JPH08154613A - 大豆蛋白質ゲル化性向上剤、及び該ゲル化性向上剤を含む豆乳、並びに豆腐の製造方法。 - Google Patents

大豆蛋白質ゲル化性向上剤、及び該ゲル化性向上剤を含む豆乳、並びに豆腐の製造方法。

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JPH08154613A
JPH08154613A JP6332027A JP33202794A JPH08154613A JP H08154613 A JPH08154613 A JP H08154613A JP 6332027 A JP6332027 A JP 6332027A JP 33202794 A JP33202794 A JP 33202794A JP H08154613 A JPH08154613 A JP H08154613A
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soybean
gelation
heating
milk
improving agent
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JP6332027A
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Daisuke Shiiba
大介 椎葉
Naohito Kudo
尚人 工藤
Hiroyuki Yoshida
博幸 吉田
Masanori Komikado
雅典 小御門
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大豆蛋白質食品の風味や食感が良好に維持さ
れ、かつ工業的に安価な方法で簡単にゲル化性を高める
ことができる大豆蛋白質ゲル化性向上剤、及び該ゲル化
性向上剤を含む豆乳、並びに豆腐の製造方法を提供す
る。 【構成】 ポリグリセリンと炭素数16〜22の脂肪酸
とのエステルからなる大豆蛋白質ゲル化性向上剤。大豆
蛋白質ゲル化性向上剤を含む豆乳。水に浸漬した原料大
豆を磨砕し、呉を得る第一工程、呉を加熱後、呉から豆
乳を分離する第二工程、豆乳に対して0.05〜1重量
%の上記大豆蛋白質ゲル化性向上剤を添加する第三工
程、次いで豆乳を凝固剤の存在下で加熱する第四工程を
含む豆腐の製造方法。上記の豆腐の製造方法の別の態様
として、第二工程における加熱を呉から豆乳を分離後に
行う方法。又は第二工程における加熱を大豆蛋白質ゲル
化性向上剤を添加後に行う方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、豆腐などの大豆蛋白を
利用した食品の原料となる豆乳に添加してそのゲル化性
能を向上させるための大豆蛋白質ゲル化性向上剤、及び
これを含む豆乳、並びに豆腐の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の健康指向や栄養に対する関心の増
大に伴って豆腐が見直されており、また豆腐と共に大豆
蛋白を利用した食品も注目されている。伝統的な食品で
ある豆腐は、一般に(1)乾燥大豆を水に浸漬する工
程、(2)浸漬大豆を磨砕し「呉」(豆汁)を得る工
程、(3)「呉」を豆乳とオカラに分離する工程、
(4)豆乳を煮沸し、これに凝固剤を添加する工程、そ
して(5)得られた豆乳を型に流し込み冷却凝固させる
工程から製造されている。このような煩雑な工程で得ら
れる豆腐は、例えば、木綿、絹ごし、充填、ソフトなど
の様々な品種のものが市販されているが、いずれの品種
も水分含有率は非常に高く、従って良好な保型性を有
し、また保存中の離水なども生じにくい安定した品質
で、食感、風味にも優れ、安価に提供できることが望ま
しい。
【0003】豆腐製品の保型性や保存中の離水の問題に
対しては、その原料となる豆乳中の大豆蛋白質のゲル形
成能力(ゲル化性)を高めることが有効な対処方法であ
る。この具体的な対処方法としては、例えば豆乳中の蛋
白質濃度を高める方法(特開昭51−70840号公
報)、プロセスの改変による方法(特開昭62−208
249号)、そして大豆蛋白質溶液中に添加剤(分離蛋
白質、油脂、ガム剤、酵素)を加える方法(例えば、特
