JP2022054983A - 環状オレフィン樹脂組成物、成形体およびその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子線あるいはガンマ線照射による変色が抑制された成形体が得られる環状オレフィン樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明の環状オレフィン樹脂組成物は、芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)と、ヒドロキシルアミン系化合物(S)と、を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、環状オレフィン樹脂組成物、成形体およびその用途に関する。
環状オレフィン系樹脂は、透明性や耐薬品性等の性能バランスに優れている。よって、例えば、医療用や化粧品用に用いられる容器や器具等の成形体を形成する材料として用いられることが検討されている。このような環状オレフィン系樹脂を含む樹脂組成物に関する技術としては、例えば、特許文献1~4に記載のものが挙げられる。
特許文献1には、特定の環状オレフィン系樹脂を2種含む環状オレフィン系樹脂組成物が記載されている。そして、その組成物により、スリップ性が改良され、透明性、表面光沢に優れ、さらに衛生面に優れた成形体を得ることが記載されている。
特許文献2には、環状オレフィン系樹脂60~90重量部と、数平均分子量が75,000~500,000である芳香族ビニル・共役ジエンブロック共重合体および/またはその水素添加物10~40重量部とからなる環状オレフィン系樹脂組成物が記載されている。そして、その組成物により、衝撃強度に優れるとともに防湿性にも優れた成形体を得ることが記載されている。
特許文献3には、医療用容器を構成する樹脂として、α-オレフィン由来の構成単位、芳香環を有さない環状オレフィンから導かれる構成単位および芳香環を有する環状オレフィンから導かれる構成単位を含む環状オレフィン系共重合体を用いることにより、電子線あるいはガンマ線照射による変色が少なく、かつ、透明性に優れる医療用容器を提供できることが記載されている。
さらに、特許文献4には、医療用器具を構成する樹脂として、所定の環状オレフィンの開環重合体を用いることにより、ガンマ線照射時のラジカルの発生量が少ない医療用器具を提供できることが記載されている。
特開2001-26693号公報 特開平8-277353号公報 国際公開第2019/107363号 国際公開第2020/137710号
医療用や化粧品用に用いられる容器や器具等の成形体は、電子線あるいはガンマ線等の照射で滅菌した後に内容物が充填される。この滅菌の際、器具に対して電子線あるいはガンマ線が照射される場合がある。本発明者らの検討によれば、従来の環状オレフィン系樹脂を用いた医療用容器においては、ガンマ線照射による滅菌時に、ラジカルが発生し、封入薬品に悪影響を与えるという問題が生じる可能性があることが明らかになった。また、ガンマ線照射により発生したラジカルは経時的にその影響が低減するものの、ラジカルの影響がなくなるまでには、数週間という長い期間が必要であり、生産性向上・工程短縮の観点から好ましくなかった。
また、電子線あるいはガンマ線等の照射により成形体が変色する点が問題となっていた。医療用・化粧品用に用いられる容器や器具は、外側から内容物の変質を確認したり、また見た目(外観)の点から、透明性が維持されることが必要であり、変色を抑制することが求められている。
上記の特許文献に記載の成形体は、ガンマ線等の照射による変色を抑制する効果に改善の余地があった。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、特定の構造を有する環状オレフィン系共重合体に、所定の安定剤を添加することにより、電子線あるいはガンマ線照射によるラジカルの発生量が少なく、さらに変色を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下に示すことができる。
[1] 芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)と、
ヒドロキシルアミン系化合物(S)と、
を含む環状オレフィン樹脂組成物。
[2] 前記芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)が、エチレンまたはα-オレフィンと芳香環を有する環状オレフィンとの共重合体(A1)および芳香環を有する環状オレフィンの開環重合体(A2)から選択される少なくとも一種を含む、[1]に記載の環状オレフィン樹脂組成物。
[3] 前記エチレンまたはα-オレフィンと芳香環を有する環状オレフィンとの共重合体(A1)が、
炭素原子数が2~20のα-オレフィン由来の構成単位(A)と、
芳香環を有する環状オレフィンから導かれる構成単位(C)と、を有し、
前記芳香環を有する環状オレフィンが、下記式(C-1)で示される化合物、下記式(C-2)で示される化合物、および下記式(C-3)で示される化合物からなる群から選択される一種または二種以上を含む、[2]に記載の環状オレフィン樹脂組成物。
Figure 2022054983000001
(上記式(C-1)中、nおよびqはそれぞれ独立に0、1または2であり、R~R17はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R10~R17のうち一つは結合手であり、またq=0のときR10とR11、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR10は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=1または2のときR10とR11、R11とR17、R17とR17、R17とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R16とR16、R16とR10は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、また前記単環または前記多環が二重結合を有していてもよく、前記単環または前記多環が芳香族環であってもよい。)
Figure 2022054983000002
(上記式(C-2)中、nおよびmはそれぞれ独立に0、1または2であり、qは1、2または3であり、R18~R31はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、またq=1のときR28とR29、R29とR30、R30とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR28とR28、R28とR29、R29とR30、R30とR31、R31とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、前記単環または前記多環が二重結合を有していてもよく、また前記単環または前記多環が芳香族環であってもよい。)
Figure 2022054983000003
(上記式(C-3)中、qは1、2または3であり、R32~R39はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、またq=1のときR36とR37、R37とR38、R38とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR36とR36、R36とR37、R37とR38、R38とR39、R39とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、前記単環または前記多環が二重結合を有していてもよく、また前記単環または前記多環が芳香族環であってもよい。)
[4] 前記エチレンまたはα-オレフィンと芳香環を有する環状オレフィンとの共重合体(A1)が、
さらに、芳香環を有さない環状オレフィン由来の構成単位(B)を含む、[3]に記載の環状オレフィン樹脂組成物。
[5] 前記芳香環を有さない環状オレフィンから導かれる構成単位(B)が、
下記式(B-1)で示される化合物を含む、[4]に記載の環状オレフィン樹脂組成物。
Figure 2022054983000004
(前記式(B-1)中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、qは0または1であり、R~R18ならびにRおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基であり、R15~R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ、該単環または多環は二重結合を有していてもよく、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。ただし、芳香環を含まない。)
[6] 前記芳香環を有する環状オレフィンの開環重合体(A2)が、下記式(Ia)で表される構成単位(Ia)、下記式(II)で表される構成単位(II)、および下記式(III)で表される構成単位(III)から選択される少なくとも1種の構成単位を含む、[2]に記載の環状オレフィン樹脂組成物。
Figure 2022054983000005
(上記式(Ia)中、nは0、1または2であり、R~R14はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R11~R14の少なくとも一つは結合手であり、1つ又は複数の結合種のそれぞれに独立に(Ib)又は(Ic)のいずれが結合する。)
Figure 2022054983000006
(上記式(Ib)中、nは0~20であり、qは0、1または2であり、R15~R24はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R17~R24のうち一つは結合手であり、またq=0のときR17とR18、R18とR19、R19とR20、R20とR21、R21とR22、R22とR17は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=1または2のときR17とR18、R18とR24、R24とR24、R24とR19、R19とR20、R20とR21、R21とR22、R22とR23、R23とR23、R23とR17は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、また上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。)
Figure 2022054983000007
