JPH08153629A - 巻鉄心変圧器及びその製造方法 - Google Patents

巻鉄心変圧器及びその製造方法

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JPH08153629A
JPH08153629A JP31591794A JP31591794A JPH08153629A JP H08153629 A JPH08153629 A JP H08153629A JP 31591794 A JP31591794 A JP 31591794A JP 31591794 A JP31591794 A JP 31591794A JP H08153629 A JPH08153629 A JP H08153629A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 非晶質磁性合金薄帯を矩形状に成形加工して
形成した巻鉄心に、その脚鉄部には絶縁補強部を、一対
の継鉄部にはそれぞれ被覆カバーを被せ、この状態で、
巻鉄心を巻線に組込むことにより、鉄心の破片が外部に
漏出するのを防止した。 【構成】 U字状に拡開した巻鉄心1の脚鉄部e,e
に、絶縁補強部8を形成し、継鉄部d,d1 側には、被
覆カバー16,17を接合部cを有する継鉄部dは仮被
覆し、他の継鉄部d1 は完全に被覆し、この状態で、巻
鉄心1を巻線9に組込み、接合部cを有する継鉄部d
を、被覆カバー17の仮覆いを解いて再接合を行い、こ
の後、被覆カバー17を再接合した継鉄部dに被せて巻
鉄心1の組立を行うようにしたので、巻鉄心変圧器11
はその組立途中及び運転中において、鉄心の破片に妨げ
られることなく、製造し、かつ、使用することを可能と
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非晶質磁性合金薄帯か
らなる1ターンカット方式の巻鉄心を用いた巻鉄心変圧
器及びその製造方法に関するもので、その目的とすると
ころは、鉄心の破片が巻線内に侵入して絶縁破壊を招く
のを確実に阻止するようにした巻鉄心変圧器とその製造
方法を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】近年、配電用変圧器には、その鉄心材料
として非晶質磁性合金薄帯(以下、単に磁性薄帯とい
う)を使用した変圧器鉄心が種々開発され実用化されて
いる。前記変圧器鉄心として用いる磁性薄帯は磁性合金
の溶融体を超急冷して製造するもので、鉄損が非常に小
さく優れた磁気特性を備えている。そして、前記磁性薄
帯を用いて変圧器の鉄心を製造する場合は、一般に一対
の継鉄部のうち、一方の継鉄部にバットジョイントやラ
ップジョイント等の接合部を備えた所謂、1ターンカッ
ト方式の巻鉄心が今日では多く製造されている。しか
し、前記巻鉄心の鉄心材料である磁性薄帯は、従前から
使用しているけい素鋼帯に比べて非常に薄く、しかも、
加工歪の除去及び鉄心特性の向上をはかるための磁場焼
鈍を行うと極めて脆弱となり、例えば、巻鉄心に衝撃や
振動等の外力が加わると、鉄心の一部が欠落してその破
片が生じることがあった。
【0003】このため、前記磁性薄帯を用いて巻鉄心を
製造する場合は、例えば、特公平6−56819号公報
に記載されている製造方法がある。この製造方法を図1
ないし図3及び図20で説明する。即ち、磁性薄帯を例
えば、所定回数連続的に巻回して形成した円形鉄心を、
その外周部の1ケ所で切断して帯状に展開し、このあ
と、帯状の鉄心の長さ方向の一方端を階段状にずらした
状態で、前記帯状の鉄心を再度円形に加工して1ターン
カット方式の巻鉄心素体を形成し、これを、更に、図示
しない成形治具により矩形成形して図1に示す巻鉄心1
を形成したり、あるいは、1枚又は複数枚の磁性薄帯
を、巻鉄心を1巻回する長さ寸法毎に順次切断し、この
帯状の鉄心素板を図示しない巻板機により円形に巻回し
て巻鉄心素体を設け、この巻鉄心素体を前記のように、
成形治具を用いて矩形成形することにより、図1で示す
巻鉄心1を形成していた。
【0004】図1に示す前記巻鉄心1には巻鉄心素体が
円形な状態にあるとき、その最外周及び最内周にはけい
素鋼帯からなる外側と内側の各補強枠a,bが、巻鉄心
1の接合部c側において自由端となる先端の突合せ部を
ラップさせた状態でそれぞれ配設されている。そして、
前記矩形成形した巻鉄心1は、別に設けた図示しない成
形保持枠に嵌合・保持させて磁場焼鈍を行うことによ
り、矩形状態の維持をはかる形付けを行う。焼鈍後巻鉄
心1から成形保持枠を取外すと、巻鉄心は各補強枠a,
bによって矩形状態を良好に維持することができる。
【0005】次に前記巻鉄心1内の継鉄部d,d1 間に
図2に示すように成形金型2,3を挿入し、つづいて、
成形金型2,3の凹溝5,5間に、板状の型板4を圧入
して巻鉄心1の矩形状態を保持させる。このあと、巻鉄
心1の一対の脚鉄部e,eにおける積層端面に、例え
ば、常温硬化性のエポキシ樹脂等からなる接着剤を一定
の間隔を保って塗布して接着部6を設け、この接着部6