開昭51−148065号、同58−89153号、同
62−115253号、及び特開平2−257831号
各公報)などが知られている。しかし、上記豆乳中の蛋
白質濃度を高める方法や酵素等を用いる方法は最終的な
商品の価格が高価になり好ましくない。また油脂、ガム
剤を添加する方法では風味、食感を損なうなどの問題が
生じ易く、更ににがりの変わりに他の凝固剤(例えば、
グルコノデルタラクトンを主成分とする凝固剤)を使用
することも行われているが、にがりを主体とした凝固剤
を用いたときに見られる優れた風味が失われてしまうな
どの問題が生じる。
【0004】なお、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、
従来、耐菌性の向上(特開平1−218577号公
報)、大豆蛋白質溶液の消泡(特開昭61−22775
6号、及び特開平4−20257号公報)を目的として
利用されているが、大豆蛋白質のゲル化性の向上を目的
としては用いられていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、大豆蛋白質食品の風味や食感が良好に維持され、か
つ工業的に安価な方法で簡単にゲル化性能を高めること
ができる大豆蛋白質ゲル化性向上剤、及び該ゲル化性向
上剤を含む豆乳、並びに豆腐の製造方法を提供すること
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、大豆蛋白質
のゲル化性を高めることができる有効な添加剤を求めて
研究を重ねた結果、前記特定のポリグリセリン脂肪酸エ
ステルがゲル化性を高め、しかも風味や食感に悪影響を
与えることなく、工業的に安価で安定した品質を有する
大豆蛋白質食品の製造に有効であることを見出し、本発
明を完成したものである。本発明者の研究では、ゲル化
性は豆乳中の大豆蛋白質を構成する主成分蛋白質(7S
グロブリン、11Sグロブリン)が一定の構造体をとっ
て集合した蛋白会合体(分子量1億以上)の生成量に依
存すると考えられるが、上記ポリグリセリン脂肪酸エス
テルの添加により(特に、液晶状態で添加することによ
り)、上記蛋白会合体の生成が促進され、その結果ゲル
化性が向上すると推測される。
【0007】本発明は、ポリグリセリンと炭素数16〜
22の脂肪酸とのエステルからなる大豆蛋白質ゲル化性
向上剤にある。
【0008】また本発明は、ポリグリセリンと炭素数1
6〜22の脂肪酸とのエステルからなる大豆蛋白質ゲル
化性向上剤を含む豆乳にある。
【0009】更に本発明は、水に浸漬した原料大豆を磨
砕し、呉を得る第一工程、得られた呉を加熱後、呉から
豆乳を分離する第二工程、分離した豆乳に対して0.0
5〜1重量%のポリグリセリンと炭素数16〜22の脂
肪酸とのエステルからなる大豆蛋白質ゲル化性向上剤を
添加する第三工程、次いで得られた豆乳を凝固剤の存在
下で加熱する第四工程を含む豆腐の製造方法にある。
【0010】更にまた本発明は、水に浸漬した原料大豆
を磨砕し、呉を得る第一工程、呉から豆乳を分離し、加
熱する第二工程、加熱後の豆乳に対して0.05〜1重
量%のポリグリセリンと炭素数16〜22の脂肪酸との
エステルからなる大豆蛋白質ゲル化性向上剤を添加する
第三工程、次いで得られた豆乳を凝固剤の存在下で加熱
する第四工程を含む豆腐の製造方法にもある。
【0011】そしてまた本発明は、水に浸漬した原料大
豆を磨砕し、呉を得る第一工程、呉から豆乳を分離し、
得られた豆乳に対して0.05〜1重量%のポリグリセ
リンと炭素数16〜22の脂肪酸とのエステルからなる
大豆蛋白質ゲル化性向上剤を添加する第二工程、該大豆
蛋白質ゲル化性向上剤を添加後の豆乳を加熱する第三工
程、次いで得られた豆乳を凝固剤の存在下で加熱する第
四工程を含む豆腐の製造方法にもある。
【0012】本発明は、以下の態様であることが好まし
い。 (1)ポリグリセリンと炭素数16〜22の脂肪酸との
エステルが、1〜2のエステル化度を有する。 (2)ポリグリセリンと炭素数16〜22の脂肪酸との
エステルが、ジグリセリンモノステアレート及び/又は
ジグリセリンモノオレエートである。 (3)豆乳に対して0.05〜1重量%(更に好ましく
