JP2012134474A - 太陽電池用多層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)と、特定のエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)を含有する樹脂層(I)を最外層の少なくとも一層として有し、かつ、特定のエチレン系重合体(C)と、結晶核剤(D)とを含有する樹脂層(II)を有することを特徴とする太陽電池用多層体。
【選択図】なし
Description
これらの太陽電池モジュールは主に屋外で使用されるため、その構成や材質構造等に種々の特性が必要とされる。上記の封止材には、太陽電池素子を保護する為の柔軟性や耐衝撃性、太陽電池モジュールが発熱した際の耐熱性、太陽電池素子へ太陽光が効率的に届く為の透明性(全光線透過率など)、耐久性、寸法安定性、難燃性、防湿性等が主に要求される。
しかしながら、EVAシートを用いて太陽電池モジュールを製造する場合、その加熱圧着などの諸条件により、EVAの熱分解による酢酸ガスが発生し、作業環境及び製造装置への悪影響や、太陽電池の回路腐食や、太陽電池素子、フロントシート、バックシートなど各部材界面で発生する剥離等の問題があった。
さらに、EVAは水蒸気バリア性が不十分であり(例えば、厚さ0.3mm、温度40℃、相対湿度90%における水蒸気透過率が25〜35g/(m2・24時間)程度)、高湿度などの環境下で用いる場合、水分が太陽電池素子に到達し、太陽電池の劣化や発電効率の低下の要因になるという問題があった。
(a):示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が0〜70J/g
(b):示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100〜145℃であり、かつ、結晶融解熱量が5〜70J/g
(c):示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100〜145℃であり、かつ、結晶融解熱量が120〜190J/g
樹脂層(I)は、前記(a)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)と、前記(b)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)を含有し、主に太陽電池素子(セル)を保護するための優れた封止性、耐熱性や、太陽電池に十分な発電効率を付与するための優れた透明性を発現する役割を有する。
本発明に用いるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)は、前記条件(a)を満足すれば特に限定されるものではないが、通常、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体が好適に用いられる。ここでエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1等が例示される。本発明においては、工業的な入手し易さや諸特性、経済性などの観点からエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテンが好適に用いられる。エチレンと共重合するα−オレフィンは1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもかまわない。
本発明に用いるエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)は、前記条件(b)を満足すれば特に限定されるものではないが、通常、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとのブロック共重合体が好適に用いられる。ここでエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1等が例示される。本発明においては、工業的な入手し易さや諸特性、経済性などの観点からエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテンが好適に用いられる。エチレンと共重合するα−オレフィンは1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもかまわない。
該マルチブロック構造を有するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体は、本発明において好適に使用でき、α−オレフィンとして1−オクテンを共重合成分とするエチレン−オクテンマルチブロック共重合体が好ましい。該ブロック共重合体としては、エチレンに対してオクテン成分が多く(約15〜20モル%)共重合されたほぼ非晶性のソフトセグメントと、エチレンに対してオクテン成分が少なく(約2モル%未満)共重合された結晶融解ピーク温度が100〜145℃である高結晶性のハードセグメントが、各々2つ以上存在するマルチブロック共重合体が好ましい。これらのソフトセグメントとハードセ
グメントの連鎖長や比率を制御することにより、柔軟性と耐熱性の両立を達成することができる。該マルチブロック構造を有する共重合体の具体例としては、ダウ・ケミカル(株)製の商品名「インフューズ(Infuse)」が挙げられる。
ここで、MFRは、シートを成形する際の成形加工性や太陽電池素子(セル)を封止する時の密着性、回り込み具合などを考慮して選択すればよい。具体的には、シートをカレンダー成形する場合には、シートを成形ロールから引き剥がす際のハンドリング性からMFRは、比較的低い方、具体的には0.5〜5g/10分程度が好ましく、また、Tダイを用いて押出成形する場合には、押出負荷を低減させ押出量をUPさせる観点からMFRは、1〜30g/10分であるものが好適に用いられる。さらに、太陽電池素子(セル)を封止する時の密着性や回り込み易さの観点からは、MFRは、3〜50g/10分であるものが好適に用いられる。