(上記式(Ic)中、nは0~20であり、mおよびgはそれぞれ独立に0~10であり、rは1、2または3であり、R25~R35はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、r=1のときR32とR33、R33とR34、R34とR35は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またr=2または3のときR32とR32、R32とR33、R33とR34、R34とR35、R35とR35は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、また上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。)
Figure 2022054983000008
(上記式(II)中、n、mおよびgはそれぞれ独立に0、1または2であり、rは1、2または3であり、R36~R55はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、またr=1のときR52とR53、R53とR54、R54とR55は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またr=2または3のときR52とR52、R52とR53、R53とR54、R54とR55、R55とR55は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、上記単」環または上記多環が二重結合を有していてもよく、また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよく、また、R48とR50は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。)
Figure 2022054983000009
(上記式(III)中、nは0、1または2であり、mは1、2または3であり、R55~R68はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、またm=1のときR65とR67、R67とR68、R68とR66は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またm=2または3のときR65とR65、R65とR67、R67とR68、R68とR66、R66とR66は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。)
[7] 前記芳香環を有する環状オレフィンの開環重合体(A2)が、
さらに、芳香環を有さない環状オレフィン由来の構成単位(B)を含む、[6]に記載の環状オレフィン樹脂組成物。
[8] 前記芳香環を有さない環状オレフィンから導かれる構成単位(B)が、
下記式(B-1)で示される化合物を含む、[7]に記載の環状オレフィン樹脂組成物。
Figure 2022054983000010
(一般式(B-1)中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、qは0または1であり、R~R18ならびにRおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基であり、R15~R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ、該単環または多環は二重結合を有していてもよく、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。ただし、芳香環を含まない。)
[9] 前記ヒドロキシルアミン系化合物(S)が、下記一般式:
-N(OH)-R
(式中、R,Rは各々独立して 炭素数5以上100以下のアルキルを示す。)
で表わされる、[1]~[8]のいずれか1項に記載の環状オレフィン樹脂組成物。
[10] 前記ヒドロキシルアミン系化合物(S)の含有量が、0.02質量%以上2質量%以下である、[1]~[9]のいずれか1項に記載の環状オレフィン樹脂組成物。
[11] [1]~[10]のいずれか1項に記載の環状オレフィン樹脂組成物からなる成形体。
[12] 医療用器具である、[11]に記載の成形体。
[13] 化粧品用容器である、[11]に記載の成形体。
本発明によれば、電子線あるいはガンマ線等の照射によるラジカルの発生量が少なく、さらに変色が抑制された成形体が得られる環状オレフィン樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。なお、本実施形態では、数値範囲を示す「A~B」は特に断りがなければ、A以上B以下を表す。
<環状オレフィン樹脂組成物>
本実施形態の環状オレフィン樹脂組成物は、芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)と、ヒドロキシルアミン系化合物(S)と、を含む。
本実施形態の環状オレフィン樹脂組成物によれば、電子線あるいはガンマ線等の照射によるラジカルの発生量が少なく、さらに変色が抑制された成形体を得ることができる。
[芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)]
本実施形態の芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)は、本発明の効果を発揮し得れば特に限定されず公知の環状オレフィン重合体を用いることができるが、例えば、エチレンまたはα-オレフィンと芳香環を有する環状オレフィンとの共重合体(A1)および芳香環を有する環状オレフィンの開環重合体(A2)から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
(共重合体(A1))
共重合体(A1)は、本発明の効果の観点から、炭素原子数が2~20のα-オレフィンから導かれる構成単位(A)と、芳香環を有する環状オレフィンから導かれる構成単位(C)と、を有する。
(炭素原子数が2~20のα-オレフィンから導かれる構成単位(A))
本実施形態の構成単位(A)は炭素原子数が2~20のα-オレフィン由来の構成単位である。
ここで、炭素原子数が2~20のα-オレフィンとしては、直鎖状でも分岐状でもよく、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等の炭素原子数が2~20の直鎖状α-オレフィン;3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン等の炭素原子数が4~20の分岐状α-オレフィン等が挙げられる。これらの中では、炭素原子数が2~4の直鎖状α-オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。このような直鎖状または分岐状のα-オレフィンは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の環状オレフィン系共重合体(A1)中の上記構成単位(A)および上記構成単位(C)の合計含有量を100モル%としたとき、本実施形態の環状オレフィン系共重合体(A1)中の上記構成単位(A)の含有量は好ましくは5モル%以上95モル%以下、より好ましくは20モル%以上90モル%以下である。
上記構成単位(A)の含有量が上記下限値以上であることにより、得られる成形体の耐熱性や寸法安定性を向上させることができる。また、上記構成単位(A)の含有量が上記上限値以下であることにより、得られる成形体の透明性等を向上させることができる。
本実施形態において、構成単位(A)および構成単位(C)の含有量は、例えば、H-NMRまたは13C-NMRによって測定することができる。
(芳香環を有する環状オレフィンから導かれる構成単位(C))
本実施形態の構成単位(C)は芳香環を有する環状オレフィン由来の構成単位である。
本実施形態の芳香環を有する環状オレフィンとしては、例えば、下記式(C-1)で示される化合物、下記式(C-2)で示される化合物、下記式(C-3)で示される化合物等が挙げられる。これらの芳香環を有する環状オレフィンは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2022054983000011
上記式(C-1)中、nおよびqはそれぞれ独立に0、1または2である。nは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。qは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
~R17はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R10~R17のうち一つは結合手であり、R15が結合手であることが好ましい。
~R17はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~20の炭化水素基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
またq=0のときR10とR11、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR10は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=1または2のときR10とR11、R11とR17、R17とR17、R17とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R16とR16、R16とR10は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、また上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
上記式(C-1)の中でも、下記式(C-1A)で示される化合物が好ましい。
Figure 2022054983000012
Figure 2022054983000013
上記式(C-2)中、nおよびmはそれぞれ独立に0、1または2であり、qは1、2または3である。mは0または1であることが好ましく、1であることがより好ましい。nは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。qは1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
18~R31はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基である。
18~R31はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~20の炭化水素基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