は、0.2〜0.8重量%)のポリグリセリンと炭素数
16〜22の脂肪酸とのエステルからなる大豆蛋白質ゲ
ル化性向上剤を液晶状態で添加する。
【0013】以下に、本発明の大豆蛋白質ゲル化性向上
剤について説明する。本発明の大豆蛋白質ゲル化性向上
剤は、ポリグリセリンと炭素数16〜22の脂肪酸との
エステルからなる。ポリグリセリンは、グリセリンの平
均重合度が通常2〜10のものが使用されるが、本発明
においては、平均重合度2〜5のものが好ましく、更に
好ましくは2〜3のものである。またポリグリセリンと
反応させる脂肪酸は、炭素数16〜22の飽和又は不飽
和の脂肪酸であるが、好ましくは炭素数18の飽和又は
不飽和の脂肪酸である。これらの脂肪酸は混合物として
用いても良い。またエステル化度は、1〜2が好まし
い。
【0014】本発明で用いるポリグリセリン脂肪酸エス
テルとしては、上記構成脂肪酸の種類、グリセリンの重
合度、あるいはエステル化度により種々のものが適用可
能であるが、特にジグリセリンモノステアレート又はジ
グリセリンモノオレエートが好ましい。またこれらは併
用しても良い。
【0015】本発明の大豆蛋白質ゲル化性向上剤は、豆
乳に対して0.05重量%〜1.0重量%(好ましく
は、0.2〜0.8重量%)の添加量で添加することが
好ましい。添加量が0.05重量%未満では充分なゲル
化性能が現れにくい。また1.0重量%以上では風味が
損なわれる場合がある。
【0016】次に、本発明の大豆蛋白質ゲル化性向上剤
を用いて豆腐を製造する方法について説明する。本発明
の豆腐を製造する方法は、以下の三態様を利用すること
が好ましい。まず、第一の態様は、水に浸漬した原料大
豆を磨砕し、呉を得る第一工程、得られた呉を加熱後、
呉から豆乳を分離する第二工程、分離した豆乳に対して
0.05〜1重量%のポリグリセリンと炭素数16〜2
2の脂肪酸とのエステルからなる大豆蛋白質ゲル化性向
上剤を添加する第三工程、次いで得られた豆乳を凝固剤
の存在下で加熱する第四工程を含む工程からなる。
【0017】また第二の態様は、水に浸漬した原料大豆
を磨砕し、呉を得る第一工程、呉から豆乳を分離し、加
熱する第二工程、加熱後の豆乳に対して0.05〜1重
量%のポリグリセリンと炭素数16〜22の脂肪酸との
エステルからなる大豆蛋白質ゲル化性向上剤を添加する
第三工程、次いで得られた豆乳を凝固剤の存在下で加熱
する第四工程を含む工程からなる。
【0018】そして第三の態様は、水に浸漬した原料大
豆を磨砕し、呉を得る第一工程、呉から豆乳を分離し、
得られた豆乳に対して0.05〜1重量%のポリグリセ
リンと炭素数16〜22の脂肪酸とのエステルからなる
大豆蛋白質ゲル化性向上剤を添加する第二工程、該大豆
蛋白質ゲル化性向上剤を添加後の豆乳を加熱する第三工
程、次いで得られた豆乳を凝固剤の存在下で加熱する第
四工程を含む工程からなる。
【0019】上記第一の態様及び第二の態様の第二工程
おける加熱、及び第三の態様の第三工程における加熱
は、原料大豆からの蛋白質の溶出を容易にすることや前
述した蛋白会合体を生成させる目的で行われるが、この
加熱は、通常95〜105℃の煮沸温度で、5分以内、
好ましくは、2〜3分間で行う。
【0020】上記のいずれの態様においても大豆蛋白質
ゲル化性向上剤(ポリグリセリンと炭素数16〜22の
脂肪酸とのエステル)は、水に分散、均質化させ、液晶
状態で添加する。本発明で用いる液晶は、ラメラ型液晶
を形成する条件、具体的には、上記大豆蛋白質ゲル化性
向上剤と水との混合重量比が、95:5〜20:80の
条件で調製した液晶であることが好ましい。更に好まし
くは、80:20〜40:60の条件で調製した液晶で
ある。なお、上記液晶の調製に際し、ラメラ型液晶形成
温度は大豆蛋白質ゲル化性向上剤の構成脂肪酸残基の種
類、グリセリンの重合度などにより異なるため、適宜調
整する。通常、この温度は、20〜100℃の範囲であ
る。
【0021】上記のように調製された液晶(ラメラ型液
晶)は、呉から分離した豆乳に対してポリグリセリンと
炭素数16〜22の脂肪酸とのエステルを0.05重量
%〜1.0重量%、好ましくは、0.2〜0.8重量%
となる添加量で添加される。なお、液晶の添加時の温
