JPH08120061A - 分岐ポリエステル及びその製造方法 - Google Patents

分岐ポリエステル及びその製造方法

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JPH08120061A
JPH08120061A JP28144194A JP28144194A JPH08120061A JP H08120061 A JPH08120061 A JP H08120061A JP 28144194 A JP28144194 A JP 28144194A JP 28144194 A JP28144194 A JP 28144194A JP H08120061 A JPH08120061 A JP H08120061A
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acid
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branched polyester
ester
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JP28144194A
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Yoshimichi Ozawa
良道 小澤
Hitoshi Kawamoto
均 川本
Tetsutaro Hashimura
鉄太郎 橋村
Hiroshi Naito
寛 内藤
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Kanebo Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】塗料,接着剤、及びコーティング剤やその構成
成分として有用な分岐ポリエステルと、その製造に於
て、反応が充分に進行してもゲル化することのない方法
を提供する。 【構成】ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘
導体(A成分)とトリカルボン酸及び/又はそのエステ
ル形成性誘導体(B成分)とジオール成分(C成分)か
ら得られ、且つその成分比率が式1及び式2で表わされ
る範囲にあり、酸価が20以上であることを特徴とする
分岐ポリエステル。 r>1+ρ ・・・(式1) 但し、r=(2a+3b)/2c ρ=3b/(2a+3b) ここで、aは分岐ポリエステルを構成するA成分のモル
数 bは分岐ポリエステルを構成するB成分のモル数 cは分岐ポリエステルを構成するC成分のモル数 ρ≧0.05 ・・・(式2) 及びそのような原料組成範囲にある原料からエステル化
及び/又はエステル交換反応によって製造することを特
徴とする分岐ポリエステルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塗料、接着剤、コーティ
ング剤やその構成成分として好適な末端にカルボキシル
基を有する分岐ポリエステルとその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】多価アルコールと多塩基酸の縮合反応に
よって得られる樹脂はアルキド樹脂と呼ばれている。こ
れらの樹脂は、エポキシ化合物等の架橋剤で架橋した
り、エステル化反応の際に一価の不飽和脂肪酸を併用す
ることによって、加熱硬化や常温硬化できることから塗
料や接着剤、コーティング剤として用いられてきた(特
開昭54−45398号公報、特開昭56−57854
号公報、特公平5−12369号公報)。しかし、カル
ボン酸基やアルコール性水酸基を3つ以上有する分岐成
分を含む原料からエステル化反応によって得られる分岐
ポリエステルは、その製造に於て、反応が進行するとゲ
ル化する為、分岐成分を少量に制限したり、ゲル化が起
きる前に反応を止めることによって製造されてきた(特
公昭52−39717号公報、特開昭53−7797号
公報、特開平2−34392号公報)。反応が進みゲル
化が起こると、塗料や接着剤等に使用できなくなるだけ
でなく、反応装置から取り出すことが困難となる危険性
を含んでいる。更に、一定の反応度で止めないと得られ
た樹脂の物性や架橋物とした時の物性が一定とならず、
品質の安定したものを得るには厳密な反応条件の制御を
必要とする。
【0003】また、綿状ポリエステルの改質に於て、架
橋性能を向上するためにポリマー合成原料にトリメリト
酸無水物やピロメリト酸無水物等の分岐成分を少量併用
したり、重縮合終了後、添加して末端にカルボキシル基
を導入することが提案されている(特開昭58−830
46号公報、特開昭58−217546号公報、特開昭
59−75946号公報)。この場合も重合度が高くな
ると製造中にゲル化が起こる可能性が高くなる上、重縮
合終了後の添加では反応温度、混合方法によっては、不
均一なポリマーができ易い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、塗
料,接着剤、及びコーティング剤やその構成成分として
有用な分岐ポリエステルと、その製造に於て、反応が充
分に進行してもゲル化することのない方法を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、第1の本発明は、
化学式1で表わされるジカルボン酸及び/又はそのエス
テル形成性誘導体(A成分)と化学式2で表わされるト
リカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体(B
成分)と化学式3で表わされるジオール成分(C成分)
から得られ、且つその成分比率が式1及び式2で表わさ
れる範囲にあり、酸価が20以上であることを特徴とす
る分岐ポリエステルである。
【化7】 ・・・(化学式1) 但し、R1 はカルボン酸エステル形成性基を含まない炭