またq=1のときR28とR29、R29とR30、R30とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR28とR28、R28とR29、R29とR30、R30とR31、R31とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
Figure 2022054983000014
上記式(C-3)中、qは1、2または3であり、1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
32~R39はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基である。
32~R39はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~20の炭化水素基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
またq=1のときR36とR37、R37とR38、R38とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR36とR36、R36とR37、R37とR38、R38とR39、R39とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
また、炭素原子数1~20の炭化水素基としては、それぞれ独立に、例えば炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基、および芳香族炭化水素基等が挙げられる。より具体的には、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基等が挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基およびフェニルエチル基等のアリール基またはアラルキル基等が挙げられる。これらの炭化水素基はフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい。
これらの中でも、本実施形態の芳香環を有する環状オレフィンとしては、芳香環を1つ有しているものが好ましく、例えば、ベンゾノルボルナジエン、インデンノルボルネンおよびメチルフェニルノルボルネンから選択される少なくとも一種が好ましい。
また、本実施形態の芳香環を有する環状オレフィンとしては、例えば、下記式(C-1')で示される化合物、下記式(C-2')で示される化合物、下記式(C-3')で示される化合物等も挙げられる。これらの芳香環を有する環状オレフィンは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2022054983000015
Figure 2022054983000016
Figure 2022054983000017
上記式(C-1')、式(C-2')および式(C-3')において、mおよびnは0、1または2であり、R~R36はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R10とR11、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R25とR26、R26とR27、R27とR28、R33とR34、R34とR35、R35とR36は互いに結合して単環を形成していてもよく、該単環が二重結合を有していてもよい。
また、上記式(C-1')、式(C-2')および式(C-3')において、mは0または1であることが好ましく、1であることがより好ましい。nは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。R~R36は水素原子または炭素原子数1~20の炭化水素基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
また、炭素原子数1~20の炭化水素基としては、それぞれ独立に、例えば炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基、および芳香族炭化水素基等が挙げられる。より具体的には、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基等が挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基およびフェニルエチル基等のアリール基またはアラルキル基等が挙げられる。これらの炭化水素基はフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい。
これらの中でも、本実施形態の芳香環を有する環状オレフィンとしては、芳香環を1つ有しているものが好ましく、例えば、ベンゾノルボルナジエン、インデンノルボルネンおよびメチルフェニルノルボルネンから選択される少なくとも一種が好ましい。
本実施形態の環状オレフィン系共重合体(A1)中の上記構成単位(A)および上記構成単位(C)の合計含有量を100モル%としたとき、本実施形態の環状オレフィン系共重合体(A1)中の上記構成単位(C)の含有量は好ましくは5モル%以上95モル%以下、より好ましくは10モル%以上80モル%以下である。
本実施形態において、構成単位(A)および構成単位(C)の含有量は、例えば、H-NMRまたは13C-NMRによって測定することができる。
後述するヒドロキシルアミン系化合物(S)を含み、芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)に含まれる各構成単位の含有量を上記数値範囲内とすることによって、容器等の形状に成形可能なガラス転移温度を有し、ガンマ線照射時のラジカルの発生量が少ない成形体を得ることができる。
(芳香環を有さない環状オレフィン由来の構成単位(B))
共重合体(A1)は、さらに芳香環を有さない環状オレフィン由来の構成単位(B)を有していてもよい。
構成単位(B)を含むことにより、得られる環状オレフィン樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)の調整が容易となり、さらに物性を維持しながらコストを低減することができる。
本実施形態の構成単位(B)としては、本発明の効果の観点から、下記式(B-1)で示される化合物由来の構成単位を含むことが好ましい。
Figure 2022054983000018
上記式(B-1)中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、qは0または1であり、R~R18ならびにRおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基であり、R15~R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ、該単環または多環は二重結合を有していてもよく、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。ただし、芳香環を含まない。
これらの中でも、本実施形態の構成単位(B)としては、ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン(CAS番号 498-66-8)由来の構成単位、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(CAS番号 21635-90-5)由来の構成単位およびヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプタデセン-4(CAS番号 4453-90-1)由来の構成単位、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプタデセン-4由来の構成単位等から選択される少なくとも一種の構成単位を含むことが好ましく、ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン由来の構成単位およびテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン由来の構成単位から選択される少なくとも一種の構成単位を含むことがより好ましく、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン由来の構成単位を含むことが特に好ましい。
本実施形態の環状オレフィン系共重合体(A1)中の上記構成単位(A)、上記構成単位(B)および上記構成単位(C)の合計含有量を100モル%としたとき、環状オレフィン系共重合体(A1)中の上記構成単位(A)の含有量は、好ましくは10モル%以上80モル%以下、より好ましくは30モル%以上75モル%以下、さらに好ましくは40モル%以上70モル%以下である。
上記構成単位(A)の含有量が上記下限値以上であることにより、得られる成形体の耐熱性や寸法安定性を向上させることができる。また、上記構成単位(A)の含有量が上記上限値以下であることにより、得られる成形体の透明性等を向上させることができる。
本実施形態の環状オレフィン系共重合体(A1)中の上記構成単位(B)および上記構成単位(C)の合計含有量を100モル%としたとき、環状オレフィン系共重合体(A1)中の上記構成単位(C)の含有量は好ましくは5モル%以上95モル%以下、より好ましくは10モル%以上90モル%以下、さらに好ましくは20モル%以上80モル%以下、さらにより好ましくは30モル%以上80モル%以下、さらにより好ましくは40モル%以上78モル%以下である。
上記構成単位(C)の含有量が上記下限値以上であることにより、得られる成形体において、高い屈折率としつつ、アッベ数をさらに低くすることができる。また、上記構成単位(C)の含有量が上記上限値以下であることにより、得られる成形体の屈折率およびアッベ数のバランスをより良好にすることができる。
本実施形態において、構成単位(A)、構成単位(B)および構成単位(C)の含有量は、例えば、H-NMRまたは13C-NMRによって測定することができる。
後述するヒドロキシルアミン系化合物(S)を含み、芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)に含まれる各構成単位の含有量を上記数値範囲内とすることによって、容器等の形状に成形可能なガラス転移温度を有し、ガンマ線照射時のラジカルの発生量が少ない成形体を得ることができる。
本実施形態の環状オレフィン系共重合体(A1)の共重合タイプは特に限定されないが、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体等を挙げることができる。本実施形態においては、透明性、アッベ数、屈折率および複屈折率等の光学物性に優れる成形体を得ることができる観点から、本実施形態の環状オレフィン系共重合体(A1)としてはランダム共重合体であることが好ましい。