度、及び添加時の豆乳の温度は特に限定されないが、液
晶の温度と豆乳の温度は、ほぼ同じであることが好まし
い。なお、このようにして得られた豆乳は、製造後比較
的短い期間で使用する場合には、加熱殺菌処理を施すこ
となく使用することができる。また豆乳の状態で長期間
保存後、使用する場合には、加熱殺菌処理を行うことが
好ましい。1か月以上の長期保存のための加熱殺菌処理
は、通常120〜150℃で、1〜10秒で行う。
【0022】上記凝固剤は、通常豆腐の製造に使用され
ている凝固剤であればよく、例えば塩化マグネシウム、
塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等
のアルカリ土類金属塩および天然にがり、また水と熱の
存在下で分解して有機酸を生成するグルコノラクトン、
アルドノラクトン、ガラクトノラクトン等のデルタある
いはガンマラクトンの中から選ばれる一種または二種以
上の凝固剤が使用できる。上記態様における凝固剤の存
在下での加熱は、通常80〜100℃(好ましくは、8
5〜90℃)である。
【0023】なお、本発明の豆腐の製造に際して、風味
づけのために呈味剤・フレーバー、着色剤、またゲル化
性調整のために、キサンタンガム、グアガム、ロカスト
ビーンガム、タマリンドガム、グアガム、ペクチン及び
カラギーナン等の天然多糖類;ゼラチン、卵白末及びカ
ゼイン等の蛋白質を配合することができる。ゲル化性調
整のための上記のような成分の添加量は、通常豆乳に対
して0.02〜1.0重量%、好ましくは、0.05〜
0.5重量%である。
【0024】本発明の大豆蛋白質ゲル化性向上剤を含有
した豆乳を用いた大豆蛋白質食品の例としては、上記の
ような豆腐の他に、種々の食品素材を混ぜて作った豆腐
様食品(うなぎ豆腐、五目豆腐など)、茶わん蒸し類、
そしてプリン類を挙げることができる。
【0025】
【実施例1】以下に、実施例及び比較例を記載し、本発
明を更に具体的に説明する。なお、「部」は「重量部」
を示す。
【0026】[実施例1]米国産大豆6.5kgを20
℃で一晩浸漬し、水切り後、浄水16.9kgを加えな
がら豆摺機により磨砕した。得られた呉を煮沸釜で98
〜100℃、3分間煮沸した後、豆腐用おから絞り機を
用いておからを分離し、煮沸抽出豆乳28kgを得た。
一方、ジグリセリンモノステアレート(DGMS)(サ
ンソフトQ−18D、太陽化学(株)製)0.3部と水
0.2部とを良く混合し、70〜75℃に加熱して液晶
(ラメラ型液晶)状態にあるジグリセリンモノステアレ
ートからなる本発明に従う大豆蛋白質ゲル化性向上剤を
調製した。前記抽出直後の豆乳(蛋白質濃度5.5%、
70〜75℃)100部に対して、上記液晶状態にある
ジグリセリンモノステアレートを0.5部添加した。得
られた豆乳1をホモミキサを用いて3,000rpm5
分間混合、均一化した。
【0027】[実施例2]上記実施例1において、液晶
(ラメラ型液晶)状態にあるジグリセリンモノステアレ
ート(DGMS)の代わりに、液晶(ラメラ型液晶)状
態にあるジグリセリンモノオレエート(DGMO−9
0、日光ケミカルス(株)製)を使用した以外は、実施
例1と同様にして豆乳2を得た。
【0028】[比較例1〜7]上記実施例1において、
ジグリセリンモノステアレート(DGMS)の代わり
に、以下の乳化剤を使用した以外は、実施例1と同様に
して豆乳3〜9を得た。 豆乳3:モノグリセリンモノステアレート(T−95、
花王(株)製) 豆乳4:モノグリセリンモノパルミテート 豆乳5:モノグリセリンモノミリステート 豆乳6:ソルビタンモノステアレート(S−10F、花
王(株)製) 豆乳7:ソルビタンモノオレエート(O−10F、花王
(株)製) 豆乳8:ショ糖脂肪酸エステル(S−1570、三菱化
学(株)製) 豆乳9:ショ糖脂肪酸エステル(S−1170、三菱化
学(株)製)
【0029】得られた豆乳1〜9を冷却後下記の処方で
豆腐を作り、ゲル化性能(破断強度測定)の評価を以下
の方法で行った。なお、コントロールとしては上記乳化
剤を加えていない豆乳10を用いた。 (1)豆腐の調製 豆乳200mlに凝固剤(20.7%塩化マグネシウ
ム、5.2%グルコノデルタラクトン)を2.7g加え