を利用して薄葉な絶縁紙を脚鉄部e,eに巻回貼着し、
その外側に前記絶縁紙を固定する粘着テープ7を巻着す
ることにより、図3で示すように脚鉄部e,eに絶縁補
強部8を形成する。脚鉄部e,eに絶縁補強部8を設け
たら巻鉄心1の窓内から成形金型2,3及び型板4を除
去する。なお、絶縁補強部8は絶縁紙を巻回する代りに
厚手の絶縁部材をコ字形に曲成し、この絶縁部材を一対
用いて脚鉄部e,eにその積層端面を両側から覆うよう
に被せて形成するようにしてもよい。
【0006】前記巻鉄心1から成形金型2,3と型板4
とを抜き取っても、巻鉄心1は内,外の各補強枠a,b
と脚鉄部e,eに形成した絶縁補強部8とによって、焼
鈍により脆弱化している積層端面が、形崩れを起したり
外力等によって剥落したりするのを良好に阻止すること
が可能となり、この結果、脚鉄部e,eを含む巻鉄心1
全体の剛性強化をはかることができる。このあと、巻鉄
心1の接合部cを有する継鉄部d側を前記接合部cの位
置で開放する。即ち、図20で示すように、巻鉄心1を
接合部cのところを利用してU字状に拡開する。一方、
前記U字状に拡開した巻鉄心1と対応する位置には巻線
9を配置し、この状態で、U字状に拡開した巻鉄心1の
接合部cを有する継鉄部dを、巻線9の鉄心挿入孔fと
相対向させて該鉄心挿入孔fに1動作で嵌め込む。
【0007】巻鉄心1の脚鉄部e,eを巻線9の鉄心挿
入孔fに挿入したら、接合部cを有する拡開された継鉄
部dを元の状態に戻して継鉄部dを開放前の状態に再接
合する。このあと、図21で示すように、巻線9の軸方
向端面と巻鉄心1の窓内の端面との間の隙間に、スペー
サあるいは楔等からなる絶縁材1aを圧入して巻鉄心1
と巻線9とを一体的に固定する。巻鉄心1を巻線9に挿
入して組立を終えたら、巻線9の外方に位置する巻鉄心
1の継鉄部d,d1 側の積層端面に即乾性の接着剤を塗
布し、その塗布面に薄葉の絶縁物からなる被覆紙10を
貼着して巻鉄心1の組立を完了する。巻鉄心1の組立を
終えたらこの巻鉄心1を起立させ、その継鉄部d,d1
に図示しないクランプを当接し、これらクランプを、巻
線9の軸方向端面との間に巻線押さえを介在させて巻鉄
心1に締着することにより、巻鉄心変圧器を製造してい
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】然るに、前記従来の技
術によって1ターンカット方式の巻鉄心を用いて巻鉄心
変圧器を製造する場合、次に示すような問題があった。 (1)、矩形状に成形した巻鉄心1を磁場焼鈍したあ
と、接合部cを有する継鉄部d側を開き巻鉄心1をU字
状に拡開して巻線9の鉄心挿入孔fに一対の脚鉄部e,
eを挿入する場合、巻鉄心1は脚鉄部e,eが絶縁補強
部8に被覆されているものの、前記継鉄部d,d1 には
何等の被覆手段も施されていないので、巻鉄心1の拡開
した継鉄部d側を鉄心挿入孔fの一方から挿入して他方
から引出すと、巻鉄心1は磁場焼鈍によって非常に脆く
なっているため、継鉄部dの一部が巻線9の鉄心挿入孔
fの壁面に衝接したり、あるいは継鉄部d自体に外力が
加えられたりすると、無数の鉄心の破片が鉄心挿入孔f
内に落下したり、その周辺に散乱することとなる。
【0009】このため、前記破片を掃除機等により除去
してから巻線9に挿入した巻鉄心1の再組立を行ってい
たが、前記鉄心の破片が巻線の鉄心挿入孔fに残存して
いたり、巻線9の軸方向の端面からその内部に侵入して
いた場合、前記侵入した破片を除去することは非常に困
難であった。従って、巻線9内や鉄心挿入孔f内に入り
込んだ鉄心の破片が、巻鉄心変圧器の運転時導電部分に
接触したり、絶縁油中に浮遊すると、巻線9の層間短絡
事故を誘発したり、巻鉄心変圧器の絶縁不良を発生させ
る危険があった。
【0010】(2)、又、前記鉄心の破片に対する問題
を解決する手段として、例えば、磁場焼鈍後の巻鉄心1
をU字状に拡開したあと、この巻鉄心1の表面全域を繊
維布で被覆したり、あるいは、絶縁紙等絶縁物からなる
箱体を、巻鉄心1に被せて巻線9への組立を行ってい
た。しかし、前者においては、巻鉄心1の組立に際して
繊維布を巻鉄心1全体に巻付ける必要があるとともに、
巻鉄心1を巻線9に挿入したあと、接合部cを有する継
鉄部dの再組立に当っては、その部位の繊維布を一旦除
去し、継鉄部dの再組立後改めて繊維布を巻付けたり貼
着する等していたので、巻鉄心1の組立には多大な時間
と労力が必要となり、巻鉄心変圧器の生産性を阻害する
大きな要因となっていた。
【0011】後者においては、事前に別工程において巻
鉄心1に被せる箱体を製作して準備しなければならない
ので、手間がかかるとともに、巻鉄心1の組立に当って
は、はじめに箱体を巻鉄心1の脚鉄部e,eのみに嵌着
して巻鉄心1を巻線9に挿入し、接合部cを有する継鉄
部dの再組立を終えた後、継鉄部d,d1 を脚鉄部e,
eとは別の箱体により被覆していたが、大きさの異なる
多数の箱体の準備と、これら箱体を巻鉄心1に被覆する
ために手間がかかり、巻鉄心変圧器の生産性の向上をは
かる上で問題があった。
【0012】更に、前記特公平6−56819号に示さ