本実施形態の環状オレフィン系共重合体(A1)は、例えば、特開昭60-168708号公報、特開昭61-120816号公報、特開昭61-115912号公報、特開昭61-115916号公報、特開昭61-271308号公報、特開昭61-272216号公報、特開昭62-252406号公報、特開昭62-252407号公報、特開2007-314806号公報、特開2010-241932号公報等の方法に従い適宜条件を選択することにより製造することができる。
(芳香環を有する環状オレフィンの開環重合体(A2))
本実施形態の芳香環を有する環状オレフィンの開環重合体(A2)は下記式(Ia)で表される構成単位(Ia)、下記式(II)で表される構成単位(II)、および下記式(III)で表される構成単位(III)から選択される少なくとも1種の構成単位(D)を含む。
Figure 2022054983000019
上記式(Ia)中、nは0、1または2である。R~R14はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基である。R11~R14の少なくとも一つは結合手であり、1つ又は複数の結合種のそれぞれに独立に(Ib)又は(Ic)のいずれが結合する。
Figure 2022054983000020
上記式(Ib)中、nは0~20であり、qは0、1または2である。R15~R24はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基である。R17~R24のうち一つは結合手であり、またq=0のときR17とR18、R18とR19、R19とR20、R20とR21、R21とR22、R22とR17は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=1または2のときR17とR18、R18とR24、R24とR24、R24とR19、R19とR20、R20とR21、R21とR22、R22とR23、R23とR23、R23とR17は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、また上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
上記式(Ia)において、R11~R14の少なくとも一つに、上記式(Ib)が結合する場合、上記式(Ia)中、R11~R14の少なくとも一つはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基とすることができる。特に、上記式(Ia)において、R11~R14の少なくとも一つに上記式(Ib)が結合する場合であって、上記式(Ib)において、nが0~2の場合において、R11~R14の少なくとも一つはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であることが好ましい。
また、本実施形態の構成単位(D)は、以下の式(A'-1)、式(A'-2)、式(A'-3)で表される構成単位を含まない態様とすることもできる。
Figure 2022054983000021
Figure 2022054983000022
上記式(Ic)中、nは0~20であり、mおよびgはそれぞれ独立に0~10であり、rは1、2または3である。R25~R35はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基である。r=1のときR32とR33、R33とR34、R34とR35は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またr=2または3のときR32とR32、R32とR33、R33とR34、R34とR35、R35とR35は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、また上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
Figure 2022054983000023
上記式(II)中、n、mおよびgはそれぞれ独立に0、1または2であり、rは1、2または3である。R36~R55はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基である。またr=1のときR52とR53、R53とR54、R54とR55は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またr=2または3のときR52とR52、R52とR53、R53とR54、R54とR55、R55とR55は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよく、また、R48とR50は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
Figure 2022054983000024
上記式(III)中、nは0、1または2であり、mは1、2または3である。R55~R68はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基である。またm=1のときR65とR67、R67とR68、R68とR66は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またm=2または3のときR65とR65、R65とR67、R67とR68、R68とR66、R66とR66は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
また、炭素原子数1~20の炭化水素基としては、それぞれ独立に、例えば炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基、および芳香族炭化水素基等が挙げられる。より具体的には、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基等が挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基およびフェニルエチル基等のアリール基またはアラルキル基等が挙げられる。これらの炭化水素基はフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい。
なお、上記一般式(Ia)、(II)、(III)は、それぞれの共鳴構造も含む。
これらの中でも、本実施形態の開環重合体(A2)は、例えば、ベンゾノルボルナジエン、インデンノルボルネン、フェニルノルボルネン、メチルフェニルノルボルネンおよび下記一般式(A-5)から選択される少なくとも一つを由来とする構成単位を含むことが好ましく、ベンゾノルボルナジエン、インデンノルボルネンを由来とする構成単位を含むことが特に好ましい。
Figure 2022054983000025
なお、インデンノルボルネンを由来とする構成単位、ベンゾノルボルナジエンを由来とする構成単位、メチルフェニルノルボルネンを由来とする構成単位、は、具体的にはそれぞれ以下の式(A-2)、式(A-3)、式(A-4)で表される構成単位を意味する。
すなわち、本実施形態の開環重合体(A2)は、下記式(A-2)、式(A-3)、および、式(A-4)で表される構成単位のいずれかを含むことが好ましい。
Figure 2022054983000026
Figure 2022054983000027
Figure 2022054983000028
本実施形態の開環重合体(A2)は、構成単位(D)とともに、上述の芳香環を有さない環状オレフィン由来の構成単位(B)を含むこともできる。
構成単位(B)を含むことにより、得られる環状オレフィン樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)の調整が容易となり、さらに物性を維持しながらコストを低減することができる。
本実施形態の構成単位(B)としては、本発明の効果の観点から、上述の(B-1)で示される化合物由来の構成単位を含むことが好ましい。
本実施形態の開環重合体(A2)において、上記の構成単位(D)の含有量は0.2モル%以上100モル%以下であることが好ましく、1モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、4モル%以上80モル%以下であることがさらに好ましい。
また、開環重合体(A2)において、上記構成単位(D)と上記構成単位(B)の合計含有量を100モル%としたとき、上記環状オレフィン共重合体中の上記構成単位(D)の含有量が0.5モル%以上100モル%以下であることが好ましく、1モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、4モル%以上80モル%以下であることがさらに好ましい。
なお、本実施形態において、構成単位(D)及び構成単位(B)の含有量は、例えば、H-NMRまたは13C-NMRによって測定することができる。
後述するヒドロキシルアミン系化合物(S)を含み、芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)に含まれる各構成単位の含有量を上記数値範囲内とすることによって、容器等の形状に成形可能なガラス転移温度を有し、ガンマ線照射時のラジカルの発生量が少ない成形体を得ることができる。
本実施形態の開環重合体(A2)において、芳香環の含有量は0.01モル%以上71モル%以下であることが好ましく、0.1モル%以上65モル%以下であることがより好ましく、0.2モル%以上60モル%以下であることがさらに好ましい。芳香環の含有量は、H-NMRで検出された全ての水素由来のピークの合計面積に対する、芳香環由来の水素のピーク(6.7~7.3ppm)のピーク面積を計算することで求められる。
開環重合体(A2)に含まれる芳香環の含有量を上記数値範囲内とすることによって、容器等の形状に成形可能なガラス転移温度を有し、ガンマ線照射時のラジカルの発生量が少ない成形体を得ることが可能な医療用器具用環状オレフィン共重合体とすることができる。
構成単位(D)と構成単位(B)とからなる開環重合体(A2)の共重合タイプは特に限定されないが、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体等を挙げることができる。本実施形態においては、容器等の形状に成形可能なガラス転移温度を有し、ガンマ線照射時のラジカルの発生量が少ない成形体を得ることが可能な医療用器具用環状オレフィン共重合体とする観点から、はランダム共重合体であることが好ましい。
[開環重合体(A2)の製造方法]
本実施形態の開環重合体(A2)の製造方法は、上記(Ia)、(II)、(III)の少なくともいずれかの構成単位(D)を含む環状オレフィン共重合体を得ることができれば特に制限されないが、例えば、まず、前駆体ポリマーを得る工程(前駆体ポリマー重合工程)、得られた前駆体ポリマーに部分水添する工程(部分水添工程)を実施することによって得ることができる。
