレンと、前記一般式
(1)または(2)で表される環状オレフィンとを共重
合させて得られるエチレン・環状オレフィンランダム共
重合体。
【0025】(C−2):前記一般式(1)または
(2)で表される環状オレフィンの開環重合体または共
重合体。 (C−3):前記開環重合体または共重合体(C−2)
の水素化物。 (C−4):前記(C−1)、(C−2)または(C−
3)のグラフト変性物。
【0026】本発明で用いる環状オレフィン系樹脂
(C)のガラス転移温度(Tg)は60〜120℃、好
ましくは65〜110℃、より好ましくは70〜90℃
であるのが望ましい。ガラス転移温度が上記範囲にある
場合、前記熱可塑性ポリエステル樹脂(A)との共延伸
が可能であるなど成形が容易であり、また延伸倍率を上
げることができ、さらに弾性率および強度の点において
も優れている。
【0027】環状オレフィン系樹脂(C)の260℃、
荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MF
R)は1〜100g/10分、好ましくは3〜50g/
10分であることが望ましい。環状オレフィン樹脂
(C)のサーマル・メカニカルアナライザーで測定した
軟化温度(TMA)は60℃以上、好ましくは70℃以
上であることが望ましい。環状オレフィン系樹脂(C)
のX線回折法によって測定される結晶化度は0〜20
%、好ましくは0〜2%であることが望ましい。さらに
環状オレフィン系樹脂(C)の135℃、デカリン中で
測定される極限粘度[η]は0.05〜10dl/g、
好ましくは0.3〜2.0dl/g、さらに好ましくは
0.4〜1.2dl/gであることが望ましい。このよ
うな環状オレフィン系樹脂(C)のヨウ素価は通常5以
下、その多くは1以下である。
【0028】次に、環状オレフィン系樹脂(C)を形成
する前記一般式(1)または(2)で表される環状オレ
フィンについて説明する。 〔環状オレフィン〕前記一般式(1)で表わされる環状
オレフィン中、nは0または1であり、mは0または正
の整数であり、qは0または1である。なおqが1の場
合には、R aおよびRbは、それぞれ独立に、下記の原子
または炭化水素基であり、qが0の場合には、それぞれ
の結合手が結合して5員環を形成する。
【0029】R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それ
ぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基
である。この炭化水素基はハロゲン原子で置換されてい
てもよい。上記ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原
子、臭素原子またはヨウ素原子である。
【0030】また炭化水素基としては、それぞれ独立
に、通常炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数
3〜15のシクロアルキル基または芳香族炭化水素基な
どがあげられる。より具体的には、アルキル基として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ド
デシル基およびオクタデシル基などがあげられる。また
シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基などがあ
げられ、芳香族炭化水素基としては、フェニル基および
ナフチル基などがあげられる。これらの炭化水素基は、
ハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0031】前記一般式(1)で表される環状オレフィ
ンは、R15〜R18がそれぞれ結合して(互いに共同し
て)単環または多環を形成していてもよい。またこの単
環または多環は二重結合を有していてもよい。ここで形
成される単環または多環は後に具体的に例示する。
【0032】前記一般式(2)で表わされる環状オレフ
ィン中、pおよびqは0または正の整数であり、mおよ
びnは0、1または2である。R1〜R19は、それぞれ
独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアル
コキシ基である。この炭化水素基およびアルコキシ基は
ハロゲン原子で置換されていてもよい。上記ハロゲン原
子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原
子である。
【0033】前記炭化水素基としては、それぞれ独立に
炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20
のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロ
アルキル基または芳香族炭化水素基などがあげられる。
より具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシ
ル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタ
デシル基などがあげられる。またシクロアルキル基とし
ては、シクロヘキシル基などがあげられ、芳香族炭化水
素基としては、フェニル基、トリル基およびナフチル基
等のアリール基;ベンジル基およびフェニルエチル基等
のアラルキル基などがあげられる。またアルコキシ基と
しては、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基な
どをあげることができる。上記炭化水素基およびアルコ
キシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ
素原子で置換されていてもよい。
【0034】前記一般式(2)で表される環状オレフィ
ンは、R9およびR10が結合している炭素原子と、R13
が結合している炭素原子またはR11が結合している炭素
原子とが、直接または炭素原子数1〜3のアルキレン基
を介して結合していてもよい。すなわち上記二個の炭素
原子がアルキレン基を介して結合している場合には、R
9およびR13で表される基が、またはR10およびR11
表される基が互いに共同して、メチレン基(-CH2-)、エ
チレン基(-CH2CH2-)またはトリメチレン(-CH2CH2CH2-)
のうちのいずれかのアルキレン基を形成している。
【0035】前記一般式(2)で表される環状オレフィ
ンは、n=m=0のときR15とR12、またはR15とR19
とが互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成し
ていてもよい。具体的なものを下記に示す。式中、pは
一般式(2)のpと同じである。
【化5】
【0036】前記一般式(1)または(2)で表される
環状オレフィンの具体的なものとして、式(3)
【化6】 で示されるビシクロ[2. 2. 1]-2-ヘプテン(すなわち
ノルボルネン)およびこの化合物に炭化水素基が置換し
た誘導体があげられる。上記式(3)中において、1〜
7の数字は炭素の位置番号を示す。
【0037】上記式(3)で表される環状オレフィンに
置換する炭化水素基としては、5-メチル、5,6-ジメチ
ル、1-メチル、5-エチル、5-n-ブチル、5-イソブチル、
7-メチル、5-フェニル、5-メチル-5-フェニル、5-ベン
ジル、5-トリル、5-(エチルフェニル)、5-(イソプロ
ピルフェニル)、5-(ビフェニル)、5-(β-ナフチ
ル)、5-(α-ナフチル)、5-(アントラセニル)および
5,6-ジフェニルなどを例示することができる。
【0038】さらに他の誘導体として、シクロペンタジ
エン−アセナフチレン付加物、1,4-メタノ-1,4,4a,9a-
テトラヒドロフルオレン、1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a
-ヘキサヒドロアントラセンなどを例示することができ
る。
【0039】この他にも、前記一般式(1)または
(2)で表される環状オレフィンの具体的なものとし
て、トリシクロ[4. 3. 0. 12,5]-3-デセン、2-メチル
トリシクロ[4. 3. 0. 12,5]-3-デセン、5-メチルトリ
シクロ[4. 3. 0. 12,5]-3-デセン等のトリシクロ[4.
3. 0. 1 2,5]-3-デセン誘導体、トリシクロ[4. 4. 0.
12,5]-3-ウンデセン、10-メチルトリシクロ[4. 4.
0. 12,5]-3-ウンデセン等のトリシクロ[4. 4.0.