本発明の太陽電池用多層体における樹脂層(I)は、前記エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)と前記エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)を含有する樹脂層である。ここで、これらの共重合体(A)及び共重合体(B)の各々に用いられるα−オレフィンの種類は、同一であってもよいし、異なっていてもよいが、本発明においては、同一である方が、混合した際の相溶性や太陽電池用多層体の透明性が向上する、すなわち、太陽電池の光電変換効率が向上するため好ましい。
樹脂層(II)は、樹脂層(I)の少なくとも一方の側に設けられ、前記(c)の条件を満足するエチレン系重合体(C)と、結晶核剤(D)とを含有し、主に太陽電池素子(セル)や配線等の水分による劣化を抑制するための優れた防湿性、太陽電池モジュール製造時における封止材のハンドリング性や、太陽電池に十分な発電効率を付与するための優れた透明性を付与する役割を有する。
本発明の太陽電池用多層体に用いるエチレン系重合体(C)としては、前記条件(c)を満足すれば特に限定されるものではないが、エチレン単独重合体であってもよいし、或いは、エチレンとα―オレフィンの共重合体であってもよい。また、これらの混合物を用いることができる。ここでエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1等が例示される。本発明においては、工業的な入手し易さや諸特性、経済性などの観点からエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテンが好適に用いられる。エチレンと共重合するα−オレフィンは1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもかまわない。また、これらの中でも、エチレン単独重合体、或いは、エチレンと、ブテン−1、及び/又は、ヘキセン−1、及び/又はオクテン−1からなる共重合体を用いるのが好ましい。
前記エチレン系重合体(C)の結晶融解ピーク温度及び結晶融解熱量がかかる範囲内であれば、本発明の太陽電池用多層体に優れた剛性、防湿性、透明性を付与することができる。
本発明の太陽電池用多層体の樹脂層(II)に含有される結晶核剤(D)は、主に前記エチレン系重合体(C)の球晶サイズの微細化による透明性向上や、結晶融解熱量の増大、剛性向上効果を奏するものであり、その種類は特に制限されるものではない。例えばジベンジリデンソルビトール(DBS)化合物、1,3−O−ビス(3,4ジメチルベンジリデン)ソルビトール、ジアルキルベンジリデンソルビトール、少なくとも一つの塩素または臭素置換基を有するソルビトールのジアセタール、ジ(メチルまたはエチル置換ベンジリデン)ソルビトール、炭素環を形成する置換基を有するビス(3,4−ジアルキルベンジリデン)ソルビトール、脂肪族、脂環族、および芳香族のカルボン酸、ジカルボン酸または多塩基性ポリカルボン酸、相当する無水物および金属塩などの有機酸の金属塩化合物、環式ビス−フェノールホスフェート、2ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプテンジカルボン酸などの二環式ジカルボン酸及び塩化合物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−ジカルボキシレートなどの二環式ジカルボキシレートの飽和の金属または有機の塩化合物、1,3:2,4−O−ジベンジリデン−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−イソプロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−n−プロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−イソプロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,3−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,5−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,5−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,3−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,4−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,5−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,5−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,4,5−トリメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,4,5−トリメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,4,5−トリエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,4,5−トリエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−イソプロピルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−n−プロピルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−[(5,6,7,8,−テトラヒドロ−1−ナフタレン)−1−メチレン]−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−[(5,6,7,8,−テトラヒドロ−2−ナフタレン)−1−メチレン]−