すなわち、環状オレフィン開環重合体の製造においては水添工程を行うことが一般的である。また、水添工程を経る場合、原料モノマーや中間体となる前駆体ポリマーが芳香環(例えばベンジル基)を有していたとしても、該水添工程において、ベンジル基がシクロヘキサン基に還元してしまうため、得られる環状オレフィン共重合体には芳香環が残らなかった。本発明に係る開環重合体(A2)は、例えば、原料としてベンジル官能基を有するモノマーを使用し、かつ、部分水添を実施し、主鎖に環状オレフィン共重合体、側鎖にベンジル基を有する特定の構成単位を含む環状オレフィン共重合体を得ることによって、容器等の形状に成形可能なガラス転移温度を有し、ガンマ線照射時のラジカルの発生量が少ない成形体を得ることが可能な医療用器具用環状オレフィン共重合体を実現することができるものと考えられる。
[前駆体ポリマー重合工程]
本実施形態の前駆体ポリマーは、例えば、特開昭60-168708号公報、特開昭61-120816号公報、特開昭61-115912号公報、特開昭61-115916号公報、特開昭61-271308号公報、特開昭61-272216号公報、特開昭62-252406号公報、特開昭62-252407号公報、特開2007-314806号公報、特開2010-241932号公報等の方法に従い適宜条件を選択することにより製造することができる。
[部分水添工程]
得られた前駆体ポリマーに部分水添する方法は、例えば、StephenF.Hahn,An Improvemnet Method for the Diimide Hydrogenation of Butadiene and Isoprene Containing Polymers,Journal of Polymer Science PartA:polymerChemistry,30(3)1992に記載の方法や、パラジウムカーボン触媒を用いた高圧水添を挙げることができる。
示差走査熱量計(DSC)で測定される、本実施形態の芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)のガラス転移温度(Tg)は、得られる医療用器具の透明性を良好に保ちつつ、耐熱性をより向上させる観点から、好ましくは80℃以上200℃以下であり、より好ましくは100℃以上190℃以下、さらに好ましくは110℃以上180℃以下である。
本実施形態の開環重合体(A2)の極限粘度[η](135℃デカリン中)は、例えば0.05~5.0dl/gであり、好ましくは0.1~4.0dl/gであり、さらに好ましくは0.2~2.0dl/g、特に好ましくは0.3~1.0dl/gである。
極限粘度[η]が上記下限値以上であると、医療用器具の機械的強度を向上させることができる。また、極限粘度[η]が上記上限値以下であると、成形性を向上させることができる。
[ヒドロキシルアミン系化合物(S)]
本実施形態の環状オレフィン樹脂組成物に含まれるヒドロキシルアミン系化合物(S)としては、本発明の効果を発揮する範囲で公知のヒドロキシルアミノ基を有する化合物を用いることができる。
上述の芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)とともにヒドロキシルアミン系化合物(S)を用いることにより、ガンマ線等の照射による時のラジカルの発生量が少なく、さらに変色が抑制された成形体を得ることができる。
本実施形態のヒドロキシルアミン系化合物(S)は、下記一般式で表すことができる。
-N(OH)-R
式中、R,Rは各々独立して炭素数5以上100以下のアルキル基、好ましくは炭素数5以上50以下のアルキル基、より好ましくは炭素数5以上30以下のアルキル基を示す。炭素数5以上100以下のアルキル基としては、例えば、ヘキシル基、デシル基、イコサ基等が挙げられる。
ヒドロキシルアミン系化合物(S)としては、Irgastab FS210FF、Irgastab FS042、Irgastab FS301FF(以上、BASF社製)、ジヘキシルヒドロキシルアミン、ジデシルヒドロキシルアミン等を挙げることができる。
ヒドロキシルアミン系化合物(S)は、そのガラス転移温度が50℃以上300℃以下、好ましくは80℃以上270℃以下のものを用いることができる。これにより、電子線あるいはガンマ線照射による変色に対して、変色抑制効果を安定して発揮することができる。
ヒドロキシルアミン系化合物(S)は、本発明の効果の観点から、その分子量が300以上50,000以下、好ましくは500以上40000以下のものを用いることができる。
(その他の成分)
本実施形態の環状オレフィン樹脂組成物には、必要に応じて、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、塩酸吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、天然油、合成油、ワックス、有機または無機の充填剤等を本発明の目的を損なわない程度に配合することができ、その配合割合は適宜量である。
本実施形態の環状オレフィン樹脂組成物は、必要に応じて、ヒンダードアミン系化合物[C]を含んでもよい。ヒンダードアミン系化合物[C]は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
組成物中のヒンダードアミン系化合物[C]の含有量は、芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)の含有量を100質量部としたとき、例えば0.01~2.0質量部、好ましくは0.05~1.5質量部、より好ましくは0.10~1.0質量部である。この範囲とすることで、他の性能(例えば成形性や機械強度など)を維持しつつ、電子線あるいはガンマ線照射による変色、ラジカルの発生などを効果的に低減することができる。
本実施形態の環状オレフィン樹脂組成物は、必要に応じて、リン系化合物[D]を含んでもよい。リン系化合物[D]は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)の量を100質量部としたとき、リン系化合物[D]の含有量は、好ましくは0.05質量部未満、より好ましくは0.03質量部以下、さらに好ましくは0.02質量部以下である。
上記範囲とすることで、他の性能(例えば成形性や機械強度など)を維持しつつ、電子線あるいはガンマ線照射による変色、ラジカルの発生などを効果的に低減することができる。
本実施形態の環状オレフィン樹脂組成物は、必要に応じて、耐候安定剤として、フェノール系安定剤を含んでもよい。
フェノール系安定剤としては、例えば、3,3',3",5,5',5"-ヘキサ-tert-ブチル-a,a',a"-(メチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジルベンゼン、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のヒンダードフェノール系安定剤;2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,4-ジ-t-アミル-6-(1-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート等の特開昭63-179953号公報や特開平1-168643号公報に記載されるアクリレート系フェノール化合物;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデン-ビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メタン、3,9-ビス(2-(3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン-3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル-テトラキス(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオネート)]、トリエチレングリコールビス(3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート)、トコフェノール等のアルキル置換フェノール系化合物;6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-2,4-ビスオクチルチオ-1,3,5-トリアジン、6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルアニリノ)-2,4-ビスオクチルチオ-1,3,5-トリアジン、6-(4-ヒドロキシ-3-メチル-5-t-ブチルアニリノ)-2,4-ビスオクチルチオ-1,3,5-トリアジン、2-オクチルチオ-4,6-ビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-オキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン基含有フェノール系化合物;等が挙げられる。
フェノール系安定剤の含有量は、好ましくは0.05質量部未満、より好ましくは0.03質量部以下、さらに好ましくは0.02質量部以下である。
本実施形態の環状オレフィン樹脂組成物は、芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)、ヒドロキシルアミン系化合物(S)およびその他の成分を、押出機およびバンバリーミキサー等の公知の混練装置を用いて溶融混練する方法;芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)、ヒドロキシルアミン系化合物(S)およびその他の成分を共通の溶媒に溶解した後、溶媒を蒸発させる方法;貧溶媒中に芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)、ヒドロキシルアミン系化合物(S)およびその他の成分の溶液を加えて析出させる方法;等の方法により得ることができる。
また、本実施形態の環状オレフィン樹脂組成物中の芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)の含有量は、得られる成形体の耐熱性、透明性および、耐ガンマ線または耐電子線性能の性能バランスをより向上させる観点から、当該環状オレフィン樹脂組成物の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは70質量%以上100質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以上100質量%以下であり、特に好ましくは90質量%以上100質量%以下である。
本実施形態の環状オレフィン樹脂組成物は、芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)を上記の比率で含むことにより、得られる成形体について、医療用容器に求められる良好な透明性を満足しながら、耐ガンマ線または耐電子線性能をより一層向上させることができる。