12,5]-3-ウンデセン誘導体、式(4)
【化7】 で表されるテトラシクロ[4. 4. 0. 12,5. 17,10]-3-
ドデセンおよびこの化合物に炭化水素基が置換した誘導
体があげられる。
【0040】上記式(4)で表される環状オレフィンに
置換する炭化水素基としては、8-メチル、8-エチル、8-
プロピル、8-ブチル、8-イソブチル、8-ヘキシル、8-シ
クロヘキシル、8-ステアリル、5,10-ジメチル、2,10-ジ
メチル、8,9-ジメチル、8-エチル-9-メチル、11,12-ジ
メチル、2,7,9-トリメチル、2,7-ジメチル-9-エチル、9
-イソブチル−2,7-ジメチル、9,11,12-トリメチル、9-
エチル−11,12-ジメチル、9-イソブチル−11,12-ジメチ
ル、5,8,9,10-テトラメチル、8-エチリデン、8-エチリ
デン-9-メチル、8-エチリデン-9-エチル、8-エチリデン
-9-イソプロピル、8-エチリデン-9-ブチル、8-n-プロピ
リデン、8-n-プロピリデン-9-メチル、8-n-プロピリデ
ン-9-エチル、8-n-プロピリデン-9-イソプロピル、8-n-
プロピリデン-9-ブチル、8-イソプロピリデン、8-イソ
プロピリデン-9-メチル、8-イソプロピリデン-9-エチ
ル、8-イソプロピリデン-9-イソプロピル、8-イソプロ
ピリデン-9-ブチル、8-クロロ、9-ブロモ、8-フルオ
ロ、8,9-ジクロロ、8-フェニル、8-メチル-8-フェニ
ル、8-ベンジル、8-トリル、8-(エチルフェニル)、8-
(イソプロピルフェニル)、8,9-ジフェニル、8-(ビフェ
ニル)、8-(β-ナフチル)、8-(α-ナフチル)、8-(ア
ントラセニル)および5,6-ジフェニルなどを例示するこ
とができる。
【0041】さらには、(シクロペンタジエン-アセナ
フチレン付加物)とシクロペンタジエンとの付加物等の
テトラシクロ[4. 4. 0. 12,5. 17,10]-3-ドデセン誘
導体、ペンタシクロ[6. 5. 1. 13,6. 02,7. 09,13]-4
-ペンタデセンおよびその誘導体、ペンタシクロ[7. 4.
0. 12,5. 19,12. 08,13]-3-ペンタデセンおよびその
誘導体、ペンタシクロ[8. 4. 0. 12,5. 19,12.
08,13]-3-ヘキサデセンおよびその誘導体、ペンタシク
ロ[6. 6. 1. 13,6. 02,7. 09,14]-4-ヘキサデセンお
よびその誘導体、ヘキサシクロ[6. 6. 1. 13,6. 1
10,13. 02,7. 09,14]-4-ヘプタデセンおよびその誘導
体、ヘプタシクロ[8. 7. 0. 12,9. 14,7. 111,17. 0
3,8. 012,16]-5-エイコセンおよびその誘導体、ヘプタ
シクロ[8. 7. 0. 13,6. 110,17. 112,15. 02,7. 0
11,16]-4-エイコセンおよびその誘導体、ヘプタシクロ
[8. 8. 0. 12,9. 14,7. 111,18. 03,8. 012,17]-5-エ
イコセンおよびその誘導体、オクタシクロ[8. 8. 0. 1
2,9. 14,7. 111,18. 113,16. 03,8. 012,17]-5-ドコセ
ンおよびその誘導体、ならびにノナシクロ[10. 9. 1.
14,7. 113,20. 115,18. 02,10. 03,8. 012,21.
014,1 9]-5-ペンタコセンおよびその誘導体などがあげ
られる。
【0042】なお、前記一般式(1)または(2)で表
される環状オレフィンとして例示した上記化合物のより
具体的な構造は、本願出願人の出願に係る特開平7−1
45213号(特願平5−196475号)の当初明細
書の段落番号0032〜0054に記載されている。本
発明においては、上記公報に例示されている環状オレフ
ィンを本発明の環状オレフィンとして使用することがで
きる。
【0043】前記一般式(1)または(2)で表される
環状オレフィンは、シクロペンタジェンと対応する構造
を有するオレフィン類とを、ディールス・アルダー反応
させることによって製造することができる。これらの環
状オレフィンは、単独であるいは2種以上組合せて用い
ることができる。
【0044】本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂
(C)は、前記一般式(1)または(2)で表される環
状オレフィンを用いて、例えば特開昭60−16870
8号(対応EP No.156464A)、同61−1
20816号、同61−115912号(対応EP N
o.156464A)、同61−115916号、同6
1−271308号(対応EP No.203799
A)、同61−272216号(対応EP No.20
3799A)、同62−252406号(対応EP N
o.203799A)および同62−252407号な
どの公報において本出願人が提案した方法に従い、適宜
条件を選択することにより製造することができる。
【0045】〔エチレン・環状オレフィンランダム共重
合体(C−1)〕本発明で用いられるエチレン・環状オ
レフィンランダム共重合体(C−1)は、エチレンから
誘導される構造単位を通常20〜95モル%、好ましく
は30〜90モル%、前記一般式(1)または(2)で
表される環状オレフィンから誘導される構造単位を通常
5〜80モル%、好ましくは10〜70モル%含有して
いる。なおエチレンおよび環状オレフィンの組成比は、
13C−NMRによって測定される。
【0046】エチレン・環状オレフィンランダム共重合
体(C−1)は、エチレンから誘導される構造単位と環
状オレフィンから誘導される構造単位とがランダムに配
列して結合し、実質的に線状構造を有している。この共
重合体が実質的に線状であって、実質的にゲル状架橋構
造を有していないことは、この共重合体が有機溶媒に溶
解した際に、この溶液に不溶分が含まれていないことに
より確認することができる。例えば、極限粘度[η]を
測定する際に、この共重合体が135℃のデカリンに完
全に溶解することにより確認することができる。
【0047】本発明で用いられるエチレン・環状オレフ
ィンランダム共重合体(C−1)において、前記一般式
(1)または(2)で表される環状オレフィンの少なく
とも一部は、下記一般式(1−a)または(2−a)で
表される構造単位を構成していると考えられる。
【化8】 〔式(1−a)中、n、m、q、R1〜R18、Raおよび
bは式(1)と同じである。 式(2−a)中、n、m、p、q、R1〜R19は式
(2)と同じである。〕
【0048】本発明で用いられるエチレン・環状オレフ
ィンランダム共重合体(C−1)は、本発明の目的を損
なわない範囲で、必要に応じて共重合可能な他のモノマ
ーから誘導される構造単位を有していてもよい。
【0049】このような他のモノマーとしては、エチレ
ンまたは前記環状オレフィン以外のオレフィンなどをあ
げることができる。具体的には、プロピレン、1-ブテ
ン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-
メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1
-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘ
キセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセ
ン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-
ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタ
デセンおよび1-エイコセン等の炭素数3〜20のα−オ
レフィン;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキ
セン、3,4-ジメチルシクロペンテン、3-メチルシクロヘ
キセン、2-(2-メチルブチル)-1-シクロヘキセン、シク
ロオクテンおよび3a,5,6,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-
1H-インデン等のシクロオレフィン;1,4-ヘキサジエ