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−p−メチルベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−p−メチルベンジリデン−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−p−エチルベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−p−エチルベンジリデン−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−p−クロルベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−p−クロルベンジリデン−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(2,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(2,4−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−p−メチル−ベンジリデン−2,4−O−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチル−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−p−メチル−ベンジリデン−2,4−O−p−クロルベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−p−クロル− ベンジリデン−2,4−O−p−メチルベンジリデン−D−ソルビトールなどのジアセタール化合物、ナトリウム2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、アルミニウムビス[2,2’−メチレン−ビス−(4−6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート]、燐酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ナトリウムや、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、モンタン酸等の脂肪酸、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ヘベニン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、シリカ、タルク、カオリン、炭化カルシウム等の無機粒子、グリセロール、グリセリンモノエステルなどの高級脂肪酸エステル、及び類似物を挙げることができる。
前記樹脂層(II)は、更に、オレフィン相溶樹脂(E)を含有することが、防湿性をさらに高める点で好ましい。
オレフィン相溶樹脂(E)としては、オレフィン系樹脂、特に前記エチレン系重合体(C)と相溶し、かつ、前記オレフィン相溶樹脂(E)のJIS K2207に基づき測定した軟化温度Ts(E)が前記エチレン系重合体(C)のJIS K7121に準じた示差走査熱量測定における冷却速度10℃/分で測定される結晶化ピーク温度Tc(C)+5℃以下であることが好ましく、例えば石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、及びこれらの水素添加誘導体からなる群から選ばれる1種類の樹脂又は2種類以上の樹脂を挙げることができる。
前記テルペン樹脂としては、例えばβ−ピネンからのテルペン−フェノール樹脂などを挙げることができる。
前記クマロン−インデン樹脂としては、例えば、クマロン−インデン共重合体や、クマロン−インデン−スチレン共重合体などを挙げることができる。
前記ロジン系樹脂としては、例えばガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリン、ペンタエリスリトールなどで変性したエステル化ロジン樹脂等を挙げることができる。
本発明の太陽電池用多層体においては、オレフィン相溶樹脂(E)のJIS K2207に基づき測定した軟化温度Ts(E)は、前記エチレン系重合体(C)のJIS K7121に準じた示差走査熱量測定における冷却速度10℃/分で測定される結晶化ピーク温度Tc(C)+5℃以下であることが好ましく、より好ましくは該Tc(C)+3℃以下であり、該Tc(C)+2℃以下であり、更に好ましくは該Tc(C)以下であり、該Tc(C)−5℃以下である。なお、該Ts(E)の下限は80℃である。前記軟化温度Ts(E)の上限が前記条件を満たすことで、エチレン系重合体(C)の結晶化過程においては、オレフィン相溶樹脂(E)の分子の自由度が高いため、エチレン系重合体(C)の結晶化が阻害されず、微細な結晶が形成され、防湿性に優れた太陽電池用多層体が得られる。また、オレフィン相溶樹脂(E)の軟化温度Ts(E)が80℃以上であれば、成形時におけるペレットのブロッキングや、二次加工時、あるいは、輸送時、使用時における太陽電池用多層体表面へのブリードアウトを生じにくい。
前記樹脂層(II)には、環状オレフィン系樹脂(F)を含有することが透明性をさらに高める点で好ましい。
本発明に用いる環状オレフィン系樹脂(F)としては、(i)環状オレフィンの開環(共)重合体を必要に応じ水素添加した重合体、(ii)環状オレフィンの付加(共)重合体、(iii)環状オレフィンとエチレン、プロピレン等α−オレフィンとのランダム共重合体、(iv)前記(i)〜(iii)を不飽和カルボン酸やその誘導体等で変性したグラフト変性体等が例示できる。具体的には、日本ゼオン(株)の商品名「ZEONOR」シリーズ、三井化学(株)の商品名「アペル」シリーズ、ポリプラスチックス(株)の商品名「TOPAS」シリーズが挙げられる。なお、環状オレフィン系重合体は、例えば、特開昭60−168708号公報、特開昭61−115916号公報、特開昭61−271308号公報、特開昭61−252407号公報などに記載されている公知の方法に準じて製造することもできる。