素数2以上の有機基
【化8】 ・・・(化学式2) 但し、R2 はカルボン酸エステル形成性基を含まない炭
素数3以上の有機基
【化9】 ・・・(化学式3) 但し、R3 はカルボン酸エステル形成性基を含まない炭
素数2以上の有機基 r>1+ρ ・・・(式1) 但し、r=(2a+3b)/2c ρ=3b/(2a+3b) ここで、aは分岐ポリエステルを構成するA成分のモル
数 bは分岐ポリエステルを構成するB成分のモル数 cは分岐ポリエステルを構成するC成分のモル数 ρ≧0.05 ・・・(式2)
【0006】第2の本発明は、化学式1で表わされるジ
カルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体(A成
分)と化学式2で表わされるトリカルボン酸及び/又は
そのエステル形成性誘導体(B成分)と化学式3で表わ
されるジオール成分(C成分)から得られ、且つその成
分比率が式1及び式2で表わされる範囲にある原料から
エステル化及び/又はエステル交換反応によって製造す
ることを特徴とする分岐ポリエステルの製造方法であ
る。
【化10】 ・・・(化学式1) 但し、R1 はカルボン酸エステル形成性基を含まない炭
素数2以上の有機基
【化11】 ・・・(化学式2) 但し、R2 はカルボン酸エステル形成性基を含まない炭
素数3以上の有機基
【化12】 ・・・(化学式3) 但し、R3 はカルボン酸エステル形成性基を含まない炭
素数2以上の有機基 r>1+ρ ・・・(式1) 但し、r=(2a+3b)/2c ρ=3b/(2a+3b) ここで、aは分岐ポリエステルを構成するA成分のモル
数 bは分岐ポリエステルを構成するB成分のモル数 cは分岐ポリエステルを構成するC成分のモル数 ρ≧0.05 ・・・(式2)
【0007】以下、本発明を更に詳しく説明する。化学
式1で表されるジカルボン酸及びそのエステル成形性誘
導体(A成分)としては、コハク酸、アジピン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4
−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサ
ンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、テレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、4,4’−ビフェニレンジカルボン酸、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン
酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸等の
不飽和ジカルボン酸成分が挙げられるが、原料としては
遊離のカルボン酸であっても酸無水物であってもよい。
さらに、これらのジメチルエステル等の誘導体が挙げら
れるがこれらに限定されるものではない。又、これらの
ジカルボン酸成分を2種以上併用してもよい。
【0008】化学式2で表されるトリカルボン酸及びそ
のエステル形成性誘導体(B成分)としてはトリメリト
酸、トリメシン酸、ヘミメリト酸等のトリカルボン酸が
挙げられるが、原料としては遊離のカルボン酸であって
も酸無水物であってもよい。さらに、これらのメチルエ
ステル等の誘導体が挙げられるがこれらに限定されるも
のではない。又、これらのトリカルボン酸成分を2種以
上併用してもよい。
【0009】化学式3で表されるジオール成分(C成
分)としてはエチレングリコール、1,2−プロパンジ
オール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサン
ジメタノール等の脂環族ジオール、ビスフェノールAの
エチレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール等の成分
が挙げられるが原料としては遊離のジオールの他、カル
ボン酸成分とのエステルであってもよい。但し、これら
に限定されるものではない。又、これらのジオール成分
を2種以上併用してもよい。
【0010】本発明の目的を達成するためには、式1に
よって表される範囲の組成であることが必要である。3
官能成分を含むポリエステルの合成では、ゲル化点の条
件はJ.Floryによって与えられたように臨界分岐
係数αc が0.5であり、分岐係数α<0.5ではゲル
化は起こらない(P.J.フローリ著、高分子化学、
下、322〜330頁、1956年)。P.J.フロー
リによれば、αはr,ρ及び反応度pc によって次式の
ように与えられる。 α=pc 2 ρ/〔r−pc 2 (1−ρ)〕 但し、r=(2a+3b)/2c ρ=3b/(2a+3b) ここで、aは分岐ポリエステルを構成するA成分のモル
数 bは分岐ポリエステルを構成するB成分のモル数 cは分岐ポリエステルを構成するC成分のモル数 pc は水酸基の反応度 これに上述のα<0.5及びpc =1の条件を与えるこ
とにより式1が得られる。r>1のときジオール成分の
反応度が1、即ち、エステル化反応が完結してもαが
0.5を超えない原料組成が存在する。実際にこの範囲
で分岐ポリエステルを合成すれば、反応を途中で止めな
くてもゲル化することはない。一方、カルボキシル基過
剰の条件では、この範囲外ではゲル化か起こる。しか
し、厳密には、αが0.5を超えてもゲル化しない場合
があり得る。これは上述の式では分子内縮合が考慮され
ていないためと考えられている。
【0011】原料成分のカルボン酸基の総数に対する原
料成分中のトリカルボン酸成分(B成分)のカルボン酸
基の比率(ρ)が0.05以上であることが本発明の分
岐ポリエステルを架橋剤と共に硬化させたとき、充分な
架橋密度を得る為に必要である。さらに、ρは0.1以
上であることがより好ましい。これは式1と組み合わせ
ると、r>1.05であることが必要であり、r>1.