ン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサ
ジエン、1,7-オクタジエン、ジシクロペンタジエンおよ
び5-ビニル-2-ノルボルネン等の非共役ジエン類などを
あげることができる。
【0050】これらの他のモノマーは、単独であるいは
組合せて用いることができる。エチレン・環状オレフィ
ンランダム共重合体(C−1)においては、上記他のモ
ノマーから誘導される構造単位は通常20モル%以下、
好ましくは10モル%以下の量で含有されていてもよ
い。
【0051】本発明で用いられるエチレン・環状オレフ
ィンランダム共重合体(C−1)は、エチレンと、前記
一般式(1)または(2)で表される環状オレフィンと
を用いて、前記公報に開示された製造方法により製造す
ることができる。例えば、共重合を炭化水素溶媒中で行
い、触媒として炭化水素溶媒に可溶のバナジウム化合物
および有機アルミニウム化合物から形成される触媒を用
いてエチレン・環状オレフィンランダム共重合体(C−
1)を製造することができる。
【0052】上記触媒の代わりに、固体状IVB族メタロ
セン系触媒を用いることもできる。この固体状IVB族メ
タロセン系触媒は、シクロペンタジエニル骨格を有する
配位子を含む遷移金属化合物と、有機アルミニウムオキ
シ化合物と、必要により配合される有機アルミニウム化
合物とからなる触媒である。VIB族の遷移金属として
は、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムがあげられ
る。そしてこれらの遷移金属は少なくとも1個のシクロ
ペンタジエニル骨格を含む配位子を有している。シクロ
ペンタジエニル骨格を含む配位子としては、アルキル基
が置換していてもよいシクロペンタジエニル基またはイ
ンデニル基、テトラヒドロインデニル基、およびフロオ
レニル基などをあげることができる。これらの基はアル
キレン基など他の基を介して結合していてもよい。ま
た、シクロペンタジエニル骨格を含む配位子以外の配位
子は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基また
はアラルキル基等である。
【0053】前記有機アルミニウム化合物および有機ア
ルミニウムオキシ化合物としては、通常オレフィン系樹
脂の製造に使用されるものを用いることができる。この
ような固体状IVB族メタロセン系触媒については、例え
ば特開昭61−221206号、同64−106号およ
び特開平2−173112号等に記載されている。
【0054】〔環状オレフィンの開環重合体または共重
合体(C−2)〕本発明で用いられる環状オレフィンの
開環重合体または開環共重合体(C−2)において、前
記一般式(1)または(2)で表される環状オレフィン
の少なくとも一部は、下記一般式(1−b)または(2
−b)で表される構造単位を構成していると考えられ
る。
【化9】 〔式(1−b)中、n、m、q、R1〜R18、Raおよび
bは式(1)と同じである。式(2−b)中、n、
m、p、q、R1〜R19は式(2)と同じである。〕
【0055】このような開環重合体または開環共重合体
(C−2)は、前記公報に開示された製造方法により製
造することができる。例えば、前記一般式(1)または
(2)で表される環状オレフィンを開環重合触媒の存在
下に、重合または共重合させることにより製造すること
ができる。このような開環重合触媒としては、ルテニウ
ム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムま
たは白金などから選ばれる金属のハロゲン化物、硝酸塩
またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触
媒;チタン、パラジウム、ジルコニウムまたはモリブデ
ンなどから選ばれる金属のハロゲン化物またはアセチル
アセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる
触媒などを用いることができる。
【0056】〔開環重合体または共重合体の水素化物
(C−3)〕本発明で用いられる開環重合体または共重
合体の水素化物(C−3)は、前記開環重合体または共
重合体(C−2)を、公知の水素添加触媒の存在下に水
素添加して得られる水素化物である。
【0057】開環重合体または共重合体の水素化物(C
−3)において、前記一般式(1)または(2)で表さ
れる環状オレフィンのうち少なくとも一部は、下記一般
式(1−c)または(2−c)で表される構造単位を有
していると考えられる。
【化10】 〔式(1−c)中、n、m、q、R1〜R18、Raおよび
bは式(1)と同じである。式(2−c)中、n、
m、p、qおよびR1〜R19は式(2)と同じであ
る。〕
【0058】〔グラフト変性物(C−4)〕本発明で用
いられる環状オレフィン系樹脂のグラフト変性物(C−
4)は、前記エチレン・環状オレフィンランダム共重合
体(C−1)、環状オレフィンの開環重合体または共重
合体(C−2)、あるいは開環重合体または共重合体の
水素化物(C−3)のグラフト変性物である。
【0059】グラフト変性を行う変性剤としては、通常
不飽和カルボン酸類が用いられる。具体的には、(メ
タ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロ
フタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メチルテトラヒ
ドロフタル酸、クロトン酸、イソクロトン酸およびエン
ドシス−ビシクロ[2. 2. 1] ヘプト-5-エン-2,3-ジカル
ボン酸(ナジック酸TM)等の不飽和カルボン酸;これら
の不飽和カルボン酸の誘導体、例えば不飽和カルボン酸
無水物、不飽和カルボン酸ハライド、不飽和カルボン酸
アミド、不飽和カルボン酸イミドまたは不飽和カルボン
酸エステル化合物などがあげられる。
【0060】不飽和カルボン酸の誘導体としては、より
具体的には、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、塩化
マレニル、マレイミド、マレイン酸モノメチル、マレイ
ン酸ジメチルおよびグリシジルマレエートなどがあげら
れる。これらの変性剤の中では、α,β−不飽和ジカル
ボン酸およびα,β−不飽和ジカルボン酸無水物、例え
ばマレイン酸、ナジック酸およびこれら酸の無水物が好
ましい。これらの変性剤は1種単独で、または2種以上
組合せて用いることができる。
【0061】環状オレフィン系樹脂のグラフト変性物
(C−4)におけるグラフト変性率は、通常10モル%
以下であることが望ましい。環状オレフィン系樹脂のグ
ラフト変性物(C−4)は、所望の変性率になるように
前記(C−1)〜(C−3)の環状オレフィン系樹脂に
変性剤を配合し、グラフト重合させて製造することもで
きるし、予め高変性率の変性物を調製し、次いでこの変
性物と未変性の環状オレフィン系樹脂とを混合すること
により製造することもできる。
【0062】環状オレフィン系樹脂と変性剤とからグラ
フト変性物(C−4)を得るには、公知のポリマーの変
性方法を広く採用することができる。例えば、溶融状態
にある環状オレフィン系樹脂に変性剤を添加してグラフ
ト重合(反応)させる方法、あるいは環状オレフィン系
樹脂の溶媒溶液に変性剤を添加してグラフト反応させる
方法などが採用できる。このようなグラフト反応は、通
常60〜350℃の温度で行われる。またグラフト反応
は、有機過酸化物およびアゾ化合物などのラジカル開始
剤の共存下に行うことができる。
【0063】本発明では、環状オレフィン系樹脂(C)
としては、上記(C−1)、(C−2)、(C−3)ま
たは(C−4)のいずれかを単独で用いることもできる
し、これらを2種以上組合せて用いることもできる。本
発明で用いる環状オレフィン系樹脂(C)としては、エ
チレン・環状オレフィンランダム共重合体(C−1)が
手裂き性および成形性の面から好ましい。
【0064】本発明においては、環状オレフィン系樹脂
(C)に下記のような種々の重合体(樹脂成分)をブレ
ンドして用いてもよい。すなわち環状オレフィン系樹脂
(C)層には、本発明の目的を損なわない範囲で、環状