また、前記環状オレフィン系樹脂(F)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは50〜105℃であり、より好ましくは55〜90℃である。前記環状オレフィン系樹脂(F)のガラス転移温度がかかる範囲内にあれば耐熱性、加工性を低下させることなく、本発明の太陽電池用多層体の透明性を向上させることができる。
本発明の太陽電池用多層体における樹脂層(II)は、前記エチレン系重合体(C)と前記結晶核剤(D)を含有する樹脂層である。
樹脂層(II)中における結晶核剤(D)の含有量は、透明性、防湿性が良好となる範囲で適宜決定することが可能であるが、0.01〜3質量%であるのが好ましく、中でも0.03質量%以上或いは2質量%以下であるのがさらに好ましく、その中でも特に0.05質量%以上或いは1質量%以下であるのがより一層好ましい。かかる範囲内で結晶核剤(D)を配合することにより、結晶核剤の過剰な添加による透明性の低下を生じることなく、本発明の太陽電池用多層体の剛性、防湿性、透明性を向上させることができる。
[その他の樹脂]
また、本発明の太陽電池用多層体を構成する樹脂層(I)、及び樹脂層(II)には、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、諸物性(柔軟性、耐熱性、透明性、接着性など)や成形加工性あるいは経済性などをさらに向上させる目的で、樹脂層(I)であれば前記エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)、及び前記エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)以外、樹脂層(II)であれば前記エチレン系重合体(C)、前記オレフィン相溶樹脂(E)、及び前記環状オレフィン系樹脂(F)以外のその他の樹脂を混合することができる。該その他の樹脂としては、例えば、他のポリオレフィン系樹脂や各種エラストマー(オレフィン系、スチレン系など)、カルボキシル基、アミノ基、イミド基、水酸基、エポキシ基、オキサゾリン基、チオール基、シラノール基などの極性基で変性された樹脂などが挙げられる。
また、本発明の太陽電池用多層体を構成する樹脂層(I)、及び/又は樹脂層(II)には、必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。該添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、光拡散剤、造核剤、顔料(例えば白色顔料)、難燃剤、変色防止剤などが挙げられる。本発明においては、樹脂層(I)においては、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤から選ばれる少なくとも一種の添加剤が添加されていることが後述する理由等から好ましい。また、樹脂層(II)においては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤から選ばれる少なくとも一種の添加剤が添加されていることが後述する理由等から好ましい。
シランカップリング剤は、封止材の保護材(ガラス、樹脂製のフロントシート、バックシートなど)や太陽電池素子等に対する接着性を向上させるのに有用であり、その例としては、ビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基のような不飽和基、アミノ基、エポキシ基などとともに、アルコキシ基のような加水分解可能な基を有する化合物を挙げることができる。シランカップリング剤の具体例としては、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを例示することができる。本発明においては、接着性が良好であり、黄変などの変色が少ないこと等からγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく用いられる。該シランカップリング剤の添加量は、各層を構成する樹脂組成物100質量部に対し、通常、0.1〜5質量部程度であり、0.2〜3質量部添加することが好ましい。また、シランカップリング剤と同様に、有機チタネート化合物などのカップリング剤も有効に活用できる。
酸化防止剤としては、種々の市販品が適用でき、モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系、硫黄系、ホスファイト系など各種タイプのものを挙げることができる。モノフェノール系としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノールなどを挙げることができる。ビスフェノール系としては、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス〔{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,9,10−テトラオキサスピロ〕5,5−ウンデカンなどを挙げることができる。
硫黄系としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネートなどを挙げることができる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系など各種タイプのものを挙げることができ、種々の市販品が適用できる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5− クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。
該紫外線吸収剤の添加量は、各層を構成する樹脂組成物100質量部に対し、通常、0.01〜2.0質量部程度であり、0.05〜0.5質量部添加することが好ましい。