1であることがより好ましいことを示している。また、
得られる樹脂の末端カルボキシル基の量は原料組成と反
応度によって決定されるが、本発明の分岐ポリエステル
を2官能以上のエポキシ化合物等の架橋剤と共に架橋,
硬化させたとき充分な架橋密度を得るために酸価が20
以上であることが必要である。さらに50以上であるこ
とがより好ましい。
【0012】本発明の分岐ポリエステル製造において、
水酸基の反応度が1であってもゲル化することはない
が、もちろん1未満であっても良い。しかし、反応度が
小さいと低分子量のものが多くなり、例えば、エポキシ
化合物との加熱による硬化反応の際、揮発成分が多くな
り機器、装置等を汚染することがあるため、水酸基の反
応度は0.8以上であることが好ましい。さらに、r≦
2であることが好ましい。rが2を越えると未反応原料
により、反応度が小さいときと同じような問題を生じる
可能性が大きくなる。
【0013】本発明の樹脂は化学式1で表わされるジカ
ルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体(A成
分)と化学式2で表わされるトリカルボン酸及び/又は
そのエステル形成性誘導体(B成分)と化学式3で表わ
されるジオール成分(C成分)から成り、その成分比率
が式1及び式2で表される範囲にある原料からエステル
化及び/又はエステル交換反応によって製造することが
できる。
【0014】これらの原料は、下記の方法によって分岐
ポリエステルとすることができる。カルボン酸成分(A
成分及びB成分)とジオール成分(C成分)を精留塔及
び攪拌機、窒素導入管をつけた反応容器に入れ窒素気流
下で加熱する。150〜180℃でエステル化による水
の留出が始まるので生成した水を留去しながら徐々に温
度を上げ、通常180〜240℃でエステル化反応を進
める。反応度(エステル化された水酸基のモル数をエス
テル化されていないときの全水酸基のモル数で除した
値)は留出した水の量から計算し、反応度0.8〜1.
0となったところで樹脂を取り出す。カルボン酸成分と
して酸無水物を用いる場合は当然その使用量に応じて留
出水は少なくなる。もし、原料の一部にカルボン酸のメ
チルエステル等を使用するときは通常、触媒が必要であ
り、さらに末端をカルボン酸とするためにメチルエステ
ルとジオールのエステル交換反応によるメタノールの留
出をほぼ完了させた後、さらにカルボン酸及び/または
カルボン酸無水物を加えて、エステル化を行う。この
際、原料の組成比が本発明の範囲内であってもエステル
化域はエステル交換の過程で原料組成比が本発明の組成
比の範囲、即ち、式1の条件を外れた場合はゲル化する
危険を伴うので避けるべきである。また、原料の一部が
溶解も融解もせず反応できないようなものを含む場合も
液相の実質的な組成が本発明の範囲外になることがあ
る。例えば、テレフタル酸やイソフタル酸等を2官能性
ジカルボン酸として用いた場合、その反応温度、圧力等
の条件によって、本発明の組成範囲内であってもこれら
のジカルボン酸が反応系に溶解する前に液相の成分比率
が本発明の範囲を外れ、ゲル化することがあるので、こ
のような成分を必要とする際にはこれらジカルボン酸と
ジオールとのエステル、オリゴマーやプレポリマーを用
いるなど反応系を反応初期の内に均一にする工夫が必要
である。
【0015】エステル化反応では必要に応じて触媒を用
いることができる。例として、ジブチルスズオキシド、
ブチル亜スズ酸等の有機スズ化合物やチタンテトラブト
キシド等のチタン化合物等が挙げられる。又、エステル
交換反応で用いられる触媒としては、酢酸マンガン、酢
酸カルシウム、酢酸亜鉛やジブチルスズオキシド、チラ
ンテトラブトキシド等が挙げられるがこれらに限定され
るものではない。更に、安定剤としてトリメチルリン酸
等のリン化合物や酸化防止剤として、ペンタエリスリチ
ル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等のヒンダード
フェノール系化合物を添加してもよい。