オレフィン系樹脂(C)以外の他の重合体が含有されて
いてもよい。このような他の重合体としては、例えば後
述する接着剤(B)層用にも好ましく用いられるα−オ
レフィン(共)重合体〔例えば高密度ポリエチレン(H
DPE)、低密度直鎖状ポリエチレン(LLDP
E)〕、ポリアミド、ポリエステル、エチレン−ビニル
アルコール共重合体、ポリ塩化ビニルおよびポリ塩化ビ
ニリデンなどがあげられる。
【0065】上記他の重合体の中では、透明性に優れた
α−オレフィン(共)重合体が好ましく、具体的には後
述する接着剤(B)層にも用いられる高密度ポリエチレ
ン(HDPE)または低密度直鎖状ポリエチレン(LL
DPE)などが特に好ましい。
【0066】本発明では、環状オレフィン系樹脂(C)
層に、EPR(エチレン・プロピレンゴム)、EPDM
(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、SB
S(スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重
合体)、SEBS(スチレン・エチレン・ブテン・スチ
レントリブロック共重合体)、SIS(スチレン・イソ
プレン・スチレントリブロック共重合体)またはSEP
S(スチレン・エチレン・プロピレン・スチレントリブ
ロック共重合体、水素添加SIS)などの衝撃強度を向
上させるエラストマーが含有されていてもよい。
【0067】環状オレフィン系樹脂(C)層には、前記
他の重合体および/またはエラストマーが、環状オレフ
ィン系樹脂(C)に対して、合計で0.5〜40重量
%、好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは3〜
10重量%の量で含有されていてもよい。
【0068】また環状オレフィン系樹脂(C)層には、
本発明の目的を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、耐熱
安定剤、耐候安定剤、耐光安定剤、帯電防止剤、スリッ
プ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、核剤、滑剤、特
定波長の光だけを吸収する染料、顔料、天然油、合成
油、ワックスまたは可透光性の充填剤などの添加剤が含
有されていてもよい。
【0069】環状オレフィン系樹脂(C)層に、上記の
ような他の重合体、エラストマーまたは充填剤などの他
の成分を配合する場合には、環状オレフィン系樹脂
(C)層を形成する際に、環状オレフィン系樹脂(C)
に他の成分をドライブレンドしてもよく、あるいは予め
環状オレフィン系樹脂(C)と他の成分とを溶融混練し
てペレタイズしてこれを成形機に供給してもよい。また
環状オレフィン系樹脂(C)と他の成分とを、別々にま
たは一括して溶剤で溶解して混合し、溶剤を除去した後
に成形機に供給してもよい。
【0070】《接着剤(B)》本発明において、接着剤
(B)層用の接着剤としては、積層フィルムの製造方法
に応じて、換言すれば(A)層用の熱可塑性ポリエステ
ル樹脂(A)と、(C)層用の環状オレフィン系樹脂
(C)との積層加工方法に応じて、種々のものが用いら
れる。
【0071】例えば、本発明の積層フィルムを共押出T
ダイ法、共押出インフレーション法または共押出コーテ
ィング法等の積層加工法により製造する場合には、接着
剤(B)としては、公知の熱可塑性ポリエステル樹脂接
着用の公知の接着性樹脂を広く用いることができる。好
ましくは、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂、
不飽和ポリオレフィン等の低(非)結晶性軟質共重合
体、エチレン・アクリル酸エステル・無水マレイン酸3
元共重合体またはこれらを含む接着性樹脂組成物などを
用いることができる。
【0072】次に、本発明において接着剤(B)として
好ましく用いられる不飽和カルボン酸変性ポリオレフィ
ン樹脂について、詳細に説明する。以下、不飽和カルボ
ン酸変性を単に変性という場合がある。 〔不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂〕不飽和カ
ルボン酸変性ポリオレフィン樹脂としては、不飽和カル
ボン酸またはその誘導体のグラフト量が0.01〜10
重量%、好ましくは0.1〜5重量%であり、メルトフ
ローレート(MFR:ASTM D1238,F)が
0.1〜50g/10分、好ましくは0.2〜20g/
10分であり、密度が0.850〜0.905g/cm
3、好ましくは0.860〜0.900g/cm3であ
り、エチレン含量が75〜95モル%、好ましくは77
〜93モル%であり、しかもX線回折法により測定した
結晶化度が30%以下、好ましくは10%以下、さらに
好ましくは7%以下である変性エチレン・α−オレフィ
ンランダム共重合体などが用いられる。
【0073】不飽和カルボン酸またはその誘導体のグラ
フト量が0.01重量%未満では、熱可塑性ポリエステ
ル樹脂(A)および環状オレフィン系樹脂(C)との接
着性が充分に良好とならない場合がある。一方10重量
%を超えると、一部架橋を起こし、成形性が低下し、透
明性および接着強度も低下する傾向がある。
【0074】MFRが上記範囲内では、成形性および接
着性の両方に優れるが、上記範囲外では、いずれにして
も溶融粘度が高すぎるかまたは低すぎるため、成形性お
よび接着強度に劣ることがある。密度および結晶化度が
上記範囲内では熱処理後の接着強度等に優れるが、密度
が0.905g/cm3を超える場合、および結晶化度
が30%を超える場合は、熱処理後の接着強度が低下す
ることがある。
【0075】このような不飽和カルボン酸変性エチレン
・α−オレフィンランダム共重合体を形成する際に用い
られるα−オレフィンとしては、通常炭素数が3〜20
程度のα−オレフィンが用いられる。具体的には、プロ
ピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−
ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセ
ンおよび1−オクタデセン等があげられる。本発明で
は、これらのα−オレフィンを1種または2種以上組合
せて用いることができる。
【0076】本発明で用いられ不飽和カルボン酸変性ポ
リオレフィン樹脂の基体(ベース)となる変性前のエチ
レン・α−オレフィンランダム共重合体は、通常MFR
が0.1〜50g/10分、密度が0.850〜0.9
05g/cm3、エチレン含量が75〜95モル%およ
びX線回折法により測定した結晶化度が30%以下のも
のが好ましい。
【0077】変性前のエチレン・α−オレフィンランダ
ム共重合体にグラフトする不飽和カルボン酸またはその
誘導体としては、アクリル酸、マレイン酸、フマール
酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン
酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸TM等の不
飽和カルボン酸、およびこれらの誘導体(例えば酸ハラ
イド、アミド、イミド、無水物、エステル等)などがあ
げられる。上記不飽和カルボン酸の誘導体の具体的なも
のとしては、例えば塩化マレニル、マレイミド、無水マ
レイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、
マレイン酸ジメチルおよびグリシジルマレエートなどが
あげられる。これらの中では、不飽和ジカルボン酸また
はその酸無水物が好適であり、特にマレイン酸、ナジッ
TMまたはこれらの酸無水物が好適である。
【0078】上記不飽和カルボン酸またはその誘導体か
ら選ばれるグラフトモノマーを変性前のエチレン・α−
オレフィンランダム共重合体にグラフト共重合して変性
物を製造するには、公知の種々の方法を適宜利用するこ
とができる。例えば、エチレン・α−オレフィンランダ
ム共重合体を溶融させた後、グラフトモノマーを添加し
てグラフト共重合させる方法、あるいはエチレン・α−
オレフィンランダム共重合体を溶媒に溶解させた後、グ
ラフトモノマーを添加してグラフト共重合させる方法な
どがあげられる。