れる製造方法においては、巻鉄心1の接合部cを有する
継鉄部dの再組立後、前記巻鉄心1の継鉄部d,d1
積層端面に即乾性の接着剤を塗布し、この塗布面に被覆
紙を貼着することにより、継鉄部d,d1 の積層端面に
割れが生じた場合、その割れによって磁性薄帯の破片が
油中に浮遊するのを阻止しているが、この場合、継鉄部
d,d1 の積層端面に接着剤を塗布してこれを固めるこ
とは、鉄心に接着剤の固化時その収縮作用による応力が
加えられる結果、前記応力に敏感に反応する磁性薄帯か
らなる巻鉄心の利点である鉄心特性が低下するという問
題があった。
【0013】本発明は、前記の種々の問題に鑑み、巻鉄
心を絶縁部材により被覆するという作業の簡素化をはか
るとともに、鉄心の破片が巻線内に侵入したり、絶縁油
中に浮遊するといった問題を確実に解消した巻鉄心変圧
器、及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、非晶質磁性合
金薄帯からなる1ターンカット方式の巻鉄心を矩形状に
成形加工し、この巻鉄心を磁場焼鈍した後、該巻鉄心の
脚鉄部に薄葉な絶縁部材を巻装して絶縁補強部を形成す
る。前記脚鉄部に絶縁補強部を形成した巻鉄心は、接合
部を有する継鉄部側を開放してU字状に拡開し、この開
放された継鉄部のそれぞれに保護キャップを被せる。
【0015】つづいて、前記一対の脚鉄部が個々に貫通
する窓孔の周縁に所定の高さ寸法で糊代部分を一対形成
して、接合部を有しない巻鉄心の継鉄部側を十分に被う
ことができる広幅な耐熱及び耐油性に優れた、例えば、
繊維部材や絶縁紙等の絶縁部材からなる第1の被覆カバ
ーを、前記窓孔の周縁に設けた糊代部分を脚鉄部に通し
て絶縁補強部の下側に、接合部を有しない継鉄部を被う
ように広げた状態で糊代部分を貼着する。
【0016】又、絶縁補強部の上側には、拡開された接
合部を有する継鉄部を貫通する窓孔の周縁に前記同様に
糊代部分を備えた前記第1の被覆カバーと同種の材料か
らなる一対の第2の被覆カバーを、それぞれ拡開した継
鉄部を個々に被覆できる大きさで形成し、この第2の被
覆カバーを、それぞれ拡開された継鉄部に個々に広げた
状態で、窓孔の糊代部分を通して絶縁補強部の上側に前
記糊代部分を利用して貼着する。
【0017】次に、前記第1の被覆カバーにより接合部
を有しない継鉄部側を、箱体を包み込むように被覆して
重合部分を接着テープにより止着する。第2の被覆カバ
ーはそれぞれ拡開した継鉄部を、保護キャップの外側か
ら仮に被覆し、接着テープやゴムバンド等を用いて仮止
めする。このように、巻鉄心を絶縁補強部と第1,第2
の被覆カバーにより完全に包被したあと、前記U字状に
拡開した巻鉄心を、その開放された継鉄部側から巻線の
鉄心挿入孔に1動作で挿入し、つづいて、継鉄部に仮止
した第2の被覆カバーをそれぞれ元の広幅な状態に拡
げ、かつ、保護キャップを外し、この状態で、拡開され
た継鉄部をその接合部を利用して巻鉄心の再組立を行
う。巻鉄心の再組立後、第2の被覆カバーにより再組立
を行った継鉄部を包み込み、これを完全に被覆すること
によって巻鉄心変圧器を製造するものである。
【0018】
【作用】本発明は、前記のように巻鉄心を巻線に挿入し
て巻鉄心変圧器の製造を行う場合、巻鉄心はU字状に拡
開した時点で、その脚鉄部及び継鉄部が事前に絶縁補強
部及び第1,第2の被覆カバーによって完全に被われて
いるため、巻鉄心の組立時に生じる鉄心の破片は、前記
絶縁補強部をはじめ第1,第2の被覆カバー内に完全に
封じ込められて、外部に漏出しないようになっているた
め、巻鉄心の組立中に鉄心の破片が巻線の導電部分に侵
入したり、変圧器の運転中に破片が油中に浮遊・拡散し
て変圧器の絶縁に悪影響を与えるという問題を確実に解
消することができる。
【0019】又、巻鉄心の拡開した継鉄部に被覆カバー
を被せたり、この継鉄部を再接合する場合は、U字状に
拡開した巻鉄心を起立装置により起立させて前記の作業
を行うことが可能となり、しかも、この起立装置を利用
することによって、巻鉄心を転倒させて組立工程内を自
由移動させたりすることができる等、前記起立装置の有
効利用をはかることによって、巻鉄心変圧器の生産性を
破片対策を兼備させても効率的に行うことができ利便で
ある。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1ないし図19に
よって説明する。なお、図1ないし図3において、非晶
質磁性合金薄帯を用いて1ターンカット方式の巻鉄心1
を形成し、この巻鉄心1を矩形成形し、かつ、磁場焼鈍
を行ったあと、巻鉄心1の脚鉄部e,eに薄葉な絶縁部
材を巻装して絶縁補強部8を形成するまでの巻鉄心1を
製造する工程は、従来と同様であるのでその説明は省略
する。又、図4ないし図19で示す部品と、前記図1な
いし図3及び図20で示す部品と同一の場合は、同一符
号を用いて説明する。
【0021】本実施例で示す巻鉄心変圧器11は、図1
9で示すように、本発明の製造方法によって製造した状
態を示すもので、本発明の要旨とするところは、巻鉄心
1の脚鉄部e,eに薄葉な絶縁紙を巻回貼着する等して