上記の紫外線吸収剤以外に耐候性を付与する耐候安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定化剤が好適に用いられる。ヒンダードアミン系光安定化剤は、紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤と併用することによって著しい相乗効果を示す。ヒンダードアミン系以外にも光安定化剤として機能するものはあるが、着色している場合が多く本発明の太陽電池封止材には好ましくない。
本発明の太陽電池用多層体は、前記樹脂層(I)の少なくとも一方の側に前記樹脂層(II)を有してなる。
本発明の太陽電池用多層体は、防湿性に優れたものであり、厚み0.3mmに成形したときのJIS K7129B法に基づき温度40℃、相対湿度90%で測定した水蒸気透過率が3.0g/(m2・24時間)以下であることが好ましく、2.0g/(m2・24時間)以下であることがより好ましく、1.0g/(m2・24時間)以下であることが更に好ましい。本発明におけるこのよう優れた防湿性は、主として、前記エチレン系重合体(C)と結晶核剤(D)の組合せ、さらには、オレフィン相溶樹脂(E)、環状オレフィン系樹脂(F)の添加等により達成することができる。
本発明の太陽電池用多層体の厚みは、特に限定されるものではないが、通常、0.03〜1mm程度であり、透明性、防湿性、及び、ハンドリング性等の点から、好ましくは0.1〜0.7mmのシート状で用いられる。
次に、本発明の太陽電池用多層体の製造方法について説明する。
シート状の太陽電池用多層体の製膜方法としては、公知の方法、例えば単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどの溶融混合設備を有し、Tダイを用いる押出キャスト法、カレンダー法やインフレーション法等を採用することができ、特に限定されるものではないが、本発明においては、ハンドリング性や生産性等の面からTダイを用いる押出キャスト法が好適に用いられる。Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、各樹脂層を構成する樹脂組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね130〜300℃、好ましくは、150〜250℃である。また、多層化の方法についても公知の方法、例えば、共押出、押出ラミネート、熱ラミネート、ドライラミネート等の方法を用いることができる。
本発明の太陽電池用多層体は、太陽電池用部材として用いられるものであり、その部位は特に限定されるものではないが、主に太陽電池素子に密着し保護する太陽電池封止材としての部位に太陽電池封止用多層体として、また、太陽電池モジュール全体としての柔軟性、剛性、カール、厚みや絶縁破壊電圧の調整などの目的で太陽電池素子に密着しない部位にも使用される。ここで、太陽電池素子に密着しない部位の具体例としては、例えば、上部保護材/封止材/太陽電池素子/封止材/下部保護材のような太陽電池モジュールの上部保護材の構成層として、最表面層/本発明の太陽電池用多層体/バリア層、最表面層/バリア層/本発明の太陽電池用多層体、最表面層/本発明の太陽電池用多層体や、最表面層/本発明の太陽電池用多層体/バリア層/本発明の太陽電池用多層体などが挙げられ、また、下部保護材の構成層として、本発明の太陽電池用多層体/バリア層/最裏面層、他のポリオレフィン層(CPPなど)/本発明の太陽電池用多層体/バリア層/最裏面層、他のポリオレフィン層(CPPなど)/バリア層/本発明の太陽電池用多層体/最裏面層や他のポリオレフィン層(CPPなど)/本発明の太陽電池用多層体/最裏面層などが挙げられる。また、本発明の太陽電池用多層体を太陽電池素子に密着しない部位に用いた場合には、太陽電池素子に密着し保護する太陽電池材には、本発明の太陽電池用多層体、あるいは、市販のEVAやアイオノマー系の太陽電池材を用いることができる。ここでは、本発明の太陽電池用多層体を太陽電池素子に密着し保護する太陽電池材として用いて作製された太陽電池モジュールについて説明する。
次に本発明の太陽電池用多層体を用い、太陽電池素子を上下の保護材であるフロントシートおよびバックシートで固定することにより太陽電池モジュールを製作することができる。このような太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができ、好ましくは、本発明の太陽電池用多層体を封止材、すなわち太陽電池封止用多層体として用い、本発明の太陽電池用多層体と、上部保護材と、太陽電池素子と、下部保護材とを用いて作製された太陽電池モジュールが挙げられ、具体的には、上部保護材/封止材(封止樹脂層)/太陽電池素子/封止材(封止樹脂層)/下部保護材のように太陽電池素子の両側から封止用多層体で挟むような構成のもの(図1参照)、下部保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子上に封止材と上部保護材を形成させるような構成のもの、上部保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子、例えばフッ素樹脂系透明保護材上にアモルファス太陽電池素子をスパッタリング等で作製したものの上に封止材と下部保護材を形成させるような構成のものなどを挙げることができる。なお、本発明の太陽電池用多層体を用いた太陽電池モジュールにおいて、封止材が2箇所以上の部位に使用される場合、全ての部位に本発明の太陽電池用多層体を用いてもかまわないし、1箇所のみの部位に本発明の太陽電池用多層体を用いてもかまわない。また、封止材が2箇所以上の部位に使用される場合、各々の部位に使用される本発明の太陽電池用多層体を構成する樹脂層(I)、及び、樹脂層(II)を構成する樹脂組成物の組成や、封止用多層体に占める樹脂層(I)、及び、樹脂層(II)の厚み比率は同一であってもよいし、異なっていてもよい。なお、いずれの場合においても、太陽電池素子側に本発明の太陽電池用多層体の樹脂層(I)側が接触するように太陽電池モジュールを作製することで、太陽電池素子を封止する際に十分な接着性、封止性を得ることができる。