本実施形態の環状オレフィン樹脂組成物中のヒドロキシルアミン系化合物(S)の含有量は、本発明の効果の観点から、当該環状オレフィン樹脂組成物を100質量%としたとき、好ましくは0.02質量%以上2質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上1質量%以下である。
ヒドロキシアミン系化合物の添加量が上限値を超えると、成形体の変色抑制の観点からは好ましいが、γ線照射によって発生したラジカルを吸着しやすくなり、残ラジカル量が多くなるとともに、耐熱性が低下する。一方、ヒドロキシアミン系化合物の添加量が下限値未満であると変色抑制効果が低下する。本実施形態においては、上記数値範囲内であることにより、成形体の変色抑制効果、残ラジカル量の低減、および耐熱性の何れにもバランス良く優れる。
[成形体]
本実施形態の成形体は、本実施形態の環状オレフィン樹脂組成物からなり、芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)と、ヒドロキシルアミン系化合物(S)とを含む成形体である。
また、本実施形態の成形体中の芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)の含有量は、上記の成形体の耐放射線性および透明性の性能バランスをより向上させる観点から、当該成形体の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは70質量%以上100質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以上100質量%以下であり、特に好ましくは90質量%以上100質量%以下である。
本実施形態の成形体中のヒドロキシルアミン系化合物(S)の含有量は、本発明の効果の観点から、当該成形体の全体を100質量%としたとき、好ましくは0.02質量%以上2質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上1質量%以下である。
ヒドロキシアミン系化合物の添加量が上限値以下であると、成形体の変色抑制の観点から好ましく、γ線照射によって発生したラジカルを吸着し過ぎず、残ラジカル量を低減できるとともに、ヒドロキシアミン系化合物が芳香環を有する環状オレフィン重合体中の欠陥(マトリクスの欠陥)が抑制され、耐熱性が低下することを抑制できる。一方、ヒドロキシアミン系化合物の添加量が下限値以上であると十分な変色抑制効果が得られる。本実施形態においては、上記数値範囲内であることにより、成形体の変色抑制効果、残ラジカル量の低減、および耐熱性の何れにもバランス良く優れる。
本実施形態の成形体は、環状オレフィン樹脂組成物を所定の形状に成形することにより得ることができる。環状オレフィン樹脂組成物を成形して成形体を得る方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。その用途および形状にもよるが、例えば、押出成形、射出成形、圧縮成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、パウダースラッシュ成形、カレンダー成形、発泡成形等が適用可能である。これらの中でも、成形性、生産性の観点から射出成形法が好ましい。また、成形条件は使用目的、または成形方法により適宜選択されるが、例えば射出成形における樹脂温度は、通常150℃~400℃、好ましくは200℃~350℃、より好ましくは230℃~330℃の範囲で適宜選択される。
本実施形態に係る成形体は透明性が良好である。透明性は、内部ヘイズで評価される。
また、さらに光線透過率が良好であることが好ましい。光線透過率は用途に応じて分光光線透過率または全光線透過率により規定される。
また、例えば上記で製造された成形体に、ガンマ線または電子線を照射することで、成形体のガンマ線または電子線照射物(ガンマ線または電子線が照射された成形体)を得ることができる。この成形体は、照射により、殺菌または滅菌がなされているため清潔であり、かつ、変色やラジカルの発生が抑えられている。照射線量は特に限定されないが、通常は5~100キログレイ(kGy)、好ましくは10~80キログレイである。
全光線、あるいは複数波長域での使用が想定される場合、全光線透過率が良いことが必要であり、反射防止膜を表面に設けていない状態での全光線透過率は85%以上、好ましくは88~93%である。全光線透過率が85%以上であれば必要な光量を確保することができる。全光線透過率の測定方法は公知の方法が適用でき、測定装置等も限定されないが、例えば、ASTM D1003に準拠して、本実施形態に係る環状オレフィン樹脂組成物を厚み3mmのシートに成形し、ヘイズメーターを用いて、本実施形態に係る環状オレフィン樹脂組成物を成形して得られるシートの全光線透過率を測定する方法等が挙げられる。
また、本実施形態に係る成形体は、450nm~800nmの波長の光の光線透過率に優れる。
なお、公知の反射防止膜を表面に設けることにより、光線透過率をさらに向上させることができる。
本実施形態の成形体は、本実施形態の医療用器具用芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)およびヒドロキシルアミン系化合物(S)を含むため、成形時の成形性の良さ、高い透明性を有することに加え、容器等の形状に成形可能なガラス転移温度を有し、ガンマ線照射時のラジカルの発生量が少なく、さらに変色が抑制された成形体となる。そのため、医療用器具用または化粧品容器用に好適である。本実施形態の成形体は、例えばシリンジ、薬液保存容器、バイオチップ、化粧品容器とすることができる。
[医療用器具]
次に、本発明に係る実施形態の医療用器具について説明する。
本実施形態の医療用器具は芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)または本実施形態の環状オレフィン樹脂組成物を含んでいる。
本実施形態の医療用器具は芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)を含むため、透明性および、耐ガンマ線または耐電子線性能の性能バランスに優れている。この医療用器具は、電子線あるいはガンマ線照射による変色が少ない。
ここで、本発明者らの別の検討によれば、従来の医療用器具は、電子線あるいはガンマ線照射によってラジカルが発生する場合があることが明らかになった。これにより、例えば薬液保存容器などの医療用容器に内容物を充填後に内容物が変質するリスクがあることが懸念される。
これに対して、本実施形態の医療用器具は、電子線あるいはガンマ線照射によるラジカルの発生量を少なくすることができる。そのため、本実施形態の医療用器具によれば、内容物が変質するリスクを低減することが可能である。
医療用器具としては、カテーテル部材、滅菌シート、医療用容器、バイオチップ等が挙げられる。
医療用容器としては、例えば、注射器の注射筒外筒(以下、シリンジ)および薬液や薬剤を充填してなる注射筒(以下、プレフィルドシリンジとも呼ぶ。)に使用されるシリンジ、薬液や薬剤を充填してなる保存容器に使用される保存容器(以下、薬液保存容器とも呼ぶ。)等が挙げられる。
ここで、プレフィルドシリンジとは、薬液や薬剤があらかじめ充填されているシリンジ形状の製剤であり、1種類の液が充填されたシングルチャンバータイプのものと、2種の薬剤が充填されたダブルチャンバータイプがある。ほとんどのプレフィルドシリンジはシングルチャンバータイプであるが、ダブルチャンバータイプについては、粉末とその溶解液からなる液・粉タイプの製剤と2種類の液からなる液・液タイプの製剤がある。シングルチャンバータイプの内溶液の例としては、ヘパリン溶液等が挙げられる。シリンジ及びプレフィルドシリンジに使用されるシリンジとして、例えば、プレフィラブル・シリンジ、ワクチン用プレフィルドシリンジ、抗がん剤用プレフィルドシリンジ、ニードルレス・シリンジ等が挙げられる。
薬液保存容器としては、例えば、広口瓶、狭口瓶、薬ビン、バイアルビン、輸液ボトル、バルク容器、シャーレ、試験管、分析セル等を挙げることができる。より具体的には、アンプル、プレス・スルー・パッケージ、輸液用バッグ、点滴薬容器、点眼薬容器などの液体、粉体または固体の薬品容器;血液検査用のサンプリング用試験管、採血管、検体容器などのサンプル容器;紫外線検査セルなどの分析容器;メス、鉗子、ガーゼ、コンタクトレンズなどの医療器具の滅菌容器;ディスポーザブルシリンジ、プレフィルドシリンジなどの医療用具;ビーカー、バイアル、アンプル、試験管フラスコなどの実験器具;人工臓器のハウジング等が挙げられる。
バイオチップとは、DNA、タンパク質または糖鎖等のバイオ分子を固定したものであり、DNA解析チップやたんぱく質解析チップ等、それらを応用した検査、診断ツール等があげられる。また、広義にはバイオセンサーも含むものも挙げられる。
化粧品容器としては、スキンケア化粧品容器、メイクアップ化粧品容器、UVケア化粧品容器、ボディ化粧品容器、ヘアケア化粧品容器、ネイル化粧品容器等が挙げられる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<環状オレフィン系共重合体の製造>
[製造例1]
攪拌装置を備えた容積500mlのガラス製反応容器に不活性ガスとして窒素を100Nl/hrの流量で30分間流通させた後、シクロヘキサン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ-4-エン(40mmol、以下、テトラシクロドデセン(TD)とも呼ぶ。)、およびベンゾノルボルナジエン(CAS4453-90-1)(88mmol、以下、BNBDとも呼ぶ。)を加えた。次いで回転数600rpmで重合溶媒を攪拌しながら溶媒温度を50℃に昇温した。溶媒温度が所定の温度に達した後、流通ガスを窒素からエチレンに切り替え、エチレンを50Nl/hr、水素を2.0Nl/hrの供給速度で反応容器に流通させ、10分経過した後に、PMAO(1.8mmol)、特開2010-241932号公報の段落0112に記載の方法で調製した触媒(0.0030mmol)をガラス製反応容器に添加し、重合を開始させた。
10分間経過した後、イソブチルアルコールを5ml添加して重合を停止させ、エチレン、テトラシクロドデセンおよびBNBDの共重合体を含む重合溶液を得た。その後、重合溶液を別に用意した容積2Lのビーカーに移液し、さらに濃塩酸5mlと攪拌子を加え、強攪拌下で2時間接触させ脱灰操作を行った。この重合溶液に対して体積で約3倍のアセトンを入れたビーカーに脱灰後の重合溶液を攪拌下加えて共重合体を析出させ、さらに析出した共重合体を濾過により濾液と分離した。得られた溶媒を含む重合体を130℃で10時間減圧乾燥を行ったところ、白色パウダー状のエチレン・テトラシクロドデセン・BNBD共重合体4.58gが得られた。