【0016】このようにして分岐ポリエステルが合成す
ることにより、反応時間等の制御が充分できなかったこ
とによる反応の進み過ぎや、樹脂の取り出し中の反応の
進み過ぎによる樹脂のゲル化やゲル化によって反応容器
からら取り出しが困難になるなどの問題が防止できる。
【0017】このようにして得られた分岐ポリエステル
樹脂はその分岐構造と末端のカルボキシル基の存在によ
って種々の利用が可能である。樹脂を溶融物として使用
したり、有機溶剤に溶解して用いるだけでなく、末端カ
ルボキシル基の存在によりアンモニアやアミンまたは水
酸化ナトリウム等の塩基で中和することにより水溶液と
して用いることができる。また、分岐構造と末端カルボ
キシル基の存在によりエポキシ化合物等の架橋剤と共に
使用して硬化させ、接着剤や塗料、コーティング被膜と
して耐熱性,耐水性,耐溶剤性等を付与することも可能
である。
【0018】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳述する。 (1)反応度(pc )の計算;反応度はエステル化で生
じた水の量を計量し、エステル化した水酸基のモル数を
未反応のときの全水酸基のモル数で除した値として計算
した。また、エステル化した水酸基のモル数及び未反応
のときの全水酸基のモル数は原料が遊離のカルボン酸と
遊離の水酸基である場合を基準とする。 (2)酸価の測定;酸価は樹脂1gを中和するのに要す
る水酸化カリウムのmg数であり、0.05gから0.
5gの樹脂を正確に計量し、メチルセロソルブ30ml
に室温で溶解、さらにイオン交換水20ml を加え、
0.02N−水酸化カリウムのベンジルアルコール溶液
で平沼産業(株)の自動滴定装置COMTITE−10
1を用いたpH滴定で測定した。 (3)水溶性;容器に樹脂分が15wt%となるように
水を加え、95℃で10分間攪拌して水溶性を評価し
た。 (4)アンモニア水に対する溶解性(対アンモニア水溶
解性;樹脂の酸価より計算されたカルボキシ酸基と等モ
ルになるアンモニアを含む水を、樹脂濃度が15wt%
となるように加え、95℃で10分間攪拌して評価し
た。評価結果は下記の記号で表示した。 ○;溶解。 △;加熱攪拌処理の後、24時間室温で放置後、更に攪
拌すると溶解。 ×;溶解せず。 (5)架橋性;樹脂に多官能エポキシ化合物としてポリ
グリセロールポリグリシジルエーテル(エポキシ当量=
170g/eq.)を樹脂のカルボキシル基とエポキシ
基が当モルになるように混合し、その混合物の約1gを
ガラスシャーレ上に広げ、熱風乾燥機で220℃で加熱
処理し、室温で硬化の程度を5段階評価した。また、触
媒として3級アミンを使用した場合についても評価を行
った。尚、この評価に用いた実施例1,5,10及び比
較例3の分岐ポリエステルはいずれも室温で流動性のあ
る粘稠液体あったため、流動性で架橋の程度を簡単に評
価できた。 5段階評価基準 1;ゲル化せず。流動性あり。 2;一部ゲル化。流動性部分あり。 3;ゲル化。表面粘着性大。 4;ゲル化。わずかに表面粘着性あり。 5;ゲル化。表面粘着性ほとんどなし、または表面粘着
性なし。
【0019】実施例1 加熱可能な空冷管、窒素導入管、及び攪拌機付き反応容
器にアジピン酸1.2モル、無水トリメリト酸0.3モ
ル、及びエチレングリコール1.2モルを入れ、充分、
反応容器内を窒素置換した後、窒素気流下、攪拌しなが
ら1時間かけて150℃まで昇温した。125℃になっ
たところで反応混合物は透明、均一になった。さらに徐
々に昇温しながら生成した水を留去し、1時間かけて1
80℃とした。180℃で1時間保った後、さらに昇温
し200℃で1時間30分、エステル化反応続けた。水
の留出がほぼ停止したところで、150℃まで温度を下
げてから、得られた分岐ポリエステル樹脂を取り出し
た。樹脂は室温で粘稠液体であった。この分岐ポリエス
テル樹脂の分析結果は、他の実施例で得られた樹脂の分
析結果と共に表1に示した。また、架橋性評価結果は表
3に示した。この樹脂は多官能エポキシ化合物と反応
し、短時間で硬化した。3級アミンを触媒として用いる