(株)パーキンエルマー製の示差走査熱量計、商品名「Pyris1 DSC」を用いて、JIS K7121に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解ピーク温度(Tm)(℃)を求めた。
(株)パーキンエルマー製の示差走査熱量計、商品名「Pyris1 DSC」を用いて、JIS K7121に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温した時に測定されたサーモグラムから結晶化ピーク温度(℃)を求めた。
(株)パーキンエルマー製の示差走査熱量計、商品名「Pyris1 DSC」を用いて、JIS K7122に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解熱量(ΔHm)(J/g)を求めた。
JIS K2207に準じてオレフィン相溶樹脂(E)の軟化温度を求めた。
日本ウォーター(株)製高温GPCシステムを用いて重量平均分子量(Mw)、及び、数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布指数(Mw/Mn)を算出した。
村上色彩技術研究所(株)製「反射・透過率計」を用いて、JIS K7105に準じて、厚み0.3mmのサンプルについて全光線透過率の測定を行った。全光線透過率が85%以上であるものを合格とした。
JIS K7129Bに基づき、MOCON社製PERMATRAN W 3/31を用いて、40℃、90%RHの雰囲気下において厚み0.3mmのサンプルについて水蒸気透過率を測定した。水蒸気透過率が3.0g/(m2・24時間)以下、かつ、1.0g/(m2・24時間)を超えるものを(○)とし、1.0g/(m2・24時間)以下であるものを(◎)、3.0g/(m2・24時間)を超えるものを(×)とした。
動的粘弾性測定機(アイティ計測(株)製、商品名:粘弾性スペクトロメーターDVA−200)を用いて、振動周波数:10Hz、昇温速度:3℃/分、歪0.1%の条件で、貯蔵弾性率(E’)を−100℃から測定し、得られたデータから、20℃における貯蔵弾性率(E’)を読み取った。20℃における貯蔵弾性率(E’)が100MPa以上、1000MPa以下であるものを合格とした。
真空ラミネーター((株)エヌ・ピー・シー製、商品名:LM30×30)を用いて、熱板温度:150℃、加工時間:20分(内訳、真空引き:5分、プレス:5分、圧力保持:10分)、圧着速度:急速の条件で、熱板側から順に、3mm厚白板ガラス(旭硝子(株)製、商品名:ソライト)、0.3mm厚封止材、0.4mm厚太陽電池セル(フランスフォトワット社製、商品名:101×101MM)、0.3mm厚封止材、0.125mm厚耐候性PETフィルム(東レ(株)製、商品名:ルミラーX10S)の5層を真空プレスして作製した太陽電池モジュール(サイズ:150mm×150mm)の外観を目視し、その結果を下記の基準で評価した。
(○)封止材が太陽電池素子周囲に隙間なく十分に回り込んでいる。
(×)封止材が太陽電池素子周囲に対し十分に回り込まず、気泡や浮きが発生している。
厚み3mmの白板ガラス(サイズ;縦75mm、横25mm)と厚み5mmのアルミ板(サイズ;縦120mm、横60mm)の間に厚みが0.3mmのシート状の封止材を重ね、真空プレス機を用いて、150℃、15分の条件で積層プレスした試料を作製し、該試料を85℃、85%RHの恒温恒湿槽内で60度に傾斜して設置し2000時間経過後の状態を観察し、下記の基準で評価した。
(○)ガラスが初期の基準位置からずれなかったもの
(×)ガラスが初期の基準位置からずれたもの、あるいは、シートが溶融したもの
[エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)]
(A)−1:エチレン−オクテンランダム共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:エンゲージ8200、エチレン/オクテン=76/24質量%(93/7モル%)、結晶融解ピーク温度=65℃、結晶融解熱量=53J/g)
(A)−2:エチレンープロピレン−ヘキセンランダム共重合体(日本ポリエチレン(株)製、商品名:カーネルKJ640T、エチレン/プロピレン/ヘキセン=80/10/10質量%(89/7/4モル%)、結晶融解ピーク温度=53℃、結晶融解熱量=58J/g)
(B)−1:エチレンーオクテンブロック共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:インフューズ9000、エチレン/オクテン=65/35質量%(88/12モル%)、結晶融解ピーク温度=122℃、結晶融解熱量=44J/g)
(C)−1:エチレン−ブテン−オクテンランダム共重合体(旭化成(株)製、商品名:クレオレックスK4125、エチレン/ブテン−1/オクテン−1=97.7/1.1/1.2質量%(99.1/0.6/0.3モル%)、密度=0.941g/cm3、結晶融解ピーク温度=130℃、結晶融解熱量=183J/g、結晶化ピーク温度=113℃、Mw/Mn=3.12)
(C)−2:エチレン−ブテン−オクテンランダム共重合体(旭化成(株)製、商品名:クレオレックスK4750、エチレン/ブテン−1/オクテン−1=97.9/0.8/1.3質量%(99.3/0.4/0.3モル%)、密度=0.947g/cm3、結晶融解ピーク温度=131℃、結晶融解熱量=181J/g、結晶化ピーク温度=113℃、Mw/Mn=2.87)
(C)−3:エチレン単独重合体(旭化成(株)製、商品名:サンテックHD F371、エチレン=100質量%(100モル%)、密度=0.944g/cm3、結晶融解ピーク温度=131℃、結晶融解熱量=167J/g、結晶化ピーク温度=114℃、Mw/Mn=4.72)
(C)−4:エチレン−ヘキセンランダム共重合体(宇部丸善ポリエチレン(株)製、商品名:ユメリット2040FC、密度=0.918g/cm3、結晶融解ピーク温度=121℃、結晶融解熱量=134J/g、結晶化ピーク温度=105℃、Mw/Mn=2.80)