【0079】いずれの場合にも、前記グラフトモノマー
を効率よくグラフト共重合させるためには、ラジカル反
応開始剤(ラジカル開始剤)の存在下に反応を実施する
ことが好ましい。グラフト反応は、通常60〜350℃
の温度で行われる。ラジカル開始剤は、エチレン・α−
オレフィンランダム共重合体100重量部に対して、通
常0.001〜1重量部の量で用いられる。
【0080】上記ラジカル開始剤としては、有機ペルオ
キシド、有機ペルエステルおよびアゾ化合物などがあげ
られる。これらのラジカル開始剤の中でも、ジクミルペ
ルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキ
シ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
ert−ブチルペルオキシ)ヘキサンおよび1,4−ビ
ス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼ
ン等のジアルキルオキシドが好ましい。
【0081】接着剤(B)として本発明で用いられる不
飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂は、前記未変性
のポリオレフィン、例えばエチレン・α−オレフィンラ
ンダム共重合体により一部が希釈されていてもよい。そ
の場合は、不飽和カルボン酸等の変性剤のグラフト量
は、混合物としての平均のグラフト量が前記範囲内であ
ることが必要である。
【0082】接着剤(B)として用いられる不飽和カル
ボン酸変性ポリオレフィン樹脂には、一部に結晶化度が
前記範囲外の変性もしくは未変性のポリオレフィン樹脂
が含まれていてもよい。その場合は混合物としての平均
の結晶化度が前記範囲内であることが必要である。
【0083】本発明で用いられる接着剤(B)の具体的
なものとして、例えばカルボン酸変性ポリオレフィン樹
脂(例えば、「アドマー」:三井石油化学工業(株)
製、「モディック」:三菱化学(株)製、いずれも商
標)、不飽和ポリオレフィン等の低(非)結晶性軟質共
重合体、エチレン・アクリル酸エステル・無水マレイン
酸3元共重合体(「ボンダイン」:住化シーディエフ化
学(有)製、商標)またはこれらを含む接着性樹脂組成
物などがあげられる。
【0084】接着剤(B)を用いて、共押出Tダイ法、
共押出インフレーション法または共押出コーティング法
により積層フィルムを製造する場合は、接着剤(B)の
MFR(ASTM D 1238,F)は、通常0.0
1〜100g/10分、好ましくは0.1〜50g/1
0分、より好ましくは1.0〜20g/10分であるこ
とが望ましい。
【0085】またドライラミネート法により積層フィル
ムを製造する場合は、接着剤(B)として市販の接着
剤、例えばウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル
系、アクリル系または酢酸ビニル系等の接着剤を広く用
いることができる。上記ウレタン系、ポリエステル系、
ポリエーテル系、アクリル系または酢酸ビニル系接着剤
(B)の具体的なものとしては、下記のようなものがあ
げられ、好ましくは二液溶剤型脂肪族ポリエステル系の
ものが用いられる。例えば、「LX−704」(大日本
インキ化学工業(株)製、脂肪族ポリエステル、商品番
号)、「E−263」(大日精化工業(株)製、脂肪族
ポリエステル、商品番号)、および「AD502」(東
洋モートン(株)製、脂肪族ポリエステル、商品番号)
などがあげられる。
【0086】《積層フィルム》本発明の積層フィルム
は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層と環状オレフィ
ン系樹脂(C)層とが、接着剤(B)層を介して積層さ
れてなり、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層および/
または環状オレフィン系樹脂(C)層が2軸延伸された
積層フィルムである。このような積層フィルムとして
は、例えば(A)層が1層であり、(C)層が1層で
ある積層フィルム;(A)層が2層であり、(C)層
が1層である積層フィルム;(A)層が1層であり、
(C)層が2層である積層フィルム;(A)層が2層
であり、(C)層が2層である積層フィルムなどがあげ
られる。
【0087】上記の積層フィルム(以下、第1の積層
フィルムという)は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)
層と接着剤(B)層と環状オレフィン系樹脂(C)層と
がこの順序で積層されている。上記の積層フィルムに
は、(A)/(B)/(C)/(B)/(A)層からな
る積層フィルムまたは(A)/(B)/(A)/(B)
/(C)層からなる積層フィルムなどがあげられる。本
発明の積層フィルムは、(A)/(B)/(C)の積層
構造を含んでいればよく、(A)/(B)/(C)以外
の他の積層構造、例えば(A)/(B)/(A)などを
含んでいてもよい。従って、上記(A)/(B)/
(A)/(B)/(C)層からなる積層フィルムも本発
明の積層フィルムに含まれる。上記の積層フィルムの
中では、最外層がいずれも(A)樹脂からなる積層フィ
ルム(以下、第2の積層フィルムという)、すなわち熱
可塑性ポリエステル樹脂(A)層と接着剤(B)層と環
状オレフィン系樹脂(C)層と接着剤(B)層と熱可塑
性ポリエステル樹脂(A)層とがこの順序で積層された
積層フィルムが好ましい。
【0088】本発明の積層フィルムは、耐熱性、耐衝撃
性、易手裂き開封性(手で容易に引き裂くことができる
性質)および防湿性等を考慮すると、積層フィルムの全
体の厚さは、通常5〜250μm、好ましくは10〜1
00μm、より好ましくは15〜70μm、さらに好ま
しくは15〜50μmであることが望ましい。この積層
フィルムを構成する熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層
の厚さは0.5μm〜50μm、好ましくは1〜15μ
m、より好ましくは2〜8μmである。接着剤(B)層
の厚さは0.5〜20μm、好ましくは1〜10μm、
より好ましくは1〜5μmである。環状オレフィン系樹
脂(C)層の厚さは5〜150μm、好ましくは5〜6
0μm、より好ましくは15〜50μm、さらに好まし
くは15〜40μmである。なお各層が複数の場合は、
上記層の厚さはこれらの合計した厚さである。
【0089】例えば、(A)/(B)/(C)/(B)
/(A)層の順序で積層された前記第2の積層フィルム
では、2つの熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層の厚さ
が合計で上記範囲にあり、2つの接着剤(B)層の厚さ
が合計で上記範囲にある。なお、このような第2の積層
フィルムでは、2つの熱可塑性ポリエステル樹脂(A)
層または2つの接着剤(B)層の厚さは、それぞれの合
計の厚さがそれぞれ上記範囲内にある限り、2つの熱可
塑性ポリエステル樹脂(A)層同士、2つの接着剤
(B)層同士は互いに同一の厚さであってもよく、異な
っていてもよい。
【0090】熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層の厚さ
が0.5μm未満では耐熱性および耐衝撃性が著しく低
下し、また50μmを超えると易手裂き開封性が著しく
低下する。接着剤(B)層の厚さが0.5μm未満では
接着力が不充分となり、20μmを超えると易手裂き開
封性が低下する。環状オレフィン系樹脂(C)層の厚さ
が5μm未満では易手裂き開封性および防湿性が不充分
になり、また150μmを超えると得られる積層フィル
ムの柔軟性が乏しくなり、例えば包装フィルム用等とし
ての実用性が低下する。
【0091】本発明の積層フィルムは、熱可塑性ポリエ
ステル樹脂(A)層および/または環状オレフィン系樹
脂(C)層は、一部または全部の層が2軸延伸フィルム
から形成されている。延伸倍率は、(A)層および
(C)層のいずれも、縦横両方向共に1倍を超え5倍以
下、好ましくは1.3〜4倍であるのが望ましい。また
面積延伸倍率は1.5〜20倍、好ましくは3〜12倍