ことで更に早く硬化させることができた。
【0020】実施例2〜10 原料はそれぞれ表1の共重合成分及び共重合組成の欄に
示したように変更した以外は実施例1とほぼ同様にエス
テル化を行い、分岐ポリエステルを得た。実施例5及び
実施例10の樹脂について架橋性評価を行い、結果は表
3に示した。3級アミンを触媒に用いることで比較的短
時間で硬化した。
【0021】比較例1〜2 原料をそれぞれ表2の共重合成分及び共重合組成の欄に
示したように変更した以外は実施例1とほぼ同様にエス
テル化を行った。エステル化で生じた留出水の量から求
めたジオール成分の反応度がほぼ1に達したとき、ゲル
化し、攪拌できなくなった。
【0022】比較例3 原料を表2の共重合成分及び共重合組成の欄に示したよ
うに変更した以外は実施例1とほぼ同様にエステル化を
行った。酸価が小さく分岐成分の少ない比較例3のポリ
エステルは表3に示したように10分以内には多官能エ
ポキシ化合物による硬化は起こらなかった。
【0023】
【発明の効果】本発明によって得られる分岐ポリエステ
ルは、分岐成分の存在にもかかわらずその製造時にゲル
化する危険性がなく、得られた分岐ポリエステル樹脂は
分岐構造と末端のカルボキシル基の存在により、多官能
エポキシ化合物等の架橋剤によって架橋することができ
るため耐久性、特に溶剤や水に対する耐久性が要求され
る接着剤,塗料、コーティング剤やその構成成分とし
て、種々の応用が可能である。
【表1】
【表2】
【表3】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学式1で表わされるジカルボン酸及び
    /又はそのエステル形成性誘導体(A成分)と化学式2
    で表わされるトリカルボン酸及び/又はそのエステル形
    成性誘導体(B成分)と化学式3で表わされるジオール
    成分(C成分)から得られ、且つその成分比率が式1及
    び式2で表わされる範囲にあり、酸価が20以上である
    ことを特徴とする分岐ポリエステル。 【化1】 ・・・(化学式1) 但し、R1 はカルボン酸エステル形成性基を含まない炭
    素数2以上の有機基 【化2】 ・・・(化学式2) 但し、R2 はカルボン酸エステル形成性基を含まない炭
    素数3以上の有機基 【化3】 ・・・(化学式3) 但し、R3 はカルボン酸エステル形成性基を含まない炭
    素数2以上の有機基 r>1+ρ ・・・(式1) 但し、r=(2a+3b)/2c ρ=3b/(2a+3b) ここで、aは分岐ポリエステルを構成するA成分のモル
    数 bは分岐ポリエステルを構成するB成分のモル数 cは分岐ポリエステルを構成するC成分のモル数 ρ≧0.05 ・・・(式2)
  2. 【請求項2】 化学式1で表わされるジカルボン酸及び
    /又はそのエステル形成性誘導体(A成分)と化学式2
    で表わされるトリカルボン酸及び/又はそのエステル形
    成性誘導体(B成分)と化学式3で表わされるジオール
    成分(C成分)から得られ、且つその成分比率が式1及
    び式2で表わされる範囲にある原料からエステル化及び
    /又はエステル交換反応によって製造することを特徴と
    する分岐ポリエステルの製造方法。 【化4】 ・・・(化学式1) 但し、R1 はカルボン酸エステル形成性基を含まない炭
    素数2以上の有機基 【化5】 ・・・(化学式2) 但し、R2 はカルボン酸エステル形成性基を含まない炭
    素数3以上の有機基 【化6】 ・・・(化学式3) 但し、R3 はカルボン酸エステル形成性基を含まない炭
    素数2以上の有機基 r>1+ρ ・・・(式1) 但し、r=(2a+3b)/2c ρ=3b/(2a+3b) ここで、aは分岐ポリエステルを構成するA成分のモル
    数 bは分岐ポリエステルを構成するB成分のモル数 cは分岐ポリエステルを構成するC成分のモル数 ρ≧0.05 ・・・(式2)
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