(D)−1:脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛/1,2−シクロヘキサンジカルボン酸カルシウム塩=34/66質量%)
(E)−1:水素添加石油樹脂(荒川化学工業(株)製、商品名:アルコンP115、軟化温度Ts(E)=115℃)
(E)−2:水素添加石油樹脂(荒川化学工業(株)製、商品名:アルコンP140、軟化温度Ts(E)=140℃)
(F)−1:環状オレフィン系樹脂(ポリプラスチックス(株)製、商品名:TOPAS9506F−04、ガラス転移温度=68℃、非晶性(結晶融解熱量=0J/g))
(G)−1:シランカップリング剤(信越化学(株)製、商品名:KBM503、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)
(A)−1、(B)−1、及び、(G)−1を混合質量比94.5:5:0.5の割合でドライブレンドした後、φ40mm同方向二軸押出機を用いて2種3層のマルチマニホールド式の口金より両外層となる樹脂層(I)として設定温度190〜200℃で押出した。また、同時に(C)−1、及び、(D)−1を混合質量比99.9:0.1の割合でドライブレンドした後、φ40mm同方向二軸押出機を用いて同口金より中間層となる樹脂層(II)として設定温度200〜220℃で押出した。この時、それぞれの層の厚みは樹脂層(I)/樹脂層(II)/樹脂層(I)が0.1/0.1/0.1(mm)となるように溶融樹脂の吐出量を調整した。次いで、この共押出シートを約20℃のキャストロールにて急冷し、厚み0.3mmの多層シートを得た。得られた多層シートについて、透明性、水蒸気透過率、耐熱性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、樹脂層(II)を構成する樹脂組成物を(C)−1、(D)−1、及び、(E)−1を混合質量比79.9:0.1:20の割合で混合したものに変更した以外は実施例1と同様の方法、厚み構成で多層シートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、樹脂層(II)を構成する樹脂組成物を(C)−1、(D)−1、(E)−1、及び、(F)−1を混合質量比49.9:0.1:20:30の割合で混合したものに変更した以外は実施例1と同様の方法、厚み構成で多層シートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3において、樹脂層(II)を構成する樹脂組成物中の(C)−1を(C)−2に変更した以外は実施例1と同様の方法、厚み構成で多層シートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3において、樹脂層(II)を構成する樹脂組成物中の(C)−1を(C)−3に変更した以外は実施例1と同様の方法、厚み構成で多層シートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3において、樹脂層(I)を構成する樹脂組成物中の(A)−1を(A)−2に変更した以外は実施例1と同様の方法、厚み構成で多層シートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、樹脂層(II)を構成する樹脂組成物中の(C)−1を、(C)−4に変更した以外は実施例1と同様の方法、厚み構成で多層シートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3において、樹脂層(II)を構成する樹脂組成物中の(E)−1を、(E)−2に変更した以外は実施例3と同様の方法、厚み構成で多層シートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(A)−1、(B)−1、及び、(G)−1を混合質量比94.5:5:0.5の割合でドライブレンドした後、φ40mm同方向二軸押出機を用いて2種2層のマルチマニホールド式の口金より樹脂層(I)として設定温度190〜200℃で押出した。また、同時に(C)−1、(D)−1、(E)−1、及び、(F)−1を混合質量比49.9:0.1:20:30の割合でドライブレンドした後、φ40mm同方向二軸押出機を用いて同口金より樹脂層(II)として設定温度200〜220℃で押出した。この時、それぞれの層の厚みは樹脂層(I)/樹脂層(II)が0.15/0.15(mm)となるように溶融樹脂の吐出量を調整した。次いで、この共押出シートを約20℃のキャストロールにて急冷し、厚み0.3mmの多層シートを得た。得られた多層シートについて実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、樹脂層(II)を構成する樹脂組成物として(C)−1を単独で用いた以外は実施例1と同様の方法、厚み構成で多層シートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、樹脂層(II)を構成する樹脂組成物中の(C)−1を、プライムポリマー(株)製、商品名:ハイゼックス3600F(高密度ポリエチレン、エチレン=100質量%(100モル%)、密度=0.958g/cm3、結晶融解ピーク温度=134℃、結晶融解熱量=195J/g、結晶化ピーク温度=116℃、Mw/Mn=4.72、以下(N)−1と略する)に変更した以外は実施例1と同様の方法、厚み構成で多層シートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、樹脂層(I)を構成する樹脂組成物を(A)−1、及び、(G)−1を混合質量比99.5:0.5で混合したものに変更した以外は実施例1と同様の方法、厚み構成で多層シートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において樹脂層(I)を無くし、樹脂層(II)のみからなる厚み0.3mmの単層シートを得た。得られたシートについて実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