攪拌後、85℃、30分間加熱し、豆腐を得た。 (2)豆腐のゲル化性能(ゲル強度/破断強度)の評価 20℃に冷却した豆腐を直径28mm、高さ20mmの
円柱状に成形し、40mmφプランジャーを装着したク
リープメータ(レオナーRE−3350、山電(株)
製)を用いてゲル強度(破断強度)を測定した。
【0030】得られた結果を図1に示す。図1の結果か
ら、本発明に従う大豆蛋白質ゲル化性向上剤であるジグ
リセリンモノステアレート(DGMS)やジグリセリン
モノオレート(DGMO)を使用した場合(実施例1、
2)には、高い破断強度の豆腐(硬い豆腐)を作ること
ができる。一方グリセリン脂肪酸エステル(比較例1〜
3)、ソルビタン脂肪酸エステル(比較例4、5)、シ
ョ糖脂肪酸エステル(比較例6、7)、あるいは乳化剤
を無添加(コントロール)では、充分な破断強度を有す
る豆腐を作ることができない。
【0031】[実施例3]実施例1において、大豆磨砕
工程の加水量を以下のように変えることにより、同様に
して蛋白質濃度が4.5〜6%の豆乳をそれぞれ調製し
た。 蛋白質濃度(%) 添加浄水量(kg) 煮沸抽出豆乳量(kg) 4.5 22.1 35 5.0 19.5 31 5.5 16.9 28 6.0 14.3 24
【0032】(1)豆腐の調製、及び(2)豆腐のゲル
化性能の評価 得られた各濃度の豆乳を用いて前記実施例1と同様な方
法で豆腐を調製し、また同様にして豆腐のゲル化性能を
評価した。なお、コントロールとして上記乳化剤を加え
ていない上記濃度に対応する豆乳をそれぞれ調製した。
結果を図2に示す。
【0033】図2に示された結果から、豆乳中の蛋白質
濃度が高くなるに従いゲル化性も向上するが、本発明に
係る大豆蛋白質ゲル化性向上剤(ジグリセリンモノステ
アレート:DGMS)を添加すると、ゲル化性が更に向
上することは明らかである。通常の絹ごし豆腐の破断強
度(平均値500g以上)を得るためには、コントロー
ル(乳化剤無添加)では豆乳の蛋白質濃度は5.5重量
%以上が必要であるが、本発明に係る大豆蛋白質ゲル化
性向上剤を添加すると、豆乳の蛋白質濃度は4.5%以
上でたりる。
【0034】図3は、破断強度と豆乳の収量との関係を
示すグラフである。図3に示されるように、同じゲル化
性能を持つ豆乳でも本発明に係る大豆蛋白質ゲル化性向
上剤を添加することで、収量が1.2〜1.4倍増加す
ることがわかる。即ち、同じ量(6.5kg)の原料大
豆から市販絹ごし豆腐(破断強度:平均値500g)を
作るには、コントロールでは、豆乳の蛋白質濃度は5.
5重量%以上が必要になり、この時の収量は28kgで
ある。豆腐1丁0.3kgと考えれば28kg/0.3
kg=約93丁の豆腐を製造できることになる。これに
対し本発明に係る大豆蛋白質ゲル化性向上剤を添加する
ことで、豆乳の蛋白質濃度は4.5重量%で充分であ
り、この時の収量は35kgである。同様の計算で35
kg/0.3kg=約117丁の豆腐を製造することが
できる。以上のように、本発明の大豆蛋白質ゲル化性向
上剤を用いることで、原料となる豆乳の蛋白質濃度が低
くても高い強度を持つゲルが得られる上、収量よくゲル
化性の優れた豆乳を製造することができる。
【0035】[実施例4]米国産大豆6.5kgを20
℃で一晩浸漬し、水切り後、浄水16.9kgを加えな
がら豆摺機により磨砕した。得られた呉を直ちに豆腐用
おから絞り機を用いておからと豆乳に分離し、豆乳28
kgを得た。一方、ジグリセリンモノステアレート(D
GMS)(サンソフトQ−18D、太陽化学(株)製)
0.3部と水0.2部とを良く混合し、70〜75℃に
加熱して液晶(ラメラ型液晶)状態にあるジグリセリン
モノステアレートからなる本発明に従う大豆蛋白質ゲル
化性向上剤を調製した。前記の豆乳を煮沸釜で98〜1
00℃、3分間煮沸した後、豆乳(蛋白質濃度5.5
%、70〜75℃)100部に対して、上記液晶状態に
あるジグリセリンモノステアレートを0.5部添加し
た。得られた豆乳21をホモミキサを用いて3,000
rpm5分間混合、均一化した。
【0036】[実施例5]上記実施例4において、得ら
れた豆乳(蛋白質濃度55%、20℃)100部に対し
て、液晶状態にあるジグリセリンモノオレエートを0.