であるのが望ましい。このような倍率で2軸延伸された
各フィルムからなる積層フィルムでは、易手裂き開封
性、耐衝撃性および耐熱性が格段に向上する。
【0092】例えば、前記第2の積層フィルムにおいて
は、2層ある(A)層(A1,A2)および(C)層の
うちの何れか1層、好ましくは2層、さらに好ましくは
3層すべて(A1,A2,C)が、2軸延伸フィルムか
ら形成されている。
【0093】本発明の積層フィルムは、50mm×50
mmのサンプルを中間部で2つに曲げ、この上に63m
m×100mm角で100gの金属板を載せ、23℃で
1分間維持して折り目を付け、その後金属板を除いて折
り目の角度を測定する方法により測定したフィルムの最
大の戻り角度が80°以下、好ましくは60°以下、よ
り好ましくは50°以下であるものが望ましい。
【0094】上記フィルムの戻り角度が上記範囲にある
場合、キャンディやチョコレートを捻り包装しても、捻
った部分が元に戻りにくいので、捻り包装式の包装材と
して好適に使用できる。
【0095】熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層は、そ
れ単独では引裂強度が大きく、手裂き性が悪い。しかし
本発明においては、このような熱可塑性ポリエステル樹
脂(A)層に環状オレフィン系樹脂(C)層を積層する
とともに各層の厚さを前記範囲の厚さとすることによ
り、積層フィルムとしては易手裂き開封性に優れたもの
となる。
【0096】本発明の積層フィルムは、耐熱性および耐
衝撃性に優れ、しかも易手裂き開封性および水蒸気バリ
アー性(防湿性)にも優れている。例えば、本発明の積
層フィルムは、フィルムの縦(加工方向)および横(加
工直角方向)の両方向について手で容易に引裂くことが
でき、透湿度(JIS Z0208)は、通常0.5〜
18g/m2・24hr、好ましくは2〜8g/m2・2
4hrの範囲にある。
【0097】このような本発明の積層フィルムは、その
ままで、あるいは必要によりさらにその片面または上下
両面にPE、PP、アルミニウム箔または紙などを積
層、付着させて、例えば食品または医薬品等の包装用、
特に易手裂き開封性包装用の多層フィルム材料(包装
材)として好適に用いられる。
【0098】《積層フィルムの製造》本発明の積層フィ
ルムは、例えば共押出によるフィルム成形法により製造
することもできるし、フィルムラミネーション成形法に
より製造することもできる。共押出によるフィルム成形
法としては、さらに具体的には共押出Tダイ法、共押出
インフレーション法および共押出ラミネーション法など
があげられる。フィルムラミネーション成形法として
は、さらに具体的にはドライラミネーション法などがあ
げられる。
【0099】これらの成形法(積層加工法)の中では、
共押出によるフィルム成形法が好ましい。共押出成形法
は、フィルムラミネーション法のように、加工時に使用
される接着剤中の溶媒(例えばドライラミネーション用
の接着剤中の有機溶媒)を乾燥、飛散させる必要がな
く、溶媒乾燥工程が不要であり、フィルムラミネーショ
ン法と比較してより生産性が優れる。
【0100】ドライラミネーション法では、各層用のフ
ィルム(A)〜(C)のいずれかの内面、好ましくは熱
可塑性ポリエステル樹脂(A)フィルム面に接着剤
(B)を塗布し、例えば(A)/(B)/(C)の順、
あるいは(A)/(B)/(C)/(B)/(A)など
の順に積層した後、熱風炉中で、例えば80〜120℃
程度の温度で加熱し、接着剤(B)層中の溶媒を飛散さ
せ、次いで60〜80℃で熱ローラにより圧着〔圧力
は、例えば9.8×104〜9.8×105Pa(1〜1
0kg/cm2)〕して巻取り、巻取られた積層フィル
ムを35〜45℃程度の温度で24時間以上保持してエ
ージングを行い、積層フィルム中の接着剤(B)の硬化
を促進させることが好ましい。
【0101】本発明においては、積層フィルムの製造の
際に、積層フィルムまたは積層フィルム形成用の各フィ
ルムに2軸延伸加工を施すことができる。2軸延伸加工
を行うには、共押出Tダイ法によるテンター逐次2軸延
伸、テンター同時2軸延伸、または共押出インフレーシ
ョン法によるチューブラー2軸延伸などの方法が採用で
きる。これらの中では共押出Tダイ法によるテンター逐
次2軸延伸加工法が生産性の点でより好ましい。またこ
れらの方法は、シートまたはフィルムの押出から延伸ま
でを一貫して行うインライン延伸加工により行うのが好
ましい。
【0102】共押出逐次2軸延伸による2軸延伸加工
は、次のようにして行うのが好ましい。すなわち、各層
用の樹脂を押出機から溶融積層化してTダイからシート
状に押出す。このシートをまず縦方向に、80〜120
℃の温度で加熱された熱ロールにより延伸し、次いで加
熱炉中100〜140℃で、「テンター」と称するクリ
ップによりフィルム両端部をつまんで横方向に延伸し、
最終的に140〜200℃程度の温度でヒートセットし
て延伸フィルムを熱安定化させる。延伸倍率および面積
延伸倍率は前記の通りとするのが好ましい。
【0103】本発明の積層フィルムが(A)/(B)/
(C)層の3層構成であり、2軸延伸されたフィルムで
ある場合は、3層共押出テンター2軸延伸法または3層
共押出チューブラー2軸延伸法により製造するのが特に
好適である。このような製造方法により積層フィルムを
製造した場合、環状オレフィン系樹脂(C)層の白化が
抑えられ、透明性に優れた積層フィルムが得られる。そ
の他にも、3層共押出キャスト法、3層共押出インフレ
ーション法、(A)層用の熱可塑性ポリエステル樹脂フ
ィルムへの接着剤(B)および環状オレフィン系樹脂
(C)の共押出ラミネーション法、熱可塑性ポリエステ
ル樹脂(A)の2軸延伸フィルムと環状オレフィン系樹
脂(C)フィルムとの接着剤(B)層を介したドライラ
ミネーション法等の製造方法も好適である。なおこれら
の製造方法においては、積層シートまたは積層フィルム
を得た後2軸延伸するか、あるいは予め2軸延伸された
フィルムを用いる。
【0104】本発明の積層フィルムが(A)/(B)/
(C)/(B)/(A)層の5層構成で、2軸延伸され
たフィルムである場合は、5層共押出テンター2軸延伸
法または5層共押出チューブラー2軸延伸法により製造
するのが特に好適である。このような製造方法により積
層フィルムを製造した場合、環状オレフィン系樹脂
(C)層の白化が抑えられ、透明性に優れた積層フィル
ムが得られる。その他にも、5層共押出Tダイ法、5層
共押出インフレーション法、熱可塑性ポリエステル樹脂
(A)層用のポリエステルフィルムへの接着剤(B)/
環状オレフィン系樹脂(C)/接着剤(B)の共押出ラ
ミネーション法等の製造方法も好適である。なおこれら
の製造方法においては、積層シートまたは積層フィルム
を得た後2軸延伸するか、あるいは予め2軸延伸された
フィルムを用いる。このようにして得られる積層フィル
ムの各層の厚さは、前記の通りとする。
【0105】本発明の積層フィルムには、その上下両面
またはいずれか一方の面に、紙、アルミニウム箔、PE
層〔特に、高密度ポリエチレン(HDPE)層、低密度
直鎖状ポリエチレン(LLDPE)層〕、またはPP層
等の別の層が、必要により、1層または複数層適宜組合
されて積層されていてもよい。このような別の層を有す
る積層フィルムを製造するには、例えば(A)層と
(B)層と(C)層との積層時に、同時に別の層を積
層、形成してもよく、また(A)層と(B)層と(C)
層とを積層して得られた積層フィルムに、さらに別の層
を1層、2層と逐次的に積層、形成してもよい。別の層
の積層、形成方法は特に限定されない。PE層やPP層
は袋にするときのヒートシール層として好適に用いられ
る。
【0106】別の層を積層する場合、積層フィルムは熱
可塑性ポリエステル樹脂(A)層/接着剤(B)層/環
状オレフィン系樹脂(C)層/接着剤(B)層/熱可塑
性ポリエステル樹脂(A)層からなる5層積層フィルム
であることが好ましいが、熱可塑性ポリエステル樹脂
(A)層/接着剤(B)層/環状オレフィン系樹脂
(C)層からなる3層積層フィルムであってもよい。
【0107】別の層を有する積層フィルムの具体例を下
記に示す。 (a)上記3層好ましくは5層の積層フィルム/PE層 (b)上記3層好ましくは5層の積層フィルム/PP層 (c)上記3層好ましくは5層の積層フィルム/アルミ