絶縁補強部8を形成するとともに、脚鉄部e,eの両側
に位置する一対の継鉄部d,d1 を、巻鉄心1をU字状
に拡開した状態で、第1,第2の被覆カバー16,17
により事前に被覆して巻鉄心1を巻線9に組立可能とな
し、かつ、この組立途中においては、作業効率の向上を
はかるために、巻鉄心1を個々の組立工程において、必
要に応じて起立させたり転倒させたりすることにより、
巻鉄心変圧器11を作業者に多大な労力を強いることな
く、簡易に組立作業を可能となして、鉄心の破片が外部
に漏出することのない巻鉄心変圧器11の製造を可能と
したことにある。
【0022】以下、本発明の巻鉄心変圧器11と、この
巻鉄心変圧器11の製造工程の詳細を図4ないし図19
によって説明する。図4は矩形状に成形したあと、この
巻鉄心1を横倒しの状態でその接合部cを有する継鉄部
d側を、前記接合部cを有する位置で開放し、巻鉄心1
をその平面形状が図3で示す矩形状態から、図4で示す
ように、継鉄部d,dを脚鉄部e,eと同一線上の位置
に達するまで、即ち、平面形状がU字状となるように拡
開する。U字状に拡開した巻鉄心1の継鉄部d,dに
は、図5に2点鎖線で示すように、例えば、黄銅等比較
的柔軟性及び伸縮性に優れた袋状の保護キャップ12を
被せる。
【0023】前記のように、巻鉄心1をU字状に拡開し
た場合、巻鉄心1を形成する非晶質磁性合金薄帯は外側
補強枠aを構成する、例えば、けい素鋼帯に比べその板
厚が約1/10以下であるため、巻鉄心1自体に損傷を
与えることなく、容易に外側補強枠aの開放位置まで拡
げることが可能となる。又、前記継鉄部dの開放作業
は、巻鉄心1の脚鉄部e,eに形成した絶縁補強部8
と、巻鉄心1の外周面に配置した外側補強枠a及び内周
面に配置した内側補強枠bとによって、巻鉄心1は剛性
が十分に保持されているので、前記継鉄部dの拡開に際
して自重変形したり、型崩れ等を起こすことなく、円滑
・良好に巻鉄心1をU字状に開放・保持することができ
る。
【0024】U字状に拡開した巻鉄心1は、図示しない
ローラコンベア等により横倒しの状態でローラコンベア
上を搬送し、図6に示すように、起立装置13上に横倒
しの状態で乗載する。この場合、巻鉄心1の接合部cを
有しない継鉄部d1 側は、事前に巻鉄心1を起立させた
とき、その転倒を防ぐための載置枠体14に遊嵌させて
ある。そして、前記巻鉄心1を乗載した起立装置13
は、図6に示すように、内側面(鉄心乗載側)を直角形
状に、外側面は半円状に形成した板体を所定の間隔を保
って配置した一対の転回枠14a,14aと、この転回
枠14a,14a間に回転自在に介挿した巻鉄心移動用
の複数のローラ部材14bと、前記転回枠14a,14
aの外側面下側を回動自在に支承する回転受体14c,
14cと、これら回転受体14c,14cを介して転回
枠14a,14aとローラ部材14bとからなる転回台
15を約90°の範囲で転回可能に載置保持する基台1
4dと、一方の転回枠14aの側面に装着されて転回枠
14aの外側面と弧状部と同一の曲率半径で形成した歯
車部材14eと、この歯車部材14eと噛合して転回台
15を約90°の範囲で起立、転倒させるための平歯車
14fと、この平歯車14fを駆動させる電動機14g
とによって構成されている。
【0025】前記起立装置13の転回台15上にU字状
に開いた巻鉄心1を乗載したら、電動機14gを起動
し、転回台15を回転受体14c,14c上において、
図6の時計方向側に図7で示すように、約90°転回さ
せ、巻鉄心1を転回台15上に載置枠体14を介して巻
鉄心1を垂直に載置した後、図8に示すように、第1及
び第2の被覆カバー16,17,17をそれぞれ巻鉄心
1の脚鉄部e,eに設けた絶縁補強部8の上,下部に取
付ける。そして、第1の被覆カバー16は図8で示すよ
うに、一対の脚鉄部e,eが貫通する窓孔16a,16
aをそれぞれ穿孔し、かつ、この窓孔16a,16a周
縁の上側部分には、所定の高さ寸法で窓孔16a,16
a部分を囲繞する角形の糊代部分16b,16bが設け
られ、しかも、前記接合部cを有しない継鉄部d1 を十
分に被うことのできる広さを備えた耐熱及び耐油性に優
れた、例えば、繊維部材や絶縁紙等の絶縁部材によって
形成されている。
【0026】又、第2の被覆カバー17,17は、拡開
した一対の継鉄部d,dを個々に被うために2分割さ
れ、かつ、分割された部材にはそれぞれ継鉄部d,dが
貫通する窓孔17a,17aを穿孔するとともに、これ
ら窓孔17a,17aの下側には、第1の被覆カバー1
6と同様に所定の高さ寸法で窓孔17a,17a部分を
囲繞する角形の糊代部分17b,17bを一体的に設
け、しかも、前記継鉄部d,dを個々に被うことのでき
る広さを有して、第1の被覆カバー16と同種の材料に
より一対形成されている。そして、第1,第2の被覆カ
バー16,17,17の取付けに際しては、図9で示す
ように、最初に第1の被覆カバー16を、その窓孔16
a,16aを利用して拡開された巻鉄心1の継鉄部d,
d側から脚鉄部e,eを通して、絶縁補強部8の下側に
糊代部分16b,16bを合致させ、該糊代部分16