以上により、環状オレフィン系共重合体(P-1)を得た。
ここで、ベンゾノルボルナジエンは下記式(1)で示される。
Figure 2022054983000029
[製造例2]
十分に窒素置換された500mlガラス反応器にテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ-4-エン(以下、テトラシクロドデセン(TD)とも呼ぶ。)17.3mlと脱水トルエン140ml、ヘキサジエン0.11mlを入れ、50℃まで昇温して攪拌した。触媒としてGrubbs CatalystTM2nd Generationを5.9mg入れ、攪拌しながら反応させた。10分後、ブチルアルデヒドを1ml滴下して反応を終了させた。
反応後に得られた溶液約150mlをアセトン1400mlに滴下して晶析し、キリヤマ濾紙(5B)で濾過、80℃で減圧乾燥させることでポリマー13gを得た。以下このポリマーのことをRTDと呼称する。
十分に窒素置換した1Lガラス反応器にRTDを13gとo-キシレン600mlを入れて溶解、攪拌しながら140℃まで昇温し、還流させた。次いで、p-トルエンスルホニルヒドラジド30.5gとトリ-n-プロピルアミン23.4gを入れて反応を開始した。反応開始から4時間後、温度を常温まで下げて反応を終了し、反応溶液約600mlを得た。上述の製造例と同様に、本反応溶液をアセトン1800mlに滴下して晶析し、キリヤマ濾紙(5B)で濾過、80℃で減圧乾燥させることで環状オレフィン系共重合体(P-2)13gを得た。
環状オレフィン系共重合体(P-2)をNMRで観測すると芳香環は残っているが、その他の二重結合が殆どなくなっていた。
[製造例3]
十分に窒素置換された500mlガラス反応器にテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ-4-エン(以下、テトラシクロドデセン(TD)とも呼ぶ。)16・8mlおよびベンゾノルボルナジエン(CAS4453-90-1)0.54g(以下、BNBDとも呼ぶ。)と脱水トルエン140ml、ヘキサジエン0.11mlを入れ、50℃まで昇温して攪拌した。触媒としてGrubbs CatalystTM2nd Generationを5.9mg入れ、攪拌しながら反応させた。10分後、ブチルアルデヒドを1ml滴下して反応を終了させた。
反応後に得られた溶液約150mlをアセトン1400mlに滴下して晶析し、キリヤマ濾紙(5B)で濾過、80℃で減圧乾燥させることでポリマー13gを得た。以下このポリマーのことをRTDBNBDと呼称する。
得られたRTDBNBDを製造例2と同様に、部分水添工程を実施し、環状オレフィン共重合体P-3を得た。環状オレフィン共重合体P-3について、環状オレフィン共重合体P-2と同様にNMRで観測すると芳香環は残っているが、その他の二重結合が殆どなくなっていた。
<実施例1~2および比較例1~9>
上記の製造例で得られた環状オレフィン系共重合体P-1~P-3 100質量部に対して、下記安定剤を表1に示す割合でそれぞれ配合した。ここで、各安定剤は、アセトンに溶解して用いた。次いで、真空乾燥機を用いて、混合物を120℃で加熱することによりアセトン成分を除去し、環状オレフィン樹脂組成物をそれぞれ得た。
(安定剤)
フェノール系化合物1:AO20(ADEKA社製)
フェノール系化合物2:AO80(ADEKA社製)
リン系化合物:PEP-36(ADEKA社製)
ヒンダードアミン系化合物:Uvinul4050FF(BASF社製)
ヒドロキシルアミン系化合物:Irgastab FS210FF(BASF社製)
各実施例および比較例において、各種物性は下記の方法によって測定または評価し、得られた結果を表1に示した。
[環状オレフィン系共重合体を構成する各構成単位の含有量の測定方法]
各構成単位の含有量は、日本電子社製「ECA500型」核磁気共鳴装置を用い、下記条件で測定することにより行った。
溶媒:重テトラクロロエタン
サンプル濃度:50~100g/l-solvent
パルス繰り返し時間:5.5秒
積算回数:6000~16000回
測定温度:120℃
上記のような条件で測定した13C-NMRスペクトルにより、各構成単位の組成をそれぞれ定量した。
H-NMR測定]
以下の方法で、環状オレフィンポリマーのH-NMR測定を行い、芳香環の有無、二重結合の有無を確認した。
日本電子株式会社製H-NMRで0.5ppm~8ppmの測定を行い、芳香環由来の水素のピーク(6.7~7.3ppm)の有無、その他の二重結合由来のピークの有無を確認した。
また、以下の方法で、構造単位(A)と構造単位(B)の合計含有量を100モル%としたときの環状オレフィン共重合体中の上記構造単位(A)の含有量、環状オレフィン共重合体中の芳香環含有量を算出した。
日本電子株式会社製H-NMRで0.5ppm~8ppmに検出された全ての水素由来のピークの合計面積に対する、芳香環由来の水素のピーク(6.7~7.3ppm)のピーク面積を計算することで、ポリマー中に含まれる芳香環の水素量を算出した。
(成形体の評価)
[ペレット化]
環状オレフィン樹脂組成物をプラスチック工学研究所製の2軸押出機BT-30(スクリュー径30mmφ、L/D=46)を用い、設定温度270℃、樹脂押出量80g/minおよびスクリュー回転数200rpmの条件で造粒し、各種測定用ペレットを得た。
[射出成型]
上記で得られたペレットを、東芝機械社製の射出成形機IS-55を用いて、シリンダ温度=270~290℃、射出速度=70~90%、スクリュー回転数70~100rpm、金型温度120℃の条件にて射出成形し、厚み2mm射出角板をそれぞれ作製した。
[耐ガンマ線(ガンマ線照射19日後のラジカル発生量)]
得られた各サンプル(厚み2mm角板試験片)にガンマ線20キログレイを照射し、照射から19日後の下記方法でラジカル発生量を測定し、以下の基準で耐ガンマ線を評価した。結果を表1に示す。
(評価基準)
〇:照射から19日後のラジカル発生量が1.0以下
×:照射から19日後のラジカル発生量が1.0を超える
ラジカル量は、電子スピン共鳴法(Electron Spin Rssonance(ESR))により測定した。
具体的には、ガンマ線照射直後の試験片を約6mg切り出し、それを試験管(詳細は以下)に入れて、以下条件でESRスペクトルを測定した。
・装置:日本電子製電子スピン共鳴装置 JES-TE200
・共振周波数:9.2GHz
・マイクロ波入力:1mW
・中心磁場:326.5mT
・掃引幅:±15mT
・変調周波数:100kHz
・掃引時間:8min.
・時定数:0.1sec
・増幅度:25
・試料管:Xバンド対応の先端部石英の試料管
・外部照準:酸化マグネシウムに担持されたMn2+標準サンプル
・外部標準メモリ:0、700
・測定温度:室温
・測定雰囲気:大気
ラジカル発生量の相対比較には、下記式に示される規格化値を用いた。
Figure 2022054983000030
なお、ESRスペクトルのベースラインについては、Mn2+(第2シグナル)を基準とし補正した。
通常、ラジカル量の相対比較において、基準となるMn2+由来シグナルの面積はMn2+(第3シグナル)を用いる。しかし、有機ラジカル由来ラジカルのスペクトルと、Mn2+(第3シグナル)とが重なるため、今回の測定ではすべてMn2+(第2シグナル)を用いた(外部標準メモリ=700)。
また、有機ラジカル由来シグナルがMn2+(第3シグナル)と重なった場合は、外部標準メモリ=0のESRスペクトルを用いて算出した。
[色相変化の評価(ガンマ線照射19日後の色相の変化)]
1.赤色変化の評価/黄色変化の評価
色相変化の評価は約3mm厚み、3cm×3cmの角板を用いた。角板の厚みを測定した後、透過スペクトル測定(波長200~800nm)、いわゆるUV-visを行った。
測定装置はUH-4150(日立サイエンス社製 紫外可視光赤外分光光度計)、測定法は透過法で行い、測定領域は上述の通りである。検出器は積分球/光電子倍増管を用いた。光源切替波長は340nm、サンプリング間隔は1nm、スキャンスピードは300nm/min、スリット幅は6nmで行った。
装置附属のソフトウエアを用いて、L*a*b*からa*を(光源D65,視野10度)、YI((yellowness index)(光源:C、視野2度))として計算した。
各サンプルにガンマ線20キログレイを照射し、照射から19日後に上記の方法で測定された値と、照射前に測定された値とを比較した変化値から、以下の基準で色相変化を評価した。結果を表1に示す。
(赤色変化の評価基準)
〇:下記式で算出されるΔa*が0±0.5
×:下記式で算出されるΔa*が0±0.5の範囲外
式:(照射から19日後のサンプルのa*値)-(照射前のサンプルのa*値)
(黄色変化の評価基準)
〇:下記式で算出されるΔYIが0±3
×:下記式で算出されるΔYIが0±3の範囲外
式:(照射から19日後のサンプルのYI値)-(照射前のサンプルのYI値)
2.褐色変化の評価
色相変化の評価は約3mm厚み、3cm×3cmの角板を用いた。
褐色(くすみ)変化の評価は、高波長側に吸収領域があらわれることで観測できる。波長600nm光の吸収ピークはフェノール系添加剤などの原因に起因し、以下のように評価した。
「1.赤色変化の評価/黄色変化の評価」に記載の測定装置によって、各波長ごとの透過率を得て、それを下記式から1cm当たりの吸収率に変換した。
吸収率[%/cm]=(100-透過率-表面反射率)/厚み
表面反射率は表面が十分になめらかと仮定した場合、屈折率との下記関係式から求められる。
Figure 2022054983000031
(式(1)中、R1は表面反射率、n1は樹脂組成物の成形体の屈折率を示す。)
添加剤を加える前の環状オレフィン共重合体P-1~P-4各々の屈折率を用いて計算し、表面反射率を10%とした。厚み項は各サンプルの測定部の厚みを再測定して代入した。
各サンプルにガンマ線20キログレイを照射し、照射から19日後に上記の方法で測定された吸収率[%/cm]から、以下の基準で色相変化を評価した。結果を表1に示す。
(褐色変化の評価基準)
〇:波長600nm光の吸収率[%/cm]が1未満
△:波長600nm光の吸収率[%/cm]が1以上2未満
×:波長600nm光の吸収率[%/cm]が2以上
Figure 2022054983000032
表1に記載の構成単位は以下のとおり。
E:エチレン
TD:テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン
BNBD:ベンゾノルボルナジエン

Claims (13)

  1. 芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)と、
    ヒドロキシルアミン系化合物(S)と、
    を含む環状オレフィン樹脂組成物。
  2. 前記芳香環を有する環状オレフィン重合体(P)が、エチレンまたはα-オレフィンと芳香環を有する環状オレフィンとの共重合体(A1)および芳香環を有する環状オレフィンの開環重合体(A2)から選択される少なくとも一種を含む、請求項1に記載の環状オレフィン樹脂組成物。