実施例1において樹脂層(II)を無くし、樹脂層(I)のみからなる厚み0.3mmの単層シートを得た。得られたシートについて実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
エヌ・ピー・シー社製真空ラミネーターLM30×30を用いて、熱板温度:150℃、加工時間:20分(内訳、真空引き:5分、プレス:5分、圧力保持:10分)、圧着速度:急速の条件で、熱板側から順に、上部保護材として厚みが3mmの白板ガラス(旭硝子(株)製、商品名:ソライト)、実施例3で採取した厚みが0.3mmの多層シート(封止材、樹脂層(I)が太陽電池素子側)、厚みが0.4mmの太陽電池素子(セル)(フォトワット社製、型式:101×101MM)、実施例3採取した厚みが0.3mmの多層シート(封止材、樹脂層(I)が太陽電池素子側)、下部保護材として厚みが0.125mmの耐候性PETフィルム(東レ(株)製、商品名:ルミラーX10S)の5層を真空プレスして太陽電池モジュール(サイズ:150mm×150mm)を作製した。得られた太陽電池モジュールは透明性や外観などに優れるものであった。
12A,12B・・・封止樹脂層
14A,14B・・・太陽電池素子
16・・・バックシート
18・・・ジャンクションボックス
20・・・配線
Claims (13)
- 下記(a)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)と、下記(b)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)を含有する樹脂層(I)を最外層の少なくとも一層として有し、かつ、下記(c)の条件を満足するエチレン系重合体(C)と、結晶核剤(D)とを含有する樹脂層(II)を有することを特徴とする太陽電池用多層体。
(a):示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が0〜70J/g
(b):示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100〜145℃であり、かつ、結晶融解熱量が5〜70J/g
(c):示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100〜145℃であり、かつ、結晶融解熱量が120〜190J/g - 前記樹脂層(II)中の結晶核剤(D)の含有量が0.01質量%以上、3質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用多層体。
- 前記樹脂層(II)が、石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、及びそれらの水素添加誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のオレフィン相溶樹脂(E)を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池用多層体。
- JIS K2207に基づき測定した前記オレフィン相溶樹脂(E)の軟化温度Ts(E)が、前記エチレン系重合体(C)の示差走査熱量測定における冷却速度10℃/分で測定される結晶化ピーク温度Tc(C)+5℃以下であることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池用多層体。
- 前記エチレン系重合体(C)が、エチレン以外の成分として、ブテン−1、ヘキセン−1、及びオクテン−1から選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンを含有し、且つ、前記エチレン系重合体(C)中に含まれる該α−オレフィンの合計が0.1〜3.0質量%であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の太陽電池用多層体。
- 前記樹脂層(II)が、環状オレフィン系樹脂(F)を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の太陽電池用多層体。
- 前記太陽電池用多層体を厚み0.3mmに成形したときのJIS K7129B法に基づき温度40℃、相対湿度90%で測定した水蒸気透過率が3.0g/(m2・24時間)以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の太陽電池用多層体。
- 前記太陽電池用多層体を厚み0.3mmに成形したときのJIS K7105に基づき測定した全光線透過率が85%以上であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の太陽電池用多層体。
- 動的粘弾性測定における振動周波数10Hz、温度20℃の貯蔵弾性率(E’)が100〜1000MPaであることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の太陽電池用多層体。
- 前記樹脂層(I)、及び/又は樹脂層(II)に、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤及び耐候安定剤から選ばれる少なくとも一種の添加剤を添加してなることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の太陽電池用多層体。
- 前記太陽電池用多層体に占める前記樹脂層(II)の厚み比率が20%以上、70%以下であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の太陽電池用多層体。
- 太陽電池素子に密着し保護する太陽電池封止材であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の太陽電池用多層体。
- 請求項1から12のいずれか1項に記載の太陽電池用多層体を用いて作製された太陽電池モジュール。
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