b,16bを絶縁補強部8,8に接着剤あるいは粘着テ
ープ等の接合手段を用いて止着する。なお、被覆カバー
16自体は糊代部分16b,16bを止着した後も図9
で示すように、接合部cを有しない継鉄部d1 を被うよ
うにして広げておく。
【0027】つづいて、第2の被覆カバー17,17の
取付けを行う。この場合、被覆カバー17,17は分割
されているため、拡開した継鉄部d,dの上端から窓孔
17a,17aを利用して、図9のように個々に広げた
状態で継鉄部d,dに嵌め込み、脚鉄部e,eの絶縁補
強部8の上側に糊代部分17b,17bを合致させ、こ
の糊代部分17b,17bを接着剤等の接合手段を用い
て絶縁補強部8,8に止着する。そして、第2の被覆カ
バー17,17を継鉄部d,dに広げた状態で取付けた
後、この広げた部分を図10で示すように、拡開された
継鉄部d,dを保護キャップ12の外側から、これを包
み込むように折りたたみ、その折りたたみ部分を粘着テ
ープやゴムバンド等により仮止めする。この結果、巻鉄
心1の脚鉄部e,eと拡開された継鉄部d,dは、図1
0で示すように、絶縁補強部8,8と第2の被覆カバー
17,17とによって完全に被覆することができる。
【0028】次に図10で示すように、糊代部分16
b,16bを絶縁補強部8,8に止着して継鉄部d1
に広げた状態で保持されている第1の被覆カバー16
は、前記広げた部分を巻鉄心1の積層端面側と平行させ
て図11に示すように、一旦下側に折り曲げる。前記の
ように、第1の被覆カバー16を下側に折り曲げたら、
起立装置13を駆動して転回台15を図7の時計方向に
約90°回動させ、巻鉄心1を起立状態から図6で示す
ように、転倒(横倒)した状態に移す(なお、図7は図
6に示す転回台15を時計方向に約90°転回して、図
6の右側方向から見た図を示す)。起立装置13の転回
台15を利用して巻鉄心1を転倒させたら、接合部cを
有しない巻鉄心1の継鉄部d1 側に嵌合していた載置枠
体14を取り外す。この後、前記継鉄部d1 の積層端面
側に折り曲げた第1の被覆カバー16を、該継鉄部d1
の外周部を図12で示す如く包み込むようにして折りた
たみ、その折りたたみ部分を解けないように粘着テープ
等により止着することにより、図12で示すように、巻
鉄心1の接合部cを有しない継鉄部d1 を前記第1の被
覆カバー16により完全に被う。
【0029】前記のように、U字状に拡開した巻鉄心の
脚鉄部e,e及び継鉄部d,d,d1 に、絶縁補強部8
と第1,第2の被覆カバー16,17,17とを取付け
たら、前記巻鉄心1はU字状に拡開されて横倒しとなし
た状態で、起立装置13からこれをこれと連接する鉄心
挿入装置18のところまで、金属板等により平面形状を
U字形に形成した挿入板19上に乗載して、例えば、図
13に示すローラコンベア18a上を移動させて搬送す
る。なお、前記U字状に拡開した巻鉄心1を挿入板19
に載せる場合は、例えば、起立装置13を図6におい
て、反時計方向に少し傾動させ、この起立装置13に高
さ寸法を該起立装置13に比べて挿入板19の板厚分低
くして段差を有するように連接したローラコンベア18
a(図13に示すコンベア)上に、前記挿入板19を介
して乗載させたり、あるいは、前記段差を利用して起立
装置13のローラ部材14bから巻鉄心1をローラコン
ベア18a側に滑動させて挿入板19上に乗載するよう
にしてもよい。更に、挿入板19を使用するのは、巻鉄
心1を1動作で巻線9に挿入することができるようにす
るためである。
【0030】そして、前記U字状に拡開した巻鉄心1を
乗載する鉄心挿入装置18は図13で示すように、ロー
ラコンベア18aと、U字状に拡開した巻鉄心1をロー
ラコンベア18a上において移動可能に乗載する前記挿
入板19と、ローラコンベア18aの途中に設けた巻線
9の支持装置20とによって概略構成されており、巻鉄
心1を乗載する挿入板19は、拡開された継鉄部d,d
をはじめ脚鉄部e,e及び該脚鉄部e,eと橋絡する他
方の継鉄部d1 が乗載できるように巻鉄心1と同形状を
なして形成されている。
【0031】又、前記ローラコンベア18aの途中に設
置している巻線9の支持装置20は、図13示すよう
に、巻線9の鉄心挿入孔fとローラコンベア18aのロ
ーラ部分とが同じ高さ位置となるよう高さ調整手段(図
示せず)を介してローラコンベア18aの途中に収容設
置した巻線支持台21と、この支持台21の幅方向(ロ
ーラコンベア18aの長さ方向と直交する方向)の両側
に、その幅方向に沿って移動可能に取付けた一対の巻線
支持板22とによって形成されている。そして、前記巻
線9は巻鉄心1の組立に先立って事前に巻線支持台21
上に一対載置しておく。
【0032】即ち、巻線9はその鉄心挿入孔fをローラ
コンベア18aの進行方向側に向けて巻線支持台21上
に一対並置し、この状態で、巻線支持台21の両端部に
取付けた一対の巻線支持板22を巻線9の外周面の一側
部にそれぞれ当接させ、この巻線支持板22を巻線支持
台21に締付ボルト22a等を用いて締着することによ
り、巻線9は前記巻線支持板22に強固に挟持されて巻