ニウム箔/PE層 (d)紙/PE層/上記3層好ましくは5層の積層フィ
ルム/アルミニウム箔/PE層 (e)上記3層好ましくは5層の積層フィルム/PE層
/紙/PE層
【0108】上記(a)〜(e)の各積層フィルムは、
包装用フィルムとして必要な優れた耐熱性および耐衝撃
性を有するとともに、易手裂き開封性および高防湿性の
両機能を兼ね備えており、特に食品または医薬品等の包
装用フィルムとして好適に利用できる。
【0109】本発明の包装材は前記積層フィルムからな
る層を有する包装材である。本発明の積層フィルムまた
は包装材(包材)の具体的な使用例を下記に示す。 (f)上記3層または5層の積層フィルム:キャンディ
ー、チョコレート等の捻り包装材。 (g)上記3層または5層の積層フィルム/PE:スナ
ック菓子、漬物、水産練り製品、各種真空包装品等の包
材。 (h)化粧紙/上記3層または5層の積層フィルム/P
E:米菓等の包材。 (i)上記3層または5層の積層フィルム/紙/アルミ
ニウム箔/PE:粉末スープ等の包材。 (j)上記3層または5層の積層フィルム/PP:緑茶
等の包材。 (k)上記3層または5層の積層フィルム/アルミニウ
ム箔/PE,PP:保香食品等の包材。
【0110】上記いずれの使用例の場合も、本発明の積
層フィルムは包装材に易手裂き開封性および高防湿性の
両機能を付与し、実用性に富む包装体(包装材)となっ
ている。なお、包装フィルムに、被包装物に対する隠蔽
性が求められる場合には、基材フィルムとして隠蔽性の
あるもの、例えば内部紙化法で製造された合成紙やアル
ミニウム蒸着フィルムなどを用い、この基材フィルム上
に本発明の積層フィルムを積層形成すればよい。
【0111】
【発明の効果】本発明の積層フィルムは、特に食品およ
び薬品等の包装用フィルムとして必要な耐熱性および耐
衝撃性を保持しつつ、従来品に比して格段に優れた易手
裂き開封性および水蒸気バリアー性(防湿性)を有して
いる。本発明の積層フィルムを従来の包装フィルムの外
層とすることで、従来にない易手裂き開封性および高防
湿性機能を有する包装用、特に易手裂き開封性包装用フ
ィルムを提供することができる。このため、本発明の積
層フィルムは食品または薬品等の包装用フィルムとして
好適に利用できる。さらにこのような本発明の積層フィ
ルムは、塩素を含有しておらず、しかも比較的簡単かつ
安価に製造できる。
【0112】本発明の包装材は上記積層フィルムからな
る層を有しているので、耐熱性および耐衝撃性に優れ、
しかも水蒸気バリアー性および易手裂き開封性に優れて
いる。このため食品または薬品等の包装用、特に易手裂
き開封性包装用に好適に利用できる。そして被包装品を
安全に保存または輸送することができるとともに、使用
時には被包装品を容易に取出すことができる。
【0113】
【発明の実施の形態】次に、本発明を実施例によりさら
に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何
等限定されるものではない。
【0114】下記実施例および比較例で用いたフィルム
物性の測定および評価法は以下の通りである。 (1)易手裂き開封性 フィルムの縦方向および横方向に、直接手で容易に裂け
るか否かについて評価した。評価基準は次の通りであ
る。 ○:抵抗なく容易に裂ける △:やや抵抗があるが裂ける ×:全く裂けない (2)防湿性 透湿度測定方法:JIS Z 0208に準拠してフィ
ルムの透湿度(g/m 2・24時間)を測定した。 (3)耐熱性 15mm短冊状のフィルムに、10cm長の標線を記入
し、このフィルムを所定の温度(100℃または120
℃)に設定された加熱オーブン中に5分間放置した後、
標線長さL(cm)を測定した。このときの加熱収縮
率:〔(10−L)/10〕×100(%)を以て、耐
熱性を評価した。
【0115】(4)耐衝撃性 フィルムインパクトテスター(東洋精機(株)製、先端
半径1/2インチ球)を使用して、フィルム突破り強度
を以て、耐衝撃性を評価した。 (5)戻り角度 実施例で得られた積層フィルムから50mm×50mm
のサンプルを切出した。このフィルムを中間部で2つに
曲げ、この上に63mm×100mm角で100gの金
属板を載せ、23℃で1分間維持して折り目を付けた。
その後、金属板を除き、最大に開いたときのフィルムの
折り目の角度を測定した。 (6)各層の厚みの測定 光学顕微鏡を用いて積層体切断面の写真を撮り、各層の
厚みを測定した。
【0116】実施例1 合流方式が、フィードブロック3種5層型の押出機(ス
クリュー直径90mm、65mm、65mm)を用い、
コートハンガー型のT−ダイ(ダイ開口幅460mm、
ダイスリット幅1.5mm)から、T−ダイ部における
温度280℃で、下記各押出樹脂を溶融積層化しながら
押出した。こうして得た220μm厚み、下記構成の3
種5層積層シートを、冷却ロールに巻付けて冷却固化さ
せ、引取りを行った。その後、直ちにその押出シートを
逐次2軸延伸方式の装置に導き、2軸延伸加工を行っ
た。2軸延伸加工は、まず縦ロール延伸を行い、その後
横テンター延伸を逐次的に行う一般的な方法で行った。
このようにして得られた積層フィルムの各種物性を評価
した。結果を表1に示す。
【0117】以下に樹脂の種類および延伸加工条件等を
示す。 (1)押出樹脂 熱可塑性ポリエステル樹脂(A):商品番号「FX00
1」(三菱レイヨン(株)製、ポリエチレンテレフタレ
ート、極限粘度[η]:0.67dl/g、密度:1.
40g/cm3、融点:256℃、ジカルボン酸中のテ
レフタル酸含量:100モル%、ジヒドロキシ化合物中
のエチレングリコール含量:100モル%)、以下PE
T−1という。 接着剤(B):商品番号「SF730」(三井石油化学
工業(株)製、商品名「アドマー」、230℃でのMF
R(ASTM D 1238,F、以下同様):2.7
g/10分、密度:0.88g/cm3) 環状オレフィン系樹脂(C):エチレン・ノルボルネン
ランダム共重合体(エチレン含量:69モル%、ノルボ
ルネン含量:31モル%、260℃、荷重2.16kg
でのMFR:25g/10分、ガラス転移温度:80
℃、軟化温度:90℃、結晶化度:0%、極限粘度
〔η〕:0.78dl/g)、以下COC−1という。
【0118】(2)押出シート 構成:下記(A)/(B)/(C)/(B)/(A)の
順に積層された5層シート 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)(PET−1):20
μm 接着剤(B)(SF730):15μm 環状オレフィン系樹脂(C)(COC−1):130μ
m 接着剤(B)(SF730):15μm 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)(PET−1):20
μm (A)+(B)+(C)+(B)+(A)の合計厚み:
200μm。 引取速度:6m/分。
【0119】2軸延伸加工: 延伸倍率;縦3.2倍×横3.2倍。 延伸温度:縦延伸ロール87℃、横テンター100℃、
熱固定温度200℃。 延伸後のフィルム総厚み:20μm (A)層の合計: 4μm (B)層の合計: 3μm (C)層: 13μm
【0120】実施例2 押出シートの構成を、PET−1(30μm)/SF7
30(15μm)/COC−1(130μm)/SF7
30(15μm)/PET−1(30μm)に変更した
他は、全て実施例1と同様に行った。延伸後の総厚みは
22μm〔(A)層の合計:6μm、(B)層の合計:
3μm、(C)層:13μm〕であった。結果を表1に
示す。
【0121】実施例3 押出シートの構成を、PET−1(10μm)/SF7
30(15μm)/COC−1(130μm)/SF7
30(15μm)/PET−1(10μm)に変更した
他は、全て実施例1と同様に行った。延伸後の総厚みは
18μm〔(A)層の合計:2μm、(B)層の合計:
3μm、(C)層:13μm〕であった。結果を表1に
示す。
【0122】実施例4 実施例1において、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層
をポリエチレンテレフタレート(極限粘度[η]:0.