5部添加し、その後煮沸釜で98〜100℃、3分間煮
沸した以外は、実施例4と同様にして豆乳22を得た。
【0037】得られた豆乳21、豆乳22を冷却後前記
実施例1と同様にして豆腐を作り、同様にゲル化性能
(破断強化測定)の評価を行った。その結果、実施例1
と同様な結果が得られた。
【0038】
【発明の効果】本発明の大豆蛋白質ゲル化性向上剤を用
いることで、食感、風味に影響なく、かつ品質も安定
し、また工業的に安価な大豆蛋白食品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、種々の添加剤のゲル化性能を示すグラ
フである。
【図2】図2は、豆乳中の蛋白質濃度とゲル化性能との
関係を示すグラフである。
【図3】図3は、破断強度と豆乳の収量との関係を示す
グラフである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリグリセリンと炭素数16〜22の脂
    肪酸とのエステルからなる大豆蛋白質ゲル化性向上剤。
  2. 【請求項2】 重合度が2〜3のポリグリセリンである
    請求項1に記載の大豆蛋白質ゲル化性向上剤。
  3. 【請求項3】 炭素数18の脂肪酸である請求項1に記
    載の大豆蛋白質ゲル化性向上剤。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかの項に記載の大
    豆蛋白質ゲル化性向上剤を含む豆乳。
  5. 【請求項5】 水に浸漬した原料大豆を磨砕し、呉を得
    る第一工程、得られた呉を加熱後、呉から豆乳を分離す
    る第二工程、分離した豆乳に対して0.05〜1重量%
    のポリグリセリンと炭素数16〜22の脂肪酸とのエス
    テルからなる大豆蛋白質ゲル化性向上剤を添加する第三
    工程、次いで得られた豆乳を凝固剤の存在下で加熱する
    第四工程を含む豆腐の製造方法。
  6. 【請求項6】 水に浸漬した原料大豆を磨砕し、呉を得
    る第一工程、呉から豆乳を分離し、加熱する第二工程、
    加熱後の豆乳に対して0.05〜1重量%のポリグリセ
    リンと炭素数16〜22の脂肪酸とのエステルからなる
    大豆蛋白質ゲル化性向上剤を添加する第三工程、次いで
    得られた豆乳を凝固剤の存在下で加熱する第四工程を含
    む豆腐の製造方法。
  7. 【請求項7】 水に浸漬した原料大豆を磨砕し、呉を得
    る第一工程、呉から豆乳を分離し、得られた豆乳に対し
    て0.05〜1重量%のポリグリセリンと炭素数16〜
    22の脂肪酸とのエステルからなる大豆蛋白質ゲル化性
    向上剤を添加する第二工程、該大豆蛋白質ゲル化性向上
    剤を添加後の豆乳を加熱する第三工程、次いで得られた
    豆乳を凝固剤の存在下で加熱する第四工程を含む豆腐の
    製造方法。
JP6332027A 1994-12-12 1994-12-12 大豆蛋白質ゲル化性向上剤、及び該ゲル化性向上剤を含む豆乳、並びに豆腐の製造方法。 Withdrawn JPH08154613A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008188004A (ja) * 2007-01-11 2008-08-21 Riken Vitamin Co Ltd 新規な充填豆腐
WO2013073404A1 (ja) * 2011-11-14 2013-05-23 亀田製菓株式会社 米タンパク質組成物とその製造方法
JP2019041689A (ja) * 2017-09-01 2019-03-22 森永乳業株式会社 充填豆腐様食品およびその製造方法

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