線支持台21上に固定保持される。
【0033】巻線支持台21に前記の如く巻線9を設置
したら、巻鉄心1自体を適宜に移動させて拡開した前記
継鉄部d,dを、これと対応する巻線9の鉄心挿入孔
f,fに対して挿入できるように位置合せを行う。この
あと、前記拡開した一対の継鉄部d,dの外側に、例え
ば、けい素鋼帯からなる板状の保護板23を図13で示
すように、脚鉄部e,e側に向けて当接する。この状態
で、挿入板19を介してU字状に拡開した巻鉄心1を、
ローラコンベア18a上を滑動させながら巻線9側に移
動させ、巻鉄心1の一対の脚鉄部e,eを挿入板19と
ともに、継鉄部d,dを介して巻線9の鉄心挿入孔f,
fにほぼ1動作で嵌め込む。
【0034】巻鉄心1の接合部cを有する継鉄部d,d
側を図14で示すように、巻線9の鉄心挿入孔f,fを
貫通させて突出させることにより、巻鉄心1の脚鉄部
e,eを巻線9の鉄心挿入孔f,fに挿入した後、この
鉄心挿入孔f,fから巻鉄心1を乗載していた挿入板1
9のみを巻鉄心1の挿入方向と逆方向に向って引き抜
く。つづいて、巻線9を固定している巻線支持板22の
固定を解き、巻鉄心1を挿入した巻線9を、ローラコン
ベア18a上を滑動させて前記起立装置13のところま
で搬送する(なお、本発明は実施例の説明を行うため
に、前記起立装置13を使用する例で説明するが、これ
に限らず、次の工程に設置した起立装置を使用してもよ
いことは勿論である)。
【0035】ローラコンベア18aと起立装置13との
関係は、前述のように小さな段差を設けた例で説明した
ので、巻鉄心1を嵌挿した巻線9は起立装置13の手前
で、接合部cを有する継鉄部d,d側のみを下に押圧し
て、その反対側の継鉄部d1側を上に持ち上げる。この
結果、巻線9の起立装置13側は段差分だけ持ち上げら
れ、そのままの状態で、巻鉄心1をローラコンベア18
aから起立装置13のローラ部材14b側に押動して起
立装置13の転回台15上に乗載する(図14に示す巻
鉄心1を挿入した巻線9を、図6の巻鉄心1に代えて横
倒しの状態で乗載するものである)。
【0036】転回台15に乗載した巻線9は巻鉄心1の
接合部cを有しない継鉄部dに載置枠体14を嵌合させ
た後、電動機14gを起動して転回台15を図7で示す
ように、巻鉄心1を起立する方向に転回し、図14で示
すように、水平方向に位置していた巻鉄心1を図15で
示すように、前記起立装置13の転回台15上において
垂直に樹立させる(図15に示す巻線9に嵌挿した巻鉄
心1を、図7の巻鉄心1に代えて垂直に乗載するもので
ある)。
【0037】図15で示すように、起立装置13(図1
5では図示せず)上で巻線9に嵌挿されて垂直に乗載し
た巻鉄心1には、接合部cを有する継鉄部d,dが充分
に遊合できるくり抜き孔24を開口した作業板25を、
前記継鉄部d,dを遊嵌させて巻線9の上方側に位置す
る軸方向の端面上に載せる。前記作業板25を巻線9上
に載せたら、巻鉄心1の接合部cを有する継鉄部d,d
側に仮止めされている第2の被覆カバー17,17の仮
止めを解き、第2の被覆カバー17,17を図16で示
すように、作業板25の上に広げ、その重合部分hを接
着剤、貼着テープ等を用いて貼着する。つづいて、前記
継鉄部d,dに被せてある保護キャップ12,12を抜
き取る。保護キャップ12,12を抜き取ると、継鉄部
d,dは図4に示すように、非晶質磁性合金薄帯自体腰
が弱いので、そのまま樹立していることが難しく焼鈍後
においても巻癖が残っているため、継鉄部d,dの非晶
質磁性合金薄帯は互いに相対応する方向に倒れようとす
る。
【0038】この場合は、例えば図16に示すように、
巻鉄心1の最内層に配置した内側補強枠bの自由端のみ
を再閉合する方向に位置させ、この内側補強枠bと非晶
質磁性合金薄帯との間に楔板26,26の下部を圧入し
て巻線9の上面側の端面上に楔板26,26を直立させ
る。この場合、巻線9の鉄心挿入孔fには巻鉄心1の脚
鉄部eが嵌挿されているだけであるため、楔板26,2
6は鉄心挿入孔fに容易に圧入でき、図16で示すよう
に樹立することができる。この結果、非晶質磁性薄帯は
楔板26,26に支持されて、互いに相対する方向に傾
倒するのを簡単に防ぐことができる。前記の状態で、内
側補強枠bの自由端同士を図16で示すように、重ね合
せて部分的にスポット溶接等を行って止着する。
【0039】内側補強枠cの接合が完了したら、前記鉄
心挿入孔f内に圧入した楔板26,26を抜き取り、つ
づいて、図17で示すように、拡開された継鉄部d,d
の再内層部分から、順次拡開前の閉鎖状態(内側方向)
に折り曲げ、その接合部cを互いに再接合することによ
って、巻鉄心1の開放された継鉄部d,d側の再組立を
終える。
【0040】つづいて、外側補強枠aの自由端を重合し
溶接等により接合して、図18で示すように、巻鉄心1
としての体裁を整える。次に、巻線9の上面側の端面に
作業板25を介して広げてある第2の被覆カバー17,
17を継鉄部d1 側の第1の被覆カバー16と同様に巻
鉄心1の再接合した継鉄部d側に戻して該継鉄部dの上
面に被せる。そして、前記第2の被覆カバー17,17