  3. 前記エチレンまたはα-オレフィンと芳香環を有する環状オレフィンとの共重合体(A1)が、
    炭素原子数が2~20のα-オレフィン由来の構成単位(A)と、
    芳香環を有する環状オレフィンから導かれる構成単位(C)と、を有し、
    前記芳香環を有する環状オレフィンが、下記式(C-1)で示される化合物、下記式(C-2)で示される化合物、および下記式(C-3)で示される化合物からなる群から選択される一種または二種以上を含む、請求項2に記載の環状オレフィン樹脂組成物。
    Figure 2022054983000033
    (上記式(C-1)中、nおよびqはそれぞれ独立に0、1または2であり、R~R17はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R10~R17のうち一つは結合手であり、またq=0のときR10とR11、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR10は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=1または2のときR10とR11、R11とR17、R17とR17、R17とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R16とR16、R16とR10は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、また前記単環または前記多環が二重結合を有していてもよく、前記単環または前記多環が芳香族環であってもよい。)
    Figure 2022054983000034
    (上記式(C-2)中、nおよびmはそれぞれ独立に0、1または2であり、qは1、2または3であり、R18~R31はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、またq=1のときR28とR29、R29とR30、R30とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR28とR28、R28とR29、R29とR30、R30とR31、R31とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、前記単環または前記多環が二重結合を有していてもよく、また前記単環または前記多環が芳香族環であってもよい。)
    Figure 2022054983000035
    (上記式(C-3)中、qは1、2または3であり、R32~R39はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、またq=1のときR36とR37、R37とR38、R38とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR36とR36、R36とR37、R37とR38、R38とR39、R39とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、前記単環または前記多環が二重結合を有していてもよく、また前記単環または前記多環が芳香族環であってもよい。)
  4. 前記エチレンまたはα-オレフィンと芳香環を有する環状オレフィンとの共重合体(A1)が、
    さらに、芳香環を有さない環状オレフィン由来の構成単位(B)を含む、請求項3に記載の環状オレフィン樹脂組成物。
  5. 前記芳香環を有さない環状オレフィンから導かれる構成単位(B)が、
    下記式(B-1)で示される化合物を含む、請求項4に記載の環状オレフィン樹脂組成物。
    Figure 2022054983000036
    (前記式(B-1)中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、qは0または1であり、R~R18ならびにRおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基であり、R15~R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ、該単環または多環は二重結合を有していてもよく、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。ただし、芳香環を含まない。)
  6. 前記芳香環を有する環状オレフィンの開環重合体(A2)が、下記式(Ia)で表される構成単位(Ia)、下記式(II)で表される構成単位(II)、および下記式(III)で表される構成単位(III)から選択される少なくとも1種の構成単位を含む、請求項2に記載の環状オレフィン樹脂組成物。
    Figure 2022054983000037
    (上記式(Ia)中、nは0、1または2であり、R~R14はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R11~R14の少なくとも一つは結合手であり、1つ又は複数の結合種のそれぞれに独立に(Ib)又は(Ic)のいずれが結合する。)
    Figure 2022054983000038
    (上記式(Ib)中、nは0~20であり、qは0、1または2であり、R15~R24はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R17~R24のうち一つは結合手であり、またq=0のときR17とR18、R18とR19、R19とR20、R20とR21、R21とR22、R22とR17は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=1または2のときR17とR18、R18とR24、R24とR24、R24とR19、R19とR20、R20とR21、R21とR22、R22とR23、R23とR23、R23とR17は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、また上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。)
    Figure 2022054983000039
    (上記式(Ic)中、nは0~20であり、mおよびgはそれぞれ独立に0~10であり、rは1、2または3であり、R25~R35はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、r=1のときR32とR33、R33とR34、R34とR35は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またr=2または3のときR32とR32、R32とR33、R33とR34、R34とR35、R35とR35は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、また上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。)
    Figure 2022054983000040
    (上記式(II)中、n、mおよびgはそれぞれ独立に0、1または2であり、rは1、2または3であり、R36~R55はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、またr=1のときR52とR53、R53とR54、R54とR55は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またr=2または3のときR52とR52、R52とR53、R53とR54、R54とR55、R55とR55は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよく、また、R48とR50は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。)
    Figure 2022054983000041
    (上記式(III)中、nは0、1または2であり、mは1、2または3であり、R55~R68はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、またm=1のときR65とR67、R67とR68、R68とR66は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またm=2または3のときR65とR65、R65とR67、R67とR68、R68とR66、R66とR66は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。)
  7. 前記芳香環を有する環状オレフィンの開環重合体(A2)が、
    さらに、芳香環を有さない環状オレフィン由来の構成単位(B)を含む、請求項6に記載の環状オレフィン樹脂組成物。
  8. 前記芳香環を有さない環状オレフィンから導かれる構成単位(B)が、
    下記式(B-1)で示される化合物を含む、請求項7に記載の環状オレフィン樹脂組成物。
    Figure 2022054983000042
    (一般式(B-1)中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、qは0または1であり、R~R18ならびにRおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基であり、R15~R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ、該単環または多環は二重結合を有していてもよく、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。ただし、芳香環を含まない。)
  9. 前記ヒドロキシルアミン系化合物(S)が、下記一般式:
    -N(OH)-R
    (式中、R,Rは各々独立して 炭素数5以上100以下のアルキルを示す。)
    で表わされる、請求項1~8のいずれか1項に記載の環状オレフィン樹脂組成物。
  10. 前記ヒドロキシルアミン系化合物(S)の含有量が、0.02質量%以上2質量%以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の環状オレフィン樹脂組成物。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の環状オレフィン樹脂組成物からなる成形体。
  12. 医療用器具である、請求項11に記載の成形体。
  13. 化粧品用容器である、請求項11に記載の成形体。
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