85dl/g、密度:1.04g/cm3、融点:26
0℃、ジカルボン酸中のテレフタル酸含量:100モル
%、ジヒドロキシ化合物中のエチレングリコール含量:
100モル%、以下PET−2という)に変更し、環状
オレフィン系樹脂(C)層をエチレン・テトラシクロド
デセン共重合体(エチレン含量:68モル%、テトラシ
クロドデセン重量:32モル%、荷重2.16kg、2
60℃でのMFR:25g/10分、ガラス転移温度:
105℃、軟化温度:115℃、結晶化度:0%、極限
粘度〔η〕:0.60dl/g、以下COC−2とい
う)に変更した。また押出シートの構成をPET−2
(20μm)/SF730(10μm)/COC−2
(160μm)/SF730(10μm)/PET−2
(20μm)に変更した。さらに2軸延伸加工での延伸
倍率を縦2倍×横3倍、延伸温度として縦延伸ロールを
95℃、横テンターを115℃、熱固定温度を140℃
に変更し、延伸後フィルム総厚みを36μm〔(A)層
の合計7μm、(B)層の合計:3μm、(C)層:2
6μm〕として、実施例1と同様の評価を行った。結果
を表1に示す。
【0123】
【表1】
【0124】比較例1 実施例1において、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層
をPP樹脂(品番「F308」、三井石油化学工業
(株)製、PP樹脂、230℃でのMFR:1.9g/
10分、融点:159℃、以下PP−1という)に変更
し、接着剤(B)層を商品番号「QF551」(三井石
油化学工業(株)製、商品名「アドマー」、190℃で
のMFR:5.7g/10分)に変更した。また押出シ
ートの構成を、PP−1(120μm)/QF551
(60μm)/COC−2(420μm)/QF551
(60μm)/PP−1(120μm)に変更した。さ
らに2軸延伸加工における延伸倍率を縦3倍×横10倍
とし、総厚みを26μm〔(A)層の合計:8μm、
(B)層の合計:4μm、(C)層:14μm〕に変更
した。上記変更を行った以外は、実施例1と同様の加工
方法にて積層フィルムを得た。得られた積層フィルムに
ついて実施例1と同様にして物性評価を行った。結果を
表2に示す。
【0125】比較例2 積層フィルムの代わりに、市販の防湿セロファン商品番
号「MST#300」(東セロ(株)製、両面塩化ビニ
リデンコートセロファン、21μm厚み)を用い、実施
例1と同様にしてフィルム物性評価を行った。結果を表
2に示す。
【0126】比較例3 積層フィルムの代わりに、市販の2軸延伸熱可塑性ポリ
エステルフィルム「エンブレッドPET#12」(ユニ
チカ(株)製、商品名、12μm厚み)を用い、実施例
1と同様にしてフィルムの物性評価を行った。結果を表
2に示す。
【0127】比較例4 実施例4で使用した熱可塑性ポリエステル樹脂(A)、
接着剤(B)および環状オレフィン系樹脂(C)を用
い、多層Tダイ式成形機により(A)/(B)/(C)
/(B)/(A)=5/2/30/2/5μmの構成の
5層フィルムを成形した。この積層フィルムの延伸加工
は行わなかった。この未延伸フィルムの物性評価を実施
例1と同様にして行った。結果を表2に示す。
【0128】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 210/02 C08F 210/02 232/08 232/08 C08G 61/08 C08G 61/08 63/183 63/183 C09J 151/06 C09J 151/06 // B29C 55/12 B29C 55/12 B29K 23:00 67:00 B29L 7:00 (72)発明者 山本 陽造 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内 (72)発明者 尼田 康 東京都千代田区霞ヶ関三丁目2番5号 三 井石油化学工業株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層と環
    状オレフィン系樹脂(C)層とが接着剤(B)層を介し
    て積層され、かつ熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層お
    よび/または環状オレフィン系樹脂(C)層が2軸延伸
    され、しかも熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層の厚さ
    (合計)が0.5〜50μmであり、接着剤(B)層の
    厚さ(合計)が0.5〜20μmであり、環状オレフィ
    ン系樹脂(C)層の厚さ(合計)が5〜150μmであ
    る積層フィルム。
  2. 【請求項2】 延伸倍率が縦横両方向共に1倍を超え5
    倍以下、面積延伸倍率が1.5〜20倍である請求項1
    記載の積層フィルム。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層が1
    層であり、環状オレフィン系樹脂(C)層が1層である
    請求項1または2記載の積層フィルム。
  4. 【請求項4】 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)層が2
    層であり、環状オレフィン系樹脂(C)層が1層であ
    り、最外層がいずれも熱可塑性ポリエステル樹脂(A)
    層である請求項1または2記載の積層フィルム。
  5. 【請求項5】 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)が、テ
    レフタル酸成分単位をジカルボン酸成分単位中80モル
    %以上含み、エチレングリコール成分単位をジヒドロキ
    シ化合物成分単位中80モル%以上含み、極限粘度
    [η]0.5〜1.4dl/gのポリエチレンテレフタ
    レートである請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィ
    ルム。
  6. 【請求項6】 接着剤(B)が、不飽和カルボン酸また
    はその誘導体によりグラフト変性されたグラフト変性エ
    チレン・α−オレフィンランダム共重合体を含有する接
    着剤である請求項1ないし5のいずれかに記載の積層フ
    ィルム。
  7. 【請求項7】 環状オレフィン系樹脂(C)が、下記
    (C−1)、(C−2)、(C−3)および(C−4)
    からなる群から選ばれるいずれか1種または2種以上を
    含む樹脂である請求項1ないし6のいずれかに記載の積
    層フィルム。 (C−1):エチレンと、下記一般式(1)または
    (2)で表される環状オレフィンとを共重合させて得ら
    れるエチレン・環状オレフィンランダム共重合体。 【化1】 〔式(1)中、nは0または1、mは0または正の整
    数、qは0または1である。R1〜R18ならびにRaおよ
    びRbは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子また
    は炭化水素基である。この炭化水素基はハロゲン原子で
    置換されていてもよい。R15〜R18は互いに結合して単
    環または多環を形成していてもよく、この単環または多
    環は二重結合を有していてもよい。またR15とR16
    で、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成してい
    てもよい。〕 【化2】 〔式(2)中、pおよびqは0または正の整数、mおよ
    びnは0、1または2である。R1〜R19はそれぞれ独
    立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコ
    キシ基である。この炭化水素基およびアルコキシ基はハ
    ロゲン原子で置換されていてもよい。R9およびR10
    結合している炭素原子と、R13が結合している炭素原子
    またはR11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭
    素数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよ
    い。またn=m=0のときR15とR12、またはR15とR
    19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成
    していてもよい。〕 (C−2):上記一般式(1)または(2)で表される
    環状オレフィンの開環重合体または共重合体。 (C−3):上記開環重合体または共重合体(C−2)
    の水素化物。 (C−4):上記(C−1)、(C−2)または(C−
    3)のグラフト変性物。
  8. 【請求項8】 環状オレフィン系樹脂(C)のガラス転
    移温度が60〜120℃である請求項7記載の積層フィ
    ルム。
  9. 【請求項9】 50mm×50mmの積層フィルムを中
    間部で2つに曲げ、この上に63mm×100mm角で
    100gの金属板を載せ、23℃で1分間維持して折り
    目を付け、その後金属板を除いてフィルムの折り目の角
    度を測定する方法により測定したフィルムの戻り角度が
    80°以下である請求項1ないし8のいずれかに記載の
    積層フィルム。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし9のいずれかに記載の
    積層フィルムからなる層を有する包装材。
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