を継鉄部dの全域にこれを包み込むように折り重ね、そ
の折り重ね部分の重合端縁を図19で示すように、継鉄
部dの外周面においてテープ等により止着することによ
り、巻鉄心1の接合部cを有する継鉄部dを、接合部c
を有しない継鉄部d1 と同様に完全に被覆することがで
きる。即ち、巻鉄心1を巻線9に組込む前には接合部c
を有しない継鉄部d1 を事前に第1の被覆カバー16に
て被い、巻鉄心1を巻線9に組込んで再組立を行ったあ
と、更に、仮止めしていた第2の被覆カバー17により
接合部cを有する継鉄部dを被覆することにより、図1
9で示す如く巻鉄心1全体を被覆カバー16,17にて
包み込むことにより非晶質磁性合金薄帯からなる巻鉄心
変圧器11を製造するものである。前記第2の被覆カバ
ー17の被覆が終ったら作業板25を巻鉄心変圧器11
から取り外す。
【0041】前記のようにして構成した本発明の巻鉄心
変圧器11においては、巻線9の軸方向の両端面側から
外方に突出する継鉄部d,d1 が、巻線9側に巻鉄心1
を組込む前に取付けた広幅な第1,第2の被覆カバー1
6,17によって完全に被覆されているので、焼鈍によ
って脆弱となっている巻鉄心1を巻線9に組込むときに
生じる鉄心の破片は、前記第1,第2の被覆カバー1
6,17によって完全にその内部に封じこめておくこと
ができるので、巻鉄心1の組立時あるいは組立後におい
て、鉄心の破片が巻鉄心変圧器11の外部に漏出するこ
とによって生ずる弊害を確実に回避することができる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、焼鈍を終えて矩形状に成形加工した巻鉄心の脚鉄部
に、あらかじめ絶縁補強部を形成し、つづいて、巻鉄心
をU字状に拡開して脚鉄部の上,下部において一対の継
鉄部を被覆するだけの広さ(面積)を備えた絶縁部材か
らなる第1,第2の被覆カバーをそれぞれ取付け、第1
の被覆カバーは接合部を有しない継鉄部に直接包み込ん
でこれを完全に被覆し、第2の被覆カバーは拡開した継
鉄部に仮被覆し、U字状に拡開した巻鉄心を、絶縁補強
部と、第1,第2の被覆カバーとを事前に具備させて巻
線に組込むことができるように構成したので、巻鉄心の
巻線への嵌挿とか、接合部を有する継鉄部の再接合時等
においては、巻鉄心自体が第1,第2の被覆カバーから
なる絶縁部材によって完全に被覆されているため、巻鉄
心変圧器の組立中に鉄心の破片が外部に漏出して巻線の
導電部分に侵入したり、あるいは、変圧器の運転時絶縁
油中に浮遊して変圧器の絶縁を劣化させるという問題を
確実に回避することができる。
【0043】又、本発明は、一対の継鉄部を被覆する第
1,第2の被覆カバーが、巻線に巻鉄心を組込む前にそ
れぞれ継鉄部に取付けられており、しかも、その取付け
に際しては、繊維部材や絶縁紙等からなる絶縁部材に、
それぞれ巻鉄心の脚鉄部が貫通する窓孔と、この窓孔を
囲繞する糊代部分とを備え、前記窓孔に脚鉄部を貫通さ
せて糊代部分を絶縁補強部に止着することにより、容易
に巻鉄心に取付けることが可能となり、その上、被覆カ
バー自体はそれぞれ継鉄部を被覆する広さを有するた
め、脚鉄部に取付けたあと、簡単に継鉄部を包み込むこ
とができるので、巻鉄心への取付け作業は、巻線への組
込み前において迅速容易に行うことができる。特に、拡
開した継鉄部に取付けるための第2の被覆カバーは、2
分割されてそれぞれ個別に取付けることができるように
形成してあるので、接合部の再組立に当っては、被覆カ
バーの仮被覆を解き、これを巻線の端面上に広げて継鉄
部の再接合が行えるようになっているため、継鉄部の再
組立に際しては、鉄心の破片が生じても鉄心の破片を巻
線の導電部分に侵入させることなく、広げた被覆カバー
の上に収集することができるので、継鉄部の再組立を迅
速・確実に行うことができる。
【0044】更に、本発明においては、被覆カバーの取
付けをはじめ、巻鉄心の巻線への組込み時、接合部を有
する継鉄部の再接合時等、巻鉄心変圧器の各組立工程に
おいて、巻鉄心を必要に応じて起立装置を用いて、垂直
に起立させたり、あるいは、水平に横転させて組立作業
を行うことができるので、作業者は各組立工程に最適な
姿勢で組立作業を行うことが可能となり、この結果、巻
鉄心変圧器の製造は労力を特別に必要とすることなく、
迅速・確実に行い得、この種変圧器の生産性を著しく向
上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、焼鈍処理を行って矩形状に形
付けた巻鉄心を示す平面図である。
【図2】同じく巻鉄心の脚鉄部に絶縁補強部を形成する
状態を示す説明図である。
【図3】脚鉄部に絶縁補強部を形成した巻鉄心の平面図
である。
【図4】矩形成形した巻鉄心をU字状に拡開した状態を
示す平面図である。
【図5】巻鉄心の開放された継鉄部に保護キャップを被
冠した状態を示す説明図である。
【図6】巻鉄心を起立させる起立装置を概略的に示す斜
視図である。
【図7】巻鉄心を起立装置により起立させた状態を示す
斜視図である。
【図8】U字状に拡開した巻鉄心と第1,第2の被覆カ
バーとの関係を分解して示す斜視図である。
【図9】第1,第2の被覆カバーを巻鉄心に取付けた状
態を示す斜視図である。
【図10】同じく、第1,第2の被覆カバーを所定の継
鉄部に被覆する途中の状態を示す巻鉄心の斜視図であ
る。
【図11】同じく平面図である。
【図12】第1,第2の被覆カバーにより被覆された巻
鉄心の斜視図である。
【図13】巻鉄心を巻線に挿入するために使用する鉄心
挿入装置の斜視図である。
【図14】巻鉄心を巻線に挿入した状態を示す斜視図で
ある。
【図15】巻線に挿入した巻鉄心を再組立するために起
立装置により起立させた状態を示す斜視図である。
【図16】巻鉄心の拡開した継鉄部の再組立を開始する
状態を示す斜視図である。
【図17】巻鉄心の再組立の途中を示す平面図である。
【図18】再組立を終えた巻鉄心を示す斜視図である。
【図19】巻鉄心の接合部を有する継鉄部に第2の被覆
カバーを被せて巻鉄心変圧器を製造した状態を示す説明
図である。
【図20】従来の製造方法により巻鉄心を巻線に挿入す
る状態を示す説明図である。
【図21】従来の製造方法によって製造した巻鉄心を示
す斜視図である。
【符号の説明】
1 巻鉄心 8 絶縁補強部 9 巻線 11 巻鉄心変圧器 13 起立装置 16 第1の被覆カバー 17 第2の被覆カバー 18 鉄心挿入装置 d,d1 継鉄部 e,e 脚鉄部 f 鉄心挿入孔

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非晶質磁性合金薄帯からなり、一対の継
    鉄部の一方に接合部を備えて矩形状に成形加工した巻鉄
    心をU字状に拡開してその脚鉄部を、巻線の鉄心挿入孔
    に嵌挿し、前記接合部を有する継鉄部を再接合して構成
    した巻鉄心変圧器において、前記巻鉄心の脚鉄部には、
    これを囲繞する絶縁補強部を備え、この絶縁補強部の
    上,下部には、脚鉄部が貫通する窓孔とこの窓孔の周縁
    を囲繞する糊代部分を設けた広幅な第1,第2の被覆カ
    バーを、それぞれ糊代部分を前記絶縁補強部の上,下部
    に止着して配設し、前記接合部を有しない継鉄部を前記
    第1の被覆カバーにより巻線に脚鉄部を嵌挿する前に被
    覆し、接合部を有する継鉄部は、この継鉄部の再接合後
    に前記第2の被覆カバーにより被覆して巻鉄心を構成し
    たことを特徴とする巻鉄心変圧器。
  2. 【請求項2】 前記第1の被覆カバーは、巻鉄心の脚鉄
    部を貫通させる一対の窓孔と、これら窓孔の周縁を囲繞
    する糊代部分を具備して接合部を有しない継鉄部を被う
    ことのできる大きさに形成し、第2の被覆カバーは、接
    合部を有する継鉄部を貫通させる窓孔とこの窓孔の周縁
    を囲繞する糊代部分を設け、かつ、前記継鉄部を被うこ
    とのできる大きさを備えてこれを2分割することにより
    形成したことを特徴とする請求項1記載の巻鉄心変圧
    器。
  3. 【請求項3】 非晶質磁性合金薄帯からなり、一対の継
    鉄部の一方に接合部を備えて矩形状に成形加工した巻鉄
    心をU字状に拡開してその脚鉄部を、巻線の鉄心挿入孔
    に嵌挿し、前記接合部を有する継鉄部を再接合して巻鉄
    心変圧器を製造するようにした巻鉄心変圧器の製造方法
    において、巻鉄心の脚鉄部に絶縁補強部を形成する工程
    と、絶縁補強部を形成した巻鉄心を継鉄部の接合部を開
    放してU字状に拡開する工程と、U字状に拡開した巻鉄
    心を垂直に起立させて第1及び第2の被覆カバーを広げ
    た状態で窓孔を利用して絶縁補強部の上,下部に糊代部
    分を利用して止着する工程と、第2の被覆カバーを前記
    拡開した継鉄部に仮に被覆する工程と、巻鉄心を横倒に
    転倒させて第1の被覆カバーを接合部を有しない継鉄部
    に被覆させる工程と、前記各継鉄部に第1,第2の被覆
    カバーを設けた巻鉄心の脚鉄部を巻線の鉄心挿入孔に嵌
    挿する工程と、巻線に挿入した前記巻鉄心を垂直に起立
    させて拡開した継鉄部を仮被覆した第2の被覆カバーを
    解離する工程と、前記拡開した継鉄部を再接合する工程
    と、更に、前記第2の被覆カバーを再接合した継鉄部に
    被覆させる工程とを備えたことを特徴とする巻鉄心変圧
    器の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012138469A (ja) * 2010-12-27 2012-07-19 Hitachi Industrial Equipment Systems Co Ltd アモルファス変圧器
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CN110517879A (zh) * 2019-09-26 2019-11-29 苏州翰为电气科技有限公司 一种电力设备器身组装工艺

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